説明

環境状態解析

知識ベースのコンテキストアウェアアプリケーションが、適切な情報交換により、環境状態解析から利益を得ることを可能にするために、動的なランタイム動作を有するコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境状態解析の方法を提案する。環境状態解析の基礎となるものは、複数の部分空間を含む1つの空間内の空間のグループとして環境を表現するコンテキスト空間である。この部分空間はさらに複数の部分空間を含む。本発明によれば、このような空間ベースの包含関係を用いて、ユーザ対話のための擬似自然言語を用いてコンテキスト取得中に入出力処理を実行することを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境状態解析のための方法および装置に関し、具体的には、知覚された環境の状態および設定についての取得、変換および論理推論(logic interference)から知識ベースアプリケーションが利益を得ることを可能にする環境状態解析のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これから説明する本発明は、一般的に、分散コンピューティング、インタプリタ型コンピューティングおよび中立的言語処理に関する。従来、分散コンピューティングは、一般的には、オペレーティングシステムにおいてデータを表現する名前付きファイルオブジェクトを交換するという目的に重点を置いている。ここで、オペレーティングファイルシステムに含まれるファイルオブジェクトは、処理中にデータファイルを作成、削除、オープン、書き込み、クローズおよびリードするために、ソフトウェア処理が文字列名を関連づけることを可能にする必要な機能を実行する一連のオブジェクトである。名前付きファイルオブジェクトは、データグループメモリの2進表現に限定されるだけでなく、ファイルのような機能インタフェースを呈するプリンタ装置のような装置を含む。
【0003】
さらに、従来のインタプリタ型コンピューティングは、一般的には、コードの動的評価と、抽象化を用いたプラットフォームに依存しない実行と、名前付きエンティティの動的なスコーピング(scoping)およびレイトタイプバインディング(late−type binding)とに重点を置いている。
【0004】
さらにまた、自然言語処理システムは、異なるアプリケーションドメインにおけるあらゆる知識全体にわたって言語対話を支援することを目的とした汎用知識ベースシステムの生成に重点を置いている。自然言語処理は通常、情報検索、音声認識および音声合成のような処理のある側面を説明するものと考えられる。中立的言語処理は通常、言語学の標準的な下位分類である下位領域、例えば形態論、統語論、意味論および語用論である。非ドメイン特有のアプリケーションは人工知能的に完全であること(アプリケーションエリアに関する知識を表現および取得する問題に対する完全性)が要求されるため、自然言語処理の分野における研究は、限られたアプリケーションドメインを除けば、きわめて難しいことを証明している。
【0005】
別の側面は、アプリケーション環境自体の代用としての適切な知識表現である。さらには、例えば非特許文献1に概説されているように、アプリケーション環境を考慮した論理推論(logic inference)が、コンテキストアウェアアプリケーション(状況適応型アプリケーション)のランタイムの動的な動作を支援できるようにすることである。
【0006】
【非特許文献1】Davis et al., What is Knowledge Representation?,AI Magazine,14(1):17−33,1993
【発明の開示】
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明の目的は、知識ベースのコンテキストアウェアアプリケーションが適切な情報交換により環境状態解析に基づいて利益を得ることを可能にすることである。
【0008】
本発明の別の目的は、生成された環境状態モデルに鑑みて、収集された環境状態情報の適切な変換とそれに続く論理推論(logic reasoning)とに基づいて、知識ベースのコンテキストアウェアアプリケーションを有効なものとすることである。
【0009】
本発明によれば、この目的は、動的なランタイム動作を有するコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境状態解析の方法によって達成される。このような解析の基礎は、いわゆるコンテキスト空間を用いた環境のモデルである。コンテキスト空間は、複数の部分空間(この部分空間は、さらに複数の部分空間などを含む)を含む1つの空間内に存在する空間のグループとして環境を表現する。これは、本発明によれば空間ベースの包含関係として表現される。本発明によれば、このような空間ベースの包含関係を用いて、ユーザ対話のための擬似自然言語を用いてコンテキスト取得中に入出力処理を実行することが提案される。
【0010】
本発明の大きな利点は、ユーザ対話のための形式的な言語定義を使用することである。この言語定義は、システムユーザの直感に追従するという点において擬似的に自然なものである。したがって、システムの利用を非常に容易なものとし、結果としてシステムの受け入れを促進する。擬似自然形式言語の使用に関する典型的な例は、例えば、コンテキストクエリと、コンテキストアサーションと、コンテキスト表現とのうちの少なくとも1つである。
【0011】
さらに本発明によれば、コンテキスト取得は、包含関係を用いて環境に対して実行される。コンテキストアウェアアプリケーションは、擬似自然形式言語と組み合わせてコンテキスト空間表現および包含関係を使用する。
【0012】
したがって本発明は、パラダイムとしてコンテキストアウェアコンピューティング環境を提供する。アプリケーションは、アプリケーションの動作を決定および適応させるために、一連の環境状態および設定に関連する知識を使用する。本発明は、コンテキストアウェアアプリケーションの動作を適応させることにより、解析における本質的な困難性を克服し、オープンな環境に関する知識を得るために、システムを実現し、方法を提供する。ここで関連性は、動的なランタイム動作のための擬似自然形式言語を用いた状態取得と組み合わせた包含関係についての側面のことである。
【0013】
本発明による取得パラダイムは、環境情報の生成中の継承インスタンス化により、コンテキスト状態情報を生成するためのオブジェクト指向パラダイムを用いた抽象的なメカニズムの提案を可能にする。基礎をなし、擬似自然形式言語と組み合わせた包含関係を使用して導出できる、基礎となる本質的な原理は、環境状態を表現する情報オブジェクトが階層構造を有するということである。この階層オブジェクトは、コンテナの役割を担う。コンテナは、オブジェクト指向パラダイムという意味において、複合的な階層をもたらすことを目的とする。さらに、特定の動作または具体的な特徴を有しない、コンテキスト状態を表現するために定義されたオブジェクトは、コンテナから動作を取得するための抽象化の手段として取得を使用することができる。この取得は、例えば、継承または擬似自然形式言語を用いた入出力処理によるものである。
【0014】
したがって、本発明によれば、環境状態解析のために提案される包含関係は、特定のオブジェクトが擬似自然形式言語による抽象化、継承または情報取得のうちの少なくとも1つのメカニズムを用いて状態情報を提供しない場合にもこの状態情報を導出できるようにする。これにより、環境状態情報を表現する特定の情報オブジェクトを利用できない場合は状態情報を全く提供できない従来の解析スキームよりも、コンテキストアウェアアプリケーションの動作は改善できる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、環境内の空間の間の包含関係は、環境内の空間の間の階層を表現し、好ましくは、コンテキスト空間ツリーグラフ構造を用いて表現される。ここで、環境内のこのような空間に関する属性および情報は、コンテキスト空間ツリーグラフ構造によって表現される階層と関連して保存できることに注意されたい。
【0016】
コンテキスト空間ツリーグラフ構造および空間内の階層は、その後行う推論のために環境状態解析情報を適切に表現する際に大きな利点を有する。具体的には、ツリーが空間内の階層を表現し、コンテキストアウェアコンピューティングが特定の部分空間に関連づけられているとすると、コンテキストアウェアコンピューティングパラダイムおよび関連する機能を、考慮されている空間に関連づけられるコンテキスト空間ツリーグラフ構造のサブツリーに適用することができる。これにより、アプリケーション動作の適応化のために環境についての知識を解析および取得することにおける連続性、無数の状態および関連する本質的な困難性によって強いられる複雑性を低減することができる。
【0017】
さらに、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイムにおいて環境が連続的に変化するとすれば、コンテキスト空間ツリーグラフ構造は、コンテキストアウェアアプリケーションの提供中に知覚された空間に基づいて提供された環境状態解析情報を適応させるための有益な表現である。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、アプリケーションメッセージングインタフェースプロトコルを用いて、コンテキスト空間を表現するモデル内の異なる下位要素の間で情報をピアツーピア方式で交換することが提案される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、大きな利点は、持続的なオブジェクト(persistence object)の保存および効率的な交換メカニズムを考慮して、コンテキストベースモデルを協調かつ分散して実現することである。ここで、コンテキスト空間モデル内の要素に関する情報は、共有メモリ空間を用いて情報オブジェクトを交換することによって通信できる。換言すれば、このようなピアツーピア方式のアプリケーションメッセージングインタフェースは、コンテキスト空間に基づいて分散化された情報の表現による複数の加入要素(participants)を考慮して、一貫性のあるデータの維持をサポートする。
