説明

球状体吸着ヘッド製造方法、球状体吸着ヘッドおよび球状体搭載装置

【課題】高度な技術を必要とせずに製造コストを低減する。
【解決手段】先端部21a側に開口部42aを有する箱状に形成された本体部21と、開口部42aを閉塞するように本体部21に配設された板状の多孔質体22と、球状体を整列させる挿通孔51が形成されて多孔質体22の外面22a側に配設される整列シート23とを備えて、本体部21と多孔質体22とによって形成される内部空間42が減圧されたときに多孔質体22を介して行われる吸気によって挿通孔51の形成部位に球状体を吸着する吸着ヘッド11を製造する際に、本体部21に多孔質体22を配設した状態で内部空間42を減圧して、多孔質体22の外面22aにシート体24を吸着させ、吸着させた状態のシート体24に挿通孔51を形成することによって整列シート23を作製して吸着ヘッド11を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体を吸着する球状体吸着ヘッドを製造する球状体吸着ヘッド製造方法、球状体を吸着する球状体吸着ヘッド、およびその球状体吸着ヘッドを備えて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小な球状粒体を吸着する際に用いられる器具として、特開2007−201386号公報に開示された半田ボール吸着プレートが知られている。この半田ボール吸着プレートは、1枚の吸着面シート、9枚の吸着孔補強シート、および10枚の吸着面補強シートを備えて構成されている。この場合、各シートには、複数の吸着孔が予め形成されており、この各々の吸着孔を位置合わせした状態で各シートを拡散接合することによって半田ボール吸着プレートが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−201386号公報(第3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の半田ボール吸着プレートには、以下の問題点がある。すなわち、この半田ボール吸着プレートは、複数の吸着孔が予め形成された数多くのシートを拡散接合することによって製造される。この場合、各シートにおける各吸着孔の間で位置が生じないように各吸着孔を形成するのには高度な加工技術を必要とし、これらの加工を数多くのシートに対して行うには、多くの時間を必要とする。また、各吸着孔の位置合わせを行いつつこれらの数多くのシートを拡散接合するのにも、高度な技術と多くの時間を必要とする。したがって、上記の半田ボール吸着プレートには、高度な技術を必要とすると共に製造コストの低減が困難であるという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、高度な技術を必要とせずに製造コストを低減し得る球状体吸着ヘッド製造方法、球状体吸着ヘッドおよび球状体搭載装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体吸着ヘッド製造方法は、先端部側に開口部を有する箱状に形成された本体部と、前記開口部を閉塞するように前記本体部に配設された板状の多孔質体と、球状体を整列させる挿通孔が形成されて前記多孔質体の外面側に配設される整列シートとを備えて、前記本体部と前記多孔質体とによって形成される内部空間が減圧されたときに当該多孔質体を介して行われる吸気によって前記挿通孔の形成部位に前記球状体を吸着する球状体吸着ヘッドを製造する球状体吸着ヘッド製造方法であって、前記本体部に前記多孔質体を配設した状態で前記内部空間を減圧して、前記多孔質体の前記外面にシート体を吸着させ、当該吸着させた状態のシート体に前記挿通孔を形成することによって前記整列シートを作製して前記球状体吸着ヘッドを製造する。
【0007】
また、請求項2記載の球状体吸着ヘッド製造方法は、請求項1記載の球状体吸着ヘッド製造方法において、前記シート体に対してレーザーを照射して前記挿通孔を形成する。
【0008】
また、請求項3記載の球状体吸着ヘッド製造方法は、請求項1または2記載の球状体吸着ヘッド製造方法において、柔軟性を有する樹脂シートを前記シート体として用いる。
【0009】
また、請求項4記載の球状体吸着ヘッド製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着ヘッド製造方法において、前記多孔質体の前記外面と前記シート体との間に接着剤を塗布して当該シート体を当該外面に吸着させて固定する。
【0010】
また、請求項5記載の球状体吸着ヘッドは、先端部側に開口部を有する箱状に形成された本体部と、前記開口部を閉塞するように前記本体部に配設された板状の多孔質体と、球状体を整列させる挿通孔が形成されて前記多孔質体の外面側に配設される整列シートとを備えて、前記本体部と前記多孔質体とによって形成される内部空間が減圧されたときに当該多孔質体を介して行われる吸気によって前記挿通孔の形成部位に前記球状体を吸着する球状体吸着ヘッドであって、前記整列シートは、前記多孔質体の前記外面にシート体を吸着させた状態で当該シート体に前記挿通孔を形成することによって作製されている。
【0011】
また、請求項6記載の球状体吸着ヘッドは、請求項5記載の球状体吸着ヘッドにおいて、前記多孔質体は、一部分が前記整列シート側に突出するように他の部分よりも肉厚に形成され、前記本体部は、当該本体部の先端部側の端面との間で段差を有して前記多孔質体をはめ込み可能な段部が前記開口部の縁部に形成されると共に、当該段部に前記多孔質体がはめ込まれた状態において前記先端部側の端面と当該多孔質体の前記外面とが面一となるように構成され、前記整列シートは、前記段部にはめ込まれた前記多孔質体の前記外面および当該多孔質体と前記本体部との境界部分を覆うように前記シート体を配置して作製されている。
