説明

環境または臨床試料中に存在する微生物を溶解し、前記微生物から核酸を分析用に抽出する装置

本発明は、空気収集手段の内部に配置され、核酸を回収する手段を受け入れることのできるカートリッジであって、実質的に円筒状であり、微生物保持ゾーンを含み、前記保持ゾーンが微生物溶解手段を含むカートリッジに関する。本発明は、空気中に含有されている微生物を収集する装置、および微生物を溶解する装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、生物学的分析の分野である。より詳細には、本発明は、空気試料などの環境試料中、または臨床試料中に存在する微生物を溶解する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
数年間にわたって、病院における院内感染の再起が観察されている。これらの感染は、入院中であり、それゆえ、定義上免疫抑制されている個体が、病院環境圏に存在している病原微生物で汚染されることによって説明される。これらの微生物は、装置および表面の消毒ならびに空気処理に、常に多大な注意が払われているのにもかかわらず、破壊されていない。環境微生物学的汚染のこれらの事例がますます一般的になっていることに鑑みて、環境制御を改善および促進する装置および方法の開発が、医療従事者の主要な関心となるに至っている。
【0003】
院内感染の問題に加えて、環境条件の制御は、過去数年間にわたって、とりわけ食品加工業、医薬品産業または化粧品産業における、工業環境に関する懸念の再来にもなっている。食品加工業では、病原微生物による製品の汚染、または出発物質の汚染さえもがもたらしうる、消費者健康への被害甚大な結果が知られている。実際、Listeria属またはSalmonella属のものなどの細菌による食中毒は、このところ、よくあることである。空気質の制御は、医薬品産業または化粧品産業の品質アプローチにおける鍵となる過程でもある。
【0004】
さらに、これらの制御は、ますます厳しくなっている規制に基づいて、ますます高レベルの必要条件を満たさなければならない。
【0005】
医療従事者または製造業者が環境制御を実施するのに利用可能なツールのなかで、エアロバイオコレクターは、空気中の生物を検出するのに選択される解決策である。これらの装置は、エアロバイオコンタミネーションを測定することが望ましい敷地内の適切な場所に置かれる。それらは通常、培養培地と連結された空気収集器で構成されている。空気収集器によって収集された空気は、培養培地と接触し、収集された空気内に潜在的に含有されている微生物が培養培地上に沈着する。その後、この培養培地を回収し、微生物の増殖を促進させるために、インキュベーター内に置く。このようにして、従来の微生物学技法によって、前記微生物を検出および同定することが可能である。
【0006】
それにもかかわらず、これらの装置は、使用技法に関連した大きな欠点を有する。この欠点は、分析結果を得るのに必要な時間である。これは、従来の微生物学技法、とりわけ細菌学技法の使用が、細胞増殖に必要なインキュベーション時間、または同定を可能にするために特定の培養培地上に再接種する段階の時間さえも固守しなければならないことを意味するからである。それゆえ、結果を得るのに必要な時間が比較的長く、実際、院内感染または食中毒の原因となる病原菌の検出および同定を意図している場合には、長すぎることにさえなる。
【0007】
このタイプの装置の別の欠点は、培養培地の使用によって、複数の細菌属および種を相互に識別することは可能となるが、通常、同一細菌種の複数の株を相互に識別することは可能にならないということである。いまでは、考慮対象の株に応じて、微生物の病原性が著しく異なりうることが知られている。
【0008】
さらに、空気中に存在する粒子、とりわけ微生物を回収する装置がある。すなわち、GB−2254024号明細書は、空気中に含有されている粒子を収集する装置であって、その原則がサイクロン効果に基づいている装置を記載している。そのような装置は、微生物を含めた、空気中に含有されている粒子を収集するのに適していることが見出されているが、そのようにして得られた試料の処理、とりわけ、分析用に使用されることが意図されている遺伝物質の抽出については、全く研究されていない。
【0009】
より一般的には、微生物の同定および/または結果の迅速な提供という点で最も適切な技法は、臨床試料に関するものであるか、環境試料に関するものであるかにかかわらず、疑いなく、分子診断技法である。これらの技法は、微生物の遺伝物質、とりわけ対象とするある特定の配列の分析に基づいており、それらは培養ステップなしで済ませることを可能にするので、記録時間内に微生物の極めて正確な同定を得ることを可能にする。
【0010】
それにもかかわらず、そのような技法の使用は、いくつかの限定を示しており、それらの中で最も重要なものは、空気中に存在している微生物の量、すなわち分析を実施するために回収可能な微生物の量が潜在的に限定されていることである。実際、環境試料、そしてそれだけでなく一部の臨床試料も、比較的少量の微生物を有していることが知られている。それゆえ、この出発物質から得られる遺伝物質の量も少ないことになる。したがって、収率に関する、核酸を抽出するのに用いられる技法の効率が必須パラメータとなる。
【0011】
さらに、微生物を溶解するための既存の技法の大部分は長く、手作業のステップを行う適格な人員の関与を必要としている。
【0012】
WO−A−2005/038025パンフレットは、とりわけ空気から採取された微生物から核酸を抽出する方法を記載している。この方法は、3通りの異なった溶解方法、すなわち、化学溶解、熱ショック溶解および機械的溶解を行うものである。そのような方法は、疑いなく、核酸抽出収率の最適化と、それゆえ、分析に利用可能な遺伝物質の量の増加とを可能にするが、それにもかかわらず、この収率が、依然として、回収される微生物の量に依存しているという実情はそのままである。しかし、この文書では、前記微生物の回収の最適化については何も記載されていない。
【0013】
US第5707861号明細書は、微生物タイプの生細胞を崩壊させる装置を記載している。この装置は、ガラスビーズのみでなく、微生物を含有する管と、前記管を保持するホルダーの穴との間に存在するギャップによる振動の効果も用いることによって、細胞の溶解を可能にする。したがって、そのような装置は、細胞溶解の最適化と、それゆえ、遺伝物質の抽出の最適化とを可能にする。そのような装置、および後者によって用いられる方法は、上述のものと同じ限定、すなわち、それらが、回収される微生物の量に依存しているままであるという限定を示している。さらに、それらは、細胞破片から前記核酸を単離するために、核酸濃縮ステップを後で行わなければならないという追加の欠点を有する。最後に、それらは、濃縮ステップの終了時に、核酸の手操作での回収を必要とする。
【0014】
これらの問題は、US第5567050号明細書に記載の装置でも生じる。
【0015】
より統合的なシステムも記載されている。すなわち、WO−A−2004/018704パンフレットは、空気中の微生物を収集し、かつそれらを同定するのに、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)増幅技法を用いる装置および方法を記載している。このシステムは、郵便仕分けセンターにおける生物学的汚染攻撃の企てと戦うのに特に適している。このシステムは、郵便輸送回路に沿って置かれた空気収集装置、サイクロン効果によって粒子を濾過または分離する装置、液体試料中の粒子を濃縮または回収する装置、および試料の一部をCepheid社製のGeneXpert(商標)PCR分析カートリッジに移す装置でできている。その後、空気から収集された(1または複数種の)微生物を同定するために、このカートリッジを、独立した自動生物学的分析装置に手操作で移す。
【0016】
このシステムは、上述の装置および方法に関連した多くの技術的問題の解決を可能にするが、それにもかかわらず、それは大きな欠点を有する。これらの欠点の第1は、分析カートリッジに移す前に試料を処理するシステム(収集、分離、濃縮/回収)が比較的複雑であり、かつ厄介であるということである。第2の欠点は、収集された微生物が液体試料中に回収され、上記試料の一部のみが分析されるということである。これは、すべての微生物を回収しない危険性、それゆえすべての核酸を回収しない危険性が極めて高く、それによって分析の妥当性を大きく限定することを意味する。さらに、このシステムでは、その複雑さにもかかわらず、カートリッジをGeneXpert(商標)自動分析装置に手操作で移動する必要がある。
【発明の概要】
【0017】
したがって、本発明の第1の目的は、普遍的な溶解を行う装置および方法であって、それらが細菌、ウイルスまたは真菌であるかにかかわらず、増殖状態でも、胞子形態でもありうる、広範な多様性の微生物に関する環境試料および臨床試料の両方に有効な装置および方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、空気などの環境試料中または臨床試料中に含有されている前記微生物から、統合された方法で核酸を抽出し、かつ前記核酸を分析用に回収するために、前記微生物を効果的に溶解できる装置を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、空気試料中に含有されているすべての微生物を収集できる装置を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、簡易設計を有する装置を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、極端に小型化された装置を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、上述した様々なステップが、その中で、外部の汚染の危険性なく行われる密閉装置を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、操作者による試料の移動なしで、前記ステップがその中で行われ、それによってその汚染が予防される装置を提供することである。
【0024】
最後に、本発明の別の目的は、遠心処理または濾過などの追加の前処理ステップなしで、例えば増幅ステップおよび検出ステップを含む分子診断ステップで直接的に使用できる、緩衝液中の標的核酸を提供できる装置を提供することである。
【0025】
これらの目的は、とりわけ、本発明によって実現される。本発明は、第一に、空気収集手段の内部に配置でき、かつ核酸を回収する手段を受け入れることのできるカートリッジであって、前記カートリッジが実質的に円筒状であり、かつ微生物保持ゾーンを含み、前記保持ゾーンが微生物溶解手段を含むカートリッジに関する。
【0026】
微生物保持ゾーンは、微生物を保持し、溶解手段を適所に維持し、液体の存在下で溶解することができる物質を含むと有利である。上記物質は好ましくはゲル状物質である。
【0027】
上記ゲル状物質は、有利には、微生物培養培地でありうる。
【0028】
上記装置の変形形態の1つによれば、後者が、分析装置への接続のための手段を含む。
【0029】
溶解手段は、ビーズで構成されていることが好ましい。さらに好ましくは、ビーズの直径が200〜600μmである。
【0030】
本発明は、空気中に含有されている微生物を収集する装置であって、
−空気吸入ダクトを含む上部エレメントと、空気放出ダクトを含む下部エレメントとを含む空気収集手段であって、前記空気収集手段内部に気流を生成できるように、前記上部エレメントおよび下部エレメントを相互に連結することが可能である空気収集手段と、
−微生物保持ゾーンを含む実質的に円筒状のカートリッジであって、前記保持ゾーンが微生物溶解手段を含み、前記カートリッジが前記空気収集手段の内部に配置されているカートリッジと
を含む装置にも関する。
【0031】
空気収集手段は、空気再循環回路に接続可能である。
【0032】
本発明は、微生物を、前記微生物から核酸を単離する目的で溶解する装置であって、
