説明

環境試験装置

【課題】低温状態とされる試験槽の槽内および槽外で結露が発生することを抑制することができる環境試験装置を提供すること。
【解決手段】環境試験装置1は、試験槽2、ワーク支持機構3、冷却機構4および乾燥気体供給機構6を有する。ワーク支持機構3はワーク載置台15および試験槽2の槽外から試験槽2の壁を貫通して内側に延びてワーク載置台15を支持する載置台支持シャフト16を備える。載置台支持シャフト16は中空シャフトであり、乾燥気体供給機構6は載置台支持シャフト16の中空部64を通して乾燥空気を試験槽2の槽外から試験装置5内へ供給する。載置台支持シャフト16と乾燥空気の間の熱交換によって載置台支持シャフト16の槽外部分16aの温度の低下を抑制できるので、結露の発生を抑制できる。また、乾燥空気の供給により、試験槽2の槽内の結露の発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験槽の槽内に配置されたワークを冷却する冷却機構を備える環境試験装置に関する。より詳細には、低温状態とされる試験槽の槽内および槽外で結露が発生することを抑制できる環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境試験装置は、試験槽の槽内に搬入された電子基板などのワークを所定の温度に到達させて、当該ワークに通電などの環境試験を行う。特許文献1の環境試験装置は、冷却機構によって温度制御した空気を試験槽の槽内で循環させ、これにより槽内に配置されたワークを冷却して所定の試験温度に到達させている。特許文献2の環境試験装置は、試験槽の槽内に配置されたプレート状の冷却器にワークを保持しているカセットを接触させ、これによりワークを冷却して所定の試験温度に到達させている。これらの環境試験装置では、ワークを試験温度に到達させる際に槽内が低温状態となるので、試験槽の槽内に結露が発生しやすい。試験槽の槽内における結露の発生を抑制するために、特許文献2では、試験槽の槽内に乾燥気体を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−232680号公報
【特許文献2】特開2002−231777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、通電試験では、試験装置の通電用端子とワークとの接触を確実なものとするために、試験槽の槽内においてワークが載せられるワーク載置台の水平度の確保が必要となることがある。このような場合に、ワーク載置台を試験槽の槽内に構成すると、ワーク載置台の水平度が試験槽の水平度に依存してしまうので、ワーク載置台を試験槽の槽外から当該試験槽の底を貫通して内側に延びるシャフトによって支持することにより、ワーク載置台の水平度を向上させることが行われる。
【0005】
ワーク載置台を支持するシャフトが試験槽の底を貫通して延びていると、試験槽の槽内が低温状態となったときに、伝熱によって試験槽の槽外に位置しているシャフトの槽外部分が冷え、外気との温度差によってこの槽外部分に結露が発生するという問題が生じる。試験槽の槽外で発生した結露は、水滴となって環境試験装置の設置場所を濡らしてしまう。
【0006】
このような問題点に鑑みて、本発明の課題は、低温状態とされる試験槽の槽内および槽外で結露が発生することを抑制することができる環境試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
試験槽と、
前記試験槽の槽内に搬入されたワークを冷却するための冷却機構と、
前記試験槽の槽内に乾燥気体を供給する乾燥気体供給機構と、
前記試験槽の槽外から当該試験槽の壁を貫通して槽内に延びている中空シャフトとを有し、
前記乾燥気体供給機構は、前記乾燥気体を前記中空シャフトの中空部を通して前記試験槽の槽内に供給することを特徴とする。
【0008】
