環境機器制御システム、および環境機器制御装置
【課題】簡易な構成で複数の環境機器を制御することができる環境機器制御システム、および環境機器制御装置を提供すること。
【解決手段】環境機器制御システム1は、ユーザの生体情報を検出する生体センサ装置2と、空調機器3a、照明機器3b、音響機器3cなどの環境機器3と、複数の環境機器3の動作を制御するリモートコントロール装置4と、を備えている。リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2から受信した生体情報に基づいて、複数の環境機器3の各機器に対する制御内容を決定し、決定された制御内容に基づく制御命令を出力することにより、各機器の動作を制御する。これにより、複数の環境機器3を制御して快適な環境に制御可能なシステムを簡易な構成で実現することができる。
【解決手段】環境機器制御システム1は、ユーザの生体情報を検出する生体センサ装置2と、空調機器3a、照明機器3b、音響機器3cなどの環境機器3と、複数の環境機器3の動作を制御するリモートコントロール装置4と、を備えている。リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2から受信した生体情報に基づいて、複数の環境機器3の各機器に対する制御内容を決定し、決定された制御内容に基づく制御命令を出力することにより、各機器の動作を制御する。これにより、複数の環境機器3を制御して快適な環境に制御可能なシステムを簡易な構成で実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
制御対象の環境における温度や明るさなどの状態を制御する環境機器制御システム、および環境機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの血圧や体温などの生体情報を生体センサによって検出し、生体の状態に応じて快適な環境となるよう、環境温度を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、空気調和機のリモートコントロール装置に血圧を測定する生体センサを設け、測定された血圧値に応じて空気調和機の設定温度を切り替えることによって、ユーザにとって健康的な環境温度となるように空気調和機を運転させる技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−4531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、センサが設けられた装置と制御を受ける機器とが1対1に対応する構成であるので、例えば、空気調和機、照明機器、音響機器など複数の環境機器が設置されたリビングやオフィスなどの室内環境において複数の環境機器を制御しようとする場合、複数の環境機器の各々のリモートコントロール装置に対して生体センサを設けるようにして、複数の生体センサを備える必要がある。このため、複数の環境機器を制御するためのシステム構成が複雑になってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]生体情報を検出する生体情報検出装置と、環境の状態を制御可能な複数の環境機器と、複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置と、を備え、環境機器制御装置は、生体情報検出装置から生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づいて複数の環境機器の各機器を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御システム。
【0007】
この構成によれば、1つの生体情報検出装置が検出した生体情報に基づいて複数の環境機器の動作が制御されるので、各環境機器に対応する複数の生体情報検出装置を設けることがなく、複数の環境機器の動作を制御することができる。したがって、簡易なシステム構成で、生体にとって快適な環境を得ることができる。なお、生体情報検出装置が、体温、心拍数、血圧などの複数の情報を生体情報として検出し、制御手段は、複数の情報に基づいて各機器の制御内容を決定することがより望ましい。
【0008】
[適用例2]上記環境機器制御システムにおいて、環境機器制御装置は、生体の状態と心理状態とを予め対応付けた心理状態テーブルを記憶する心理状態テーブル記憶部と、心理状態テーブルを参照して、取得した生体情報に対応する心理状態を、生体情報が検出された生体の心理状態と推定する心理状態推定手段とをさらに備え、制御手段は、推定された心理状態に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0009】
この構成によれば、生体の心理状態に応じた快適な環境に制御することができる。
【0010】
[適用例3]上記環境機器制御システムにおいて、互いに異なる生体を測定して生体情報を検出する1または複数の生体情報検出装置をさらに備え、生体情報取得手段は、生体情報検出装置の各々から生体情報を取得し、制御手段は、取得した複数の生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0011】
この構成によれば、複数の生体にとって快適な環境に制御することができる。
【0012】
[適用例4]上記環境機器制御システムにおいて、生体の個体ごとに調整された、各環境機器に対する制御値を示す制御値決定テーブルを記憶する制御値決定テーブル記憶部をさらに備え、制御手段は、制御値決定テーブルを参照し、生体情報を検出した生体に対応する制御値を決定し、決定された制御値に基づいて複数の環境機器の各機器を制御することを特徴とする環境機器制御システム。
【0013】
この構成によれば、生体の個体ごとに調整された環境に制御することができる。例えば、ユーザの好みに応じて調整された制御値決定テーブルを用いることにより、好みに応じたより快適な環境に制御することができる。
【0014】
[適用例5]上記環境機器制御システムにおいて、生体情報検出装置は、生体の身体に装着され、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の内にある場合、検出された生体情報に応じて環境を相対的に変化させるように、複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、生体情報を検出する処理、および制御内容を決定して複数の環境機器の各機器を制御する処理を繰り返し行うことを特徴とする環境機器制御システム。
【0015】
この構成によれば、生体情報の検出と、生体情報に応じた相対的に環境を変化させる制御が繰り返されるため、制御可能な環境内にいる生体にとって快適な環境に徐々に近付けるようにして、快適な環境に制御することができる。
【0016】
[適用例6]上記環境機器制御システムにおいて、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、検出された生体情報に基づいて目標となる絶対的な状態を定め、環境が目標の状態となるように複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0017】
この構成によれば、制御可能な環境の外に生体がいる場合であっても、生体情報に応じて定められた絶対的な状態となるように環境が制御されるので、制御可能な環境外にいる生体にとって快適な環境に制御することができる。
【0018】
[適用例7]上記環境機器制御システムにおいて、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、制御可能な環境と生体情報検出装置との距離に応じて、複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0019】
この構成によれば、制御可能な環境の外に生体がいる場合であっても、距離に応じて環境を適宜制御することができる。
【0020】
[適用例8]環境の状態を制御可能な複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置であって、生体の状態を示す生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づく制御命令を複数の環境機器の各機器に出力する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御装置。
【0021】