−微生物保持ゾーンに置かれた微生物を含む、本発明によるカートリッジと、
−上記カートリッジ内に装着できる、実質的に円筒状の、核酸を回収する手段と
を含み、前記微生物を溶解し、かつ核酸の放出を可能にするために、前記回収する手段が微生物溶解手段と協働する装置にも関する。
【0033】
核酸を回収する手段は、液体を汲み上げる/送達する手段を含むと有利である。
【0034】
特に、核酸を回収する手段は、液体貯蔵ゾーンも含む。
【0035】
好ましい一実施形態によれば、カートリッジの内径が、核酸を回収する手段の外径より大きく、その結果、核酸を回収する手段がカートリッジ内に装着される場合、核酸を回収する手段の外壁からカートリッジの内壁を離している距離が、溶解手段がこの間隙空間内に存在することを可能にするのに十分大きく、かつ溶解手段が前記壁のいずれか1つと接触するのに十分小さい。
【0036】
本発明は、空気中に含有されている微生物を濃縮する方法であって、
a)カートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと
を含む方法にも関する。
【0037】
特定の一実施形態によれば、上記方法は、保持ゾーン内で微生物を増殖させるステップd)も含む。
【0038】
微生物は、保持ゾーン内に存在する溶解手段表面に保持されると有利である。
【0039】
本発明は、空気中に含有されている微生物を溶解させる方法であって、
a)カートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
f)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法にも関する。
【0040】
本発明は、空気中に含有されている微生物を溶解させる方法であって、
a)カートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
f)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法にも関する。
【0041】
本発明の別の主題は、空気中に含有されている微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)カートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
f)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
h)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法に関係する。
【0042】
本発明は、空気中に含有されている微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)カートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
f)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させ、それによって前記微生物から核酸を放出させるステップと、
h)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内への、対象とする液体の汲み上げを引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記汲み上げが行われ、そのように汲み上げられた、対象とする液体が、溶解中に放出された前記微生物の核酸を含有するステップと
を含む方法にも関する。
【0043】
これらの抽出方法は、カートリッジの保持ゾーン内に濃縮された微生物を増殖させる追加のステップd’)を優先的に含む。
【0044】
この増殖は、2〜24時間の範囲にある時間にわたって、カートリッジをインキュベーター内でインキュベートすることによって行われる。
【0045】
本発明の別の主題は、空気中に含有されている微生物を溶解させる方法であって、
a)微生物が保持ゾーンの近くに置かれるカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
c)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法に関係する。
【0046】
本発明の別の主題は、微生物を溶解する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮されるカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法に関係する。
【0047】
本発明の別の主題は、微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮されるカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
c)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させ、それによって前記微生物から核酸を放出させるステップと、
e)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内への、対象とする液体の汲み上げを引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記汲み上げが行われ、そのように汲み上げられた、対象とする液体が、溶解中に放出された前記微生物の核酸を含有するステップと
を含む方法に関係する。
【0048】
本発明の別の主題は、微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮されるカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
e)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法に関係する。
【0049】
本発明は、微生物を溶解する方法であって、
a)前記微生物を含有する液体試料を、保持ゾーンの近くで、本発明によるカートリッジの中に導入し、その結果、前記液体試料によってカートリッジの前記微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法にも関係する。
【0050】
「液体試料」という用語は、微生物を含有しうるいかなる液体試料も意味するものとする。それは、ヒト起源の液体試料でも、動物起源の液体試料でもよい。この試料は、例えば、尿試料、全血試料、血漿試料またはいかなる他の体液の試料でもよい。液体試料は、飲料などの食品起源のものでもよい。それは、水などの環境起源のものでもよい。さらに、液体試料は、flockedSWABSという名称でCopan社によって販売されたものなど、スワブタイプの表面試料採取装置上に含有されている潜在的微生物が、前記輸送液中における前記スワブの振動によって再懸濁されている「輸送」液でもよい。
【0051】
加えて、本発明は、微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)前記微生物を含有する液体試料を、保持ゾーンの近くで、本発明によるカートリッジの中に導入し、その結果、前記液体試料によってカートリッジの前記微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
d)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法に関係する。
【0052】
本発明の別の主題は、加えて、試料中に含有されている1または複数種の微生物を同定する方法であって、
a)本発明による装置によって、前記試料中に含有されている微生物から核酸を単離するステップと、
b)そのように単離された(1または複数種の)微生物を同定するステップと
を含む方法に関係する。
【0053】
本発明による同定方法の有利な一変形形態によると、前記方法は、核酸を精製する中間ステップも含む。この精製ステップは、溶解ステップで放出された他の細胞成分から核酸を分離することを可能にする。このステップは通常、核酸の濃縮を可能にするものであり、DNAまたはRNAの精製に適合させることができる。例として、吸着または共有結合によって、任意選択でオリゴヌクレオチドでコーティングされた、磁性粒子を用い(この点に関しては、特許US第4672040号明細書およびUS第5750338号明細書を参照)、それによって、これらの磁性粒子に結合した核酸を、洗浄ステップによって精製することが可能である。この核酸精製ステップは、その後に前記核酸を増幅することが意図されている場合、とりわけ有利である。これらの磁性粒子の特に有利な一実施形態が、特許出願WO−A−97/45202およびWO−A−99/35500に記載されている。核酸を精製する方法の別の有利な例は、カラムの形態、または不活性粒子(Boom R.ら、J.Clin.Microbiol.、1990、28(3)巻、495〜503頁)、もしくは磁性粒子(Merck:MagPrep(登録商標)シリカ、Promega:MagneSil(商標)常磁性粒子)の形態のいずれかにおけるシリカの使用である。他の極めて広範に使用されている方法は、カラムフォーマットまたは常磁性粒子フォーマット(Whatman:DEAE−Magarose(登録商標))(Levison PRら、J.Chromatography、1998、337〜344頁)におけるイオン交換樹脂に基づいている。本発明に極めて適切であるが、それに限られるわけではない別の方法は、金属酸化物支持体(Xtrana社:Xtra−Bind(商標)マトリックス)表面への吸着による方法である。
【0054】
詳細には、同定ステップは、
a)単離された核酸を特異的に増幅するサブステップと、
b)そのように増幅された核酸を検出するサブステップと
を含む。
【0055】
同定方法の優先的な一変形形態によると、同定ステップは、本発明による装置のカートリッジと液体を介して連絡している同定装置内で行われる。
【0056】
したがって、単離された核酸は、本発明による装置の、核酸を回収する手段から、同定装置へ輸送される。
【0057】
核酸の輸送は、核酸を含有する、対象とする液体の、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段による送達によって行われ、前記対象とする液体は、核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に含有されていることが有利である。
【0058】
微生物は、細菌、ウイルス、酵母、カビおよび寄生虫を含む群から選ばれる。
【0059】
微生物が単離される試料は、環境起源のものである。したがって、それらは、空気試料、または水などの液体試料、または表面試料でありうる。試料は、臨床起源のもの、すなわち、微生物、任意選択で病原微生物を探索および同定するための分析の対象となりうるヒト起源または動物起源の任意の試料でもよい。
【0060】
標的核酸の存在は、ハイブリダイゼーション反応の可視化によって実証される。「ハイブリダイゼーション反応」という用語は、捕捉核酸と、転写ステップ、逆転写ステップまたはNASBA(核酸配列に基づいた増幅)もしくはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)タイプの増幅ステップによって単離または生成された標的核酸との間のいかなる反応も意味するものとする。
【0061】
