説明

球状粒子形成用の組成物、該組成物を用いた球状粒子及び該球状粒子を用いてなる電子ペーパー

【課題】 表示される文字や画像が電荷フリーの状態でも長時間鮮明に保持される電子ペーパー、該電子ペーパー用球状粒子、該球状粒子用の組成物を提供すること。
【解決手段】 半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子形成用の組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、無機系揺変性付与物とを含んでなることを特徴とする組成物、該組成物を用いて形成されてなり、半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子、一対の支持体と、該一対の支持体間に位置する該球状粒子と、からなり、該一対の支持体の少なくとも使用者が視認する側に位置するフィルムが可視光を透過する光透過性支持体である電子ペーパー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示状態を長時間安定に保持できる電子ペーパー、該電子ペーパーに用いる球状粒子、及び該球状粒子に用いられる組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年薄型表示装置が要望されており、その一つとして、半球毎に異なる色を有する微小な球状粒子、いわゆるツイストボールを用いた方式の電子ペーパーが開発されている。
このツイストボール方式の電子ペーパーとしては、たとえば、特許文献1においてツイストボールを、一つずつシリコーンオイルを充てんしたカプセル中に封入し、さらにこのカプセルを樹脂層中に分散させて1平面上に保持する形式の電子ペーパーが提案されている。
このような電子ペーパーにおいては、所望の表示対象に応じて電気を印加し、ツイストボールを回転させることで所望の画像表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常の電子ペーパーは、所望の文字や画像を表示する際には電気を印加し、その後は電気を印加せずに電荷フリーの状態で表示画像を保持することになるが、この際に、ツイストボールが徐々に回転してしまい、表示画像が不鮮明になるという問題があった。
要するに従来提案されている電子ペーパーでは、長時間鮮明に画像を保持して表示することができず、所望画像を長時間鮮明に表示し続けることができる電子ペーパーの開発が要望されているのが現状である。
したがって本発明の目的は、表示される文字や画像が電荷フリーの状態でも長時間鮮明に保持される電子ペーパー、該電子ペーパー用球状粒子、該球状粒子用の組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、異なる色が着色された球状粒子の二色間の比重差を低減させることで、上記課題を解決できると考え研究を進めたが、この方法だけでは上記の目的達成には不十分であったため、さらに鋭意検討した結果、異なる色が着色された球状粒子の半球内においても比重差が生じ、粒子の重心に偏りが生じていることを知見した。その原因について研究した結果、組成自体及び製造時における顔料沈降が原因であることを知見した。かかる知見に基づきさらに検討した結果、無機系揺変性付与物を球状粒子形成用の組成物に配合することによって、顔料の沈降を解消できることを見出した。すなわち、マイクロチャンネル内の移送時には顔料が媒体内を移動することで、均一状態を保ち、かつ、液滴形成後は顔料が沈降しない状態を保つような揺変性を付与することによって、半球内での比重差と、重心の偏りが解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記球状粒子形成用の組成物、該組成物を用いた球状粒子及び該球状粒子を用いてなる電子ペーパーを提供するものである。
1. 半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子形成用の組成物であって、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、無機系揺変性付与物とを含んでなることを特徴とする組成物。
2. 上記無機系揺変性付与物が微粉末シリカであることを特徴とする1記載の組成物。
3. 上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、無機系揺変性付与物を1〜30重量部配合してなることを特徴とする1記載の組成物。
4. 一方の半球が白色を構成し、他方の半球が白色を除く任意の色を構成していることを特徴とする1記載の組成物。
5. 1記載の組成物を用いて形成されてなり、半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子。
6. マイクロチャンネル法を用いて形成されてなる5記載の球状粒子。
7. 一対の支持体と、該一対の支持体間に位置する5又は6記載の球状粒子と、からなり、該一対の支持体の少なくとも使用者が視認する側に位置するフィルムが可視光を透過する光透過性支持体である電子ペーパー。
【発明の効果】
【0006】
