説明

球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板

【課題】マスクと吸着ヘッドとの位置合わせ作業、および搭載対象体と吸着ヘッドとの位置合わせ作業の効率を向上させる。
【解決手段】吸着ヘッド2と、吸着ヘッド2を保持する保持部3と、保持部3によって保持されている吸着ヘッド2を装着位置P1および搭載位置P2に移動させる移動機構9と、装着位置P1においてマスク4を支持する第1支持部5と、搭載位置P2において基板400を支持する第2支持部とを備え、マスク4と吸着ヘッド2との装着状態で吸着ヘッド2に吸着させた球状体を基板400に搭載可能に構成され、吸着ヘッド2は、保持部3に固定され、第1支持部5は、吸着ヘッド2の吸着面に平行な平面に沿ってマスク4を移動させて吸着ヘッド2に対するマスク4の位置合わせが可能に構成され、第2支持部は、吸着面に平行な平面に沿って基板400を移動させて吸着ヘッド2に対する基板400の位置合わせが可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状体を吸着する吸着ヘッドを用いて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2011−40704号公報において出願人が開示した球状体搭載装置が知られている。この球状体搭載装置は、吸着面に形成された複数の吸気口の縁部で半田ボールを吸着する吸着ヘッド、半田ボールを供給する供給部、半田ボールを挿通させる挿通孔が形成された整列用プレート(マスク)、搬送機構および制御部などを備えて、半田ボールを基板の端子(搭載対象体)に搭載可能に構成されている。この球状体搭載装置では、搬送機構が、整列用プレートの配設位置に吸着ヘッドを搬送して、各吸気口と各挿通孔とがそれぞれ対向するように吸着ヘッドの吸着面と整列用プレートの上面とを近接(接触)させ、次いで、供給部が、整列用プレートの下面側から半田ボールを供給する。この際に、半田ボールが吸着ヘッドの吸引力によって引き寄せられて、整列用プレートの各挿通孔を通って、吸着ヘッドにおける各吸気口の縁部に1つずつ吸着される。続いて、搬送機構が、吸着ヘッドを搬送して基板の各端子に対して各半田ボールをそれぞれ近接(接触)させる。続いて、吸着ヘッドが吸着を解除する。これにより、基板の各端子に半田ボールがそれぞれ搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−40704号公報(第6−11頁、第7−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の球状体搭載装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この球状体搭載装置では、吸着ヘッドの各吸気口と整列用プレートの各挿通孔とをそれぞれ対向させた状態で半田ボールを供給する。この場合、この種の球状体搭載装置の吸着ヘッドは、小径の吸気口が吸着面に数多く形成され、微小な半田ボールを数多く吸着するように構成されている。また、整列用プレートにも、小径の挿通孔が数多く(吸気口と同数)形成されている。このため、吸着ヘッドにおける全ての吸気口と整列用プレートにおける全ての挿通孔とをそれぞれ対向させるには、吸着ヘッドと整列用プレートとを正確に位置合わせする必要がある。同様にして、基板における全ての端子に半田ボールを確実に搭載するには、吸着ヘッドと基板とを正確に位置合わせする必要がある。このため、発明者は、吸着ヘッドを保持すると共に吸着ヘッドの吸着面に対して平行な平面に沿って吸着ヘッドを移動させる位置合わせ機構を有する吸着ヘッド保持部と、基板を支持すると共に上記の平面に沿って基板を移動させる位置合わせ機構を有する基板支持部とを備えた球状体搭載装置を既に開発している。この球状体搭載装置では、半田ボールを搭載する搭載処理の開始に先立ち、まず、吸着ヘッド保持部の位置合わせ機構を操作して、予め決められた位置に固定されている整列用プレートに対して吸着ヘッドを位置合わせする。次いで、基板支持部の位置合わせ機構を操作して、吸着ヘッドに対して基板を位置合わせする。この場合、例えば、前回の使用時に吸着ヘッドに対する基板の位置合わせを行ったとしても、整列用プレートに対する吸着ヘッドの位置合わせによって吸着ヘッドの位置が変わっているため、整列用プレートに対する吸着ヘッドの位置合わせを行った後に、吸着ヘッドに対する基板の位置合わせを必ず行う必要がある。このように、2回の位置合わせを行うことで、基板の各端子に対して半田ボールを過不足なく搭載することができる。
【0005】
しかしながら、発明者が既に開発している上記の球状体搭載装置にも改善すべき課題がある。すなわち、この球状体搭載装置では、上記したように、半田ボールの搭載処理の開始に先立って2回の位置合わせを行う必要がある。一方、上記したように、整列用プレートには小径の挿通孔が数多く形成されているため、搭載処理を繰り返すうちに、挿通孔が目詰まりしたり、基板に塗布されている半田フラックスの付着等によって汚れたりすることがある。このようなときには、新品との交換や洗浄のために整列用プレートを付け替えることとなり、この際には、上記した2回の位置合わせを再度行う必要がある。このため、この球状体搭載装置には、整列用プレートの付け替えに伴う位置合わせの作業が煩雑で作業効率の向上が困難であるという課題が存在し、この点の改善が望まれている。
【0006】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、マスクと吸着ヘッドとの位置合わせ作業、および搭載対象体と吸着ヘッドとの位置合わせ作業の効率を向上し得る球状体搭載装置および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板を用いて製造される電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載装置は、球状体を吸着面で吸着する吸着ヘッドと、当該吸着ヘッドを保持する保持部と、マスクが装着される装着位置および前記吸着ヘッドによって吸着されている前記球状体が搭載対象体に近接または接触する搭載状態となる搭載位置に前記保持部によって保持されている当該吸着ヘッドを移動させる移動機構とを備え、前記装着位置において、挿通孔が形成されている前記マスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態で当該マスクの他面側から供給された前記球状体を当該挿通孔に挿通させて当該吸着面に吸着させ、かつ、前記搭載位置において、前記吸着ヘッドに吸着されている前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置であって、前記装着位置において前記マスクを支持する第1支持部と、前記搭載位置において前記搭載対象体を支持する第2支持部とを備え、前記吸着ヘッドは、前記保持部に固定され、前記第1支持部は、前記吸着面に平行な平面に沿って前記マスクを移動させて前記装着位置において前記吸着ヘッドに対する当該マスクの位置合わせが可能に構成され、前記第2支持部は、前記平面に沿って前記搭載対象体を移動させて前記搭載位置において前記吸着ヘッドに対する当該搭載対象体の位置合わせが可能に構成されている。