【0020】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、包含関係を用いたコンテキスト取得は、コンテキスト空間ツリーグラフ構造を考慮して、パス表現および関連するパスマッチングによって達成される。
【0021】
この実施形態によれば、利用可能なコンテキスト空間ツリーグラフ構造を、コンテキストアウェアアプリケーションの考慮する空間に適したコンテキスト空間ツリーグラフ構造に変換することが提案される。例えば、コンテキスト空間ツリーグラフ構造全体が、最上位の空間が都市であり、続いて道路、建物、部屋などが存在する階層を表現し、アプリケーションの考慮するコンテキスト空間が例えば建物であるとすれば、変換は、コンテキストアウェアアプリケーション内のコンテキスト空間を適切にモデル化するために、建物ノードから開始するサブツリーを当初のコンテキスト空間ツリーグラフ構造から除去する。
【0022】
したがって、本発明の基礎となる変換メカニズムは、コンテキストアウェアコンピューティングアプリケーションに対して環境に関する知識を解析および取得することに関する複雑性および本質的な困難性を回避するために、連続性および無数の環境状態を考慮する。コンテキスト空間ツリーグラフ構造から適切なサブツリーへの変換は、オープンな環境における無数の環境状態を処理することを可能にし、コンテキスト状態の取得およびそれに続く推論の効率を上げることを可能にする。一方、このような情報メカニズムのための基礎をなすものは、本発明に係る環境状態解析の基礎となる擬似自然形式言語を用いた知識の取得と組み合わせられる包含関係である。
【0023】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、典型的には擬似自然言語である知識表現言語で表現された一連の文を用いて、コンテキスト空間の知識表現を構成することが提案される。本発明に基づくコンテキストアウェアアプリケーション環境および状態解析スキームを伴う、形式化されたユーザ対話の提供は、環境状態に関する精度の高い解析および取得によりエンドユーザとの直接的な対話の実現を支援する。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、ユーザ対話のための形式的擬似自然言語を任意的に用いた、上述の変換の後に、取得した環境状態と関連するコンテキスト空間ツリーグラフ構造とについての推論が提供される。さらに任意的に、コンテキスト空間内の知識表現、それまでの推論処理および対応する推論結果に基づいて得られる知識は、推論を支援する。
【0025】
コンテキストアウェアコンピューティングを支援する、知覚および収集された環境状態情報によって行われる動的な動作を容易にするサービス適応メカニズムを実現および支援するのは、この論理推論である。これは、解析された環境状態および得られた環境状態知識を考慮した新しいサービスをもたらし、サービスユーザの期待を考慮した、取りうるアクションに対する実現および推論を提供する。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、環境状態解析プロセッサの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、環境状態解析プロセッサ上で、本発明に係る環境状態解析処理を実行するためのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0027】
したがって、本発明は、コンピュータまたはプロセッサシステム上で本発明に係る方法のステップを実装するためにも提供される。結論として、このような実装は、コンピュータシステム、または詳細には、例えば環境状態解析プロセッサに含まれるプロセッサとともに使用するためのコンピュータプログラム製品を提供することになる。
【0028】
本発明の機能を規定するこのプログラムは、限定はしないが、書き込み不可能な記憶媒体、例えばプロセッサまたはコンピュータI/Oアタッチメントにより読み取り可能なROMディスクまたはCD−ROMディスクのような読み取り専用メモリ上に記憶された情報、書き込み可能な記憶媒体、すなわちフロッピー(登録商標)ディスクおよびハードドライブ上に記憶された情報、または、ネットワーク、インターネットまたはモデムを介した電話回路網のうちの少なくとも1つまたはその他のインタフェース装置といった通信媒体を介してコンピュータまたはプロセッサに伝送される情報を含む、多くの形態でコンピュータまたはプロセッサに配信することができる。本発明に係るコンセプトを実現するプロセッサ読み取り可能な命令を配信する場合に、このような媒体は、本発明の代替的な実施形態を表しているに過ぎない。
【0029】
全体的に見ると、本発明は、コンテキストアウェアアプリケーションを稼動させるサービスプロバイダを支援する際ならびにシステム対話のための擬似自然形式言語を提供および適用することによってシステムユーザを支援する際に特別な関連性を有する。ここで、コンテキストアウェアアプリケーションは、サービスが適切な時点で適切なプロファイルで提供されるように実行する。サービスプロバイダは、無数の環境状態を処理することができ、環境状態およびエンドユーザプロファイルを用いて、エンドユーザのための最も適切な実現および推論、例えば個別のサービスを提供することができる。
【0030】
さらに別の重要な側面は、性能効率である。これにより、サービスプロバイダは、コンテキスト空間におけるノードツリーモデル変換に基づいて変換することにより、無数の環境状態を効率的に処理することができる。
【0031】
さらにまた、別の利点は、コスト効率である。これにより、サービスプロバイダは、環境状態に関する知識を得ることにより何らのメンテナンスをすることなく、サービスを提供することができる。
【0032】
上述したことから、本発明により、サービスを容易に設定することを支援できることがわかる。これにより、全ての条件および推論は、システムの構成時にコンテキストアウェアアプリケーションのためにシステムで符号化する必要がない。また、対照的に、この全ての条件および推論は、システムランタイム、特にオープンな環境において解釈メカニズムを用いて、対話型システムプログラミングアプローチに基づいて環境状態およびその解釈をその後取得することによりシステム内に組み込むことができる。
【0033】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施態様および好ましい実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明に係る環境状態解析の最良の実施態様および好ましい実施形態を説明する。本発明の特徴を参照する場合、このような特徴は、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組み合わせによって実施できることに注意されたい。
【0035】
以下の説明のために、最初に、空間、外部空間、環境、環境状態、環境設定といった用語について簡単に説明する。
【0036】
空間は、その空間内に配置される全ての空間エントリオブジェクトのためのコンテナとして機能する。空間は、空間作用の影響を受け、時間とともに変化する空間条件または空間属性のうちのいずれかまたは両方により特徴づけられる。
【0037】
ある空間自体が空間エントリオブジェクトとして部分空間を含み、空間および部分空間に階層が与えられるとすると、外部空間とは最上位のルート空間のことである。
【0038】
環境とは、関連する空間エントリオブジェクト、空間条件、空間属性または空間作用のうちの少なくとも1つを伴う空間の集合体のことである。
【0039】
環境状態とは、環境内の空間および関連する空間エントリオブジェクト、空間条件、空間属性または空間作用のうちの少なくとも1つおよび任意的にそれらの相互関係を特定したものである。
【0040】
環境設定とは、環境状態の定量化のことである。定量化は、空間作用および空間、空間条件および/または空間属性の相互関係、または特定の空間、空間条件および/または空間属性を制御するために提供されるアクチュエータの起動により決定することができる。
【0041】
図1は、本発明に基づく知識取得のために包含関係を適用することについて、上述した用語の関係を示している。
【0042】
図1に示されているように、本発明によれば空間には階層が与えられている。そのため、図1は、都市に限定するものではないが、都市を外部空間の例としている。この都市は、様々な道路を含み、さらにこの道路は様々な建物または部屋を含み、続いて机などを含んでいる。図1に示されているように、本発明による包含は、抽象化の各レベルにおいて類似するインスタンス化を用いることを意味するものではなく、異なるインスタンス化であってもよい。例えば、建物および部屋といった異なるインスタンス化を、ツリー表現の同じレベルに割り当てることができる。
【0043】
さらに図1に示されているように、図1の左側のツリー表現を、外部空間である都市が道路B、部屋B、机Aなどを含む包含関係へとマッピングすることができる。
【0044】
さらに、図1に示されている例およびこれまでになされた説明により、以下のコンテキスト空間、包含、コンテキスト空間ツリーモデル、コンテキスト空間変換および空間ピアといった、本発明に関連するさらなる側面を定義することができる。
【0045】
コンテキスト空間とは、空間内で分散化された空間ベースの包含表現に基づいて空間モデルを実現したものである。分散化された空間ベースの包含表現は、階層的なものとすることができる。コンテキスト空間は、空間エントリオブジェクトの表現として、コンテキストエントリオブジェクトの包含をモデル化する。コンテキストエントリオブジェクトは、例えば、XPath言語のように、パスマッチングによりパス表現に基づいて検索される。
