理美容用櫛及び理美容方法
【課題】頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めすることが可能な理美容用櫛及び理美容方法を提供する。
【解決手段】基部2と、基部2から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部32を先端に形成させた櫛歯3とを備え、櫛歯3の長さは、10〜30cmであり、分岐部32は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝33が形成され、溝33の深さは、0.5〜3cmであることを特徴としている。
【解決手段】基部2と、基部2から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部32を先端に形成させた櫛歯3とを備え、櫛歯3の長さは、10〜30cmであり、分岐部32は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝33が形成され、溝33の深さは、0.5〜3cmであることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に毛髪をカットする時や染色する時に用いられる理美容用櫛及び理美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容師や理髪師といった施術者が毛髪をカットする場合、先ず櫛を用いて毛髪を梳かす(以下、コーミングという。)。そしてコーミングを数回行った後、はさみにより毛髪をカットする。また毛髪を染色する場合においても、同様にコーミングを数回行った後、毛髪を染色する。
【0003】
通常、このコーミングした毛髪はまとめてカットするか又は染色を行うが、特に近年の理美容方法の多様化に伴い、コーミングした毛髪を部分的にカットしたり、染色を行う場合もある。いわゆるハイライトといわれる頭髪の部分染めが流行していることからも、特にこの毛髪をいかに部分的に捉えるかが懸案となっていた。
【0004】
従来、この部分カットや部分染めを実施する場合、カット若しくは染色しようとする部分の頭髪を、テールコームのテールで引っ掛けることにより、毛髪を部分的につかむことが従来より行われていた。
【0005】
また部分染め等を実際に行うためのヘアブラシも開発されている(例えば、特許文献1、2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−295445号公報
【特許文献2】特開2001−000244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のヘアブラシでは、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は少量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができないという問題があった。また特願2009−076398号公報に記載の理美容用櫛及び理美容方法とのコラボレーションで使用することができる櫛も従来より望まれていた。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めすることが可能な理美容用櫛及び理美容方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願第1の発明に係る理美容用櫛は、基部と、上記基部から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部を先端に形成させた櫛歯とを備えることを特徴とする。
【0010】
本願第2の発明に係る理美容用櫛は、第1の発明において、上記櫛歯の長さは、10〜30cmであることを特徴とする。
【0011】
本願第3の発明に係る理美容用櫛は、第2の発明において、上記分岐部は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝が形成され、上記溝の深さは、0.5〜3cmであることを特徴とする。
【0012】
本願第4の発明に係る理美容方法は、支持部と、上記支持部の一側に一列に互いに略平行に設けられた複数の立上用櫛歯とを備え、上記立上用櫛歯は、根元から先端までの長さが7.0〜23.0cmであり、その当接部を介して当接させた頭部に向かって押圧されることにより、各々が上記頭部の形状に応じて、当該櫛歯の厚み方向の撓みが1.0cm以上6.0cm以下となるように湾曲されて曲げ弾性変形する立上用理美容櫛におけるその櫛歯を頭部に当接させ、上記当接部を上記頭部に向かって押圧しながら上記立上用理美容櫛をスライドさせることにより、上記頭部の毛髪を上記立上用櫛歯の間に通しながら、各々の櫛歯を上記頭部の形状に対応して曲げ弾性変形させ、上記立上用理美容櫛により毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、その梳いた毛髪を理美容することを特徴とする。
【0013】
本願第5の発明に係る理美容方法は、他の櫛により上記毛髪を立ち上げた状態で、第1〜3のうち何れか1の発明に係る理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、その梳いた毛髪を理美容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した構成からなる本発明によれば、分岐部が通過した後は、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)となり、櫛歯の間隙に挿入された毛髪は、分岐部により押し寝かせられることなく、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域として残ることになる。即ち、この理美容用櫛を挿入することにより、立上用理美容櫛により立ち上げられた状態にある毛髪を部分的に梳くことが可能となる。
【0015】
即ち、本発明を適用した理美容方法によれば、立上用理美容櫛により立ち上げられた毛髪に対して、理美容用櫛を挿入するという極めて簡単な操作のみで、その毛髪を部分的に梳くことが可能となる。また、本発明によれば、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は大量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した理美容用櫛の構成図である。
【図2】立上用理美容櫛の構成図である。
【図3】立上用理美容櫛の使用状態を示す図である。
【図4】立上用理美容櫛の使用状態を示す他の図である。
【図5】(a)は立上用櫛歯の先端部を当接部とした使用状態を示す図であり、(b)は立上用櫛歯の中間部を当接部とした使用状態を示す図である。
【図6】立上用理美容櫛8により毛髪を立ち上げた状態を示す図である。
【図7】本発明を適用した理美容用櫛の使用状態を示す図である。
【図8】櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせるメカニズムについて説明するための図である。
【図9】理美容用櫛を挿入し続けた状態を示す図である。
【図10】毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域と、毛髪が押し寝かされた領域とを示す図である。
【図11】毛髪を部分的に梳いた後、立上用理美容櫛を抜いた状態を示す図である。
【図12】毛髪を部分的に梳いた後、本発明を適用した理美容用櫛を抜いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明を適用した理美容用櫛1の正面図を、図1(b)は、その側面図を、図1(c)は、図1(a)中のA方向から見た平面図を示している。