【0008】
また、請求項2記載の球状体搭載装置は、請求項1記載の球状体搭載装置において、前記第1支持部は、前記平面上における第1方向と、前記平面上における前記第1方向に直交する第2方向と、前記平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿って前記マスクを移動可能に構成されている。
【0009】
また、請求項3記載の球状体搭載装置は、請求項1または2記載の球状体搭載装置において、前記第2支持部は、前記平面上における第3方向と、前記平面上における前記第3方向に直交する第4方向と、前記平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿って前記搭載対象体を移動可能に構成されている。
【0010】
さらに、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置において、前記装着状態における前記マスクおよび前記吸着ヘッドを撮像する撮像部と、当該撮像部によって撮像された画像を表示する表示部とを備えている。
【0011】
また、請求項5記載の球状体搭載方法は、球状体を吸着面で吸着する吸着ヘッドを保持部に保持させ、マスクが装着される装着位置に前記保持部によって保持されている前記吸着ヘッドを移動させ、前記装着位置において、挿通孔が形成されている前記マスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態で当該マスクの他面側から供給された前記球状体を当該挿通孔に挿通させて当該吸着面に吸着させ、前記吸着ヘッドによって吸着されている前記球状体が搭載対象体に近接または接触する搭載状態となる搭載位置に前記保持部によって保持されている当該吸着ヘッドを移動させて当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、前記吸着ヘッドを前記保持部に固定し、前記搭載対象体に対する前記球状体の搭載に先立ち、前記吸着ヘッドの前記吸着面に平行な平面に沿って前記マスクを移動させて前記装着位置において当該吸着ヘッドに対する当該マスクの位置合わせを行うと共に、前記平面に沿って前記搭載対象体を移動させて前記搭載位置において当該吸着ヘッドに対する当該搭載対象体の位置合わせを行う。
【0012】
また、請求項6記載の球状体搭載済基板は、請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0013】
また、請求項7記載の球状体搭載済基板は、請求項5記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0014】
また、請求項8記載の電子部品搭載済基板は、請求項6または7記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の球状体搭載装置、および請求項5記載の球状体搭載方法では、吸着ヘッドを保持部に固定し、吸着ヘッドの吸着面に平行な平面に沿ってマスクを移動させて装着位置において吸着ヘッドに対するマスクの位置合わせを行うと共に、その平面に沿って搭載対象体を移動させて搭載位置において吸着ヘッドに対する搭載対象体の位置合わせを行う。このため、この球状体搭載装置および球状体搭載方法によれば、装着位置において位置合わせを行ったとしても吸着ヘッドと保持部との位置関係を変化しない状態に維持することができ、ひいては吸着ヘッドと搭載対象体との位置関係を変化しない状態に維持することができる結果、マスクの付け替えを行ったときには、吸着ヘッドに対するマスクの位置合わせだけを行い、吸着ヘッドに対する搭載対象体の位置合わせを省略することができる。したがって、この球状体搭載装置および球状体搭載方法によれば、マスクを付け替える度に、吸着ヘッドにとマスクとの位置合わせを行った後に、吸着ヘッドと搭載対象体との位置合わせを行う必要がある(つまり、2回の位置合わせを行う必要がある)従来の構成および方法と比較して、マスクおよび基板と吸着ヘッドとを位置合わせする作業の効率を十分に向上させることができる。
【0016】
また、請求項2記載の球状体搭載装置によれば、吸着ヘッドの吸着面に平行な平面上における第1方向と、その平面上における第1方向に直交する第2方向と、その平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿ってマスクを移動可能に第1支持部を構成したことにより、吸着ヘッドとマスクとがその平面におけるどの方向に位置ずれしていても、その位置ずれを容易に補正して吸着ヘッドに対してマスクを確実に位置合わせすることができる。
【0017】
また、請求項3記載の球状体搭載装置によれば、吸着ヘッドの吸着面に平行な平面上における第3方向と、その平面上における第3方向に直交する第4方向と、その平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿って搭載対象体を移動可能に第2支持部を構成したことにより、吸着ヘッドと搭載対象体とがその平面におけるどの方向に位置ずれしていても、その位置ずれを容易に補正して吸着ヘッドに対して搭載対象体を確実に位置合わせすることができる。
【0018】
また、請求項4記載の球状体搭載装置によれば、装着状態におけるマスクおよび吸着ヘッドを撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像を表示する表示部とを備えたことにより、位置合わせの状態を視認しつつ、吸着ヘッドとマスクとの位置ずれを補正することができるため、位置合わせの作業の効率をさらに向上させることができる。
