説明

環境汚染物質の試料採取及び分析

【課題】
【解決手段】試料採取及び分析装置はハウジングと、ハウジング内に規定される試料採取領域及び分析領域とを備える。ハウジングは流体の試料採取領域への進入及びそこからの退出を許容する少なくとも1つの開口を有する。フィルタはハウジング内に配置され、ハウジングの内側の試料採取領域にある試料採取位置と分析領域にある分析領域との間を移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、流体に運ばれる汚染物質の試料採取及び分析を行う装置、組立体及びシステムに関する。本発明はさらに試料採取及び分析を行う方法に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
環境中に存在する汚染物質を検出し測定できることが重要な状況は家庭的にも工業的にも多くある。特に懸念されるのは、容易に封じ込めできず、気体や液体に容易に運ばれて移送され又は分散される汚染物質である。例えば、一定の空気伝達粒子は当該地域に住み又は働く人々に吸入され、危害や病気をもたらしかねない。具体的な例は酵素であり、異なった種類のものが多様な源から来て、アレルギーや他の健康上の危険を引き起こす。
【0003】
プロテアーゼ酵素は蛋白質を分解する。いくらかは塵ダニの糞に発見され、家庭環境において塵アレルギーの原因となる。そのような酵素の測定のため市販のシステムが存在する。例えば、英国特許公報2351560及び国際公開公報WO03016871である。これらのシステムにおいては、フィルタを包含するカートリッジが手持ち式真空掃除機の一端に取付けられ、塵を所定時間物の表面から吸い込む。カートリッジは次に除去され、室温の平らな表面に据えられる。カートリッジのふくれセクション内に包含された試薬(緩衝及び洗浄液)はシールを破ることにより解放され、これにより液体がフィルタと、乾燥形態の”基質”及び発色剤が固定された多孔接触ウイックとにかかる。この文脈で、”基質”は、酵素触媒反応における出発化学物質又は原料と定義される。
【0004】
試薬は、酵素を拾い上げ及び/又は溶解し、ウイックに沿って運搬し、そこで基質の分解を触媒して、酵素反応の黄色い生成物を生じさせる。この初期の反応により展開される黄色の着色は白いウイック上での観察が困難であり、そこで試薬の流れをウイックに沿って第2の乾燥試薬まで進めさせ、これと反応させて紫色を生じさせる。これは裸眼で容易に点検でき、図表と比較して高、中、低の濃度が評価される。
【0005】
サブチリシンはバクテリアに由来する他の種類のプロテアーゼであり、この群の酵素は蛋白質のよごれを消化するため生物学的粉末洗剤に使用される。著しい量のこれら酵素が吸入空気に存在しうる環境で長時間作業をする労働者にとって健康との掛かり合いが考えられるため(例えば、喘息を発症させる危険)、洗剤を製造する作業場の空気中のそのような物質の濃度を監視する要求がある。しかしながら、上記の方法を使用して得られる比較的ぞんざいな測定値は長期の作業場監視には不十分であり、はるかに強固な定量的技術が要求される。
【0006】
洗剤のサブチリシンを工業的に監視する現在の方法は一般的に”The use of NN−dimethylcasein in the determination of proteolytic enzymes in washing products and airborne dust samples”(E Dunn及びR Brotherton、 Analyst 96 159−163 Feb 1971)に略述されたもの等の方法に基づく。詳細の多くは開示されていないが、そのようなシステムは通常個人用試料採取ポンプ(呼吸ゾーンに隣接した使用者の折り襟に取付けられる入口を備える)を用い、該ポンプは、例えば米国特許公報4675034に記載されているように、直径が25mmのフィルタを通じ1分につき約2リットルの空気を引き込む。あるいは、可動式ユニット中ではるかに大きいフィルタ(一般的に直径が150mm)に1分につき100リットルを越える量を送る”ガレー試料採取(Galley sampling)”が使用され、該ユニットの場所は作業上の要求条件にふさわしい地域監視を提供するよう選ぶことができる。
【0007】
どちらの場合にも、試料採取システムは濾過材が大気中に存在するいかなる酵素をも再現可能に吸収するのを確実にするよう設計され、それはもちろん同時に背景の塵も吸収する。フィルタを処理するためフィルタを試料採取ヘッドから除去し(該ヘッドにおいてそれは通例交換可能な要素)、後の分析が行われる実験室や他の遠方の場所に移送しなければならない。
【0008】
酵素は液体中に分散させることによってフィルタから抽出される。これには数分かかり、フィルタはしばしば、特に抽出を改善するため撹拌やかき混ぜを用いたときは、該プロセス中に壊れがちである。その結果、後の分析を行う前にこの破片を除去するため酵素を包含する液体を濾過する必要がる。しかしながら、このことはまた、フィルタの小片にいまだ付着している酵素が化学反応が行われる前に失われることを意味し、システムの純感度を損なわしめる。
【0009】
化学反応はその後なされて、濾過液中の酵素の濃度が決定される。一般的に、蛋白質(NN−ジメチルカゼイン、DMC)は酵素によって壊され、遊離アミン基を備えた分裂片を解放する。これらの遊離アミンは2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS/TNBSA)と反応して黄色を生成させ、該黄色は分光光度分析により425nmで十分精確に決定することができる。混合物を数分間大よそ40から50℃で温育することも反応を満足に進めるために必要である。
【0010】
このシステムは十分な精確さを提供できるかもしれないが(分光光度計は標準的な色溶液を使用して較正できる)、該プロセスが再現可能なデータを提供するためには操作者の相当な技能と訓練を要求することは明らかである。フィルタの取扱い及び輸送が要求される時点は多数あり、これらの操作の各々はフィルタ上の酵素の汚染及び/又は喪失の著しい危険を伴うものである。検出限界は問題の酵素により変動するが、従来のシステムを使用した代表的な例(サビナーゼ)では検出限界は1mlにつき数ngである(容積値は流体に再懸濁されたときの酵素に言及する)。しかしながら、工業上の個人用監視システムは高い感度を必要とし、理想的には大よそ1ngの酵素質量分解能を要求する。
【0011】
ここで使用される”試料採取”の語は、上記の例におけるように、調査中の流動媒体から直接汚染物質(又は他のそのような検体)を採集することを言う。これは装置中に検体を導入する代替えの技術、例えば(i)装置のある領域への物質(一般に液体)の(例えば、ピペットによる)堆積又は適用、及び(ii)化学試薬を使用して調査中の媒体から一定の成分を選択的に採集する特定の結合技術、等と対比されるものである。他方、”試料採取”は一般に、検体物(例えば、粒子、分子又は小滴)を目標検体の”特定”の区別化なしに背景流体から濾過することを伴う。
【0012】
米国特許公報5817522は、試料が回転する一続きの室で起こる一連の反応を介して試料を分析する自蔵式の分析評価装置を開示する。各々の室は、破られて試薬又は洗浄液を解放するカプセルを包含する。試料の装置への導入は、予め採集された被検物溶液を装置の開口を通じて所定位置のプレート上に堆積させることによりなされ、該プレートには特定の結合剤が設けてある。目標検体は該表面に選択的に結合し、過剰の液体は吸取部材によって吸収される。この機器は流体(ガス状又は液状)の流れから試料を採集するのに適していない。その上、採集された試料の量はプレートに設けられた結合剤の量により決定され、従って使用者が流体中の目標検体量の定量的測定を行うことは許容されない。
【0013】
同様に、英国特許公報2261949は、液体試料(例えば、ガス状被検物溶液)が免疫結合事象により移動ベルトに適用される機器を開示する。試料は、移動ベルトに予め適用されるか、試料溶液中に混合されるか、又は試料の後に該ベルトに適用される試薬と反応する。試料は引き続き別の検出組立体に移動され、そこで反応の結果が例えば蛍光により検出される。この機器は米国特許公報5817522に関して上述したのと類似の欠陥を提示する。
【0014】
欧州特許公報0447158は、サイクロンを通じて空気を引き込み、下方に位置決めされたガラス繊維フリット上に試料を堆積させる、爆発性又は麻酔性物質の検出器を開示する。各々のフリットは、ガラス繊維で被覆された一組の抵抗加熱ワイヤを備え、かつ回転テーブル上に支持され、該回転テーブルはフリットを試料採集位置からイオン移動度分光計(”IMS”)中に移動させる。この位置で、フリットは加熱され、該フリットに脱着ガスを通過させることにより、採集された試料の粒子をIMS室中に分散させる。試薬ガスも導入することができる。分光計はその後気化物質を分析してその組成を決定する。上述の公知のシステムのように、このシステムは、試料は一般にフリットから完全には脱着せず、従って正確な定量的測定値を取得することができないという問題がある。
【0015】
米国特許公報6101886は、大気から微粒試料を採集し、それを分析のために用意する試料濃縮器を開示する。しかしながら、該機器はあとの分析又は検出プロセスを行うための何らの手段も提供しない。
【0016】
本発明により達成される利点には、特に工場においてそのような汚染物質を高感度及び正確な定量的結果で監視する改善されたシステム及び方法の提供が含まれる。さらに、試料採取及び分析手順は簡単化され、結果を迅速に、しかも未熟な職員によって得ることができる。
【発明の概要】
【0017】
本発明の第1の態様によれば、試料採取及び分析装置は、ハウジングと、該ハウジング内に規定される試料採取領域及び分析領域と、流体の該試料採取領域への進入及びそこからの退出を許容する該ハウジングが有する少なくとも1つの開口と、該ハウジング内に配置されたフィルタとを備え、該フィルタは該ハウジング内の該試料採取領域に配される試料採取位置と、該分析領域に配される分析位置との間を移動可能である。
【0018】
この配列によりすべての試料採取及び分析工程を1つのハウジング又はカートリッジ内で行うことが可能となる。流体に運ばれる汚染物質の試料は、装置の試料採取領域においてフィルタを流体に暴露することにより得られる。例えば、固体粒子又は液体エーロゾル粒子を備える汚染物質はフィルタ上に吸着され、該フィルタをその後流体の流れから離し分析領域に移動させることができる。検出すべき具体的な汚染物質及び使用される化学作用により、採集された試料を巻き込む反応は以下に述べるようにいくつものやり方で開始又は促進できる。反応を監視し、汚染物質に関する情報を得ることができる。これらすべての工程を1つのカートリッジ内で行うことにより、試料採取と分析との間でフィルタ及びこれに担持される試料を取り扱うことが要求されない。フィルタは試料採取及び分析工程の間じゅうカートリッジの内側に留まり、決して取り除かれない。反応はカートリッジの内側で起こり、従って潜在的に有害となりうるすべての試薬及び不要な生成物を封じ込める。故に、カートリッジは未熟な人による取扱いに適している。その上、フィルタは分析プロセスの間じゅう分析領域に留まり、処分されない。試料の汚染又は喪失がないという事実は、採集された全試料が反応に関与できるので、改善された正確さと、より高感度の結果をもたらす。
