説明

環境監視支援装置

【課題】 大気汚染に関係する汚染監視項目の大気汚染状態を多面的、かつ視覚的に監視することにある。
【解決手段】 プラント施設から大気汚染に関係する大気汚染関係データを取り込んで蓄積するデータ蓄積手段33dと、大気汚染に関係するキーワードデータを登録するキーワード登録手段35Aと、複数の汚染監視項目データ及び当該各汚染監視項目データに関連する入出力関連項目データを管理する汚染関係項目データ管理テーブル33a1と、この管理テーブル33a1から登録された各キーワードデータと対応関係にある汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを順次抽出する監視項目データ抽出手段35Bと、この抽出された各汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを、予め設定された初期汚染防止監視画面に所定の順序で順次登録していくことで汚染防止監視画面を作成する監視画面作成処理手段35Cとを備えた環境監視支援装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、環境監視支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プラント、紙パルプ製造プラントなど各種産業分野におけるプラント施設では、当該プラント施設から排出される大気汚染物質の排出量や濃度を監視するために監視装置が設置されている。
【0003】
例えば、近年の半導体製造プラント施設では、半導体素子の高集積化に伴い、製造工程における塵埃による汚染の制御、大気中に含有される微量の汚染物質の制御が必要となる。そのため、大気中に含有する微量の汚染物質を連続して監視するために監視装置の設置が不可欠となっている。
【0004】
また、プラント施設の中には、化石燃料などを燃焼して得られる蒸気・温水等を用いて自家発電を行う自家発電ボイラーと、化石燃料などの燃焼等により発生する排気ガスから窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)を除去する例えば排煙脱硫装置を含む浄化装置とを設けているが、このようなプラント施設においても監視装置が設置されている。
【0005】
ところで、大気汚染防止法においては、浄化装置を備えたプラント施設などのばい煙排出者に対し、一定の義務付けを行っている。すなわち、大気汚染防止法によれば、ばい煙排出者に対し、プラント施設から排出される汚染物質量又は汚染物質濃度を測定し、その測定結果を記録し地方自冶体に報告する義務を課している。
【0006】
そこで、従来の監視装置は、プラント施設から排出される汚染物質量又は汚染物質濃度などの汚染物質排出値を測定してファイリングし、当該汚染物質排出値が監視上限値(排出基準値)を超えそうになったとき、監視者が施設全般を考慮しつつ燃料の燃焼方法を検討するとか、ばい煙発生元なる機器の運転能力を低下させたり、一時的に停止させるなどの処置を講じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−167977号公報
【特許文献2】特開2010−102589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、以上のような監視装置では、汚染物質量又は汚染物質濃度などの汚染物質排出値が監視上限値を超えそうになったとき、監視者が始めて必要な対策ないし処置を講じている。
【0009】
その結果、監視者が対策ないし処置を講じている過程において、汚染物質排出値が監視上限値を超えてしまい、大気汚染防止法の義務規定に違反するとか、製品の生産性を低下させたり、施設自身の製造製品の品質にも影響を与える問題がある。
【0010】
そこで、本環境監視支援装置は、大気汚染に関係する複数の汚染物質やプラント設備機器の運転状態など多面的に汚染監視項目を可視化表示し、大気汚染の状態が監視上限値を超えないように視覚的、予測先行的に把握可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、実施形態によれば、プラント施設から大気汚染に関係する大気汚染関係データを取り込んで蓄積するデータ蓄積手段と、前記プラント施設から排出される大気汚染に関係するキーワードデータを登録するキーワード登録手段と、複数の汚染監視項目データ及び当該各汚染監視項目データに関連する入出力関連項目データを記憶管理する汚染関係項目データ管理手段と、この汚染関係項目データ管理手段から前記登録された各キーワードデータと対応関係にある汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを順次抽出する監視項目データ抽出手段と、この抽出された各汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを、予め設定された初期汚染防止監視画面に所定の順序で順次登録していくことで汚染防止監視画面を作成する監視画面作成処理手段とを備えた環境監視支援装置である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本環境監視支援装置の一実施形態を示す全体構成図。