【0019】
また、請求項6および7記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または上記の球状体搭載方法によって基板の端子上に搭載した球状体が溶融されて端子に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、球状体が溶融された溶融体が各端子に確実に固着し、かつ余剰な溶融体による隣接する端子同士の短絡が確実に防止されている。
【0020】
また、請求項8記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された溶融体を介して電子部品の端子が球状体搭載済基板の端子に接続されている。この場合、上記の球状体搭載済基板では、溶融体が各端子に確実に固着している。このため、この電子部品搭載済基板によれば、電子部品の端子と端子とが溶融体を介して電気的に確実に接続されている。また、上記の球状体搭載済基板では、余剰な溶融体による隣接する端子同士の短絡が確実に防止されている。このため、この電子部品搭載済基板によれば、電子部品の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】吸着ヘッド2の構成を示す断面図である。
【図3】吸着ヘッド2、保持部3、マスク4、第1支持部5、供給部6、第2支持部7および移動機構9の配置を示す平面図である。
【図4】吸着ヘッド2、保持部3、および上下移動機構91の構成を示す構成図である。
【図5】マスク4の構成を示す断面図である。
【図6】吸着ヘッド2の底板22およびマスク4の構成を示す断面図である。
【図7】第1支持部5の構成を示す平面図である。
【図8】第1支持部5の構成を示す断面図である。
【図9】供給部6の構成を示す断面図である。
【図10】第2支持部7の構成を示す正面図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図15】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図16】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る球状体搭載装置、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、吸着ヘッド2、保持部3、マスク4、第1支持部5、供給部6、第2支持部7、吸気機構8、移動機構9、撮像部10、表示部11および制御部12を備えて、球状体搭載方法に従い、球状体の一例としての微小な球状体である半田ボール(マイクロボール)300(図6参照)を搭載対象体としての基板400の端子401上に搭載(載置)可能に構成されている(図14参照)。
【0024】
この場合、半田ボール300は、直径L1(図6参照)が80μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図15に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の各端子401上にそれぞれ搭載された後に加熱溶融されて、半球状の溶融体(同図に示す半田301)となった状態で各端子401上に固着されてボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図16に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600の端子401上に固着された半田ボール300(半田301)を介して端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0025】
吸着ヘッド2は、図2に示すように、一例として、底板22、側板23および天板24を備えて、内部に空隙21が形成された箱状に構成されている。また、吸着ヘッド2の底板22には、底板22の外面(吸着面として機能する面であって、以下「吸着面22a」ともいう)に開口すると共に空隙21と連通する吸気孔25が、底板22の厚み方向に沿って複数(両図では、そのうちの一部のみを図示している)形成されている。なお、吸着面22aにおける吸気孔25の開口部を、以下、「吸気口25a」ともいう。
【0026】
この場合、図6に示すように、吸気孔25(つまり、吸気口25a)の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図2に示すように、吸着ヘッド2の天板24には、空隙21内の空気を排気するための排気孔24aが形成されている。この吸着ヘッド2では、空隙21内の空気の排気によって空隙21内が負圧状態となり、それに伴って吸気口25aからの吸気が行われることにより、吸着ヘッド2の吸着面22aにおける吸気口25aの縁部に半田ボール300を吸着することが可能となっている(図6参照)。
【0027】
保持部3は、図4に示すように、本体部31および固定部材32を備え、吸着ヘッド2を保持可能に構成されている。本体部31は、後述する移動機構9における上下移動機構91のボールねじ91bに係合して、ボールねじ91bの回転に伴って上下方向(搭載対象体としての基板400の端子401に対して近接する向きおよび離反する向き)に移動させられる。固定部材32は、吸着ヘッド2が固定される部材であって、一例として、側面視がL字状に構成されている。この半田ボール搭載装置1では、吸着ヘッド2が固定部材32に固定されることにより、吸着ヘッド2は固定された状態において保持部3に対して移動不可状態となっている。
【0028】
マスク4は、図5に示すように、板状に構成され、図3に示すように、第1支持部5によって支持されている。また、マスク4には、図6に示すように、吸着ヘッド2の吸着面22aと上面(一面)4aとが近接(または接触)している装着状態において吸着ヘッド2の吸気口25aに対向する位置に挿通孔4cが形成されている。この場合、挿通孔4cの直径L4は、半田ボール300が通過(挿通)可能な95μm程度に規定されている。また、同図に示すように、マスク4の厚みL3は、装着状態において吸気口25aの縁部に吸着された半田ボール300の先端部が下面(他面)4bからやや突出する75μm程度に規定されている。このマスク4は、上記した装着状態において、下面4b側から供給された半田ボール300の一部を挿通孔4cに挿通させて吸着ヘッド2の吸着面22aに吸着させると共に、吸着ヘッド2による余剰な半田ボール300の吸着を規制する機能を有している。