「核酸」という用語は、オリゴヌクレオチド、デオキシリボ核酸、およびリボ核酸、ならびにそれらの誘導体も意味するものとする。「オリゴヌクレオチド」という用語は、適したハイブリダイゼーション条件下で、少なくとも部分的に相補的なオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成できる一連の少なくとも2つの天然または修飾ヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、または両方)を指す。「修飾ヌクレオチド」という用語は、例えば、修飾塩基ならびに/またはヌクレオチド間結合のレベルおよび/もしくはバックボーンのレベルにおける修飾を含むヌクレオチドを意味するものとする。修飾塩基の例としては、イノシン、メチル−5−デオキシシチジン、ジメチルアミノ−5−デオキシウリジン、ジアミノ−2,6−プリンおよびブロモ−5−デオキシウリジンを挙げることができる。
【0062】
修飾ヌクレオチド間結合を例示するためには、ホスホロチオエート結合、N−アルキルホスホラミデート結合、アルキルホスホネート結合およびアルキルホスホジエステル結合を挙げることができる。
【0063】
FR−A−2607507に記載のものなどのα−オリゴヌクレオチド、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、8巻、16号、1998年8月18日、2219〜2222頁に記載のホスホロチオエート−LNAおよび2’−チオ−LNAなどのLNA、ならびにM.Egholmら、J.Am.Chem.Soc.(1992)、114、1895〜1897による論文の主題であるPNAが、バックボーンが修飾されているヌクレオチドでできているオリゴヌクレオチドの例である。
【0064】
ハイブリダイゼーション反応は、直接的手段または間接的な手段など、任意な検出手段によって可視化できる。
【0065】
直接的検出、すなわち標識化を介さない検出の場合、ハイブリダイゼーション反応は、プラズモン共鳴によってか、または導電性高分子を有する電極表面でサイクリックボルタメトリーによって観察される。
【0066】
間接的検出、すなわち標識化による検出の場合、標識化は、標的核酸上に直接行うことも、前記核酸に特異的な、事前標識化された結合パートナーによって行うこともできる。
【0067】
「標的核酸に特異的な結合パートナー」という表現は、標的核酸と結合できるいかなるパートナーも意味するものとし、例としては、核酸、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドおよび酵素基質が挙げられるであろう。
【0068】
「標識化」という用語は、検出可能なシグナルを直接的または間接的に生成できる標識の付着を意味するものとする。これらの標識の非限定的なリストは、例えば電気化学、比色定量、蛍光、ルミネッセンス、またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ(ALP)、α−ガラクトシダーゼまたはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼなどの酵素によって検出できるシグナルを産生する酵素;酵素阻害剤;酵素補因子;金粒子などの粒子、磁性ラテックス、リポソーム;ルミネッセンス化合物または発色化合物などの発色団、32P、35Sまたは125Iなどの放射性分子、フルオレセイン、ローダミン、Alexa(登録商標)、ウンベリフェロン、ルミノールまたはフィコシアニンなどの蛍光分子から成る。蛍光の場合、それは、酵素基質反応の蛍光産物、蛍光色素−クエンチャーの組合せ、蛍光消光、または蛍光特性に基づいた任意な他の系を用いるものでもよい。
【0069】
例えば、別の対であるリガンド/アンチリガンド対を用いる、間接的な系も使用できる。リガンド/アンチリガンド対は、当業者にはよく知られており、例えば、以下の対、すなわち、ビオチン/ストレプトアビジン、糖/レクチン、ポリヌクレオチド/上記ポリヌクレオチドに相補的な配列を挙げることができる。この場合、結合物質を保持しているのはリガンドである。アンチリガンドは、前の段落に記載した標識を介して直接的に検出可能であることも、リガンド/アンチリガンドを介してそれ自体検出可能であることもある。
【0070】
これらの間接的検出系は、特定の条件下でシグナルの増幅をもたらしうる。このシグナル増幅技法は、当業者にはよく知られており、出願人による先行の特許出願である、FR−A−2781802もしくはWO−A−95/08000、またはJ.Histochem.Cytochem.45:481〜491、1997の論文を参照できる。
【0071】
標的核酸の事前標識化は、ポリメラーゼによって、もしくはキナーゼによって、末端でランダムに、もしくは特異的に、標識を直接的または間接的に取り込むことによって、または分子の「中」に取り込むことによって行うことができる。
【0072】
標的分析物に特異的な結合パートナーの標識化は、当業者には広く知られており、例えば、Greg T.Hermanson、「Bioconjugate Techniques」、1996、Academic Press Inc、525B Street,San Diego,CA92101 USAによって記載されている。
【0073】
使用される結合体の標識化のタイプに応じて、例えば酵素を用いて、当業者は、標識を可視化する試薬を添加するであろう。このステップが、明らかにすることに相当する。その前に、バックグランドノイズを制限するために、反応に関与しないか、または弱くもしくは非特異的に結合する分析物または成分の画分の除去を可能にする洗浄用緩衝液の使用が先行する。
【0074】
本発明による装置の目的および利点は、図面を参照して、決して限定的なものではない以下の実施例に照らして、より明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態による空気収集手段の縦断面の分解図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による、微生物を収集するステップ中における、カートリッジがその中に置かれている空気収集手段の縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による、核酸を回収する手段をカートリッジの中に装着する過程の初期段階における、カートリッジ、および核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による、核酸を回収する手段をカートリッジの中に装着する過程の進んだ段階における、カートリッジ、および核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態による、核酸を回収する手段をカートリッジの中に装着する過程の最終段階における、カートリッジ、および核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態による、微生物を機械的に溶解するステップ中における、カートリッジの中に装着された、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態による、核酸を含有する、対象とする液体を、核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に汲み上げるステップ中における、カートリッジの中に装着された、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による、核酸を含有する、対象とする液体すべてが、核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に汲み上げられた場合における、カートリッジの中に装着された、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による、微生物を同定するための手段の提示中における、カートリッジの中に装着されている、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による、ひとたび、微生物を同定する手段がカートリッジと液体を介して連絡してからの、カートリッジの中に装着されている、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態による、核酸を含有する、対象とする液体を、微生物を同定する手段の中に輸送する初期段階における、核酸を回収する手段−カートリッジ−微生物集合体を同定する手段の縦断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態による、核酸を含有する、対象とする液体を、微生物を同定する手段の中に輸送した後における、核酸を回収する手段−カートリッジ−微生物集合体を同定する手段の縦断面図である。
【図13】第2の実施形態による、微生物を収集するステップ中における、カートリッジが置かれている空気収集手段の縦断面図である。
【図14】第2の実施形態による、対象とする液体を手操作で分配するステップ中における、カートリッジの縦断面図である。
【図15】第2の実施形態による、微生物を機械的に溶解するステップ中における、カートリッジの中に置かれた、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図16】第2の実施形態による、核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップ中における、カートリッジの中に置かれた、核酸を回収する手段の縦断面図である。
【図17】本発明による装置で、エアロゾル中に含有されている細菌を捕捉する能力の試験を意図する試験台の機能的スキームを表す図である。
【図18】本発明による装置の収集効率を、生成されたエアロゾル粒子のサイズの関数として示すグラフである。
【図19】本発明による装置を用いた細菌溶解効率と、従来技術の代替方法を用いたものとを比較するグラフである。
【図20】本発明による装置で、様々な懸濁液中に含有されている細菌を溶解し、かつ核酸を回収した後における、これらの細菌の、リアルタイムNASBA技法を用いたリアルタイム検出を示すグラフである。
【図21】本発明による装置で、様々な全血試料中に含有されている細菌を溶解し、かつ核酸を回収した後における、これらの細菌の、リアルタイムNASBA技法を用いたリアルタイム検出を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0076】
第1の実施形態によれば、本発明による装置を構成する第1のエレメントは、空気収集手段10である。この手段は、上部エレメント12および下部エレメント14で構成されている。上部エレメント12は、通常、円筒状の形態を有する。この円筒の下端は開いているが、上端は、水平な壁13によって部分的に閉じている。その中央部では、この壁13は、ダクト18によって上部エレメント12の内側に伸長するオリフィスを有し、ダクト18の基部は実質的に円錐の形態である。実際、この部分は、空気収集手段10の中への空気吸入ダクトを構成している。特定の一実施形態によれば、この空気吸入ダクトは、任意な適切な手段によって空気再循環回路のパイプに接続できる。
【0077】
空気収集手段10は、例えば10〜40mmの間、好ましくは20mmの外径を有しうる。空気吸入ダクトの内径は、例えば6mmである。
【0078】
この空気収集手段10は、有利には、とりわけオートクレーブによって、殺菌できる物質で作られたものでありうる。したがってそれは、アルミニウムまたは鋼鉄などの金属でできたものでありうる。それは、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などの高分子でできたものでもありうる。
【0079】
上部エレメント12の垂直な環状壁20の下端は、その外面上に肩201を含む。この凹みは、壁20の周縁全体にわたって作られている。それは、上部エレメント12と下部エレメント14との連結を容易にするように意図されている。
【0080】
下部エレメント14も、通常、円筒状の形態である。この円筒の上端は開いているが、下端は、その中央に実質的に円筒状の空気放出ダクト22を含む水平な壁21によって部分的に閉じており、前記ダクトの基部は、上記水平な壁と一体化している。ダクト22の下端は開いている。このダクトは、下部エレメント14の内部と連絡しており、それによって、ダクト22は、空気収集手段10の上部エレメント12と下部エレメント14とが連結された際に、空気吸入ダクト18によって空気収集手段10の中に入れられた空気の放出ダクトの役割を果たしている。