この構成によれば、簡易な構成で複数の環境機器の動作を制御して、生体にとって快適な環境を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施例)以下、本発明の実施の形態に係る第1の実施例について図面を参照して説明する。図1に示すように、環境機器制御システム1は、ユーザの生体情報を検出するための生体センサ装置(生体情報検出装置)2と、空調機器3a、照明機器3b、音響機器3cなどを含む複数の環境機器3と、環境機器3を遠隔操作するためのリモートコントロール装置(環境機器制御装置)4と、コンピュータ5と、を備えている。以下、環境機器制御システム1の各構成について説明する。
【0023】
生体センサ装置2は、図1に示すように略リング状の外観形状を有しており、ユーザの指や腕に装着可能になっている。図2に示すように、生体センサ装置2は、生体センサ装置2を装着したユーザについての生体情報を検出するための生体センサ10と、生体センサ10の動作を制御するセンサ制御部15と、検出された生体情報(アナログ値)を所定の間隔でサンプリングおよび量子化することにより無線通信に適したデジタルデータに変換するデータ変換部20と、生体情報の送信などの無線通信を司る無線インターフェイス(以下、「無線I/F」という)25と、を備えている。生体センサ10は、体温検出センサ、血圧検出センサおよび心拍数検出センサ(図示なし)などの各種センサを有しており、ユーザの体温、血圧および心拍数についての生体情報を検出可能である。なお、生体センサ装置2の形態としては、上述したリング状のものに限られることなく、ユーザの身体に貼付け可能なテープと一体としたり、時計や眼鏡、衣服などユーザが日常的に身に着けるものに組み込んだりすることによって、ウェアラブルな構成としてもよい。
【0024】
リモートコントロール装置4は、各環境機器3に対応する制御命令を学習可能であって、複数の環境機器3の遠隔制御が可能な装置、いわゆる学習型のリモコン装置である。図3に示すように、リモートコントロール装置4は、無線I/F30と、赤外線I/F35と、生体センサ装置2が送信した生体情報を無線I/F30を介して取得する生体情報取得部(生体情報取得手段)40と、各種テーブルが登録されたデータベース部(心理状態テーブル記憶部、制御値決定テーブル記憶部)45と、ユーザの心理状態を推定する心理状態推定部(心理状態推定手段)50と、各環境機器3を制御する環境機器制御部(制御手段)55とを備えている。詳細は後述するが、データベース部45には、生体情報に対する各環境機器3の制御内容を示す機器制御テーブルCT、生体情報に対応するユーザの心理状態を示す心理状態テーブルPT、心理状態に対応する制御内容の設定を示す設定テーブルST、環境機器の設定に対する具体的な制御値を示す制御値決定テーブルDTなどが予め登録されている。心理状態推定部50は心理状態テーブルPTを用いて心理状態を推定する処理を行う。環境機器制御部55は、各種テーブルCT,ST,DTを用いて各環境機器3の制御値を決定し、制御値に対応する制御命令を赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、各環境機器3の動作を制御する。なお、リモートコントロール装置4は、CPU、RAM、ROMやタイマ(図示なし)などの構成を有する。
【0025】
ここで、各環境機器3を制御する制御方法の例として、2つの方法(以下、「制御方法1」、「制御方法2」という)について説明する。
【0026】
(制御方法1)制御方法1は、生体情報から制御内容を直接決定する方法である。例えば、図4に例として示す、体温Tのユーザが快適に感じられる空調機器3aの温度設定を示した空調機器用の機器制御テーブルCTaに従って、生体情報の体温Tから空調機器3aの温度設定を決定する。ここで、図4の機器制御テーブルCTaでは、温度設定の変化量を矢印で相対的に表しており、矢印先端が図面左向きの矢印は温度設定を維持させることを意味し、矢印先端が図面上側に向く角度が大きくなるほど設定温度を大きく上昇させることを意味している。機器制御テーブルCTaによれば、例えば、体温Tが35.8度以下と低い場合には、ユーザが寒く感じている可能性が高いので設定温度を高めるように、ユーザにとって快適な温度設定が求められる。また、図示していないが、空調機器用の機器制御テーブルCTaには、血圧および心拍数のそれぞれに対する快適な温度設定も示されており、機器制御テーブルCTaによれば血圧に対応する快適な温度設定および心拍数に対応する快適な温度設定が決定される。
【0027】
環境機器制御部55は、以上のようにして、体温、心拍数、血圧の生体情報の各々に対して決定した温度設定を用いて、最適な温度設定を決定する。例えば、機器制御テーブルCTaに従うと、体温Tの観点からは温度設定をやや高めるように調整し、心拍数Hおよび血圧Pの観点からは温度設定を維持することが好ましいと想定される場合、温度設定を少し高めるように制御内容が決定される(図5参照)。また、環境機器制御部55は、他の環境機器3に対する設定についてもテーブルに従って決定する。例えば、図6に示す音響機器用の機器制御テーブルCTcによれば、心拍数が高い場合にはユーザを落ち着かせるよう「非常にゆっくり」のテンポで再生させるように、生体情報の心拍数Hの値から好ましい音響機器3cの制御内容を決定する。照明機器3bに対しては、照明機器用の機器制御テーブルCTb(図示なし)に従って、例えば、体温が低いときには、色温度が低い暖色系の照明色に切り替えるように制御内容を決定する。環境機器制御部55は、こうして決定された制御内容に対応する制御命令を赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、生体情報、すなわちユーザの身体状態に応じた環境の制御を行う。
【0028】
(制御方法2)次に、制御方法2について説明する。制御方法2は、生体情報から心理状態、すなわちユーザの気持ちを推定し、推定された心理状態に応じて制御を切り替える。心理状態推定部50は、データベース部45に登録された心理状態テーブルPTを参照して、生体センサ装置2を装着したユーザの心理状態を推定する処理を行う。心理状態テーブルPTには、例えば、体温T、心拍数Hおよび血圧Pが高いときにはユーザの心理状態が「あせっている」、各値が低いときには「落ち着いている」というように、体温T、心拍数H、血圧Pなどに関する生体の状態と、その状態における代表的な心理状態とが予め対応付けられている(図7参照)。
【0029】
環境機器制御部55は、データベース部45に登録された設定テーブルSTを参照して、推定された心理状態に応じて各環境機器3の動作を制御する。設定テーブルSTには、心理状態と各環境機器3の制御内容とが対応付けられ、例えば、「あせっている」心理状態には、空調機器3aに対しては設定温度を「少し低く」、照明機器3bに対しては照度を「明るく」、音響機器3cに対しては再生テンポを「ゆっくり」の設定に決定される(図8参照)。また、制御内容に対応する具体的な制御値は、環境機器ごとに予め定められた制御値決定テーブルDTに示されている。制御値決定テーブルDTは、各環境機器について、制御内容と制御値とを予め対応付けたものであり、図9(a)は空調機器の制御値決定テーブルDTa、図9(b)は照明機器の制御値決定テーブルDTbの一例である。同様に、図示していないが、音響機器3cについても制御値決定テーブルDTcが定められている。ここで、制御値決定テーブルDTは、日時情報により制御値が変化するようになっている。例えば、空調機器3aに対する空調設定が「少し低く」の場合、図9(a)に示す空調機器の制御値決定テーブルDTaによれば、夏では「−0.5℃」、春では「−0.3℃」の温度制御値に決定される。これは、春の季節に、夏と同様に設定温度を下げると環境の冷え過ぎが懸念されるためである。また、照明機器3bに対しての照明設定が「明るく」の場合、図9(b)に示す照明機器の制御値決定テーブルDTbによれば、昼であれば「+40Lx」、夜であれば「+20Lx」の照度制御値に決定される。これは、昼と同量の照度を夜に上昇させると、明るくなり過ぎることが懸念されるためである。環境機器制御部55は、これらの制御値決定テーブルDTにより決定される制御値に対応する制御命令を、赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、ユーザの生体情報に応じた環境の制御を行う。
【0030】
以上に説明したように、本実施例では、ユーザの生体情報に応じて複数の環境機器3に対する制御は、1つのリモートコントロール装置4が統合して行うようになっている。次に、このリモートコントロール装置4が行う処理の流れについて、図10に示すフローチャートに従って説明する。なお、以下では、上述した制御方法2を例にして説明する。
【0031】
処理を開始して、無線I/F30が生体センサ装置2からの信号を受信すると(ステップS10)、生体情報取得部40は、データを正常に受信することができたか否かの受信確認を行う(ステップS11)。データを正常に受信できなかった場合(ステップS11:No)、ステップS10に戻って、次に送信されるデータを受信する。データを正常に受信できた場合(ステップS11:Yes)、生体情報取得部40は、体温T、心拍数H、血圧Pについての生体情報を取得する(ステップS12)。