【0029】
第1支持部5は、吸着ヘッド2とマスク4とが上記した装着状態となる位置(以下、「装着位置P1」ともいう)に配設され(図3参照)、この装着位置P1においてマスク4を支持する。また、第1支持部5は、吸着ヘッド2の吸着面22aに平行な平面(一例として、水平面であって、以下「XY平面」ともいう)に沿ってマスク4を移動させて、装着位置P1において吸着ヘッド2とマスク4との位置合わせが可能に構成されている。
【0030】
具体的には、第1支持部5は、一例として、図7,8に示すように、支持部材51,52,53およびフレーム54を備えて構成されている。支持部材51は、図8に示すように、マスク4に対する供給部6の近接を可能とするための開口部が形成された板状に構成され、装着位置P1の下方に配設されている。また、支持部材51には、図7,8に示すように、X方向調節ダイヤル51aが配設されている。
【0031】
支持部材52は、図8に示すように、支持部材51と同様の開口部が形成された板状に構成され、XY平面上における第1方向(例えば、図7に示す矢印Xの方向)に沿って、支持部材51に対して移動可能に支持部材51上に配設されている。また、支持部材52は、同図に示すように、支持部材51に配設されたX方向調節ダイヤル51aに接続されている端部がX方向調節ダイヤル51aの操作(回転)に伴って押圧および牽引されることにより、第1方向に沿って移動させられる。また、支持部材52には、図7,8に示すように、θ1方向調節ダイヤル52aが配設されている。
【0032】
支持部材53は、図7,8に示すように、フレーム54をはめ込み可能に構成され、XY平面に直交する軸であって、例えば、支持部材53の重心を通る軸Ac1(図7参照)を中心として回動する回動方向(同図に示す矢印θ1の方向)に沿って支持部材52に対して移動可能に支持部材52上に配設されている。また、支持部材53は、同図に示すように、自在継手(ユニバーサルジョイント)52bを介して支持部材52に配設されたθ1方向調節ダイヤル52aに接続されている端部が、θ1方向調節ダイヤル52aの操作(回転)に伴って押圧および牽引されることにより、回動方向に沿って移動させられる。また、支持部材53には、図7,8に示すように、Y方向調節ダイヤル53aが配設されている。
【0033】
フレーム54は、図7に示すように、中央部に開口部を有する枠状に構成され、この開口部を閉塞するようにマスク4を位置させた状態でマスク4を固定可能に構成されている。また、フレーム54は、図7,8に示すように、支持部材53に嵌め込まれた状態で支持部材52上に配設されている。また、フレーム54は、XY平面上における上記した第1方向に直交する第2方向(例えば、図7に示す矢印Yの方向)に沿って、支持部材53との間の隙間の分だけ支持部材53に対して移動可能となっている。また、フレーム54は、同図に示すように、支持部材53に配設されたY方向調節ダイヤル53aの操作(回転)に伴って端部が押圧および牽引されることにより、第2方向に沿って移動させられる。
【0034】
供給部6は、図9に示すように、収容容器62、吸着保持部63および吸引部64を備えて吸着ヘッド2に対して半田ボール300を供給可能に構成されている。収容容器62は、容器本体62cと、容器本体62cの両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、収容部62a内に半田ボール300を収容可能に構成されている。
【0035】
吸着保持部63は、図9に示すように、基端部63b側から先端部63aに至る吸気経路63cが内部に形成されて、収容容器62の収容部62a内に収容されている半田ボール300を先端部63aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部63は、基端部63bを中心として回動可能に配設されている。吸引部64は、2枚の区画壁64a,64bと収容容器62の側壁とによって形成される吸引経路64c(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。
【0036】
第2支持部7は、搭載対象体としての基板400を支持可能に構成されている。また、第2支持部7は、吸着ヘッド2によって吸着されている半田ボール300が基板400の端子401に近接(または接触)する搭載状態となる位置(以下、「搭載位置P2」)に配設されている(図3参照)。また、第2支持部7は、上記したXY平面に沿って基板400を移動させて、搭載位置P2において吸着ヘッド2と基板400との位置合わせが可能に構成されている。具体的には、第2支持部7は、一例として、図10に示すように、基台70、支持部材71,72,73および吸着ステージ74を備えて構成されている。
【0037】
基台70は、図10に示すように、テーブル状に構成されている。支持部材71は、XY平面に直交する軸(例えば、図3に示す軸Ac2)を中心として回動する回動方向(例えば、同図に示す矢印θ2の方向)に沿って基台70に対して移動可能に基台70の上に配設されている。また、支持部材71には、図10に示すように、θ2方向調節ダイヤル71aが配設され、このθ2方向調節ダイヤル71aの操作に応じて回動方向に沿って移動(回動)させられる。
【0038】
支持部材72は、図10に示すように、XY平面上における第4方向(後述する第3方向に直交する方向であって、この例では、上記した第2方向と同じ方向(図3に示す矢印Yの方向))に沿って支持部材71に対して移動可能に支持部材71上に配設されている。また、支持部材72には、Y方向調節ダイヤル72aが配設され、このY方向調節ダイヤル72aの操作に応じて第4方向(第2方向)に沿って移動させられる。
【0039】
支持部材73は、図10に示すように、XY平面上における第3方向(この例では、上記した第1方向と同じ方向(図3に示す矢印Xの方向))に沿って支持部材72に対して移動可能に支持部材72上に配設されている。また、支持部材73には、X方向調節ダイヤル73aが配設され、このX方向調節ダイヤル73aの操作に応じて第3方向(第1方向)に沿って移動させられる。
【0040】
吸着ステージ74は、図10に示すように、載置面(同図における上面)に形成された図外の吸気口からの吸気によって載置面に載置された基板400を吸着して支持可能に構成され、支持部材73上に配設されている。
【0041】