【0012】
また、請求項7記載の球状体搭載装置は、請求項5または6記載の球状体吸着ヘッドと、前記球状体を吸着させる吸着位置に前記球状体吸着ヘッドを搬送すると共に前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の球状体吸着ヘッド製造方法、請求項5記載の球状体吸着ヘッド、請求項7記載の球状体搭載装置によれば、多孔質体の外面にシート体を吸着させた状態でシート体に挿通孔を形成することによって整列シートを作製することにより、予め挿通孔が形成されている整列シートを多孔質体の外面に配設する方法および構成とは異なり、予め形成されている挿通孔が指定された位置に位置するように位置合わせしつつ整列シートを多孔質体や本体部に固定するような高度な技術と時間を要する工程を省略することができる。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法、球状体吸着ヘッドおよび球状体搭載装置によれば、このような工程を省略できる分、高度な技術を必要とせずに製造効率を十分に向上させることができる結果、球状体吸着ヘッドおよび球状体吸着ヘッドを備えた球状体搭載装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0014】
また、請求項2記載の球状体吸着ヘッド製造方法によれば、シート体に対してレーザーを照射して挿通孔を形成することにより、例えば、ドリルを用いて挿通孔を穿孔する方法と比較して、挿通孔を短時間で形成することができるため、挿通孔を形成(穿孔)する穿孔加工に要する時間を十分に短縮することができる結果、その分、製造効率をさらに向上させることができる。また、この球状体吸着ヘッド製造方法によれば、レーザーの照射による溶融によって挿通孔を形成しているため、ドリルを用いて挿通孔を形成する方法と比較して、切削屑等の発生を十分に少なく抑えることができる。このため、切削屑等を除去(洗浄)する工程を省略することができる結果、その分、製造効率をさらに向上させることができる。また、この球状体吸着ヘッド製造方法によれば、レーザーのスポット径を調整することで、ドリルを用いて挿通孔を穿孔する方法と比較して、小径の挿通孔を効率的に形成することができる。
【0015】
また、請求項3記載の球状体吸着ヘッド製造方法によれば、柔軟性を有する樹脂シートをシート体として用いることにより、例えば、多孔質体に段差が設けられている場合においても、多孔質体を介して行われる吸気に伴う吸引力だけで、段差に沿ってシート体が折れ曲がって多孔質体の外面にシート体が密着し、これによって多孔質体に対してシート体を正確に位置決めすることができる。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法によれば、変形し難い材料で形成したシート体を用いる方法と比較して、多孔質体に対するシート体の位置決めを確実かつ容易に行うことができるため、その分、製造効率をさらに向上させることができる。
【0016】
また、請求項4記載の球状体吸着ヘッド製造方法によれば、多孔質体の外面とシート体との間に接着剤を塗布してシート体を外面に吸着させて固定することにより、ねじ等を用いてシート体を固定する方法と比較して、固定の作業を短時間でしかも確実かつ容易に行うことができる結果、製造効率をさらに向上させることができる。
【0017】
また、請求項6記載の球状体吸着ヘッドでは、一部分を整列シート側に突出するように肉厚に形成した多孔質体が本体部の開口部の縁部に形成された段部にはめ込まれた状態において本体部の先端部側の端面と多孔質体の外面とが面一となるように構成され、段部にはめ込まれた球状体吸着ヘッドの外面および多孔質体と本体部との境界部分を覆うようにシート体を配置して整列シートが作製される。このため、この球状体吸着ヘッドによれば、整列シートの作製に当たって多孔質体の外面にシート体を密着させた際に、多孔質体と本体部との境界部分を覆っているシート体におけるこの境界部分での皺の発生を確実に防止することができ、皺の発生に起因する凹凸がない状態の整列シートを作製することができるため、このような凹凸と基板や電子部品との接触を確実に回避することができる。
【0018】
また、この球状体吸着ヘッドでは、多孔質体の外面および多孔質体と本体部との境界部分を覆うようにして配置したシート体に対して挿通孔を形成して整列シートが作製されている。このため、この球状体吸着ヘッドによれば、多孔質体と本体部との境界部分が整列シートによって確実に覆われ、多孔質体の端面を露出させないようにすることができるため、多孔質体の端面からの吸引を規制して多孔質体の外面のみから空気を吸引させ、これによって十分な吸引力を確保することができる結果、球状体を確実に吸着することができる。
【0019】
また、整列シートがこのようにして作製されるため、高度な技術を必要とせずに、上記のような機能を有するこの球状体吸着ヘッドの製造効率を十分に向上させることができる結果、この吸着ヘッドの製造コストを十分に低減することができる。
【0020】
また、この球状体吸着ヘッドによれば、例えば、球状体を搭載する搭載対象体としての基板に電子部品が配設されているときには、球状体を搭載する領域に対応する多孔質体の一部分を肉厚に形成して整列シート側に突出させると共に、電子部品が配設されている領域に対応する多孔質体の他の部分を肉薄に形成して肉厚の部分よりも凹ませることで、電子部品と球状体吸着ヘッドとの接触を回避しつつ、球状体吸着ヘッドに吸着されている球状体を基板に十分に近接させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】吸着ヘッド11の構成を示す斜視図である。