環境試験装置が試験槽の槽内に搬入されたワークを冷却するための冷却機構を備えている場合には、試験槽の槽内が低温状態となるので、試験槽の壁を貫通して延びているシャフトは伝熱によって低温となる。このためシャフトにおける試験槽の外側に露出している槽外部分には、外気との温度差によって結露が発生し易い状態となる。これに対して、本発明では、試験槽の壁を貫通して延びているシャフトは中空シャフトなので、シャフトが中空シャフトではない場合と比較して、その断面積を小さくすることができる。この結果、伝熱性を低下させることができるので、中空シャフトの槽外部分の温度が伝熱によって低下することを抑制できる。また、中空シャフトの中空部に乾燥気体を流通させるので、中空シャフトと乾燥気体の間の熱交換によって中空シャフトの槽外部分の温度低下を抑制できる。よって、中空シャフトの槽外部分における結露の発生を抑制できる。また、中空シャフトの中空部を流通させた乾燥気体は試験槽の槽内へ供給されるので、試験槽の槽内における結露の発生も抑制できる。ここで、乾燥気体供給機構は、中空シャフトの中空部を、乾燥気体を試験槽の槽内に供給するための気体供給路として利用しているので、乾燥気体を試験槽の槽内に供給するために試験槽の壁を貫通する専用の配管を行う必要がない。よって、装置の製造コストを削減することができる。また、乾燥気体が試験槽の槽内へ供給されているので、試験槽の槽内における圧力を大気圧よりも高い陽圧とすることができ、試験槽の槽内への外気の進入を抑制することができる。
【0009】
本発明において、前記中空シャフトにおける前記試験槽の外側に隣接している隣接部分の内周面には凹凸が形成されていることが望ましい。このようにすれば、試験槽からの伝熱により温度が低下しやすい中空シャフトの隣接部分の内周面の表面積を増加させることができるので、隣接部分における中空シャフトと乾燥気体の間の熱交換を効率よく行うことができる。この結果、隣接部分の温度低下を抑制できるので、隣接部分における結露の発生を抑制できる。
【0010】
本発明において、前記試験槽の槽内にワーク載置台を有し、前記ワーク載置台は、前記中空シャフトによって支持されていることが望ましい。通電試験などにおいて試験槽の槽内でワーク載置台に対する水平度が必要となる場合には、ワーク載置台を試験槽の槽外から当該試験槽の底を貫通して槽内に延びる載置台支持シャフトによって支持することがある。このような場合に、載置台支持シャフトが中空シャフトであれば、伝熱による載置台支持シャフトの槽外部分の温度低下を抑制できるので、槽外部分における結露の発生を抑制できる。
【0011】
この場合において、前記試験槽の槽内に位置している前記中空シャフトの槽内部分には、前記ワーク載置台の表面の側に気体を吹き付ける吹き出し口を備えた気体吹き出し管が取り付けられており、前記気体吹き出し管は、前記中空シャフトの前記中空部に連通していることが望ましい。試験槽の槽外から気体供給路を介して試験槽の槽内に供給される乾燥気体は、中空シャフトの槽内部分を通過する間に試験槽の槽内の空気によって冷却される。従って、この冷却された乾燥気体を、気体吹き出し管を用いてワーク載置台の表面の側に吹き付ければ、冷却された乾燥気体によってワーク載置台に載せられたワークを直接冷却できる。
【0012】
本発明において、前記ワークを搬送するワーク搬送機構を有し、前記ワーク搬送機構は、前記ワークを載せるパレットと、前記試験槽の槽内を経由する搬送経路に沿って延びており、前記パレットが移動可能な状態で載せられているレールと、前記レールに沿って前記試験槽の槽外から当該試験槽の壁を貫通して槽内に延びており、前記パレットに当接可能な突部を備えるワーク搬送用シャフトと、前記試験槽の槽外に配置されており、前記試験槽の槽外に露出している前記ワーク搬送用シャフトの露出部分に連結されているエアシリンダとを備え、前記ワーク搬送用シャフトの前記突部を前記パレットに当接させた状態として、前記エアシリンダによって前記ワーク搬送用シャフトを軸線方向に移動させることにより、前記パレットに載せられた前記ワークを前記試験槽の槽内で移動させ、前記ワーク搬送用シャフトが前記中空シャフトであることが望ましい。