【0081】
下部エレメント14の垂直な環状壁24の上端は、その内面上に肩241を含む。この肩は、壁24の周縁全体にわたって作られている。壁20および壁24の端は相補的な形の断面を有しており、一体に装着するのを容易にしているという事実により、それも、上部エレメント12と下部エレメント14との連結を容易にするように意図されている。まず第1に、この連結が可逆的であるということが重要である。ひとたび一体に装着されれば、エレメント12およびエレメント14は、相互に取り外し可能であるべきである。
【0082】
エレメント12とエレメント14とを連結する代替の手段は、一方のエレメントをもう一方のエレメントにねじ入れることによって連結するものでありうる。このためには、エレメント12またはエレメント14のうちの一方の壁の端は、雄ネジを保持し、かつ第2のエレメントの壁の端は、対応するメスネジを保持しうる。
【0083】
重要なことは、空気のいかなる寄生流入も防止するために、収集手段が密閉されていることである。
【0084】
特定の1モードの空気収集手段の使用によれば、空気放出ダクト22の下端を空気吸引ポンプ(表示されていない)または任意の他の同等なポンピング手段に接続することができる。このポンプは、それが望ましい場合に、例えば、病室、または医薬製品もしくは食品加工産物を生産するための部屋などの所与の環境における、環境空気の分析を行うために、空気収集手段の中への環境空気の吸入を可能にする。このためには、自律的に作動するポンピング手段を有することが好ましい場合がある。
【0085】
図2は、その作動中に、カートリッジ30と組み合わされている空気収集手段10を表す。この図で見て取れるように、カートリッジ30は、空気収集手段10の内側に配置されている。これを行うため、空気収集手段10を構成するエレメント12およびエレメント14が分離される。カートリッジ30は、空気収集手段10の下部エレメント14の中に保持されるように置かれる。その後、上部エレメント12を、下部エレメント14の上に再配置し、これら2つの手段を連結する。空気収集手段10およびカートリッジ30で構成されている集合体は、その後、上述の通り、空気収集手段10の内部の空気の循環を引き起こすために、再循環回路またはポンピング装置に接続される。
【0086】
縦断面で、図2に表されているカートリッジ30は、実質的に環状な横断切片を有する円筒の一般的形態を有する。この円筒の上端は開いているが、下端は、中心にオリフィスを有する壁で構成されており、前記オリフィスの伸長方向に沿って、カートリッジ30の内側に伸長するダクト32が存在する。このダクトの内部断面は、それがダクトの上端に接近するに従って、より小さくなる傾向があることが見出される。さらに、このダクトの下端は膜34によって閉じており、それが隔壁の役割を果たしていることも見出される。膜34を構成する物質は、先端のとがった物体を用いた単純な圧力によって押し破かれるのに適している。この過程は、図9および10に関連して下記で説明する。この物質は、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリカーボネートである。
【0087】
図2で見て取れるように、カートリッジ30の下壁35の内側表面は傾斜上にあり、この傾きの最低点はダクト32と接触しており、最高点はカートリッジ30の垂直な壁36と接触している。この壁35は、溶解手段38の支持体として働き、微生物保持ゾーンを構成する。これらの溶解手段は、この場合、同一サイズのビーズによって構成される。好ましい一実施形態によれば、これらのビーズは、ガラスでできている。さりとて、それらは、鉄など、いかなる他の同等な物質でも構成されうるであろう。これらのビーズは、200〜800マイクロメートル(μm)の間の直径を有すると有利である。
【0088】
有利な一変形形態によると、ビーズは、異なったサイズのものでありうる。すなわち、直径が200〜300μmの間のビーズと、直径が400〜600μmの間のビーズとの混合物を使用することが、とりわけ適している可能性がある。
【0089】
ビーズは、1(または複数の)層のビーズが埋め込まれている層の形態で堆積しているゲル状物質によって、1または複数の重ねられた層の形態で適所に保たれる。このゲル状物質は、いくつかの制約条件を満たすべきである。第1は、カートリッジ内部で行われる過程に影響を与えないように、それが不活性であるべきであるということである。第2は、微生物溶解を実施するためにそれが捕捉している粒子を放出させるために、液体中への溶解能をそれが有するべきであるということである。そのような物質は、例えば、アガロースでありうる。
【0090】
代替として、ゲル状物質は、有利には微生物用の培養培地でありうる。実際、寒天培養培地は、従来より、in vitro診断の分野で極めて長い間使用されてきている。そのような培養培地の使用にはいくつかの利点がある。主な利点は、微生物の増殖段階を、後者の溶解が実行される前に可能にすることである。本発明による装置は、病原微生物の迅速な検出に結びついた必要性を満たそうとするものであるが、それでも、数分間から数時間の増殖段階によって、微生物の増殖が可能となるであろうことはそのままであり、それは、より多量の核酸を有するという直接的な効果を有する。培養培地の使用の第2の利点は、後者が、所与の1または複数の種に合わせて選択できることである。それにより、そのような培地の使用は、対象でない他の微生物および分析を妨害しうる他の微生物を阻害する、特定の病原微生物の選択的増殖と、それゆえ、それらの選択的検出とを可能にしうることになる。したがって、それぞれが特定種の微生物の検出に適している数通りの専門化したカートリッジを有することが企図できる。
【0091】
カートリッジ30の寸法は、内径に関して、例えば8〜16mmでありえ、12mmが好ましい。ビーズ層の全厚は、通常1〜2mmであり、これは、0.4〜1グラムの間のガラスビーズの量に相当する。
【0092】
カートリッジ30は、注入成形技法を用いて作製すると有利である。例えば、使用される物質は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートまたはPMMAである。
【0093】
空気収集手段中の空気の循環が始まった際に、前記空気が従う進路は、図2中の矢印によって表されている。したがって、空気は、空気吸入ダクト18を介して空気収集手段10に入ることが見出される。カートリッジ30のダクト32は、空気吸入ダクト18の中に部分的に挿入されているので、後者内の気流は、ダクト32の最上部で周辺流に変換されるようになる。これは、ダクト32の上端が実質的に円錐の形態であるという事実によって説明される。さらに、ダクト32の基部の膜34の存在は、ダクト32が極めて迅速に増圧状態になるので、空気がダクト32の中に貫入するのを防止する。吸入ダクト18の壁と、ダクト32の壁との間の間隙空間は、ダクト32の端が円錐形であることによって、突然狭くなっているので、周辺気流の加速がある。それにより、後者がビーズ38の上部層に衝突し、ゲル状物質または培養培地の表面において、圧入により、この部位における、気流中で輸送されていた微生物の残留をもたらすことになる。したがって、そのような過程は、エアロバイオコレクターで起こるものに比較的類似している。
【0094】
空気は、ポンピング手段によって吸引されて、それとしては、その経路を継続する。それは、カートリッジ30の垂直な壁36の内面に沿って昇り戻り、このレベルで、循環経路が広くなることによって減速する。それは、この同じ壁の外面に沿って再降下し、再び空気放出ダクト22の入り口で集中流に変換されるようになり、前記空気放出ダクトを介して空気収集手段10から外に出る。
【0095】
空気収集手段10内の、収集される空気の流速は、例えば、20〜100リットル/分(l/min)の間でありうる。それは、50l/minが有利である。
【0096】
ひとたび、カートリッジ内で微生物保持/濃縮ステップが実施されたならば、ずらすか、またはねじをゆるめてはずすことによって、空気収集手段の上部エレメント12および下部エレメント14をはずすことによって、カートリッジを前記手段から取り出す。
【0097】
この段階で、カートリッジ内に濃縮された微生物を培養することが望ましい場合には、37℃のインキュベーター内で前記カートリッジをインキュベートする機会がある。上記に既述の通り、このインキュベーションは通常、分析時間が大幅に延長されすぎないように、数十分間から数時間続けられる。さりとて、分析結果の取得が緊急でない場合には、細菌増殖の制約条件により適した、さらに長い時間、すなわち約24時間にわたって、カートリッジをインキュベートすることが企図されうる。
【0098】
同様に、分析を延期することが望ましい場合には、低温室など、この貯蔵に適した環境でカートリッジを保存することも企図されうる。
【0099】
本発明の一変形形態によると、カートリッジ30は、空気収集手段10に直接置かれた状態で提供されうる。このタイプの提示は、使用者が空気収集手段内にカートリッジを置かなければならいことを回避し、それゆえ、このステップの間における汚染の危険性を低減するという利点を有する。空気収集手段10がカートリッジ30と同じ物質、すなわち、ポリプロピレン、ポリカーボネートまたはPMMAでできていることは、この状況では、とりわけ有利である。したがって、注入成形による製造がとりわけ適している。
【0100】
分析が行われる場合、カートリッジ30は、図3に表されている通り、核酸を回収する手段40と連結される。前記手段は、矢印Aによって表される垂直方向の並進運動に従って、カートリッジ30の開いている端を介してカートリッジ内に挿入される。
【0101】
図3の縦断面に表されている、核酸を回収する手段40は通常、円形断面を有する円筒形のボディー42を含む。ボディー42は、その外壁の上部に肩43を有し、その機能は、核酸を回収する手段がカートリッジ30に完全に挿入された場合に、カートリッジ30の垂直な壁36の上端に対して押されることによって、カートリッジ30−核酸を回収する手段40集合体がリークタイトとなることを確実にすることである。さらに、ボディー42の外壁は、その最上部にいくつかの連続した凹みを有する。肩43それ自体の下に位置する凹み44は、図5に表されているように、手段40がカートリッジ30の中に完全に挿入された場合、垂直な壁36の上端で作られている肩45に対して押されるので、肩の役割を果たす。凹み44の下に配置されている第2の凹み46は、ボディー42の垂直な壁の外面と、カートリッジ30の垂直な壁36の内面との間に間隙空間が残るように、それとしては、ボディー42の直径が低減することを可能にする機能を有する。この空間の役割は下記で説明されるであろう。さらに、これらのすべての肩および凹みは、カートリッジ30および核酸を回収する手段40で構成される集合体がリークタイトであることを強化することを可能にしている。
【0102】
その基部で、ボディー42は、その中央の位置に、空洞47を有し、それは、円形断面を有する実質的に円筒状の形態であり、その上端は、実質的に円錐の形態である。同様に、それは、その上部における中央の位置に空洞48を含む。この空洞48は、円形断面を有する実質的に円筒状の形態であり、その下端が実質的に円錐の形態であり、対象とする液体50が入れられる貯蔵ゾーンを構成する。この液体は、ガラスビーズ38の再懸濁を可能にし、それだけでなく、ひとたび微生物が溶解されたならば、核酸の回収も可能にする。したがって、この液体は、一方では微生物に関して不活性であり、かつもう一方では核酸に関しても不活性であり、それだけでなく生物学的プロトコールに関しても不活性であることが重要である。したがって、この対象とする液体は通常、生物学的プロトコールの実施に適した緩衝液である。空洞47の中に含有される、対象とする液体の容積は、例えば、0.1〜0.4ミリリットル(ml)の間でありうる。