本発明の球状粒子用の組成物及び電子ペーパー用球状粒子は、表示される文字や画像が電荷フリーの状態でも長時間鮮明に保持される電子ペーパーを提供できるものであり、本発明の電子ペーパーは、表示される文字や画像が電荷フリーの状態でも長時間鮮明に保持されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の組成物により形成される本発明の球状粒子の1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す球状粒子を用いて形成される本発明の電子ペーパーの1実施形態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0008】
1 電子ペーパー、10,10’ 支持体(基板電極および透明電極)、20 球状粒子、21 白色の半球部分、22 着色された半球部分、30 粒子保持部材、40 シリコーンオイル層
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の組成物を用いて形成される本実施形態の球状粒子20は、図1に示すように、半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる。本実施形態においては、図1に示すように白色の半球部分21と着色された半球部分22(本実施形態においては黒色)とからなる。
本実施形態の球状粒子の大きさや双極子状態に帯電されてなる態様は通常の電子ペーパーに用いられる球状粒子と同様である。
【0010】
本発明の特徴部分である本発明の組成物について説明する。
本発明の組成物は図1に示す実施形態の球状粒子等の球状粒子を形成するための組成物であり、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、無機系揺変性付与物とを含んでなることを特徴とする。本発明の組成物は、特に色の限定は無く、白色の半球部分と着色された半球部分とのいずれに用いることもできるが、特に白色の半球部分を構成する組成物として用いるのが好ましい。
以下、白色の半球部分を構成する組成物としての本発明の組成物について説明する。なお、本明細書において(メタ)アクリルとはアクリルまたはメタクリルのことを、(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレートのことを意味する。
【0011】
<(メタ)アクリル酸エステル系モノマー>
本発明において用いられる上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(以下、単に「モノマー」という場合もある)は、重合させて上記球状粒子の樹脂成分を構成する成分であり、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキル、アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸と2環式アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類等が挙げられ、これらのモノマーを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0012】
<官能基含有モノマー>
本発明の組成物には、上記モノマー中への後述する顔料や各種着色剤の分散性を改善するため、あるいは球状粒子を構成するそれぞれの半球の誘電率を調整するために、少なくとも1種類の官能基;例えばカルボキシル基・アミド基・アミノ基・ヒドロキシル基・エポキシ基・ニトリル基を分子内に有するモノマーを併用することもできる。
【0013】
分子内にカルボキシル基を有するモノマーの例としては、不飽和カルボン酸である;(メタ)アクリル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等が挙げられ、また、これらの誘導体としての無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、酸ハライドが挙げられる。
【0014】
分子内にアミド基を有するモノマーの例としては、アミド基含有ビニル単量体である;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系誘導体、さらに、N-メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトン(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、6−アミノヘキシルコハク酸イミド,2−アミノエチルコハク酸イミドが挙げられる。
【0015】
分子内にアミノ基を有するモノマーの例としては、アミノ基含有ビニル単量体である;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル系誘導体、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体、アリルアミン、(メタ)アクリルアミン、N−メチル(メタ)アクリルアミン等のアリルアミン系誘導体、p−アミノスチレン等のアミノスチレン類が挙げられる。
【0016】
分子内にヒドロキシル基を有するモノマーの例としては;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物が挙げられる。
【0017】