すなわち、環境試験装置が駆動源としてエアシリンダを備えるワーク搬送機構を備えている場合には、低温状態での使用が困難なエアシリンダは試験槽の槽外に配置される。このため、エアシリンダに連結されるワーク搬送用シャフトの軸端部分は試験槽の槽外に位置することとなり、結露が発生し易い状態となる。従って、ワーク搬送用シャフトを中空シャフトとしておけば、ワーク搬送用シャフトの軸端部分における温度低下を抑制して、結露の発生を抑制できる。
【0013】
この場合において、前記試験槽として、第1試験槽と、槽内が前記第1試験槽よりも低温状態となる第2試験槽を備え、前記レールは、前記第1試験槽および第2試験槽を経由する搬送経路に沿って延びており、前記ワーク搬送用シャフトは、前記レールに沿って前記第1試験槽の槽外から前記第1試験槽および前記第2試験槽を経由して当該第2試験槽の槽外まで延びており、前記エアシリンダは、前記第1試験槽および前記第2試験槽の槽外に配置され、前記ワーク搬送用シャフトにおける前記第1試験槽および前記第2試験槽の槽外に露出している露出部分に連結されており、前記乾燥気体供給機構は、前記ワーク搬送用シャフトの露出部分における前記第2試験槽の前記第1試験槽とは反対側の部位から前記乾燥気体を当該ワーク搬送用シャフトの前記中空部に導入することが望ましい。このようにすれば、中空シャフトからなるワーク搬送用シャフトを介して複数の試験槽に乾燥気体を供給することができる。また、第1試験槽の槽内には、第1試験槽よりも低温状態となっている第2試験槽を通過することによって冷却された乾燥気体が供給されるので、第1試験槽の槽内を冷却するための冷却機構の負荷を低減させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、試験槽の壁を貫通して延びているシャフトは中空シャフトなので、シャフトが中空シャフトではない場合と比較して、その断面積を小さくすることができる。この結果、伝熱性を低下させることができるので、中空シャフトの槽外部分の温度が伝熱によって低下することを抑制できる。また、中空シャフトの中空部に乾燥気体を流通させるので、中空シャフトと乾燥気体の間の熱交換によって中空シャフトの槽外部分の温度低下を抑制できる。よって、中空シャフトの槽外部分における結露の発生を抑制できる。また、中空シャフトの中空部を流通させた乾燥気体は試験槽の槽内へ供給されるので、試験槽の槽内における結露の発生も抑制できる。ここで、乾燥気体供給機構は、中空シャフトの中空部を、乾燥気体を試験槽の槽内に供給するための気体供給路として利用しているので、乾燥気体を試験槽の槽内に供給するために試験槽の壁を貫通する専用の配管を行う必要がない。よって、装置の製造コストを削減することができる。また、乾燥気体が試験槽の槽内へ供給されているので、試験槽の槽内における圧力を大気圧よりも高い陽圧とすることができ、試験槽の槽内への外気の進入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した環境試験装置の縦断面図である。
【図2】載置台支持シャフトの部分縦断面図および横断面図である。
【図3】本発明を適用したライン型環境試験装置の断面図である。
【図4】図3の環境試験装置のワーク搬送機構を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して、本発明を適用した環境試験装置を説明する。
【0017】
[実施例1]
(全体構成)
図1は環境試験装置の概略断面図である。図1に示すように、本発明の環境試験装置1は、電子基板などのワーク100が搬入される試験槽2と、試験槽2に搬入されたワーク100を支持するワーク支持機構3と、温度制御した空気を試験槽2の槽内で循環させてワーク100を冷却する冷却機構4と、通電試験を行う試験装置5を備えている。また、試験槽2の槽内に乾燥空気(乾燥気体)を供給する乾燥気体供給機構6と、試験槽2の槽内に供給される乾燥空気をワーク100に向って吹き付けるための気体吹き出し管7を備えている。