【0103】
対象とする液体がその役割を果たすことを可能にするために、空洞48は、プランジャー52および垂直位置にある腕54で構成されている汲み上げ/送達手段と協働し、プランジャー52の形態は空洞48の下部に相補的であり、腕54はプランジャー52と一体になっており、かつ空洞48の外側方向に伸長している。この腕の、プランジャー52に付着しているのとは反対側にある端は、汲み上げ/送達手段を、実質的に垂直な運動によって並進的に駆動する手段(表されていない)を連結できる特定の形態の頭部を有しうる。この駆動手段は、自動化された手段であることが好ましい。
【0104】
空洞48は、空洞47の上端に空洞48の下端を接続するチャネル56によって、空洞47と液体を介して連絡している。図3では、空洞47の上端に配置されている膜58によって、チャネル56が閉じており、空洞47が空になるのを防止している。この膜も、穿孔できる物質でできている。詳細には、この膜は、カートリッジ30のダクト32の上端によって穿孔されうる。
【0105】
図4に示す通り、核酸を回収する手段40の外側形態は、カートリッジ30の内部形態に完全に相補的である。それにより、手段40は、カートリッジ30内部に完全に収まり、ダクト32は、それ自体を空洞47の中に挿入することによって、ガイドの役割を果たすことになる。手段40は、手段40の下壁60がビーズ38に対して押されるまで入れられる。
【0106】
この段階で、図5に表されている矢印Bに従った、核酸を回収する手段のボディー42と、同時に、汲み上げ/送達手段とへの圧力運動がある。汲み上げ/送達手段のこの並進運動は、チャネル56を介した、対象とする液体50の、空洞47への送達、より詳細には、空洞47の内壁とダクト32の外壁との間の間隙空間への送達をもたらす。液体によって膜58に加えられた圧力が前記膜の穿孔または離脱をもたらすので、この送達は可能である。その後、対象とする液体50は、ガラスビーズ38が位置しているカートリッジの保持ゾーンへと移動し、このゾーンを満たし、ビーズを捕捉しているゲル状物質の懸濁を行い、それによって、汲み上げ/送達手段によって生成される、対象とする液体の流れにのって、ビーズが、核酸を回収する手段40とカートリッジ30の間の間隙空間62に運ばれる。この間隙空間は、600〜800μmの間の幅を有することが好ましいことに留意するべきである。この幅は、使用されるビーズ38の直径に直接的に結びついている。詳細には、ビーズは、この空間内で容易に循環可能であるべきであるが、核酸を回収する手段40による回転も可能であるべきである。このためには、ボディー42の外側の垂直な壁64が粗表面を有し、それがビーズの回転を容易にすることが好ましい。
【0107】
ひとたび、すべてのビーズがボディー42の外側の垂直な壁64に沿って配置されたならば、核酸を回収する手段をカートリッジの中に完全に挿入し、それによって、図5に表されている通り、それぞれカートリッジ30の壁の端および肩45に対して押されるとりわけ肩43と44の効力によって集合体をリークタイトにすることができる。
【0108】
当然ながら、ゲル状物質の表面およびビーズの表面に保持されている微生物は、ビーズ3と同様に、対象とする液体の流れによって、間隙空間62に輸送される。
【0109】
対象とする液体の輸送に関しては、対象とする液体がチャネル56の中に押し込まれる際に、ダクト32内に含有されている空気が放出されるのを、ダクト32の基部の膜34の存在が防止するようである。それにより、捕捉された空気によってダクト32内に生成される圧力によって、対象とする液体のダクト内への流入が防止され、それゆえ、前記対象とする液体が空洞47の内壁と前記ダクト32の外壁との間の間隙空間に浸潤することになる。
【0110】
ひとたび、ビーズ38がボディー42の外側の垂直な壁64に沿って分布され、かつ核酸を回収する手段40−カートリッジ30集合体が連結されたならば、溶解ステップそれ自体が開始される。このステップは、図6に表されている。この図で見て取れるように、核酸を回収する手段40は、矢印Cによって表されている方向に回転させる。このために、核酸を回収する手段40のボディー42は、任意の適した機械的共役手段によって、自動化された装置と連結されている。そのようなシステムは、とりわけ、回転速度の正確な調整を可能にする。
【0111】
さりとて、核酸を回収する手段を手操作で回転させることも企図できる。このために、把持手段(表されていない)をボディー42の上部に明確に提供することもできる。それにより、一方の手でカートリッジ30を持ちながら、これらの把持手段をもう一方の手で掴むことができる。
【0112】
例として、回転速度値は、300〜2000rpmの間、好ましくは1000rpmでありうる。
【0113】
回転時間は、それとしては、通常1〜2分の間である。
【0114】
これらの2つのパラメータの選択が、溶解することが意図されている微生物のタイプに依存していることはかなり明白である。すなわち、Saccharomyces cerevisiaeタイプの酵母を溶解するには、最適溶解条件は、2分間の1000rpmと等しい回転速度からなる。
【0115】
このステップ中に、ビーズ38は、核酸を回収する手段のボディー42に対する摩擦によって、対称軸の周りで回転させられる。この二重回転によって、ビーズ38とボディー42との間に捕捉されている微生物の機械的な溶解がもたらされる。これは、対象とする液体中への核酸の放出をもたらす結果となる。
【0116】
ひとたび、溶解ステップが完遂され、核酸が放出されれば、対象とする液体は、図7に表されている通り、汲み上げ/送達手段によって、空洞48の中に汲み上げられる。詳細には、腕54での牽引の任意の適した自動または手動手段による矢印Dに従った垂直方向の並進によって、汲み上げ/送達手段を移動させる。上記手段のこの並進運動は、空洞48への、対象とする液体50の汲み上げをもたらす。この汲み上げの間、対象とする液体は、溶解ステップの前におけるその送達中にそれが従った進路の逆の進路に従う。詳細には、それは、核酸を回収する手段40とカートリッジ30との間の間隙空間の中へと進行し、チャネル56を昇り戻り、空洞48の中に到達する。図7および8で見ることができるように、空洞48を満たす、対象とする液体には、微生物の標的核酸70が負荷されている。
【0117】
核酸を回収する手段40はカートリッジ30に完全に挿入されるので、ビーズを含まない微生物保持ゾーンの役割を果たす、前記手段40の下壁60とカートリッジの底部との間に位置する間隙空間は、ビーズ38の移動を可能にするには十分に大きくない。それにより、ビーズ38は、ボディー42の垂直な壁64に沿って配置されたまま残ることになる。
【0118】
同様に、空洞47の内壁とダクト32の外壁との間の間隙空間は、フィルターの役割を果たすのに、とりわけ溶解ステップ中に産生される細胞破片を保持するのに、とりわけ適している。これは、カートリッジの製造中および核酸を回収する手段の製造中に、この間隙空間のサイズが、とりわけよく制御され、かつフィルタリング効果を最適化するようなやり方で、前記カートリッジおよび前記核酸を回収する手段の寸法を調整できるためである。
【0119】
ひとたび、対象とする液体がすべて空洞48の中に汲み上げられたならば、前記液体を生物学的分析装置に輸送することが企図できる。この輸送は、分析装置の中へと直接的に行うことも、その最終エレメントが分析装置である流体回路の中へと行うこともできる。
【0120】
対象とする液体を装置の中に直接的に輸送する場合、(1または複数種の)微生物を同定するためのすべての核酸処理ステップが、装置それ自体の中で行われることが企図されている。したがって、例えば、装置の中で、標的核酸の増幅、これらの標的核酸の切断および標識化、および相補配列とのハイブリダイゼーションによる、その検出を行うことが企図されうる。
【0121】
図9では、流体分析装置80が部分的に縦断面で表されている。この装置80は、その上部に、核酸を回収する手段40−カートリッジ30集合体に流体を介して接続するための優先ゾーン82を含む。優先接続ゾーン82は通常、円錐の形態、より詳細にはダクト32の形態に相補的である。その最上部で、それは、装置80の内部流体回路86へのアクセスを得るための開口部84を有する。この図9で表されるように、流体分析装置80は、矢印Eに従って、優先接続ゾーン82を核酸を回収する手段40−カートリッジ30集合体の基部まで、詳細には、ダクト32を閉じている膜34のレベルまで持ち上げることによって、前記集合体に接続される。優先接続ゾーン82の端はとがっているので、後者が膜34と接触する際に、それは前記膜に穿孔し、ダクト32へのアクセスを開く。その後、分析装置80は、図10に表すように、それが接触状態になるまで、すなわち、優先接続ゾーンの外壁がダクト32の内壁に接触するまで、ダクト32の中に挿入される。核酸を回収する手段40−カートリッジ30集合体に、分析装置80がそのように接続された場合、優先接続ゾーン82の端がチャネル56の下端と接触するようになることが見出される。それにより、優先接続ゾーン82の上部で、流体装置80の壁が、チャネル56と、空洞47の内壁とダクト32の外壁との間の間隙空間との間の液体を介した連絡を断ち切ることになる。
【0122】
それにより、標的核酸70で負荷されている、対象とする液体50を操作者が分析装置80の中に輸送しようとする際に、再び、矢印Bに従った空洞48への垂直な推進によって前記手段が移動するように、汲み上げ/送達手段の腕54に圧力を加えることが十分となる。これは図11に表されている。
【0123】
汲み上げ/送達手段の移動によって、空洞48を空洞47に接続するチャネル56への、対象とする液体50および核酸70の輸送がもたらされる。チャネル56は、優先接続ゾーン82の開口部84によって、流体分析装置80の内部流体回路86と液体を介して直接的に連絡しているので、対象とする液体は、その後、前記液体が外部環境と接触するようになるいかなる危険性もなく、分析装置80の中に直接的に輸送される。チャネル56と、空洞47の内壁とダクト32の外壁との間の間隙空間との間の液体を介したいかなる連絡も遮断されているので、核酸を回収する手段40とカートリッジ30との間の間隙空間の中に、対象とする液体が漏れる危険性もない。これは図12で表されている。
【0124】
ひとたび、対象とする液体50および核酸70のすべてが流体分析装置80に輸送されたならば、核酸を回収する手段40−カートリッジ30集合体から前記装置を取り外すことができる。上記集合体は使用済みなので、それらは廃棄される。流体分析装置80は、それとしては、微生物の同定を行うのに後で使用される。
【0125】
有利な一実施形態によれば、図1〜12に関連して上述したすべてのステップ、とりわけ微生物溶解、核酸抽出、および流体分析装置への前記核酸の輸送に結びついたステップをアドホックシステムによって自動化できる。
【0126】
図13〜16は、本発明による装置の第2の実施形態を表す。考慮されている装置は、第1の実施形態による装置より簡易な設計を有する。
【0127】
この第2の実施形態による装置も、空気収集手段90を含む。この手段は、上部エレメント92および下部エレメント94で構成されている。上側のエレメント92は通常、円筒状の形態である。この円筒の下端は開いているが、上端は、水平な壁93によって、部分的に閉じている。この壁93は、その中央で、ダクト98によって上部エレメント92の中に伸長するオリフィスを有し、ダクト98の基部は、実質的に円錐の形態である。実際、この部分は、空気収集手段90の中への空気吸入ダクトを構成している。特定の一実施形態によれば、この空気吸入ダクトは、任意の適切な手段によって、空気再循環回路のパイプに接続できる。
【0128】
その下部に、ダクト98は、スクリーン99を含む。このスクリーンの機能は、空気収集手段90の内側における気流の均等な分布を可能にすることである。
【0129】