【0019】
反応は多様な手段で促進してもよい。例えば、フィルタに試薬をしみ込ませ、これを汚染物質試料に暴露することにより、何ら付加的な作動工程なしに反応を始めさせることができる。他の場合には、フィルタ上の採集試料を加熱して、又は照射して反応を開始させることができる。加熱又は照射機器は装置内に一体的に又は外部に設けることができる。しかしながら、好ましい実施形態では、該装置は分析領域に試薬を導入する手段をさらに備える。このようにして、液体又はゲル(例えば)試薬を所望の時に加えて、多種多様の反応を可能とすることができる。
【0020】
有利なことに、該試料採取領域の該開口は流体が該装置に入る入口開口を備え、該装置は流体が該装置から出て行く出口開口を該試料採取領域にさらに備え、該フィルタは試料採取位置にあるときに該入口及び出口開口の間に配されて、該入口及び出口開口の間を流れる流体から汚染物を採集する。そのようなものとして、該装置は濾過により汚染物質を試料採取するのに特に好適に配置される。これにより該装置は、試料を用意する工程を必要とせず、調査中の物質(例えば、大気又は液体)から直接試料を採集するのに特に好適に適合される。
【0021】
好ましくは、該装置は、少なくとも該フィルタが該分析位置にあるときに該試料採取領域から該分析領域を隔離する第1の封止手段をさらに備える。分析領域はハウジングの残部から封止され、万一カートリッジがひっくり返され又は誤って取り扱われても試薬(そこにあれば)を保持して潜在的な漏れを回避することができる。
【0022】
好ましくは、該装置は該ハウジング内にさらに安全領域を規定し、該フィルタは該試料採取又は分析位置と、該安全領域に配される安全位置との間をさらに移動でき、該フィルタは該フィルタが該安全位置にあるときに少なくとも該試料採取領域から封止される。
【0023】
安全領域は外部環境から、またいかなる試薬又は他の反応活性化手段からフィルタを退蔵するのに便利なやり方を提供する。安全位置において、フィルタは入口又は出口開口と流体連通せず、よって装置の不使用の間汚染から保護される。封止は第1の封止手段又は何か付加的なシールを使用して達成できる。あるいは、開口に取外し可能なカバーを設け、装置を使用する用意ができるまで開口を封止することもできる。
【0024】
好ましくは、該フィルタは該安全位置にあるとき該分析領域からさらに封止される。これによりフィルタと試薬との接触が回避され、早すぎる反応が起こるのが防止される。
有利なことに、該フィルタは該ハウジング内側で直線軌道に沿って移動可能である。これにより、フィルタの移動が直接的な手段(例えば、摺動)により簡単かつ経済的に制御されることができ、装置構成部品の形状及びサイズに対する制約を最小にできる。
【0025】
便利なことに、該フィルタはフィルタ支持体に装着され、該フィルタ支持体は使用時流体が該フィルタを通過するのを許容するよう形作られる。フィルタ支持体又は”シャトル”はフィルタ(壊れやすいことがある)を補強し、ハウジング内側のさまざまな位置間をフィルタが移動される時にこれを支持するのに便利に使用できる。便利なことに、該第1の封止手段は該フィルタ支持体と該ハウジングとの間に設けられたシールを備える。これは好ましくはフィルタ支持体に装着され、例えば、フィルタ支持体の周囲に延長する弾性リングの形態をとることができる。シールはフィルタ支持体に取付けられるので、それはフィルタと共に移動する。フィルタが分析位置にあるとき、シールは分析領域を装置の残部から隔離し、フィルタが安全位置にあるとき、シールは試料採取領域から安全領域を隔離する。あるいは、複数のシールをハウジングの内部に装着してこれらの機能を行わせることもできる。
【0026】
好ましくは、該装置は第2の封止手段をさらに備え、該第2の封止手段は、該フィルタが該試料採取位置にあるときに、流体の流れを該第2の封止手段によって規定される該試料採取領域の容積に制限する。フィルタが安全位置にあるとき、第2の封止手段はフィルタを装置の残部から隔離する。第2の封止手段は試料採取プロセスを、及びフィルタの不使用時フィルタを汚染から保護するのを手助けする。試料採取位置において、第2の封止手段はフィルタを通じる流体の流れを方向づけ、得られる試料が試料採取の時に装置に入る汚染物質の正確な発現となるようにする。好ましくは、該第2の封止手段は、該フィルタと該ハウジングとの間を該フィルタの外周の周囲に延長するシールを備える。
【0027】
好ましくは、該フィルタ支持体と該ハウジングとは摺動可能に係合される。これは、フィルタ支持体がハウジング内側の1つの位置から他の位置に容易に移動するのを可能にし、いくつものやり方で達成できる。例えば、ハウジングの内壁と摺動可能に嵌合する寸法にフィルタ支持体を作り、又はハウジングの内面上のロッド又は他の特徴部に摺動可能に連結させることができる。便利なことに、該ハウジングに細長い開口をさらに設け、該フィルタ支持体は該細長い開口に向かって延長するタブを備える。タブにはハウジングの外側から開口を通じて延長する適当な機器を係合させることができる。これにより、ハウジングを開く必要なしにハウジングの内側でフィルタとその支持体とを移動させる便利なやり方が提供される。この配列は、移動部分がほとんどないので製造するのに直接的であり、操作も容易である。あるいは、フィルタに磁気部を備え、第2の磁石をハウジングの外側で使用して要求に応じてフィルタを移動させ、又はモータを設けてハウジングに対しフィルタを移動させることができる。
【0028】
好ましくは、該ハウジングに該分析領域から離れて位置決めされた分析作動開口をさらに設ける。これによりハウジングの内側でフィルタを移動させる付加的な方法が可能となる。適当な器具を、該開口を通じて挿入し、フィルタ又はフィルタ支持体に力を加えるのに使用してもよい。一般的にこの技術はフィルタを分析位置に移動させるのに使用できる。
【0029】
好ましくは、試薬の導入によって反応を開始させる場合に、試薬を導入する該手段は、使用時試薬を包含するよう適合されたリザーバと、該リザーバ及び該分析領域の間の通路と、該試薬を該分析領域に流し込ませる機器とを備える。試薬は、該装置の使用前試薬の貯蔵寿命が許す限りリザーバに蓄えることができる。リザーバはそれ自体ハウジングに移動可能に装着される円筒の形態で設けてもよい。好ましくは、該機器は該リザーバの内側に設けられたピストンである。フィルタ支持体と同様、ピストンには該装置の外側から操作するための手段、例えばハウジングの開口を介して又は磁気配列により外部作動器と協働できるタブ等を設けてもよい。あるいは、試薬を導入する該手段は使用時試薬を包含するよう適合された空洞を備え、該空洞は該分析領域と共通の少なくとも1つの壁部を有し、該壁部の少なくとも一部は壊れやすくすることができる。この場合、壁部の壊れやすい部分はフィルタ自体(又はフィルタ支持体)の移動によって破ることができ、又は空洞を開き試薬を解放する付加的な構成部品を設けることができる。例えば、空洞をふくれセクションとすることができる。
【0030】
加えて、1つ又は複数の乾燥試薬又は基質を分析領域に設けてもよい。液体又はゲル試薬の導入により乾燥化学物質は溶解し反応を開始させる。先に指摘したように、フィルタ自体に1つ又は複数の化学物質をしみ込ませることもできる。
【0031】
好ましくは、該ハウジングに該分析領域の壁部に配される窓をさらに設ける。これにより、分析領域の内容物の光学的尋問が可能となり、そこで生じている反応を分光光度法により監視することができる。一般的に、透過モードでの分光光度分析を許容するため入り口及び出口窓を設ける。しかしながら、光学的配列によっては他の方法(例えば、蛍光)ではより多くの窓を用いてもよい。反応は、例えばフィルタに紫外線を照らすことによりフィルタ自体の上で視覚化することもできる。あるいは、反応を監視する代替えの手段、例えば電気化学的監視技術を行うため分析領域に配置された電極等を該装置に設けることができる。
【0032】
好ましくは、該装置は該分析領域に配される撹拌器をさらに備える。この構成部品は、フィルタ材料から汚染物質試料を分離するのを手助けするだけでなく、試薬と汚染物質との混合を改善して、反応を手助けし、かつ分析領域の至る所で反応混合物の同質性を改善し、測定の正確さを改善する。好ましくは、該撹拌器は装置ハウジング外側から遠隔作動されるよう適合される。あるいは、撹拌器にハウジング内側のモータ又は他の作動手段を設けることができる。撹拌器は分析領域内のどこにでも位置決めすることができるが、該撹拌器を、該フィルタのそれと実質的に平行な平面内に配し、かつ該平面と垂直な軸の周りに回転できるようにすると便利である。特にフィルタが壊れやすい場合に、該撹拌器は使用時好ましくは該フィルタから離間される。このことは、フィルタに隣接して撹拌器を位置決めし、フィルタ材料自体を損傷することなく汚染物質試料を効果的に分散できることを意味する。
【0033】
本発明の第2の態様によれば、試料採取及び分析組立体は、本発明の第1の態様による装置と、該装置と連結するよう適合されたホルスタとを備える。ホルスタは該装置を装着し取り扱うのに便利な手段を提供する。好ましくは、該ホルスタは該組立体を使用者に付ける手段を備える。これは、例えば、クリップ、ピン、ベルト又は接着パッチの形態をとることができ、便利なことに、使用者が仕事を行う間彼に組立体が取付けられるのを許容する。好ましくは、組立体は使用者の呼吸ゾーンの近く(例えば、彼の衣服の折り襟)に付けられ、彼が吸入しそうな汚染物質の正確な測定結果が得られるようにする。あるいは、個人的な監視よりむしろ静的な監視を引き受けるため、スタンド又は壁などに該装置を装着することができる。
【0034】
便利なことに、該ホルスタには該装置ハウジング内側で該フィルタを移動させる手段を設ける。好ましくは、該装置にはハウジングと摺動可能に係合する上述のフィルタ支持体が設けられ、該ホルスタに設けられた該フィルタを移動させる該手段は突出部を備え、該突出部は該装置とホルスタとを相対的に移動させた時に該フィルタ支持体の該タブと協働して該フィルタ支持体を該細長い開口沿いに摺動させる。あるいは、フィルタ支持体に磁気部を設けるときは、磁気フィルタ支持体と相互作用しこれを移動させる磁石をホルスタに設けることもできる。
【0035】