分子内にエポキシ基を有するモノマーの例としては;(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸のモノ及びジグリシジルエステル、フマル酸のモノ及びジグリシジルエステル、クロトン酸のモノ及びジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノ及びジグリシジルエステル、イタコン酸のモノ及びジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノ及びジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノ及びジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノ及びグリシジルエステル等のジカルボン酸モノ及びアルキルグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステルが挙げられる。
【0018】
分子内にニトリル基を有するモノマーの例としては;(メタ)アクリロニトリル、アリルニトリルが挙げられる。
本発明においては、このような官能基含有モノマーを1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
これらの官能基含有モノマーを用いる場合の配合量は、上記モノマー100重量部に対して1〜90重量部とするのが好ましく、5〜50重量部とするのがさらに好ましい。
【0019】
<多官能性モノマー>
本発明の組成物においては、2官能性以上の多官能性モノマーを配合して上記モノマーと反応させてもよい。
上記2官能性以上の多官能性モノマーの例としては、(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類、トリ(メタ)アクリル酸エステル類、テトラ(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
これらの具体例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート,N−メチロール(メタ)アクリルアマイド、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0020】
上記2官能性以上の多官能性モノマーは、上記樹脂に架橋構造を導入するために用いられる。架橋構造は必須ではないが、球状粒子が架橋構造を有することにより、本発明の電子ペーパーにおいて、シリコーンオイルのような絶縁性液体と本発明の球状粒子とが接触しても、球状粒子が絶縁性液体によって膨潤することがなく、球状粒子を絶縁性液体中に安定に浮遊させることができる。
【0021】
また、このような多官能性モノマーを使用する場合の配合量は、上記モノマーとの合計量100重量部中、通常10〜90重量部とするのが好ましい
【0022】
<無機系揺変性付与物>
揺変性付与物としては、有機系のものと無機系のものとがあるが、本発明においては無機系揺変性付与物を用いる。有機系揺変性付与物(たとえば、ポリビニルアルコール、ウレアウレタン)は、マイクロチャンネル法で製造する場合に流動性媒体が流れているマイクロチャンネル内にてO/WまたはW/O状態を形成しにくくなる等製造上の問題がある点、および球状粒子の表面での二色の色分かれが不明瞭になりやすい。
上記無機系揺変性付与物としては、微粉末シリカ、金属微粒子、炭酸カルシウムパウダー、マイカパウダーなどを挙げることができ、使用に際しては単独または2種以上混合して用いることができる。本発明においては、白側の白色度を損なわずに顔料沈降を解消できる点で微粉末シリカが好ましい。親水性シリカ(日本エアロジル社製の「AEROSIL」シリーズR200など)を用いることもできるが、とりわけマイクロチャンネル法で製造する場合に流動性媒体が流れているマイクロチャンネル内にて、流動性媒体に着色連続相を溶解させず、O/WまたはW/O状態を形成し、着色連続相がより安定的に球状になる点で疎水性シリカを好ましく用いることができる。
疎水性シリカとしては、日本アエロジル社製の「AEROSIL」シリーズ(RY50、R504、R711、R812、R972など)、東ソー・シリカ社製の「NIPSIL」シリーズ(SS50A、SS50F、SS70、SS178など)、トクヤマ社製の「レトロシール」シリーズ(MT−10、MT−10C、DM−10、DM−10C、HM−20L、PM−20L、KS−20Sなど)、富士シリシア化学社製の「サイロホービック」シリーズ(100、200など)などの市販品を用いることができる。
【0023】
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと上記無機系揺変性付与物との配合割合は、上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、無機系揺変性付与物を1〜30重量部配合するのが、顔料の沈降を抑え、顔料の分散安定性を高める点で好ましく、1〜20重量部配合するのがさらに好ましい。
【0024】
<白色顔料>
白色顔料としては、たとえば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイトが挙げられ、中でも酸化チタンを好ましく用いることができる。