【0032】
なお、ステップS12において取得した生体情報はRAMに蓄積して記憶されるようになっている。生体センサ装置2は、無線I/F25を介してコンピュータ5からのデータ要求を受けると、蓄積した生体情報を無線I/F25を介してコンピュータ5に送信する。送信された生体情報は、コンピュータ5内部のハードディスクなどに記録され、ユーザが自身の健康管理などのために生体情報を活用することが可能になっている。
【0033】
生体情報が取得されると、各環境機器3の制御値を決定する制御値決定処理を行う(ステップS13)。図11のフローチャートに示すように、制御値決定処理においては、まず、心理状態推定部50が、データベース部45に登録された心理状態テーブルPTを参照して、生体情報に対応する心理状態をユーザの心理状態と推定する(ステップS20)。次に、環境機器制御部55が、データベース部45に登録された設定テーブルSTを参照して、設定内容を決定し(ステップS21)、タイマから日時情報を取得する(ステップS22)。次に、環境機器制御部55は、制御値決定テーブルDTを参照して、設定内容および日時情報に対応する各環境機器の制御値を決定する(ステップS23)。
【0034】
制御値を決定すると図10の処理に戻り、環境機器制御部55は、赤外線I/F35を介して、決定された制御値に対応する制御命令を各環境機器3に送信する(ステップS14)。これにより、各環境機器3の動作が制御される。制御信号を送信すると、環境機器制御部55は各環境機器3の運転を中止するか否かを判断し(ステップS15)、運転を中止しないと判断した場合(ステップS15:No)、生体センサ装置2のサンプリング間隔に対応する所定時間の経過を待ってから(ステップS16)、ステップS10に戻る。例えば、リモートコントロール装置4などから運転を中止する旨の指示が入力されると、運転を中止すると判断して(ステップS15:Yes)、図10の処理を終了する。
【0035】
なお、以上では、制御方法2による処理の流れについて説明したが、制御方法1による処理を行う場合には、ステップS13の制御値決定処理において、環境機器制御部55が、機器制御テーブルCTに従って制御内容と制御内容に対応する制御値を決定する。
【0036】
以上に説明した第1の実施例によれば、1つのリモートコントロール装置4によって、複数の環境機器3が生体情報に応じて統合的に制御されるようになるので、簡易なシステム構成で、ユーザの身体の状態に応じた快適な環境に制御することができる。特に、体温T、心拍数H、血圧Pからなる複数の情報を用いて制御内容を決定しているので、特許文献1に記載のように体温のみに従う制御に比べて、より快適な環境を得ることが可能である。また、制御方法2では、生体情報から推定される心理状態に従って各環境機器3を制御するので、ユーザの心理状態に応じた快適な環境を得ることができる。さらに、日時情報に応じて制御値を変えるようにしているので、季節や時刻に応じてより快適な環境を得ることができる。また、複数の環境機器3により制御可能な環境下にユーザがいる場合、環境変化の影響を受けてユーザ自身の生体情報が変化し、この変化量は個人によって異なるが、図9に示すように判断時点の設定に対して制御値を相対的に変化させ、所定の時間ごとに制御値が更新されるので、ユーザにとって快適な環境に徐々に近付くようにして、快適な環境に確実に制御されるようになる。
【0037】
(第2の実施例)次に、第2の実施例について説明する。第2の実施例の環境機器制御システムでは、環境機器3による環境の制御が及ばない場所にユーザがいる場合に、環境機器3を予め制御しておき、ユーザが制御可能な環境内に移動したときには、予め快適な環境となっているように制御を行う。なお、以下の説明では、第1の実施例と同様の構成については同じ符号を付与し、詳細な説明を省略することにする。
【0038】
図12に示すように、第2の実施例に係る環境機器制御システム100は、複数の環境機器3と、リモートコントロール装置4と、受信用のアンテナを屋外に有する受信装置6とが、オフィスやリビングなどの屋内に設置され、受信装置6とリモートコントロール装置4は有線または無線で通信可能に接続されている。一方、生体センサ装置2を装着したユーザは屋外、すなわち、環境機器3により制御可能な範囲の外に位置している。また、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2あるいはユーザが所有する携帯電話に備わるGPS装置から位置情報を取得して、生体センサ装置2と屋内との間の距離Lを算出可能になっている。
【0039】
ここで、屋外にいるユーザが屋内に向けて移動する場合を例にして、屋内の環境温度の変化を示す図13を用いて、図14のフローチャートに従って説明する。屋外のA地点を出発したユーザが、屋内までの距離Lが所定の距離Lthより小さくなるB地点を通過したとき(図13参照)に図14の処理が開始され、生体センサ装置2は生体情報の信号を受信装置6に送信し(ステップS30)、受信装置6は、受信した生体情報をリモートコントロール装置4に送信する(ステップS31)。こうして、リモートコントロール装置4の生体情報取得部40は、受信装置6を中継して、屋外にある生体センサ装置2から生体情報を取得する。そして、心理状態推定部50は、生体情報から屋外にいるユーザの心理状態を推定し(ステップS32)、最適な環境設定を求める(ステップS33)。ここでは、図15(a)に示す空調機器の制御値決定テーブルDTa、図15(b)に示す照明機器の制御値決定テーブルDTbなどを用いて最適な環境設定の制御値を求める。なお、第1の実施例と異なり、制御値決定テーブルDTの制御値は絶対値になっている。
【0040】
次に、ステップS33にて求めた最適な環境設定が以前の設定から変化しているか否かを判断する(ステップS34)。ステップS33にて求めた制御値が前回に求めた制御値と同じ値であり、最適な環境設定が変化していないと判断すると(ステップS34:No)、ステップS36に進む。値が異なっており、最適な環境設定が変化していると判断すると(ステップS34:Yes)、各環境機器3に最適な環境設定の制御値に対応する制御信号を送信して(ステップS35)、ステップS36に進む。そして、運転を中止するか否かを判断する(ステップS36)。運転を中止しない場合(ステップS36:No)、所定時間の経過を待ってから(ステップS37)、ステップS30に戻る。運転を中止する場合(ステップS36:Yes)、図14の処理を終了する。なお、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2からの出力を受信できるか否かを判断して、受信することができずにユーザが屋外にいると判断したときは上述した図14の処理を行い、ユーザが屋内に入るようにして生体センサ装置2の出力を受信可能になったタイミングで、第1の実施例と同様の制御に切り替えるようになっている。
【0041】
以上に説明した第2の実施例によれば、図13に示すように生体センサ装置2を装着したユーザが屋外から屋内に入ったとき(L=0)、ユーザが空調機器3aを操作することなく、快適な環境になっているよう制御される。また、生体情報に応じた絶対値の制御値を目標にして各環境機器3が制御されるので、ユーザが屋外にいても、屋内の環境をユーザに快適な環境に制御することができる。さらに、生体情報を検出して制御内容を決定する処理を繰り返し行うので、生体の状態が変化しても適切な環境に制御できる。
【0042】
(第3の実施例)次に、第3の実施例について説明する。第3の実施例の環境制御システム200では、複数名のユーザのそれぞれが生体センサ装置2(それぞれ、2a,2b,2c)を身に着けており(図16参照)、複数のユーザの生体情報に応じて環境機器3を制御する。また、各生体センサ装置2には、ID情報を記憶した記憶部または切替可能に設けられたDIPスイッチが設けられており、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2と通信してID情報またはDIPスイッチの設定情報を取得することにより、個々の生体センサ装置2を識別することが可能になっている。
【0043】