好ましくは、該装置は上述の安全領域を含み、該ホルスタに設けられた該フィルタを移動させる該手段は、該装置と該ホルスタとを連結した時に該フィルタを該安全位置から該試料採取位置に移動させ、該装置と該ホルスタとを切り離した時に該フィルタを該安全位置に復帰させる。このことは、ホルスタへの装置カートリッジの連結がフィルタを自動的に試料採取位置に移動させ、フィルタを試験環境に暴露することを意味する。装置をホルスタから取り除くと、フィルタは安全位置に復帰し、従って環境から封止される。そのようなものとして、試料採取位置への及び該位置からのシャトルの移動は自動的に起こり、使用者が覚えておくべき工程ではない。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、ホルスタが提供され、該ホルスタは本発明の第1の態様による試料採取及び分析装置と連結するよう適合される。
本発明の第4の態様によれば、試料採取及び分析キットは、本発明の第2の態様による組立体と、該組立体を通じて流体を吸込むポンプとを備える。一般的に、ホルスタには装置ハウジングの開口と整合する出口が設けられ、ポンプを取付けるノズルが設けられる。ポンプは便利のよいようにホースを介して取付けてもよい。一般的に、ポンプも例えば使用者のベルトに取付けられて使用者により運ばれる。
【0037】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様による試料採取及び分析装置の内側の状態を監視する分析器が提供される。好ましくは、該分析器は使用時該装置と連結するよう適合され、かつ該フィルタを該装置ハウジングの内側で移動させる手段を備える。あるいは、別の作動構成部品を使用してフィルタを移動させ、反応体を作動し、分析器は結果として生じる反応を監視するのに使用してもよい。
【0038】
試料採取及び分析装置とは別の、しかしこれと相互に作用する分析器を用いることにより、試料採取操作を分析ステーションから離れて−例えば、異なった地理的な場所及び/又は異なった時間に−行うことができる。さらに、各々の装置中で採集された試料は、1つ又は複数の分析器で、他の装置でなされる測定を妨げることなく任意の順序でいつでも分析できる。
【0039】
各々の採集及び分析事象は一般的に”単発”であり、すなわち、各々の装置は1つの試料のみを取得し、該試料はその後分析され、そして該装置は処分され又は新しいフィルタと適切な試薬とを再充填できる。ほとんどの実施形態において、試料採取及び分析装置自体は”読み取り”機能を有しないことに注意されたい。むしろ、それは内部で反応が行われる容器を提供する。反応の結果は分析器(別の)によって評価される。そのようなものとして、第1の装置において1つの試料を分析し、同時に第2の装置を使用して他の試料を採集することが可能である。
【0040】
好ましくは、該装置は上述のハウジングと摺動可能に係合するフィルタ支持体を備え、該分析器に設けられた該フィルタを移動させる該手段はシャフトを備え、該シャフトは該分析作動開口を通じて該ハウジングに挿入されて該フィルタ支持体と接触しこれに力を加えることができる。あるいは、先述のように、フィルタ支持体と分析器の各々に装置ハウジングの内側でフィルタを移動させる磁気手段を設けることができる。分析器に突出部を設け、該突出部が、該装置と分析器とを相対的に移動させた時に、フィルタ支持体のタブと協働して該細長い開口沿いにフィルタ支持体を摺動させるようにすることができる。好ましくは、該装置は安全領域を含み、該分析器に設けられた該フィルタを移動させる該手段はフィルタを安全位置から分析位置に移動させるよう適合される。これは手動で始動(すなわち、分析器が命令を受けたとき)でき、または例えば一たび分析器に該装置が正しく装着されれば、又は分析器の蓋が閉じられたときに、自動的に起こるよう設定することができる。あるいは、分析器にフィルタ支持体と係合する突出部が設けられるならば、該装置を分析器と連結させる行為によりフィルタを分析領域中に摺動させることができる。
【0041】
好ましくは、反応を試薬の追加によって開始させる場合に、該分析器は、該装置の該分析領域に試薬を導入する該手段を動作させる試薬作動器をさらに備える。例えば、試薬を導入する手段が先述のリザーバとピストンとを備えるならば、試薬作動器を移動させた時に、該作動器はピストンと機械的に連結して試薬を分析領域に押し込むようにしてもよい。リザーバそれ自体も作動器によりハウジングに対し移動させることができる。一般的に、該試薬作動器は第1の作動ロッドを備え、該作動ロッドは、該ロッドを該装置に対し移動させた時に該ピストンと協働して該試薬を該分析領域に押し込む。該試薬作動器は該リザーバと協働する第2の作動ロッドをさらに備えてもよい。あるいは、試薬を導入する手段が先述の壊れやすい空洞を備えるならば、フィルタ又はフィルタ支持体自体を試薬作動器としてもよい。反応が他の手段により開始される場合には、分析器が例えば加熱又は照射要素を収納することができる。
【0042】
便利なことに、該装置は分析領域に少なくとも1つの窓を含み、該分析器には該分析領域の内容物の光学的尋問手段を設ける。あるいは、分析器に電気化学的測定値を取得する回路等の代替えの監視手段を設けることができる。
【0043】
好ましくは、該装置が分析領域に撹拌器を含む場合に、該分析器は該撹拌器を動作させる撹拌器作動器をさらに備える。撹拌器作動器と撹拌器とは例えば磁気的に連結される。便利なことに、分析器は該装置の該分析領域を加熱する手段をさらに備える。制御手段を設けて所定の温度に対し制御された速度で加熱するようにしてもよい。
【0044】
本発明の第6の態様によれば、作動器が提供され、該作動器は本発明の第1の態様による試料採取及び分析装置に連結するよう適合され、かつ該フィルタを該装置ハウジングの内側で移動させる手段と、該装置の該分析領域に試薬を導入する該手段を動作させる試薬作動器とを備える。
【0045】
本発明の第7の態様によれば、試料採取及び分析システムが提供され、該システムは本発明の第1の態様による少なくとも1つの装置と、本発明の第2の態様による組立体と、本発明の第4の態様によるキットと、本発明の第5の態様による分析器とを備える。該システムは付加的に本発明の第6の態様による作動器を備えてもよい。
【0046】
本発明の第8の態様によれば、流体中の汚染物質の試料採取及び分析方法は、
a)ハウジング内側の試料採取位置に配されたフィルタに流体を通過させて、該汚染物質の試料を該フィルタ上に留める工程と、
b)該ハウジング内側の分析領域に配され、該フィルタ上の該汚染物質の少なくともいくらかを巻き込む反応が生じる分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
c)該反応を監視する工程とを備える。
【0047】
反応はいくつものやり方で促進でき、開始工程を要求してもしなくてもよい。しかしながら、いずれの場合も、フィルタ、採集サンプル、及び反応は常にハウジングによって封じ込められ、このことは該方法の正確さ及び感度を改善し、また該方法を未熟な使用者による操作に適したものとする。
【0048】
好ましくは、工程(a)の前に、該フィルタは、該流体が該フィルタと接触できない該ハウジング中の安全位置から該試料採取位置に移動される。便利なことに、工程(a)の後工程(b)の前に、該フィルタはまた該安全位置に移動される。用いられる具体的な化学作用が作動を要求するならば、好ましくは該方法は該反応を開始させる工程をさらに備える。便利なことに、これは一たびフィルタが分析位置にあれば生じるが、それが適切ならばフィルタがどこか他の場所にあっても生じさせることができる。反応は便利なことに該分析領域への試薬の導入によって開始させてもよい。この場合、試薬は一たびフィルタが分析位置にあれば導入でき、その場合に工程(b)は、
(b1)該分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
(b2)該分析領域を封止して該領域を該ハウジングの残部から隔離する工程と、
(b3)該分析領域に試薬に導入する工程とを備えることができる。
【0049】
あるいは、フィルタが分析位置に隣接し、分析領域が完全に封止されない間に試薬を導入することができる。従って、工程(b)は、
(b1)該分析位置に隣接した場所に該フィルタを移動させる工程と、
(b2)該分析領域に該試薬を導入する工程と、
(b3)該分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
(b4)該分析領域を封止する工程とを備えることができる。
【0050】
これにより、閉じ込められた空気が分析領域から逃げることが可能となる。
好ましくは、該方法は本発明の第1から第6の態様のいずれかにより提供される機器を使用して行われる。
【発明の実施の形態】
【0051】
本発明による試料採取及び分析装置、システム及び方法の例を以下添付図面を参照して説明する。
図1a、1b及び1cは、環境中の汚染物質を監視する試料採取及び分析装置の概略を図示する。該装置は前述のように、塵、かび胞子又は酵素等の空気伝達粒子(一般に固体)を検出するのに特に適している。明瞭化のため、以下の説明は粉末洗剤の製造中に遭遇する酵素等の酵素を監視する例に集中する。しかしながら、本発明がこの実施形態に限定されるものでなく、適当な反応及び後の分析技術を選択することにより、粒状、液状又はガス状にかかわらず他の汚染物質の監視を行うよう容易に適合させることができることは注意すべきである。1つの実施形態では、例えば、空気に運ばれる液体エーロゾル粒子を採集してもよい。説明は空気流により運ばれる汚染物質に焦点を当てるが、他の気体や液体を含む他の流体から試料を得るのに本装置を使用できることも想定される。
【0052】
さらに、この例では監視される反応は試薬の導入によって活性化され、また試薬を蓄え分配する手段が設けられる。しかしながら、他の例では反応は加熱又は紫外線照射等の他の技術によって開始してもよい。そのような場合、加熱又は別のやり方で反応を活性化する手段を試薬リザーバ及び関連部品(以下に説明される)の代わりに設けることができる。そのような手段は装置自体中に一体化することも外部に設けることもできる。さらなる例では、いかなる開始工程も要求されない−例えば、試料は採集されると、又は若干の所定時間後に自発的に反応を始めることができる。
【0053】
説明する例は個人的な監視に特に適し、従って使用者の吸気ゾーンから空気を試料採取するため彼によって運ばれるよう適合される。しかしながら、わずかばかり改変することで、例えばスタンド又は壁に該装置又はホルスタを装着することにより、静的監視を実行するのに同じ装置を使用できる。
【0054】
本質的に、該装置はフィルタ105又は他の採集要素が配置されるハウジング100を備える。いくつもの領域とフィルタ位置とがハウジング100内に規定される。試料採取領域115には1つ又は複数の開口がハウジング100に設けられ、該開口は監視される流体140のハウジング100への進入(流体によって運ばれる汚染物質と共に)を許容する。一般的に、流体がハウジング100から出るための第2の(出口)開口が設けられるが、同じ開口を介して流体が入り、かつ去るように配列することもできる。試料採取位置110は、流体が試料採取されているときの試料採取領域115の内側のフィルタ105の位置を言う。一般的に、試料採取位置は入口及び出口開口の間に配され、フィルタが試料採取位置110にあるとき、流体140がフィルタ105を貫流するようにする。ポンプ150を設け、フィルタ105を通じて流体を吸込むことができる。試料採取中、流体140により運ばれる汚染物質はフィルタ105上に吸着し、流体の残部は排気路160を介して出て行く。