【図3】図2における面Aで切断した吸着ヘッド11の断面図である。
【図4】半田ボール300の直径L1、挿通孔51の直径L2、規制用プレート61の厚みL3、および挿通孔62の直径L4の関係を説明する説明図である。
【図5】吸着ヘッド11の分解斜視図である。
【図6】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第1の説明図である。
【図7】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第2の説明図である。
【図8】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第3の説明図である。
【図9】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第4の説明図である。
【図10】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第5の説明図である。
【図11】吸着ヘッド11の製造方法を説明する第6の説明図である。
【図12】半田ボール300の搭載工程を説明する第1の説明図である。
【図13】半田ボール300の搭載工程を説明する第2の説明図である。
【図14】半田ボール300の搭載工程を説明する第3の説明図である。
【図15】半田ボール300の搭載工程を説明する第4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、球状体吸着ヘッド製造方法および球状体吸着ヘッドの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、吸着ヘッド11、吸引機構12、収容容器13、搬送装置14および制御部15を備え、球状体の一例としての微小な球状粒体である半田ボール(マイクロボール)300(図4参照)を搭載対象体としての基板400の端子401に搭載可能に構成されている。この場合、半田ボール300は、直径L1(同図参照)が80μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、半田ボール搭載装置1によって基板400の端子401に搭載された後に加熱溶融されることにより、基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)を構成する。
【0024】
吸着ヘッド11は、後述する製造方法(球状体吸着ヘッド製造方法)によって製造される球状体吸着ヘッドの一例であって、図2,3に示すように、全体として直方体状に形成され、半田ボール300を吸着可能に構成されている。具体的には、吸着ヘッド11は、図3,5に示すように、本体部21、多孔質体22および整列シート23を備えて構成されている。
【0025】
本体部21は、図3,5に示すように、側壁部31a〜31d(以下、区別しないときには「側壁部31」ともいう)、および基端部側壁部32を備えて、開口部42aを有する箱状に形成されている。また、開口部42aの縁部には、本体部21における先端部21a側の端面(両図における上側の端面)33との間で段差を有して、多孔質体22をはめ込み可能な段部41が形成されている。この段部41は、多孔質体22を位置決めし、かつ多孔質体22の外周縁部を支持する機能を有している。
【0026】
また、図3,5に示すように、本体部21の先端部21a側には、突出部34が形成され、段部41に多孔質体22がはめ込まれた状態において先端部21a側の端面33と多孔質体22の外面22aとが面一となるように構成されている(図6参照)。
【0027】
また、図3,5に示すように、基端部側壁部32の中央部には、本体部21と多孔質体22とによって形成される内部空間42に連通して、内部空間42内の空気を排出するための排気孔32bが形成されている
【0028】
多孔質体22は、一例として、連続気泡構造のセラミックスによって形成されて、図5に示すように、全体として長方形の板状に構成されている。また、多孔質体22は、基板400の端子401に半田ボール300を搭載する際に(図15参照)、基板400に配設されている電子部品402との接触を回避するために、図3,5に示すように、中央部71(一部分の一例)が整列シート23側に突出するように側部72(他の部分)よりも肉厚に形成されて(肉厚の中央部71と肉薄の側部72とを有して)、中央部71と側部72との間に段差が設けられている。
【0029】
また、多孔質体22は、図3に示すように、本体部21の開口部42aを閉塞するようにして、本体部21の先端部21a側に配設され、接着剤によって本体部21に固定されている。この場合、多孔質体22は、本体部21の段部41にはめ込まれるように配設されている。この多孔質体22が本体部21に配設された状態では、同図に示すように、段部41の上面が、多孔質体22の内面22bに当接した状態となり、多孔質体22は段部41によって支持されている。また、この状態では、段部41の側面41aに多孔質体22の端面が当接(または近接)しており、これにより、多孔質体22が本体部21に対して位置決めされると共に、平面方向への多孔質体22の移動が規制されている。
【0030】
