環境影響算定装置および環境影響算定方法
【課題】 より正確な発電原単位を提示する環境影響算定装置および環境影響算定方法を提供する。
【解決手段】 評価範囲を設定する評価範囲設定部10と、発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベース21から発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部20と、少なくとも蓄電池の製造時における環境負荷情報をと蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベース31から、評価範囲における電池特性情報を取得する電池特性取得部30と、蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベース41から、評価範囲における電池状態情報を取得する電池状態取得部40と、取得部20、30、40、で取得された情報に基づいて、蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部50と、蓄電池の電池原単位を用いて、発電原単位を算定する発電原単位算定部60と、を備える。
【解決手段】 評価範囲を設定する評価範囲設定部10と、発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベース21から発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部20と、少なくとも蓄電池の製造時における環境負荷情報をと蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベース31から、評価範囲における電池特性情報を取得する電池特性取得部30と、蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベース41から、評価範囲における電池状態情報を取得する電池状態取得部40と、取得部20、30、40、で取得された情報に基づいて、蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部50と、蓄電池の電池原単位を用いて、発電原単位を算定する発電原単位算定部60と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、環境影響算定装置および環境影響算定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電出力を充放電する蓄電池の環境影響評価は、製造段階では使用材料や製造エネルギーによる影響を計上し、使用段階ではライフサイクルの平均的な充放電損失による影響を計上し、廃棄段階では平均的なリサイクルシナリオを考慮した廃棄段階の影響を計上している。
【0003】
すなわち、この様な評価は使用段階の蓄電池の性能劣化の影響は平均値や代表値であり、他の段階も同様に平均値か代表値となるため、蓄電池の環境影響は一定値となる。
【0004】
一方、蓄電池が設置された発電設備の環境影響は電池の充放電損失特性の劣化にともない増加する。例えば、蓄電池の損失が増えることは、蓄電池を設置した発電機のエネルギー損失が増えることであり、その分、他の電源が発電エネルギーを負担することになる。ここで、他の電源とは一般的には系統電源となり、系統電源は低炭素型電源では無いため、CO2排出量などの環境影響は増加することになる。この蓄電池の特性劣化による影響は、CO2排出権取引など経済的な取引の根拠に用いる環境影響計算には精度を高める点から含めることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−74977号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】梶山啓輔、岡島敬一、内山洋司「ライフサイクルからみた蓄電池の電力負荷平準化等によるエネルギー・環境改善効果」 Journal of LCA, vol2. No.4 October 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであって、蓄電池の劣化を考慮した方法により、より正確な発電原単位を提示する環境影響算定装置および環境影響算定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、評価範囲を設定する評価範囲設定部と、発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得する前記電池状態取得部と、前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態において発電原単位を算出する発電設備の一例を説明するための図である。
【図2】第1実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図3】蓄電池の年間充放電サイクル数に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図4】蓄電池の使用温度の年平均に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図5】蓄電池の放電深度の年平均に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図6】蓄電池の年間充放電サイクル数に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図7】蓄電池の使用温度の年平均に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図8】蓄電池の放電深度の年平均に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図9】図3に示す劣化特性の一例において、基準とした年間充放電サイクル数に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図10】図4に示す劣化特性の一例において、基準とした使用温度の年平均に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図11】図5に示す劣化特性の一例において、基準とした放電深度の年平均に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図12】図6に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図13】図7に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図14】図8に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図15】第2実施形態において発電原単位を算出する発電設備の一例を説明するための図である。
【図16】第2実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図17】第3実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図18】第4実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図19】第5実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図20】第5実施形態の環境影響算定装置においてセル・蓄電池状態を算定する動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では環境影響評価の指標としてCO2排出量を取り上げるが、SOx排出量、NOx排出量、などその他の指標であっても構わない。
【0011】
図1に、本実施形態において発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する発電設備を概略的に示す。本実施形態では、複数の二次電池セルを含む蓄電池と、太陽光発電装置等の発電源と、を備えた発電設備の発電原単位を算出する。発電源は蓄電池を充電するとともに発電電力を出力している。発電設備の総発電量は発電源から出力される発電量と、蓄電池の放電量との和である。ある評価範囲において、例えば発電源の発電源原単位は40[g−CO2/kWh]であって、蓄電池の電池原単位は120[g−CO2/kWh]であって、発電設備の発電原単位は50[g−CO2/kWh]である。
【0012】
図2に、第1実施形態の環境影響算定装置の一構成例を示す。本実施形態の環境影響算定装置は、蓄電池を備えた太陽光発電システムなどの発電設備について、蓄電池を含む発電設備の環境影響(発電原単位)を算定するものであって、発電源情報データベース21と、電池製造時の環境負荷情報と電池使用時の充放電損失の性能劣化情報を格納した電池特性データベース31と、電池の使用状況に関する情報を格納した電池状態データベース41と、演算部1と、を備えている。
【0013】
環境影響算定装置には、表示部3と、入力部5と、I/Oインタフェース7とが接続されている。表示部3は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置である。入力部5は、キーボードやマウス等の入力手段であってもよく、タッチパネルのように表示部3と一体の入力手段であってもよい。I/Oインタフェース7は、通信インタフェース、USBインタフェース、i.Link(登録商標)インタフェース、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に合致したHDMIインタフェース等である。
【0014】
発電源情報データベース21には、発電源のライフサイクルにおける発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値が格納されている。この値は予め演算されて発電源情報データベース21に格納される。
【0015】
電池特性データベース31には、蓄電池のライフサイクルにおける電池一生の電池総放電量[kWh]、蓄電池製造時のCO2排出量(製造CO2:材料消費負荷と製造エネルギー負荷)、蓄電池使用時の一生の充放電損失によるCO2排出量(充放電CO2)、蓄電池廃棄時のCO2排出量(廃棄CO2)、および、サイクル影響、温度影響、放電深度影響などに対する蓄電池の劣化特性が格納されている。
【0016】
電池状態データベース41には、蓄電池の状態情報が格納されている。蓄電池の状態情報とは、評価期間内での放電量である指定期間放電量、電池の使用期間である経年、充放電した回数であるサイクル数、電池が置かれている状況を示す平均使用温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。
【0017】
なお、電池状態データベース41に格納している蓄電池の状態情報は、発電設備に含まれる蓄電池を管理する運転計画システムから自動的に更新されてもよい。蓄電池の状態情報を自動的に取得することにより、最新データを用いた発電原単位の算定が可能となる。
【0018】
また、発電源情報データベース21、電池特性データベース31、電池状態データベース41に格納された各種情報は、LAN等のネットワーク経由で自動的に更新されてもよい。この場合、環境影響算定装置と発電設備と遠隔に配置されている場合でも、発電源情報データベース21、電池特性データベース31、電池状態データベース41に格納された各種情報を自動的に更新されることとなり、最新データを用いた発電原単位の算定が可能となるとともに、評価者が遠隔にいる場合にも算定結果を容易に利用できる。