【0055】
フィルタはその後ハウジング100内で第2の位置に移動される。これは分析位置(図1c)、又は任意により安全位置(図1b)であることもできる。安全領域125は安全位置120を提供し、該位置でフィルタ105はシール(箱形126で図示するが、実際にはシールをフィルタ105の外周の周囲に位置決めしてもよい)により周囲の大気から隔離される。安全位置120は、試料採取前又は後の該装置が使用されない間フィルタを保管するために使用してもよい。フィルタ105は環境から隔離されるので、汚染が防止される。安全位置120はまた、採集されたいかなる汚染物質も封止されたままであり、早すぎる反応から保護されることを確実にする。しかしながら、試料採取後、フィルタ105を分析領域135の分析位置130に直接移動させることができる。安全領域125がないときは、取り除き可能なカバーを入口及び出口開口に設け、不使用時フィルタを環境から保護することができる。
【0056】
一たびフィルタが分析位置130にあれば(図1c)、分析領域135はハウジング100の残り部分から封止される。試薬170を分析領域135に導入する手段138が設けられる。乾燥基質136も分析領域135に存在してもよい。試薬170を分析領域135に解放すると、フィルタ105上の汚染物質試料と反応を開始する。任意により、撹拌器137を設け、フィルタから汚染物質試料を分離させ、試薬の混合を手助けしてもよい。
【0057】
反応は分析器200により監視される。一般的に、これは光学的尋問により達成される。例えば、分析器200は光源210及び光学検出器215を含むことができる。分光光度技術を使用して、分析領域135の内容物の、例えば色の変化を、ハウジング100の窓(図示せず)を通じて監視してもよい。分析器200にはまた、撹拌器を遠隔動作させるための(例えば、磁気連結による)撹拌器駆動装置220又は作動器、及び反応を温育するヒーター230を設けてもよい。
【0058】
すべての試料採取及び分析工程が1つの閉鎖容器(ハウジング100)内でなされるので、該装置により、熟練した職員の介在を必要とせずに個人的な監視を行うのに便利なやり方が提供される。特に、試料採取と分析の間でフィルタを取り扱うことが要求されることはなく、フィルタは分析中反応室(分析領域135)に留まる。これは手順を簡単にするばかりでなく、採集されたすべての試料が反応に使用されるので装置の感度を大いに改善する。
【0059】
次に、図2から12を参照して具体的な実施形態を説明する。装置又は”カセット”300はハウジング1を備え、該ハウジングは、それの上に汚染物質試料が採集されるフィルタ11と共に、分析を引き受けるのに要求されるすべての試薬を包含する。(代替の実施形態では、1つ又は複数の試薬は別に蓄えられ又は後の段階で追加される。)該装置は2つの主要部品、ハウジング1と、この例では移動可能なフィルタ支持体又は”シャトル”4とを有する。ハウジング1には試料採取及び分析プロセスのさまざまな段階で要求される機能を実行する特徴が含まれ又は特徴が取付けられ、また該ハウジングはフィルタ11を保持し、これの制御された移動を許容する。フィルタ支持体又はシャトル4は、フィルタを物理的に支持し、保持する。フィルタ支持体4は、支持体4とハウジング1との間に設けられた小さい隙間によりハウジング内部と摺動可能に係合する。しかしながら、フィルタが十分強固ならば、該装置をフィルタ支持構成部品なしに配列でき、または支持手段をフィルタに一体化することができる。
【0060】
ハウジング1には、空気の進入を許容する開口2(又は他の流体入り口)、流体が退出する開口2’(図4A)、及び使用前に試薬を蓄えるリザーバ領域5が設けられる。図2Bは供給された装置300の内部を示す。フィルタ支持体4は、周囲の環境との接触から封止された安全領域と呼ばれる地域にフィルタ11を保つ。フィルタ11は安全位置にあるといわれる。これにより、意図された試料採取期間前のフィルタの汚染が防止され、また試料採取後には、採集された試料が、例えば輸送中にハウジング1の残部の至る所に分散するのを防ぐ。特に、試料は分析領域に接近できず、これにより早まった反応が防止される。この形態において、装置300は、その内に蓄えられ分析時期に用いられる試薬の貯蔵寿命によってのみ限定される長い期間保存できる。
【0061】
図2Bはまた、試薬リザーバ7及びピストン6を有するリザーバ領域5の内部を示す。この実施形態ではリザーバ7は円筒である。これについては以下により詳細に説明する。
開口50、51及び53がハウジングに設けられて、以下に述べるように、フィルタ支持体4、リザーバ又は円筒7、及びピストン6がハウジング1の外側から移動又は操作されるのを許容する。
【0062】
ハウジング1には装置300がホルスタと連動するのを可能にするホルスターキー3及び係止ピン20がさらに設けられる。
図3a及び3bはフィルタ支持体4及びその上に配されるフィルタ11の2つの図である。フィルタ11は多様な手段によってフィルタ支持体4上に保持されるが、熱かしめが便利であり効果的である。フィルタ支持体又はシャトル4にはフィルタ支持体4の周囲に延長するシャトルシール8が設けられる。シール8は、(図示のように)単一のシール又は2つの別の、平行なシールを備えることができる。フィルタ支持体4がハウジング1内の一定の位置に封入されると、シャトルシール8はフィルタ支持体4と、ハウジング1の内壁との間に延長するバリアを提供し、該バリアはシール8より下のハウジングの領域を上の領域から有効に隔離する。従って、シール8を越える流体連通は防止される。実際には、シール8は、フィルタが試料採取又は安全位置にあるときに完全な封止を提供する必要はない。ここでは、フィルターシール9及び10が該封止を提供する(下記参照)。試料採取及び安全位置の近くのハウジング内部の形状により、シール8の端部の周囲に路ができるかもしれない。しかしながら、分析位置において、シール8はハウジングに嵌合し、完全な封止が提供されて、分析位置を閉鎖する。シャトル4は、シャトルとハウジング1の内壁との間で流体(特に、作動後の試薬)を運搬する毛管作用を防止するため、その側支柱に沿って切欠き(図示せず)を有してもよい。あるいは、側支柱を取り除き、代わりにシール8の領域とシャトル上のフィルタ11の領域との接続を(補強された)中央支柱により設けてもよい。同様に、シール8にグリースを塗り、流体にシールを越えさせる毛管作用を防止してもよい。実際、すべての装置構成部品に撥水塗膜を適用することができる。
【0063】
環状のフィルターシール9及び10は、フィルタ11の外周の周囲でフィルタ支持体4の各々の側に配される。安全位置において、フィルターシール9及び10はフィルタ支持体4とハウジング内部との間に延長して、フィルタを該装置の残部から効果的に隔離する。これにより、環境からの汚染が防止されるのに役立つのみでなく、分析領域で起こりうる試料と試薬との早すぎる反応が防止される(下記参照)。細長い開口53(図2b及び10に示す)を通じて接近できるタブ24が設けられる。使用時、細長い開口53を通じて適当な器具を挿入しタブ24と係合させることにより、ハウジング1に対しフィルタ支持体4を摺動させることができる。本実施形態では、そのような器具は、以下に説明するようにホルスタに設けられる。図4bに示すように、シャトル4を最初の使用前に安全位置に係止するため保持ピップ12が設けられる。保持ピップ12はハウジング1の内側で受口52と嵌り合う。この特徴により、最初の使用の前にフィルタ支持体4が安全位置から誤って移動されることがなくなり、フィルタ11の偶然の汚染が防止されて、安全性のレベルが付加的に高められる。保持ピップ12は最初の使用と同時にフィルタ支持体4から折れ、受口52に留まるよう設計される。その後、フィルタ支持体4は、以下に説明するようにハウジング1の内側で移動できる。
【0064】
一たび使用の用意が整えば、フィルタを安全位置から試料採取領域の試料採取位置に移動させなければならない。試料採取領域は、ハウジング1の、入口開口2及び出口開口2’が設けられる部分である。試料採取位置は入口及び出口開口2及び2’の間に配される。フィルタ11の試料採取位置への移動は手動又はモータを使用して達成できる。しかしながら、この実施形態では、装置300はホルスタ15と連結するよう構成される。連結行為自体がフィルタ11を試料採取位置に移動させる。
【0065】
試料採取プロセス中、装置300はホルスタ15に装着されたままであり(図5参照)、該ホルスタは試料採取ポンプ(図示せず)に接続される。例えば、SKC社及びCasella社から入手できるもの等の標準的な個人用試料採取ポンプを用いてもよい。
【0066】
ホルスタ15は装置300のハウジング1と連結するよう設計される。装置300がホルスタ15中に摺動された時にフィルタをハウジング1の内側の安全位置から試料採取位置に移動させるようホルスタ15に手段を設ける。
【0067】
図5a及び5bは装置300及びホルスタ15の分離した図であり、ホルスタ15の側部の挿入案内30と共に、二また又は突出部25と、フィルタ11が試料採取位置にあるときに装置ハウジングの開口2、2’及び該フィルタを気体が貫流するのを容易にする開口31とを図示する。ホルスタ15にはまた、装置300のホルスターキー3及び係止ピン20と係合する特徴21及び22を設ける。
【0068】
図5c及び5dは、ホルスタ15への装置300の挿入プロセスを示す。まず、ハウジング1の一端60をホルスタ15が形成する空洞の内側に少しだけ入れ、装置300をホルスタ15に対してある角度をなすよう位置決めする。ホルスターキー3は同時に凹所21と整合され、ハウジング1をホルスタに向かって後ろに押圧し、ハウジング1の(出口開口2’を有する)裏面をホルスタの面61と接触させる。その後、図5cに示すようにハウジング1を下方に移動させることにより、嵌め合い操作は完了し、係止ピン20が箇所22の周囲に枢動する内部掛け金フックと嵌り合い、これにより装置300をホルスタ15中に係止する。フックを後退させ装置300がホルスタ15の外に摺動するのを許容するボタン29を押圧することにより、該装置は解除できる。
【0069】
連結手順中、ホルスタ15の面61に設けられた二また又は突起25は、ハウジング1の細長い開口を通じてフィルタ支持体4のタブ24と係止する。ホルスタ15に対しハウジング1を下方に移動させると、タブ24と突起又は二また25との協働によりフィルタ支持体4はホルスタ15に対し固定される。ハウジング1がフィルタ支持体4に対し摺動すると、これによりフィルタ11は試料採取位置に至る。このように、一たびホルスタ15に装着されれば、フィルタ11は環境に暴露され、該装置は分析のための試料を得る用意ができる。
