説明

環境管理システム

【課題】低コストで導入しランニングコストも抑制し、部署単位で変動が多い入退室状況と連携しながら、環境装置をきめ細かく個々人の属性にも配慮して制御可能とする環境管理システムを提供する。
【解決手段】中央管理装置10は、リーダライタ管理装置8から取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出し、この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベースから読み出し、入退域データからその個人が退域済みであった場合は入域するものと判断し、このゾーンに属する個人全員についての入退域データを入退管理用データベースから読み出し、入退域データからそのゾーンに属する個人が最初にそのゾーンへ入域する場合はそのゾーンに属する照明装置1・空調装置3を制御開始することで、入退管理と環境制御とを連動させた環境管理システム100とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触のICメディアを用いる入退管理に連動して環境制御を行う環境管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカード等の非接触のICメディアを用いて、部屋や建物への入退を管理するシステムが提案されている。
例えば、特許文献1(特開2006−236164号公報,発明の名称「入退室管理システム」)に記載の従来技術では、自計数装置及び他計数装置からの入室・退室通知を基に最終退室状態か否かを判断し、最終退室状態と判断したときに、制御盤に対して最終退室制御を行うよう指示する入退室管理システムとしている。
【0003】
また、入退管理システムと連動して、空調制御、照明制御、侵入監視制御等の最終退室機能を行うためのシステムも提案されている。このようなシステムが特許文献2(特開平7−243686号公報,発明の名称「環境制御装置」)や特許文献3(特許第3851226号,発明の名称「入退室管理システム」)に開示されている。
【0004】
この特許文献2に記載の従来技術では、IDカード認識により入退室する個々人の属性に適応して、節電に寄与するとともに、快適な環境が得られるように空調機器、照明機器等を制御するシステムとしている。
一方、特許文献3の従来技術では、人体に厳しい環境管理対象エリア、例えば、冷凍庫、有害ガス発生作業場その他の密閉空間等への入室に際し、個々の入室者の識別子とともに属性をICカードに記憶させて在室制限時間を設定しておき、この在室制限時間を越えても入室者がいる場合には、異常とみなし、ブザー鳴動その他の措置を講じる入退出管理システムとしている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−236164号公報
【特許文献2】特開平7−243686号公報
【特許文献3】特許第3851226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の提案システムや装置は、概して大掛かりな構成となり易く、システムや装置自体のコスト高やその保守管理、必要に応じて専門技術者配置等に伴う運用経費も嵩み、すみやかに導入し難い傾向がある。
それと、例えば、オフィス等広大な空間であるフロアで複数の部署が同一フロア内に混在する場合では、煩雑な入退室が絶えずに繰り返され、同一エリア、特に間仕切・パーテーションが無く部門別に区分された同一エリアに対し、きめ細かい空調制御や照明制御、あるいは最終退室者の照明消し忘れ防止等対応が比較的困難である。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、低コストで導入しランニングコストも抑制し、部署単位で変動が多い入退室状況と連携しながら、環境装置をきめ細かく個々人の属性にも配慮して制御可能とする環境管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る環境管理システムは、
出入口のドアおよび壁により仕切られる部屋を一のエリアとし、この一のエリア内の環境制御を行う複数の環境装置と、
複数の環境装置が接続されてこれら環境装置へ制御コマンドを送信する環境制御用管理装置と、
エリアに通じる一又は複数ある出入口のドア付近に設けられ、エリア内へ入域または退域する入退域者のICメディアに対してアンテナ部を介して電磁結合した後に情報データを読み書きするリーダライタと、
リーダライタが一または複数接続されてこれらリーダライタから得られた情報データを取得するリーダライタ用管理装置と、
ネットワークを介して環境制御用管理装置、および、リーダライタ用管理装置が接続されるものであり、一のエリアを複数に区画したゾーンに属する個人の個人特定データとその個人の入退域を表す入退域データとを関連させてゾーン毎に記憶する入退管理用データベースと、ゾーンに属する環境装置の所属環境装置データをゾーン毎に記憶する環境制御用データベースと、を有する中央管理装置と、
を備え、中央管理装置は、
リーダライタ用管理装置から取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからその個人が退域済みであった場合は入域するものと判断する判断手段と、
このゾーンに属する個人全員についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからそのゾーンに属する個人が最初にそのゾーンへ入域する場合は環境制御用データベースからそのゾーンに属する所属環境装置データを読み出す読出手段と、
所属環境装置データにより特定される環境装置に対して環境制御を開始させる制御開始手段と、
して機能することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る環境管理システムは、
請求項1に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置は、
リーダライタ用管理装置から取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからその個人が入域済みであった場合は退域するものと判断する判断手段と、
このゾーンに属する個人全員についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからそのゾーンに属する個人が最後にそのゾーンから退域する場合はそのゾーンに属する所属環境装置データを読み出す読出手段と、
所属環境装置データにより特定される環境装置に対して環境制御を停止させる制御停止手段と、
して機能することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る環境管理システムは、
請求項1または請求項2に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置は、ゾーンにいる個人の人数別に環境内容を表す環境内容データを登録しておき、
ゾーン別にゾーン内にいる個人を計数してゾーン別計数データを算出する計数手段と、
ゾーン別計数データに対応する環境内容データを読み出す読出手段と、
環境内容データに応じてゾーンに属する環境装置の環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る環境管理システムは、