【0018】
(試験槽)
試験槽2は、直方体形状をしており、断熱パネルからなる矩形の底板11、底板11の周縁から上方に延びる4枚の側板12、および4枚の側板12の上端に被せられた矩形の天井板13によって構成されている。装置正面(図中右側)に配置されている側板12にはワーク100搬入用の開口部12aが形成されている。この側板12には、開口部12aを塞ぐように、槽外から断熱パネルからなる開閉扉14が取り付けられている。
【0019】
(ワーク支持機構)
図1、図2を参照してワーク支持機構3を説明する。図2(a)は試験槽2の外側に隣接する載置台支持シャフトの隣接部分の部分断面図であり、図2(b)はその横断面図であり、図2(c)は従来の載置台支持シャフトの横断面図である。ワーク支持機構3は、開口部12aから試験槽2の槽内に搬入されたワーク100を載せるためのワーク載置台15と、ワーク載置台15を支持する4本の載置台支持シャフト16を備えている。ワーク載置台15には、ワーク載置台15に載せられたワーク100に対して通電試験を行うための試験装置5が設置されている。
【0020】
4本の載置台支持シャフト16は、いずれも中空シャフトであり、試験槽2の槽外から試験槽2の底板11(壁)を貫通して内側に延びている。各載置台支持シャフト16は、試験槽2の槽外に露出している槽外部分16aの下端が試験槽2を支えている装置フレーム17の最下端部分に固定されている。
【0021】
ここで、装置フレーム17は下方へ突出する複数の脚部17aを備えている。脚部17aは、下方への突出量が調節可能となっており、環境試験装置1を設置場所に設置する際には、これらの脚部17aの突出量を調節することによって環境試験装置1の設置姿勢を所定の姿勢とする。環境試験装置1の設置姿勢が所定の姿勢に調整されると、装置フレーム17の最下端部分に固定された載置台支持シャフト16によって支持されているワーク載置台15が水平となる。
【0022】
載置台支持シャフト16の中空部18は、乾燥気体供給機構6が乾燥空気を試験槽2の槽内に供給するための気体供給路となっており、載置台支持シャフト16の槽外部分16aの下端部分には中空部18と連通する乾燥気体導入口19が設けられている。乾燥気体導入口19には、乾燥気体供給機構6の乾燥気体供給管20が接続されている。
【0023】
また、載置台支持シャフト16において試験槽2の槽内に位置している槽内部分16bには、中空部18と連通している複数の乾燥気体供給口21が設けられている。乾燥気体供給口21からは、乾燥気体供給機構6から乾燥気体導入口19を介して中空部18に導入された乾燥空気が試験槽2の槽内に吹き出される。
【0024】
ここで、図2(a)に示すように、載置台支持シャフト16の内周面16cには、中心軸線回りに形成された螺旋の突条からなる旋回フィン(凹凸)22が設けられている。なお、旋回フィン22は、載置台支持シャフト16とは別部品の旋回フィン22をシャフト内に挿入したものであるが、載置台支持シャフト16の内周面16cに直接旋回フィン22を形成してもよい。また、図2(b)に示すように、中空シャフトである本例の載置台支持シャフト16は、図2(c)に示す従来の載置台支持シャフト16と比較して大径となっており、中空シャフトとした場合でも、その剛性が確保されている。
【0025】
(冷却機構)
冷却機構4は、試験槽2の槽内に配置された直方体形状の蒸発器23と、この蒸発器23の上方に配置された送風機24を備えている。蒸発器23は、試験槽2の槽外に配置されている不図示の圧縮器、凝縮器、および膨張弁などと共に冷凍サイクルを構成している。送風機24はシロッコファンを備えており、蒸発器23によって冷却された試験槽2の槽内の空気を槽内で循環させる。