【0019】
図2に示す場合では、環境影響算定装置が発電源情報データベース21と、電池特性データベース31と、電池状態データベース41と、を備えていたが、これらのデータベースは環境影響算定装置の外部に設けられたデータベースであってもよい。
【0020】
次に、演算部1の構成例と演算部1での発電原単位の算定方法について説明する。
演算部1は、発電源情報データベース21と、電池特性データベース31と、電池状態データベース41とに格納された情報に基づいて算出された使用状況に応じた蓄電池の環境負荷算定結果を用いて、発電設備のライフサイクル期間の特定した時点における発電原単位を算出する。
【0021】
演算部1は、評価範囲設定部10と、発電源情報取得部20と、電池特性取得部30と、電池状態取得部40と、電池原単位算定部50と、発電原単位算定部60と、結果出力部70と、を備えている。
【0022】
評価範囲設定部10は、対象とする設備、対象とする環境影響要因(CO2排出量、温暖化影響、水域影響、生態系影響など)、対象とするライフサイクル範囲、など評価に必要な条件に加え、電池の劣化状況を把握する評価対象時間を設定する。評価対象時間は、通常、評価時点における直近の時間帯であって、「何年何月何日の何時から何時」という設定となる。評価範囲設定部10には、例えばユーザが入力部5を操作することにより所定の評価対象時間が入力される。
【0023】
発電源情報取得部20は、発電源情報データベース21から、評価範囲設定部10で設定された時点における発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を取得して、電池特性取得部30へ出力する。
【0024】
電池特性取得部30は、発電源情報取得部20から発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を取得するとともに、電池特性データベース31から蓄電池の一生の電池総放電量[kWh]、製造CO2、充放電CO2、廃棄CO2に加え、サイクル影響、温度影響、放電深度影響などの劣化特性(電池使用時の放電容量や充放電損失の変化)を取得する。電池特性取得部30は、発電源情報取得部20から取得した情報とともに、電池特性データベース31から取得した情報を電池状態取得部40へ出力する。
【0025】
図3乃至図5に、蓄電池の劣化特性の一例として放電容量の低下例を示す。
図3は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する充放電サイクルの影響の一例を示す図である。図3に示す場合では、年間の充放電サイクル毎に蓄電池の劣化特性が格納されている。年間の充放電サイクル数が多いほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0026】
図4は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する温度の影響の一例を示す図である。図4では、蓄電池を使用する環境の平均温度毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池を使用する環境の平均温度が高いほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0027】
図5は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する放電深度の影響の一例を示す図である。図5では、蓄電池の放電深度の年平均毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池の放電深度の年平均の値が大きいほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0028】
図6乃至図8に、蓄電池の劣化特性の他の例として充放電損失増加例を示す。
図6は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する充放電サイクルの影響の一例を示す図である。図6に示す場合では、年間の充放電サイクル数毎に蓄電池の劣化特性が格納されている。年間の充放電サイクル数が多いほど、経年に応じて充放電損失が大きくなる。
【0029】
図7は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する温度の影響の一例を示す図である。図7では、蓄電池を使用する環境の平均温度毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池を使用する環境の平均温度が高いほど、経年に応じて充放電損失が大きくなる。
【0030】
図8は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する放電深度の影響の一例を示す図である。図8では、蓄電池の放電深度の年平均毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池の放電深度の年平均の値が大きいほど、経年に応じて充放電損失は大きくなる。
【0031】
電池状態取得部40は、電池状態データベース41に格納された蓄電池の状態情報を取得する。状態情報とは、評価範囲設定部10で設定した評価期間内での放電量である指定期間放電量、電池の使用期間である経年、これまでの充放電サイクル数、蓄電池が置かれている環境の平均温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。電池状態取得部40は、電池特性取得部30から受信した情報とともに、上記蓄電池の状態情報を電池原単位算定部50へ出力する。
【0032】
電池原単位算定部50では、電池特性取得部30と電池状態取得部40で取得した情報を用いて下記のように電池原単位[g−CO2/kWh]を算定する。なお、下記の算定式において電池状態に応じて決まる一生の総放電量[kWh]と充放電損失[kWh]は、以下の通り決めることができる。
【0033】
一生の総放電量(可変)[kWh]=一生の総放電量(基準値)[kWh]×放電容量変化率(可変)[%]
ここで、一生の総放電量(基準値)は、設計時や製品試験時に想定、または、計測した値である。一方、放電容量変化率(可変)[%]は図3乃至図5の特性に計算対象となる蓄電池の条件を当てはめて求める。算定事例を図9乃至図11を用いて説明する。図9乃至図11では一生の総放電量(基準値)を決めた時に用いた基準値の特性が点線で示されている。
【0034】
例えば、図9では基準としたサイクル数は4000サイクル/年である。一方、対象となる蓄電池は青い点で示した状態にあり(5000サイクル/年で、点線で示した経年年数に到達)、放電容量は基準値より10%低下している。同様に、図10では温度影響により算定対象蓄電池の放電容量は基準値に対し7%低下、図11では放電深度影響により算定対象蓄電池の放電容量は基準値に対し15%低下となっている。この場合の放電容量変化率(可変)は以下の式で算定する。ここで、X0はサイクル影響係数、Y0は温度影響係数、Z0は放電深度影響係数、で、蓄電各影響が蓄電池の放電容量変化に与える影響を示す係数で、蓄電池毎に設定する。
【0035】
放電容量変化率(可変)[%]=10%×X0+7%×Y0+15%×Z0
ここでは、特性グラフから対象となる蓄電池の放電容量変化率を求めているが、あらかじめ用意されたテーブル(表)などを用いて求めても良い。
【0036】
充放電損失(可変)[kWh]=充放電損失基準値(初期値)[kWh]×充放電損失変化率(可変)[%]
ここで、充放電損失基準値は、設計時や製品試験時に想定、または、計測した値である。一方、充放電損失変化率(可変)[%]は図6乃至図8の特性に計算対象となる蓄電池の条件を当てはめて求める。算定事例を図12乃至図14を用いて説明する。図12乃至図14では充放電損失基準値(初期値)の特性が点線で示されている。
【0037】
例えば、図12では基準値(初期値)に対して、対象となる蓄電池は青い点で示した状態にあり(5000サイクル/年で、点線で示した経年年数に到達)、充放電損失の変化は基準値より3%増加している。同様に、図13では温度影響により算定対象蓄電池の充放電損失は基準値に対し2%増加、図14では放電深度影響により算定対象蓄電池の充放電損失は基準値に対し1%増加となっている。この場合の充放電損失変化率(可変)は以下の式で算定する。ここで、X1はサイクル影響係数、Y1は温度影響係数、Z1は放電深度影響係数、で、蓄電各影響が蓄電池の充放電損失に与える影響を示す係数で、蓄電池毎に設定する。
【0038】
充放電損失変化率(可変)[%]=3%×X1+2%×Y1+1%×Z1
ここでは、特性グラフから対象となる蓄電池の充放電損失変化率を求めているが、あらかじめ用意されたテーブル(表)などを用いて求めても良い。
【0039】
電池原単位(可変)=(製造CO2+廃棄CO2)/一生の総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の充放電損失CO2(可変)/指定期間中の総放電量[kWh]
指定期間中の充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の充放電損失(可変)[kWh]
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総発電源発電量[kWh]
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50で算定された電池原単位を用いて発電原単位[g−CO2/kWh]を下記のように算定する。
発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量+電池原単位[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量)/指定期間中の総発電量
発電原単位算定部60は、算定した発電原単位[g−CO2/kWh]を結果出力部70で出力する。結果出力部70は、環境影響算定装置に含まれるディスプレイや外部に接続された表示部3等に算定結果を出力しユーザへ提示してもよく、I/Oインタフェース7を介して算定結果を利用する他のシステムへ出力してもよい。
【0040】
次に、比較例として蓄電池の劣化を考慮しない場合について説明する。蓄電池の劣化を考慮しない場合、発電原単位算定部は、以下の式により発電原単位を算定する。
【0041】
発電原単位=発電源原単位(一定)+電池原単位
電池原単位(一定)=(製造CO2+一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)/一生の総放電量(一定)[kWh]
一生の充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×一生の総充放電損失[kWh]
上記蓄電池の劣化を考慮しない場合と比較して、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、蓄電池を備えた発電設備において、上記のように電池製造時の環境負荷情報と電池使用時の充放電損失の性能劣化情報(電池特性情報:サイクル影響、温度影響、放電深度影響)とを用いて、発電設備のライフサイクル期間の特定した期間の電池の使用状況(電池状態情報)に応じた電池の環境負荷を算定し、その結果を用いた発電原単位を算出することが可能となる。