【0025】
また、本発明においては、上記のような白色顔料に変えて、または併用して導電性処理した白色顔料を用いることもできる。導電性白色顔料を用いることにより、球状粒子に調製したときの一方の半球を占める領域が、導電性を示すともに高い誘電率を示す。そのため、一方の半球と他方の半球との間に電位差が生じ、電荷をかけたときの球状粒子の回転性が向上させることができる。
導電性白色顔料は、たとえば、白色顔料を、酸化アンチモン/二酸化スズ、酸化インジウム/二酸化スズのいずれかの導電性材料で処理して導電性を付与することにより得られる。
【0026】
ここで処理とは、具体的には、球状の白色顔料(たとえば二酸化チタン)を核として、上記導電性材料で被覆あるいは含浸する操作である。白色顔料が二酸化チタンである場合には、二酸化チタンはルチル型でもアナターゼ型でもよい。また上記被覆あるいは含浸は、白色顔料を導電性材料と、湿式あるいは乾式で混合することにより行うことができる。このようにして得られる導電性白色顔料は市販もされており、たとえば商品名「ET−500W」(石原産業社製)などとして市販されている導電性白色顔料を使用することもできる。
【0027】
本発明において、導電性白色顔料を構成する白色顔料と被覆材(あるいは含浸材)との量は、適宜設定することができるが、白色顔料と被覆材(あるいは含浸材)との重量比(白色顔料:被覆材(あるいは含浸材))を、通常は、95:5〜70:30、好ましくは90:10〜80:20の範囲に設定する。上記の範囲内で被覆材あるいは含浸材を用いることにより、白色顔料に良好な導電性を付与することができる。
【0028】
さらに、白色顔料および/または導電性白色顔料の粒子径は通常0.10〜5μmであり、好ましくは0.10〜0.5μmである。導電性白色顔料の粉体抵抗率は、通常1〜100Ωcm、好ましくは1〜30Ωcmである。
本発明の組成物における上記白色顔料および/または導電性白色顔料の配合量は、上記モノマー100重量部に対して1〜50重量部とするのが二色間の比重差を低減できる点で好ましく、1〜20重量部とするのがさらに好ましい。
【0029】
<重合開始剤>
本発明の組成物には、公知の熱重合開始剤や光重合開始剤を含有させることが好ましい。
熱重合開始剤としては、例えば、パーオキシエステル類、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類が挙げられる。
パーオキシエステル類としては:例えば、tert-ヘキシルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシネオデカネート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ヘキシルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが挙げられる。
有機パーオキサイド類としては:例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジアセチルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジイソノナイルパーオキサイド、2−メチルペンタノイルパーオキサイドが挙げられる。
また有機ハイドロパーオキサイド類としては:例えば、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイドが挙げられる。
また有機パ−オキシケタ−ル類としては:例えば、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。
またアゾ化合物類としては:例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2´−アゾビスシクロヘキシルニトリル、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレートが挙げられる。
【0030】
また、光重合開始剤としては、従来公知であるアセトフェノン類;例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン、またケトン類;例えば、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p´−ジクロロベンゾフェノン、p,p´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、N,N´−テトラメチル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、また、ベンゾインエーテル類;例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類を挙げることができる。
これらの重合開始剤は1種単独でまたは2種以上を組合わせて使用することもできる。
【0031】
これらの重合開始剤の配合量は、上記モノマー100重量部当たり好ましくは0.01〜5重量部で、さらに好ましくは0.5〜2重量部使用される。
【0032】
<他の成分>
また、本発明の組成物には、UV増感剤、帯電制御剤、顔料分散剤、熱安定剤、導電剤、防腐剤、表面張力調整剤、消泡剤、防錆剤、酸化防止剤、近赤外吸収剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、蛍光増白剤などの他の成分を本発明の趣旨を逸脱しない範囲で配合することができる。