上部エレメント92の垂直な環状壁100の下端は、その外面上に肩100を含む。この凹みは、壁100の周縁全体にわたって作られている。それは、上部エレメント92と下部エレメント94との連結を容易にするように意図されている。
【0130】
下部エレメント94も、通常、円筒状の形態である。この円筒の上端は開いているが、下端は、その中央に実質的に円筒状の空気放出ダクト102を含む水平な壁101によって、部分的に閉じており、前記ダクトの基部は、上記水平な壁と一体化している。ダクト102の下端は開いている。このダクトは、下部エレメント94の内部と連絡しており、それによって、空気収集手段90の上部エレメント92と下部エレメント94とが連結した際に、ダクト102は、空気吸入ダクト98によって、空気収集手段90の中に入れられた空気の放出ダクトの役割を果たしている。
【0131】
下部エレメント14の垂直な環状壁104の上端は、その内面上に肩104を含む。この肩は、壁104の周縁全体にわたって作られている。壁100および壁104の端は相補的な形の断面を有しており、一体に装着するのを容易にしているという事実により、それも、上部エレメント92および下部エレメント94を一体に装着するのを容易にするように意図されている。第一に、この一体の装着が可逆的であることが重要である。ひとたび一体に装着されれば、エレメント92およびエレメント94は、相互に取り外し可能であるべきである。
【0132】
エレメント92およびエレメント94を一体に装着する代替の手段は、一方のエレメントをもう一方にねじ入れることによって、一体に装着することでありうる。このためには、エレメント92またはエレメント94のうちの一方の壁の端は、雄ネジを保持し、かつ第2のエレメントの壁の端は、対応するメスネジを保持しうる。
【0133】
重要なことは、空気のいかなる寄生流入も防止するために、収集手段が密閉されていることである。
【0134】
特定の1モードの空気収集手段の使用によれば、空気放出ダクト102の下端を空気吸引ポンプ(表示されていない)または任意の同等なポンピング手段に接続することができる。
【0135】
カートリッジ110は空気収集手段90の中に配置される。これを行うには、空気収集手段90を構成するエレメント92とエレメント94とが分離される。カートリッジ110は、空気収集手段90の下部エレメント94の中に保持されるように置かれる。その後、上部エレメント92を、下部エレメント94の上に再配置し、これら2つの手段を連結する。空気収集手段90およびカートリッジ110で構成されている集合体は、その後、上述の通り、空気収集手段10の内部の空気の循環を引き起こすために、再循環回路に接続されるか、またはポンピング装置に接続される。
【0136】
縦断面で表されているカートリッジ110は、低い高さと、実質的に環状の横断面と有する円筒状の一般的形態を有する。この円筒の上端は開いているが、下端は、壁112で構成されている。この壁112は、溶解手段118の支持体として働き、微生物保持ゾーンを構成する。これらの溶解手段は、上述の通り、ビーズで構成されている。ビーズは、上述の通り、1(または複数の)層のビーズが埋め込まれている層の形態で堆積しているゲル状物質によって、1または複数の重ねられた層の形態で適所に保たれる。
【0137】
空気収集手段中の空気の循環が始まった際に、前記空気が従う進路は、図13中の矢印によって表されている。したがって、空気は、空気吸入ダクト98を介して空気収集手段90に入ることが見出される。スクリーニング99の効力によって、空気は、均等に分布され、かつビーズ118の上部層に衝突し、ゲル状物質または培養培地の表面において、圧入により、この部位における、気流中で輸送されていた微生物の残留をもたらす。
【0138】
空気は、それとしては、ポンピング手段によって吸引されて、その経路を継続する。それは、カートリッジ110の壁の内面に沿って昇り戻る。それは、この同じ壁の外面に沿って再降下し、再び空気放出ダクト102の入り口で集中流に変換されるようになり、前記空気放出ダクトを介して空気収集手段90から外に出る。
【0139】
ひとたび、空気収集が行われたならば、空気収集手段90のエレメント92およびエレメント94がはずされ、カートリッジ110が回収される。
【0140】
その後、図14に表しているように、対象とする液体の分配ステップが行われる。このステップ中に、マニピュレーターが、図14に部分的に表されているピペット122を用いて、所与の容積の、対象とする液体120をカートリッジ110内に入れる。上記に説明した通り、対象とする液体は、例えば、溶解緩衝液でありうる。対象とする液体と、ビーズを捕捉しているゲル状物質との間の接触によって、前記物質の懸濁と、それゆえビーズそれら自体の懸濁とがもたらされる。カートリッジ110に入れられる、対象とする液体の容積は、例えば、0.5mlでありうる。
【0141】
ひとたび、このステップが行われれば、マニピュレーターは、核酸を回復する手段124をカートリッジ110の中に入れる。第1の実施形態で記述した手段40とは異なり、手段124は、汲み上げ/送達手段も、対象とする液体を受容できる空洞も含まない。この手段124は、実質的に円筒状の横断面を有し、上部に優先把持ゾーン126を有する。手段124の下壁128は、実質的に平らであり、ビーズに対して押される。その後、矢印Fの方向で、手段124を対称軸の周りで回転させることによって、マニピュレーターが溶解を行う。壁128の回転は、対称軸の周りにおける、ビーズ118の回転をもたらす。この二重回転によって、ビーズ118と壁128との間に捕捉されている微生物の機械的な溶解がもたらされる。これによって、対象とする液体中への核酸の放出がもたらされる結果となる。
【0142】
ひとたび、溶解ステップが完遂され、核酸が放出されれば、前記核酸70で負荷されている、対象とする液体は、図16に表されているように、ピペット122によって、マニピュレーターが汲み上げる。
【0143】
ひとたび、対象とする液体すべてがピペットに入れば、上述の通り、分析装置内で様々な核酸処理ステップを行うために、前記液体を分析装置に輸送することができる。それは、保存するために容器の中に入れることも、核酸処理ステップの前のステップを行うことが意図されている任意な装置の中に入れることもできる。そのようなステップは、例えば、依然として存在している細胞成分からそれらを分離することによって、核酸を濃縮することが意図されている精製ステップでありうる。本発明による装置が第2の実施形態で使用される場合、第2の実施形態が簡易設計であることによって、核酸で負荷されている、対象とする液体は、第1の実施形態による装置で行われ、かつ上記に説明したいかなる濾過も施されていないので、そのようなステップは、とりわけ重要である。
【実施例】
【0144】
実施例1
本発明による装置を用いた、エアロゾル中に含有されているBacillus subtilis胞子の捕捉効率の測定
この測定を行うために、リークタイト試験台を設計した。この試験台は図17に表されている。それは、エアロゾル発生器202によって、エアロゾルが入れられる密閉空気回路200で構成されている。この発生器は、既知濃度の胞子懸濁液から、一定量のBacillus subtilis(CIP52.62)胞子を気流中に導入することを可能にする。適したエアロゾル発生器は、例えば、TSI社によって販売されている。空気は、吸引ポンプ204によって、回路内を循環する。空気中に含有されている粒子、とりわけほこりの粒子の除去を可能にするために、3枚のTHEフィルター206が回路に沿って存在している。圧力計208は、回路内の圧力の確認を可能にし、2つの流量計210は、回路内における空気の流速の確認を可能にする。本発明による装置は、212として参照されている。それは、空気収集手段10で構成されており、その中に、カートリッジ30が置かれている。この収集手段は、上記に説明した通り、空気回路に接続されている。最後に、空気回路内の2つの試料採取源が、装置212のすぐ上流と、すぐ下流とに配置されている。これらのレベルで試料採取された空気は、一定の画分の形態で、粒子すなわち画分中に含有されているBacillus subtilis胞子の空気力学測定を行うために、スペクトロメーター214に送られる。このスペクトロメーターは、TSI社販売のAerodynamic Particle Sizer(登録商標)モデル3321である。スペクトロメーターへ送られる、この補助回路の中への空気の輸送は、バルブ216によって行われ、これらによって、装置212の上流または下流における試料採取を容認または防止することを可能にする。上流画分および下流画分の差分解析は、本発明による装置によるBacillus subtilis胞子の捕捉効率を計算することを可能にする。
【0145】
本発明による装置を通過する空気の流速は、制御された湿度および温度条件(25℃、35%の相対湿度)下で、50l/minである。この流速はポンプ204によって得られる。
【0146】
本発明による装置の捕捉効率を、以下の2つの条件下で試験した。
−ビーズ36がゲル状物質なしでカートリッジ内に配置されているカートリッジを用いた、Bacillus subtilis胞子の捕捉効率の測定。
−ビーズ36がカートリッジ内に配置され、かつグリセロールの薄膜コーティングで覆われているカートリッジを用いた、Bacillus subtilis胞子の捕捉効率の測定。この産物は、十分に高粘着性であり、収集皿へのエアロゾルの良好な接着を提供し、かつ後続の分子分析を概ね妨げない。
【0147】
グリセロールの存在下および非存在下で得られた結果を図18に示す。この図では、発生器202によって生成されたエアロゾル粒子の直径の関数として、Bacillus subtilis胞子の収集効率を相関させることが可能である。
カートリッジ内にビーズ36を覆うゲル状物質が存在しない場合、本発明による装置による胞子収集効率が、最大70%超にまで及びうるようである。
カートリッジ内にビーズ36を覆うゲル状物質が存在する場合、収集効率は、90%超にまで上昇する。
グリセロール型のゲル状物質の存在下における収集効率の増大は、胞子がこの物質に固着したまま残るという事実によって説明される。ゲル状物質の非存在下では、ビーズ表面で胞子が跳ね返って、それによって、それらがビーズに固着したまま残るのを阻止する現象がわずかに起こる。
【0148】
実施例2
本発明による溶解方法と代替方法との間の比較による溶解効率の測定
この場合、以下の3通りの溶解方法が、本発明による方法と比較される。
−FastPrep(商標)装置(Thermo Electron Corporation社販売のFP120型、BIO101)を用いた機械的溶解方法。
−リゾチームを用いた酵素的溶解方法。
−細胞懸濁液を90℃に加熱するステップおよびそれに続く細胞の凍結溶解3ステップを組み合わせた、カオトロピック試薬(グアニジウムイソチオシアネート、GuSCN)を用いた方法。
この実施例では、使用される細胞は、懸濁液中のBacillus cereusである。
溶解ステップの後に、出願人が販売するNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出システムを用いて、回収した核酸を精製する。精製された核酸は、最後に、SYBRGreen検出方法(Molecular Probes社)を用いて定量化される。比較試験の正確なステップを以下に記載する。
【0149】
−ステップ1:Bacillus cereus懸濁液の調製
Bacillus cereusの培養は、TSA(トリプチケースソイ)プレートの寒天培養培地上で行う。細菌コロニーを寒天上に回収し、出願人が販売するNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液3(参照番号280132)中で洗浄する。ひとたび細胞が洗浄されたならば、波長600nmで光学濃度0.5を有する細菌懸濁液を得るために、それらを同じ抽出緩衝液5mlで希釈する。
【0150】
−ステップ2a:FastPrep(登録商標)装置を用いた溶解