【0042】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮した方法により、より正確な発電原単位を提示することが可能となる。
【0043】
次に、第2実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図15に、本実施形態において発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する発電設備を概略的に示す。本実施形態では、2台の蓄電池Aおよび蓄電池Bと、太陽光発電装置等の発電源と、を備えた発電設備の発電原単位を算出する。発電源は蓄電池Aおよび蓄電池Bを充電するとともに発電電力を出力している。発電設備の総発電量は発電源から出力される発電量と、蓄電池Aの放電量Aと、蓄電池Bの放電量Bとの和である。ある時点において、例えば発電源の発電源原単位は40[g−CO2/kWh]であって、蓄電池Aの電池原単位は120[g−CO2/kWh]であって、蓄電池Bの電池原単位は100[g−CO2/kWh]であって、発電設備の発電原単位は50[g−CO2/kWh]である。
【0045】
図16に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bを有する発電設備について発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する点が上記第1実施形態と異なる。
【0046】
本実施形態の環境影響算定装置は、演算部1と、発電源情報データベース21と、電池特性データベース31Aと、電池状態データベース41Aと、を備えている。
【0047】
電池特性データベース31Aには、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bのそれぞれについて、ライフサイクルにおける電池一生の電池総放電量[kWh]、製造CO2、充放電CO2および廃棄CO2等、の電池特性が格納されている。
【0048】
電池状態データベース41Aには、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bのそれぞれについての状態情報が格納されている。蓄電池Aおよび蓄電池Bの状態情報とは、評価期間内での放電量である指定期間放電量、蓄電池の使用期間である経年、充放電した回数であるサイクル数、電池が置かれている状況を示す平均使用温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。
【0049】
演算部1は、評価範囲設定部10と、発電源情報取得部20と、電池特性取得部30と、電池状態取得部40と、電池原単位算定部50と、発電原単位算定部60と、結果出力部70と、を備えている。
【0050】
本実施形態では、電池特性取得部30が複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池特性を取得し、電池状態取得部40が複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池状態を取得し、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池特性と電池状態とを電池原単位算定部50へ出力する。
【0051】
電池原単位算定部50は、蓄電池Aの電池A原単位と蓄電池Bの電池B原単位とを下記のようにそれぞれ算定する。
【0052】
電池A原単位(可変)=(蓄電池A製造CO2+蓄電池A廃棄CO2)[g−CO2]/一生の蓄電池A総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の蓄電池A充放電損失CO2(可変)/指定期間中の蓄電池A総放電量[kWh]
指定期間中の蓄電池A充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の蓄電池A充放電損失(可変)[kWh]
電池B原単位(可変)=(蓄電池B製造CO2+蓄電池B廃棄CO2)[g−CO2]/一生の蓄電池B総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の蓄電池B充放電損失CO2(可変)[g−CO2]/指定期間中の蓄電池B総放電量[kWh]
指定期間中の蓄電池B充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)×指定期間中の蓄電池B充放電損失(可変)[kWh]
電池原単位算定部50は、算定した蓄電池Aの電池A原単位と蓄電池Bの電池B原単位とを発電原単位算定部60へ出力する。
【0053】
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50から供給された電池A原単位と電池B原単位とを用いて、下記のように発電設備の発電原単位を算定する。
【0054】
発電原単位=(発電源原単位(一定)×発電量+電池A原単位×放電量A+電池B原単位×放電量B)/指定期間中の総発電量
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総発電源発電量[kWh]
上記の構成および動作以外は本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法は第1実施形態と同様である。複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bを備えた発電設備において、蓄電池Aおよび蓄電池Bそれぞれの電池特性(性能劣化を含む)と使用時の電池状態とを用いて算出した電池原単位Aおよび電池原単位Bを用いて、発電原単位を算定することができる。
【0055】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となる。
【0056】
次に、第3実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0057】
図17に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、演算部1が電池選択部80を備える点以外は上記第2実施形態の環境影響算定装置と同様である。
【0058】
電池選択部80は、電池原単位算定部50から複数の電池A原単位および電池B原単位を受信し、受信した複数の電池原単位を比較して電池原単位の少ない蓄電池を選択して、選択結果を発電原単位算定部60へ出力し、発電原単位算定部60が選択結果を結果出力部70へ出力する。
【0059】
結果出力部70は、発電原単位算定部60から受信した発電原単位および電池選択部80での蓄電池の選択結果を出力する。結果出力部70が例えば発電設備を運用する運用計画システムに蓄電池の選択結果を提供すると、発電設備において電池原単位が小さい蓄電池を優先して使用することが可能となり、発電設備の発電原単位を最小化して環境負荷を低減することが可能となる。
【0060】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、算定した電池原単位を用いて発電設備の利用方法を提案することが可能となる。
【0061】
次に、第4実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0062】
図18に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aをさらに備えている。また演算部1は、セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90、セル・蓄電池履歴取得部91、および、発電原単位選択部92をさらに備えている。
【0063】
セル・蓄電池交換履歴データベース91Aには、使用後の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とが格納されている。例えば、現在発電設備で使用されている二次電池セルが3台目である場合、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aには過去に使用された1台目の二次電池セルと2台目の二次電池セルとの電池特性情報および電池状態情報が格納されている。
【0064】
発電設備において二次電池セル又は蓄電池が交換されると、例えば発電源情報データベース21に二次電池セル又は蓄電池が交換されたことを示す交換情報が格納される。
【0065】
発電源情報取得部20は発電源情報データベース21から評価範囲設定部10で設定された評価期間における発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値と交換情報とを取得し、セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90へ出力する。
【0066】
セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90は、交換情報が交換なしを示す情報である場合、発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値の平均値を電池特性取得部30へ出力する。交換情報が交換ありを示す情報である場合、現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報を電池特性データベース31に格納し、過去の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とを、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aに移動して、電池特性データベース31、電池状態データベース41A、およびセル・蓄電池交換履歴データベースを自動的に更新する。セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90は、データベースを更新した後、発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を電池特性取得部30へ出力する。
【0067】
電池特性取得部30は電池特性データベース31から現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性を取得し、電池状態取得部40は電池状態データベース41Aから現在の二次電池セル又は蓄電池の電池状態を取得して、セル・蓄電池履歴取得部91へ出力する。
【0068】
セル・蓄電池履歴取得部91は、過去の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とがある場合に、そのデータを取得して、受信した現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報および電池情報とともに、電池原単位算定部50へ出力する。
【0069】
電池原単位算定部50は、二次電池セルまたは蓄電池の交換履歴を考慮した電池原単位と、考慮しない電池原単位を下記のように算定する。
【0070】
交換済電池原単位=Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/Σ電池一生の総放電量[kWh]
電池一生の総充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×電池一生の総充放電損失[kWh]