吸気機構8は、図外の吸気管を介して、吸着ヘッド2の排気孔24a、供給部6における吸着保持部63の吸気経路63cに連通する吸気管63d(図9参照)、供給部6における吸引部64の吸引経路64c、および第2支持部7の吸着ステージ74に繋がれた吸気ポンプ(図示せず)を備えて構成されている。また、吸気機構8は、排気孔24aと吸気ポンプとの間、吸気管63dと吸気ポンプとの間、吸引経路64cと吸気ポンプとの間、および吸着ステージ74と吸気ポンプとの間(つまり、各吸気管の途中)にそれぞれ配設された電磁バルブ(図示せず)を備えて構成されている。この場合、吸気機構8は、各電磁バルブが制御部12の制御に従って作動することにより、吸着ヘッド2の空隙21内を負圧状態とすることによる吸気口25aからの吸気、吸着保持部63における吸気経路63cからの吸気、吸引部64における吸引経路64cからの吸気、および吸着ステージ74の吸気口(図示せず)からの吸気を個別に行うことが可能となっている。
【0042】
移動機構9は、図1,3に示すように、上下移動機構91および水平移動機構92を備えて構成されている。上下移動機構91は、図4に示すように、モータ91aおよびボールねじ91bを備えて構成されている。モータ91aは、制御部12の制御に従ってボールねじ91bを回転させることにより、ボールねじ91bに係合している保持部3の本体部31を上下方向に移動させる。水平移動機構92は、制御部12の制御に従い、装着位置P1の上方の位置と、搭載位置P2の上方の位置との間で、上下移動機構91、吸着ヘッド2および保持部3を移動させる。この場合、この半田ボール搭載装置1では、水平移動機構92が、上記した第1方向(第3方向と同じ方向であって、図3に示す矢印Xの方向)に沿って上下移動機構91、吸着ヘッド2および保持部3を移動させる。
【0043】
撮像部10は、図3,8に示すように、第1支持部5の下部(装着位置P1の下方)に配設され、制御部12の制御に従って装着状態におけるマスク4および吸着ヘッド2を撮像する。表示部11は、撮像部10によって撮像された画像、つまり、装着位置P1における吸着ヘッド2とマスク4との位置ずれの状態(位置合わせの状態)を制御部12の制御に従って表示する。
【0044】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて半田ボール300を搭載対象体としての基板400の各端子401に搭載する球状体搭載方法について、図面を参照して説明する。なお、保持部3の固定部材32に吸着ヘッド2が固定され、吸着ヘッド2が保持部3に対して移動不可状態となっているものとする。
【0045】
この球状体搭載方法では、製品となる基板400(搭載対象体としての基板400)に対する半田ボール300の搭載に先立ち、吸着ヘッド2に対するマスク4の位置合わせ(以下、第1の位置合わせ)、および吸着ヘッド2に対する基板400の位置合わせ(以下、第2の位置合わせ)を行う。
【0046】
第1の位置合わせでは、まず、装着位置P1への吸着ヘッド2の移動を指示する。これに応じて、制御部12が、移動機構9の水平移動機構92を制御して、装着位置P1の上方に吸着ヘッド2が位置するように、吸着ヘッド2、保持部3および上下移動機構91を移動させる。
【0047】
次いで、制御部12は、上下移動機構91を制御して、図6,8に示すように、吸着ヘッド2の吸着面22aとマスク4の上面4aとが接触(近接)するように吸着ヘッド2および保持部3を下向きに移動させて、吸着ヘッド2に対してマスク4を装着させる(装着状態とさせる)。
【0048】
また、撮像部10が、装着状態におけるマスク4および吸着ヘッド2を撮像し、表示部11が、装着位置P1における吸着ヘッド2とマスク4との位置ずれの状態(撮像部10によって撮像された画像)を表示する。続いて、表示部11に表示されている画像を視認しつつ、吸着ヘッド2とマスク4との位置ずれを補正する。
【0049】
具体的には、例えば、第1方向(図7に示す矢印Xの方向)に位置ずれが生じているときには、第1支持部5の支持部材51に配設されているX方向調節ダイヤル51aを操作してその位置ずれを補正する。また、第2方向(同図に示す矢印Yの方向)に位置ずれが生じているときには、支持部材53に配設されているY方向調節ダイヤル53aを操作してその位置ずれを補正し、回動方向(同図に示す矢印θ2の方向)に位置ずれが生じているときには、支持部材52に配設されているθ1方向調節ダイヤル52aを操作してその位置ずれを補正する。以上により、第1の位置合わせが終了する。
【0050】
この場合、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、装着位置P1における吸着ヘッド2とマスク4との位置ずれの状態(撮像部10によって撮像された画像)が表示部11に表示されるため、この位置ずれの状態を視認しつつ第1の位置合わせを行うことで、この第1の位置合わせを短時間で容易に行うことが可能となっている。
【0051】
次いで、第2の位置合わせを行う。第2の位置合わせでは、搭載対象体としての基板400と同形状に形成された位置合わせ用の基板400を、第2支持部7の吸着ステージ74の載置面における予め決められた位置に載置して吸着(支持)させる。続いて、上記したように第1の位置合わせが終了して吸着ヘッド2が装着位置P1に位置している状態(装着状態)で、位置合わせ用の基板400に対する半田ボール300の搭載処理(位置合わせ用の搭載処理)の実行を指示する。
【0052】
これに応じて、制御部12は、供給部6による半田ボール300の供給、および吸着ヘッド2による半田ボール300の吸着を行わせる。具体的には、制御部12は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド2の排気孔24aからの吸気を開始させて(吸着ヘッド2の吸気口25aからの吸気)、供給部6の吸着保持部63における吸気経路63cからの吸気、および吸引部64における吸引経路64cからの吸気を開始させる。
【0053】
次いで、制御部12は、供給部6における図外の駆動機構を制御して、図11に示すように、吸気経路63cからの吸気に伴って先端部63aに半田ボール300を吸着している吸着保持部63を回動させ、続いて、マスク4の下面4bに先端部63aを近接させた状態で供給部6を下面4bに沿って移動させる。この際に、先端部63aに保持されている半田ボール300が、吸着ヘッド2の吸引力によって吸着保持部63の吸引力に抗して吸着ヘッド2に引き寄せられて吸着ヘッド2に供給され、供給された半田ボール300の一部がマスク4の各挿通孔4cを通って吸着ヘッド2の吸着面22aにおける各吸気口25aの縁部に1つずつ吸着される。