整列シート23は、図3,5に示すように、多孔質体22よりも大きい長方形の薄板状に形成され、図に示すように、本体部21の段部41にはめ込まれた多孔質体22の外面22aおよび多孔質体22と本体部21との境界部分を覆うように配設されている。また、整列シート23は、搭載対象体としての基板400における端子401の配列と同じ配列で形成されて、半田ボール300を整列させる機能を有する複数の挿通孔51を備えている。この場合、図4に示すように、挿通孔51の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、この整列シート23は、後述する製造方法によって吸着ヘッド11を製造する際に、図11に示すように、シート体24に対してレーザー500を用いた穿孔加工を行って挿通孔51を形成(穿孔)することによって作製される。整列シート23の作製に用いられるこのシート体24は、挿通孔51が形成されていないシート体であって、柔軟性を有する樹脂シート(一例として、ポリエステルで形成されたシート)で構成されている。
【0031】
この吸着ヘッド11では、本体部21と多孔質体22とによって形成される内部空間42が排気によって減圧され、それに伴って多孔質体22を介して行われる吸気により、多孔質体22の外面22a側に配設されている整列シート23における挿通孔51の形成部位に半田ボール300を吸着する(この例では、挿通孔51の縁部に吸着する:図4参照)と共に、内部空間42が常圧に復帰したとき(減圧が解除されたとき)に半田ボール300の吸着を解除することが可能となっている。
【0032】
吸引機構12は、配管を介して吸着ヘッド11の排気孔32bに接続された図外の真空ポンプおよび電磁弁等を備えて構成され、制御部15の制御に従って吸着ヘッド11の内部空間42の空気を吸引する。
【0033】
収容容器13は、図12に示すように、半田ボール300を収容可能に構成されている。また、収容容器13は、図外の給気機構からの空気の供給によって収容している半田ボール300を浮遊させることが可能となっている。また、収容容器13の上部には、吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制するための(規制作用を有する)規制用プレート61が取り付けられている。この場合、規制用プレート61は、その厚みL3(図4参照)が半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも薄い75μm程度に規定された板状に構成されている。
【0034】
また、規制用プレート61には、吸着ヘッド11における整列シート23を規制用プレート61に近接(または、接触)させた状態(図12参照)において、吸着ヘッド11における整列シート23の各挿通孔51に対向する位置に挿通孔62が形成されている。この場合、挿通孔62の直径L4は、図4に示すように、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも長く、かつ直径L1の2倍よりも短い100μm程度となるように形成されている。
【0035】
搬送装置14は、制御部15の制御に従い、収容容器13の配置位置(吸着位置)、および基板400の配置位置に吸着ヘッド11を搬送する。
【0036】
制御部15は、半田ボール搭載装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、制御部15は、搬送装置14を制御して吸着ヘッド11を収容容器13の配置位置、およびに基板400の配置位置に搬送させる。また、制御部15は、吸引機構12を制御して吸着ヘッド11の内部空間42の空気を吸引させる。
【0037】
次に、吸着ヘッド11の製造方法(球状体吸着ヘッド製造方法)について図面を参照して説明する。
【0038】
この製造方法では、まず、本体部21に形成されている段部41の上面に接着剤を塗布する。次いで、図6,7に示すように、段部41に多孔質体22をはめ込むことにより、本体部21の開口部42aを閉塞するようにして多孔質体22を本体部21の先端部21a側に配設する。この状態では、図7に示すように、段部41の上面が、多孔質体22の内面22bに当接した状態となり、多孔質体22は段部41によって支持されている。また、この状態では、段部41の側面41aに多孔質体22の端面が当接(または近接)しており、これにより、多孔質体22が本体部21に対して位置決めされると共に、平面方向への多孔質体22の移動が規制されている。
【0039】
また、図6に示すように、本体部21の先端部21a側に突出部34が形成されているため、段部41に多孔質体22がはめ込まれた状態では、本体部21における先端部21a側の端面33と、多孔質体22の外面22aとが面一となっている。続いて、段部41の上面に塗布した接着剤が乾燥するまで放置することで、多孔質体22を本体部21に固定する。
【0040】
次いで、本体部21における基端部側壁部32に形成されている排気孔32bと吸引機構(例えば、上記した吸引機構12)とを接続する。続いて、多孔質体22の外面22aに接着剤を塗布し(多孔質体の外面とシート体との間に接着剤を塗布する一例)、次いで、図8,9に示すように、本体部21に配設した多孔質体22を覆うようにして、シート体24を多孔質体22の外面22aに配置(載置)する。
【0041】
この場合、図8に示すように、シート体24のサイズは、多孔質体22(多孔質体22の外面22a)よりも大きいサイズに規定されている。このため、図9に示すように、シート体24を多孔質体22の外面22aに配置した状態では、本体部21の段部41にはめ込まれた多孔質体22の外面22a、および多孔質体22と本体部21との境界部分がシート体24によって覆われる。なお、上記の例では、多孔質体22の外面22aに接着剤を塗布しているが、シート体24の一面(多孔質体22の外面22aに対向する面)に接着剤を塗布してもよいし、多孔質体22の外面22aおよびシート体24の一面の双方に接着剤を塗布してもよい。