電池原単位(可変)=(製造CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の充放電損失CO2(可変)[g−CO2]/指定期間中の総放電量[kWh]
指定期間中の充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の充放電損失(可変)[kWh]
上記のように電池原単位算定部50で交換済電池原単位と電池原単位との2つの原単位を算定し、発電原単位算定部60へ出力する。
【0071】
発電原単位算定部60は、下記のように2つの発電原単位(第1発電原単位および第2発電原単位)を算定する。
【0072】
第1発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量[kWh]+電池原単位(可変)[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量[kWh]+Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2])/総発電量[kWh]
第2発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量[kWh]+電池原単位[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量[kWh])/総発電量[kWh]
発電原単位算定部60は算定した第1発電原単位および第2発電原単位を発電原単位選択部92へ出力する。
【0073】
発電原単位選択部92は、第1発電原単位と第2発電原単位とからユーザ(評価者)が選択した任意の発電原単位を選択して、選択された発電原単位を結果出力部70へ出力する。
【0074】
上記のように、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、評価者のニーズに応じて、二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮した第1発電原単位と、二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮しない第2発電原単位とを作成することができ、ユーザの要求する発電原単位をより正確に算定して提示することが可能となる。
【0075】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、ユーザの要求に応じた発電原単位を提示することが可能となる。
【0076】
次に、第5実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0077】
図19に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は電池状態データベースが省略されている。演算部1は、電池使用条件取得部100と、セル・蓄電池交換回数予測部102と、セル・蓄電池状態算定部103と、をさらに備えている。また、電池特性データベース31に格納されている蓄電池の劣化特性が寿命判断基準を有している。
【0078】
図20に、本実施形態の環境影響算定装置においてセル・蓄電池状態を算定する動作の一例を説明する図を示す。図20に示すように、本実施形態では、サイクル数、温度、放電深度による放電容量の劣化特性のそれぞれにおいて寿命判断基準を設け、所定の放電容量となったときに蓄電池の寿命であると判断するものとしている。
【0079】
電池使用条件取得部100では、外部の運転計画システム101等から、発電設備のライフサイクル期間中に予想される年平均サイクル数、年平均温度、年平均放電深度などを取得して、セル・蓄電池交換回数予測部102へ出力する。
【0080】
セル・蓄電池交換回数予測部102では電池使用条件取得部100から受信した情報を電池特性に照らし合わせ、電池の交換時期(交換年)を求め、発電設備のライフサイクルにおける交換回数を算定する。
【0081】
すなわち、セル・蓄電池交換回数予測部102は、電池特性データベース31から電池特性を取得し、運転計画システム101から年平均サイクル数、年平均温度、年平均放電深度を取得し、年平均サイクル数、年平均温度、および年平均放電深度の劣化特性を用いて交換年を算定する。なお、蓄電池の交換年は蓄電池を使用開始してから放電容量が所定値に達するまでの経年である。
【0082】
続いて、セル・蓄電池交換回数予測部102は、算定された複数の交換年のうちで最も早い(短い)年を交換年として、交換年と発電設備の試用期間とから蓄電池の交換回数を算定して、過去に使用した蓄電池の台数を算定する。
【0083】
セル・蓄電池状態算定部103では、1台目、2台目など交換する各二次電池セルまたは各蓄電池の交換時の状態情報を以下のように算定する。ここで、状態情報とは総放電量と総充放電損失である。セル・蓄電池状態算定部103は、算定したセル・蓄電池状態情報を電池原単位算定部50へ出力する。
【0084】
二次電池セル総放電量=総放電量×二次電池セル使用年(交換年)/発電設備使用年
総充放電損失=寿命を決めた電池特性の平均放電容量低下率[%]×二次電池セル総放電量[kWh]
寿命を決めた電池特性の平均放電容量低下率=∫電池特性dx/二次電池セル使用年(交換年) (x=経年)
電池原単位算定部50は、セル・蓄電池状態算定部103から受信したセル・蓄電池状態情報を用いて以下のように電池原単位を算定して、算定結果を発電原単位算定部60へ出力する。
【0085】
電池原単位=Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/Σ電池一生の総放電量[kWh]
電池一生の総充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×電池一生の総充放電損失[kWh]
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)/発電源一生の総発電源発電量[kWh]
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50から受信した電池原単位を用いて、以下のように発電原単位を算定して結果出力部70へ出力する。
【0086】
発電原単位(予測)=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電量[kWh]+電池原単位(一定)[g−CO2/kWh]×Σ電池一生の総放電量[kWh])/総発電量[kWh]
上記のように本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、二次電池セルまたは蓄電池の交換を予測して、発電設備のライフサイクルでの発電原単位を算定することができる。したがって、ユーザは、将来、発電設備が環境に及ぼす影響を発電原単位から予測することが可能となる。
【0087】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、ユーザの要求に応じた発電原単位を提示することが可能となる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
例えば、上記複数の実施形態では蓄電池の劣化特性として、サイクル影響と、温度影響と、放電深度影響とについて電池特性データベースに格納されていたが、その他の劣化特性の特性を用いて発電原単位を算定してもよく、これらの劣化特性はいずれかが選択的に用いられてもよく、組み合わせて用いられてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…演算部、3…表示部、5…入力部、7…I/Oインタフェース、10…評価範囲設定部、20…発電源情報取得部、21…発電源情報データベース、30…電池特性取得部、31…電池特性データベース、31A…電池特性データベース、40…電池状態取得部、41…電池状態データベース、41A…電池状態データベース、50…電池原単位算定部、60…発電原単位算定部、70…結果出力部、80…電池選択部、90…セル・蓄電池交換履歴データベース作成部、91…セル・蓄電池履歴取得部、91A…セル・蓄電池交換履歴データベース、92…発電原単位選択部、100…電池使用条件取得部、101…運転計画システム、102…セル・蓄電池交換回数予測部、103…セル・蓄電池状態算定部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、環境影響算定装置および環境影響算定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電出力を充放電する蓄電池の環境影響評価は、製造段階では使用材料や製造エネルギーによる影響を計上し、使用段階ではライフサイクルの平均的な充放電損失による影響を計上し、廃棄段階では平均的なリサイクルシナリオを考慮した廃棄段階の影響を計上している。
【0003】
すなわち、この様な評価は使用段階の蓄電池の性能劣化の影響は平均値や代表値であり、他の段階も同様に平均値か代表値となるため、蓄電池の環境影響は一定値となる。
【0004】
一方、蓄電池が設置された発電設備の環境影響は電池の充放電損失特性の劣化にともない増加する。例えば、蓄電池の損失が増えることは、蓄電池を設置した発電機のエネルギー損失が増えることであり、その分、他の電源が発電エネルギーを負担することになる。ここで、他の電源とは一般的には系統電源となり、系統電源は低炭素型電源では無いため、CO2排出量などの環境影響は増加することになる。この蓄電池の特性劣化による影響は、CO2排出権取引など経済的な取引の根拠に用いる環境影響計算には精度を高める点から含めることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−74977号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】梶山啓輔、岡島敬一、内山洋司「ライフサイクルからみた蓄電池の電力負荷平準化等によるエネルギー・環境改善効果」 Journal of LCA, vol2. No.4 October 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであって、蓄電池の劣化を考慮した方法により、より正確な発電原単位を提示する環境影響算定装置および環境影響算定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、評価範囲を設定する評価範囲設定部と、発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得する前記電池状態取得部と、前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態において発電原単位を算出する発電設備の一例を説明するための図である。
【図2】第1実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図3】蓄電池の年間充放電サイクル数に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図4】蓄電池の使用温度の年平均に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図5】蓄電池の放電深度の年平均に対する放電容量の劣化特性の一例を示す図である。