【図2】汚染関係項目データ管理テーブルのデータ配置例を示す図。
【図3】登録するキーワードデータの例を示す図。
【図4】環境監視支援処理部の機能構成を示すブロック図。
【図5】環境監視支援処理部によって大気汚染キーワード登録画面を作成する処理手順を説明するフロー図。
【図6】作成された大気汚染キーワード登録画面の一例を示す図。
【図7】環境監視支援処理部によって大気汚染防止監視画面を作成する処理手順を説明するフロー図。
【図8】作成された大気汚染防止監視画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は一実施形態に係る環境監視支援装置を含む環境監視支援システムの全体構成を示す概念図である。
【0014】
この環境監視支援システムは、工場,事業所等に設置されるプラント施設1にLAN,WAN等の通信ネットワーク2を介して環境監視支援装置3が接続される。
【0015】
プラント施設1は、各種燃料の燃焼や製品の製造過程等において大気汚染物質を発生するプラント設備11の他、少なくとも大気汚染の関係するデータを取り込んで送信する例えばPLCなどの簡易なコントローラ12が設けられている。
【0016】
プラント設備11としては、少なくとも化石燃料などの燃焼等によって発生する排気ガスあるいは施設内の製品製造の過程で取り扱う揮発性有機化合物その他の環境有害物質の飛散または蒸発する蒸発ガスを浄化する浄化装置13や大気汚染に関係する物質の排出量または排出濃度(以下、大気汚染関係データと総称する)を測定する例えばNOx計,SOx計等の測定装置14a,14b,…が設置される。
【0017】
コントローラ12は、所定の周期または環境監視支援装置3からのデータ収集指示に従い、各種の測定装置14a,14b,…やプラント設備機器から大気汚染関係データを取り込み、測定装置14a,14b,…やプラント設備機器のID(機器識別データ)及び測定時刻データとともに環境監視支援装置3に送信する。
【0018】
なお、コントローラ12は、大気汚染に関係するものであれば、特定の物質でなくても、例えば大気汚染に関係するプラント配管を流れる流量や圧力であっても、大気汚染関係データとして測定し収集する。
【0019】
環境監視支援装置3は、例えばプラント施設1内または当該プラント施設1近傍あるいはプラント施設1から離れた遠方の何れかに設置され、プラント施設1から排出される大気汚染関係データを多面的に視覚認識可能に監視する機能を有する。
【0020】
環境監視支援装置3は、モデム,ルータ等の通信部31、必要なデータや制御指令を入力するキーボードやポインティングデバイス(例えばマウス)などの入力部32、各種のデータを記憶する高記憶容量のハードディスクドライブなどのデータベース(補助記憶装置)33、各種のプログラムを記憶するROM等のプログラムデータ記憶部34、CPUで構成される環境監視支援処理部35及び表示部,印字部などを備えた出力装置36を含む構成である。なお、出力装置36は、以下説明の便宜上,表示部36と総称する。
【0021】
データベース33には、少なくとも汚染関係項目データ記憶部33a、キーワードデータ記憶部33b、画面データ記憶部33a、データ蓄積部33dが設けられている。
【0022】
汚染関係項目データ記憶部33aには、図2に示すように例えば大気汚染に関係する一般的な汚染関係項目データ及び特定のプラント設備機器の中の大気汚染に影響を与える機器特有の汚染関係項目データを配列する汚染関係項目データ管理テーブル33a1が設けられている。
【0023】
汚染関係項目データ管理テーブル33a1には、測定装置14a,14b,…やプラント設備機器に関するID、大気汚染に関係する汚染監視項目及び当該汚染監視項目に関連する例えば単位−現在値−監視上限値−監視下限値等の入出力関連項目のデータが配列され、さらに汚染監視項目となるプラント設備機器及び当該プラント設備機に関連する入出力関連項目として、例えば運転状況(運転/停止)に関する情報、運転累積時間、故障回数、故障上限回数等が配列されている。