【0042】
続いて、排気孔32bに接続した吸引機構を作動させる。この際に、本体部21と多孔質体22とによって形成される内部空間42の空気が排気孔32bを通って吸引されて内部空間42が減圧され、これに伴って多孔質体22内の連続気泡を通って多孔質体22の外面22a側の空気が吸引(吸気)される。
【0043】
また、多孔質体22を介して行われる吸気に伴う吸引力によってシート体24が多孔質体22の外面22a側に引き寄せられ、この結果、図10に示すように、多孔質体22の外面22aにシート体24が吸着される。この場合、シート体24が柔軟性を有しているため、肉厚の中央部71と肉薄の側部72との間の段差に沿って折れ曲がり、多孔質体22の外面22aにシート体24が密着する。また、上記したように、本体部21における先端部21a側の端面33と、本体部21の段部41にはめ込まれた多孔質体22の外面22aとが面一となっているため、多孔質体22と本体部21との境界部分を覆っているシート体24におけるこの境界部分での皺の発生が確実に防止される。
【0044】
次いで、多孔質体22の外面22aに塗布した接着剤が乾燥するまで放置することで、シート体24を多孔質体22に固定する。なお、上記の例では、シート体24を多孔質体22の外面22aに配置した後に、内部空間42の減圧(多孔質体22を介しての吸気)を開始する例について上記したが、内部空間42の減圧を行っている状態で(減圧を開始した後に)シート体24を多孔質体22の外面22aに配置してもよい。
【0045】
この製造方法では、多孔質体22の外面22aとシート体24との間に接着剤を塗布した状態でシート体24を外面22aに吸着させるだけで、シート体24が外面22aに密着した状態で固定される。このため、ねじ等を用いてシート体24を固定する方法および構成と比較して、固定作業を短時間でしかも確実かつ容易に行うことが可能となっている。
【0046】
続いて、多孔質体22に吸着させた状態のシート体24に対して穿孔加工を行う。この穿孔加工では、図11に示すように、レーザー射出装置(図示せず)から射出されたレーザー500をシート体24における予め決められた位置(挿通孔51を形成すべきとして指定された位置)に照射する。この際に、レーザー500の照射位置が溶融して挿通孔51が形成される。次いで、予め決められた全ての位置に挿通孔51を形成する。これにより、整列シート23の作製が完了する。
【0047】
この場合、この製造方法では、予め挿通孔51が形成されている整列シート23を多孔質体22の外面22aに配設して吸着ヘッド11を製造する製造方法とは異なり、挿通孔51が形成されていないシート体24を位置合わせすることなく配置して多孔質体22に吸着させた状態で挿通孔51を形成している。このため、この製造方法では、多孔質体22と整列シート23との位置合わせが不要となっているため、製造効率を十分に向上させることが可能となっている。
【0048】
また、この製造方法では、樹脂製のシート体24を用いているため、レーザー500の照射によってシート体24が容易に溶融する結果、短時間で挿通孔51が形成される。このため、この製造方法では、穿孔加工に要する時間を十分に短縮することが可能となっている。また、この製造方法では、レーザー500の照射による溶融によって挿通孔51を形成しているため、例えば、ドリルを用いて挿通孔51を形成する方法と比較して、切削屑等の発生が十分に少なく抑えられている。このため、この製造方法では、切削屑等を除去(洗浄)する工程を省略することができる結果、製造効率をさらに向上させることが可能となっている。さらに、この穿孔加工では、レーザー500のスポット径を調整することで、ドリルを用いて挿通孔51を穿孔する方法と比較して、小径の挿通孔51を確実かつ容易に形成することが可能となっている。
【0049】
続いて、排気孔32bに接続した吸引機構を停止させて、内部空間42の減圧を解除し、次いで、本体部21の排気孔32bと吸引機構との接続を解除する。以上により、吸着ヘッド11の製造が完了する。この場合、この吸着ヘッド11では、上記したように、シート体24における多孔質体22と本体部21との境界部分での皺の発生が確実に防止されている。このため、この吸着ヘッド11では、皺の発生に起因する凹凸がない状態に整列シート23が作製されている。また、この吸着ヘッド11では、多孔質体22の外面22aおよび多孔質体22と本体部21との境界部分を覆うようにして配置したシート体24に対して挿通孔51を形成して整列シート23が作製されている。このため、この吸着ヘッド11では、多孔質体22と本体部21との境界部分が整列シート23によって確実に覆われ、多孔質体22の端面(側面)が露出しない状態となっている。
【0050】
次に、上記のようにして製造された吸着ヘッド11を備えた半田ボール搭載装置1を用いて半田ボール300を基板400の端子401に搭載する方法、およびその際の半田ボール搭載装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、この例では、吸着ヘッド11における本体部21の先端部21a側を下向きにした状態で半田ボール300を吸着するものとする。
【0051】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部15が、搬送装置14を制御して、吸着ヘッド11を収容容器13の上方に搬送させ、続いて、図12に示すように、吸着ヘッド11における本体部21の先端部21aと収容容器13の上部の縁部とが当接するように吸着ヘッド11を降下させる。次いで、制御部15は、吸引機構12を制御して、吸着ヘッド11の内部空間42の空気を吸引させる。この際に、内部空間42が減圧され、これに伴って多孔質体22内の連続気泡を通って多孔質体22の外面22a側の空気が吸引(吸気)される。