請求項1または請求項2に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置の環境制御用データベースは、個人特定データ別に所属環境装置データとこの所属環境装置データに対応する環境装置の環境内容を表す環境内容データを記憶するものであって、
前記中央管理装置は、
この個人特定データ別に所属環境装置データと環境内容データとを読み出す読み出し手段と、
所属環境装置データにより決定される環境装置に対して環境内容データに応じて環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
リーダライタ用管理装置に接続され、環境制御されるエリアへの出入口にあるドアの施錠・解錠を行う電子錠を備え、
前記リーダライタ用管理装置は、個人特定データに対する解錠許可を設定する許可データを記憶する入退許可用データベースを有し、
リーダライタから得られた情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
入退許可用データベースを参照して個人特定データで特定された個人に対するドアの解錠許可を判定する判定手段と、
解錠許可の場合に電子錠を解錠してドアの開閉を可能とする解錠手段と、
して機能することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項6に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記リーダライタは、複数のアンテナ部が配置されたマルチアンテナシートを有し、
前記リーダライタ用管理装置は、アンテナ部に応じて個人を特定して個人特定データを読み出す読出手段と、
して機能することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項7に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記リーダライタは、
環境制御されるエリア外であってドア付近に設けられ、エリア内へ入域する際に前記ICメディアと情報データを読み書きする入口側リーダライタと、
環境制御されるエリア内であってドア付近に設けられ、エリア外へ退域する際に前記ICメディアと情報データを読み書きする出口側リーダライタと、
からなり、
リーダライタ用管理装置は、入口側リーダライタから情報データが読み込まれた場合は入域であると判定し、出口側リーダライタから情報データが読み込まれた場合は退域であると判定する判定手段と、
して機能することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項8に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
中央管理装置に接続される表示部を備え、
中央管理装置は、
ゾーン別の入域者の有無、入域者数、および、環境装置の制御状態を表示する手段と、
して機能することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項9に係る環境管理システムは、
請求項8に記載の環境管理システムにおいて、
中央管理装置は、
最初入域者および最終退域者の氏名と入域時刻および退域時刻とを表示部に表示させる表示手段と、
して機能することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項10に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記ICメディアは、個人特定データ、個人が属するゾーンデータ、および、個人別の環境内容データを含む情報データを登録するメディアであって、
前記中央管理装置は、リーダライタ用管理装置から得られた情報データから個人を特定する個人特定データに加えて個人が属するゾーンデータ、および、個人別の環境内容データを抽出する手段と、
ゾーンデータ、および、個人別の環境内容データに基づいて、ゾーンデータにより決定されるゾーンに属する環境装置を、環境内容データに応じて環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項11に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記環境装置は、自らが属するゾーンの空気調和を行う空調装置を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項12に係る環境管理システムは、
請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記環境装置は、自らが属するゾーンを照明する照明装置を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、低コストで導入しランニングコストも抑制し、部署単位で変動が多い入退室状況と連携しながら、環境装置をきめ細かく個々人の属性にも配慮して制御可能とする環境管理システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の環境管理システムを実施するための最良の形態について図に基づき説明する。図1は本形態の環境管理システムの概略図、図2は部屋におけるエリアおよびゾーンの設定例の説明図、図3はドア周囲の説明図、図4は部屋における照明装置および空調装置の設置例の説明図である。
環境管理システム100は、図1で示すように、n個の照明装置1、照明制御用管理装置2、m個の空調装置3、空調制御用管理装置4、一または複数の入口側リーダライタ5、一または複数の電子錠6、一または複数の出口側リーダライタ7、リーダライタ用管理装置8、ネットワーク9、中央管理装置10、表示装置11、ICカード12(図3参照)、照明用リモコン13(図4参照)、空調用リモコン14(図4参照)を備える。
【0022】
この環境管理システム100は、例えば図2に示すような、部屋200に設置されるものである。この部屋200は企業のオフィスを想定している。この部屋200は、図2,図3に示すような、出入口となる第1ドア201、第2ドア202、および内外の壁203、図4で示す天井204により仕切られている。この部屋200全体を一のエリアと設定する。このエリアでは、パーテーション等で仕切られているものの、壁などはない連続する空間である。
【0023】
さらに企業では一の部屋200が複数区画に分けられていることが多く、この一のエリアを複数に区画したゾーンが設定されているものとする。図2の例では、ゾーンは部門別に決定されており、営業1部(ゾーン1)、営業2部(ゾーン2)、企画部(ゾーン3)、経理部(ゾーン4)、総務部(ゾーン5)という5区画のゾーンが設定されている。以下説明を明瞭にするため、本形態はこれら具体例に沿う形態であるものとして説明を進める。
【0024】
続いて環境管理システム100の各構成について説明する。
照明装置1は、白熱燈や蛍光灯など、周知の照明具であり、本発明の環境装置の一具体例である。照明装置1には図示しないが照明装置1の点灯・消灯制御を行う制御装置も内蔵している。この照明装置1は、図2で示すような出入り口の第1ドア201、第2ドア202、および壁203により仕切られる部屋である一のエリアを余すところなく照明するため複数箇所にn個(nは2以上の自然数)設置される。これらn個の照明装置1は、例えば一本のケーブルに複数のバス接続されて点灯・消灯の制御が可能に構成されている。なお、これらn個の照明装置1は、図示しない一または複数の電源にも接続されて、適宜電力が供給されている。