以下、図17のフローチャートに従って説明する。処理を開始して、生体情報取得部40は、各生体センサ装置2と通信して、受信した各生体センサ装置2のID情報またはDIPスイッチの設定情報から屋内にいるユーザの人数を特定し(ステップS40)、各生体センサ装置2から生体情報を受信して取得する(ステップS41)。次に、心理状態推定部50は、取得した生体情報を用いて生体センサ装置2を装着した各ユーザの心理状態を推定し(ステップS42)、各ユーザに対する環境機器3の制御内容を決定する(ステップS43)。そして、各ユーザに対する制御内容が同じであるか否かを判断する(ステップS44)。制御内容が同じであれば(ステップS44:Yes)、各ユーザに対して制御値決定テーブルDTにより定まる値を平均して制御値とする(ステップS45)。一方、異なる制御内容が含まれている場合(ステップS44:No)、制御内容が他と異なるユーザの人数が所定数未満であるか否かを判断する(ステップS46)。所定数未満であれば(ステップS46:Yes)、他と異なる制御内容を考慮して制御値を算出する(ステップS47)。例えば、求められた3つの制御値である設定温度が24.5℃、25.0℃、26.5℃とバラツキが大きい場合、平均すると「25.3℃」であるが、他の2つから値が外れた26.5に重みをかけて制御値を「26.0℃」に設定する。一方、設定温度が24.8℃、25.0℃、25.1℃などとバラツキが小さい場合には、平均値または中央値を制御値とする。制御内容が他と異なるユーザの人数が所定数以上の場合(ステップS46:No)、全ユーザに適切な制御値を求めることができないため、新たな制御値を設定することなく、ステップS49に進む。
【0044】
なお、ステップS47,S45にて用いる制御値決定テーブルDTは、環境に対するユーザの好みに応じて制御値が適宜設定されている。データベース部45には、ユーザごとの好みを示すデータが予め登録され、登録されたデータを参照して好みを判断する。そして、例えば、高めの設定温度を好むユーザについては、高めの温度設定がなされた制御値決定テーブルDTa1(図18(a)参照)が適用され、低めの設定温度を好むユーザについては、低めの温度設定がなされた制御値決定テーブルDTa2(図18(b)参照)が適用されるようになっている。
【0045】
ステップS45またはS47にて制御値が求まると、制御値に対応する命令の制御信号を各環境機器3に出力してから(ステップS48)、運転を中止するか否かを判断する(ステップS49)。運転を中止しない場合(ステップS49:No)、所定の時間の経過を待ってから(ステップS50)、ステップS40に戻る。運転を中止する場合(ステップS49:Yes)、図17の処理を終了する。
【0046】
以上に説明した第3の実施例によれば、複数のユーザの各人が生体センサ装置2を装着している場合に、複数のユーザが快適と感じる状態に環境を制御することができる。また、図18に示したように、制御値決定テーブルDTは個人の好みを考慮して決められているので、ユーザの好みに応じた快適な環境に制御することができる。
【0047】
以上、本環境機器制御システムおよび本環境制御装置に係る第1ないし第3の実施例について説明したが、これに限られることなく、以下の変形例としてもよい。
【0048】
(変形例1)上記実施例では、環境機器の例として空調機器、照明機器、音響機器について説明したが、環境機器としてはこれに限られない。例えば、空気清浄器、暖房機器、扇風機、換気扇、テレビ、芳香装置、酸素供給装置などの動作を生体情報に応じて制御してもよい。また、カーテンやブラインドの開け閉めにより屋外光を取り入れるシステムや、窓の開閉により空気の入れ替えるシステムに適用してもよい。さらに、照明機器は照明の光量の他に照明光の色温度、音響機器は音量や曲を切り替えるように制御してもよい。
【0049】
(変形例2)生体情報としては、体温、心拍数、血圧に限られることなく、脳波、身体に微弱電流を流したときの波形や抵抗値、汗ばみ具合などの情報を用いてもよい。
【0050】
(変形例3)上記実施例では、赤外線通信により制御命令を各環境機器に出力するようにしたが、無線通信により制御命令を出力してもよいし、生体センサ装置からリモートコントロール装置に生体情報を送信する通信を赤外線通信で行ってもよい。また、生体センサ装置がリモートコントロール装置の内部に含まれた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図2】生体センサ装置の内部構成を示した図。
【図3】リモートコントロール装置の内部構成を示した図。
【図4】空調機器用の機器制御テーブルの一例を示した図。
【図5】制御方法1を説明するための図。
【図6】音響機器用の機器制御テーブルの一例を示した図。
【図7】心理状態テーブルの一例を示した図。
【図8】設定テーブルの一例を示した図。
【図9】制御値決定テーブルを示す図。
【図10】リモートコントロール装置が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図11】制御値決定処理の流れを示したフローチャート。
【図12】第2の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図13】屋内の環境温度の変化を示した図。
【図14】環境機器制御システムにおける処理の流れを示したフローチャート。
【図15】制御値決定テーブルの一例を示した図。
【図16】第3の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図17】環境機器制御システムにおける処理の流れを示したフローチャート。
【図18】制御値決定テーブルの一例を示した図。
【符号の説明】
【0052】
1…環境機器制御システム、2…生体情報検出装置としての生体センサ装置、3…環境機器、4…環境機器制御装置としてのリモートコントロール装置、40…生体情報取得手段としての生体情報取得部、45…心理状態テーブル記憶部、制御値決定テーブル記憶部としてのデータベース部、50…心理状態推定手段としての心理状態推定部、55…制御手段としての環境機器制御部、PT…心理状態テーブル、DT…制御値決定テーブル。
【技術分野】
【0001】
制御対象の環境における温度や明るさなどの状態を制御する環境機器制御システム、および環境機器制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの血圧や体温などの生体情報を生体センサによって検出し、生体の状態に応じて快適な環境となるよう、環境温度を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、空気調和機のリモートコントロール装置に血圧を測定する生体センサを設け、測定された血圧値に応じて空気調和機の設定温度を切り替えることによって、ユーザにとって健康的な環境温度となるように空気調和機を運転させる技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−4531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、センサが設けられた装置と制御を受ける機器とが1対1に対応する構成であるので、例えば、空気調和機、照明機器、音響機器など複数の環境機器が設置されたリビングやオフィスなどの室内環境において複数の環境機器を制御しようとする場合、複数の環境機器の各々のリモートコントロール装置に対して生体センサを設けるようにして、複数の生体センサを備える必要がある。このため、複数の環境機器を制御するためのシステム構成が複雑になってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]生体情報を検出する生体情報検出装置と、環境の状態を制御可能な複数の環境機器と、複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置と、を備え、環境機器制御装置は、生体情報検出装置から生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づいて複数の環境機器の各機器を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御システム。
【0007】
この構成によれば、1つの生体情報検出装置が検出した生体情報に基づいて複数の環境機器の動作が制御されるので、各環境機器に対応する複数の生体情報検出装置を設けることがなく、複数の環境機器の動作を制御することができる。したがって、簡易なシステム構成で、生体にとって快適な環境を得ることができる。なお、生体情報検出装置が、体温、心拍数、血圧などの複数の情報を生体情報として検出し、制御手段は、複数の情報に基づいて各機器の制御内容を決定することがより望ましい。
【0008】
[適用例2]上記環境機器制御システムにおいて、環境機器制御装置は、生体の状態と心理状態とを予め対応付けた心理状態テーブルを記憶する心理状態テーブル記憶部と、心理状態テーブルを参照して、取得した生体情報に対応する心理状態を、生体情報が検出された生体の心理状態と推定する心理状態推定手段とをさらに備え、制御手段は、推定された心理状態に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0009】
この構成によれば、生体の心理状態に応じた快適な環境に制御することができる。
【0010】