【0052】
続いて、制御部15は、図外の給気機構から収容容器13内に空気を供給させる。この際に、空気の供給によって収容容器13に収容されている半田ボール300が浮遊させられる。また、図13に示すように、収容容器13内で浮遊している半田ボール300が、吸着ヘッド11の多孔質体22を介して行われる吸気に伴う吸引力によって多孔質体22の外面22a側に引き寄せられて、収容容器13の規制用プレート61に形成されている挿通孔62を通って吸着ヘッド11の整列シート23における挿通孔51の形成部位(挿通孔51の縁部)に吸着される。
【0053】
この場合、この吸着ヘッド11では、多孔質体22と本体部21との境界部分が整列シート23によって確実に覆われ、多孔質体22の端面(側面)が露出しない状態となっている。このため、多孔質体22の端面からの吸引が規制されて、外面22aのみから空気が吸引されて十分な吸引力が確保される結果、半田ボール300が確実に吸着される。
【0054】
また、半田ボール300が微小なため、半田ボール300同士が互いに引き合う力が重量に対して相対的に大きく、この結果、図13に示すように、整列シート23における挿通孔51の形成部位に吸着された半田ボール300(以下、この半田ボール300を「搭載対象の半田ボール300」ともいう)に他の半田ボール300(以下、この半田ボール300を「余剰の半田ボール300」ともいう)が付着する。
【0055】
次いで、制御部15は、収容容器13に対する空気の供給を停止させることにより、半田ボール300の浮遊を停止させる。続いて、制御部15は、搬送装置14を制御して、図14に示すように、吸着ヘッド11を上方に移動させる。この際に、吸着ヘッド11の整列シート23が収容容器13の規制用プレート61から離間するため、挿通孔51の形成部位に吸着されている搭載対象の半田ボール300と余剰の半田ボール300との間に介在している規制用プレート61の規制作用により、余剰の半田ボール300が搭載対象の半田ボール300から引き離される結果、同図に示すように、余剰の半田ボール300が自重によって落下する。
【0056】
次いで、制御部15は、搬送装置14を制御して、基板400の配置位置の上方に吸着ヘッド11を移動させ、続いて、図15に示すように、吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の先端部が基板400の端子401に近接する位置に吸着ヘッド11を降下させる。
【0057】
この場合、この吸着ヘッド11では、多孔質体22の中央部71(一部分)が整列シート23側に突出するように側部72(他の部分)よりも肉厚に形成されている。このため、基板400に電子部品402が配設されている場合においても、その電子部品402と吸着ヘッド11(多孔質体22の外面22a側に配設されている整列シート23)との接触を回避しつつ、吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の先端部を基板400の端子401に十分に近接させることができる。
【0058】
また、多孔質体22は、この吸着ヘッド11では、多孔質体22と本体部21との境界部分における皺の発生に起因する凹凸がない状態に整列シート23が作製されているため、このような凹凸と基板400や電子部品402との接触が回避されている。
【0059】
次いで、制御部15は、吸引機構12を制御して、吸引を停止させる。これにより、吸着ヘッド11の内部空間42が常圧に復帰し(減圧が解除され)、多孔質体22を介して行われる吸気が停止する結果、吸着ヘッド11による半田ボール300の吸着が解除される。
【0060】
この場合、この吸着ヘッド11では、多孔質体22の中央部71が側部72よりも厚く構成されているため、中央部71が側部72よりも下側に突出している。したがって、基板400に取り付けられている電子部品402に吸着ヘッド11を接触させることなく、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300を搭載対象体としての基板400の端子401に対して十分に近接させることができる。このため、半田ボール300が各端子401の上に正しく落下して、端子401に半田ボール300が確実に搭載される。
【0061】
続いて、制御部15は、搬送装置14を制御して、吸着ヘッド11を上方に移動させた後に初期位置に搬送させる。以上により、基板400の端子401への半田ボール300の搭載が完了する。
【0062】
このように、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、多孔質体22の外面22aにシート体24を吸着させた状態でシート体24に挿通孔51を形成することによって整列シート23を作製することにより、予め挿通孔51が形成されている整列シート23を多孔質体22の外面22aに配設する方法および構成とは異なり、予め形成されている挿通孔51が指定された位置に位置するように位置合わせしつつ整列シート23を多孔質体22や本体部21に固定するような高度な技術と時間を要する工程を省略することができる。