【0025】
照明制御用管理装置2は、本発明の環境制御用管理装置の一具体例であって、複数の照明装置1が接続されているケーブルに接続され、複数ある照明装置1の中から特定の照明装置1を選択した後に、この選択した照明装置1に対して点灯・消灯を指令する機能を有している。例えば、特定の照明装置1を指定するアドレスデータと、照明装置1の点灯・消灯を指令するコマンドと、を含む制御コマンドを照明制御用管理装置2が全ての照明装置1に対して送信し、アドレスデータにより指定された照明装置1のみが点灯・消灯を行う、というものである。
【0026】
空調装置3は、例えば天井設置型エアコンディショナーなど、周知の空気調和装置であり、本発明の環境装置の他の具体例である。空調装置3には図示しないが空調装置3のON・OFF制御を行う制御装置も内蔵している。この空調装置3は、図2で示すような出入り口の第1ドア201、第2ドア202、および内外の壁203により仕切られる部屋である一のエリアを余すところなく空気調和するため複数箇所にm個(mは2以上の自然数)設置される。これらm個の空調装置3は、例えば一本のケーブルに複数のバス接続されてON・OFFの制御が可能に構成されている。なお、これらm個の空調装置3は、図示しない一または複数の電源に接続されて、適宜電力が供給されている。
【0027】
空調制御用管理装置4は、本発明の環境制御用管理装置の他の具体例であって、空調装置3が接続されているケーブルに接続され、複数ある空調装置3の中から特定の空調装置3を選択した後に、この選択した空調装置3に対してON・OFFを指令する機能を有している。例えば、特定の空調装置3を指定するアドレスデータと、空調装置3のON・OFFを指令するコマンドと、を含む制御コマンドを空調制御用管理装置4が全ての空調装置3に対して送信し、アドレスデータにより指定された空調装置3がON・OFFを行う、というものである。
【0028】
入口側リーダライタ5は、読み出し機能(リーダ機能)と書き込み機能(ライタ機能)とをともに備える装置である。この入口側リーダライタ5は、環境制御される部屋200の外側であって第1ドア201,第2ドア202の付近に設置され、部屋200内に入域しようとする際に非接触のICカード12との読み書きに使用される。
【0029】
電子錠6は、電子制御により第1ドア201,第2ドア202の施錠・解錠を行う装置であり、外側に設置されている入口側リーダライタ5や内側に設置されている出口側リーダライタ7にかざされたICカード12からの情報データを読み出した後にリーダライタ用管理装置8により駆動されて施錠・解錠するようになされている。
【0030】
出口側リーダライタ7は、読み出し機能(リーダ機能)と書き込み機能(ライタ機能)とをともに備える装置である。この出口側リーダライタ7は、環境制御される部屋200の外側であって第1ドア201,第2ドア202の付近に設置され、部屋200内から退域しようとする際に非接触のICカード12との読み書きに使用される。
【0031】
リーダライタ用管理装置8は、本形態では、図2の第1ドア201,第2ドア202に対して、2個の入口側リーダライタ5、2個の電子錠6、および、2個の出口側リーダライタ7が接続されるケーブルに接続される。そして、図3で示すように第1ドア201でそれぞれ1個の入口側リーダライタ5、電子錠6、および、出口側リーダライタ7が設置され、図示しないが第2ドア202でそれぞれ1個の入口側リーダライタ5、電子錠6、および、出口側リーダライタ7が設置される。リーダライタ用管理装置8は、第1ドア201付近の入口側リーダライタ5、電子錠6、および、出口側リーダライタ7を指定するアドレスデータを関連させて記憶しており、また、図示しないが第2ドア202付近の入口側リーダライタ5、電子錠6、および、出口側リーダライタ7を指定するアドレスデータを関連させて記憶している。リーダライタ用管理装置8は、入口側リーダライタ5や出口側リーダライタ7から得られた情報データを収集の上で、自らが有する入退許可用データベース(後述)に基づいて、当該入口側リーダライタ5や出口側リーダライタ7の周囲にある第1ドア201、第2ドア202を解錠するか否かを決定し、解錠する場合は当該ドアの電子錠6を解錠する制御コマンドを送信して電子錠6を解錠させる。また、リーダライタ用管理装置8は、読み出した情報データをネットワーク9を介して中央管理装置10へ送信する。
【0032】
ネットワーク9は、例えば、公衆回線や構内LANも含むネットワークであったり、または、構内LANのみのネットワークとしても良い。
中央管理装置10は、例えばパーソナルコンピュータであり、後述するが自らが有する入退管理用データベース101(図6参照)や環境制御用データベース102(図7または図8参照)を参照して、各種の処理を行う。
表示装置11は中央管理装置10に接続され、後述するような各種の表示を行う。
【0033】
複数枚の非接触ICカード12は、各部員がそれぞれ携帯している社員証であり、それぞれ異なる情報データが登録されている。情報データは、詳しくは、部員を特定する個人特定データ(ID、氏名という各データ)、部署の居場所を表すゾーンデータ、部員が所属する部署を表す所属データ、などである。
【0034】
照明用リモコン13は、図4で示すように、照明制御用管理装置2をリモートコントロールする。部員が周囲を薄暗くしてディスプレイ上の画像を視る場合等業務の都合に応じて照明の明暗を調節する。
空調用リモコン14は、図4で示すように、空調制御用管理装置4をリモートコントロールする。部員が好みや当日の体調等に合わせて空調の強弱を調節する。
【0035】
続いてこのような環境管理システム100の入退管理の一連の処理について説明する。図5はリーダライタ用管理装置8が有する入退許可用データベース81の説明図である。
図3の第1ドア201から入室するものとする。入域者は、予め発行されたIDカードである非接触のICカード12を携帯している。入域者は、入口側リーダライタ5に非接触のICカード12をかざして読み出しを行う。非接触のICカード12と入口側リーダライタ5の図示しないアンテナ部とは電磁結合する。入口側リーダライタ5は、非接触のICカード12に書き込まれている情報データを読み出す。そして、リーダライタ用管理装置8へこの情報データを送信する。ここで情報データとともにどの入口側リーダライタ5から送信されたかを識別するアドレスデータも併せて送信データとして送信する。
【0036】
リーダライタ用管理装置8は、入口側リーダライタ5から送信データを受信したか否かについて判断し、送信データを受信したと判断したならば、送信データを記憶保存する。続いて入退許可用データベース81を参照する。
【0037】
リーダライタ用管理装置8は、リーダライタからの送信データに含まれる情報データおよびアドレスデータを生成し、この情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する。