【図6】蓄電池の年間充放電サイクル数に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図7】蓄電池の使用温度の年平均に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図8】蓄電池の放電深度の年平均に対する充放電損失変化率の特性の一例を示す図である。
【図9】図3に示す劣化特性の一例において、基準とした年間充放電サイクル数に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図10】図4に示す劣化特性の一例において、基準とした使用温度の年平均に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図11】図5に示す劣化特性の一例において、基準とした放電深度の年平均に対する放電容量の低下率の一例を示す図である。
【図12】図6に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図13】図7に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図14】図8に示す劣化特性の一例において、基準値に対する充放電損失変化率の変化の一例を示す図である。
【図15】第2実施形態において発電原単位を算出する発電設備の一例を説明するための図である。
【図16】第2実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図17】第3実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図18】第4実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図19】第5実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図20】第5実施形態の環境影響算定装置においてセル・蓄電池状態を算定する動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では環境影響評価の指標としてCO2排出量を取り上げるが、SOx排出量、NOx排出量、などその他の指標であっても構わない。
【0011】
図1に、本実施形態において発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する発電設備を概略的に示す。本実施形態では、複数の二次電池セルを含む蓄電池と、太陽光発電装置等の発電源と、を備えた発電設備の発電原単位を算出する。発電源は蓄電池を充電するとともに発電電力を出力している。発電設備の総発電量は発電源から出力される発電量と、蓄電池の放電量との和である。ある評価範囲において、例えば発電源の発電源原単位は40[g−CO2/kWh]であって、蓄電池の電池原単位は120[g−CO2/kWh]であって、発電設備の発電原単位は50[g−CO2/kWh]である。
【0012】
図2に、第1実施形態の環境影響算定装置の一構成例を示す。本実施形態の環境影響算定装置は、蓄電池を備えた太陽光発電システムなどの発電設備について、蓄電池を含む発電設備の環境影響(発電原単位)を算定するものであって、発電源情報データベース21と、電池製造時の環境負荷情報と電池使用時の充放電損失の性能劣化情報を格納した電池特性データベース31と、電池の使用状況に関する情報を格納した電池状態データベース41と、演算部1と、を備えている。
【0013】
環境影響算定装置には、表示部3と、入力部5と、I/Oインタフェース7とが接続されている。表示部3は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置である。入力部5は、キーボードやマウス等の入力手段であってもよく、タッチパネルのように表示部3と一体の入力手段であってもよい。I/Oインタフェース7は、通信インタフェース、USBインタフェース、i.Link(登録商標)インタフェース、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に合致したHDMIインタフェース等である。
【0014】
発電源情報データベース21には、発電源のライフサイクルにおける発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値が格納されている。この値は予め演算されて発電源情報データベース21に格納される。
【0015】
電池特性データベース31には、蓄電池のライフサイクルにおける電池一生の電池総放電量[kWh]、蓄電池製造時のCO2排出量(製造CO2:材料消費負荷と製造エネルギー負荷)、蓄電池使用時の一生の充放電損失によるCO2排出量(充放電CO2)、蓄電池廃棄時のCO2排出量(廃棄CO2)、および、サイクル影響、温度影響、放電深度影響などに対する蓄電池の劣化特性が格納されている。
【0016】
電池状態データベース41には、蓄電池の状態情報が格納されている。蓄電池の状態情報とは、評価期間内での放電量である指定期間放電量、電池の使用期間である経年、充放電した回数であるサイクル数、電池が置かれている状況を示す平均使用温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。
【0017】
なお、電池状態データベース41に格納している蓄電池の状態情報は、発電設備に含まれる蓄電池を管理する運転計画システムから自動的に更新されてもよい。蓄電池の状態情報を自動的に取得することにより、最新データを用いた発電原単位の算定が可能となる。
【0018】
また、発電源情報データベース21、電池特性データベース31、電池状態データベース41に格納された各種情報は、LAN等のネットワーク経由で自動的に更新されてもよい。この場合、環境影響算定装置と発電設備と遠隔に配置されている場合でも、発電源情報データベース21、電池特性データベース31、電池状態データベース41に格納された各種情報を自動的に更新されることとなり、最新データを用いた発電原単位の算定が可能となるとともに、評価者が遠隔にいる場合にも算定結果を容易に利用できる。
【0019】
図2に示す場合では、環境影響算定装置が発電源情報データベース21と、電池特性データベース31と、電池状態データベース41と、を備えていたが、これらのデータベースは環境影響算定装置の外部に設けられたデータベースであってもよい。
【0020】
次に、演算部1の構成例と演算部1での発電原単位の算定方法について説明する。
演算部1は、発電源情報データベース21と、電池特性データベース31と、電池状態データベース41とに格納された情報に基づいて算出された使用状況に応じた蓄電池の環境負荷算定結果を用いて、発電設備のライフサイクル期間の特定した時点における発電原単位を算出する。
【0021】
演算部1は、評価範囲設定部10と、発電源情報取得部20と、電池特性取得部30と、電池状態取得部40と、電池原単位算定部50と、発電原単位算定部60と、結果出力部70と、を備えている。
【0022】
評価範囲設定部10は、対象とする設備、対象とする環境影響要因(CO2排出量、温暖化影響、水域影響、生態系影響など)、対象とするライフサイクル範囲、など評価に必要な条件に加え、電池の劣化状況を把握する評価対象時間を設定する。評価対象時間は、通常、評価時点における直近の時間帯であって、「何年何月何日の何時から何時」という設定となる。評価範囲設定部10には、例えばユーザが入力部5を操作することにより所定の評価対象時間が入力される。
【0023】
発電源情報取得部20は、発電源情報データベース21から、評価範囲設定部10で設定された時点における発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を取得して、電池特性取得部30へ出力する。
【0024】
電池特性取得部30は、発電源情報取得部20から発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を取得するとともに、電池特性データベース31から蓄電池の一生の電池総放電量[kWh]、製造CO2、充放電CO2、廃棄CO2に加え、サイクル影響、温度影響、放電深度影響などの劣化特性(電池使用時の放電容量や充放電損失の変化)を取得する。電池特性取得部30は、発電源情報取得部20から取得した情報とともに、電池特性データベース31から取得した情報を電池状態取得部40へ出力する。
【0025】
図3乃至図5に、蓄電池の劣化特性の一例として放電容量の低下例を示す。
図3は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する充放電サイクルの影響の一例を示す図である。図3に示す場合では、年間の充放電サイクル毎に蓄電池の劣化特性が格納されている。年間の充放電サイクル数が多いほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0026】
図4は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する温度の影響の一例を示す図である。図4では、蓄電池を使用する環境の平均温度毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池を使用する環境の平均温度が高いほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0027】
図5は、蓄電池の放電容量[Ah/Ah]に対する放電深度の影響の一例を示す図である。図5では、蓄電池の放電深度の年平均毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池の放電深度の年平均の値が大きいほど、経年に応じて放電容量が小さくなる。
【0028】
図6乃至図8に、蓄電池の劣化特性の他の例として充放電損失増加例を示す。
図6は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する充放電サイクルの影響の一例を示す図である。図6に示す場合では、年間の充放電サイクル数毎に蓄電池の劣化特性が格納されている。年間の充放電サイクル数が多いほど、経年に応じて充放電損失が大きくなる。
【0029】
図7は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する温度の影響の一例を示す図である。図7では、蓄電池を使用する環境の平均温度毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池を使用する環境の平均温度が高いほど、経年に応じて充放電損失が大きくなる。
【0030】
図8は、蓄電池の充放電損失変化率[%]に対する放電深度の影響の一例を示す図である。図8では、蓄電池の放電深度の年平均毎に、劣化特性が格納されている。蓄電池の放電深度の年平均の値が大きいほど、経年に応じて充放電損失は大きくなる。
【0031】
電池状態取得部40は、電池状態データベース41に格納された蓄電池の状態情報を取得する。状態情報とは、評価範囲設定部10で設定した評価期間内での放電量である指定期間放電量、電池の使用期間である経年、これまでの充放電サイクル数、蓄電池が置かれている環境の平均温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。電池状態取得部40は、電池特性取得部30から受信した情報とともに、上記蓄電池の状態情報を電池原単位算定部50へ出力する。
【0032】
電池原単位算定部50では、電池特性取得部30と電池状態取得部40で取得した情報を用いて下記のように電池原単位[g−CO2/kWh]を算定する。なお、下記の算定式において電池状態に応じて決まる一生の総放電量[kWh]と充放電損失[kWh]は、以下の通り決めることができる。