[適用例3]上記環境機器制御システムにおいて、互いに異なる生体を測定して生体情報を検出する1または複数の生体情報検出装置をさらに備え、生体情報取得手段は、生体情報検出装置の各々から生体情報を取得し、制御手段は、取得した複数の生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0011】
この構成によれば、複数の生体にとって快適な環境に制御することができる。
【0012】
[適用例4]上記環境機器制御システムにおいて、生体の個体ごとに調整された、各環境機器に対する制御値を示す制御値決定テーブルを記憶する制御値決定テーブル記憶部をさらに備え、制御手段は、制御値決定テーブルを参照し、生体情報を検出した生体に対応する制御値を決定し、決定された制御値に基づいて複数の環境機器の各機器を制御することを特徴とする環境機器制御システム。
【0013】
この構成によれば、生体の個体ごとに調整された環境に制御することができる。例えば、ユーザの好みに応じて調整された制御値決定テーブルを用いることにより、好みに応じたより快適な環境に制御することができる。
【0014】
[適用例5]上記環境機器制御システムにおいて、生体情報検出装置は、生体の身体に装着され、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の内にある場合、検出された生体情報に応じて環境を相対的に変化させるように、複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、生体情報を検出する処理、および制御内容を決定して複数の環境機器の各機器を制御する処理を繰り返し行うことを特徴とする環境機器制御システム。
【0015】
この構成によれば、生体情報の検出と、生体情報に応じた相対的に環境を変化させる制御が繰り返されるため、制御可能な環境内にいる生体にとって快適な環境に徐々に近付けるようにして、快適な環境に制御することができる。
【0016】
[適用例6]上記環境機器制御システムにおいて、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、検出された生体情報に基づいて目標となる絶対的な状態を定め、環境が目標の状態となるように複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0017】
この構成によれば、制御可能な環境の外に生体がいる場合であっても、生体情報に応じて定められた絶対的な状態となるように環境が制御されるので、制御可能な環境外にいる生体にとって快適な環境に制御することができる。
【0018】
[適用例7]上記環境機器制御システムにおいて、制御手段は、生体情報検出装置が複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、制御可能な環境と生体情報検出装置との距離に応じて、複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【0019】
この構成によれば、制御可能な環境の外に生体がいる場合であっても、距離に応じて環境を適宜制御することができる。
【0020】
[適用例8]環境の状態を制御可能な複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置であって、生体の状態を示す生体情報を取得する生体情報取得手段と、取得した生体情報に基づいて複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づく制御命令を複数の環境機器の各機器に出力する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御装置。
【0021】
この構成によれば、簡易な構成で複数の環境機器の動作を制御して、生体にとって快適な環境を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施例)以下、本発明の実施の形態に係る第1の実施例について図面を参照して説明する。図1に示すように、環境機器制御システム1は、ユーザの生体情報を検出するための生体センサ装置(生体情報検出装置)2と、空調機器3a、照明機器3b、音響機器3cなどを含む複数の環境機器3と、環境機器3を遠隔操作するためのリモートコントロール装置(環境機器制御装置)4と、コンピュータ5と、を備えている。以下、環境機器制御システム1の各構成について説明する。
【0023】
生体センサ装置2は、図1に示すように略リング状の外観形状を有しており、ユーザの指や腕に装着可能になっている。図2に示すように、生体センサ装置2は、生体センサ装置2を装着したユーザについての生体情報を検出するための生体センサ10と、生体センサ10の動作を制御するセンサ制御部15と、検出された生体情報(アナログ値)を所定の間隔でサンプリングおよび量子化することにより無線通信に適したデジタルデータに変換するデータ変換部20と、生体情報の送信などの無線通信を司る無線インターフェイス(以下、「無線I/F」という)25と、を備えている。生体センサ10は、体温検出センサ、血圧検出センサおよび心拍数検出センサ(図示なし)などの各種センサを有しており、ユーザの体温、血圧および心拍数についての生体情報を検出可能である。なお、生体センサ装置2の形態としては、上述したリング状のものに限られることなく、ユーザの身体に貼付け可能なテープと一体としたり、時計や眼鏡、衣服などユーザが日常的に身に着けるものに組み込んだりすることによって、ウェアラブルな構成としてもよい。
【0024】
リモートコントロール装置4は、各環境機器3に対応する制御命令を学習可能であって、複数の環境機器3の遠隔制御が可能な装置、いわゆる学習型のリモコン装置である。図3に示すように、リモートコントロール装置4は、無線I/F30と、赤外線I/F35と、生体センサ装置2が送信した生体情報を無線I/F30を介して取得する生体情報取得部(生体情報取得手段)40と、各種テーブルが登録されたデータベース部(心理状態テーブル記憶部、制御値決定テーブル記憶部)45と、ユーザの心理状態を推定する心理状態推定部(心理状態推定手段)50と、各環境機器3を制御する環境機器制御部(制御手段)55とを備えている。詳細は後述するが、データベース部45には、生体情報に対する各環境機器3の制御内容を示す機器制御テーブルCT、生体情報に対応するユーザの心理状態を示す心理状態テーブルPT、心理状態に対応する制御内容の設定を示す設定テーブルST、環境機器の設定に対する具体的な制御値を示す制御値決定テーブルDTなどが予め登録されている。心理状態推定部50は心理状態テーブルPTを用いて心理状態を推定する処理を行う。環境機器制御部55は、各種テーブルCT,ST,DTを用いて各環境機器3の制御値を決定し、制御値に対応する制御命令を赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、各環境機器3の動作を制御する。なお、リモートコントロール装置4は、CPU、RAM、ROMやタイマ(図示なし)などの構成を有する。
【0025】
ここで、各環境機器3を制御する制御方法の例として、2つの方法(以下、「制御方法1」、「制御方法2」という)について説明する。
【0026】
(制御方法1)制御方法1は、生体情報から制御内容を直接決定する方法である。例えば、図4に例として示す、体温Tのユーザが快適に感じられる空調機器3aの温度設定を示した空調機器用の機器制御テーブルCTaに従って、生体情報の体温Tから空調機器3aの温度設定を決定する。ここで、図4の機器制御テーブルCTaでは、温度設定の変化量を矢印で相対的に表しており、矢印先端が図面左向きの矢印は温度設定を維持させることを意味し、矢印先端が図面上側に向く角度が大きくなるほど設定温度を大きく上昇させることを意味している。機器制御テーブルCTaによれば、例えば、体温Tが35.8度以下と低い場合には、ユーザが寒く感じている可能性が高いので設定温度を高めるように、ユーザにとって快適な温度設定が求められる。また、図示していないが、空調機器用の機器制御テーブルCTaには、血圧および心拍数のそれぞれに対する快適な温度設定も示されており、機器制御テーブルCTaによれば血圧に対応する快適な温度設定および心拍数に対応する快適な温度設定が決定される。
【0027】