そして、リーダライタ用管理装置8は、入退許可用データベース81を参照して個人特定データで特定された個人に対するドアの解錠許可を判定する。具体的に情報データで決定される個人において入域が許可されているか否かを判断する。例えば、営業1部でIDが1XXX1で氏名Aの非接触のICカード12が入口側リーダライタ5にかざされたとき、図5の入退許可用データベース81で示すように、営業1部でIDが1XXX1で氏名Aという個人は入退域が許可されており、また、今まで退域となっていたため、入域許可と判断する。このとき入退域データは退域から入域に設定される。また、アドレスデータから入口側リーダライタ5からの情報データであることも判別でき、この点でも入域であることに矛盾はない。
【0038】
リーダライタ用管理装置8は、解錠許可の場合に電子錠を解錠してドアの開閉を可能とする。具体的にはアドレスデータにより決定され、入口側リーダライタ5と関連して登録されている電子錠6を選択する。そして、この電子錠6を指定するアドレスデータとともに解錠コマンドを送信する。電子錠6は解錠されて第1ドア201は開放される。
【0039】
続いて図3の第1ドア201から退室するものとする。退域者は、出口側リーダライタ7に非接触のICカード12をかざして読み出しを行う。非接触のICカード12が出口側リーダライタ7にかざされたとき、非接触のICカード12と出口側リーダライタ7の図示しないアンテナ部とは電磁結合する。出口側リーダライタ7は、非接触のICカード12に書き込まれている情報データを読み出す。そして、リーダライタ用管理装置8へこの情報データを送信する。ここで情報データとともにどの出口側リーダライタ7から送信されたかを指定するアドレスデータも併せて送信データとして送信する。
【0040】
リーダライタ用管理装置8は、出口側リーダライタ7から送信データを受信したか否かについて判断し、送信データを受信したと判断したならば、送信データを記憶保存する。続いて入退許可用データベース81を参照する。
【0041】
リーダライタ用管理装置8は、送信データに含まれる情報データおよびアドレスデータを生成し、この情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する。
そして、リーダライタ用管理装置8は、入退許可用データベース81を参照して個人特定データで特定された個人に対するドアの解錠許可を判定する。具体的に情報データで決定される個人において退域が許可されているか否かを判断する。例えば、営業2部でIDが2XXX1で氏名Eの非接触のICカード12が出口側リーダライタ7にかざされたとき、図5の入退許可用データベース81で示すように、営業2部でIDが2XXX1で氏名Eという個人は入退域が許可されており、また、今まで入域となっていたため、退域許可と判断する。このとき入退域データは入域から退域に設定される。また、アドレスデータから出口側リーダライタ7からの情報データであることも判別でき、この点でも退域であることに矛盾はない。
【0042】
リーダライタ用管理装置8は、解錠許可の場合に電子錠6を解錠してドアの開閉を可能とする。具体的にはアドレスデータにより決定され、出口側リーダライタ7と関連して登録されている電子錠6を選択する。そして、この電子錠6を指定するアドレスデータとともに解錠コマンドを送信する。電子錠6は解錠されて第1ドア201は開放される。
【0043】
なお、これらのような入域や退域は第2ドア202でも同様に行われるものであり、重複する説明を省略する。
リーダライタ用管理装置8による入退管理はこのようなものである。
【0044】
続いて、中央管理装置10による入退管理に連動する環境管理について説明する。図6は中央管理装置が有する入退管理用データベースの説明図、図7は中央管理装置が有する環境制御用データベースの説明図である。
図3の第1ドア201から入域するものとする。入域者は、入口側リーダライタ5に非接触のICカード12をかざして読み出しを行う。
【0045】
例えば営業1部でIDが1XXX1の氏名Aの非接触のICカード12が入口側リーダライタ5にかざされたとき、入口側リーダライタ5は、非接触のICカード12に書き込まれている情報データと、どの入口側リーダライタ5から送信されたかを指定するアドレスデータと、を併せた送信データをリーダライタ用管理装置8へ送信する。
【0046】
リーダライタ用管理装置8は、先に説明した入退許可処理とともに中央管理装置10へ送信データを転送する。中央管理装置10は、リーダライタ用管理装置8から送信データを受信したか否かについて判断し、送信データを受信したと判断したならば、送信データを記憶保存する。
【0047】
中央管理装置10は、リーダライタ用管理装置8からの送信データに含まれる情報データおよびアドレスデータを生成し、取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する。中央管理装置10は、続いて図6の入退管理用データベース101を参照して、この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベース101から読み出し、この個人特定データで決定される個人が部屋内に入域しているか退域しているかを判断する。例えば、図6に示す入退管理用データベース101で示すように、営業1部でIDが1XXX1で氏名Aという個人は今まで退域していたことが表示されており、今回は入域するものであると判断する。このとき入退域データは退域から入域に設定される。
【0048】
さらに中央管理装置10は、ゾーン1に所属する全ての個人の入退域データが退域であって、ゾーン1における初めての入域であるかを判定する。中央管理装置10は、このゾーン1に属する個人全員についての入退域データを図6の入退管理用データベース101から読み出す。中央管理装置10は、全ての入退域データが退域であってそのゾーン1に属する個人が最初にそのゾーン1へ入域すると判断する場合はさらに図7の環境制御用データベース102を参照し、環境制御用データベース102からゾーン1に属する所属照明装置データおよび所属空調装置データとを読み出す。本例では中央管理装置10はゾーン1に所属する照明装置(1),(2),(3),(4)と空調装置と(1),(2),(3),(4)とを選択する。
【0049】
中央管理装置10は、ゾーン1に所属する照明装置(1),(2),(3),(4)の照明を点灯するような制御コマンドを照明制御用管理装置2へ送信する。照明制御用管理装置2は、照明装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定した制御コマンドを、バス接続されている照明装置(1),(2),・・・,(n−1),(n)の全てに対して送信する。すると照明装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部が制御コマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には照明を点灯させる。指定された照明装置(1),(2),(3),(4)のみが点灯することとなる。
【0050】
また、中央管理装置10は、照明制御に続いて、ゾーン1に所属する空調装置(1),(2),(3),(4)の空調をONするような制御コマンドを空調制御用管理装置4へ送信する。空調制御用管理装置4は、空調装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定した制御コマンドをバス接続されている空調装置(1),(2),・・・,(m−1),(m)の全てに対して送信する。すると空調装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には空調を開始させる。指定された空調装置(1),(2),(3),(4)のみが空調を開始することとなる。