【0026】
蒸発器23には凝縮器および膨張弁を介して供給される冷媒の冷媒供給管25が接続されている。また、試験槽2の槽内の空気との間で熱交換が行われた冷媒を回収して圧縮器に送るための冷媒回収管26が接続されている。
【0027】
(乾燥気体供給機構)
乾燥気体供給機構6は、ヒートレスドライヤ27と、ヒートレスドライヤ27から吐出された乾燥空気を載置台支持シャフト16の乾燥気体導入口19に導いている乾燥気体供給管20を備えている。ヒートレスドライヤ27としては、圧縮空気を吸着剤を用いて除湿する吸着式のものを用いることができる。本例では、乾燥気体供給機構6は吸着式のヒートレスドライヤ27を用いて、露点温度−70℃の乾燥空気を供給する。また、乾燥気体供給機構6から供給される乾燥空気の温度は、環境試験装置1が設置されている場所の外気温度と同一となっている。なお、乾燥空気の温度は外気温度よりも高い温度としてもよい。
【0028】
(試験装置)
試験装置5は、通電用端子とワーク100の通電部分を接触させて、通電試験を行う。試験装置5は、ワーク100が試験槽2に搬入されると、ワーク100が所定の試験温度に達するのに必要な所定時間が経過した後に通電試験を行う。通電試験は、ワーク載置台15に載せられた状態のワーク100に対して行われる。
【0029】
(気体吹き出し管)
気体吹き出し管7は、載置台支持シャフト16の上端のワーク載置台15に近い部分に取り付けられている。気体吹き出し管7の一方の開口端は、ワーク載置台15の表面の側に向って開口している吹き出し口7aとなっており、他方の開口端は、載置台支持シャフト16の内側の中空部18に連通している。
【0030】
(環境試験動作)
環境試験を行う際には、冷却機構4を動作させて、蒸発器23と送風機24によって試験槽2の槽内の空気を冷却して循環させる。また、乾燥気体供給機構6を動作させて、乾燥空気を載置台支持シャフト16の中空部18を介して試験槽2の槽内に供給する。
【0031】
試験槽2の槽内が所定の低温状態となった後に、開閉扉14を開いて開口部12aからワーク100を試験槽2の槽内に搬入し、ワーク載置台15の所定の位置に載せ、開閉扉14を閉じる。ここで、試験槽2の槽内には試験槽2の槽外から載置台支持シャフト16の中空部18を介して乾燥空気が供給されており、試験槽2の槽内における圧力が大気圧よりも高い陽圧となっているので、開閉扉14を開閉したときに外気が試験槽2の槽内へ進入することが抑制される。従って、ワーク100の搬入および搬出に際して、開閉扉14の開閉による試験槽2の槽内の温度変化を小さくすることができる。
【0032】
ワーク100がワーク載置台15に載せられると、載置台支持シャフト16の中空部18を介して供給されている乾燥空気の一部が気体吹き出し管7を介してワーク100に直接吹き付けられる。ここで、試験槽2の槽外から供給された乾燥空気は、載置台支持シャフト16の槽内部分16bを通過する間に試験槽2の槽内の空気との熱交換によって冷却されているので、気体吹き出し管7から吹き出される乾燥空気は低温となっている。従って、気体吹き出し管7から吹き出される乾燥空気をワーク100に直接吹き付けることによってワーク100を効率よく冷却することができる。
【0033】
ワーク100が試験槽2に搬入された後に所定時間が経過すると、ワーク100は冷却されて試験温度に達するので、試験装置5による通電試験が行われる。通電試験が終了すると、開閉扉14を開いて開口部12aからワーク100を試験槽2の外に搬出する。しかる後に、次のワーク100を搬入して、ワーク載置台15上の所定の位置に載せ、新たなワーク100に対する環境試験を行う。
【0034】
(作用効果)