【0018】
本発明を適用した理美容用櫛1は、基部2と、櫛歯3とを備えている。
【0019】
基部2は、実際に毛髪の理美容を行う施術者が手で把持するための部位であって、図1(a)における紙面前側に支持面21aが形成され、また紙面後側に支持面21bと対向する支持面2bを有している。またこの基部2における右端には、右側面部22aが、さらにこの基部2の左端には左側面部22bが形成されている。また、この基部2の下端には、底面部23が形成されており、この底面部23と対向する側、即ち基部2の上端側には櫛歯3が複数本に亘って設けられている。
【0020】
基部2は、ポリプロピレンやポリカーボネート等の合成樹脂によって、後述する櫛歯3と一体的に成形されてなる。しかし、支持部2並びに櫛歯の材料は合成樹脂に限定されるものではなく、木材や金属等その他の材料でも構成されていてもよい。この基部2には、施術者が把持しやすい用に図示しない凸部又は凹部等が形成されていてもよい。
【0021】
櫛歯3は、基部3から互いに略平行に延長されてなる。この櫛歯3は、基部2から延長される棒状部31と、この棒状部31の先端に形成された分岐部32とを備えている。
【0022】
棒状部31は、一列に間隙4を空け、互いに略平行に設けられている。棒状部31の本数は、6本であるが、これに限定されるものではない。棒状部31は、延設方向に直線状に形成されているが、必ずしも直線状に限定されるものではない。即ち、棒状部31は、厚み方向Bに向けて湾曲させて構成してもよい。また棒状部31の間隙4は必ずしも同一間隔で構成されていなくてもよい。また、この棒状部31の弾性率は、いかなる値で構成されていてもよく、押圧することにより容易に弾性変形可能な材料からなるようにしてもよい。
【0023】
分岐部32は、棒状部31の先端から幅方向へ二股に分岐させてなる。この分岐部32は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝33が形成されている。この溝33の深さt11は、0.5〜3cmである。また、この二股に分岐させた分岐部32の先端は、丸みを帯びるように成形されていることが望ましい。あまりにこの分岐部32の先端が先鋭化されていた場合には、これが被施術者の頭部に当接された場合に、被施術者が不快を感じるためである。
【0024】
図1(c)に示すように、この理美容用櫛1をA方向から視認した場合には、溝33と、間隙4とが幅方向Cに向けて交互に連続する構成となる。
【0025】
また、この棒状部31の根元から分岐部32の先端に至るまでの長さを櫛歯3の長さT1としたとき、このT1の長さは、10〜30cmである。
【0026】
次に、本発明を適用した理美容用櫛1は、以下に説明する立上用理美容櫛8と併用して使用することが好適である。以下、立上用理美容櫛8の構成について説明をする。
【0027】
図2(a)は、立上用理美容櫛8の正面図を、図2(b)は、立上用理美容櫛8の平面図を、図2(c)は、立上用理美容櫛8の側面図を示している。
【0028】
立上用理美容櫛8は、支持部82と、複数の立上用櫛歯83とを備えている。
【0029】
支持部82は、実際に毛髪の理美容を行う施術者が手で把持するための部位である。支持部82の厚みは、図2中、立上用櫛歯83の厚みHと略同じ厚みとされているが、必ずしも略同じ厚みとされる必要はない。支持部82の厚みは立上用櫛歯83の厚みHより厚くても薄くてもよく、また部分的に立上用櫛歯83の厚みHより厚くても薄くてもよい。この支持部82には施術者が把持しやすい用に図示しない凸部又は凹部等が形成されていてもよい。
【0030】
支持部82は、ポリプロピレンやエポキシ樹脂等の合成樹脂によって、後述する立上用櫛歯83と一体成形にて製造できる。しかし、支持部82の素材は合成樹脂に限定されるものではなく、木材や金属等その他の材料でもよい。
【0031】
立上用櫛歯83は、図2に示すように一列に間隙84を空け、互いに略平行に設けられている。立上用櫛歯83の本数は、適宜設定されていてもよい。
【0032】
立上用櫛歯83は、根元83aから先端83dに至るまでに、中間部83bと、中間部83bから次第に縮径する狭小部83cを有する。
【0033】
以下において、根元83aとは、支持部82と櫛歯83の境目の部位とする。立上用櫛歯83における根元83aから先端83dまでの長さは、7.0〜23.0cmである。また、以下において先端部83xは、特別に定義しない限り、狭小部3cと先端3dからなる部分のことをいう。
【0034】
中間部83bの横断面形状は、略長方形とされている。しかし中間部3bの断面形状は略長方形に限定されず、略円形、略楕円形或いは多角形等の他の形状とされてよい。また中間部83bの幅W及び厚みHは、根元83aから狭小部83cに至るまで一定とされている。しかし幅Wが、部分的に広い部分や狭い部分が設けられてもよく、厚みHが部分的に厚い部分や薄い部分が設けられてもよい。また立上用櫛歯83は、根元83aから直ちに先端83dに向かって縮径することで、中間部83bが設けられない形状とされてもよい。
【0035】
狭小部83cは、中間部83bから先端83dに至るまで当該先端83bを頂点とした四角錘の如き縮径されている。そして、この狭小部83cは、横断面形状は四角形であるが、先端83d側に近づくにつれて略円形に近づく。
【0036】
先端83dは、狭小部83cから連続しながら丸められ、任意の曲率半径を有している。但し、この先端83dがあまりに先鋭化されている場合には、これが先端83dが被施術者の頭部に当接された場合に、被施術者が不快を感じる。このため、ある程度丸みを帯びた曲率半径とされていることが望ましい。
【0037】
次に、本発明を適用した理美容用櫛1を、上述した立上用理美容櫛8と併用して使用する方法について説明をする。
【0038】
先ず図3に示すように、施術者は、全ての立上用櫛歯83が略同一平面状に揃った状態の立上用理美容櫛8を一方の手に持ち、立上用櫛歯83の先端部83xを、カット又は染色したい毛髪6の手前位置で被施術者の頭部5に当接させる。そして、同時に頭部5に向かって立上用櫛歯83を押圧し、ほぼ全ての立上用櫛歯83を弾性変形させる。この動作によりほぼ全ての立上用櫛歯83の先端部は、立上用櫛歯83に対向する頭部5の湾曲面に沿って当接されることになる。
【0039】
次に図4に示すように、施術者は、頭部5に向かって立上用櫛歯83を押圧しつつ、立上用理美容櫛8全体を立上用櫛歯83の延設方向にスライドさせることにより、立上用櫛歯83の間隙84に毛髪6を差し込ませる。この動作に伴い、立上用櫛歯83は頭部5から応力を受け、各々の立上用櫛歯83は引き続き弾性変形する。
【0040】
ここで図5(a)に示すように、先端部83xを頭部5に当接させながら、立上用理美容櫛8を頭部5の湾曲形状に沿ってスライドさせる動作をしてもよい。これにより、立上用櫛歯83を毛髪6の根元に確実に接触させ、多くの毛髪6を捉えさせることができる。
【0041】
また図5(b)に示すように、中間部83bを当接部として頭部5に当接させ、立上用理美容櫛8を直線的にスライドさせる動作をしてもよい。即ち、立上用櫛歯83が応力を受ける位置は、先端部83xから中間部83bに移動し、さらに中間部83bの中でも根元83aに移動することとなる。これにより、図5(a)の場合に比べ、一回のコーミングにかける時間を短くすることができる。
【0042】
次に図6に示すように、施術者は、立上用理美容櫛8を頭部5から離して持ち上げる。この動作により全ての立上用櫛歯83は、間隙84に毛髪6が捉えられたまま、弾性変形により、略同一平面状に揃った状態に復元する。また、立上用櫛歯83に捉えられている毛髪6は、図6に示すように、この持ち上げられた立上用理美容櫛8に向けて立ち上げられることになる。ここまでの立上用理美容櫛8による操作により、頭部の広範囲に亘る毛髪を一気に捉えてこれを立ち上げることが可能となる。