【0051】
このように環境管理システム100ではゾーンに属する最初に部員がそのゾーンに入域すると、そのゾーンは自動的に照明が点灯し、また、空調が開始することとなる。このため部員が誤ってエリア全体の照明点灯・空調開始をするおそれがなくなる、つまり部員が入域したゾーン以外では不要な照明点灯・空調開始がなされないため、省エネルギーに貢献する。
【0052】
続いて、環境管理システム100の中央管理装置10による入退管理に連動する他の環境管理について説明する。
先の説明では図3の第1ドア201から入域した場合について説明したが、この例では図3の第1ドア201から退域する場合である。退域者は、出口側リーダライタ7に非接触のICカード12をかざして読み出しを行う。
【0053】
例えば営業2部でIDが2XXX1の氏名Eの非接触のICカード12が出口側リーダライタ7にかざされたとき、出口側リーダライタ7は、非接触のICカード12に書き込まれている情報データと、どの出口側リーダライタ7から送信されたかを指定するアドレスデータと、を併せた送信データをリーダライタ用管理装置8へ送信する。
【0054】
リーダライタ用管理装置8は、先に説明した入退許可処理とともに中央管理装置10へ送信データを転送する。中央管理装置10は、リーダライタ用管理装置8から送信データを受信したか否かについて判断し、送信データを受信したと判断したならば、送信データを記憶保存する。
【0055】
中央管理装置10は、リーダライタ用管理装置8からの送信データに含まれる情報データおよびアドレスデータを生成し、取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する。中央管理装置10は、続いて図6の入退管理用データベース101を参照して、この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベース101から読み出し、この個人特定データで決定される個人が部屋内に入域しているか退域しているかを判断する。例えば、図6の入退許可用データベース101で示すように、営業2部でIDが2XXX1で氏名Eという個人は今まで入域していたことが表示されており、今回は退域するものであると判断する。このとき入退域データは入域から退域に設定される。
【0056】
さらに中央管理装置10は、ゾーン2に所属する部員Eを除く他の部員全ての入退域データが退域であって、ゾーン2に属する部員の最後の退域であるかを判定する。中央管理装置10は、このゾーン2に属する個人全員についての入退域データを図6の入退管理用データベース101から読み出す。中央管理装置10は、ゾーン2に所属する部員Eを除く他の部員の入退域データが全て退域であって部員Eがそのゾーン2から最後に退域すると判断する場合はさらに図7の環境制御用データベース102を参照し、環境制御用データベース102からゾーン2に属する所属照明装置データおよび所属空調装置データとを読み出す。本例では中央管理装置10はゾーン2に属する照明装置と空調装置とを読み出す。本例では中央管理装置10はゾーン2に所属する照明装置(5),(6),(7)と空調装置と(5),(6),(7)とを選択する。
【0057】
中央管理装置10は、ゾーン2に所属する照明装置(5),(6),(7)の照明を消灯するような制御コマンドを照明制御用管理装置2へ送信する。照明制御用管理装置2は、照明装置(5),(6),(7)をアドレスデータで指定した制御コマンドを、バス接続されている照明装置(1),(2),・・・,(n−1),(n)の全てに対して送信する。すると照明装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には照明を消灯させる。指定された照明装置(5),(6),(7)のみが消灯することとなる。
【0058】
また、中央管理装置10は、照明制御に続いて、ゾーン2に所属する空調装置(5),(6),(7)の空調をOFFするような制御コマンドを空調制御用管理装置4へ送信する。空調制御用管理装置4は、空調装置(5),(6),(7)をアドレスデータで指定した制御コマンドをバス接続されている空調装置(1),(2),・・・,(m−1),(m)の全てに対して送信する。すると空調装置(5),(6),(7)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には空調を停止させる。指定された空調装置(5),(6),(7)のみが空調を停止することとなる。
【0059】
なお、他の第2ドア202でも同様の動作であり、重複する説明を省略する。
このように環境管理システム100では最後の部員がゾーンから退域すると、そのゾーンは自動的に照明が消灯し、空調が停止することとなる。部員が照明を消し忘れたり、空調を停止し忘れたとしても所属するゾーンの照明消灯・空調停止が自動的に行われ、部員が退域したゾーンでは不要な照明・空調がなされないため、省エネルギーに寄与する。
【0060】
さらにこのような環境管理システム100では、中央管理装置10が表示部11に対して表示制御を行い、中央管理装置10は、図6の入退管理用データベース101や図7の環境制御用データベース102に基づいてゾーン別の入域者の有無、入域者数、全ての照明装置1の制御状態、および、全ての空調装置3の制御状態を表示部11に表示させる。さらに、中央管理装置10は、入域時刻および退域時刻とを入退域時に取得し、さらに図6の入退管理用データベース101や図7の環境制御用データベース102に基づいて最初入域者および最終退域者の氏名と、入域時刻および退域時刻と、を表示部11に表示させる。
【0061】
また、表示部11も例えば第1ドア201,第2ドア202の入口側と出口側とに設置すれば、部員も現況を把握でき、管理を周知させることができる。これは、図1で示すシステムに加えて、図示しないが、リーダライタ用管理装置8に接続されるケーブルに表示部11を多数バス接続し、中央管理装置10が、ネットワーク9、リーダライタ用管理装置8を介して、表示部11に表示用データを送信することで実現できる。これにより、管理が容易になる。
このような環境管理システム100では、入退管理と連動して環境制御を行うため、より詳細な環境制御を可能としており、省エネルギーに寄与する。
【0062】
続いて環境管理システム100の他の形態について説明する。
先に図6を用いて説明した入退管理用データベース101では、個々の部員が入域しているか退域しているかが判別できるようになっており、換言すれば入域している部員数を計数することでゾーン内に入域している人数を把握することができる。そこで、ゾーン内の人数に応じた空調制御を行うというものである。
【0063】
まず、中央管理装置10は、ゾーンにいる個人の人数別に環境内容を表す照明内容データや空調内容データをゾーン別に登録しているものとする。
中央管理装置10は、図6の入退用管理データベース101を参照し、ゾーン別にゾーン内にいる個人を計数してゾーン別計数データを算出する。そして、中央管理装置10は、ゾーン別計数データに対応する照明内容データを読み出す。例えば、入域人数2人までで普通、他は明るいというものである。中央管理装置10は、照明内容データに応じてゾーンに属する照明装置1の照明制御を行う。また、中央管理装置10は、ゾーン別計数データに対応する空調内容データを読み出す。例えば、入域人数2人までで弱め、入域人数全員で強め、他は普通というものである。中央管理装置10は、空調内容データに応じてゾーンに属する空調装置3の空調制御を行う。