【0046】
包含とは、第1の空間と第2の空間との間にある関係のことである。包含は、第1の空間が第2の空間コンテキストの部分空間であることを意味する。
【0047】
コンテキスト空間ツリーモデルとは、ツリーグラフ構造を用いて、コンテキスト空間またはコンテキスト部分空間を表現したものである。
【0048】
コンテキスト空間変換とは、あるコンテキスト空間ツリーモデルの構造および内容を別のものに変換するメカニズムである。
【0049】
空間ピアとは、コンテキスト空間内の加入要素のことである。コンテキスト空間ピアは、分散ピアツーピア方式に基づいてコンテキスト空間に関連する情報を共有するためのアプリケーションメッセージングインタフェースプロトコルを実行する。関連するコンテキスト空間が仮想のミーティングポイントとしての機能を果たす空間ピアグループを形成するために、空間ピアは、共有されている関心事項(interests)に基づいて参加することができる。
【0050】
今までになされた説明をさらにわかりやすくするために、図2は、本発明によるコンテキスト空間ツリーグラフ構造の適用を示している。
【0051】
図2に関して、例えば、空間ピアは、図1に示されている空間の包含関係および階層における道路Bに存在する、サービスを受けるエンドユーザであると仮定することができる。
【0052】
したがって、図2に示されているように、完全なコンテキスト空間について図1に示さているコンテキスト空間ツリーグラフ構造を、内容に依存して変更したコンテキスト空間ツリーグラフ構造またはより小さいコンテキスト空間ツリーグラフ構造に変換することが提案される。ここでルートノードはもはや都市ではなく、道路Bである。本発明によれば、このステップは、一般的に、コンテキストアウェアアプリケーションによりコンテキスト空間から得られたビューに基づくコンテキスト空間ツリーグラフ構造の変換である。すなわち、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイムにおける空間ピアのコンテキストに基づくコンテキスト空間ツリーグラフ構造の変換である。
【0053】
本発明によれば、このツリーモデルに加えて、コンテキスト空間ツリーグラフ構造内のノードが選択されるために満たさなければならない条件を定義するために、ノードステップパターンまたはパス表現を適用することが提案される。明らかに、このようなパス表現によれば、パスを絶対的または相対的に表現することができる。また、上位階層による空間の包含は、絶対的または相対的なパス表現である、提供されたパス表現を考慮してパスマッチングにより表現することができる。ツリーモデルおよび関連するノードステップパターンの典型的な例は、本発明を限定するものではない単なる例として挙げると、ファイルツリー、HTML、XMLおよび関連するノードステップパターンであるXPath、正規表現、Unix(登録商標)シェルコマンドである。
【0054】
さらに図2に示されているように、また、以下詳細に説明するように、コンテキスト空間ツリーグラフの変換の後、コンテキスト空間ツリーグラフは、追加された情報を含むことができる。例えば、部屋Bに含まれている机Bである。この情報は、それまでの提供サービスから得ることができ、また、変換前の開始ポイント、例えば図1に示されているコンテキスト空間ツリーグラフ構造では表現されていなくてもよい。したがって、本発明によれば、その後に続く論理推論(logic inference reasoning)に備えて、サービス提供前に予め保存されたそれまでのパス表現を変換処理に適用することが提案され、その点について以下詳細に説明する。予め保存した情報を追加する同じ原理は、以下同様に説明するように、空間または関連する推論規則に対応する環境状態について利用することのできる情報に対して適用することができる。
【0055】
図1および図2に鑑みて、当然ながら、本発明による動的なランタイム動作を備えたコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境解析の方法は、包含関係を用いてコンテキスト空間に対するコンテキスト取得の実行に依存することが明らかとなる。これまで簡単に説明したように、これは、コンテキスト空間が複合的な階層の状態にあることを利用した継承インスタンス化により、コンテキスト空間の生成中に状態情報のオブジェクト指向パラダイムを適用することを可能にする。ここで、コンテキスト空間ツリーグラフ構造内の特定のノードに関して環境状態情報を得ることができなければ、空間に関する特定の動作または具体的な特徴は、より上位の階層に抽象化することによって取得することができるか、またはこのような動作および具体的な特徴をコンテキスト空間ツリーグラフ構造内のより下位の階層へ送ることにより取得することができる。
【0056】
図3は、上で簡単に説明した原理を、本発明によるコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境状態解析のための装置に適用した様子を示している。
【0057】
図3に示されているように、本発明に基づく環境状態解析のための装置は、環境状態解析推論ユニット12と、例えばコンテキスト空間ツリーグラフ構造、関連するパス表現および利用可能な情報に関する推論結果といった環境状態情報を記憶するためのキャッシュメモリ14とを備えている。
【0058】
図3に示されているように、ランタイムにおける環境状態解析推論ユニット12の入力は、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイムにおけるサービスに対して提供された会話ステートメントのような状態eである。状態eを解析した後に、コンテキスト空間から取得した空間コンテキストに対する一連のエントリオブジェクトとして、キャッシュメモリ14から状態cを取得する。さらに、状態cを解析した後に、知覚された環境状態に関して得られた特定のオペレーションに関連づけられ、予め記憶されたコンテキスト空間から取得された一連のノードステップパターンCが提供される。さらに、環境状態解析装置10に対してそれまでに提供されたものおよび関連する推論結果を含むコンテキスト空間に対する一連のエントリオブジェクトとして、推論Cがキャッシュメモリ14から取得される。これは、以下で説明するように、好ましくは実際的解釈(pragmatic interpretation)のための発話行為(speech acts)として表現することができる。
【0059】
本発明によれば、以下詳細に説明するように、ユーザがシステムと対話するための擬似自然形式言語を使用することが提案される。ここで自然とは、情報交換を容易にするために、言語の文法および語彙がシステムユーザの直感に追従するように構成されるということを意味している。それにもかかわらず、擬似自然言語の擬似という用語からわかるように、ユーザ対話を自動的に処理するための形式言語でもある。
【0060】
以下詳細に説明するように、擬似自然言語の構成要素は文法および語彙である。また擬似自然言語は、例えばコンテキスト空間内の任意の他のオブジェクトの場合と同じ環境取得規則に従うことにより、システムランタイムにおいて拡張することができる。
【0061】
上記を考慮すると、状態に対応する関連状態Cを特定し、環境状態解析装置により既に推論された、知覚された状態Eと、予め記憶されている状態Cについての関連するパス表現パターンCと、関連する推論結果である推論Cとが得られる。
【0062】
さらに、図12に示されている環境状態解析推論ユニット12は、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイムにおける動作に適応するために、論理推論により得られた情報に対して形式的自然言語推論(formal natural language reasoning)を適用する。したがって、本発明は、環境の知覚および収集、すなわち、例えばセンサによる環境の状態および属性の収集と、以下で説明する、データ通信による、収集された環境状態情報の配信および選択と、収集された環境状態情報による動的な動作を実現するコンテキストアウェアアプリケーションに対する適応メカニズムの適用とにより、ランタイムにおいてアプリケーション動作を決定および適応させるために、コンテキストアウェアアプリケーションが環境の状態および属性に関して取得された知識を使用できるようにする。
【0063】
図3に示されている環境状態解析推論ユニット12によって実行された推論の結果は、例えば擬似自然形式言語において文発話(sentence utterance)として表現される会話ステートメントであり、環境状態解析推論ユニット12によって返却される。さらに、推論の結果は、コンテキスト空間、導かれた会話ステートメントおよびコンテキスト空間に対する推論Dおよび変更された状態Dを考慮して新たに生成された状態情報である状態Dである。典型的な例は、例えば、新たに得られた状態情報である状態Eを考慮して、以下に説明する会話擬似自然言語を用いたユーザ対話により、新たな推論が論理推論において導かれることである。これは、推論結果として結果Rを提供するために、新たな状態およびパス表現パターンDをさらにもたらす。
【0064】
図4は、図3に示されている環境状態解析推論ユニットの動作を説明するフローチャートである。
【0065】
図4に示されているように、本発明に係る環境状態解析のための装置は、ステップS10において、包含関係を用いてコンテキスト取得を行う。任意的にパス表現が、取得されたコンテキスト空間の階層内の関連するノードを特定するために適用され、コンテキスト空間ツリーグラフ構造は、必要であればステップS12で変換することができる。最後にステップS14において、以下に説明する擬似自然会話言語を用いて推論が行われる。このステップも任意的なものであり、提供された環境状態を考慮した結論がコンテキスト空間において利用可能であれば、環境状態解析に基づいてキャッシュメモリ14は処理を行う。
【0066】
以下、これまでに概説した推論のコンセプトにおける、本発明に係る環境状態解析のより詳細な説明を、図5〜図7を参照して行う。