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、このような工程を省略できる分、高度な技術を必要とせずに製造効率を十分に向上させることができる結果、吸着ヘッド11および吸着ヘッド11を備えた半田ボール搭載装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0063】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、シート体24に対してレーザー500を照射して挿通孔51を形成することにより、例えば、ドリルを用いて挿通孔51を穿孔する方法および構成と比較して、挿通孔51を短時間で形成することができるため、挿通孔51を形成(穿孔)する穿孔加工に要する時間を十分に短縮することができる結果、その分、製造効率をさらに向上させることができる。また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、レーザー500の照射による溶融によって挿通孔51を形成しているため、ドリルを用いて挿通孔51を形成する方法および構成と比較して、切削屑等の発生を十分に少なく抑えることができる。このため、切削屑等を除去(洗浄)する工程を省略することができる結果、その分、製造効率をさらに向上させることができる。また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、レーザー500のスポット径を調整することで、ドリルを用いて挿通孔51を穿孔する方法と比較して、小径の挿通孔51を効率的に形成することができる。
【0064】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、柔軟性を有する樹脂シートをシート体24として用いることにより、例えば、多孔質体22に段差が設けられている場合においても、多孔質体22を介して行われる吸気に伴う吸引力だけで、段差に沿ってシート体24が折れ曲がって多孔質体22の外面22aにシート体24が密着し、これによって多孔質体22に対してシート体24を正確に位置決めすることができる。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、変形し難い材料で形成したシート体24を用いる方法および構成と比較して、多孔質体22に対するシート体24の位置決めを確実かつ容易に行うことができるため、その分、製造効率をさらに向上させることができる。
【0065】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、多孔質体22の外面22aとシート体24との間に接着剤を塗布してシート体24を外面22aに吸着させて固定することにより、ねじ等を用いてシート体24を固定する方法および構成と比較して、固定の作業を短時間でしかも確実かつ容易に行うことができる結果、製造効率をさらに向上させることができる。
【0066】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1では、中央部71を整列シート23側に突出するように肉厚に形成した多孔質体22が本体部21の開口部42aの縁部に形成された段部41にはめ込まれた状態において本体部21における先端部21a側の端面33と多孔質体22の外面22aとが面一となるように構成され、段部41にはめ込まれた多孔質体22の外面22aおよび多孔質体22と本体部21との境界部分を覆うようにシート体24を配置して整列シート23が作製される。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、整列シート23の作製に当たって多孔質体22の外面22aにシート体24を密着させた際に、多孔質体22と本体部21との境界部分を覆っているシート体24におけるこの境界部分での皺の発生を確実に防止することができ、皺の発生に起因する凹凸がない状態の整列シート23を作製することができるため、このような凹凸と基板400や電子部品402との接触を回避することができる。
【0067】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1では、多孔質体22の外面22aおよび多孔質体22と本体部21との境界部分を覆うようにして配置したシート体24に対して挿通孔51を形成して整列シート23が作製されている。このため、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、多孔質体22と本体部21との境界部分が整列シート23によって確実に覆われ、多孔質体22の端面を露出させないようにすることができるため、多孔質体22の端面からの吸引を規制して多孔質体22の外面22aのみから空気を吸引させ、これによって十分な吸引力を確保することができる結果、半田ボール300を確実に吸着することができる。
【0068】
また、整列シート23がこのようにして作製されるため、高度な技術を必要とせずに、上記のような機能を有するこの吸着ヘッド11の製造効率を十分に向上させることができる結果、この吸着ヘッド11およびこの吸着ヘッド11を備えた半田ボール搭載装置1の製造コストを十分に低減することができる。
【0069】
また、この球状体吸着ヘッド製造方法、吸着ヘッド11および半田ボール搭載装置1によれば、半田ボール300を搭載する搭載対象体としての基板400に電子部品402が配設されているときには、半田ボール300を搭載する領域に対応する多孔質体22の中央部71を肉厚に形成して整列シート23側に突出させると共に、電子部品402が配設されている領域に対応する多孔質体22の側部72を肉薄に形成して肉厚の中央部71よりも凹ませることで、電子部品402と吸着ヘッド11との接触を回避しつつ、吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300を基板400に十分に近接させることができる。
【0070】