【0064】
例えば、先に説明した営業1部でIDが1XXX1で氏名Aという個人が入域する場合、中央管理装置10は、ゾーン1に所属する照明装置(1),(2),(3),(4)の照明を点灯するような制御コマンドを照明制御用管理装置2へ送信する。照明制御用管理装置2は、照明装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定し、さらに照明内容データを含む制御コマンドをバス接続されている照明装置(1),(2),・・・,(n−1),(n)の全てに対して送信する。すると照明装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には照明を点灯させる。指定された照明装置(1),(2),(3),(4)のみが点灯することとなる。この際、照明装置(1),(2),(3),(4)は一律普通に照明するというものである。そして、ゾーン1内に入域する部員が変化する都度照明制御を行っていくというものであり、ゾーン1に所属する部員全員が揃うと照明は明るくなる。このような照明制御は各ゾーンにて行われる。このように各ゾーンにおいて人数別に極めの細やかな制御を行うことができる。
【0065】
そして、中央管理装置10は、ゾーン1に所属する空調装置(1),(2),(3),(4)の空調をONするような制御コマンドを空調制御用管理装置4へ送信する。空調制御用管理装置4は、空調装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定し、さらに空調内容データを含む制御コマンドをバス接続されている空調装置(1),(2),・・・,(m−1),(m)の全てに対して送信する。すると空調装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には空調を開始させる。指定された空調装置(1),(2),(3),(4)のみが空調を開始することとなる。この際、空調装置(1),(2),(3),(4)は一律弱めに空調するというものである。そして、ゾーン内に入域する部員が変化する都度空調制御を行っていくというものであり、ゾーンに所属する部員全員が揃うと空調は強めとなる。このような空調制御は各ゾーンにて行われる。このように各ゾーンにおいて人数別に極めの細やかな制御を行うことができる。
なお、退域の場合は、消灯制御やOFF制御なので、先に説明した同様の動作となる。このような制御としても良い。
【0066】
続いて環境管理システム100の他の形態について説明する。
図8は中央管理装置が有する他の環境制御用データベースの説明図である。図7の環境制御用データベース102と比較すると、この図8の環境制御用データベース103は、個人特定データ別に所属照明装置データとこの所属照明装置データに対応する照明装置の照明内容を表す照明内容データを記憶し、また、個人特定データ別に所属空調装置データとこの所属空調装置データに対応する空調装置の空調内容を表す空調内容データを記憶する。
【0067】
中央管理装置10は、リーダライタ用管理装置8から送信された情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する。中央管理装置10は、図8の環境制御用データベース103を参照して、この個人特定データ別に所属環境装置データと環境内容データとを読み出す。中央管理装置10は、所属照明装置データにより決定される照明装置1に対して照明内容データに応じて照明制御を行い、また、所属空調装置データにより決定される空調装置3に対して空調内容データに応じて空調制御を行う、というものである。
【0068】
例えば、先に説明した営業1部でIDが1XXX1で氏名Aという個人が入域する場合、中央管理装置10は、ゾーン1に所属する照明装置(1),(2),(3),(4)の照明を点灯するような制御コマンドを照明制御用管理装置2へ送信する。照明制御用管理装置2は、照明装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定し、さらに照明内容データを含む制御コマンドをバス接続されている照明装置(1),(2),・・・,(n−1),(n)の全てに対して送信する。すると照明装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には照明を点灯させる。指定された照明装置(1),(2),(3),(4)のみが点灯することとなる。この際、照明装置(1)は明るめ、照明装置(2)は普通、照明装置(3)は普通、照明装置(4)は明るめに点灯し、極めの細やかな制御を行うことができる。
また、営業1部でIDが1XXX1で氏名Aに対応する照明装置(1)の一台のみを明るめに照明するようにしても良い。
【0069】
また、中央管理装置10は、照明制御に続いて、ゾーン1に所属する空調装置(1),(2),(3),(4)の空調をONするような制御コマンドを空調制御用管理装置4へ送信する。空調制御用管理装置4は、空調装置(1),(2),(3),(4)をアドレスデータで指定し、さらに空調内容データを含む制御コマンドをバス接続されている空調装置(1),(2),・・・,(m−1),(m)の全てに対して送信する。すると空調装置(1),(2),(3),(4)の図示しない制御部がコマンドを読みとって自らが指定されているか否かを読みとり自らが指定されている場合には空調を開始させる。指定された空調装置(1),(2),(3),(4)のみが空調を開始することとなる。この際、空調装置(1)は強め、空調装置(2)は弱め、空調装置(3)は弱め、空調装置(4)は強めに空調し、極めの細やかな制御を行うことができる。
また、営業1部でIDが1XXX1で氏名Aに対応する空調装置(1)の一台のみを強めに空調するようにしても良い。
なお、退域の場合は、照明の消灯と空調のOFF制御なので、先に説明した退域時の照明制御や空調制御と同様の動作となる。環境管理システム100はこのような制御としても良い。
【0070】
続いて環境管理システム100の他の形態について説明する。図9は、他の形態のリーダライタの説明図である。この形態は環境管理システム100は、先に説明した入口側リーダライタ5や出口側リーダライタ7がマルチアンテナシートを採用した形態である。なお、他の構成は、先に図1を用いて説明した環境管理システムの構成をそのまま採用するものであり、重複する説明を省略する。
【0071】
入口側リーダライタ5は、制御処理部51、マルチアンテナシート52、アンテナ部53を備える。
出口側リーダライタ7は、制御処理部71、マルチアンテナシート72、アンテナ部73を備える。
以下、入口側リーダライタ5についてのみ説明し、出口側リーダライタ7は同じ名称の構成は同様の機能を有するものとして重複する説明を省略する。
【0072】
制御処理部51は複数のアンテナ部53と通信可能に接続されており、後述する読み書き処理を行う。制御処理部51はそれぞれのアンテナ部52に個別にアドレスデータを付与している。制御処理部51はさらに、図示しないケーブルにバス接続されて、リーダライタ用管理装置8に接続されている。