【0067】
まず、コンテキストエントリオブジェクトと、コンテンツオブジェクトと、論理オブジェクトと、空間オブジェクトという用語を以下に説明する。
【0068】
コンテキストエントリオブジェクトとは、空間ピアが観察する環境状態および関連する設定をモデル化するためのコンテンツオブジェクトと、所定の形の処理を行う論理オブジェクトと、考慮対象の空間コンテキスト内に含まれる部分空間に対する空間オブジェクトとのうちのいずれか1つである。コンテキスト空間は、そのコンテキスト空間内のコンテキストエントリオブジェクトに適合するテンプレートフィールドを使用する。
【0069】
次にデータ配信モデルについて説明する。空間コンテキストに関する、記憶されたコンテキストエントリオブジェクトを管理するための第1のオプションは、例えば中央制御ピアを介した集中化された管理である。空間コンテキストに関する、記憶されたコンテキストエントリオブジェクトを管理するための第2のオプションは、例えばブロードキャストおよびキャッシュを用いた、分散化された管理である。第3のオプションは、集中化された管理および分散化された管理を組み合わせたものである。
【0070】
コンテンツオブジェクトは、空間ピアが観察または知覚することのできる、何らかの関連する環境状態および環境設定である。換言すれば、コンテンツオブジェクトの役割は、コンテキスト空間上で実行されているコンテキストアウェアアプリケーションの基礎となる環境状態および環境設定を記録することである。
【0071】
論理オブジェクトはエントリであり、場合によっては、命令のスクリプト、コードまたはシーケンスである。これは、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおいて論理オペレーションを実行することを含み、動的な動作をもたらす。論理オブジェクトによって実行される典型的なタスクは、例えば条件をテストし、環境状態または環境設定を変更し、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおいて何らかのアクションを開始、実行または停止することである。
【0072】
空間オブジェクトは、コンテキスト空間によってモデル化された空間内に存在する全てのコンテキストエントリオブジェクトに対するコンテナとして機能する。コンテキスト空間は階層的なものであり、空間オブジェクトについても同じことが言える。
【0073】
上述したことを考慮して、図5は、本発明に係るコンテキストアウェアアプリケーションを支援するコンテキスト空間表現を示している。
【0074】
図5に示されているように、コンテキスト空間はコンテキスト空間ツリーグラフ構造として表現されており、様々なノードは、上述したようにコンテキスト空間および包含関係を表現している。環境内のそれぞれの空間は、ノードS1、S1.0、S1.1によりモデル化されている。空間S1.0およびS1.1は、空間S1の部分空間である。さらに部分空間は、包含オブジェクトC1.0を介して、外部空間S1にリンクしている。
【0075】
図5に示されているように部分空間S1.0に関して、環境状態に対して関連するオブジェクトが、コンテンツオブジェクトC1.0.0、論理オブジェクトL1.0.0およびL1.0.1として定義されている。コンテンツオブジェクトC1.0.0は、空間S1.0において提供されているセンサに対するモデルである。論理オブジェクトは、センサの起動、センサの読み込み、センサのターンダウンなどの、空間S1.0に関して提供される処理ステップを表している。
【0076】
図5に示されているように、1つのコンテンツオブジェクトC1.2.0および3つの論理オブジェクトL1.1.0、L1.1.1およびL1.1.2を有する空間S1.1に関しても、空間S1.0に類似したモデル化がなされている。
【0077】
さらに図5に示されているように、/S1/C1.0にマッチングする/S1/S1.0/C1.0、例えば空間オブジェクトS1.0に関する論理オペレーションを行うための/S1/S1.0/S1.0.0といったパス表現または同等のパスステートメントによってパスマッチングが行われることが明らかとなる。ここで、絶対的なパス表現は、外部空間のルート要素から開始する一方、相対的なパスステートメントは、コンテキスト空間ツリーグラフ構造における中間レベルの階層から開始することができる。図5に関してなされた説明を考慮して、包含関係に関するコンテキスト取得についての説明を、次のコンテキスト取得に基づいてさらに詳細に行うことができる。
【0078】
コンテキスト取得とは、コンテキスト空間の階層を考慮したパスマッチングによる、コンテキスト空間内のコンテキストエントリオブジェクトの評価である。パスマッチングは、包含を用いた絶対的なパス表現または相対的なパス表現によって、コンテキストエントリオブジェクトを特定することである。後者の場合、2つのデータ配信モデルすなわち集中化モデルおよび分散化モデルを用いて、空間コンテキストの階層内の空間オブジェクトの間においてピアツーピア形式で、論理オブジェクトを介して特定の動作を共有することができるか、またはコンテンツオブジェクトを介して特徴を共有することができる。したがって、コンテキスト取得は、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおいて包含を介してコンテキストエントリオブジェクト間で動的な動作を共有することを可能にするパラダイムである。
【0079】
図5に示されているコンテキスト空間に関連する別の側面は、コンテキスト空間表現の様々な要素間のインタフェースである。本発明によれば、これは、アプリケーションメッセージングインタフェースプロトコルを用いてピアツーピア方式で行われる。
【0080】
ここで、ピアツーピアシステムは、リソースを共有するために空間ピアを収集する分散型コンテキスト空間システムを生成するために、明らかにネットワークアドレス指定スキームを使用するシステムのクラスを一般に意味する。コンテキスト空間に参加する空間ピアは通常、対話メッセージを用いて、収集されたその他の空間ピアからのリソースを提供および消費する。典型的なピアツーピアシステムにより、空間ピアは、ピアグループ内で協調し、環境状態解析装置のリソースを発見できるようになる。
【0081】
さらに、アプリケーションメッセージングインタフェースは、空間ピアにインタフェースを提供し、ある特定のメッセージングプロトコルとは関係なくコンテキスト情報を共有および記憶することを可能にする。したがって、メッセージングの独立を決定することで、本発明による環境状態解析フレームワーク内で既存のネットワークプロトコルまたはトランスポートプロトコルを使用することが可能になる。
【0082】
さらに、本発明によれば、それぞれのコンテキスト空間は、空間ピアが関心事項に基づいて参加することができる空間グループオブジェクトを含むことができる。本発明によれば、空間グループオブジェクトを単に空間と呼び、この空間は、ピアグループに参加する空間ピアの仮想的なミーティングポイントとみなすことができる。空間グループオブジェクトには、空間ピアが関心事項に基づいて参加する。
【0083】
さらに、本発明によれば、コンテキスト空間内の全ての空間におけるそれぞれの空間ピアは、コンテキスト空間内のメッセージ配信およびオペレーションに使用する固有の名前を持っていなければならない。本発明によれば、空間ピアに対する特定の名前生成アルゴリズムを決める必要はないが、論理環境状態解析システムに対しては、固有の下層プロトコル識別子もしくはアドレスから固有の名前を取得するか、またはW3Cユニバーサルリソース名を使用することが推奨される。
【0084】
上述したことに加えて、コンテキスト空間内に記憶されているコンテキストエントリオブジェクトは、集中的に管理、すなわち単一の主要な空間ピアの制御の下で管理することができるか、または分散的に管理、すなわちコンテキスト空間のランタイムオペレーションに依存して、全ての空間ピアのいずれかによりブロードキャストおよびキャッシュすることができる。データ配信について2つのモデルのオペレーションを支援することは、持続性空間ピア(persistence space peer)として定義されているか、または単なる空間ピアとして定義されている空間ピアの役割を必要とする。前者の場合、持続性空間ピアは、コンテキスト空間内のコンテキストエントリオブジェクトに対して集中化された持続性サービス(persistece service)を管理する。持続性空間ピアを使用することで、システムの信頼性および堅牢性を増加させる。後者の場合、単なる空間ピアは、信頼性および管理性が低下する代償として、柔軟性が増加し管理性が減少する非持続性空間ピアである。
【0085】
以下、空間ピア間で情報を交換するためのアプリケーションメッセージングインタフェースについて詳細に説明する。空間ピアは、アプリケーションインタフェースメッセージを介し、協調してコンテキストエントリオブジェクトを共有および記憶するために、抽象化メカニズムとして空間を使用する。
【0086】
それぞれのアプリケーションメッセージングインタフェースメソッドおよび生成されたXMLメッセージエンベロープを以下のように定義する。
【0087】
アプリケーションメッセージングインタフェースメソッドは、空間内のコンテキスト状態情報を更新するために空間ピア、例えば空間内のセンサにより使用される。以下で説明するように、これらは、関連するパス表現によって指定される特定のトピックに基づいて、コンテキスト空間から関連するコンテキスト情報を取得するコンテキストアウェアアプリケーションによって使用される。
【0088】
まず、このようなメッセージは、コンテキストエントリオブジェクトを、特定の値を持つ空間に書き込むために用いるwriteメソッドである。トランザクションの使用は、情報を処理するために、集中化された持続性空間ピアツーピアを必要とする。トランザクションに必要なものが提供されない場合、コンテキストエントリは、現在の空間内の全ての空間ピアに対して分散して表される。レスポンスは生成されない。
【表1】