【0054】
次いで、制御部12は、駆動機構を制御して、図12に示すように、供給部6をマスク4の下面4bに沿ってさらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部63に連続して吸引部64が移動させられて、吸引部64における吸引経路64cからの吸気によって余剰な半田ボール300が吸引されて除去される。
【0055】
続いて、制御部12は、移動機構9の上下移動機構91を制御して、吸着ヘッド2がマスク4から離反するように吸着ヘッド2および保持部3を上向きに移動させる。次いで、制御部12は、移動機構9の水平移動機構92を制御して、吸着ヘッド2が搭載位置P2の上方に位置するように、吸着ヘッド2、保持部3および上下移動機構91を移動させる。
【0056】
続いて、制御部12は、上下移動機構91を制御して、吸着ヘッド2および保持部3を下向きに移動させ、図10,13に示すように、吸着ヘッド2によって吸着されている半田ボール300の先端部を基板400の端子401に近接(接触)させる(搭載状態とさせる)。次いで、制御部12は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド2における吸気口25aからの吸気を停止させる。この際に、吸着ヘッド2による吸着が解除されて、図14に示すように、半田ボール300が基板400における端子401上に搭載される。続いて、制御部12は、上下移動機構91を制御して、吸着ヘッド2および保持部3を上方に向けて移動させた後に、水平移動機構92を制御して上下移動機構91、吸着ヘッド2および保持部3を初期位置に移動させる。
【0057】
次いで、半田ボール300が搭載された位置合わせ用の基板400を第2支持部7から取り外し、例えば顕微鏡を用いて、各端子401と各半田ボール300との間の位置ずれの有無を検査する。この場合、位置ずれが生じていないときには、第2の位置合わせを終了する。
【0058】
一方、各端子401と各半田ボール300との間に位置ずれが生じているときには、その原因が吸着ヘッド2と基板400との間の位置ずれによるものと考えられる。この際には、例えば上記の顕微鏡を用いて、第3方向、第4方向および回動方向毎の位置ずれ量を特定し、続いて、その位置ずれを第2支持部7を用いて補正する。
【0059】
具体的には、例えば、第3方向(図3に示す矢印Xの方向)に位置ずれが生じているときには、第2支持部7の支持部材73に配設されているX方向調節ダイヤル73aを操作してその位置ずれを補正する。また、第4方向(同図に示す矢印Yの方向)に位置ずれが生じているときには、支持部材72に配設されているY方向調節ダイヤル72aを操作してその位置ずれを補正し、回動方向(同図に示す矢印θ2の方向)に位置ずれが生じているときには、支持部材71に配設されているθ2方向調節ダイヤル71aを操作してその位置ずれを補正する。
【0060】
次いで、新たな位置合わせ用の基板400を第2支持部7の吸着ステージ74の載置面における予め決められた位置に載置して吸着させ、続いて、次いで、上記した位置合わせ用の搭載処理の実行を指示する。これに応じて、制御部12が、上記した各制御(処理)を実行することにより新たな位置合わせ用の基板400半田ボール300が搭載される。続いて、上記したように、位置ずれの有無の検査を行い、位置ずれが生じているときには、上記下手順で、位置ずれを補正する。以下、上記の作業を繰り返して行い、端子401と各半田ボール300との間の位置ずれがなくなったときに、第2の位置合わせを終了する。
【0061】
次に、製品となる搭載対象体としての基板400を第2支持部7の吸着ステージ74の載置面に載置して吸着させ、次いで、搭載処理の実行を指示する。これに応じて、制御部12は、移動機構9を制御して、吸着ヘッド2とマスク4とを装着状態とさせる。続いて、制御部12は、上記したように供給部6および吸気機構8を制御して供給部6による半田ボール300の供給、および吸着ヘッド2による半田ボール300の吸着を行わせる。
【0062】
この場合、第1の位置合わせを行ったことで、マスク4の各挿通孔4cと吸着ヘッド2の各吸気口25aとが一対一で確実に対向している。このため、供給部6によって供給された半田ボール300が各吸気口25aの縁部に確実に吸着され、かつ余剰な半田ボール300の吸着が確実に防止される。
【0063】
次いで、制御部12は、移動機構9の上下移動機構91および水平移動機構92を制御して、吸着ヘッド2と基板400とを搭載状態とさせる。続いて、制御部12は、吸気機構8の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド2の吸気口25aからの吸気を停止させる。これにより、半田ボール300が基板400における端子401上に搭載される。次いで、制御部12は、上下移動機構91を制御して、吸着ヘッド2および保持部3を上方に向けて移動させた後に、水平移動機構92を制御して吸着ヘッド2、保持部3および上下移動機構91を初期位置に搬送させる。以上により、搭載対象体としての基板400への半田ボール300の搭載が完了する。続いて、制御部12は、移動機構9を制御して、上下移動機構91、吸着ヘッド2および保持部3を初期位置に移動させる。
【0064】
一方、半田ボール300の搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。
【0065】
また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送される。リフロー処理装置では、基板400に対してリフロー処理(溶融処理)が行われ、これにより、図15に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301:溶融体の一例)となった状態で、基板400の表面(図外の端子上)に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。
【0066】