【0024】
なお、ボイラーを備えているプラント設備11では、ボイラー生成熱量や蒸気流量が大気汚染に影響を与えるボイラー機器特有の汚染監視項目として非常に重要な要素となる。
【0025】
キーワードデータ記憶部33bは、予めプラント設備11から大気汚染に大きな影響を与えると思われるキーワードデータを登録しておく領域であって、例えば図3に示すように例えば測定装置14a,14b,…やプラント設備機器に関するIDに連なるようにNOx,SOx,ボイラー生成熱量,蒸気熱量等のキーワードデータが挙げられる。
【0026】
画面データ記憶部33cには、大気汚染に関係するキーワードデータを登録するための初期キーワード登録(編集)画面や大気汚染に関係するデータを表示するための初期大気汚染防止監視画面等の画面データの他、これら初期画面のもとに作成されるキーワード登録(編集)画面(図6参照)や大気汚染防止監視画面(図8参照)等の画面データが記憶される。
【0027】
さらに、データ蓄積部33dには、コントローラ12、通信ネットワーク2及び環境監視支援処理部35を介して、あるいはコントローラ12を経ることなく直接測定装置14a,14b,…やプラント設備機器、通信ネットワーク2及び環境監視支援処理部35を介して、汚染物質排出量又は汚染物質排出濃度等の大気汚染関係データを取り込み、ID、測定時刻データに従って時系列的に汚染物質排出量又は汚染物質排出濃度等の大気汚染関係データが順次蓄積していく。
【0028】
プログラムデータ記憶部34には、キーワード登録画面作成用プログラム及び大気汚染防止監視画面作成用プログラムなどが格納される。
【0029】
環境監視支援処理部35としては、機能的には図4に示すように、大気汚染に関係するキーワードデータを登録するキーワード登録手段35Aと、この登録されたキーワードデータに従って汚染関係項目データ管理テーブル33a1の全汚染関係項目データから汚染監視項目及び当該汚染監視項目に関連する入出力関連項目を抽出する汚染監視関連項目抽出手段35Bと、抽出した汚染関連項目を用いて大気汚染監視画面を作成する監視画面作成処理手段35Cとが設けられ、さらに、必要に応じて大気汚染監視画面を編集処理する画面編集処理手段35Dが設けられる。
【0030】
次に、以上のような環境監視支援システムの作用について説明する。
【0031】
(1) 大気汚染関係データの蓄積処理について。
【0032】
現場側のコントローラ12は、所定の周期(例えば制御周期,演算周期)ごと、あるいは監視員による環境監視支援装置3からの収集指示に基づき、プラント設備11に設置される測定装置14a,14b,…やプラント設備11を構成するプラント設備機器から大気汚染関係データを順次取り込み、測定装置14a,14b,…やプラント設備機器等のID(機器識別データ)及び測定時刻データとともに環境監視支援装置3に送信する。
【0033】
ここで、環境監視支援装置3は、通信部31を介して受信される汚染監視項目に対応するID、測定時刻データとともに、大気汚染関係データを順次蓄積していく。
【0034】
その後、オペレータは、監視したい汚染監視項目に対応するID及び必要に応じて測定期間を入力指定すれば、当該ID対応の汚染監視項目について、指定測定期間にわたって蓄積された大気汚染関係データを時系列的に読み出して表示部36に表示することができる。
【0035】
(2) キーワード登録画面の作成処理について(図5参照)。
【0036】
環境監視支援装置においては、プラント施設1及びプラント設備11を考慮しつつ比較的大気汚染に影響を与えるキーワードデータを登録する必要がある。
【0037】
そこで、環境監視支援装置3における環境監視支援処理部35は、入力部32からキーワード画面作成に関する制御指示を受けると、プログラムデータ記憶部34からキーワード登録画面作成用プログラムを読み出し、適宜なワークメモリに移した後、図4に示すキーワード登録手段35Aを実行する。
【0038】
キーワード登録手段35Aは、初期キーワード登録画面の読み出し指示有無を判断し(S1)、読み出し指示有りと判断したとき、画面データ記憶部33aから図6に示す初期キーワード登録画面41´を読み出し、表示部36に表示する(S2)。
【0039】
キーワード登録手段35Aは、初期キーワード登録画面41´を表示した後、入力部32から初期キーワード登録画面41´の登録個所(登録エリア)が選択指示されたか否かを判断し、登録個所指示有りと判断したとき、入力部32から測定装置14a,14b,…やプラント設備機器に関するIDのもとに例えば「NOx(窒素酸化物)」のキーワードデータが入力する(S3)。