【0043】
次に図7に示すように、立上用理美容櫛8をそのまま保持することで、毛髪6を立ち上げた状態で維持しつつ、本発明を適用した理美容用櫛1を毛髪6に向けて挿入する。このとき、立ち上げられた毛髪6に対しては、分岐部32から先に挿入されていくことになる。なお、この理美容用櫛1の挿入方向は、立上用理美容櫛8の挿入方向とは異なる方向とされていることが望ましい。その理由として、理美容用櫛1の挿入方向と、立上用理美容櫛8の挿入方向とが同一である場合に、立ち上げられた毛髪が間隙84内において動いてしまうためである。
【0044】
そして、この理美容用櫛1を挿入し続けると、一部の毛髪101は、図8(a)に示すように分岐部32において捉えられることになる。この状態でさらにE方向に向けて理美容用櫛1を挿入し続けると、この捉えられていた毛髪101は、図8(b)に示すように、分岐部32に当接され、さらに押し寝かせられることになる。またこの理美容用櫛1の挿入を続けることにより、分岐部32には毛髪102が捉えられることになる。
【0045】
この状態でさらにE方向に向けて理美容用櫛1を挿入し続けると、この捉えられていた毛髪102は、図8(c)に示すように、分岐部32に当接され、さらに押し寝かせられることになる。またこの理美容用櫛1の挿入を続けることにより、分岐部32には毛髪103が捉えられることになる。
【0046】
即ち、この動作を繰り返し実行することにより、理美容用櫛1における分岐部32に捉えた毛髪を順次押し寝かせることが可能となる。その後、図9に示すように、理美容用櫛1を挿入し続ける。その結果、図10に示すように、理美容用櫛1を挿入し続けた結果、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域(斜線領域)と、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)とが形成されることになる。即ち、理美容用櫛1をE方向に向けて挿入したときに、分岐部32が通過した後は、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)となり、櫛歯3の間隙4に挿入された毛髪は、分岐部32により押し寝かせられることなく、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域(斜線領域)として残ることになる。即ち、この理美容用櫛1をE方向に向けて挿入することにより、立上用理美容櫛8により立ち上げられた状態にある毛髪6を部分的に梳くことが可能となる。
【0047】
このようにして毛髪を部分的に梳いた後、例えば図11に示すように立上用理美容櫛8を抜き、部分的に梳かれた毛髪に対してカット、染色、パーマネントウェブ処理等の各種理美容施術を行うようにしてもよい。また、図12に示すように、理美容用櫛1を抜き、部分的に梳かれた毛髪に対してカット、染色、パーマネントウェブ処理等の各種理美容施術を行うようにしてもよい。
【0048】
このように、本発明を適用した理美容方法によれば、立上用理美容櫛8により立ち上げられた毛髪に対して、理美容用櫛1を挿入するという極めて簡単な操作のみで、その毛髪を部分的に梳くことが可能となる。また、本発明によれば、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は大量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができる。
【0049】
なお、本発明を適用した理美容方法は、上述した実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明を適用した理美容方法において、立上用理美容櫛8を使用することは必須の構成要件とはならず、その代替として他の櫛を代用するようにしてもよい。かかる場合も同様に、他の櫛により毛髪を立ち上げた状態で、理美容用櫛1における櫛歯3をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部32に捉えた毛髪を順次押し寝かせてその立ち上げられた毛髪を梳くことになる。
【実施例1】
【0050】
以下、本発明を適用した理美容用櫛1について、実際に櫛歯3の長さT1を最適化する上で行った検証について説明をする。
【0051】
先ず櫛歯3の長さT1について6〜40cmに至るまで2cmピッチでずらした各理美容用櫛1を作製した。次に、立上用理美容櫛8により上述した施術方法で毛髪を立ち上げる。次に作製した各理美容用櫛1を用いて、実際に、毛髪の押し寝かし容易性、作業性、捕捉性の各項目について評価を行った。
【0052】
毛髪の押し寝かし容易性は、理美容用櫛1を実際に毛髪内に挿入したときに毛髪分岐部32に捉えた毛髪を容易に押し倒すことが可能か否かを評価したものである。この押し寝かし容易性は、櫛歯の長さT1があまりに短いと、立上用理美容櫛8により立ち上げられた毛髪の全領域に対して分岐部32が到達しないこともある。特に立上用理美容櫛8によれば、図7等に示すように広範囲に亘って毛髪を一気に立ち上げることができる。この大量の毛髪を梳くためには、櫛歯の長さT1がある程度長くすることにより分岐部32が到達しえるようにする必要がある。かかる観点から、毛髪の押し寝かし容易性も評価指標の1つに加えている。
【0053】
また、作業性は、施術者がこの理美容用櫛1を毛髪内に挿入する際の、櫛の取り扱いに関するストレスの度合いとしたものである。あまりにこの櫛歯3の長さT1が長い場合には、施術者が却って櫛の取扱いが困難になる場合があるため、これも評価項目の1つに加えている。更に捕捉性とは、分岐部32内へ毛髪を捉えることができる度合いを表したものである。あまりに櫛歯3の長さが長い場合には、理美容用櫛1を把持する手の僅かなブレによって、分岐部32もブレてしまい、分岐部32内に毛髪を効率的に捕捉できなくなる。その結果、押し寝かせることができる毛髪の量が減ってしまうことになる。かかる観点から、捕捉性も評価指標の一つに加えている。
【0054】
なお、これら作業性の評価は、30年の経験を有する美容師により、カットウィックとしてフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いて、実際に理美容用櫛1による施術を行うことにより評価をした。評価は4段階とし、非常に優れている場合を◎、優れている場合を○、普通の場合を△、劣っている場合を×としている。
【0055】
表1に、櫛歯の長さT1に対する各評価項目の評価結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
この表1の結果から、押し寝かし容易性は、10cm以上になると良好な結果となる。また作業性並びに捕捉性は、30cmを超えると著しく悪化する。このため、この櫛歯の長さT1は、10〜30cmが望ましいことが分かる。
【実施例2】
【0058】
本発明者は、立上用理美容櫛8における立上用櫛歯83の長さsの好適範囲を明らかにするため、下記のような実験を行った。
【0059】
この実験では、立上用櫛歯83の長さsが5.0〜24.0cmまでの間で異なる長さとされた立上用理美容櫛8を20種類用意した。そして、最大垂直高さh=1.5(cm)を得るために必要な荷重(g重)を計測するとともに、この理美容用櫛1を用いてカット作業を行った場合に、カットを行った施術者の作業性の評価を明らかにした。
【0060】