なお、球状体吸着ヘッド製造方法、球状体吸着ヘッドおよび球状体搭載装置は、上記の方法および構成に限定されない。例えば、肉厚の中央部71と肉薄の側部72とを有して、中央部71と側部72との間に段差が形成されている多孔質体22を備えた吸着ヘッド11に適用した例について上記したが、これとは逆に、肉薄の中央部と肉厚の側部とを有して構成されて両者の間に段差が形成されている多孔質体を備えた吸着ヘッドや、段差がないフラットな多孔質体を備えた吸着ヘッドに適用することもできる。つまり、多孔質体22を任意の形状に構成することができ、このような任意の形状の多孔質体22の外面22aに整列シート23を配設した吸着ヘッド11を低コストで製造することができる。
【0071】
また、レーザー500を用いて挿通孔51を形成する方法および構成について上記したが、ドリルを用いて挿通孔51を形成する方法および構成を採用することもできる。また、接着剤を塗布して多孔質体22の外面22aとシート体24との間に接着剤を塗布してシート体24を外面22aに接着させる方法および構成について上記したが、ねじを用いてシート体24を多孔質体22に固定する方法および構成を採用することもできる。また、樹脂シートをシート体24として用いる方法および構成について上記したが、金属などの樹脂以外の材料で形成されたシート状の部材をシート体24として用いる方法および構成を採用することもできる。
【0072】
また、挿通孔51の直径L2が半田ボール300の直径L1よりも短く規定され、挿通孔51の縁部で半田ボール300を吸着する構成例について上記したが、挿通孔51の直径L2を半田ボール300の直径L1よりも長く規定して、挿通孔51内(挿通孔51の形成部位の他の一例)で半田ボール300を吸着する構成を採用することもできる。
【0073】
また、多孔質体22を1つだけ備えた吸着ヘッド11を製造する方法およびその吸着ヘッド11に適用した例について上記したが、平均空孔径(多孔質体内に形成されている連続気泡の直径の平均値)が互いに異なる複数の多孔質体を備えた吸着ヘッドを製造する方法およびその吸着ヘッドに適用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1 半田ボール搭載装置
11 吸着ヘッド
14 搬送装置
21 本体部
21a 先端部
22 多孔質体
22a 外面
23 整列シート
24 シート体
33 端面
34 突出部
42 内部空間
42a 開口部
51 挿通孔
71 中央部
72 側部
300 半田ボール
400 基板
401 端子
500 レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部側に開口部を有する箱状に形成された本体部と、前記開口部を閉塞するように前記本体部に配設された板状の多孔質体と、球状体を整列させる挿通孔が形成されて前記多孔質体の外面側に配設される整列シートとを備えて、前記本体部と前記多孔質体とによって形成される内部空間が減圧されたときに当該多孔質体を介して行われる吸気によって前記挿通孔の形成部位に前記球状体を吸着する球状体吸着ヘッドを製造する球状体吸着ヘッド製造方法であって、
前記本体部に前記多孔質体を配設した状態で前記内部空間を減圧して、前記多孔質体の前記外面にシート体を吸着させ、当該吸着させた状態のシート体に前記挿通孔を形成することによって前記整列シートを作製して前記球状体吸着ヘッドを製造する球状体吸着ヘッド製造方法。
【請求項2】
前記シート体に対してレーザーを照射して前記挿通孔を形成する請求項1記載の球状体吸着ヘッド製造方法。
【請求項3】
柔軟性を有する樹脂シートを前記シート体として用いる請求項1または2記載の球状体吸着ヘッド製造方法。
【請求項4】
前記多孔質体の前記外面と前記シート体との間に接着剤を塗布して当該シート体を当該外面に吸着させて固定する請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着ヘッド製造方法。
【請求項5】
先端部側に開口部を有する箱状に形成された本体部と、前記開口部を閉塞するように前記本体部に配設された板状の多孔質体と、球状体を整列させる挿通孔が形成されて前記多孔質体の外面側に配設される整列シートとを備えて、前記本体部と前記多孔質体とによって形成される内部空間が減圧されたときに当該多孔質体を介して行われる吸気によって前記挿通孔の形成部位に前記球状体を吸着する球状体吸着ヘッドであって、
前記整列シートは、前記多孔質体の前記外面にシート体を吸着させた状態で当該シート体に前記挿通孔を形成することによって作製されている球状体吸着ヘッド。
【請求項6】
前記多孔質体は、一部分が前記整列シート側に突出するように他の部分よりも肉厚に形成され、
前記本体部は、当該本体部の先端部側の端面との間で段差を有して前記多孔質体をはめ込み可能な段部が前記開口部の縁部に形成されると共に、当該段部に前記多孔質体がはめ込まれた状態において前記先端部側の端面と当該多孔質体の前記外面とが面一となるように構成され、
前記整列シートは、前記段部にはめ込まれた前記多孔質体の前記外面および当該多孔質体と前記本体部との境界部分を覆うように前記シート体を配置して作製されている請求項5記載の球状体吸着ヘッド。
【請求項7】
請求項5または6記載の球状体吸着ヘッドと、前記球状体を吸着させる吸着位置に前記球状体吸着ヘッドを搬送すると共に前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−231015(P2012−231015A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98382(P2011−98382)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】