本例によれば、試験槽2の底板11を貫通して延びている載置台支持シャフト16が中空シャフトであり、このシャフトを中空としてない場合と比較して、その断面積が小さくなっている。この結果、載置台支持シャフト16の伝熱性を低下させることができるので、試験槽2の槽内が低温状態となったときに、載置台支持シャフト16の槽外部分16aの温度が伝熱によって低下することを抑制できる。また、中空とした載置台支持シャフト16の内側に乾燥空気を流通させているので、載置台支持シャフト16と乾燥空気の間の熱交換によって載置台支持シャフト16の槽外部分16aの温度の低下を抑制できる。よって、載置台支持シャフト16の槽外部分16aにおける結露の発生を抑制できる。
【0035】
さらに、本例では、載置台支持シャフト16の内周面16cには、軸線方向の全体に旋回フィン22が設けられているので、旋回フィン22を介して載置台支持シャフト16と乾燥空気との間の熱交換が効率よく行われる。この結果、載置台支持シャフト16の槽外部分16aの温度の低下が、より抑制されるので、載置台支持シャフト16の槽外部分16aにおける結露の発生を抑制できる。
【0036】
また、中空とした載置台支持シャフト16の内側を流通させた乾燥空気は、この載置台支持シャフト16の内側を中空部18として試験槽2の槽内へ供給されるので、試験槽2の槽内の露点温度が試験温度より低くなり、試験槽2の槽内における結露の発生も抑制できる。ここで、乾燥気体供給機構6は中空とした載置台支持シャフト16の内側を、乾燥空気を試験槽2の槽内に供給するための乾燥空気供給路として利用しているので、乾燥空気を試験槽2の槽内に供給するために試験槽2の壁を貫通する専用の配管を行う必要がない。よって、環境試験装置1の製造コストを削減することができる。
【0037】
さらに、温度制御した空気を試験槽2の槽内で循環させることによって試験槽2の槽内に配置されたワーク100を冷却して試験温度に到達させる空気温調方式の環境試験装置1では、試験槽2の槽内における温度分布が均一とならず、ワーク100が試験温度に到達するまでの所定時間が長くなる場合があるが、本例によれば、気体吹き出し管7から吹き出される低温の乾燥空気をワーク100に直接吹き付けているので、試験槽2の槽内の温度分布に拘わらずワーク100を効率よく冷却することができ、ワーク100が試験温度に到達するまでの所定時間を短縮することができる。また、気体吹き出し管7から吹き出される低温の乾燥空気をワーク100に直接吹き付けているので、ワーク100が複雑な形状をしている場合でも、短時間でワーク100を試験温度に達するまで冷却できる。
【0038】
ここで、上記の例では、載置台支持シャフト16の内周面16cには軸線方向の全範囲に旋回フィン22が形成されているが、図2(a)に示すように、載置台支持シャフト16において、試験槽2に槽外に隣接している隣接部分16dの内周面16cのみに旋回フィン22を形成しておいてもよい。このようにすれば、隣接部分16dにおいてシャフトと乾燥空気との間の熱交換が効率よく行われるので、中空シャフトの槽外部分16aのうち最も結露が発生しすい隣接部分16dの温度の低下を抑制して、結露の発生を低減させることができる。或いは、載置台支持シャフト16において試験槽2の壁を貫通している貫通部分16eおよび隣接部分16dに旋回フィン22を形成しておけば、貫通部分16eおよび隣接部分16dにおいてシャフトと乾燥空気との間の熱交換が効率よく行われるので、中空シャフトの槽外部分16aのうち最も結露が発生しすい隣接部分16dの温度の低下を抑制して、結露の発生を低減させることができる。
【0039】
また、上記の例では、載置台支持シャフト16の内周面16cに旋回フィン22を形成しているが、内周面16cの表面積を増加させる凹凸が形成されていればよく、その形状はどのようなものでもよい。
【0040】
なお、旋回フィン22を省略しても、載置台支持シャフト16の槽外部分16aの温度低下を抑制し、結露の発生を抑制する効果を得ることができる。また、気体吹き出し管7を省略することもできる。
【0041】
[実施例2]
(全体構成)