【0033】
上記UV増感剤は、上記光重合開始剤の効果をより強く発揮させるために使用されるものであって、たとえば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィンなどが挙げられる。
【0034】
上記帯電制御剤は、これを上記地色相および/または地色以外の任意の着色相に含有させることで、得られる球状粒子の各略半球の帯電特性を調節し、電圧を印加した際の球状粒子の回転性能を向上させるために使用される。ここで帯電制御剤の例としては、スチレンアクリル系ポリマー、カリックスアレン誘導体、ヒンダートアミン、アジン化合物、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、レシチン、パラロザリニン、ニグロシン系染料、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、リンおよびタングステンの単体および化合物、モリブデン酸キレート顔料、フッ素系活性剤、疎水性シリカ、モノアゾ染料の金属塩、銅フタロシアニンのスルホニルアミン、オイルブラック、ナフテン酸金属塩、ベンジルトリブチルアンモニウム−4−ヒドロキシナフタレン−1−スルフォネート等の4級アンモニウム塩などが挙げられる。帯電制御剤が着色剤を兼ねてもよいし、着色剤が帯電制御剤を兼ねていてもよい。
【0035】
帯電制御剤は、上記モノマー100重量部に対して好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部の量で使用される。
【0036】
<白以外に着色された半球部分の形成材料>
本発明の組成物は着色された半球部分の形成用に用いることもできるが、着色された半球部分においては上記モノマーに代えてスチレン系モノマー、ビニル系モノマー、その他のモノマーを用いることもできる(以下、これらと上記モノマーとを総称して「着色半球用モノマー」という)。
【0037】
スチレン系モノマーの例としては;スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン、フロロスチレン、クロルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロルメチルスチレン、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−スチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0038】
ビニル系モノマーの例としては;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニルが挙げられる。
【0039】
その他のモノマーの例としては;塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられる。
【0040】
<着色剤>
着色された他の半球部分を構成する組成物には、上記白色顔料および/または導電性白色顔料に代えて、所望の色に応じて種々着色剤を用いることができる。
上記着色剤としては、無彩色染料、無彩色顔料、有彩色染料および有彩色顔料が挙げられる。
【0041】
具体的には、
黒の着色剤であれば、Olesolol Fast Black、BONJET BLACK CW-1、Solvent Black 27Cr(3価)5%含有、Pigment Black7、カーボンブラック、ブラックパールズ430、ベンガラ、群青等を、
赤の着色剤であれば、VALIFAST
RED 3306、Olesolol Fast RED BL、Solvent RED 8Cr(3価)5.8%含有、Permanent Carmain
FBB02-JP、ソルベントレッド等を、
青の着色剤であれば、カヤセットブルー、Solvent Blue 35、シアニンブルー、ソルベントブルー等を、
黄色の着色剤であれば、VALIFAST
YELLOW 4120、Oil Yellow 129、Solvent
Yellow 16、Solvent Yellow 33、Disperse
Yellow 54、PV Fast Yellow H2Gレモン色・・・Piast Yellow 8005、パーマネントイエローDHG、リオノールイエロー1212B、シムラーファーストイエロー4400、ピグメントイエロー12等を、
緑の着色剤であれば、Oil
Green 502、Opias Green 502、Solvent Green 3、ソルベントグリーン等を、
マゼンダの着色剤であれば、VALIFAST
PINK 2310N、Plast RED D-54、Plast RED 8355、Plast RED 8360、Plast Vioiet 8850、Disperse
Violet 28、Solvent RED 149、Solvent
RED 49、Solvent RED 52、Solvent
RED 218Cr(3価)4%含有、ピグメントレッド57:1、リオノールレッド6B−4290G、イルガライトルビン4BL、ファストゲンスーパーマゼンダRH等を、
シアンの着色剤であれば、VALIFAST
BLUE 2610、VALIFAST BLUE 2606、Oil