1gのガラスビーズの混合物(等しい割合の様々なサイズ、すなわち150〜212μm、420〜600μmおよび700〜1180μmのビーズ)で満たされた2mlチューブに、細菌懸濁液0.5mlを移す。FastPrep(登録商標)装置を最高回転速度で(6.0に設定)60秒間使用する。ひとたび溶解が完了したならば、精製ステップを行うために、溶解物100μlをNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置内に移す。
【0151】
−ステップ2b:本発明による装置を用いた溶解
細菌懸濁液0.3mlを上述したカートリッジ110と同等なカートリッジ内に移す。このカートリッジは、その後、ガラスビーズの混合物(等しい割合の様々なサイズ、すなわち150〜212μm、212〜300μmおよび420〜600μmのビーズ)0.4gで満たされる。このカートリッジを、核酸を回収する手段と接触させる。後者を2000rpmで2分間、回転させる。ひとたびこの溶解ステップが行われたならば、精製ステップを行うために、溶解物100μlをNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置内に移す。
【0152】
−ステップ2c:酵素的溶解
リゾチームを用いたこの溶解方法では、細菌懸濁液100μlをリゾチーム溶液(50mg/ml)100μlと混合する。この混合物を37℃で30分間インキュベートする。このインキュベーションの後、精製ステップを行うために、全溶解物(200μl)をNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置内に移す。
【0153】
−ステップ2d:カオトロピック溶解
細菌懸濁液100μlをGuSCNの濃縮溶液(5mol/l)100μlと混合し、全混合物を30分間インキュベートする。このインキュベーションの後、精製ステップを行うために、全溶解物(200μl)をNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置内に移す。
【0154】
−ステップ3:NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置を用いた、溶解物の精製
精製ステップは、NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置の汎用抽出プロトコールを用いて行う。出願人が販売するNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)溶解緩衝液(参照番号280134)2ml、および出願人が販売するNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)磁性シリカ粒子(参照番号280133)の懸濁液50μlを各溶解物に添加する。各溶解物の核酸を25μlのNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液3中に溶出させる。
【0155】
−ステップ4:核酸の検出
各溶出液中の核酸量を決定するために、前記溶出液10μlを0.2ml PCRチューブ内に入れる。その後、SyberGreen溶液180μlを試料に添加し、出願人が販売するNucliSENS EasyQ(登録商標)装置を用いて蛍光シグナルを測定する。
【0156】
蛍光測定の結果は図19に示されている。対応は以下の通りである。
A=FastPrep(登録商標)装置を用いた溶解
B=本発明による装置を用いた溶解
C=酵素的溶解
D=カオトロピック溶解
【0157】
図19を分析することによって、本発明による装置の溶解効率は、FastPrep(登録商標)の機械的溶解方法のものと類似したものであることが見出される。さらに、これらの2つの機械的方法は、酵素的溶解方法またはカオトロピック試薬を用いた化学的溶解方法より、有意に効率的である。
【0158】
実施例3
NASBA法による検出と組み合わせた本発明による装置を用いたBacillus懸濁液の溶解
NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液3中に希釈されたBacillus cereusの懸濁液0.3mlを本発明によるカートリッジの中に導入する。前の実施例で記載した本発明による溶解方法を2分間、再現する。溶解ステップの後に、溶解物5μlを使用して、Bacillus cereusに特異的なプライマーおよびプローブを用い、NucliSENS EasyQ(登録商標)装置を用いた蛍光によって、リアルタイムNASBA法による検出を行う。検出に用いる標的遺伝子はEF−tu遺伝子である。増幅産物のサイズは115ヌクレオチドである。
6から6×10の範囲の様々な量のBacillusを用いた。
図20は、蛍光のリアルタイム生成を、本発明による装置に導入された様々な量のBacillus cereusの関数として示す。この図では、対応は以下の通りである、
a=6×10桿菌を含む試料
b=6×10桿菌を含む試料
c=6×10桿菌を含む試料
d=600桿菌を含む試料
e=60桿菌を含む試料
f=6桿菌を含む試料
g=桿菌を含まない試料
【0159】
図20の観点から、検出された蛍光のレベルと、試料中に含有されていた細菌の数との間に極めて良い相関関係が観察される。さらに、細菌を含有しない試料と、6細菌のみ含有する試料との間に有意な相違が見出される。最後に、この分析の結果から、本発明による装置は、NASBA型の核酸増幅法の使用に適したレベルの実績を提供することが推論できる。
NASBA法で増幅を行う前に、核酸を濃縮することによって、この分析の感受性を改善できるであろうことに留意するべきである。そのような濃度ステップは、例えば、NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置を用いて行うことができる。
【0160】
実施例4
本発明による装置を用いた全血試料の分析
この実施例では、本発明による装置を用いて、Bacillus cereusの集団が添加されている全血試料を分析する。血液試料は、健康な個体から得る。
Bacillus cereusの培養は、TSA(トリプチケースソイ)プレートの寒天培養培地上で行う。細菌コロニーを寒天上に回収し、NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液3で洗浄する。ひとたび細胞が洗浄されたならば、波長600nmで光学濃度0.5を有する細菌懸濁液を得るために、それらを同じ抽出緩衝液5mlで希釈する。この保存懸濁液は、約2.2×10細菌/mlを含有している。1つは10細菌/ml、そして1つは10細菌/mlである異なった濃度を有する懸濁液を得るために、この保存懸濁液をNucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液3で希釈する。
【0161】
各希釈懸濁液について、続いて用いられるプロトコールは以下の通りである。
1.希釈懸濁液24μlを血液150μlに添加して、混合する。
2.本発明によるカートリッジの中に、NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)抽出緩衝液1(参照番号280130)125μlを導入する。
3.今度は細菌で負荷した血液試料をカートリッジに導入する。
4.カートリッジを、核酸を回収する手段と接触させることによって、溶解ステップを行う。核酸を回収する手段を2000rpmで2分間回転させる。
5.100μlの溶解物をカートリッジ内に汲み上げる。
6.実施例2のステップ3に記載の通り、NucliSENS(登録商標)easyMAG(商標)装置を用いて、この溶解物の精製を行い、溶出液25μlの回収を可能にする。
7.この溶出液5μlを使用して、リアルタイムNASBA技法を用いて、増幅および検出を行う。
【0162】
結果は、図21に示されている。この図では、対応は以下の通りである。
a=53桿菌を含有する全血試料(10細菌/mlの希釈懸濁液)
b=5桿菌を含有する全血試料(10細菌/mlの希釈懸濁液)
c=5桿菌を含有する全血試料(10細菌/mlの希釈懸濁液)
d=細菌を含まない全血試料
【0163】
示されている結果は、10および10細菌/mlの希釈懸濁液に対応している。さらに、10細菌/mlの懸濁液用の分析はデュプリケートで行われた。
【0164】
本発明によるカートリッジに導入された希釈懸濁液の容積の観点から、10細菌/mlおよび10細菌/mlの懸濁液における細菌の実際の量は、それぞれ5細菌および530細菌である。
【0165】
したがって、本発明による装置を用いた、5細菌のみを含有する試料の分析は、陽性の検出シグナル(曲線群bおよびc)を生成し、これは、細菌を含有しない試料で得られた結果(曲線d)から、明確に識別できることが見出される。
【0166】
さらに、少量の細菌を用いた場合でさえ、結果が再現可能であることが見出される。これは、曲線BおよびCによって示されている。
【0167】
精製ステップの終わりに得られた25μlのうち5μlのみを用いただけで、この極めて良好な感受性が得られたことに留意するべきである。したがって、この感受性は、精製の後に試料を濃縮するステップを行うことによってさらに改善できる。
【0168】
すなわち、これらの実施例から、本発明による装置は、空気試料中に含有されている細菌を収集し、それらを溶解し、そして分析用に前記細菌から核酸を回収することを可能にする有効なツールであることが明らかになる。このために、使用される装置は、まず第一に空気収集手段の中に導入されたカートリッジと、第二に、核酸を回収する手段を組み合わされた、収集された細菌を含有するカートリッジとで構成されるであろう。
【0169】
本発明による装置は、全血試料などの臨床試料の分析にも完全に適している。この場合、カートリッジは空気収集手段なしで用いられる。液体試料をカートリッジの中に入れ、その後、細菌を溶解して、核酸を回収するために、後者を、核酸を回収する手段と組み合わせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気収集手段の内部に配置され、核酸を回収する手段を受け入れることのできるカートリッジであって、実質的に円筒状であり、微生物保持ゾーンを含み、前記保持ゾーンが微生物溶解手段を含むカートリッジ。
【請求項2】
微生物保持ゾーンが、微生物を保持し、溶解手段を適所に維持し、液体の存在下で溶解することができる物質を含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記物質がゲル状物質である、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記ゲル状物質が微生物培養培地である、請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
分析装置を接続するための手段も含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
溶解手段がビーズで構成されている、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
ビーズの直径が200〜600μmである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項8】
空気中に含有されている微生物を収集する装置であって、
−空気吸入ダクトを含む上部エレメントと、空気放出ダクトを含む下部エレメントとを含む空気収集手段であって、前記空気収集手段内部に気流を生成できるように、前記上部エレメントおよび下部エレメントを相互に連結することが可能である空気収集手段と、
−前記空気収集手段の内部に配置された、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジと
を含む装置。
【請求項9】
空気収集手段が、空気再循環回路に接続可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