【0033】
一生の総放電量(可変)[kWh]=一生の総放電量(基準値)[kWh]×放電容量変化率(可変)[%]
ここで、一生の総放電量(基準値)は、設計時や製品試験時に想定、または、計測した値である。一方、放電容量変化率(可変)[%]は図3乃至図5の特性に計算対象となる蓄電池の条件を当てはめて求める。算定事例を図9乃至図11を用いて説明する。図9乃至図11では一生の総放電量(基準値)を決めた時に用いた基準値の特性が点線で示されている。
【0034】
例えば、図9では基準としたサイクル数は4000サイクル/年である。一方、対象となる蓄電池は青い点で示した状態にあり(5000サイクル/年で、点線で示した経年年数に到達)、放電容量は基準値より10%低下している。同様に、図10では温度影響により算定対象蓄電池の放電容量は基準値に対し7%低下、図11では放電深度影響により算定対象蓄電池の放電容量は基準値に対し15%低下となっている。この場合の放電容量変化率(可変)は以下の式で算定する。ここで、X0はサイクル影響係数、Y0は温度影響係数、Z0は放電深度影響係数、で、蓄電各影響が蓄電池の放電容量変化に与える影響を示す係数で、蓄電池毎に設定する。
【0035】
放電容量変化率(可変)[%]=10%×X0+7%×Y0+15%×Z0
ここでは、特性グラフから対象となる蓄電池の放電容量変化率を求めているが、あらかじめ用意されたテーブル(表)などを用いて求めても良い。
【0036】
充放電損失(可変)[kWh]=充放電損失基準値(初期値)[kWh]×充放電損失変化率(可変)[%]
ここで、充放電損失基準値は、設計時や製品試験時に想定、または、計測した値である。一方、充放電損失変化率(可変)[%]は図6乃至図8の特性に計算対象となる蓄電池の条件を当てはめて求める。算定事例を図12乃至図14を用いて説明する。図12乃至図14では充放電損失基準値(初期値)の特性が点線で示されている。
【0037】
例えば、図12では基準値(初期値)に対して、対象となる蓄電池は青い点で示した状態にあり(5000サイクル/年で、点線で示した経年年数に到達)、充放電損失の変化は基準値より3%増加している。同様に、図13では温度影響により算定対象蓄電池の充放電損失は基準値に対し2%増加、図14では放電深度影響により算定対象蓄電池の充放電損失は基準値に対し1%増加となっている。この場合の充放電損失変化率(可変)は以下の式で算定する。ここで、X1はサイクル影響係数、Y1は温度影響係数、Z1は放電深度影響係数、で、蓄電各影響が蓄電池の充放電損失に与える影響を示す係数で、蓄電池毎に設定する。
【0038】
充放電損失変化率(可変)[%]=3%×X1+2%×Y1+1%×Z1
ここでは、特性グラフから対象となる蓄電池の充放電損失変化率を求めているが、あらかじめ用意されたテーブル(表)などを用いて求めても良い。
【0039】
電池原単位(可変)=(製造CO2+廃棄CO2)/一生の総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の充放電損失CO2(可変)/指定期間中の総放電量[kWh]
指定期間中の充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の充放電損失(可変)[kWh]
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総発電源発電量[kWh]
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50で算定された電池原単位を用いて発電原単位[g−CO2/kWh]を下記のように算定する。
発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量+電池原単位[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量)/指定期間中の総発電量
発電原単位算定部60は、算定した発電原単位[g−CO2/kWh]を結果出力部70で出力する。結果出力部70は、環境影響算定装置に含まれるディスプレイや外部に接続された表示部3等に算定結果を出力しユーザへ提示してもよく、I/Oインタフェース7を介して算定結果を利用する他のシステムへ出力してもよい。
【0040】
次に、比較例として蓄電池の劣化を考慮しない場合について説明する。蓄電池の劣化を考慮しない場合、発電原単位算定部は、以下の式により発電原単位を算定する。
【0041】
発電原単位=発電源原単位(一定)+電池原単位
電池原単位(一定)=(製造CO2+一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)/一生の総放電量(一定)[kWh]
一生の充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×一生の総充放電損失[kWh]
上記蓄電池の劣化を考慮しない場合と比較して、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、蓄電池を備えた発電設備において、上記のように電池製造時の環境負荷情報と電池使用時の充放電損失の性能劣化情報(電池特性情報:サイクル影響、温度影響、放電深度影響)とを用いて、発電設備のライフサイクル期間の特定した期間の電池の使用状況(電池状態情報)に応じた電池の環境負荷を算定し、その結果を用いた発電原単位を算出することが可能となる。
【0042】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮した方法により、より正確な発電原単位を提示することが可能となる。
【0043】
次に、第2実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
図15に、本実施形態において発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する発電設備を概略的に示す。本実施形態では、2台の蓄電池Aおよび蓄電池Bと、太陽光発電装置等の発電源と、を備えた発電設備の発電原単位を算出する。発電源は蓄電池Aおよび蓄電池Bを充電するとともに発電電力を出力している。発電設備の総発電量は発電源から出力される発電量と、蓄電池Aの放電量Aと、蓄電池Bの放電量Bとの和である。ある時点において、例えば発電源の発電源原単位は40[g−CO2/kWh]であって、蓄電池Aの電池原単位は120[g−CO2/kWh]であって、蓄電池Bの電池原単位は100[g−CO2/kWh]であって、発電設備の発電原単位は50[g−CO2/kWh]である。
【0045】
図16に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bを有する発電設備について発電原単位[g−CO2/kWh]を算出する点が上記第1実施形態と異なる。
【0046】
本実施形態の環境影響算定装置は、演算部1と、発電源情報データベース21と、電池特性データベース31Aと、電池状態データベース41Aと、を備えている。
【0047】
電池特性データベース31Aには、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bのそれぞれについて、ライフサイクルにおける電池一生の電池総放電量[kWh]、製造CO2、充放電CO2および廃棄CO2等、の電池特性が格納されている。
【0048】
電池状態データベース41Aには、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bのそれぞれについての状態情報が格納されている。蓄電池Aおよび蓄電池Bの状態情報とは、評価期間内での放電量である指定期間放電量、蓄電池の使用期間である経年、充放電した回数であるサイクル数、電池が置かれている状況を示す平均使用温度、充放電の深度を表す平均放電深度、などである。
【0049】
演算部1は、評価範囲設定部10と、発電源情報取得部20と、電池特性取得部30と、電池状態取得部40と、電池原単位算定部50と、発電原単位算定部60と、結果出力部70と、を備えている。
【0050】
本実施形態では、電池特性取得部30が複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池特性を取得し、電池状態取得部40が複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池状態を取得し、複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bの電池特性と電池状態とを電池原単位算定部50へ出力する。
【0051】
電池原単位算定部50は、蓄電池Aの電池A原単位と蓄電池Bの電池B原単位とを下記のようにそれぞれ算定する。
【0052】
電池A原単位(可変)=(蓄電池A製造CO2+蓄電池A廃棄CO2)[g−CO2]/一生の蓄電池A総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の蓄電池A充放電損失CO2(可変)/指定期間中の蓄電池A総放電量[kWh]
指定期間中の蓄電池A充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の蓄電池A充放電損失(可変)[kWh]
電池B原単位(可変)=(蓄電池B製造CO2+蓄電池B廃棄CO2)[g−CO2]/一生の蓄電池B総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の蓄電池B充放電損失CO2(可変)[g−CO2]/指定期間中の蓄電池B総放電量[kWh]
指定期間中の蓄電池B充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)×指定期間中の蓄電池B充放電損失(可変)[kWh]
電池原単位算定部50は、算定した蓄電池Aの電池A原単位と蓄電池Bの電池B原単位とを発電原単位算定部60へ出力する。
【0053】
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50から供給された電池A原単位と電池B原単位とを用いて、下記のように発電設備の発電原単位を算定する。
【0054】
発電原単位=(発電源原単位(一定)×発電量+電池A原単位×放電量A+電池B原単位×放電量B)/指定期間中の総発電量
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総発電源発電量[kWh]
上記の構成および動作以外は本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法は第1実施形態と同様である。複数の蓄電池Aおよび蓄電池Bを備えた発電設備において、蓄電池Aおよび蓄電池Bそれぞれの電池特性(性能劣化を含む)と使用時の電池状態とを用いて算出した電池原単位Aおよび電池原単位Bを用いて、発電原単位を算定することができる。
【0055】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となる。
【0056】
次に、第3実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0057】
図17に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、演算部1が電池選択部80を備える点以外は上記第2実施形態の環境影響算定装置と同様である。