荷重を計測する実験は以下のように行った。まず曲率半径9cmの球体表面を一般的な成人の頭部と見立て、球体表面のモデルを厚さ2cmのスギ板で作成し、計量器に載せた。球体モデルには垂直方向に目盛りをつけた。そして用意した立上用理美容櫛8を水平状態のまま、立上用櫛歯83を球体モデルの頂上に当接した。そして15本の立上用櫛歯83の先端部83xを全て球体表面に当接させるように鉛直下方に押圧し、左右の立上用櫛歯83の位置が、中央の立上用櫛歯83より1.5cm下の位置になるまで荷重を加えた。
【0061】
ここで施術者の作業性の評価とは、施術者がこの理美容用櫛1でカット作業を行う間、櫛の取り扱いにストレスを感じる度合いとした。櫛の取り扱いについては、施術者が押圧するときの荷重の加えやすさ、カットウィックに不必要に接触しないか否か、取り回しのときに重いと感じるか等を総合的に判断して評価した。具体的には一回でもストレスを感じた場合を×、ストレスを感じない場合は△、快適と感じる場合は○、非常に快適と感じる場合は◎として4段階により表した。施術者は30年の経験を有する美容師とし、カットウィックはフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いた。
【0062】
実験に用いた立上用櫛歯83は、以下のように構成した。
【0063】
支持部82と立上用櫛歯83は、ポリプロピレンから一体成形で製造される。立上用櫛歯83の中間部の横断面形状は略長方形とされ、幅Wと厚みHは一定とされている。狭小部83cは、先端83dを頂点として四角錘のように縮径し、その横断面形状は長方形から、先端83d側に向かうほど正円に近づくように縮径されている。先端3dは丸められ、その曲率半径は、約0.90mmである。そして、中央の立上用櫛歯83の長さsが最も長く設定されている。他の立上用櫛歯83の長さsは、支持部82の中央部から左右の末端部に向かうに従って左右対称的に短く設定されている。複数の立上用櫛歯83の先端83dが図2に示すように略一直線に揃うように、長さsは調節されている。また左右両端の立上用櫛歯83の長さsも、その先端83dがその他の立上用櫛歯83の先端位置より若干低く配設されるように調節されている。左右両端の立上用櫛歯83の長さsは、中央の立上用櫛歯83の長さsよりも約1.0cm短い長さとしている。また先端部83xの長さkは約1.8cmとしている。立上用櫛歯83の幅Wは約6.0mm、立上用櫛歯83の厚みHは約4.0mmである。立上用櫛歯83の間隔Lは、約1.0mmである。
【0064】
表2は、この実験から得られた結果を表す。
【0065】
【表2】
【0066】
この表2よりの長さsが、7.0〜23.0cmの範囲である場合、約65〜約2000g重の荷重が必要と立上用櫛歯83されることが確認できる。また施術者の作業性の評価が△及び○および◎であることが確認できる。
【0067】
また立上用櫛歯83の長さsが、10.0〜20.0cmの範囲である場合、約100g重〜約850g重の荷重が必要とされることが確認できる。また施術者の作業性の評価が○及び◎であることが確認できる。
【0068】
また立上用櫛歯83の長さsが、12.0〜17.0cmの範囲である場合、約150g重〜約500g重の荷重が必要とされることが確認できる。また施術者の作業性の評価が◎であることが確認できる。
【0069】
これにより本実験の条件下では、立上用櫛歯83の長さsの好適範囲は7.0〜23.0cmの範囲であることがわかる。
【実施例3】
【0070】
立上用櫛歯83の部材の曲げ弾性率以外の条件が一定であるとき、曲げ弾性率が小さい程、立上用櫛歯83の最大垂直高さhは大きくなる。よって施術者は軽い力で立上用櫛歯83を大きく撓ませることができる。しかし立上用櫛歯83が弾性変形によって、最初の状態に復元する時間は長くなる。反対に、曲げ弾性率が大きい程、立上用櫛歯83の最大垂直高さhは小さくなる。よって施術者は立上用櫛歯83を撓ませるために大きな力を必要とする。しかし立上用櫛歯83が弾性変形によって、最初の状態に復元する時間は短くなる。
【0071】
そこで本発明者は、立上用櫛歯83の最大垂直高さhの好適範囲を明らかにするため、下記のような実験を行なった。
【0072】
この実験では、立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、0.0〜6.0cmまでの間で異なる高さとされた立上用理美容櫛8を6種類用意した。そして、この、立上用理美容櫛8を用いて所定のカット作業を行った場合の作業時間を明らかにした。施術者は30年の経験を有する美容師とし、カットモデルはフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いた。カットするスタイルは頭頂部の毛髪を約10cmカットするスクエアカットとした。また作業時間(分)の1分未満は繰り上げとした。
【0073】
実際の実験に用いた立上用理美容櫛8の詳細な構成及びスペックは、上述した実施例2と同様である。
【0074】
この垂直高さhと作業時間との関係の実験結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
この表3より立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、0.5〜6.0cmの範囲である場合、作業時間は約15分以内であることが確認できる。また立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、1.0〜4.0cmの範囲である場合、作業時間は約10分以内であることが確認できる。そして立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、約2.0cmである場合、作業時間は約5分と最も短いことが確認できる。
【0077】
これにより本実験の条件下では、櫛歯3の最大垂直高さhの好適範囲は0.5〜6.0cmの範囲であり、より望ましくは1.0〜6.0cmとされていることが望ましい。
【符号の説明】
【0078】
1 理美容用櫛
2 基部
3 櫛歯
4 間隙
8 立上用理美容櫛
21 支持面
22 右側面部
23 底面部
31 棒状部
32 分岐部
33 溝
82 支持部
83 立上用櫛歯
84 間隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に毛髪をカットする時や染色する時に用いられる理美容用櫛及び理美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容師や理髪師といった施術者が毛髪をカットする場合、先ず櫛を用いて毛髪を梳かす(以下、コーミングという。)。そしてコーミングを数回行った後、はさみにより毛髪をカットする。また毛髪を染色する場合においても、同様にコーミングを数回行った後、毛髪を染色する。
【0003】
通常、このコーミングした毛髪はまとめてカットするか又は染色を行うが、特に近年の理美容方法の多様化に伴い、コーミングした毛髪を部分的にカットしたり、染色を行う場合もある。いわゆるハイライトといわれる頭髪の部分染めが流行していることからも、特にこの毛髪をいかに部分的に捉えるかが懸案となっていた。
【0004】
従来、この部分カットや部分染めを実施する場合、カット若しくは染色しようとする部分の頭髪を、テールコームのテールで引っ掛けることにより、毛髪を部分的につかむことが従来より行われていた。
【0005】
また部分染め等を実際に行うためのヘアブラシも開発されている(例えば、特許文献1、2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−295445号公報