BLUE 650、Plast BLUE 8580、Plast BLUE 8540、Oil BLUE 5511、Solvent Blue 70 Cu4%含有、リオノールブルー7027、ファストゲンブルーBB、クロモフタルブルー4GNP等を、
オレンジの着色剤であれば、Oil
Orange 201、VALIFAST ORANGE 3210、Solvent Orange 70、カヤセットオレンジG、ソルベントオレンジ、ルモゲンFオレンジ等を、
ブラウンの着色剤であれば、VALIFAST BROWN 2402、Solvent Yellow116、Kayaset Flavine FGなどを挙げることができる。
【0042】
また、例えば、クラリン系、ペリレン系、ジシアノピニル系、アゾ系、キノフタロン系、アミノピラゾール系、メチン系、ジシアノイミダゾール系、インドアニリン系、フタロシアニン系等の筆記記録液に通常使用されている染料、感熱記録紙または感温着色剤として用いられるロイコ染料、さらに、ローダミンBステアレート(赤色215号)、テトラクロルテトラブロムフルオレセン(赤色218号)、テトラブロムフルオレセン(赤色223号)、スダンIII(赤色225号)、ジブロムフルオレセイン(橙色201号)、ジヨードフルオレセイン(橙色206号)、フルオレセイン(黄色201号)、キニザリングリーンSS(緑色202号)、アズリンパープルSS(紫色201号)、薬用スカーレット(赤色501号)、オイルレッドXO(赤色505号)、オレンジSS(橙色403号)、エローAB(黄色404号)、エローOB(黄色405号)、スダンブルーB(青色403号)などの化粧品に使用されているタール系染料をも上記着色剤として挙げることができる。
【0043】
また、これらの染料は単独でまたは2種以上を混合して使用することができ、さらに必要に応じて各種の直接染料、酸性染料、塩基性染料、アゾイック染料、反応性染料、蛍光染料及び蛍光増白剤、更には上記の(メタ)アクリル系モノマーへの分散が可能である。
【0044】
さらに、必要に応じて、導電性を有しない白色顔料として、チタンホワイト、硫化亜鉛、酸化亜鉛、アルミナホワイト、炭酸カルシウムなどを使用することができる。
【0045】
本発明においては、着色された他の半球部分に含まれる、上記着色剤の総量は、使用する着色半球用モノマーの合計量100重量部に対して通常0.1〜50重量部であり、好ましくは2〜40重量部である。また、体積分率で表わした場合は、好ましくは1〜20%である。
【0046】
これら以外の成分については上述の本発明の組成物と同様の成分を同様の配合量で配合することができる。
【0047】
<球状粒子の製造方法>
本発明の球状粒子は、公知のマイクロチャンネル法を用いて製造することができる。
上記マイクロチャンネル法としては、特開2010−145598号公報に記載の方法を用いることができる。
以下、簡単に説明すると、本発明において用いられるマイクロチャンネル法は、本発明の組成物を含む原料調整液と着色された半球部分を形成する組成物を含む原料調整液とを二相に分相した着色連続相を移送し、流動性媒体が流れているマイクロチャンネル内に連続的又は間欠的に順次吐出させる。上記着色連続相と上記流動性媒体とは、お互いにO/WまたはW/O状態を形成して存在するという、不溶の関係にあるため、吐出された着色連続相は第2マイクロチャンネル内を流れながら、界面張力により球状粒子となる。そしてこの着色連続相は樹脂またはそのモノマーを含有しており、樹脂またはそのモノマーは、着色連続相が吐出されて球状化されているときにUV照射および/または加熱することにより重合して硬化することにより、通常は樹脂の硬化体を形成し、外観上、個々の球状粒子が異なる色に略二分された球状粒子が調製される。
【0048】
この方法において、マイクロチャンネルの流路幅が数100μm程度の極細である場合は、そこを流れる流体(着色連続相)は、粘性が支配的となるためレイノルズ数がおおむね1000以下で層流状態になる傾向にある。着色連続相が二色に分相していても同様であり、二色に分相した着色連続相はほぼ層流状態で移送される傾向にあるため、二色が混ざらない連続相として容易に移送することができる。
【0049】
着色連続相を移送する際の速度は、着色連続相の粘度、表面張力、密度、液性(極性基)等にもよるが、通常フローF1=0.01〜10ml/hrの流速で、好ましくは0.01〜5ml/hrの流速である。
【0050】
流動性媒体のフローF2は、吐出される着色連続相が流れながら球状化される範囲であれば特に限定されないが、通常フローF2=1〜100ml/hrの流速で、好ましくは1〜50ml/hrの流速である。
【0051】
F2/F1で表されるフロー比は、製造しようとする球状粒子の生成量、平均粒子径及び粒子単分散性、着色連続相及び流動性媒体の流体粘度、密度、表面張力等の液性を考慮して、適宜設定することができる。
【0052】
マイクロチャンネル内に吐出された着色連続相は、二色に分相したまま吐出・分散・移送中に球状粒子化され、その吐出着色連続相中の樹脂またはそのモノマーはUV照射および/または加熱により重合硬化する。球状化後の吐出着色連続相の球状形状は安定しているので、この重合硬化は、必ずしもこのマイクロチャンネル内を流れる間に、着色連続相が完全に重合硬化しなくても、マイクロチャンネル系外に設ける球状粒子の回収槽である別途容器内でのUV照射下及び/又は加熱下に適宜行うことができる。