【0070】
ホルスタ15に挿入中の装置300のさらなる断面図を図6a、6b及び6cに示す。詳細な図6cは、フィルタ支持体4のタブ24がどのようにホルスタ15の二また25と嵌り合い、フィルタ11を開口31の上に固定するかを図示する。装置300をさらに挿入すると、ハウジング1とフィルタ支持体4とが互いに摺動し合い、入口及び出口開口2及び2’を図6bに示すようにフィルタ11と整合させる。
【0071】
図7a及び7bは試料採取プロセス中の該装置及びホルスタの組立体を図示する。管23はホース(図示せず)を介して該組立体を試料採取ポンプ(図示せず)に接続する。空気はポンプの作用により(矢印で示すように)入口開口2、フィルタ11、出口開口2’、ホルスタ開口31、そして最後に管23を通じて吸込まれる。O−リング2’a又は同等の接着可能なゴム成形品を出口開口2’の周囲に配置して、該装置とホルスタ間の封止を改善する。そのような試料採取に一般的に用いられる種類のポンプにマイクロプロセッサを設け、試料採取時間及び流量を正確に記録し又は制御することを確実にすることができる。それというのも、採集される酵素(又は他の汚染物質)の量は、大気中の測定濃度はもちろん、これらのパラメータにもよるからである。フィルターシール9及び10はフィルタの周りで空気が少しでも漏れるのを防止し、得られた試料の一体性を確実にする。空気は制御された仕方でフィルタ11を貫流し、汚染物質の信頼できる定量的な試料をフィルタ11に堆積させる。クリップ27を設け、該組立体を使用者の呼吸ゾーンの近くに長時間、移動の制約をもたらすことなしに着用されるようにしてもよい。使用者の要求条件及び着衣の性質により代替えの取付け方法を構想してもよい。
【0072】
試料採取プロセスが完了すると、ボタン29を押圧して係止フックを解除し、ハウジング1を後ろに摺動し、本質的に上述の挿入プロセスを逆にすることにより、該装置はホルスタ15から引き出される。この移動によりフィルタ支持体4は安全位置に復帰し、これによりフィルタの汚染が防止され、また採集された汚染物質のいかなる喪失も最小にされる。これは図8a及び8bに示される。この実施形態では、装置300は所望によりさらなる試料採取期間に再使用できるよう配列される。原則として、フィルタ11を試料採取位置に及びそこから繰り返し移動させることは、該システムの詳細設計次第で可能である。このことは、例えば、何回もの作業シフトにわたって試料採取を行い、該試料を単一のフィルタ上に一体化することが望まれる場合に有利であろう。しかしながら、状況によっては1回使用の配列が好ましく、その場合は該装置に、フィルタ11の1回のみの暴露が可能なことを確実にする”非復帰”型又は同様な特徴を設けてもよい。例えば、ホルスタ15からの最初の引き出し後はカセットの再挿入を防止するよう掛け金フックを配列してもよい。このアプローチは一定の個人用安全監視用途に利点を有する。
【0073】
使用者が採集された試料の分析を欲するとき、それは試料採集直後でもしばらく経ってからでもよい、は、該装置を作動器に嵌合するか、又は分析器(図示せず)の受入台又は受口形成部分中に摺動させる。この例では、分析器への該装置の挿入により、要求された定量的測定値を生成するための一連の事象が自動的に起こされる。例えば、適切に該装置を分析器に挿入すること又は分析器の蓋を閉じることにより、カートリッジが分析の用意ができていることを分析器に指示することができる。その後分析器は、フィルタを分析位置に移動させ試薬を解放することによりカートリッジを”活性化”してもよい。これらの作動は同時に又は順々に生じさせることができる。その後、以下に説明するように反応を監視する。もちろん、分析器を手動で動作させることも可能である。プロセス工程が生じる厳密な順序は用いられる化学反応及び尋問方法の詳細に左右される。
【0074】
あるいは、別の分析器及び作動器構成部品を使用してもよい。この場合、分析器にはフィルタを移動させ又は試薬の解放を作動させる手段を設けないが、他の、例えば撹拌又は加熱制御要素を保持させてもよい。カートリッジを”作動”させるため別の機構を設ける。そのような作動器(図示せず)はハウジングと連結し、該装置中に延長してシャトル4、円筒7及びピストン6(以下に説明)の移動を駆動するいくつかのロッドを含む。作動器は手動で又は電気で駆動してもよく、完全に又は部分的に自動化されてもよく、それは潜在的に1回の切替行為で制御される。該装置は作動器の使用により活性化され、その後測定のため分析器中に(作動器と共に又はなしで)置かれることが想定される。作動器は、手持ち式でも、装置ハウジングにクリップ留めすることも、作動中分析器に嵌合することも、分析器に恒久的に取付けることも、又は作動器及び分析器の両方を何か他のフレーム構成部品に取付けることもできる。
【0075】
どちらの作動機器を使用しようとも、分析手順の手始めにフィルタを試料採取又は安全位置から分析位置に向かって移動させる。この手順の技法は以下により詳細に説明する。フィルタは直接分析位置に移動させてもよく、又は試薬をハウジングに導入する間分析位置に隣接する場所に保持することもできる。この後者の技術は、シール8により分析領域が完全に封止される前に閉じ込められた空気が逃げるのを許容する。一たび試薬が導入されれば、フィルタの分析位置への移動は以下に説明するように完成される。
【0076】
この例では、分析器にフィルタ11を分析位置に移動させる手段が設けられる。これは、例えば、フィルタ支持体4のタブ24と連結するホルスタ15の二また25と類似した突起を分析器に設けることにより達成できる。あるいは、分析器の突起自体を移動可能とし、分析器中にハウジング1を挿入してから若干の所定時間経過後に、該突起をフィルタ支持体4と嵌め合わせ、これを分析領域中に移動させるのに使用できる。しかしながら、好ましい例では、フィルタを分析位置に移動させる他の手段が想定される。分析器に分析作動構成部品を設け、該構成部品を開口51を通じてハウジング1に挿入しフィルタ支持体4を分析位置に向かって押す。別の作動構成部品を使用するのであれば、分析器ではなく作動器に該分析作動構成部品又は同等物を設ける。一般的に該構成部品はロッド又はシャフトの形態をとり、フィルタ支持体4の頂部(例えば、図3aに示すX位置)に接触する。この行為により、シャトルシール8がハウジング1の内面と嵌り合って液密封止を提供し、分析領域又は室を完全に囲んでハウジング1の残部から隔離するよう、シャトル4が移動される。
【0077】
図9A及び9Bの矢印(i)から(iv)は、試料採取及び分析手順のさまざまな段階におけるフィルターシャトル4のタブ24の大よその位置を表示する。安全位置において、フィルターシャトルはタブ24が(ii)の位置にあって休止する。シャトルが上に移動してタブが(i)に隣接すると、フィルタは試料採取位置にある。一連の分析の初めに、シャトルを、タブ24が(iii)の位置にある分析位置に直接、又は分析領域に隣接した(iv)の位置に移動させてもよい。後者の場合、試薬を分析室に導入し、その後シャトルを分析位置に進めることになる。
【0078】
試薬はリザーバ領域5から分析領域に導入される。これにより、試薬液を作り分析領域にピペットすることに伴う潜在的な過誤や努力が回避される。分析器(又は作動器)には機械的作動器を設け、該作動器が開口50を介してリザーバ又は円筒7及びピストン6に作用して、図9a、9b及び9cに示すようにリザーバ又は円筒7に収容された所定の1回分の試薬を解放するようにしてもよい。ピストン6は一般的にゴム材料で作られた一体成形品であり、O−リング6aが組み込まれる。少なくとも1つの通路13が円筒7の端部に設けられ、試薬が円筒7からリザーバ領域5に逃げるのを許容し、該リザーバ領域からは分析領域への出口がある。O−リング14は通路13の両側に設けられ、分析領域に通じる出口から離れた小容量のリザーバ領域5内に逃げた試薬を制限する。あるいは、O−リング14は接着可能なゴム成形品で置き換えてもよい。作動ロッド(図示せず)が円筒7及びピストン6に作用する。円筒7は、通路13がリザーバ領域5から分析領域への出口と整合するよう移動される(図9b)。その後ピストン6は整合されたポートを通じて液体を分配するよう移動し、1回分の試薬が解放される。一般的に円筒7の移動は、ピストン6に作用するのとは別の作動構成部品によってなされる。2つの別々に移動可能な部分(図示せず)が開口50を通じて入り、一方はリザーバ又は円筒7と、他方はピストン6と相互作用する。この例では試薬を蓄え分配するのに円筒及びピストン配列を利用するが、他のアプローチも想定される。例えば、ハウジング1の分析領域に隣接したシール付きリザーバに試薬を包含させ、フィルタ支持体4が分析位置に移動するとそれによって該シールが破られるようにすることができる。試薬は解放され、フィルタ11を取り囲む分析領域を満たし、酵素試料を洗い落として要求された酵素触媒反応を開始する。あるいは、分析領域に入口又は弁を設け、これを通じて試薬を手動で注入することもできる。組み立ての容易化のため、分析領域の壁部の一部を、製造中にハウジングの残部に取付けられるカバーの形態としてもよい。これは試薬の逃げを防止するため本体の残部に対し封止されなければならず、またこれはO−リング又は、好ましくは該カバーに取付けられる接着可能な成形物により達成してもよい。
【0079】
さらに、この例において1回分の試薬の全部は1つの工程で分配される。しかしながら、用途によっては多段式試薬解放が適切である。ここでは、試薬は例えば一続きのピストン運動によって制御された数回の量に分けて解放される。これは、例えば数回の洗浄工程を提供するため用いられる。
【0080】
緩衝剤及び洗浄剤を包含する液体試薬が通常用いられるが、他のアプローチ(例えば、ゲルを使用する)も可能である。好ましくは、カートリッジ材料と相互作用せず、特にハウジング、シャトル、シール又は他の構成部品の機械的特性に影響しない試薬が選択される。
【0081】
一般的に、”基質”も乾燥形態で吸収パッド63(図10b)に設けられる。基質は反応の出発化学物質であり、一般に溶液中で安定しない。パッド63は一般的にはMillipore社により供給される種類(例えば、GFCP203000)のガラス繊維材料である。液体又はゲル試薬が分析領域に解放されると、基質は溶解し、反応が開始される。そのようなことから、乾燥”基質”を用いても、分析は一般に液相で行われる。
【0082】
反応を手助けするため、撹拌器を設けて試薬を混合してもよい。分析領域は、図10a及び10b、またより詳細には図11に示すように電磁撹拌要素40を包含する。これには磁性又は鋼製の横部材41を設け、これによりハウジング1の外側のモータからの磁気駆動を容易にする。この配列は、装置中にさらなる物体を導入することなく分析中の撹拌を許容し、これにより汚染の危険を最小にする。モータ又は他の撹拌器作動器は分析器内に一体化すると便利である。あるいは、ハウジングに適切な設計変更を施し、撹拌器40のための機械的な駆動用リンク仕掛を設けてもよい。撹拌は連続的であっても、または好ましくは断続的であってもよい。