【特許文献2】特開2001−000244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来のヘアブラシでは、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は少量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができないという問題があった。また特願2009−076398号公報に記載の理美容用櫛及び理美容方法とのコラボレーションで使用することができる櫛も従来より望まれていた。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めすることが可能な理美容用櫛及び理美容方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願第1の発明に係る理美容用櫛は、基部と、上記基部から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部を先端に形成させた櫛歯とを備えることを特徴とする。
【0010】
本願第2の発明に係る理美容用櫛は、第1の発明において、上記櫛歯の長さは、10〜30cmであることを特徴とする。
【0011】
本願第3の発明に係る理美容用櫛は、第2の発明において、上記分岐部は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝が形成され、上記溝の深さは、0.5〜3cmであることを特徴とする。
【0012】
本願第4の発明に係る理美容方法は、支持部と、上記支持部の一側に一列に互いに略平行に設けられた複数の立上用櫛歯とを備え、上記立上用櫛歯は、根元から先端までの長さが7.0〜23.0cmであり、その当接部を介して当接させた頭部に向かって押圧されることにより、各々が上記頭部の形状に応じて、当該櫛歯の厚み方向の撓みが1.0cm以上6.0cm以下となるように湾曲されて曲げ弾性変形する立上用理美容櫛におけるその櫛歯を頭部に当接させ、上記当接部を上記頭部に向かって押圧しながら上記立上用理美容櫛をスライドさせることにより、上記頭部の毛髪を上記立上用櫛歯の間に通しながら、各々の櫛歯を上記頭部の形状に対応して曲げ弾性変形させ、上記立上用理美容櫛により毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、その梳いた毛髪を理美容することを特徴とする。
【0013】
本願第5の発明に係る理美容方法は、他の櫛により上記毛髪を立ち上げた状態で、第1〜3のうち何れか1の発明に係る理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、その梳いた毛髪を理美容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述した構成からなる本発明によれば、分岐部が通過した後は、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)となり、櫛歯の間隙に挿入された毛髪は、分岐部により押し寝かせられることなく、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域として残ることになる。即ち、この理美容用櫛を挿入することにより、立上用理美容櫛により立ち上げられた状態にある毛髪を部分的に梳くことが可能となる。
【0015】
即ち、本発明を適用した理美容方法によれば、立上用理美容櫛により立ち上げられた毛髪に対して、理美容用櫛を挿入するという極めて簡単な操作のみで、その毛髪を部分的に梳くことが可能となる。また、本発明によれば、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は大量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した理美容用櫛の構成図である。
【図2】立上用理美容櫛の構成図である。
【図3】立上用理美容櫛の使用状態を示す図である。
【図4】立上用理美容櫛の使用状態を示す他の図である。
【図5】(a)は立上用櫛歯の先端部を当接部とした使用状態を示す図であり、(b)は立上用櫛歯の中間部を当接部とした使用状態を示す図である。
【図6】立上用理美容櫛8により毛髪を立ち上げた状態を示す図である。
【図7】本発明を適用した理美容用櫛の使用状態を示す図である。
【図8】櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせるメカニズムについて説明するための図である。
【図9】理美容用櫛を挿入し続けた状態を示す図である。
【図10】毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域と、毛髪が押し寝かされた領域とを示す図である。
【図11】毛髪を部分的に梳いた後、立上用理美容櫛を抜いた状態を示す図である。
【図12】毛髪を部分的に梳いた後、本発明を適用した理美容用櫛を抜いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1(a)は、本発明を適用した理美容用櫛1の正面図を、図1(b)は、その側面図を、図1(c)は、図1(a)中のA方向から見た平面図を示している。
【0018】
本発明を適用した理美容用櫛1は、基部2と、櫛歯3とを備えている。
【0019】
基部2は、実際に毛髪の理美容を行う施術者が手で把持するための部位であって、図1(a)における紙面前側に支持面21aが形成され、また紙面後側に支持面21bと対向する支持面2bを有している。またこの基部2における右端には、右側面部22aが、さらにこの基部2の左端には左側面部22bが形成されている。また、この基部2の下端には、底面部23が形成されており、この底面部23と対向する側、即ち基部2の上端側には櫛歯3が複数本に亘って設けられている。
【0020】
基部2は、ポリプロピレンやポリカーボネート等の合成樹脂によって、後述する櫛歯3と一体的に成形されてなる。しかし、支持部2並びに櫛歯の材料は合成樹脂に限定されるものではなく、木材や金属等その他の材料でも構成されていてもよい。この基部2には、施術者が把持しやすい用に図示しない凸部又は凹部等が形成されていてもよい。
【0021】
櫛歯3は、基部3から互いに略平行に延長されてなる。この櫛歯3は、基部2から延長される棒状部31と、この棒状部31の先端に形成された分岐部32とを備えている。
【0022】
棒状部31は、一列に間隙4を空け、互いに略平行に設けられている。棒状部31の本数は、6本であるが、これに限定されるものではない。棒状部31は、延設方向に直線状に形成されているが、必ずしも直線状に限定されるものではない。即ち、棒状部31は、厚み方向Bに向けて湾曲させて構成してもよい。また棒状部31の間隙4は必ずしも同一間隔で構成されていなくてもよい。また、この棒状部31の弾性率は、いかなる値で構成されていてもよく、押圧することにより容易に弾性変形可能な材料からなるようにしてもよい。
【0023】
分岐部32は、棒状部31の先端から幅方向へ二股に分岐させてなる。この分岐部32は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝33が形成されている。この溝33の深さt11は、0.5〜3cmである。また、この二股に分岐させた分岐部32の先端は、丸みを帯びるように成形されていることが望ましい。あまりにこの分岐部32の先端が先鋭化されていた場合には、これが被施術者の頭部に当接された場合に、被施術者が不快を感じるためである。
【0024】
図1(c)に示すように、この理美容用櫛1をA方向から視認した場合には、溝33と、間隙4とが幅方向Cに向けて交互に連続する構成となる。
【0025】