この場合、この半田ボール搭載装置1では、第1の位置合わせを行ったことで、吸着ヘッド2における各吸気口25aの縁部に確実に吸着され、かつ余剰な半田ボール300の吸着が確実に防止されている。また、第2の位置合わせを行ったことで、吸着ヘッド2によって吸着されている各半田ボール300が基板400における各端子401上に確実に搭載される。このため、リフロー処理によって溶融された半田301が各端子401に確実に固着し、かつ余剰な半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。
【0067】
次いで、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、続いて、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。次いで、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図16に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。この場合、上記したように、この半田搭載済基板600では、半田301が各端子401に確実に固着している。このため、この電子部品搭載済基板700では、電子部品701の端子と端子401とが電気的に確実に接続されている。また、この半田搭載済基板600では、余剰な半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されているため、電子部品701の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【0068】
一方、搭載処理を繰り返して行ううちに、基板400に塗布されている半田フラックスの付着などにより、マスク4の挿通孔4cが目詰まりしたり、マスク4が汚れたりすることがある。このようなときには、洗浄や、新品との交換のためにマスク4を付け替える。この場合、マスク4を付け替えたときには、搭載対象体としての基板400に対する半田ボール300の搭載に先立ち、上記した手順で第1の位置合わせ(吸着ヘッド2とマスク4との位置合わせ)を行う。
【0069】
ここで、この半田ボール搭載装置1では、上記したように、吸着ヘッド2が保持部3に固定され、吸着ヘッド2が保持部3に対して移動不可状態となっているため、第1の位置合わせを行ったとしても、吸着ヘッド2と保持部3との位置関係が変化しない状態に維持されている。このため、この状態で吸着ヘッド2を搭載位置P2に移動させて吸着ヘッド2と基板400とを搭載状態としたときには、吸着ヘッド2と基板400との位置関係には変化がなく、両者が位置合わせされた状態に維持されている。つまり、マスク4の付け替えを行ったとしても、第1の位置合わせを行うだけでよく、第2の位置合わせを省略することができる。
【0070】
このように、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法では、吸着ヘッド2を保持部3に対して移動不可状態に固定し、吸着ヘッド2の吸着面22aに平行なXY平面に沿ってマスク4を移動させる第1支持部5を用いて装着位置P1において吸着ヘッド2に対するマスク4の位置合わせを行うと共に、XY平面に沿って基板400を移動させる第2支持部7を用いて搭載位置P2において吸着ヘッド2に対する基板400の位置合わせを行う。このため、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、装着位置において位置合わせを行ったとしても吸着ヘッド2に対する保持部3の位置関係を変化しない状態に維持することができ、ひいては吸着ヘッド2に対する搭載対象体としての基板400の位置関係を変化しない状態に維持することができる結果、マスク4の付け替えを行ったときには、吸着ヘッド2に対するマスク4の位置合わせだけを行い、吸着ヘッド2に対する基板400の位置合わせを省略することができる。したがって、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、マスク4を付け替える度に、吸着ヘッド2とマスク4との位置合わせを行った後に、吸着ヘッド2と基板400との位置合わせを行う必要がある(つまり、2回の位置合わせを行う必要がある)従来の構成および方法と比較して、マスク4および基板400と吸着ヘッド2とを位置合わせする作業の効率を十分に向上させることができる。
【0071】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、XY平面上における第1方向と、XY平面上における第1方向に直交する第2方向と、XY平面に直交する軸Ac1を中心として回動する回動方向とに沿ってマスク4を移動可能に構成した第1支持部5を用いて吸着ヘッド2に対するマスク4の位置合わせを行うことにより、吸着ヘッド2とマスク4とがXY平面におけるどの方向に位置ずれしていても、その位置ずれを容易に補正して吸着ヘッド2に対してマスク4を確実に位置合わせすることができる。
【0072】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、XY平面上における第3方向と、XY平面上における第3方向に直交する第4方向と、XY平面に直交する軸Ac2を中心として回動する回動方向とに沿って基板400を移動可能に構成した第2支持部7を用いて吸着ヘッド2に対する基板400の位置合わせを行うことにより、吸着ヘッド2と基板400とがXY平面におけるどの方向に位置ずれしていても、その位置ずれを容易に補正して吸着ヘッド2に対して基板400を確実に位置合わせすることができる。
【0073】
また、この半田ボール搭載装置1および球状体搭載方法によれば、装着状態におけるマスク4および吸着ヘッド2を撮像部10によって撮像し、その画像を表示部11に表示させることにより、位置合わせの状態を視認しつつ、吸着ヘッド2に対するマスク4の位置ずれを補正することができるため、位置合わせの作業の効率をさらに向上させることができる。
【0074】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1を用いて上記の球状体搭載方法によって基板400の端子401上に搭載した半田ボール300が溶融されて端子401に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、各半田ボール300が溶融された半田301が各端子401に確実に固着し、かつ余剰な半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。