【0083】
分析領域中へのフィルタ支持体4の移動により、酵素を積んだフィルタ11は、撹拌器40を間に挟んで基質パッド63と近接近する。磁気駆動装置は好ましくは、撹拌器40が引きつけられてパッド63の表面上で回転するがフィルタ11と接触せずフィルタの破壊を防止するよう位置決めされる。フィルタ11はまた、保護保持器62及び/又はフィルタ11のフィルタ支持体4への取付けにより撹拌器40から離されていてもよい。保護器62は、撹拌器40がカセット内の残りの構成部品に対し正しい位置に保持され回転することも確実にする。
【0084】
フィルタと試料物質が従来方法のように抽出酵素液を使用しないで分析領域に留まるのはこの配列の具体的な利点である。酵素の喪失はなく、フィルタ上に留まるいかなる酵素も発生信号に寄与する。現場で反応混合物を撹拌し尋問(下記参照)する能力により、フィルタの破壊が最小化されるので、従来の分析方法で用いられる濾過工程は不要となる。フィルタにより保持されたいかなる酵素も失われず、反応に寄与することができる。たとえ抽出段階(試料のフィルタ11からの分離)が、フィルタが実質的に分解する方法よりわずかばかり効果が小さいとしても、全検出プロセスは採集された酵素が分析領域に完全に保持されるのでより効率的である。例えば、該システムを使用したサビナーゼ(代表的な洗剤用プロテアーゼ)の検出限界は1mlにつき0.5ng未満であり、一般に従来方法で達成される値より著しくよい(上記参照)。該装置はこのように高感度と、低い検出及び定量化限界を達成する。図12は、サビナーゼを検出するために上述の装置及び方法を使用して達成されたばらつきのない結果を図示する。色密度Rの増加速度をng/lmで蛋白質濃度Pに対しプロットした。
【0085】
分析プロセスの規定された部分中、分析領域を該装置又は分析器により提供される直接又は間接的な手段で加熱してもよい。一般的に、反応は大よそ40〜50℃の温度での温育により促進される。
【0086】
分析領域には該領域の内容物を監視する手段を設ける。一般的に、反応の進行は窓45(図10)を通じて光学的尋問によって検出される。例えば、以下により詳細に説明するように、透過型分光光度技術を用いて反応混合物の色の変化を検出してもよい。あるいは、分析領域に電極を設け、電流測定又はボルタンメトリ等の電気化学的方法を使用して監視を行うこともできる。
【0087】
選択される具体的な試薬及び要求される反応は観察中の具体的な酵素又は他の汚染物質による。この例では、反応は家庭内アレルゲンの公知の分析方法に関し前述した反応と類似する。しかしながら、これらの化学作用が工業的環境でサブチリシンを検出する”工業的標準”のアプローチではないことは注意すべきである。その反応は黄色を発生させ、該色は分光光度計で公知の波長、この場合大よそ395nmでの吸光度により容易に検出できる。反応速度を測定して干渉の影響を限定することは有利である。採集された試料は、酵素はもちろん一般の工業上の塵を包含し、1回の吸光測定では決定されるべき信号に対するそれらの相対的な寄与率は測定できないかもしれない。”背景埃”が信号の主要な割合であることもある。時間の関数として吸光度の増加速度を測定することにより、酵素反応のみによる寄与率の尺度が得られる。他の汚染物質は単にそのような測定がなされる背景物を増加させる。異なった源からの吸光度は加法的なので、高い基線は一般に問題ではない。
【0088】
非常に高感度の検出のためには、そのような速度測定のみでは不十分かもしれない。背景埃は混合物中で沈殿するので、(高い)背景信号は一定のままでないであろう。酵素主導反応の寄与率がない付加的な波長での測定を用いることにより、背景信号の変化速度を決定し、よって測定波長(例えば、395nm)での示度を補うことは可能である。例えば、大よそ525nm、595nm、及び630nmの波長での吸光度を付加的に観察してもよい。
【0089】
代替えの尋問技術を分光光度法の代わりに使用することもできる。例えば、蛍光は、黄色ではなく蛍光染料(アミドメチルクマリン化合物)で標識された市販の基質を使用すると具合よくいくことがわかっている。電気化学的方法も全く適切であり、ハウジング設計の見地から有益となる。例えば、4−アミノフェノール(4AP)誘導体は電流測定又はボルタンメトリシステムに用いることができる。
【0090】
分析工程中及び完了後、装置内のシール8、9及び10(特にシール8)により、不要な試薬と生成物は確実にハウジング1内に保持される。これは有害物質を用いるときに特に重要な考慮事項である。使用者に対する汚染の危険なしに正しい処分技術が適用される。
【0091】
装置300にバーコード又は他の識別特徴を設け、試料データが個人の暴露記録に容易に加えられるようにしてもよい。例えば、装置300を分析器に挿入すると、結果が自動的にデータベースにダウンロードされて、試料採取ゾーン内の危険な状態にある個人又はホットスポット地域が特定できるようにしてもよい。
【0092】
洗剤工業ではある範囲の密接に関連した種類のサブチリシン酵素を使用し、これらはすべて本質的に同一の化学作用を使用して検出できる(各々の最適な反応条件は若干異なるかもしれないが)。それ故に、これら異なった形態の変化する濃度に向けたシステムの応答度及び較正は重要な問題である。実際問題として、既知量の目標酵素を包含する”標準的”な塵を積んだ大気を生成することは非常に困難であり、そのため意図された操作条件下での試料採取及び分析システムの完全な試験は達成困難である。
【0093】
フィルタを使用する従来のシステムの共通の較正方法は、試料採取及び抽出段階を全く省略して、液体酵素溶液を直接分析セルに加えるというものである。その結果、較正方法は、これらのプロセスに導入される不確定要素を正確に表さない。上述のシステムを使用して、適当にドープされた液体を直接フィルタ11にピペットし、装置300に既知量の酵素を積むことが提案される。残りの分析工程はその後前述のように行うことができ、フィルタ11による吸収と、その後の抽出及び反応の両方の相対的効率を少なくとも若干は考慮した較正方法が提供される。分析器械の最終出力はその後酵素の質量負荷の観点から較正され、それは光学的密度又は他の分析ユニットより使用者に有用である。
【0094】
図示した形態の代表的なハウジングは長さが大よそ109mmである。ハウジングは好ましくはポリカーボネートで作られ、これにより強固さと光学的明澄性の良い組合せが提示されるが、アクリルは代替えの選択肢となる。ポリプロピレンは、高不活性として知られ、従来から注射器の構成部品に使用され、浸食的な試薬を包含できるので、円筒セクションのために選択される。ほとんどの二次的な部分はABSで成形されるが、他のプラスチックを使用することもできる。ハウジング構成上の具体的な特徴はそれが滑らかな内面を有し、フィルタ支持体4の異なったさまざまな位置間の自由な移動を許容することである。さまざまなシール材を用いてよいが、射出成形された熱可塑性エラストマ(TPEs)は特に適切である。フィルタ11は直径が大よそ24mmであり、好ましくはガラス繊維材料(例えば、工業標準フィルタであるWhatman社のGF/A)で構成される。
【0095】
試料採取及び分析システムは例えば工場の試料採取のため提供されることが想定される。各々の労働者に試料採取及び分析キットを持たせ、該キットを上述の装置及びホルスタ組立体と、例えば各自のベルトに着けたポンプとで構成する。装置300は一体化された試料採取、反応及び分析容器を提供し、その機能はハードウェア(ホルスタ15及び分析器)との機械的な相互作用により自動的に活性化されるので、使用者の外的な行為は何ら要求されない。重要なこととして、信頼できる定量的な結果を得るのに化学的又は分析的な技能が何ら要求されない。
【0096】
上述の機器に対しいくつもの改変も想定される。複数の分析領域を包含し、各々がそれ自体のフィルタ及び試薬配列を備えるようカートリッジを設計することができる。汚染物質のいかなる組合せも、各々のために適切な化学作用及び監視技術を用意することにより試験することができる。
【0097】
さらなる可能性は、1つのセル中でいくつかの化学作用を使用し、複数の試験を同一のカートリッジ中で容易に行えるようにすることである。この点で、互いに干渉し合わず、別々の検出が可能な化学作用を特定することが必要であろう。
【0098】
以上の説明はプロテアーゼ酵素(特にサブチリシン)の工業的監視に焦点を当てたものであるが、反応作用を適切に改変することにより、同一の一般的アプローチが容易に適用できる他のいくつもの空気伝達酵素がある。例えば、セルラーゼ、リパーゼ及びアミラーゼも洗剤製造において使用され、アミラーゼはまたパン焼き工業でも広く用いられる。その技術のさらなる重要な拡張は、菌類及びバクテリアの分析であり、これらは適切な反応により解放されて細胞又は胞子外包を攻撃する多量の酵素を本質的に備える。酵素ではない検体も該装置内に適当な化学試薬を組み入れることにより監視できる。例えば、その機器は免疫測定法を行うのに使用することができる。同一の装置は、適当な反応を特定でき適切な試薬が供給されることを条件に、無機汚染物質を監視するのにさえ使用できる。
【0099】
1つの具体例は、空気伝達のかび胞子の検出に前述の技術を使用することである。ここでは、カートリッジ使用の容易さ及び汚染に対するその高い完全性がきわめて有益となろう。しかしながら、この用途で用いられる化学作用はカートリッジにいくつかの改変がなされることを要求することがある。特に、いくつかの液体試薬を用意すること(プロセス中の適切な時点で解放)、付加的な乾燥試薬、及び廃物採集領域が必要となろう。図13から16は適当な改変を図示する。
【0100】
カートリッジには2つ以上のリザーバ領域5a、5bと、それぞれの円筒/ピストン配列を設けることができる(図13)。複数のリザーバ又は円筒は異なった試薬を包含でき、要求に応じて同時又は異なった時に適切な量を解放する。
【0101】
一連の免疫測定法において、カートリッジはいくつかの試薬及び洗浄工程を収容することができる。図14a、b及びcは代表的な免疫測定法の仕組みを図解する。抗体は”Y”形単位90及び93として、酵素は星形91として、検体はひし形92として表される。免疫測定法において、検体は一般的に抗原と呼ばれ、抗体が特異的に接着する成分である。図14aは、液体がリザーバから解放され、乾燥抗体90(分析領域にすでに存在)を溶解し、フィルタから抗原92を解放する第1の工程を示す。溶解された抗体90はそれに接合した酵素91を有する。他の抗体93は分析室内で表面94に固定される。結合がその後選択された時間の間起こることが許容される。第2の工程(図14bに示す)では、結合後、検体92が固定抗体93に結合され、酵素で標識された抗体90が検体92の他の部位に結合される。定量的事象(分析器で監視される)は、より多くの検体が存在すればより多くの酵素91が固定されるというものである。固定酵素91の量は元の検体の尺度として正確に決定しなければならない。過剰の酵素標識抗体90は、そうしなければ遊離酵素が誤った信号を発生させるので洗い流す必要がある。工程3(図14c)では、前述のように、固定酵素に基質Sを与え、その生成物Pを検出することにより固定酵素を検出する。普通使用される酵素標識はアルカリホスファターゼであり、ニトロフェニルリン酸塩基質(無色)が分光光度検出のためのニトロフェノール生成物(黄色)を発生させる。あるいは、蛍光標識を使用することもできる。