環境機器制御部55は、以上のようにして、体温、心拍数、血圧の生体情報の各々に対して決定した温度設定を用いて、最適な温度設定を決定する。例えば、機器制御テーブルCTaに従うと、体温Tの観点からは温度設定をやや高めるように調整し、心拍数Hおよび血圧Pの観点からは温度設定を維持することが好ましいと想定される場合、温度設定を少し高めるように制御内容が決定される(図5参照)。また、環境機器制御部55は、他の環境機器3に対する設定についてもテーブルに従って決定する。例えば、図6に示す音響機器用の機器制御テーブルCTcによれば、心拍数が高い場合にはユーザを落ち着かせるよう「非常にゆっくり」のテンポで再生させるように、生体情報の心拍数Hの値から好ましい音響機器3cの制御内容を決定する。照明機器3bに対しては、照明機器用の機器制御テーブルCTb(図示なし)に従って、例えば、体温が低いときには、色温度が低い暖色系の照明色に切り替えるように制御内容を決定する。環境機器制御部55は、こうして決定された制御内容に対応する制御命令を赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、生体情報、すなわちユーザの身体状態に応じた環境の制御を行う。
【0028】
(制御方法2)次に、制御方法2について説明する。制御方法2は、生体情報から心理状態、すなわちユーザの気持ちを推定し、推定された心理状態に応じて制御を切り替える。心理状態推定部50は、データベース部45に登録された心理状態テーブルPTを参照して、生体センサ装置2を装着したユーザの心理状態を推定する処理を行う。心理状態テーブルPTには、例えば、体温T、心拍数Hおよび血圧Pが高いときにはユーザの心理状態が「あせっている」、各値が低いときには「落ち着いている」というように、体温T、心拍数H、血圧Pなどに関する生体の状態と、その状態における代表的な心理状態とが予め対応付けられている(図7参照)。
【0029】
環境機器制御部55は、データベース部45に登録された設定テーブルSTを参照して、推定された心理状態に応じて各環境機器3の動作を制御する。設定テーブルSTには、心理状態と各環境機器3の制御内容とが対応付けられ、例えば、「あせっている」心理状態には、空調機器3aに対しては設定温度を「少し低く」、照明機器3bに対しては照度を「明るく」、音響機器3cに対しては再生テンポを「ゆっくり」の設定に決定される(図8参照)。また、制御内容に対応する具体的な制御値は、環境機器ごとに予め定められた制御値決定テーブルDTに示されている。制御値決定テーブルDTは、各環境機器について、制御内容と制御値とを予め対応付けたものであり、図9(a)は空調機器の制御値決定テーブルDTa、図9(b)は照明機器の制御値決定テーブルDTbの一例である。同様に、図示していないが、音響機器3cについても制御値決定テーブルDTcが定められている。ここで、制御値決定テーブルDTは、日時情報により制御値が変化するようになっている。例えば、空調機器3aに対する空調設定が「少し低く」の場合、図9(a)に示す空調機器の制御値決定テーブルDTaによれば、夏では「−0.5℃」、春では「−0.3℃」の温度制御値に決定される。これは、春の季節に、夏と同様に設定温度を下げると環境の冷え過ぎが懸念されるためである。また、照明機器3bに対しての照明設定が「明るく」の場合、図9(b)に示す照明機器の制御値決定テーブルDTbによれば、昼であれば「+40Lx」、夜であれば「+20Lx」の照度制御値に決定される。これは、昼と同量の照度を夜に上昇させると、明るくなり過ぎることが懸念されるためである。環境機器制御部55は、これらの制御値決定テーブルDTにより決定される制御値に対応する制御命令を、赤外線I/F35を介して各環境機器3に出力することにより、ユーザの生体情報に応じた環境の制御を行う。
【0030】
以上に説明したように、本実施例では、ユーザの生体情報に応じて複数の環境機器3に対する制御は、1つのリモートコントロール装置4が統合して行うようになっている。次に、このリモートコントロール装置4が行う処理の流れについて、図10に示すフローチャートに従って説明する。なお、以下では、上述した制御方法2を例にして説明する。
【0031】
処理を開始して、無線I/F30が生体センサ装置2からの信号を受信すると(ステップS10)、生体情報取得部40は、データを正常に受信することができたか否かの受信確認を行う(ステップS11)。データを正常に受信できなかった場合(ステップS11:No)、ステップS10に戻って、次に送信されるデータを受信する。データを正常に受信できた場合(ステップS11:Yes)、生体情報取得部40は、体温T、心拍数H、血圧Pについての生体情報を取得する(ステップS12)。
【0032】
なお、ステップS12において取得した生体情報はRAMに蓄積して記憶されるようになっている。生体センサ装置2は、無線I/F25を介してコンピュータ5からのデータ要求を受けると、蓄積した生体情報を無線I/F25を介してコンピュータ5に送信する。送信された生体情報は、コンピュータ5内部のハードディスクなどに記録され、ユーザが自身の健康管理などのために生体情報を活用することが可能になっている。
【0033】
生体情報が取得されると、各環境機器3の制御値を決定する制御値決定処理を行う(ステップS13)。図11のフローチャートに示すように、制御値決定処理においては、まず、心理状態推定部50が、データベース部45に登録された心理状態テーブルPTを参照して、生体情報に対応する心理状態をユーザの心理状態と推定する(ステップS20)。次に、環境機器制御部55が、データベース部45に登録された設定テーブルSTを参照して、設定内容を決定し(ステップS21)、タイマから日時情報を取得する(ステップS22)。次に、環境機器制御部55は、制御値決定テーブルDTを参照して、設定内容および日時情報に対応する各環境機器の制御値を決定する(ステップS23)。
【0034】
制御値を決定すると図10の処理に戻り、環境機器制御部55は、赤外線I/F35を介して、決定された制御値に対応する制御命令を各環境機器3に送信する(ステップS14)。これにより、各環境機器3の動作が制御される。制御信号を送信すると、環境機器制御部55は各環境機器3の運転を中止するか否かを判断し(ステップS15)、運転を中止しないと判断した場合(ステップS15:No)、生体センサ装置2のサンプリング間隔に対応する所定時間の経過を待ってから(ステップS16)、ステップS10に戻る。例えば、リモートコントロール装置4などから運転を中止する旨の指示が入力されると、運転を中止すると判断して(ステップS15:Yes)、図10の処理を終了する。
【0035】
なお、以上では、制御方法2による処理の流れについて説明したが、制御方法1による処理を行う場合には、ステップS13の制御値決定処理において、環境機器制御部55が、機器制御テーブルCTに従って制御内容と制御内容に対応する制御値を決定する。
【0036】
以上に説明した第1の実施例によれば、1つのリモートコントロール装置4によって、複数の環境機器3が生体情報に応じて統合的に制御されるようになるので、簡易なシステム構成で、ユーザの身体の状態に応じた快適な環境に制御することができる。特に、体温T、心拍数H、血圧Pからなる複数の情報を用いて制御内容を決定しているので、特許文献1に記載のように体温のみに従う制御に比べて、より快適な環境を得ることが可能である。また、制御方法2では、生体情報から推定される心理状態に従って各環境機器3を制御するので、ユーザの心理状態に応じた快適な環境を得ることができる。さらに、日時情報に応じて制御値を変えるようにしているので、季節や時刻に応じてより快適な環境を得ることができる。また、複数の環境機器3により制御可能な環境下にユーザがいる場合、環境変化の影響を受けてユーザ自身の生体情報が変化し、この変化量は個人によって異なるが、図9に示すように判断時点の設定に対して制御値を相対的に変化させ、所定の時間ごとに制御値が更新されるので、ユーザにとって快適な環境に徐々に近付くようにして、快適な環境に確実に制御されるようになる。
【0037】
(第2の実施例)次に、第2の実施例について説明する。第2の実施例の環境機器制御システムでは、環境機器3による環境の制御が及ばない場所にユーザがいる場合に、環境機器3を予め制御しておき、ユーザが制御可能な環境内に移動したときには、予め快適な環境となっているように制御を行う。なお、以下の説明では、第1の実施例と同様の構成については同じ符号を付与し、詳細な説明を省略することにする。
【0038】
図12に示すように、第2の実施例に係る環境機器制御システム100は、複数の環境機器3と、リモートコントロール装置4と、受信用のアンテナを屋外に有する受信装置6とが、オフィスやリビングなどの屋内に設置され、受信装置6とリモートコントロール装置4は有線または無線で通信可能に接続されている。一方、生体センサ装置2を装着したユーザは屋外、すなわち、環境機器3により制御可能な範囲の外に位置している。また、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2あるいはユーザが所有する携帯電話に備わるGPS装置から位置情報を取得して、生体センサ装置2と屋内との間の距離Lを算出可能になっている。
【0039】