【0058】
電池選択部80は、電池原単位算定部50から複数の電池A原単位および電池B原単位を受信し、受信した複数の電池原単位を比較して電池原単位の少ない蓄電池を選択して、選択結果を発電原単位算定部60へ出力し、発電原単位算定部60が選択結果を結果出力部70へ出力する。
【0059】
結果出力部70は、発電原単位算定部60から受信した発電原単位および電池選択部80での蓄電池の選択結果を出力する。結果出力部70が例えば発電設備を運用する運用計画システムに蓄電池の選択結果を提供すると、発電設備において電池原単位が小さい蓄電池を優先して使用することが可能となり、発電設備の発電原単位を最小化して環境負荷を低減することが可能となる。
【0060】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、算定した電池原単位を用いて発電設備の利用方法を提案することが可能となる。
【0061】
次に、第4実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0062】
図18に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aをさらに備えている。また演算部1は、セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90、セル・蓄電池履歴取得部91、および、発電原単位選択部92をさらに備えている。
【0063】
セル・蓄電池交換履歴データベース91Aには、使用後の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とが格納されている。例えば、現在発電設備で使用されている二次電池セルが3台目である場合、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aには過去に使用された1台目の二次電池セルと2台目の二次電池セルとの電池特性情報および電池状態情報が格納されている。
【0064】
発電設備において二次電池セル又は蓄電池が交換されると、例えば発電源情報データベース21に二次電池セル又は蓄電池が交換されたことを示す交換情報が格納される。
【0065】
発電源情報取得部20は発電源情報データベース21から評価範囲設定部10で設定された評価期間における発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値と交換情報とを取得し、セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90へ出力する。
【0066】
セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90は、交換情報が交換なしを示す情報である場合、発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値の平均値を電池特性取得部30へ出力する。交換情報が交換ありを示す情報である場合、現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報を電池特性データベース31に格納し、過去の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とを、セル・蓄電池交換履歴データベース91Aに移動して、電池特性データベース31、電池状態データベース41A、およびセル・蓄電池交換履歴データベースを自動的に更新する。セル・蓄電池交換履歴データベース作成部90は、データベースを更新した後、発電源原単位[g−CO2/kWh]の平均値を電池特性取得部30へ出力する。
【0067】
電池特性取得部30は電池特性データベース31から現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性を取得し、電池状態取得部40は電池状態データベース41Aから現在の二次電池セル又は蓄電池の電池状態を取得して、セル・蓄電池履歴取得部91へ出力する。
【0068】
セル・蓄電池履歴取得部91は、過去の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報と電池状態情報とがある場合に、そのデータを取得して、受信した現在の二次電池セル又は蓄電池の電池特性情報および電池情報とともに、電池原単位算定部50へ出力する。
【0069】
電池原単位算定部50は、二次電池セルまたは蓄電池の交換履歴を考慮した電池原単位と、考慮しない電池原単位を下記のように算定する。
【0070】
交換済電池原単位=Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/Σ電池一生の総放電量[kWh]
電池一生の総充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×電池一生の総充放電損失[kWh]
電池原単位(可変)=(製造CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/一生の総放電量(可変)[kWh]+指定期間中の充放電損失CO2(可変)[g−CO2]/指定期間中の総放電量[kWh]
指定期間中の充放電損失CO2(可変)=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×指定期間中の充放電損失(可変)[kWh]
上記のように電池原単位算定部50で交換済電池原単位と電池原単位との2つの原単位を算定し、発電原単位算定部60へ出力する。
【0071】
発電原単位算定部60は、下記のように2つの発電原単位(第1発電原単位および第2発電原単位)を算定する。
【0072】
第1発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量[kWh]+電池原単位(可変)[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量[kWh]+Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2])/総発電量[kWh]
第2発電原単位=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電源の発電量[kWh]+電池原単位[g−CO2/kWh]×蓄電池の放電量[kWh])/総発電量[kWh]
発電原単位算定部60は算定した第1発電原単位および第2発電原単位を発電原単位選択部92へ出力する。
【0073】
発電原単位選択部92は、第1発電原単位と第2発電原単位とからユーザ(評価者)が選択した任意の発電原単位を選択して、選択された発電原単位を結果出力部70へ出力する。
【0074】
上記のように、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、評価者のニーズに応じて、二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮した第1発電原単位と、二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮しない第2発電原単位とを作成することができ、ユーザの要求する発電原単位をより正確に算定して提示することが可能となる。
【0075】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、ユーザの要求に応じた発電原単位を提示することが可能となる。
【0076】
次に、第5実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法について図面を参照して説明する。
【0077】
図19に本実施形態の環境影響算定装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態の環境影響算定装置は電池状態データベースが省略されている。演算部1は、電池使用条件取得部100と、セル・蓄電池交換回数予測部102と、セル・蓄電池状態算定部103と、をさらに備えている。また、電池特性データベース31に格納されている蓄電池の劣化特性が寿命判断基準を有している。
【0078】
図20に、本実施形態の環境影響算定装置においてセル・蓄電池状態を算定する動作の一例を説明する図を示す。図20に示すように、本実施形態では、サイクル数、温度、放電深度による放電容量の劣化特性のそれぞれにおいて寿命判断基準を設け、所定の放電容量となったときに蓄電池の寿命であると判断するものとしている。
【0079】
電池使用条件取得部100では、外部の運転計画システム101等から、発電設備のライフサイクル期間中に予想される年平均サイクル数、年平均温度、年平均放電深度などを取得して、セル・蓄電池交換回数予測部102へ出力する。
【0080】
セル・蓄電池交換回数予測部102では電池使用条件取得部100から受信した情報を電池特性に照らし合わせ、電池の交換時期(交換年)を求め、発電設備のライフサイクルにおける交換回数を算定する。
【0081】
すなわち、セル・蓄電池交換回数予測部102は、電池特性データベース31から電池特性を取得し、運転計画システム101から年平均サイクル数、年平均温度、年平均放電深度を取得し、年平均サイクル数、年平均温度、および年平均放電深度の劣化特性を用いて交換年を算定する。なお、蓄電池の交換年は蓄電池を使用開始してから放電容量が所定値に達するまでの経年である。
【0082】
続いて、セル・蓄電池交換回数予測部102は、算定された複数の交換年のうちで最も早い(短い)年を交換年として、交換年と発電設備の試用期間とから蓄電池の交換回数を算定して、過去に使用した蓄電池の台数を算定する。
【0083】
セル・蓄電池状態算定部103では、1台目、2台目など交換する各二次電池セルまたは各蓄電池の交換時の状態情報を以下のように算定する。ここで、状態情報とは総放電量と総充放電損失である。セル・蓄電池状態算定部103は、算定したセル・蓄電池状態情報を電池原単位算定部50へ出力する。
【0084】
二次電池セル総放電量=総放電量×二次電池セル使用年(交換年)/発電設備使用年
総充放電損失=寿命を決めた電池特性の平均放電容量低下率[%]×二次電池セル総放電量[kWh]
寿命を決めた電池特性の平均放電容量低下率=∫電池特性dx/二次電池セル使用年(交換年) (x=経年)
電池原単位算定部50は、セル・蓄電池状態算定部103から受信したセル・蓄電池状態情報を用いて以下のように電池原単位を算定して、算定結果を発電原単位算定部60へ出力する。
【0085】
電池原単位=Σ(製造CO2+電池一生の総充放電損失CO2+廃棄CO2)[g−CO2]/Σ電池一生の総放電量[kWh]
電池一生の総充放電損失CO2=発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×電池一生の総充放電損失[kWh]
発電源原単位(一定)=(製造CO2+発電CO2+廃棄CO2)/発電源一生の総発電源発電量[kWh]
発電原単位算定部60は、電池原単位算定部50から受信した電池原単位を用いて、以下のように発電原単位を算定して結果出力部70へ出力する。
【0086】
発電原単位(予測)=(発電源原単位(一定)[g−CO2/kWh]×発電量[kWh]+電池原単位(一定)[g−CO2/kWh]×Σ電池一生の総放電量[kWh])/総発電量[kWh]
上記のように本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法では、二次電池セルまたは蓄電池の交換を予測して、発電設備のライフサイクルでの発電原単位を算定することができる。したがって、ユーザは、将来、発電設備が環境に及ぼす影響を発電原単位から予測することが可能となる。