【0102】
廃物受け器72を、洗浄工程中廃物を採集するため分析室の下に設けることができる。図15は適当なカートリッジ構成の略図である。第1の分析工程において、試薬混合物は第1のリザーバ領域5aから解放されて分析領域を満たす。付加的な試薬を該室中に乾燥形態で固定し、解放された液体に溶解させてもよい。撹拌して乾燥試薬の溶解を増進させ混合を改善してもよい。適切な時に、第2の試薬をリザーバ領域5bから解放し、分析領域をすすぐ。第2のリザーバ領域5bからの入り口ポート13bは分析領域の頂部に隣接し、すすぎを手助けする。出口ポート70は最初及び第1の分析工程中閉じられ、その後すすぎ中は開く。ポート70は検出工程の間再び閉じることができ、該工程中に余分の試薬をリザーバ領域5a又は5b、または付加的なリザーバ(図示せず)から追加してもよい。
【0103】
分析領域の乾燥形態の試薬は第1の工程でのみ使用できる。その後の乾燥試薬は、それらが使用される時にのみ濡れる領域に位置決めしなければならないであろう。例えば、リザーバと分析領域間の接続通路の1つ内の多孔性パッドである。
【0104】
出口ポート70は、制御された開口及び閉鎖を可能とするためピストン弁として構成することができる。模範的な配列を図16に図示する。出口ポート70は、一部71が摺動ピストン73に配されたチャネルによって形成される。弁を閉じたとき、出口ポートチャネル70の一部71は該チャネルの残部と整合せず、その結果流体は廃物受け器72に流れ込むことができない。摺動ピストン73に下方への力を適用したとき、チャネルは互いに整合し、分析領域から廃物受け器72への路が完成する。液体チャネルはこのように要求されたときに完成し、その後になって流れを停止するため閉塞される。1つのピストン73にいくつかそのようなチャネル部71を設ければ、一連の弁操作のため適切な間隔で中断されながら、一方向の力の適用を受けていくつかの開口と閉鎖の連続を起こさせることが可能となる。
【0105】
想定されるさらなる実施形態では、分析領域130(図1参照)に少なくとも部分的に配された細長い条片(図示せず)を設ける。一連の分析中、フィルタは細長い条片の一部、好ましくは一端に近接近する。条片には一続きの乾燥試薬を設けることができ、液体又はゲル試薬を分析領域に解放すると、採集された試料が条片に移される。例えば、細長い条片は免疫測定法を行うための一連の乾燥試薬を組み込んだ毛管条片を備えることができる。
【0106】
採集された溶液中の試料は、毛管作用を受けて条片を通じて吸込まれ、乾燥試薬に遭遇するにつれて一続きの反応を受ける。これにより、数多くの液体試薬、又は一連の工程を管理するための複雑な制御システムを必要とせずに、一連の全分析を実行できるという利点が得られる。乾燥試薬の配列により1回の試薬解放工程で任意の数の反応を開始させることができる。結果として生じる反応は予測でき、従来の技術を使用して監視できる。装置ハウジングには細長い条片に沿った適切な箇所に付加的な分析窓を設け、これを通じて一連中の一定の段階を監視してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1aは、フィルタが試料採取位置にある試料採取及び分析装置の略図である。図1bは、フィルタが安全位置にある装置の略図である。図1cは、フィルタが分析位置にある装置、及びフィルタ上の試料を分析する分析ユニットの略図である。
【図2】図2aは、本発明の実施形態による試料採取及び分析装置の外部斜視図である。図2bは、フィルタが安全位置にある図2aに示す実施形態の内部斜視図である。
【図3】図3a及び3bは該実施形態で使用されるフィルタ支持体の斜視図である。
【図4】図4aは該実施形態の外部側面図である。図4bは、内部配列の詳細を示す該実施形態の外部正面図である。
【図5】図5a、5b、5c及び5dは、図2aから3bに示す装置及びホルスタの斜視図であり、ホルスタに該装置を連結する状態を図示する。
【図6】図6a、6b及び6cは、ホルスタと連結中及び連結後の該装置の内部を示す。
【図7】図7aは、ホルスタに装着された該装置の外部正面図である。図7bは、図7aのB−B線を通る断面図である。
【図8】図8aは、ホルスタと連結中の該装置の内部正面図である。図8bは、図8aのK−K線を通る断面図である。
【図9】図9a、9b及び9cは、該装置の分析領域への試薬の導入前、導入中及び導入後の該装置の内部側面図を示す。
【図10】図10aは、フィルタが分析位置にある該装置、及びフィルタに隣接して位置決めされた撹拌器の正面図である。図10bは、図10aのC−C線に沿った断面図を示す。
【図11】該装置中に組み込むことができる撹拌器の例を示す。
【図12】サビナーゼを検出するため図2から11に図示する実施形態を使用して得られた結果を示すグラフである。
【図13】第2の実施形態による試料採取及び分析装置の略図である。
【図14】図14a、14b及び14cは免疫測定の仕組みを図示する。
【図15】第3の実施形態による試料採取及び分析装置の略図である。
【図16】図15に示す装置の一部の略図である。
【符号の説明】
【0108】
1・・・・・ハウジング
2・・・・・入口開口
2’・・・・・出口開口
4・・・・・フィルタ支持体(又はシャトル)
5・・・・・リザーバ領域
6・・・・・ピストン
7・・・・・試薬リザーバ
8・・・・・シャトルシール
9・・・・・フィルターシール
10・・・・フィルターシール
11・・・・・フィルタ
15・・・・・ホルスタ
23・・・・・管
40・・・・・撹拌器
100・・・・・ハウジング
105・・・・・フィルタ
110・・・・・試料採取位置
115・・・・・試料採取領域
120・・・・・安全位置
125・・・・・安全領域
130・・・・・分析位置
135・・・・・分析領域
137・・・・・撹拌器
140・・・・・流体
150・・・・・ポンプ
200・・・・・分析器
300・・・・・装置(又はカセット)
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図7A】

【図7B】

【図8A】

【図8B】

【図9A】

【図9B】

【図9C】

【図10A】

【図10B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料採取及び分析装置であって、ハウジングと、該ハウジング内に規定される試料採取領域及び分析領域と、流体の該試料採取領域への進入及びそこからの退出を許容する該ハウジングが有する少なくとも1つの開口と、該ハウジング内に配置されたフィルタとを備え、該フィルタは該ハウジング内の該試料採取領域に配される試料採取位置と、該分析領域に配される分析位置との間を移動可能である、試料採取及び分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試料採取及び分析装置において、該分析領域に試薬を導入する手段をさらに備える、試料採取及び分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試料採取及び分析装置において、少なくとも該フィルタが該分析位置にあるときに該試料採取領域から該分析領域を隔離する第1の封止手段をさらに備える、試料採取及び分析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該フィルタは該ハウジング内側の該試料採取及び分析位置の間を直線軌道に沿って移動可能である、試料採取及び分析装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該装置は該ハウジング内にさらに安全領域を規定し、該フィルタは該試料採取又は分析位置と、該安全領域に配される安全位置との間をさらに移動でき、該フィルタは該フィルタが該安全位置にあるときに少なくとも該試料採取領域から封止される、試料採取及び分析装置。
【請求項6】
請求項4に記載の試料採取及び分析装置において、該フィルタは該ハウジング内側の該試料採取、分析、及び安全位置の間を直線軌道に沿って移動可能である、試料採取及び分析装置。
【請求項7】
請求項4に記載の試料採取及び分析装置において、該フィルタは該安全位置にあるとき該分析領域からさらに封止される、試料採取及び分析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の試料採取及び分析装置において、該フィルタはフィルタ支持体に装着され、該フィルタ支持体は使用時流体が該フィルタを通過するのを許容するよう形作られる、試料採取及び分析装置。
【請求項9】
少なくとも請求項3に従属するときの請求項8に記載の試料採取及び分析装置において、該第1の封止手段は該フィルタ支持体と該ハウジングとの間に設けられたシールを備える、試料採取及び分析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の試料採取及び分析装置において、該第1の封止手段は該フィルタ支持体に装着される、試料採取及び分析装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、第2の封止手段をさらに備え、該第2の封止手段は、該フィルタが該試料採取位置にあるときに、流体の流れを該第2の封止手段によって規定される該試料採取領域の容積に制限する、試料採取及び分析装置。
【請求項12】
少なくとも請求項5に従属するときの請求項11に記載の試料採取及び分析装置において、該第2の封止手段は、該フィルタが該安全位置にあるときに該フィルタを該装置の残部から隔離する、試料採取及び分析装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の試料採取及び分析装置において、該第2の封止手段は、該フィルタと該ハウジングとの間を該フィルタの外周の周囲に延長するシールを備える、試料採取及び分析装置。
【請求項14】
少なくとも請求項8に記載の試料採取及び分析装置において、該フィルタ支持体と該ハウジングとは摺動可能に係合される、試料採取及び分析装置。
【請求項15】
請求項8に従属するときの請求項14に記載の試料採取及び分析装置において、該ハウジングに細長い開口をさらに設け、該フィルタ支持体は該細長い開口に向かって延長するタブを備える、試料採取及び分析装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該ハウジングに該分析領域から離れて位置決めされた分析作動開口をさらに設ける、試料採取及び分析装置。