【0089】
さらなるメソッドは、パス表現に基づいて、マッチングしたコンテンツエントリオブジェクトを空間から読み込むために使用するか、または論理エントリオブジェクトを実行するために使用するreadメソッドである。マッチングが見つからなければ、存在が確認できるか、またはタイムアウトするまで、readメソッドはブロックする。
【表2】

【0090】
さらにreadallメソッドが、パス表現に基づいて、マッチングした全てのコンテンツエントリオブジェクトをコンテキスト空間から読み込むか、または全ての論理エントリオブジェクトを実行するために使用できる。マッチングが見つからなければ、readallメソッドは、存在が確認できるか、またはタイムアウトするまでブロックする。
【表3】

【0091】
さらに、readifexistsメソッドが、パス表現に基づいて、マッチングしたコンテンツエントリオブジェクトをコンテキスト空間から読み込むか、または論理エントリオブジェクトを実行するために使用できる。readifexistsメソッドは、ブロックをせず、定められたタイムアウトは、トランザクション内でのみ関連性を有する。
【表4】

【0092】
さらに、takeメソッドが、パス表現に基づいて、マッチングした任意のコンテキストエントリオブジェクトをコンテキスト空間から削除するために使用する。マッチングが見つからなければ、takeメソッドは、存在が確認できるかまたはタイムアウトするまでブロックする。集中化された持続性サービスの使用は、信頼性のあるサービスには必須要件である。なぜなら、ブロードキャストまたはキャッシュのうちのいずれかまたは両方を使用しているときには、削除が保証できないからである。
【表5】

【0093】
さらに、takeifexistsメソッドが、存在が確認できるまでブロックすることなく、パス表現に基づいて、マッチングコンテキストブジェクトエントリをコンテキスト空間から削除するために使用できる。集中化された持続性サービスの使用は、信頼性のあるサービスには必須要件である。なぜなら、ブロードキャストおよびキャッシュを使用している場合は、削除が保証できないからである。
【表6】

【0094】
さらに、notifyメソッドは、呼び出し元がパス表現に基づいてリモートイベントを登録することのできるイベントモデルに対するインタフェースを提供する。コンテキストエントリオブジェクトが、パス表現にマッチングするようにコンテキスト空間に書き込まれている場合、リスナーの所与のリストが、イベントオブジェクトの評価により通知される。
【表7】

【0095】
上述したことを考慮すると、コンテキスト空間アプリケーションメッセージングインタフェースを用いた動的コンテキストアウェアアプリケーションの構築は、共有かつ記憶されたコンテキストエントリオブジェクトに大きく依存する。上述したように、コンテキストエントリオブジェクトは、パスマッチング、例えば空間およびマッチングするコンテキストエントリを特定するXTat高級言語によるパス表現を用いて、コンテキスト空間内で検索される。
【0096】
上述したことを考慮して、本発明によれば、コンテキスト空間をアーキテクチャフレームワークとして使用することは、包含を用いて、論理オブジェクトを介して特定の動作を共有するか、またはコンテキストブジェクトを介して特徴を共有するためのメカニズムを意図するものである。コンテキスト空間ベースのコンテキスト取得は、その他のフレームワークとは異なる。なぜなら、コンテキスト空間は、記憶されたコンテキスト情報を、コンテキストエントリオブジェクトを介して分散化した空間ベースの情報システム間で共有するために、分散化または集中化された2つのデータ配信モデルを用いたピアツーピアモデルによって支援されるパス表現に基づいて、コンテキストエントリオブジェクトをマッチングさせるからである。
【0097】
コンテキスト空間アーキテクチャフレームワーク内のコンテキスト取得は、アプリケーションメッセージングインタフェースメソッドに送られたパスステートメントを介して、含まれている空間オブジェクトから、コンテンツブジェクトを動的に取得するか、または現在の空間オブジェクトに存在しない論理オブジェクトを呼び出すために使用する。
【0098】
アプリケーションメッセージングインタフェースとさらに情報を交換するための別のメカニズムは、上で簡単に説明したように、本発明に係る会話擬似自然言語を適用することである。この会話擬似自然言語は、環境状態解析装置に情報を提供するために使用することができるか、または環境状態解析装置が書き込んだ結果を提供するために使用することができる。
【0099】
本発明に係る会話擬似自然言語DPNLは、提案されたシステム内の論理推論を可能にすることに基づいて、限られたドメイン知識ベースの構成を容易にするために使用される形式的知識表現言語である。
【0100】
会話擬似自然言語の構成要素は、知識空間、文法、語彙および論理処理アルゴリズムを含むことに注意しなければならない。論理処理アルゴリズムを除いて、様々なシステムにおける会話擬似自然言語の構成要素についての全てのインスタンスは、現在のコンテキスト空間に関して相対的なものである。
【0101】
さらに、論理処理アルゴリズムを除けば、会話擬似自然言語の構成要素のそれぞれのインスタンスは、オペレーション中に拡張できる基本的な一連の持続性要素を含む。例えば、文法規則MP−>ruleが、言語の基本的な一連の文法規則内に存在しなければ、一連の規則は、MP−>realを含むように現在のコンテキスト空間内で拡張することができる。さらに、全ての言語特性の拡張は、空間内のその他のコンテキストエントリオブジェクトと同じ環境取得の規則に従う。
【0102】
上述したことを考慮すれば、会話擬似自然言語に基づいたネゴシエーションは、情報の意図的な交換、または、ボキャブラリと呼ばれる一般的なシンボル、メッセージまたは音声の共有システムである。さらに、定義された文法を用いた言語メッセージの交換は、発話行為と呼ばれる。
【0103】
会話擬似自然発話行為を説明する前に、以下のように定義を行う。
【表8】