【0053】
UVを照射する際の照射量は、通常300〜1500mJ/cmであり、加熱する際の加熱温度は、通常60〜100℃の温度で、加熱時間は20〜120分である。
【0054】
<流動性媒体>
マイクロチャンネル法において用いられる流動性媒体は、前述のように上記着色連続相とO/WまたはW/Oの関係にある、換言すれば流動性媒体に着色連続相を溶解させず、また着色連続相が球状になるために、この流動性媒体中で着色連続相が自由に変形できる媒体である。
【0055】
流動性媒体としては、たとえばイオン交換水にポリビニルアルコールを溶解させたポリビニルアルコール水溶液、カルボキシメチルセルロース水溶液、ヒドロキシメチルセルロース水溶液が挙げられる。着色連続相は油性の相(O相)である場合が多いので、流動性媒体としては水性のもの(W相)が好ましい。
<球状粒子>
例えば上述の方法により製造される本発明の球状粒子は、その平均粒子径が体積基準で表わして通常30〜200μm、好ましくは70〜150μmの範囲内にある。平均粒子径がこの範囲にある球状粒子は、電圧を印加したときに回転しやすい。また粒子径のバラツキは、均斉度をCv値で表して、通常20%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。前記マイクロチャンネル法によって球状粒子を作製する場合には、吐出量の制限、ノズルの制限、樹脂粘度の制限などによって、得られる球状粒子の平均粒子径を調整することができる。
【0056】
ついで本発明の電子ペーパーについて図2を参照して説明する。
図2に示す本実施形態の電子ペーパーは、一対の支持体10、10’と、一対の該支持体10、10’間に位置し、半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる多数の球状粒子20とからなる。各球状粒子20は、それぞれ透明な樹脂30内にほぼ1平面状に位置するように配設されている。
また、本実施形態においては一対の支持体10、10’は、使用者が視認する視認面側に位置する支持体10は可視光を透過する光透過性支持体(透明電極)であり、反対側に位置する支持体10’は透明ではない電極基板である。
また、球状粒子20は、シリコーンオイル層40により包摂されており、シリコーンオイル40の存在により回転自在となされている。
また、特に図示しないが各支持体の周縁は枠体により密封・封止されており、このような電子ペーパー全体の構成は公知の電子ペーパーと同様の構成を特に制限なく採用することができる。
【0057】
本実施形態の電子ペーパー1は通常の電子ペーパーと同様に、所定の情報に従って電極である支持体に電気を印加して球状粒子20を所定の色の半球が視認面A側に位置するように回転させて所望の文字や画像を表示させることにより使用することができる。
そして、本実施形態の電子ペーパー1は、上述の組成物を用いて形成された球状粒子を用いて形成されているので、所望の画像を、電荷を印加して形成した後、電荷フリーの状態になっても球状粒子が回転することがなく、長時間表示した画像を保持することができる。
【0058】
本実施形態の電子ペーパーは常法に準じて製造することができる。
【0059】
なお、本発明の電子ペーパーは上述の例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【実施例】
【0060】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
表1に示す(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、その他のモノマー、無機系揺変性付与物及び白色顔料を表1に示す配合量を配合して球状粒子における白色半球用の組成物を作成した。
【0061】
また、得られた組成物にさらに架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)を40重量部、帯電制御剤として、4級アンモニウム塩(ベンジルトリブチルアンモニウム−4−ヒドロキシナフタレン−1−スルフォネート)を0.5重量部添加して原料調整液Aを得た。
また、別にモノマーとしてメチルメタクリレート(MMA)を40重量部、顔料としてカーボンブラックを6重量部配合して球状粒子における黒色半球用の組成物を作成した。
得られた組成物にさらに架橋剤としてTMPTAを80重量部、帯電制御剤として、サリチル酸系金属錯体(オリエント化学工業社製、商品名:BONTRON E−84)を1重量部添加して原料調整液Bを得た。
得られた原料調整液A及びBを用いて、流動性媒体をポリビニルアルコール水溶液とし、その流速を100ml/hrとし、重合方法をUV照射とし、特開2010−145598号公報の実施例と同一のマイクロチャンネル装置を用いて図1に示す球状粒子を調製した。
得られた粒子が図1に示すように明確に半球毎に色が分かれているか目視により確認し、分かれている場合を○、分かれていない場合を×とした(2色液滴生成)。
得られた球状粒子について粒子の回転性を測定した。また、コントラスト(CR)とコントラスト変化率(CR変化率)を測定した。その結果を表1に示す。
【0062】
(粒子の回転性)