また、この棒状部31の根元から分岐部32の先端に至るまでの長さを櫛歯3の長さT1としたとき、このT1の長さは、10〜30cmである。
【0026】
次に、本発明を適用した理美容用櫛1は、以下に説明する立上用理美容櫛8と併用して使用することが好適である。以下、立上用理美容櫛8の構成について説明をする。
【0027】
図2(a)は、立上用理美容櫛8の正面図を、図2(b)は、立上用理美容櫛8の平面図を、図2(c)は、立上用理美容櫛8の側面図を示している。
【0028】
立上用理美容櫛8は、支持部82と、複数の立上用櫛歯83とを備えている。
【0029】
支持部82は、実際に毛髪の理美容を行う施術者が手で把持するための部位である。支持部82の厚みは、図2中、立上用櫛歯83の厚みHと略同じ厚みとされているが、必ずしも略同じ厚みとされる必要はない。支持部82の厚みは立上用櫛歯83の厚みHより厚くても薄くてもよく、また部分的に立上用櫛歯83の厚みHより厚くても薄くてもよい。この支持部82には施術者が把持しやすい用に図示しない凸部又は凹部等が形成されていてもよい。
【0030】
支持部82は、ポリプロピレンやエポキシ樹脂等の合成樹脂によって、後述する立上用櫛歯83と一体成形にて製造できる。しかし、支持部82の素材は合成樹脂に限定されるものではなく、木材や金属等その他の材料でもよい。
【0031】
立上用櫛歯83は、図2に示すように一列に間隙84を空け、互いに略平行に設けられている。立上用櫛歯83の本数は、適宜設定されていてもよい。
【0032】
立上用櫛歯83は、根元83aから先端83dに至るまでに、中間部83bと、中間部83bから次第に縮径する狭小部83cを有する。
【0033】
以下において、根元83aとは、支持部82と櫛歯83の境目の部位とする。立上用櫛歯83における根元83aから先端83dまでの長さは、7.0〜23.0cmである。また、以下において先端部83xは、特別に定義しない限り、狭小部3cと先端3dからなる部分のことをいう。
【0034】
中間部83bの横断面形状は、略長方形とされている。しかし中間部3bの断面形状は略長方形に限定されず、略円形、略楕円形或いは多角形等の他の形状とされてよい。また中間部83bの幅W及び厚みHは、根元83aから狭小部83cに至るまで一定とされている。しかし幅Wが、部分的に広い部分や狭い部分が設けられてもよく、厚みHが部分的に厚い部分や薄い部分が設けられてもよい。また立上用櫛歯83は、根元83aから直ちに先端83dに向かって縮径することで、中間部83bが設けられない形状とされてもよい。
【0035】
狭小部83cは、中間部83bから先端83dに至るまで当該先端83bを頂点とした四角錘の如き縮径されている。そして、この狭小部83cは、横断面形状は四角形であるが、先端83d側に近づくにつれて略円形に近づく。
【0036】
先端83dは、狭小部83cから連続しながら丸められ、任意の曲率半径を有している。但し、この先端83dがあまりに先鋭化されている場合には、これが先端83dが被施術者の頭部に当接された場合に、被施術者が不快を感じる。このため、ある程度丸みを帯びた曲率半径とされていることが望ましい。
【0037】
次に、本発明を適用した理美容用櫛1を、上述した立上用理美容櫛8と併用して使用する方法について説明をする。
【0038】
先ず図3に示すように、施術者は、全ての立上用櫛歯83が略同一平面状に揃った状態の立上用理美容櫛8を一方の手に持ち、立上用櫛歯83の先端部83xを、カット又は染色したい毛髪6の手前位置で被施術者の頭部5に当接させる。そして、同時に頭部5に向かって立上用櫛歯83を押圧し、ほぼ全ての立上用櫛歯83を弾性変形させる。この動作によりほぼ全ての立上用櫛歯83の先端部は、立上用櫛歯83に対向する頭部5の湾曲面に沿って当接されることになる。
【0039】
次に図4に示すように、施術者は、頭部5に向かって立上用櫛歯83を押圧しつつ、立上用理美容櫛8全体を立上用櫛歯83の延設方向にスライドさせることにより、立上用櫛歯83の間隙84に毛髪6を差し込ませる。この動作に伴い、立上用櫛歯83は頭部5から応力を受け、各々の立上用櫛歯83は引き続き弾性変形する。
【0040】
ここで図5(a)に示すように、先端部83xを頭部5に当接させながら、立上用理美容櫛8を頭部5の湾曲形状に沿ってスライドさせる動作をしてもよい。これにより、立上用櫛歯83を毛髪6の根元に確実に接触させ、多くの毛髪6を捉えさせることができる。
【0041】
また図5(b)に示すように、中間部83bを当接部として頭部5に当接させ、立上用理美容櫛8を直線的にスライドさせる動作をしてもよい。即ち、立上用櫛歯83が応力を受ける位置は、先端部83xから中間部83bに移動し、さらに中間部83bの中でも根元83aに移動することとなる。これにより、図5(a)の場合に比べ、一回のコーミングにかける時間を短くすることができる。
【0042】
次に図6に示すように、施術者は、立上用理美容櫛8を頭部5から離して持ち上げる。この動作により全ての立上用櫛歯83は、間隙84に毛髪6が捉えられたまま、弾性変形により、略同一平面状に揃った状態に復元する。また、立上用櫛歯83に捉えられている毛髪6は、図6に示すように、この持ち上げられた立上用理美容櫛8に向けて立ち上げられることになる。ここまでの立上用理美容櫛8による操作により、頭部の広範囲に亘る毛髪を一気に捉えてこれを立ち上げることが可能となる。
【0043】
次に図7に示すように、立上用理美容櫛8をそのまま保持することで、毛髪6を立ち上げた状態で維持しつつ、本発明を適用した理美容用櫛1を毛髪6に向けて挿入する。このとき、立ち上げられた毛髪6に対しては、分岐部32から先に挿入されていくことになる。なお、この理美容用櫛1の挿入方向は、立上用理美容櫛8の挿入方向とは異なる方向とされていることが望ましい。その理由として、理美容用櫛1の挿入方向と、立上用理美容櫛8の挿入方向とが同一である場合に、立ち上げられた毛髪が間隙84内において動いてしまうためである。
【0044】
そして、この理美容用櫛1を挿入し続けると、一部の毛髪101は、図8(a)に示すように分岐部32において捉えられることになる。この状態でさらにE方向に向けて理美容用櫛1を挿入し続けると、この捉えられていた毛髪101は、図8(b)に示すように、分岐部32に当接され、さらに押し寝かせられることになる。またこの理美容用櫛1の挿入を続けることにより、分岐部32には毛髪102が捉えられることになる。
【0045】
この状態でさらにE方向に向けて理美容用櫛1を挿入し続けると、この捉えられていた毛髪102は、図8(c)に示すように、分岐部32に当接され、さらに押し寝かせられることになる。またこの理美容用櫛1の挿入を続けることにより、分岐部32には毛髪103が捉えられることになる。
【0046】
即ち、この動作を繰り返し実行することにより、理美容用櫛1における分岐部32に捉えた毛髪を順次押し寝かせることが可能となる。その後、図9に示すように、理美容用櫛1を挿入し続ける。その結果、図10に示すように、理美容用櫛1を挿入し続けた結果、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域(斜線領域)と、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)とが形成されることになる。即ち、理美容用櫛1をE方向に向けて挿入したときに、分岐部32が通過した後は、毛髪が押し寝かされた領域(非斜線領域)となり、櫛歯3の間隙4に挿入された毛髪は、分岐部32により押し寝かせられることなく、毛髪が立ち上げられた状態で維持されている領域(斜線領域)として残ることになる。即ち、この理美容用櫛1をE方向に向けて挿入することにより、立上用理美容櫛8により立ち上げられた状態にある毛髪6を部分的に梳くことが可能となる。
【0047】