【0104】
本発明によれば、会話擬似自然言語の発話行為は、関連するメソッドにより環境状態解析装置との通信を可能にする。ユーザは、合成(synthesis)を用いて命題Pを発声として生成することにより環境状態装置と対話する。
【0105】
環境状態解析システムは、現在の状況において知覚した発声に基づいて、命題Pの意味を推論することができると考えられる。環境状態解析装置とユーザとの間の合成は、発話認識ソフトウェアまたはネットワーク媒体を使用する場合、空気中の振動を介して行うことができるが、この形態は本発明の範囲を限定するものではない。
【0106】
本発明によれば、会話擬似自然言語は、以下の5つの発話行為を支援する。
【表9】

【0107】
以下、会話擬似自然言語を形式的に規定する規則の集合体である会話擬似自然文法について説明する。この文法は、会話擬似自然言語が、文の書き方を最初に制限する基本文法に依存する形式言語であるということを表す。
【0108】
さらに、会話擬似自然言語に関する基本的な一連の文法規則は、全ての空間に存在する。それにもかかわらず、本発明によれば、一連の文法規則がサイズおよび構成に関して静的なものである必要はない。換言すれば、一連の文法規則は、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中に拡張することができる。一連の文法規則は、以下のBackus−Naur形式で表現することができる。
【表10】

【0109】
基本的な一連の文法規則に加えて、会話擬似自然言語の定義は、全ての空間内に存在する基本的な語彙を提供する。さらに本発明によれば、基本的な語彙が、サイズおよび構成に関して静的なものである必要はなく、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中に柔軟性を持つことができる。会話擬似自然言語のための基本的な語彙の一例は、以下のBackus−Naur形式に基づいて与えられる。
【表11】

【0110】
上述したことを考慮すると、概説した、コンテキスト空間を用いたコンテキスト空間の表現の例、さらには最終的な関連する表現としての会話擬似自然言語の例が、図1および図2に示されている例を考慮して与えられる。ここで、都市がMunichであり、道路がLandsberger Strasse 312であり、部屋がRoom R18であるとする。
【表12】

【0111】
上述したことを考慮すると、図6は、図3に示されている環境状態解析のための装置の詳細な図である。
【0112】
図6に示されているように、環境状態解析推論ユニット12は、環境状態取得解析ユニット12−1と、パス表現およびコンテキスト空間ツリーグラフ構造変換ユニット12−2と、論理推論ユニット12−3とを備えている。
【0113】
図6に示されているように、様々なサブユニット12−1〜12−3は、対応するデータベース、すなわち、環境状態データベース14−1と、パスパターンデータベース14−2と、推論データベース14−3とにそれぞれ接続されている。
【0114】
さらに、図6に示されているように、図6に示されている様々なサブユニットおよびデータベースのオペレーションの協調は、コントローラ16により行われる。
【0115】
環境状態取得解析ユニット12−1は、環境状態データベース14−1内の環境状態データの取得および適切な知識表現を行う。ここで、データベース14−1は、知識表現言語に関連した一連の文を用いて表現されている。文は、知覚された環境、すなわち会話のトピックまたは一部の地域である、知覚されたドメインに関する宣言を表す。環境状態取得解析ユニット12−1によって実行される知識ベースの構築の一般的な処理は、知識工学と呼ばれ、限られたコンテキストベースのための特定用途の知識ベースを構築するのに適している。さらにコンテキスト空間を伴う会話擬似自然言語の使用により、コンテキスト空間への入力および実行の際に、それぞれ知識を取得および解放することを可能になる。
【0116】
知識表現および知識表現の構築の詳細な説明を以下で行う。
【0117】
知識表現は、知識表現言語によって表現された一連の文を用いてなされる。本発明によれば典型的にはコンテキスト空間または関連するコンテキストエントリオブジェクトのうちのいずれかまたは両方に基づいて、文は知覚されたドメインに関する宣言を表現する。最も一般的には、知識表現におけるドメインは、会話のトピックまたは一部の地域である。
【0118】
知識表現の構築は、コンテキスト空間または同等なドメインが限られている特定用途の知識表現の構築に関係づけられる。構築段階は、典型的に6つの下位段階に分けられる。
(1)コンテキスト空間の設定:これは、コンテキスト空間に関する知識を集め、例えば、コンテキスト空間の包含関係、さらにはコンテキストエントリオブジェクトに関する知識を特定し、例えばセンサを用いて、環境状態および環境設定を取得する。
(2)知識解析:これは、コンテキスト空間をセンサ情報および関連する規則として読み取り、センサ情報を環境設定に変換する。
(3)知識符号化:知識は文に符号化され、知識ベースは、前向き連鎖(forward chaining)および後向き連鎖(backward chaining)を用いて更新される。
(4)インスタンス符号化:インスタンスに関連する知識、例えば空間オブジェクトまたはコンテンツオブジェクトといったコンテンツエントリオブジェクトは、知識ベースに追加され、この知識ベースは、前向き連鎖および後向き連鎖を用いて更新される。
(5)発話行為の受け入れ:発話行為は、定義された文法を用いてメッセージを交換することである。発話行為は、結果を導出するために論理的な推論手順をトリガする。
(6)知識ベースの精緻化:これは、コンテキスト空間についてのさらに詳細な説明のためにさらなる文を追加し、前向き連鎖および後向き連鎖を用いて知識ベースを更新する。
【0119】
環境状態に関する知識表現が、上で概説したように構築されたものとすると、次のステップは、コンテキスト空間ツリーグラフ構造を変換し、上で概説したようにパス表現を適用することである。
【0120】
ここで、パスの曖昧さを解決するために、パス表現およびツリー変換ユニットを効率的に使用することができる。このオペレーションは、上で概説したようになされる。一例は、絶対的なパス、
/Munich/Landsberger Strasse 312/
Room R18/Temperature
を提供することである。これは、
/Munich/Landsberger Strasse 312/
Room R18/Desk 1/Temperature
に基づいて取得パスに変換することができる。
【0121】
さらなる例では、
path/Munich/Landsberger Strasse 312/
Wolfgang
を提供することができる。これは、その後、関連する状態情報、例えば、Wolfgangが存在するかどうかを記憶するために、パスマッチングにより、
/Munich/Landsberger Strasse 312/
Room R18/Desk 1/Wolfgang
に変化させることができる。
【0122】
さらに、図6に示されているように、本発明による状態解析のさらなるオペレーションが、結論を導出して結果を返却するために推論すなわち論理推論を行う論理推論ユニット12−3によってなされる。本発明によれば、推論は、言語メッセージ、およびユーザ対話のための発話行為の導入の支援を使用することができる。
【0123】
ここで、会話擬似自然言語の論理推論は、一階論理(first order logic)としても知られている、標準的な一階述語計算器(first order predicate calculators)を利用する。一階論理は、コンテキスト空間における知識および推論発見のための宣言論理メカニズムである。一階論理を用いて、知識取得と推論とは分離され、推論はコンテキスト空間に依存するものとなる。
【0124】
一階論理に適用される標準的な推論規則を用いることにより、推論を行うための前向き連鎖アルゴリズムまたは後向き連鎖アルゴリズムを用いて、含意(entailment)を決定することができる。前向き連鎖は、新しい推論規則ひいては新しい結論を導出しようとする際に、知識ベースから開始して前向きに作用する標準的な推論規則である。さらに後向き連鎖は、目的から開始して推論規則を導出しようとする標準的な推論規則であり、目的の達成を可能にする。
【0125】
以下において、会話擬似自然言語の一般的なアルゴリズムが、前向き連鎖推論および後向き連鎖推論を組み合わせるために表現される。しかしながら、このような一般的なアルゴリズムの提示は、単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【表13】