マルチアンテナシート52は、非接触のICカード12から情報データを受信するためのアンテナ部53を複数そなえる。
アンテナ部53は、マルチアンテナシート52においてマトリックス状に複数配設されている。マルチアンテナシート52のアンテナ部53の周囲には所属、氏名が掲載されたネームプレートが配置されている。
【0073】
続いて、動作について説明する。入域者は非接触のICカード12を持っているものとする。このような入域者は、マルチアンテナシート52のうち、自己の所属、氏名が掲載されたアンテナ部分53の上で非接触でICカード12を翳す。すると、ICカード12と直下のアンテナ部53とが電磁結合し、制御処理部51は、このICカード12から情報データを読み出せるようになる。また、選択されたアンテナ部53に応じてアドレスデータが取得される。
【0074】
制御処理部51は、このICカード12から情報データを読みだし、情報データが読み出されたアンテナ部53に関連付けられたアンテナ情報を情報データを、取得したアドレスデータとともにリーダライタ用管理装置8へ送信する。
リーダライタ用管理装置8は、アンテナ部のアドレスデータと、このアンテナ部と関連する個人情報データと、が登録されたデータベース(図示せず)を有する。なお、データベースはデータ量が多くなる等事情に応じて備えればよく、取り外し可能となるように外付けで構成されている。
【0075】
データベースに登録されている個人特定データと、このICカード12から読み出した個人特定データとが一致し、またデータベースに登録されているアンテナデータと読み出したアンテナデータとが一致すれば、本人であると確認できるため、例えば、非接触のICカード12には所属と名前とが記載されていない場合には、他人は使用できないこととなり、なりすましの防止に寄与する。本形態では個人を確実に特定する。
【0076】
以上本発明の各種形態について説明した。しかしながら、上記形態では各種の変形形態が可能である。例えば、非接触ICカード12は先に説明した入口側リーダライタ5や出口側リーダライタ7に密着・近接させたときに電磁結合するものとして説明した。しかしながら、多少離れていても電磁結合する遠隔型の非接触のICカード12を採用しても良い。
【0077】
また、ICカード12に、個人特定データ、個人が属するゾーンデータ、個人別の照明内容データ、および、個人別の空調内容データを含む情報データを登録するようにしても良い。この場合、中央管理装置100は、リーダライタ用管理装置8から得られた情報データから個人を特定する個人特定データに加えて個人が属するゾーンデータ、個人別の照明内容データ、および、個人別の空調内容データを抽出する。中央管理装置100は、ゾーンデータ、個人別の照明内容データ、および、個人別の空調内容データに基づいて、ゾーンデータにより決定されるゾーンに属する照明装置1を照明内容データに応じて照明制御を行い、および、空調装置3を空調内容データに応じて空調制御を行う。このようにして照明制御や空調制御を最適化しても良い。
【実施例1】
【0078】
続いて本発明を適用した実施例について図を参照しつつ説明する。図10は実施例1の環境管理システム200の構成図である。先の説明と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
入退管理PC81とコントロール装置82は、先に説明したリーダライタ用管理装置8を分割した構成である。入退管理PC81は先に説明した入退管理用データベース、制御管理用データベースを備え、入退管理を行う。コントロール装置82は入退管理PC81の入退管理に応じて実際の制御を行う。
【0079】
全体エネルギー計測装置41、個別エネルギー計測装置42、空調制御装置43は、先に説明した空調制御管理装置を構成する。
全体エネルギー計測装置41は、さらに汎用PC411、Web対応施設管理装置412、パルス検出器413、取引用電力量計414を備える。取引用電力量計414から出力されるパルスをパルス検出器413が計測して全体電力量データを生成してWeb対応施設管理装置412へ出力する。
【0080】
個別エネルギー計測装置42は、複数(実施例1では3個)の電力量センサ421を備える。電力量センサ421から出力される個別電力量データをWeb対応施設管理装置412へ出力する。
Web対応施設管理装置412は全体電力量データにより全体管理を行って全体管理制御コマンドを、また、個別電力量データにより個別管理を行って個別管理制御コマンドを、空調制御装置43へ送信する。
空調制御装置43は、インターフェース(IF)431、制御装置432を備えており、IF431を介して全体管理制御コマンドを受信した制御装置432は、複数の空調装置3の制御を行い、また、IF431を介して個別管理制御コマンドを受信した制御装置432は、特に消費電力量が大きい空調装置3の制御を行う。これにより電力量に応じた制御を可能としている、もちろん、先に説明した入退管理に応じた環境制御も可能としている。これは、中央管理装置10が、Web対応施設管理装置411、IF431を通じて、制御装置432が空調装置3を制御することで実現される。
【0081】
以上説明した本発明によれば、低コストで導入しランニングコストも抑制し、部署単位で変動が多い入退室状況と連携しながら、環境装置をきめ細かく個々人の属性にも配慮して制御可能とする環境管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明を実施するための最良の形態の環境管理システムの概略図である。
【図2】部屋におけるエリアおよびゾーンの設定例の説明図である。
【図3】ドア周囲の説明図である。
【図4】部屋における照明装置および空調装置の設置例の説明図である。
【図5】リーダライタ用管理装置8が有する入退許可用データベースの説明図である。
【図6】中央管理装置が有する入退管理用データベースの説明図である。
【図7】中央管理装置が有する環境制御用データベースの説明図である。
【図8】中央管理装置が有する他の環境制御用データベースの説明図である。
【図9】他の形態のリーダライタの説明図である。
【図10】実施例1の環境管理システムの構成図である。
【符号の説明】
【0083】
100,200:環境管理システム
1:照明装置
2:照明制御用管理装置
3:空調装置
4:空調制御用管理装置
41:全体エネルギー計測装置
411:汎用PC
412:Web対応施設管理装置
413:パルス検出器
414:取引用電力量計
42:個別エネルギー計測装置
421:電力量センサ
43:空調制御装置
431:IF
432:制御装置
5:入口側リーダライタ
51:制御処理部
52:マルチアンテナシート
53:アンテナ部
6:電子錠
7:出口側リーダライタ
71:制御処理部
72:マルチアンテナシート
73:アンテナ部
8:リーダライタ用管理装置
81:入退許可用データベース
82:コントロール装置
83:入退管理PC
9:ネットワーク
10:中央管理装置
101:入退管理用データベース
102,103:環境制御用データベース
11:表示装置
12:ICカード
13:照明用リモコン
14:空調用リモコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入口のドアおよび壁により仕切られる部屋を一のエリアとし、この一のエリア内の環境制御を行う複数の環境装置と、
複数の環境装置が接続されてこれら環境装置へ制御コマンドを送信する環境制御用管理装置と、