ここで、屋外にいるユーザが屋内に向けて移動する場合を例にして、屋内の環境温度の変化を示す図13を用いて、図14のフローチャートに従って説明する。屋外のA地点を出発したユーザが、屋内までの距離Lが所定の距離Lthより小さくなるB地点を通過したとき(図13参照)に図14の処理が開始され、生体センサ装置2は生体情報の信号を受信装置6に送信し(ステップS30)、受信装置6は、受信した生体情報をリモートコントロール装置4に送信する(ステップS31)。こうして、リモートコントロール装置4の生体情報取得部40は、受信装置6を中継して、屋外にある生体センサ装置2から生体情報を取得する。そして、心理状態推定部50は、生体情報から屋外にいるユーザの心理状態を推定し(ステップS32)、最適な環境設定を求める(ステップS33)。ここでは、図15(a)に示す空調機器の制御値決定テーブルDTa、図15(b)に示す照明機器の制御値決定テーブルDTbなどを用いて最適な環境設定の制御値を求める。なお、第1の実施例と異なり、制御値決定テーブルDTの制御値は絶対値になっている。
【0040】
次に、ステップS33にて求めた最適な環境設定が以前の設定から変化しているか否かを判断する(ステップS34)。ステップS33にて求めた制御値が前回に求めた制御値と同じ値であり、最適な環境設定が変化していないと判断すると(ステップS34:No)、ステップS36に進む。値が異なっており、最適な環境設定が変化していると判断すると(ステップS34:Yes)、各環境機器3に最適な環境設定の制御値に対応する制御信号を送信して(ステップS35)、ステップS36に進む。そして、運転を中止するか否かを判断する(ステップS36)。運転を中止しない場合(ステップS36:No)、所定時間の経過を待ってから(ステップS37)、ステップS30に戻る。運転を中止する場合(ステップS36:Yes)、図14の処理を終了する。なお、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2からの出力を受信できるか否かを判断して、受信することができずにユーザが屋外にいると判断したときは上述した図14の処理を行い、ユーザが屋内に入るようにして生体センサ装置2の出力を受信可能になったタイミングで、第1の実施例と同様の制御に切り替えるようになっている。
【0041】
以上に説明した第2の実施例によれば、図13に示すように生体センサ装置2を装着したユーザが屋外から屋内に入ったとき(L=0)、ユーザが空調機器3aを操作することなく、快適な環境になっているよう制御される。また、生体情報に応じた絶対値の制御値を目標にして各環境機器3が制御されるので、ユーザが屋外にいても、屋内の環境をユーザに快適な環境に制御することができる。さらに、生体情報を検出して制御内容を決定する処理を繰り返し行うので、生体の状態が変化しても適切な環境に制御できる。
【0042】
(第3の実施例)次に、第3の実施例について説明する。第3の実施例の環境制御システム200では、複数名のユーザのそれぞれが生体センサ装置2(それぞれ、2a,2b,2c)を身に着けており(図16参照)、複数のユーザの生体情報に応じて環境機器3を制御する。また、各生体センサ装置2には、ID情報を記憶した記憶部または切替可能に設けられたDIPスイッチが設けられており、リモートコントロール装置4は、生体センサ装置2と通信してID情報またはDIPスイッチの設定情報を取得することにより、個々の生体センサ装置2を識別することが可能になっている。
【0043】
以下、図17のフローチャートに従って説明する。処理を開始して、生体情報取得部40は、各生体センサ装置2と通信して、受信した各生体センサ装置2のID情報またはDIPスイッチの設定情報から屋内にいるユーザの人数を特定し(ステップS40)、各生体センサ装置2から生体情報を受信して取得する(ステップS41)。次に、心理状態推定部50は、取得した生体情報を用いて生体センサ装置2を装着した各ユーザの心理状態を推定し(ステップS42)、各ユーザに対する環境機器3の制御内容を決定する(ステップS43)。そして、各ユーザに対する制御内容が同じであるか否かを判断する(ステップS44)。制御内容が同じであれば(ステップS44:Yes)、各ユーザに対して制御値決定テーブルDTにより定まる値を平均して制御値とする(ステップS45)。一方、異なる制御内容が含まれている場合(ステップS44:No)、制御内容が他と異なるユーザの人数が所定数未満であるか否かを判断する(ステップS46)。所定数未満であれば(ステップS46:Yes)、他と異なる制御内容を考慮して制御値を算出する(ステップS47)。例えば、求められた3つの制御値である設定温度が24.5℃、25.0℃、26.5℃とバラツキが大きい場合、平均すると「25.3℃」であるが、他の2つから値が外れた26.5に重みをかけて制御値を「26.0℃」に設定する。一方、設定温度が24.8℃、25.0℃、25.1℃などとバラツキが小さい場合には、平均値または中央値を制御値とする。制御内容が他と異なるユーザの人数が所定数以上の場合(ステップS46:No)、全ユーザに適切な制御値を求めることができないため、新たな制御値を設定することなく、ステップS49に進む。
【0044】
なお、ステップS47,S45にて用いる制御値決定テーブルDTは、環境に対するユーザの好みに応じて制御値が適宜設定されている。データベース部45には、ユーザごとの好みを示すデータが予め登録され、登録されたデータを参照して好みを判断する。そして、例えば、高めの設定温度を好むユーザについては、高めの温度設定がなされた制御値決定テーブルDTa1(図18(a)参照)が適用され、低めの設定温度を好むユーザについては、低めの温度設定がなされた制御値決定テーブルDTa2(図18(b)参照)が適用されるようになっている。
【0045】
ステップS45またはS47にて制御値が求まると、制御値に対応する命令の制御信号を各環境機器3に出力してから(ステップS48)、運転を中止するか否かを判断する(ステップS49)。運転を中止しない場合(ステップS49:No)、所定の時間の経過を待ってから(ステップS50)、ステップS40に戻る。運転を中止する場合(ステップS49:Yes)、図17の処理を終了する。
【0046】
以上に説明した第3の実施例によれば、複数のユーザの各人が生体センサ装置2を装着している場合に、複数のユーザが快適と感じる状態に環境を制御することができる。また、図18に示したように、制御値決定テーブルDTは個人の好みを考慮して決められているので、ユーザの好みに応じた快適な環境に制御することができる。
【0047】
以上、本環境機器制御システムおよび本環境制御装置に係る第1ないし第3の実施例について説明したが、これに限られることなく、以下の変形例としてもよい。
【0048】
(変形例1)上記実施例では、環境機器の例として空調機器、照明機器、音響機器について説明したが、環境機器としてはこれに限られない。例えば、空気清浄器、暖房機器、扇風機、換気扇、テレビ、芳香装置、酸素供給装置などの動作を生体情報に応じて制御してもよい。また、カーテンやブラインドの開け閉めにより屋外光を取り入れるシステムや、窓の開閉により空気の入れ替えるシステムに適用してもよい。さらに、照明機器は照明の光量の他に照明光の色温度、音響機器は音量や曲を切り替えるように制御してもよい。
【0049】
(変形例2)生体情報としては、体温、心拍数、血圧に限られることなく、脳波、身体に微弱電流を流したときの波形や抵抗値、汗ばみ具合などの情報を用いてもよい。
【0050】
(変形例3)上記実施例では、赤外線通信により制御命令を各環境機器に出力するようにしたが、無線通信により制御命令を出力してもよいし、生体センサ装置からリモートコントロール装置に生体情報を送信する通信を赤外線通信で行ってもよい。また、生体センサ装置がリモートコントロール装置の内部に含まれた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図2】生体センサ装置の内部構成を示した図。
【図3】リモートコントロール装置の内部構成を示した図。
【図4】空調機器用の機器制御テーブルの一例を示した図。
【図5】制御方法1を説明するための図。
【図6】音響機器用の機器制御テーブルの一例を示した図。
【図7】心理状態テーブルの一例を示した図。
【図8】設定テーブルの一例を示した図。
【図9】制御値決定テーブルを示す図。
【図10】リモートコントロール装置が行う処理の流れを示したフローチャート。
【図11】制御値決定処理の流れを示したフローチャート。
【図12】第2の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図13】屋内の環境温度の変化を示した図。
【図14】環境機器制御システムにおける処理の流れを示したフローチャート。
【図15】制御値決定テーブルの一例を示した図。
【図16】第3の実施例に係る環境機器制御システムの概略構成を示した図。
【図17】環境機器制御システムにおける処理の流れを示したフローチャート。
【図18】制御値決定テーブルの一例を示した図。
【符号の説明】