このようにして毛髪を部分的に梳いた後、例えば図11に示すように立上用理美容櫛8を抜き、部分的に梳かれた毛髪に対してカット、染色、パーマネントウェブ処理等の各種理美容施術を行うようにしてもよい。また、図12に示すように、理美容用櫛1を抜き、部分的に梳かれた毛髪に対してカット、染色、パーマネントウェブ処理等の各種理美容施術を行うようにしてもよい。
【0048】
このように、本発明を適用した理美容方法によれば、立上用理美容櫛8により立ち上げられた毛髪に対して、理美容用櫛1を挿入するという極めて簡単な操作のみで、その毛髪を部分的に梳くことが可能となる。また、本発明によれば、一回のコーミングによって捉えさせることができる毛髪は大量であり、頭部全体を広範囲に亘って一気に部分カット、部分染めする際において効率よく作業することができる。
【0049】
なお、本発明を適用した理美容方法は、上述した実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明を適用した理美容方法において、立上用理美容櫛8を使用することは必須の構成要件とはならず、その代替として他の櫛を代用するようにしてもよい。かかる場合も同様に、他の櫛により毛髪を立ち上げた状態で、理美容用櫛1における櫛歯3をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部32に捉えた毛髪を順次押し寝かせてその立ち上げられた毛髪を梳くことになる。
【実施例1】
【0050】
以下、本発明を適用した理美容用櫛1について、実際に櫛歯3の長さT1を最適化する上で行った検証について説明をする。
【0051】
先ず櫛歯3の長さT1について6〜40cmに至るまで2cmピッチでずらした各理美容用櫛1を作製した。次に、立上用理美容櫛8により上述した施術方法で毛髪を立ち上げる。次に作製した各理美容用櫛1を用いて、実際に、毛髪の押し寝かし容易性、作業性、捕捉性の各項目について評価を行った。
【0052】
毛髪の押し寝かし容易性は、理美容用櫛1を実際に毛髪内に挿入したときに毛髪分岐部32に捉えた毛髪を容易に押し倒すことが可能か否かを評価したものである。この押し寝かし容易性は、櫛歯の長さT1があまりに短いと、立上用理美容櫛8により立ち上げられた毛髪の全領域に対して分岐部32が到達しないこともある。特に立上用理美容櫛8によれば、図7等に示すように広範囲に亘って毛髪を一気に立ち上げることができる。この大量の毛髪を梳くためには、櫛歯の長さT1がある程度長くすることにより分岐部32が到達しえるようにする必要がある。かかる観点から、毛髪の押し寝かし容易性も評価指標の1つに加えている。
【0053】
また、作業性は、施術者がこの理美容用櫛1を毛髪内に挿入する際の、櫛の取り扱いに関するストレスの度合いとしたものである。あまりにこの櫛歯3の長さT1が長い場合には、施術者が却って櫛の取扱いが困難になる場合があるため、これも評価項目の1つに加えている。更に捕捉性とは、分岐部32内へ毛髪を捉えることができる度合いを表したものである。あまりに櫛歯3の長さが長い場合には、理美容用櫛1を把持する手の僅かなブレによって、分岐部32もブレてしまい、分岐部32内に毛髪を効率的に捕捉できなくなる。その結果、押し寝かせることができる毛髪の量が減ってしまうことになる。かかる観点から、捕捉性も評価指標の一つに加えている。
【0054】
なお、これら作業性の評価は、30年の経験を有する美容師により、カットウィックとしてフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いて、実際に理美容用櫛1による施術を行うことにより評価をした。評価は4段階とし、非常に優れている場合を◎、優れている場合を○、普通の場合を△、劣っている場合を×としている。
【0055】
表1に、櫛歯の長さT1に対する各評価項目の評価結果を示す。
【0056】
【表1】
【0057】
この表1の結果から、押し寝かし容易性は、10cm以上になると良好な結果となる。また作業性並びに捕捉性は、30cmを超えると著しく悪化する。このため、この櫛歯の長さT1は、10〜30cmが望ましいことが分かる。
【実施例2】
【0058】
本発明者は、立上用理美容櫛8における立上用櫛歯83の長さsの好適範囲を明らかにするため、下記のような実験を行った。
【0059】
この実験では、立上用櫛歯83の長さsが5.0〜24.0cmまでの間で異なる長さとされた立上用理美容櫛8を20種類用意した。そして、最大垂直高さh=1.5(cm)を得るために必要な荷重(g重)を計測するとともに、この理美容用櫛1を用いてカット作業を行った場合に、カットを行った施術者の作業性の評価を明らかにした。
【0060】
荷重を計測する実験は以下のように行った。まず曲率半径9cmの球体表面を一般的な成人の頭部と見立て、球体表面のモデルを厚さ2cmのスギ板で作成し、計量器に載せた。球体モデルには垂直方向に目盛りをつけた。そして用意した立上用理美容櫛8を水平状態のまま、立上用櫛歯83を球体モデルの頂上に当接した。そして15本の立上用櫛歯83の先端部83xを全て球体表面に当接させるように鉛直下方に押圧し、左右の立上用櫛歯83の位置が、中央の立上用櫛歯83より1.5cm下の位置になるまで荷重を加えた。
【0061】
ここで施術者の作業性の評価とは、施術者がこの理美容用櫛1でカット作業を行う間、櫛の取り扱いにストレスを感じる度合いとした。櫛の取り扱いについては、施術者が押圧するときの荷重の加えやすさ、カットウィックに不必要に接触しないか否か、取り回しのときに重いと感じるか等を総合的に判断して評価した。具体的には一回でもストレスを感じた場合を×、ストレスを感じない場合は△、快適と感じる場合は○、非常に快適と感じる場合は◎として4段階により表した。施術者は30年の経験を有する美容師とし、カットウィックはフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いた。
【0062】
実験に用いた立上用櫛歯83は、以下のように構成した。
【0063】
支持部82と立上用櫛歯83は、ポリプロピレンから一体成形で製造される。立上用櫛歯83の中間部の横断面形状は略長方形とされ、幅Wと厚みHは一定とされている。狭小部83cは、先端83dを頂点として四角錘のように縮径し、その横断面形状は長方形から、先端83d側に向かうほど正円に近づくように縮径されている。先端3dは丸められ、その曲率半径は、約0.90mmである。そして、中央の立上用櫛歯83の長さsが最も長く設定されている。他の立上用櫛歯83の長さsは、支持部82の中央部から左右の末端部に向かうに従って左右対称的に短く設定されている。複数の立上用櫛歯83の先端83dが図2に示すように略一直線に揃うように、長さsは調節されている。また左右両端の立上用櫛歯83の長さsも、その先端83dがその他の立上用櫛歯83の先端位置より若干低く配設されるように調節されている。左右両端の立上用櫛歯83の長さsは、中央の立上用櫛歯83の長さsよりも約1.0cm短い長さとしている。また先端部83xの長さkは約1.8cmとしている。立上用櫛歯83の幅Wは約6.0mm、立上用櫛歯83の厚みHは約4.0mmである。立上用櫛歯83の間隔Lは、約1.0mmである。
【0064】
表2は、この実験から得られた結果を表す。
【0065】
【表2】
【0066】
この表2よりの長さsが、7.0〜23.0cmの範囲である場合、約65〜約2000g重の荷重が必要と立上用櫛歯83されることが確認できる。また施術者の作業性の評価が△及び○および◎であることが確認できる。
【0067】
また立上用櫛歯83の長さsが、10.0〜20.0cmの範囲である場合、約100g重〜約850g重の荷重が必要とされることが確認できる。また施術者の作業性の評価が○及び◎であることが確認できる。