【請求項17】
少なくとも請求項2に記載の試料採取及び分析装置において、試薬を導入する該手段は、使用時試薬を包含するよう適合されたリザーバと、該リザーバ及び該分析領域の間の通路と、該試薬を該分析領域に流し込ませる機器とを備える、試料採取及び分析装置。
【請求項18】
請求項17に記載の試料採取及び分析装置において、該試薬を該分析領域に流し込ませる該機器は該リザーバの内側に設けられたピストンである、試料採取及び分析装置。
【請求項19】
請求項2乃至15のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、試薬を導入する該手段は使用時試薬を包含するよう適合された空洞を備え、該空洞は該分析領域と共通の少なくとも1つの壁部を有し、該壁部の少なくとも一部は壊れやすい、試料採取及び分析装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該ハウジングに該分析領域の壁部に配される窓をさらに設ける、試料採取及び分析装置。
【請求項21】
請求項1乃至20に記載の試料採取及び分析装置において、該分析領域に配される撹拌器をさらに備える、試料採取及び分析装置。
【請求項22】
請求項21に記載の試料採取及び分析装置において、該撹拌器は遠隔作動されるよう適合される、試料採取及び分析装置。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の試料採取及び分析装置において、該撹拌器は、該フィルタのそれと実質的に平行な平面内に配され、かつ該平面と垂直な軸の周りを回転可能である、試料採取及び分析装置。
【請求項24】
請求項23に記載の試料採取及び分析装置において、該撹拌器は使用時該フィルタから離間される、試料採取及び分析装置。
【請求項25】
請求項1乃至24のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該試料採取領域の該開口は流体が該装置に入る入口開口を備え、該装置は流体が該装置から出て行く出口開口を該試料採取領域にさらに備え、該フィルタは試料採取位置にあるときに該入口及び出口開口の間に配されて、該入口及び出口開口の間を流れる流体から汚染物を採集する、試料採取及び分析装置。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれかに記載の試料採取及び分析装置において、該装置は使用者によって運ばれるよう適合される、試料採取及び分析装置。
【請求項27】
試料採取及び分析組立体であって、請求項1乃至26のいずれかに記載の装置と、該装置と連結するよう適合されたホルスタ(holster)とを備える、試料採取及び分析組立体。
【請求項28】
請求項27に記載の試料採取及び分析組立体において、該ホルスタは該組立体を使用者に付ける手段を備える、試料採取及び分析組立体。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の試料採取及び分析組立体において、該ホルスタは該装置ハウジング内側で該フィルタを移動させる手段を設けられる、試料採取及び分析組立体。
【請求項30】
請求項15に従属するときの請求項29に記載の試料採取及び分析組立体において、該ホルスタに設けられた該フィルタを移動させる該手段は突出部を備え、該突出部は該装置とホルスタとを相対的に移動させた時に該フィルタ支持体の該タブと協働して該フィルタ支持体を該細長い開口沿いに摺動させる、試料採取及び分析組立体。
【請求項31】
請求項5に従属するときの請求項29又は30に記載の試料採取及び分析組立体において、該ホルスタに設けられた該フィルタを移動させる該手段は、該装置と該ホルスタとを連結した時に該フィルタを該安全位置から該試料採取位置に移動させ、該装置と該ホルスタとを切り離した時に該フィルタを該安全位置に復帰させる、試料採取及び分析組立体。
【請求項32】
請求項27乃至31のいずれかに記載の試料採取及び分析組立体において、該ホルスタに、使用時該装置の該開口と整合する開口と、該開口から使用時ポンプに接続するよう適合された出口まで延長する通路とを設ける、試料採取及び分析組立体。
【請求項33】
ホルスタであって、請求項1乃至26のいずれかに記載の試料採取及び分析装置と連結するよう適合されたホルスタ。
【請求項34】
試料採取及び分析キットであって、請求項27乃至32のいずれかに記載の組立体と、該組立体を通じて流体を吸込むポンプとを備える試料採取及び分析キット。
【請求項35】
請求項34に記載の試料採取及び分析キットにおいて、該組立体と該ポンプとの間に延長するホースをさらに備える、試料採取及び分析キット。
【請求項36】
分析器であって、請求項1乃至26のいずれかに記載の試料採取及び分析装置の内側の状態を監視するよう適合された、分析器。
【請求項37】
請求項36に記載の分析器において、使用時該装置と連結するよう適合され、かつ該フィルタを該装置ハウジングの内側で移動させる手段を備える、分析器。
【請求項38】
請求項16に従属するときの請求項37に記載の分析器において、該分析器に設けられた該フィルタを移動させる該手段はシャフトを備え、該シャフトは該分析作動開口を通じて該ハウジングに挿入されて該フィルタ支持体と接触しこれに力を加えることができる、分析器。
【請求項39】
請求項5に従属するときの請求項37又は38に記載の分析器において、該分析器に設けられた該フィルタを移動させる該手段は該フィルタを該安全位置から該分析位置に移動させるよう適合される、分析器。
【請求項40】
請求項2に従属するときの請求項36乃至39のいずれかに記載の分析器において、該装置の該分析領域に試薬を導入する該手段を動作させる試薬作動器をさらに備える、分析器。
【請求項41】
請求項18に従属するときの請求項40に記載の分析器において、該試薬作動器は第1の作動ロッドを備え、該第1の作動ロッドは、該ロッドを該装置に対し移動させた時に該ピストンと協働して該試薬を該分析領域に押し込む、分析器。
【請求項42】
請求項41に記載の分析器において、該試薬作動器は該リザーバと協働する第2の作動ロッドをさらに備える、分析器。
【請求項43】
請求項20に従属するときの請求項36乃至42のいずれかに記載の分析器において、該分析器に該分析領域の内容物の光学的尋問手段を設ける、分析器。
【請求項44】
請求項22に従属するときの請求項36乃至43のいずれかに記載の分析器において、該分析器は該撹拌器を動作させる撹拌器作動器をさらに備える、分析器。
【請求項45】
請求項44に記載の分析器において、該撹拌器作動器は該撹拌器と磁気的に連結される、分析器。
【請求項46】
請求項36乃至45のいずれかに記載の分析器において、該装置の該分析領域を加熱する手段をさらに備える、分析器。
【請求項47】
作動器であって、請求項1乃至26のいずれかに記載の試料採取及び分析装置と連結するよう適合され、かつ該フィルタを該装置ハウジングの内側で移動させる手段と、該装置の該分析領域に試薬を導入する該手段を動作させる試薬作動器とを備える、作動器。
【請求項48】
試料採取及び分析システムであって、請求項1乃至26のいずれかに記載の少なくとも1つの装置と、請求項27乃至32のいずれかに記載の組立体と、請求項34又は35に記載のキットと、請求項36乃至46のいずれかに記載の分析器とを備える、試料採取及び分析システム。
【請求項49】
請求項28に記載の試料採取及び分析システムにおいて、請求項47に記載の作動器をさらに備える、試料採取及び分析システム。
【請求項50】
流体中の汚染物質の試料採取及び分析方法であって、
a)ハウジング内側の試料採取位置に配されたフィルタに流体を通過させて、該汚染物質の試料を該フィルタ上に留める工程と、
b)該ハウジング内側の分析領域に配され、該フィルタ上の該汚染物質の少なくともいくらかを巻き込む反応が生じる分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
c)該反応を監視する工程とを備える、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法において、工程(a)の前に、該流体が該フィルタと接触できない該ハウジング中の安全位置から該試料採取位置に該フィルタを移動させる工程をさらに備える、方法。
【請求項52】
請求項50又は51に記載の方法において、工程(a)の後工程(b)の前に、該流体が該フィルタと接触できない該ハウジング中の安全位置に該フィルタを移動させる工程をさらに備える、方法。
【請求項53】
請求項50乃至52のいずれかに記載の方法において、工程(b)は該反応を開始させる工程をさらに備える、方法。
【請求項54】
請求項53に記載の方法において、該反応は該分析領域に試薬を導入することによって開始される、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法において、工程(b)は、
(b1)該分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
(b2)該分析領域を封止して該領域を該ハウジングの残部から隔離する工程と、
(b3)該分析領域に試薬に導入する工程とを備える、方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法において、工程(b)は、
(b1)該分析位置に隣接した場所に該フィルタを移動させる工程と、
(b2)該分析領域に該試薬を導入する工程と、
(b3)該分析位置に該フィルタを移動させる工程と、
(b4)該分析領域を封止する工程とを備える、方法。
【請求項57】
請求項50乃至56のいずれかに記載の方法において、請求項1乃至26のいずれかに記載の装置、請求項27乃至32のいずれかに記載の組立体、または請求項48又は49に記載のシステムを使用して行われる、方法。

【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−514911(P2008−514911A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532951(P2007−532951)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003637
【国際公開番号】WO2006/032881
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(391064692)シティ テクノロジー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CITY TECHNOLOGY LIMITED
【Fターム(参考)】