【0075】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600に固着された半田301を介して電子部品701の端子が半田搭載済基板600の端子401に接続されている。この場合、上記の半田搭載済基板600では、半田301が各端子401に確実に固着している。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、電子部品701の端子と端子401とが半田301を介して電気的に確実に接続されている。また、上記の半田搭載済基板600では、余剰な半田301による隣接する端子401同士の短絡が確実に防止されている。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、電子部品701の端子同士の短絡が確実に防止されている。
【0076】
なお、球状体搭載装置および球状体搭載方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、第1支持部5がマスク4を移動させる第1方向と、第2支持部7が基板400を移動させる第3方向とを同じ方向(上記例では、図3に示す矢印Xの方向)に規定した例について上記したが、第1方向と第3方向とが互いに異なるように規定する構成を採用することもできる。同様にして、第1支持部5における第2方向と第2支持部7における第4方向とが互いに異なるように規定する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0077】
1 半田ボール搭載装置
2 吸着ヘッド
3 保持部
4c 挿通孔
4 マスク
4a 上面
4b 下面
5 第1支持部
7 第2支持部
9 移動機構
10 撮像部
11 表示部
22a 吸着面
25a 吸気口
51〜53,71〜73 支持部材
51a,73a X方向調節ダイヤル
52a θ1方向調節ダイヤル
53a,72a Y方向調節ダイヤル
72a Y方向調節ダイヤル
91 上下移動機構
92 水平移動機構
300 半田ボール
301 半田
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
700 電子部品搭載済基板
701 電子部品
P1 装着位置
P2 搭載位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体を吸着面で吸着する吸着ヘッドと、当該吸着ヘッドを保持する保持部と、マスクが装着される装着位置および前記吸着ヘッドによって吸着されている前記球状体が搭載対象体に近接または接触する搭載状態となる搭載位置に前記保持部によって保持されている当該吸着ヘッドを移動させる移動機構とを備え、前記装着位置において、挿通孔が形成されている前記マスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態で当該マスクの他面側から供給された前記球状体を当該挿通孔に挿通させて当該吸着面に吸着させ、かつ、前記搭載位置において、前記吸着ヘッドに吸着されている前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置であって、
前記装着位置において前記マスクを支持する第1支持部と、前記搭載位置において前記搭載対象体を支持する第2支持部とを備え、
前記吸着ヘッドは、前記保持部に固定され、
前記第1支持部は、前記吸着面に平行な平面に沿って前記マスクを移動させて前記装着位置において前記吸着ヘッドに対する当該マスクの位置合わせが可能に構成され、
前記第2支持部は、前記平面に沿って前記搭載対象体を移動させて前記搭載位置において前記吸着ヘッドに対する当該搭載対象体の位置合わせが可能に構成されている球状体搭載装置。
【請求項2】
前記第1支持部は、前記平面上における第1方向と、前記平面上における前記第1方向に直交する第2方向と、前記平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿って前記マスクを移動可能に構成されている請求項1記載の球状体搭載装置。
【請求項3】
前記第2支持部は、前記平面上における第3方向と、前記平面上における前記第3方向に直交する第4方向と、前記平面に直交する軸を中心として回動する回動方向とに沿って前記搭載対象体を移動可能に構成されている請求項1または2記載の球状体搭載装置。
【請求項4】
前記装着状態における前記マスクおよび前記吸着ヘッドを撮像する撮像部と、当該撮像部によって撮像された画像を表示する表示部とを備えている請求項1から3のいずれかに記載の球状体搭載装置。
【請求項5】
球状体を吸着面で吸着する吸着ヘッドを保持部に保持させ、マスクが装着される装着位置に前記保持部によって保持されている前記吸着ヘッドを移動させ、前記装着位置において、挿通孔が形成されている前記マスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態で当該マスクの他面側から供給された前記球状体を当該挿通孔に挿通させて当該吸着面に吸着させ、前記吸着ヘッドによって吸着されている前記球状体が搭載対象体に近接または接触する搭載状態となる搭載位置に前記保持部によって保持されている当該吸着ヘッドを移動させて当該球状体を当該搭載対象体に搭載する球状体搭載方法であって、
前記吸着ヘッドを前記保持部に固定し、
前記搭載対象体に対する前記球状体の搭載に先立ち、前記吸着ヘッドの前記吸着面に平行な平面に沿って前記マスクを移動させて前記装着位置において当該吸着ヘッドに対する当該マスクの位置合わせを行うと共に、前記平面に沿って前記搭載対象体を移動させて前記搭載位置において当該吸着ヘッドに対する当該搭載対象体の位置合わせを行う球状体搭載方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項7】
請求項5記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項8】
請求項6または7記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−4758(P2013−4758A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134734(P2011−134734)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】