【0068】
また立上用櫛歯83の長さsが、12.0〜17.0cmの範囲である場合、約150g重〜約500g重の荷重が必要とされることが確認できる。また施術者の作業性の評価が◎であることが確認できる。
【0069】
これにより本実験の条件下では、立上用櫛歯83の長さsの好適範囲は7.0〜23.0cmの範囲であることがわかる。
【実施例3】
【0070】
立上用櫛歯83の部材の曲げ弾性率以外の条件が一定であるとき、曲げ弾性率が小さい程、立上用櫛歯83の最大垂直高さhは大きくなる。よって施術者は軽い力で立上用櫛歯83を大きく撓ませることができる。しかし立上用櫛歯83が弾性変形によって、最初の状態に復元する時間は長くなる。反対に、曲げ弾性率が大きい程、立上用櫛歯83の最大垂直高さhは小さくなる。よって施術者は立上用櫛歯83を撓ませるために大きな力を必要とする。しかし立上用櫛歯83が弾性変形によって、最初の状態に復元する時間は短くなる。
【0071】
そこで本発明者は、立上用櫛歯83の最大垂直高さhの好適範囲を明らかにするため、下記のような実験を行なった。
【0072】
この実験では、立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、0.0〜6.0cmまでの間で異なる高さとされた立上用理美容櫛8を6種類用意した。そして、この、立上用理美容櫛8を用いて所定のカット作業を行った場合の作業時間を明らかにした。施術者は30年の経験を有する美容師とし、カットモデルはフォンテーヌ社製レッスン用カットウィック(FC108N)を用いた。カットするスタイルは頭頂部の毛髪を約10cmカットするスクエアカットとした。また作業時間(分)の1分未満は繰り上げとした。
【0073】
実際の実験に用いた立上用理美容櫛8の詳細な構成及びスペックは、上述した実施例2と同様である。
【0074】
この垂直高さhと作業時間との関係の実験結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
この表3より立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、0.5〜6.0cmの範囲である場合、作業時間は約15分以内であることが確認できる。また立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、1.0〜4.0cmの範囲である場合、作業時間は約10分以内であることが確認できる。そして立上用櫛歯83の最大垂直高さhが、約2.0cmである場合、作業時間は約5分と最も短いことが確認できる。
【0077】
これにより本実験の条件下では、櫛歯3の最大垂直高さhの好適範囲は0.5〜6.0cmの範囲であり、より望ましくは1.0〜6.0cmとされていることが望ましい。
【符号の説明】
【0078】
1 理美容用櫛
2 基部
3 櫛歯
4 間隙
8 立上用理美容櫛
21 支持面
22 右側面部
23 底面部
31 棒状部
32 分岐部
33 溝
82 支持部
83 立上用櫛歯
84 間隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
上記基部から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部を先端に形成させた櫛歯とを備えること
を特徴とする理美容用櫛。
【請求項2】
上記櫛歯の長さは、10〜30cmであること
を特徴とする請求項1記載の理美容用櫛。
【請求項3】
上記分岐部は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝が形成され、
上記溝の深さは、0.5〜3cmであること
を特徴とする請求項2記載の理美容用櫛。
【請求項4】
支持部と、上記支持部の一側に一列に互いに略平行に設けられた複数の立上用櫛歯とを備え、上記立上用櫛歯は、根元から先端までの長さが7.0〜23.0cmであり、その当接部を介して当接させた頭部に向かって押圧されることにより、各々が上記頭部の形状に応じて、当該櫛歯の厚み方向の撓みが1.0cm以上6.0cm以下となるように湾曲されて曲げ弾性変形する立上用理美容櫛におけるその櫛歯を頭部に当接させ、
上記当接部を上記頭部に向かって押圧しながら上記立上用理美容櫛をスライドさせることにより、上記頭部の毛髪を上記立上用櫛歯の間に通しながら、各々の櫛歯を上記頭部の形状に対応して曲げ弾性変形させ、
上記立上用理美容櫛により毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、
その梳いた毛髪を理美容すること
を特徴とする理美容方法。
【請求項5】
他の櫛により上記毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、
その梳いた毛髪を理美容すること
を特徴とする理美容方法。
【請求項1】
基部と、
上記基部から互いに略平行に延長されてなり、幅方向へ二股に分岐させた分岐部を先端に形成させた櫛歯とを備えること
を特徴とする理美容用櫛。
【請求項2】
上記櫛歯の長さは、10〜30cmであること
を特徴とする請求項1記載の理美容用櫛。
【請求項3】
上記分岐部は、二股に分岐させた略U形又は略V形の溝が形成され、
上記溝の深さは、0.5〜3cmであること
を特徴とする請求項2記載の理美容用櫛。
【請求項4】
支持部と、上記支持部の一側に一列に互いに略平行に設けられた複数の立上用櫛歯とを備え、上記立上用櫛歯は、根元から先端までの長さが7.0〜23.0cmであり、その当接部を介して当接させた頭部に向かって押圧されることにより、各々が上記頭部の形状に応じて、当該櫛歯の厚み方向の撓みが1.0cm以上6.0cm以下となるように湾曲されて曲げ弾性変形する立上用理美容櫛におけるその櫛歯を頭部に当接させ、
上記当接部を上記頭部に向かって押圧しながら上記立上用理美容櫛をスライドさせることにより、上記頭部の毛髪を上記立上用櫛歯の間に通しながら、各々の櫛歯を上記頭部の形状に対応して曲げ弾性変形させ、
上記立上用理美容櫛により毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、
その梳いた毛髪を理美容すること
を特徴とする理美容方法。
【請求項5】
他の櫛により上記毛髪を立ち上げた状態で、請求項1〜3のうち何れか1項記載の理美容用櫛における上記櫛歯をその毛髪に挿入し続けることにより、その櫛歯の分岐部に捉えた毛髪を順次押し寝かせて上記立ち上げられた毛髪を梳き、
その梳いた毛髪を理美容すること
を特徴とする理美容方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−45407(P2011−45407A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194079(P2009−194079)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【特許番号】特許第4452318号(P4452318)
【特許公報発行日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(509087025)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【特許番号】特許第4452318号(P4452318)
【特許公報発行日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(509087025)
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