【0126】
上で簡単に説明したように、本発明は、特定の種類の論理推論に限定されるものではなく、将来の何らかのアクションを計画し目的に到達するために、競合するオプションに対する矛盾する考察事項の重み付けを行うために任意の推論を実行することができる。さらなる典型的な例は、手段目的の決定、検討(deliberation)または意図的なシステムのうちの少なくとも1つである。さらなる限定は、規則ベースの推論システムを置くことであり、このシステムにおいては基本的な規則が、利用可能となり、一連のプレ条件を提供する結果をどのようにして得るかに関する指示を提供する。規則ベースのシステムの場合、インタプリタには、後向き連鎖の場合は最終的な目的が提供され、前向き連鎖の場合はデータが提供され、推論システムは、最終的な目的を達成し仮説を完結するために、規則を見つけ出そうとする。さらに別の例は、システムの分類としてのプランベースのシステムである。このシステムにおいては、基本的なアクションは、所与の目的をどのようにして達成するかを詳細に記述するプランへとプリアセンブルされる。これらのシステムは、規則ベースのシステムよりも柔軟性に欠けるものの、例えば協調的な対話のための対話プロトコルに基づいて、特定の目的を達成するための特定の種類の基本的なステップを使用するので、より効率的なものとなる。
【0127】
図7は、環境状態解析装置のオペレーションのフローチャートである。具体的には、図6に示されているコントローラ16の制御下において行われるステップのフローを示している。
【0128】
図7に示されているように、最初にステップS16において、環境状態取得解析ユニット12−1により、考慮対象のコンテキスト空間内の包含関係およびコンテキストエントリオブジェクトの特定が実行される。そして、ステップS18において、発見された知識は、同じユニットによって知識表現言語に変換される。このような変換は、図6に示されているパス表現およびツリー変換ユニット12−2のオペレーションに関連付けることができる。
【0129】
図7に示されているように、コンテキストアウェアアプリケーションのオペレーション中に、コントローラ16は、環境状態取得解析ユニット12−1とともにコンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中にさらなる知識または推論のうちのいずれかまたは両方が利用可能となっているかどうかを継続的に評価する。利用可能であれば、ステップS22において、知識表現または推論表現のうちのいずれかまたは両方は拡張され、それに続いてコントローラ16により、コンテキストアウェアアプリケーションを終了するかについての判断が行われる。終了しない場合、手順は分岐してコンテキストアウェアアプリケーションを続行し、そうでない場合、コンテキストアウェアアプリケーションは終了する。
【0130】
上述したことに加えて、知識表現の拡張は、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中にさらなる文を知識表現言語に付加すること、または、前向き連鎖または後向き連鎖のうちのいずれかまたは両方による知識ベースの更新と組み合わせた知識ベースの精緻化により行われることに注意すべきである。
【0131】
上述したことを考慮すれば、本発明は、環境状態解析装置およびコンピュータシステム内に実装される、関連する方法を提供することが明らかとなる。この環境状態解析装置および関連する方法は、知覚された環境の状態および設定に関連した取得、変換および推論を用いて環境状態を解析することで、アプリケーションランタイム動作の適応および変更のためのコンテキストアウェアアプリケーションを発展させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明に基づく知識取得のための包含関係の適用を示す図である。
【図2】本発明に基づくコンテキスト空間ツリーグラフ構造によるパス表現および変換の適用を示す図である。
【図3】本発明に基づくコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境状態解析の装置の概略図である。
【図4】図1に示されている環境状態解析推論ユニットのオペレーションを示すフローチャートである。
【図5】本発明に基づくコンテキストアウェアアプリケーションを支援するコンテキスト空間表現を示す図である。
【図6】図3に示されているコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境状態解析の装置のより詳細な図である。
【図7】図5に示されている環境状態解析の装置のオペレーションを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的なランタイム動作を伴うコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境解析の方法であって、
ある環境は、該環境内のいくつかの空間の間における空間ベースの包含関係を表現するコンテキスト空間によってモデル化されるものであり、
前記包含関係を用いて、前記コンテキスト空間に対してコンテキスト取得を実行するステップと、
ユーザ対話のための形式的擬似自然言語を用いて、コンテキスト取得中に入出力処理を実行するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記入出力処理は、コンテキストクエリと、コンテキストアサーションと、コンテキスト表現とのうちの少なくとも1つに関するコンテキスト取得中に実行されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ユーザ対話のための前記形式的擬似自然言語を用いて、変換の結果について推論を行うステップを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記擬似自然言語の構成要素は、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中に拡張可能な文法および語彙である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記変換の結果についての推論は、提供された環境状態とコンテキスト空間内の知識表現に基づく利用可能な知識とに基づくものである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記コンテキスト空間内の知識表現から得ることのできる知識は、少なくともそれまでの環境状態と、対応するそれまでの推論結果とに関連するものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
推論結果または環境状態のうちのいずれかまたは両方を、コンテキスト空間内の知識表現に対してフィードバックするステップを含む請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
環境の空間の間における包含関係は、環境の空間内の階層を表現するものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
環境の空間内の前記階層は、コンテキスト空間ツリーグラフ構造を用いて表現されるものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
環境内の空間は、環境状態をモデル化するためのコンテンツオブジェクトと、所定の形の処理を行う論理オブジェクトと、考慮対象の空間内に含まれる部分空間に対する空間オブジェクトとのうちの少なくとも1つを表現するコンテキストエントリオブジェクトによってモデル化されるものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテンツオブジェクトは、関連する空間内で観察することのできる、関連する環境状態をモデル化するものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記論理オブジェクトは、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおいて、論理オペレーションを実行することができるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記論理オブジェクトは、スクリプト、コードまたは命令のシーケンスである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記論理オブジェクトは、条件のテストと、環境状態の変化と、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおける関連する空間内のアクションの開始、実行もしくは停止とを実行するものである、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記空間オブジェクトは、関連する空間内の全ての部分空間に対するコンテナとして機能するものである、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
空間コンテキストのコンテキストエントリオブジェクトは、集中化された方式で管理されるものである、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
空間コンテキストのコンテキストエントリオブジェクトは、分散化された方式で管理されるものである、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
空間コンテキストのコンテキストエントリオブジェクトは、集中化された方式および分散化された方式を組み合わせて管理されるものである、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
環境をモデル化するコンテキスト空間内の情報の交換は、アプリケーションメッセージングインタフェースプロトコルによってピアツーピア方式で行われるものである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
包含関係を用いたコンテキスト取得は、空間コンテキスト内の少なくとも1つのコンテキストエントリオブジェクトを特定するためのパス表現と関連するパスマッチングとにより行われるものである、請求項9〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
パス表現は絶対的なパスを特定するものである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
パス表現は相対的なパスを特定するものである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
知識表現言語で表現された一連の文を用いてコンテキスト空間内の知識表現を構成するステップを含む請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記文は、知覚されたコンテキスト空間または関連するコンテキストエントリオブジェクトのうちのいずれかまたは両方に関する宣言を表現するものである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