【0087】
すなわち、本実施形態の環境影響算定装置および環境影響算定方法によれば、蓄電池の劣化を考慮したより正確な発電原単位を算出することが可能となるとともに、ユーザの要求に応じた発電原単位を提示することが可能となる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
例えば、上記複数の実施形態では蓄電池の劣化特性として、サイクル影響と、温度影響と、放電深度影響とについて電池特性データベースに格納されていたが、その他の劣化特性の特性を用いて発電原単位を算定してもよく、これらの劣化特性はいずれかが選択的に用いられてもよく、組み合わせて用いられてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…演算部、3…表示部、5…入力部、7…I/Oインタフェース、10…評価範囲設定部、20…発電源情報取得部、21…発電源情報データベース、30…電池特性取得部、31…電池特性データベース、31A…電池特性データベース、40…電池状態取得部、41…電池状態データベース、41A…電池状態データベース、50…電池原単位算定部、60…発電原単位算定部、70…結果出力部、80…電池選択部、90…セル・蓄電池交換履歴データベース作成部、91…セル・蓄電池履歴取得部、91A…セル・蓄電池交換履歴データベース、92…発電原単位選択部、100…電池使用条件取得部、101…運転計画システム、102…セル・蓄電池交換回数予測部、103…セル・蓄電池状態算定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、
評価範囲を設定する評価範囲設定部と、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、
少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、
前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得する前記電池状態取得部と、
前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置。
【請求項2】
前記発電設備は複数の蓄電池を含み、
前記電池特性取得部は、前記電池特性データベースから、前記複数の蓄電池について前記評価範囲における前記電池特性情報を取得し、
前記電池状態取得部は、前記電池状態データベースから、前記複数の蓄電池について前記評価範囲における前記電池状態情報を取得し、
前記電池原単位算定部は、前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記複数の蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定し、
前記発電原単位算定部は、前記複数の電池電単位を用いて前記発電原単位を算定する請求項1記載の環境影響算定装置。
【請求項3】
前記電池原単位算定部で算定された前記複数の蓄電池の電池原単位を比較して、複数の電池原単位の小さい順に蓄電池の使用順位を決める電池選択部をさらに有する、請求項2記載の環境影響算定装置。
【請求項4】
前記電池原単位算定部は、交換済みの二次電池セルまたは蓄電池の前記電池特性情報と前記電池状態情報とを用いて電池原単位を算定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の環境影響算定装置。
【請求項5】
二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮した場合の発電原単位と、考慮しない場合の発電原単位とのいずれを算定するか選択する選択部をさらに備える請求項4記載の環境影響算定装置。
【請求項6】
発電源と、複数の二次電池セルを含み前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、
評価範囲を設定する評価範囲設定部と、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、
少なくとも電池製造時の環境負荷情報と、前記二次電池セルまたは前記蓄電池の寿命判断基準含む電池使用時の充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池情報データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、
前記電池特性情報と、発電設備のライフサイクルにおける蓄電池の使用計画と、を用いて前記二次電池セルまたは前記蓄電池の交換回数を算出するセル・蓄電池交換回数予測部と、
現在および過去の蓄電池について廃棄時の電池状態情報を算出するセル・蓄電池状態算定部と、
前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、で取得された情報、および前記セル・蓄電池状態算定部で算定されたセル・蓄電池状態情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置。
【請求項7】
発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定方法であって、
評価範囲を設定し、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得し、
少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得し、
前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得し、
前記発電源原単位の平均値、前記電池特性情報、および、前記電池状態情報を用いて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定し、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する環境影響算定方法。
【請求項1】
発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、
評価範囲を設定する評価範囲設定部と、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、
少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における放電容量または充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、
前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得する前記電池状態取得部と、
前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置。
【請求項2】
前記発電設備は複数の蓄電池を含み、
前記電池特性取得部は、前記電池特性データベースから、前記複数の蓄電池について前記評価範囲における前記電池特性情報を取得し、
前記電池状態取得部は、前記電池状態データベースから、前記複数の蓄電池について前記評価範囲における前記電池状態情報を取得し、
前記電池原単位算定部は、前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、前記電池状態取得部と、で取得された情報に基づいて、前記複数の蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定し、
前記発電原単位算定部は、前記複数の電池電単位を用いて前記発電原単位を算定する請求項1記載の環境影響算定装置。
【請求項3】
前記電池原単位算定部で算定された前記複数の蓄電池の電池原単位を比較して、複数の電池原単位の小さい順に蓄電池の使用順位を決める電池選択部をさらに有する、請求項2記載の環境影響算定装置。
【請求項4】
前記電池原単位算定部は、交換済みの二次電池セルまたは蓄電池の前記電池特性情報と前記電池状態情報とを用いて電池原単位を算定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の環境影響算定装置。
【請求項5】
二次電池セルまたは蓄電池の交換を考慮した場合の発電原単位と、考慮しない場合の発電原単位とのいずれを算定するか選択する選択部をさらに備える請求項4記載の環境影響算定装置。
【請求項6】
発電源と、複数の二次電池セルを含み前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定装置であって、
評価範囲を設定する評価範囲設定部と、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得する発電源情報取得部と、
少なくとも電池製造時の環境負荷情報と、前記二次電池セルまたは前記蓄電池の寿命判断基準含む電池使用時の充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池情報データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得する電池特性取得部と、
前記電池特性情報と、発電設備のライフサイクルにおける蓄電池の使用計画と、を用いて前記二次電池セルまたは前記蓄電池の交換回数を算出するセル・蓄電池交換回数予測部と、
現在および過去の蓄電池について廃棄時の電池状態情報を算出するセル・蓄電池状態算定部と、
前記発電源情報取得部と、前記電池特性取得部と、で取得された情報、および前記セル・蓄電池状態算定部で算定されたセル・蓄電池状態情報に基づいて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定する電池原単位算定部と、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する発電原単位算定部と、を備えた環境影響算定装置。
【請求項7】
発電源と前記発電源により充電される蓄電池とを含む発電設備の発電原単位を算定する環境影響算定方法であって、
評価範囲を設定し、
発電源原単位の平均値を格納した発電源情報データベースから前記発電源原単位の平均値を取得し、
少なくとも前記蓄電池の製造時における環境負荷情報と前記蓄電池の使用時における充放電損失の変化に関する電池特性情報を格納した電池特性データベースから、前記評価範囲における前記電池特性情報を取得し、
前記蓄電池の使用時における電池状態情報を格納した電池状態データベースから、前記評価範囲における前記電池状態情報を取得し、
前記発電源原単位の平均値、前記電池特性情報、および、前記電池状態情報を用いて、前記蓄電池の充放電損失を考慮した電池原単位を算定し、
前記蓄電池の電池原単位を用いて、前記発電原単位を算定する環境影響算定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−25323(P2013−25323A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156004(P2011−156004)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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