【0040】
引き続き、キーワード登録手段35Aは、当該IDのもとに「NOx」なるキーワードデータが既に登録済みか否かを判断する(S4)。登録済みであれば、次の登録個所の選択指示有りかを判断し(S5)、選択指示有りの場合にはステップS3に戻って同様の処理を繰り返し実行する。
【0041】
ステップS4において、「NOx」なるキーワードデータが登録済みでない場合には、そのキーワードデータをキーワードデータ記憶部33bに記憶するとともに、初期キーワード登録画面41´の登録個所に該当ID及びこのIDに連ねてキーワード項目にキーワードデータ「NOx」42を登録し(S6)、かつ、初期キーワード登録画面41´上にキーワードデータ「NOx」を表示する(S7)。
【0042】
さらに、キーワード登録手段35Aは、キーワードデータの登録継続を確認し(S8)、継続処理であれば、ステップS3に戻って同様の処理を繰り返し実行し、初期キーワード登録画面41´から図6に示すキーワード登録(編集)画面41を作成する。
【0043】
従って、以上のように初期キーワード登録画面41´にプラント施設1ないしプラント設備機器を考慮して複数の大気汚染に関係するキーワードデータを順次登録することにより、プラント施設1から排出される大気汚染に最も影響を与える汚染原因要素を多面的に登録することが可能である。
【0044】
(3) 汚染防止監視画面の作成処理について(図7参照)。
【0045】
環境監視支援装置3における環境監視支援処理部35は、入力部32から大気汚染防止監視画面作成に関する制御指示を受けると、プログラムデータ記憶部34から大気汚染防止監視画面作成用プログラムを読み出し、適宜なワークメモリに移した後、図4に示す汚染監視関連項目抽出手段35Bを実行する。
【0046】
汚染監視関連項目抽出手段35Bは、入力部32から入力される初期汚染防止監視画面51´の読み出し指示の有無を判断し(S11)、読み出し指示有りと判断したとき、画面データ記憶部33aから図8に示す初期大気汚染防止監視画面51´を読み出し、表示部36に表示する(S12)。
【0047】
しかる後、汚染監視関連項目抽出手段35Bは、キーワードデータ記憶部33b又はキーワード登録画面41から既に登録済みのキーワードデータが存在するか否かを判断する(S13)。キーワードデータが登録されている場合、登録順番に従う順位のキーワードデータ「例えばNOx」を読み出し、汚染関係項目データ管理テーブル33a1を参照し、汚染関係項目データ管理テーブル33a1にキーワードデータに対応する汚染監視項目が有るか否かを判定する(S14)。
【0048】
ここで、キーワードデータと一致する汚染監視項目「NOx」があれば、汚染関係項目データ管理テーブル33a1からID、該当汚染監視項目「NOx」及び該当汚染監視項目に連なる単位−現在値−監視上限値−監視下限値等の入出力関連項目のデータを抽出し、データベース33の適宜な領域などに一時記憶した後(S15)、監視画面作成処理手段35Cを実行する。
【0049】
監視画面作成処理手段35Cは、ID,汚染監視項目及び入出力関連項目を記憶した後、表示部36に表示された初期大気汚染防止監視画面51´の登録個所(登録エリア)に関する選択指示が入力されたか否かを判断し(S16)、登録個所が入力指示されたと判断されたとき、当該初期大気汚染防止監視画面51´の登録個所に所定の領域順位データに基づいて例えばID、「NOx」なる汚染監視項目及び単位−現在値−監視上限値−監視下限値等の入出力関連項目のデータを順次登録していく(S17)。
【0050】
さらに、監視画面作成処理手段35Cは、次順位のキーワードデータがあるか否かを判断し(S18)、有りの場合にはステップS14に戻って同様の処理を繰り返す。
【0051】
そして、登録された全部のキーワードデータに対応する汚染監視項目や入出力関連項目を初期大気汚染防止監視画面51´に登録し、図8に示す大気汚染防止監視画面51を作成し、確認可能に表示部36に表示する。
【0052】
ところで、大気汚染防止監視画面51には登録ボタン52、削除ボタン53及びコメント登録ボタン54が設けられている。その結果、登録ボタン52を選択して例えば大気汚染物質の排出と間接的に関係しているポンプなどを追加するとか、削除ボタン53を選択し、長期間の監視結果に基づき該当プラント施設1から排出される大気汚染にほとんど影響を与えない汚染監視項目などがあれば削除することが望ましい。
【0053】
さらに、コメント登録ボタン54を選択し、入力部32から必要なコメント(例えばプラント点検日,汚染監視項目に係る注意事項)を入力し、大気汚染防止監視画面51の例えばコメント欄に記述することが考えられる。