エリアに通じる一又は複数ある出入口のドア付近に設けられ、エリア内へ入域または退域する入退域者のICメディアに対してアンテナ部を介して電磁結合した後に情報データを読み書きするリーダライタと、
リーダライタが一または複数接続されてこれらリーダライタから得られた情報データを取得するリーダライタ用管理装置と、
ネットワークを介して環境制御用管理装置、および、リーダライタ用管理装置が接続されるものであり、一のエリアを複数に区画したゾーンに属する個人の個人特定データとその個人の入退域を表す入退域データとを関連させてゾーン毎に記憶する入退管理用データベースと、ゾーンに属する環境装置の所属環境装置データをゾーン毎に記憶する環境制御用データベースと、を有する中央管理装置と、
を備え、中央管理装置は、
リーダライタ用管理装置から取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからその個人が退域済みであった場合は入域するものと判断する判断手段と、
このゾーンに属する個人全員についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからそのゾーンに属する個人が最初にそのゾーンへ入域する場合は環境制御用データベースからそのゾーンに属する所属環境装置データを読み出す読出手段と、
所属環境装置データにより特定される環境装置に対して環境制御を開始させる制御開始手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置は、
リーダライタ用管理装置から取得した情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
この個人特定データにより特定された個人についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからその個人が入域済みであった場合は退域するものと判断する判断手段と、
このゾーンに属する個人全員についての入退域データを入退管理用データベースから読み出す読出手段と、
入退域データからそのゾーンに属する個人が最後にそのゾーンから退域する場合はそのゾーンに属する所属環境装置データを読み出す読出手段と、
所属環境装置データにより特定される環境装置に対して環境制御を停止させる制御停止手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置は、ゾーンにいる個人の人数別に環境内容を表す環境内容データを登録しておき、
ゾーン別にゾーン内にいる個人を計数してゾーン別計数データを算出する計数手段と、
ゾーン別計数データに対応する環境内容データを読み出す読出手段と、
環境内容データに応じてゾーンに属する環境装置の環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の環境管理システムにおいて、
前記中央管理装置の環境制御用データベースは、個人特定データ別に所属環境装置データとこの所属環境装置データに対応する環境装置の環境内容を表す環境内容データを記憶するものであって、
前記中央管理装置は、
この個人特定データ別に所属環境装置データと環境内容データとを読み出す読み出し手段と、
所属環境装置データにより決定される環境装置に対して環境内容データに応じて環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
リーダライタ用管理装置に接続され、環境制御されるエリアへの出入口にあるドアの施錠・解錠を行う電子錠を備え、
前記リーダライタ用管理装置は、個人特定データに対する解錠許可を設定する許可データを記憶する入退許可用データベースを有し、
リーダライタから得られた情報データから個人を特定する個人特定データを抽出する抽出手段と、
入退許可用データベースを参照して個人特定データで特定された個人に対するドアの解錠許可を判定する判定手段と、
解錠許可の場合に電子錠を解錠してドアの開閉を可能とする解錠手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記リーダライタは、複数のアンテナ部が配置されたマルチアンテナシートを有し、
前記リーダライタ用管理装置は、アンテナ部に応じて個人を特定して個人特定データを読み出す読出手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記リーダライタは、
環境制御されるエリア外であってドア付近に設けられ、エリア内へ入域する際に前記ICメディアと情報データを読み書きする入口側リーダライタと、
環境制御されるエリア内であってドア付近に設けられ、エリア外へ退域する際に前記ICメディアと情報データを読み書きする出口側リーダライタと、
からなり、
リーダライタ用管理装置は、入口側リーダライタから情報データが読み込まれた場合は入域であると判定し、出口側リーダライタから情報データが読み込まれた場合は退域であると判定する判定手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
中央管理装置に接続される表示部を備え、
中央管理装置は、
ゾーン別の入域者の有無、入域者数、および、環境装置の制御状態を表示する手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の環境管理システムにおいて、
中央管理装置は、
最初入域者および最終退域者の氏名と入域時刻および退域時刻とを表示部に表示させる表示手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項10】
請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記ICメディアは、個人特定データ、個人が属するゾーンデータ、および、個人別の環境内容データを含む情報データを登録するメディアであって、
前記中央管理装置は、リーダライタ用管理装置から得られた情報データから個人を特定する個人特定データに加えて個人が属するゾーンデータ、および、個人別の環境内容データを抽出する手段と、
ゾーンデータ、および、個人別の環境内容データに基づいて、ゾーンデータにより決定されるゾーンに属する環境装置を、環境内容データに応じて環境制御を行う最適制御手段と、
して機能することを特徴とする環境管理システム。
【請求項11】
請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記環境装置は、自らが属するゾーンの空気調和を行う空調装置を含むことを特徴とする環境管理システム。
【請求項12】
請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の環境管理システムにおいて、
前記環境装置は、自らが属するゾーンを照明する照明装置を含むことを特徴とする環境管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−24404(P2009−24404A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188927(P2007−188927)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000220907)東光電気株式会社 (73)
【Fターム(参考)】