【0052】
1…環境機器制御システム、2…生体情報検出装置としての生体センサ装置、3…環境機器、4…環境機器制御装置としてのリモートコントロール装置、40…生体情報取得手段としての生体情報取得部、45…心理状態テーブル記憶部、制御値決定テーブル記憶部としてのデータベース部、50…心理状態推定手段としての心理状態推定部、55…制御手段としての環境機器制御部、PT…心理状態テーブル、DT…制御値決定テーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を検出する生体情報検出装置と、
環境の状態を制御可能な複数の環境機器と、
前記複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置と、を備え、
前記環境機器制御装置は、
前記生体情報検出装置から前記生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記取得した生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、前記決定した制御内容に基づいて前記複数の環境機器の各機器を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記環境機器制御装置は、
生体の状態と心理状態とを予め対応付けた心理状態テーブルを記憶する心理状態テーブル記憶部と、
前記心理状態テーブルを参照して、前記取得した生体情報に対応する心理状態を、前記生体情報が検出された生体の心理状態と推定する心理状態推定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記推定された心理状態に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の環境機器制御システムにおいて、
互いに異なる生体を測定して生体情報を検出する1または複数の生体情報検出装置をさらに備え、
前記生体情報取得手段は、前記生体情報検出装置の各々から前記生体情報を取得し、
前記制御手段は、前記取得した複数の生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の環境機器制御システムにおいて、
生体の個体ごとに調整された、各環境機器に対する制御値を示す制御値決定テーブルを記憶する制御値決定テーブル記憶部をさらに備え、
前記制御手段は、前記制御値決定テーブルを参照し、前記生体情報を検出した生体に対応する制御値を決定し、前記決定された制御値に基づいて前記複数の環境機器の各機器を制御することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記生体情報検出装置は、生体の身体に装着され、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の内にある場合、前記検出された生体情報に応じて環境を相対的に変化させるように、前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、
生体情報を検出する処理、および前記制御内容を決定して前記複数の環境機器の各機器を制御する処理を繰り返し行うことを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、前記検出された生体情報に基づいて目標となる絶対的な状態を定め、環境が目標の状態となるように前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、前記制御可能な環境と前記生体情報検出装置との距離に応じて、前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項8】
環境の状態を制御可能な複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置であって、
生体の状態を示す生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記取得した生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づく制御命令を複数の環境機器の各機器に出力する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御装置。
【請求項1】
生体情報を検出する生体情報検出装置と、
環境の状態を制御可能な複数の環境機器と、
前記複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置と、を備え、
前記環境機器制御装置は、
前記生体情報検出装置から前記生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記取得した生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、前記決定した制御内容に基づいて前記複数の環境機器の各機器を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記環境機器制御装置は、
生体の状態と心理状態とを予め対応付けた心理状態テーブルを記憶する心理状態テーブル記憶部と、
前記心理状態テーブルを参照して、前記取得した生体情報に対応する心理状態を、前記生体情報が検出された生体の心理状態と推定する心理状態推定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記推定された心理状態に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の環境機器制御システムにおいて、
互いに異なる生体を測定して生体情報を検出する1または複数の生体情報検出装置をさらに備え、
前記生体情報取得手段は、前記生体情報検出装置の各々から前記生体情報を取得し、
前記制御手段は、前記取得した複数の生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の環境機器制御システムにおいて、
生体の個体ごとに調整された、各環境機器に対する制御値を示す制御値決定テーブルを記憶する制御値決定テーブル記憶部をさらに備え、
前記制御手段は、前記制御値決定テーブルを参照し、前記生体情報を検出した生体に対応する制御値を決定し、前記決定された制御値に基づいて前記複数の環境機器の各機器を制御することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記生体情報検出装置は、生体の身体に装着され、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の内にある場合、前記検出された生体情報に応じて環境を相対的に変化させるように、前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、
生体情報を検出する処理、および前記制御内容を決定して前記複数の環境機器の各機器を制御する処理を繰り返し行うことを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、前記検出された生体情報に基づいて目標となる絶対的な状態を定め、環境が目標の状態となるように前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の環境機器制御システムにおいて、
前記制御手段は、
前記生体情報検出装置が前記複数の環境機器により制御可能な環境の外にある場合、前記制御可能な環境と前記生体情報検出装置との距離に応じて、前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定することを特徴とする環境機器制御システム。
【請求項8】
環境の状態を制御可能な複数の環境機器の動作を制御する環境機器制御装置であって、
生体の状態を示す生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記取得した生体情報に基づいて前記複数の環境機器の各機器に対する制御内容を決定し、決定した制御内容に基づく制御命令を複数の環境機器の各機器に出力する制御手段と、を備えることを特徴とする環境機器制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−56075(P2009−56075A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225319(P2007−225319)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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