【0054】
そこで、環境監視支援処理部35は、画面編集処理が必要な場合には図4に示す画面編集処理手段35Dを実行する。
【0055】
画面編集処理手段35Dは、作成された大気汚染防止監視画面51を表示した後、登録ボタン52、削除ボタン53、コメント登録ボタン54の何れかが選択されたか判断し(S20〜S22)、登録ボタン52が選択操作された場合には登録個所を選択し、ID、汚染監視項目及び入出力関連項目を順次登録していく(S23)。また、削除ボタン53を選択操作した後に削除個所を選択し、その選択された汚染監視項目等を削除する(S24)。
【0056】
さらに、コメント登録ボタン54を選択操作した後に登録個所を選択し、必要なコメントを入力し登録する(S25)。
【0057】
なお、表示された大気汚染防止監視画面51の登録個所を選択指定した後、登録ボタン52、コメント登録ボタン54等を操作し、汚染監視項目や登録コメントを入力し登録する処理を行ってもよい。
【0058】
従って、以上のような大気汚染防止監視画面の作成処理によれば、大気汚染防止監視画面51に一般的な汚染監視項目例えばNOx,SOxなどの他に、プラント施設1ないしプラント設備11として設置される機器等から大気汚染に影響を与える特有の汚染監視項目例えばボイラー生成熱量,ファンなど多面的な方向から掲げ、それらの入出力関連項目を順次登録して視覚的に認識可能に表示している。
【0059】
その結果、監視員は、多面的に登録された複数の汚染監視項目と入出力関連項目から、複数の汚染監視項目に関する大気汚染関係データ(現在値)が監視上限値(排出基準値)を超えそうとする傾向を視覚的、予測先行的に把握することが可能となり、事前に必要な対策や処置を講じ易い状況を提供することができる。
【0060】
さらに、大気汚染防止監視画面51を作成した後、プラント施設1ないしプラント設備11の稼動状況に応じて特有の汚染監視項目が必要になったとき、編集処理により追加し、あるいは大気汚染に影響が少ない要素については随時削除などの変更も行うことができる。
【0061】
(4) キーワード登録画面の編集処理について(図6参照)。
【0062】
前記(1)項に記載するキーワード登録画面の作成処理により、図6に示す大気汚染キーワード登録画面41には、登録ボタン43、削除ボタン44が設けられている。その結果、大気汚染キーワード登録画面41の登録個所を指定し、当該登録個所にID、キーワードデータの順序で入力し、登録ボタン43を操作して画面登録するとか、あるいは逆に登録ボタン43を操作した後、登録画面41の登録個所を指定し、当該登録個所にID、キーワードデータの順序で入力し登録してもよい。
【0063】
大気汚染キーワード登録画面41に既に登録されているキーワードデータの削除についても、削除ボタン44を選択操作して削除する編集処理を容易に行うことができる。
【0064】
(その他の実施形態)
(1) プラント施設1にコントローラ12を設けたが、現場側の測定装置や設備機器の大気汚染関係データを取り込んで環境監視支援装置3に送信する機能を有するものであればよい。例えば、コントローラ12に代えてデータ収集中継機器あるいはI/Oインタフェースなどを用いてもよい。
【0065】
さらに、現場側の測定装置や設備機器からLAN等の通信ネットワーク2を介してコントローラ12なしで直接環境監視支援装置3を接続した構成であってもよい。
【0066】
(2) 上記実施形態では、データ蓄積部33dにIDごとに時系列的に大気汚染関係データが時系列的に蓄積されているので、特定のIDによる汚染監視項目ごとに、表示部32に横軸を期間とし、縦軸を測定値とする折れ線グラフを表示し、かつ、監視上限値をライン表示するようにすれば、特定の汚染監視項目に注目して変化傾向を迅速、かつ詳細に分析することができる。
【0067】
(3) 環境監視支援装置3の表示部32に大気汚染防止監視画面51を表示したが、例えば当該大気汚染防止監視画面51の上部に予め折れ線表示用画面領域を形成し、入力部32から特定のIDまたは汚染監視項目を入力し、前記折れ線表示用画面領域内に横軸を期間軸、縦軸を汚染監視項目に関連する時系列的な大気汚染関係データを折れ線グラフ表示し、かつ、監視上限値をライン表示するようにしてもよい。
【0068】
その結果、監視員は、大気汚染防止監視画面51の汚染監視項目に関連するデータだけでなく、例えばプラント施設1の設備機器の中で最も注目する汚染監視項目を抽出し、折れ線グラフ表示することにより、大気汚染の悪化進行傾向を迅速、かつ詳細に分析することができる。
【0069】