特定用途の知識表現の構成は、コンテキスト空間の包含関係を特定するためのコンテキスト空間に関する知識と、コンテンツエントリオブジェクトに関する知識と、環境状態に関する知識とを収集するステップを含むものである、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
特定用途の知識表現の構成は、収集された知識をコンテキスト空間と互換性のある表現に変換するための規則を読み込むことにより、収集された知識を解析するステップを含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
知識を知識表現言語の文に符号化するステップを含む請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
知識ベースに追加するためのコンテンツエントリオブジェクトに関連する知識を符号化するステップを含む請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
知識ベースを精緻化するために、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中にさらなる文を知識表現言語に追加するステップを含む請求項23〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前向き連鎖および後向き連鎖によって知識ベースを更新するステップを含む請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
コンテキストアウェアアプリケーションによりコンテキスト空間から得られたビューに基づいてコンテキスト空間ツリーグラフ構造を変換するステップを含む請求項9〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
動的なランタイム動作を伴うコンテキストアウェアアプリケーションを支援する環境解析のための装置であって、
環境内のいくつかの空間の間における空間ベースの包含関係を表現するコンテキスト空間として環境モデルをモデル化する環境状態モデル化ユニットと、
前記包含関係を用いて環境コンテキストを取得するコンテキスト取得ユニットであって、ユーザ対話のための形式的擬似自然言語を用いて、コンテキスト取得中に入出力処理を実行するコンテキスト取得ユニットと
を備える装置。
【請求項33】
前記コンテキスト取得ユニットは、コンテキストクエリと、コンテキストアサーションと、コンテキスト表現とのうちの少なくとも1つに関するコンテキスト取得中に入出力処理を実行するものである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
ユーザ対話のための形式的擬似自然言語を用いて、変換の結果について推論を行う論理推論ユニットを備える請求項32または33に記載の装置。
【請求項35】
論理推論ユニットは、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中に拡張可能な擬似自然言語の構成要素である文法および語彙を処理するものである、請求項32〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記論理推論ユニットは、提供された環境状態とコンテキスト空間内の知識表現に基づいて利用可能な知識とに基づいて、変換の結果について推論を行うものである、請求項34または35に記載の装置。
【請求項37】
前記論理推論ユニットは、コンテキスト空間内の知識表現に基づいて利用可能な知識が、少なくともそれまでの環境状態または対応するそれまでの推論結果のうちのいずれかまたは両方に関連するものとなるように処理するものである、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記論理推論ユニットは、推論結果または環境状態のうちのいずれかまたは両方を、コンテキスト空間内の知識表現にフィードバックするものである、請求項36または37に記載の装置。
【請求項39】
前記環境状態モデル化ユニットは、環境内の空間の間における包含関係を、環境内の空間の階層として表現するものである、請求項32〜38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記環境状態モデル化ユニットは、コンテキスト空間ツリーグラフ構造を用いて環境内の空間の階層を表現するものである、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
環境状態メモリユニットを備え、
前記環境状態モデル化ユニットは、前記環境状態メモリに記憶されているコンテキストエントリオブジェクトにより、環境内の空間をモデル化するものであり、
前記コンテキストエントリオブジェクトは、環境状態のモデルとしてのコンテンツオブジェクトと、空間内の所定の形の処理としての論理オブジェクトと、考慮対象の空間に含まれる部分空間の表現としての空間オブジェクトとのうちの少なくとも1つを表現するものである、
請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記環境状態モデル化ユニットは、関連する空間内で観察可能な関連する環境状態を、コンテンツオブジェクトへとマッピングするものである、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記環境状態モデル化ユニットは、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおける論理オペレーションを、論理オブジェクトへとマッピングするものである、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記論理オブジェクトは、スクリプト、コードまたは命令のシーケンスである、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記論理オブジェクトは、条件のテストと、環境状態の変化と、コンテキスト空間上で実行されているアプリケーションのランタイムにおける関連する空間内のアクションの開始、実行もしくは停止とに関連するものである、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
前記環境状態モデル化ユニットは、所与の空間内の部分空間を、部分空間に対するコンテナとして機能する空間オブジェクトへとマッピングするものである、請求項41に記載の装置。
【請求項47】
空間コンテキスト内のコンテキストエントリオブジェクトを集中化された方式で管理する制御ユニットを備える請求項32〜46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項48】
空間コンテキスト内のコンテキストエントリオブジェクトを分散化された方式で管理する制御ユニットを備える請求項32〜46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
空間コンテキスト内のコンテキストエントリオブジェクトを集中化された方式および分散化された方式を組み合わせた方式で管理する制御ユニットを備える請求項32〜46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項50】
環境状態メモリユニットは、アプリケーションメッセージングインタフェースプロトコルにより、異なるコンテンツエントリオブジェクト間の情報の交換をピアツーピア方式で行うものである、請求項32〜49のいずれか一項に記載の装置。
【請求項51】
空間コンテキスト内の少なくとも1つのコンテキストエントリオブジェクトを特定するためのパス表現と関連するパスマッチングとにより、包含関係を用いてコンテキスト取得を行うパス表現ユニットを備える請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記パス表現ユニットは、パス表現を絶対的なパスとして特定するものである、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記パス表現ユニットは、パス表現を相対的なパスとして特定するものである、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
環境状態取得ユニットは、知識表現言語で表現された一連の文を用いて、コンテキスト空間内の知識表現を構成するものである、請求項32〜53のいずれか一項に記載の装置。
【請求項55】
文は、知覚されたコンテキスト空間または関連するコンテキストエントリオブジェクトのうちのいずれかまたは両方に関する宣言を表すものである、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記環境状態取得ユニットは、コンテキスト空間内の包含関係を特定するためのコンテキスト空間に関する知識と、コンテンツエントリオブジェクトに関する知識と、環境状態に関する知識とを収集するものである、請求項54または55に記載の装置。
【請求項57】
前記環境状態取得ユニットは、収集された知識をコンテキスト空間と互換性のある表現に変換するための規則を読み込むことにより、収集された知識を解析するものである、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記環境状態取得ユニットは、知識を知識表現言語の文へと符号化するものである、請求項56または57に記載の装置。
【請求項59】
前記環境状態取得ユニットは、知識ベースを拡張するために、コンテンツエントリオブジェクトに関連する知識を符号化するものである、請求項54〜58のいずれか一項に記載の装置。
【請求項60】
前記環境状態取得ユニットは、知識ベースを拡張するために、コンテキストアウェアアプリケーションのランタイム中にさらなる文を知識表現言語に追加するものである、請求項54〜58のいずれか一項に記載の装置。
【請求項61】
前記環境状態取得ユニットは、前向き連鎖および後向き連鎖により知識ベースを更新するものである、請求項58〜60のいずれか一項に記載の装置。
【請求項62】
コンテキストアウェアアプリケーションによりコンテキスト空間から得られたビューに基づいてコンテキスト空間ツリーグラフ構造を変換する変換ユニットを備える請求項40〜61のいずれか一項に記載の装置。
【請求項63】
環境状態解析プロセッサの内部メモリに直接ロード可能なコンピュータプログラム製品であって、環境状態解析プロセッサ上で、請求項1〜30のいずれか一項に記載のステップを実行するためのソフトウェアコード部分を含むコンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−534068(P2007−534068A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508732(P2007−508732)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004226
【国際公開番号】WO2005/104028
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)