得られた球状粒子を用いて図2に示す電子ペーパーを作成し、得られた電子ペーパーに電極間に100Vの電位差が生じるように電圧の印加を行い、二色粒子の向きを統一した。電極間の電圧の印加方法を正負反転させることによって、二色粒子を反転させた。その際、回転している粒子が確認できなくなるまでの時間を計測した。確認サイズは約1mm角内とし、N=5における平均値にて評価を行った。
【0063】
(CR及びCR変化率)
得られた球状粒子を用いて図2に示す電子ペーパーを作成し、得られた電子ペーパーに電極間に100Vの電位差が生じるように電圧の印加を行い、二色粒子の向きを統一した。電極間の電圧の印加方法を正負反転させることによって、二色粒子を反転させた。この電子ペーパーを横置きに静置させた後、100Vの電圧を印加し、印加停止直後と、12時間放置後に色差計にて反射率を測定した。
そして、得られた反射率からコントラストを算出し、停止直後と12時間放置後のコントラストの変化率も合わせて算出した。初期のCR及びCR変化率を表1に示す。なお、測定は4cm角のテストピースを用いた。
【0064】
〔実施例2〜4〕
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、その他のモノマー、無機系揺変性付与物及び白色顔料を表1に示す配合量とした以外は実施例1と同様に組成物、原料調整液A及びB、球状粒子をそれぞれ調製し、粒子の回転性、CR及びCR変化率を測定した。その結果を表1に示す。
〔比較例1〜3〕
(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、その他のモノマー、無機系揺変性付与物及び白色顔料を表1に示す配合量とした以外は実施例1と同様に組成物、原料調整液A及びB、球状粒子をそれぞれ調製し、粒子の回転性、CR及びCR変化率を測定した。その結果を表1に示す。


【0065】
【表1】

MMA・・・メチルメタクリレート
BMA・・・ブチルメタクリレート
TMPTA・・・トリメチロールプロパントリアクリレート
EGDMA・・・エチレングリコールジメタクリレート
R711・・・日本アエロジル社製の疎水性シリカ
R972・・・日本アエロジル社製の疎水性シリカ
R812・・・日本アエロジル社製の疎水性シリカ
R200・・・日本アエロジル社製の親水性シリカ
PVA・・・ポリビニルアルコール
CR−50−2・・・石原産業社製のチタンホワイト
【0066】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の組成物を用いてなる実施例1〜4の電子ペーパーはCR変化率が小さく、電荷フリーの状態でも長時間所望の画像が保持されることがわかる。
これに対し、比較例1のように白顔料濃度が高い場合、初期のCRは高い値を示すものの、CR変化率が高く、長時間所望の画像が保持されない。また、比較例2のように白黒間の比重差を解消する目的で、単に白顔料濃度だけを低下させた場合、CR変化率は低減できるものの、初期のCRが低くなってしまう。さらに、比較例3のように有機系揺変性付与物を添加した場合、色分かれが明瞭な二色液滴が生成されず、また粒子の回転性も不良であった。これは、流動性媒体が流れているマイクロチャンネル内にて、O/WまたはW/O状態が形成しにくくなったため、球状粒子の表面での二色の色分かれが不明瞭になったためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の組成物及び球状粒子を用いて形成された本発明の電子ペーパーは、薄型の各種表示装置として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子形成用の組成物であって、
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと、
無機系揺変性付与物とを含んでなることを特徴とする組成物。
【請求項2】
上記無機系揺変性付与物が微粉末シリカであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー100重量部に対して、無機系揺変性付与物を1〜30重量部配合してなることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
一方の半球が白色を構成し、他方の半球が白色を除く任意の色を構成していることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
請求項1記載の組成物を用いて形成されてなり、半球ごとに色が異なり、双極子状態に帯電されてなる球状粒子。
【請求項6】
マイクロチャンネル法を用いて形成されてなる請求項5記載の球状粒子。
【請求項7】
一対の支持体と、
該一対の支持体間に位置する請求項5又は6記載の球状粒子と、からなり、
該一対の支持体の少なくとも使用者が視認する側に位置するフィルムが可視光を透過する光透過性支持体である電子ペーパー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−220586(P2012−220586A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83998(P2011−83998)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】