(4) また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…プラント施設、2…通信ネットワーク、3…環境監視支援装置、11…プラント設備、12…コントローラ、14a,14b,…測定装置、31…通信部、32…入力部、33…データベース、33a…汚染関係項目データ記憶部、33a1…汚染関係項目データ管理テーブル、33b…キーワードデータ記憶部、33c…画面データ記憶部、33d…収集データ蓄積部、35…環境監視支援処理部、35A…キーワード登録手段、35B…汚染監視関連項目抽出手段、35C…監視画面作成処理手段、35D…画面編集処理手段、36…出力装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント施設から大気汚染に関係する大気汚染関係データを取り込んで蓄積するデータ蓄積手段と、
前記プラント施設から排出される大気汚染に関係するキーワードデータを登録するキーワード登録手段と、
複数の汚染監視項目データ及び当該各汚染監視項目データに関連する入出力関連項目データを記憶管理する汚染関係項目データ管理手段と、
この汚染関係項目データ管理手段から前記登録された各キーワードデータと対応関係にある汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを順次抽出する監視項目データ抽出手段と、
この抽出された各汚染監視項目データ及び入出力関連項目データを、予め設定された初期汚染防止監視画面に所定の順序で順次登録していくことで汚染防止監視画面を作成する監視画面作成処理手段と
を備えたことを特徴とする環境監視支援装置。
【請求項2】
前記キーワード登録手段は、予め設定された初期キーワード登録画面を表示する初期画面表示手段と、この初期キーワード登録画面の登録個所を選択した後に入力される前記キーワードデータを順次登録することでキーワード登録画面を作成し記憶する画面作成記憶手段とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の環境監視支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の環境監視支援装置において、
前記初期キーワード登録画面に設けられた登録・削除に関する編集ボタンと、この編集ボタンの操作のもとに、作成された前記キーワード登録画面に新たにキーワードデータを追加登録し、既に登録済みのキーワードデータを削除するデータ編集手段とを備えたことを特徴とする環境監視支援装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の環境監視支援装置において、
前記初期汚染防止監視画面に設けられた登録・削除に関する編集ボタンと、この編集ボタンの操作のもとに、作成された前記汚染防止監視画面に新たに前記汚染監視項目データ及び当該汚染監視項目データに関連する入出力関連項目データを追加登録し、また既に登録されている前記汚染監視項目データ及び当該汚染監視項目データに関連する入出力関連項目データを削除する画面編集処理手段とを備えたことを特徴とする環境監視支援装置。
【請求項5】
前記複数の汚染監視項目データは、前記プラント施設から排出される大気汚染に関係する物質測定項目やプラント設備機器名に関するデータであり、前記入出力関連項目データは、前記物質測定項目データに関連する少なくとも現在値、監視上限値であり、前記プラント設備機器データに関連する少なくとも運転状態(運転・停止)、運転累積時間、故障回数であることを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の環境監視支援装置。
【請求項6】
請求項1、請求項4及び請求項5の何れか一項に記載の環境監視支援装置において、
前記初期汚染防止監視画面の上部に形成される折れ線表示用画面領域と、前記複数の汚染監視項目の中から特定の汚染監視項目の入力指定に基づき、前記データ蓄積手段から当該汚染監視項目に対応する時系列的な大気汚染関係データを取り出し、前記折れ線表示用画面領域に折れ線グラフ表示する時系列変化データ表示手段とを備えたことを特徴とする環境監視支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−168700(P2012−168700A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28661(P2011−28661)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)