微生物を、前記微生物から核酸を単離する目的で溶解する装置であって、
−微生物保持ゾーンに置かれた微生物を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカートリッジと、
−カートリッジ内に置くことができる、実質的に円筒状の、核酸を回収する手段と
を含み、前記微生物を溶解し、核酸の放出を可能にするために、前記回収する手段が微生物溶解手段と協働する装置。
【請求項11】
核酸を回収する手段が、液体を汲み上げる/送達する手段を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
核酸を回収する手段が、液体貯蔵ゾーンも含む、請求項10および11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
カートリッジの内径が、核酸を回収する手段の外径より大きく、その結果、核酸を回収する手段がカートリッジ内に装着される場合、核酸を回収する手段の外壁からカートリッジの内壁を離している距離が、溶解手段がこの間隙空間内に存在することを可能にするのに十分大きく、かつ溶解手段が前記壁のいずれか1つと接触するのに十分小さい、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
空気中に含有されている微生物を濃縮する方法であって、
a)請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと
を含む方法。
【請求項15】
保持ゾーン内で微生物を増殖させるステップd)も含む、請求項14に記載の濃縮方法。
【請求項16】
保持ゾーン内に存在する溶解手段上に微生物が保持される、請求項14および15のいずれか1項に記載の濃縮方法。
【請求項17】
空気中に含有されている微生物を溶解する方法であって、
a)請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
f)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が、懸濁液中に入るステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法。
【請求項18】
空気中に含有されている微生物を溶解する方法であって、
a)請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
f)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
g)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法。
【請求項19】
空気中に含有されている微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
f)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
g)前記カートリッジ内部で、前記核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
h)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法。
【請求項20】
空気中に含有されている微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを、前記カートリッジ内部の保持ゾーンが空気収集手段の空気吸入ダクトと連絡するように、空気収集手段の内部に置くステップと、
b)任意の適切な手段によって、前記空気収集手段への空気の流入を引き起こすステップと、
c)カートリッジの保持ゾーンで、空気中に含有されている微生物を濃縮するステップと、
d)空気収集手段からカートリッジを取り出すステップと、
e)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
f)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
g)前記カートリッジ内部で、前記核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させ、それによって前記微生物から核酸を放出させるステップと、
h)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内の、対象とする液体の汲み上げを引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記汲み上げが行われ、そのように汲み上げられた、対象とする液体が、溶解中に放出された前記微生物の核酸を含有するステップと
を含む方法。
【請求項21】
カートリッジの保持ゾーン内に濃縮された微生物を増殖させる追加ステップd’)を含む、請求項17乃至20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
増殖が、2〜24時間の範囲のある時間にわたって、カートリッジをインキュベーター内でインキュベートすることによって行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
微生物を溶解する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に装着するステップと、
c)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、核酸を回収する手段とカートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、カートリッジの垂直な内壁と、核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法。
【請求項24】
微生物を溶解する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法。
【請求項25】
微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを得るステップと、
b)前記核酸を回収する手段を前記カートリッジ内に装着するステップと、
c)前記核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に事前に入れられた、対象とする液体の送達を引き起こすステップであって、前記核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記送達が行われ、そのように送達された液体が、前記核酸を回収する手段と前記カートリッジとの間に位置する間隙空間を満たし、それによって、前記カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入り、前記溶解手段が、前記カートリッジの垂直な内壁と、前記核酸を回収する手段の垂直な外壁との間に存在するようになるステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解させるステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させ、それによって前記微生物から核酸を放出させるステップと、
e)核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内の、対象とする液体の汲み上げを引き起こすステップであって、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段によって前記汲み上げが行われ、そのように汲み上げられた、対象とする液体が、溶解中に放出された前記微生物の核酸を含有するステップと
を含む方法。
【請求項26】
微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)微生物が保持ゾーンで濃縮される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジを得るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)対象とする液体をカートリッジ内に導入し、それによって、カートリッジの微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
d)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
e)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法。
【請求項27】
微生物を溶解する方法であって、
a)前記微生物を含有する液体試料を、保持ゾーンの近くで、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジの中に導入し、その結果、前記液体試料によってカートリッジの前記微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと
を含む方法。
【請求項28】
微生物から核酸を抽出する方法であって、
a)前記微生物を含有する液体試料を、保持ゾーンの近くで、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジの中に導入し、その結果、前記液体試料によってカートリッジの前記微生物保持ゾーンに位置する溶解手段が懸濁液中に入るステップと、
b)核酸を回収する手段をカートリッジ内に置くステップと、
c)カートリッジ内部で、核酸を回収する手段を回転させることによって、微生物を機械的に溶解するステップであって、微生物がその上に保持されている溶解手段を、前記核酸を回収する手段が回転させるステップと、
d)溶解中に放出された、前記微生物の核酸を含有する、対象とする液体を汲み上げるステップと
を含む方法。
【請求項29】
試料中に含有されている1または複数種の微生物を同定する方法であって、
−請求項8乃至13のいずれか一項に記載の装置によって、前記試料中に含有されている微生物から核酸を単離するステップと、
−そのように単離された(1または複数種の)微生物を同定するステップと
を含む方法。
【請求項30】
核酸を精製する中間ステップも含む、請求項29に記載の同定方法。
【請求項31】
同定ステップが、
−単離された核酸を特異的に増幅するサブステップと、
−そのように増幅された核酸を検出するサブステップと
を含む、請求項29および30のいずれか1項に記載の同定方法。
【請求項32】
同定ステップが、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の装置のカートリッジと液体を介して連絡している同定装置内で行われる、請求項29乃至31のいずれか一項に記載の同定方法。
【請求項33】
単離された核酸を、請求項10乃至13のいずれか一項に記載の装置の核酸を回収する手段から、同定装置に輸送する、請求項32に記載の同定方法。
【請求項34】
核酸を含有する、対象とする液体の、核酸を回収する手段の汲み上げ/送達手段による送達によって核酸の輸送が行われ、前記対象とする液体が、核酸を回収する手段の貯蔵ゾーン内に含有されている、請求項33に記載の同定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2010−528643(P2010−528643A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510863(P2010−510863)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051012
【国際公開番号】WO2009/001010
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】