図3はライン型環境試験装置の縦断面図である。本例のライン型環境試験装置40は直列に連結された第1試験槽41および第2試験槽42と、第1試験槽41の槽外から第1試験槽41の槽内の第1試験位置Aおよび第2試験槽42の槽内の第2試験位置Bを経由して第2試験槽42の槽外に至る搬送経路Cに沿ってパレットに載せた電子基板などのワーク100を間欠的に搬送するワーク搬送機構43と、温度制御した空気を第1試験槽41の槽内で循環させて第1試験槽41の槽内に搬入されたワーク100を冷却する第1冷却機構44と、温度制御した空気を第2試験槽42の槽内で循環させて第2試験槽42の槽内に搬入されたワーク100を冷却する第2冷却機構45と、第1試験位置Aおよび第2試験位置Bにおいて、それぞれワーク100に対する通電試験を行う第1試験装置46および第2試験装置47と、各試験槽41、42の槽内に乾燥空気を供給する乾燥気体供給機構48を備えている。また、第1試験槽41のワーク搬送方向の上流側を断熱パネルで囲うことにより設けられた前置槽49aと、第1試験槽41と第2試験槽42との間を断熱パネルで囲うことにより設けられた中間槽49bを備えている。
【0042】
ライン型環境試験装置40は、パレット51に載せた状態のワーク100を、ワーク搬送機構43によって搬送経路Cを矢印の方向に間欠的に搬送し、前置槽49a、第1試験槽41、中間槽49bおよび第2試験槽42に、この順番で順次に搬入して、各試験槽41、42の各試験位置A、Bでワーク100に対する通電試験を行う。
【0043】
(試験槽)
第1試験槽41および第2試験槽42は、それぞれ断熱パネルで形成された直方体形状をしている。各試験槽41、42の長手方向で対向している側板52には搬入口53および搬出口54が設けられており、各搬入口53および各搬出口54には、搬入、搬出されるパレット51がそこを通過するのに同期して開閉する搬入口シャッタ55、搬出口シャッタ56が設けられている。
【0044】
(ワーク搬送機構)
図3、図4を参照してワーク搬送機構43を説明する。図4(a)はパレット51が水平案内レール上で停止している状態を示すワーク搬送機構43の部分斜視図であり、図4(b)はパレット51が一括して搬送される状態を示すワーク搬送機構43の部分斜視図である。ワーク搬送機構43は、パレット51と、搬送経路Cに沿って平行に延びており、パレット51が移動可能な状態で載せられている一対の水平案内レール57と、一対の水平案内レール57に沿って第1試験槽41および第2試験槽42を貫通して延びている一対のワーク搬送用シャフト58と、ワーク搬送用シャフト58を駆動するためのシャフト駆動機構59を備えている。
【0045】
パレット51は長方形をしており、その長手方向の両端部が水平案内レール57に載せられている。パレット51の長手方向の両端部からは垂直方向を上方に延びる係合突起51aが突出している。
【0046】
ワーク搬送用シャフト58は一対の水平案内レール57の外側に配置されており、軸受部材60によって軸線方向にスライド自在、かつ、軸線を中心として回転自在に支持されている。ワーク搬送用シャフト58には、軸線方向と直交する方向に突出するように複数の送りピン(突部)61が同一のピッチで取り付けられている。
【0047】
シャフト駆動機構59は、図3に示すように、ワーク搬送用シャフト58を軸線方向に往復移動させるシャフト移動用エアシリンダ62と、ワーク搬送用シャフト58を軸線を中心として所定の角度範囲で回転させる一対のシャフト回転用エアシリンダ63を備えている。シャフト移動用エアシリンダ62およびシャフト回転用エアシリンダ63は、第2試験槽42の第1試験槽41とは反対側に配置されており、いずれも、ワーク搬送用シャフト58において、第2試験槽42から、第1試験槽41とは反対側の外側に露出している露出部分58aに連結されている。
【0048】
ワーク搬送機構43は、図4(a)に示す状態から、シャフト回転用エアシリンダ63を駆動して、ワーク搬送用シャフト58の各送りピン61が水平案内レール57の内側へ水平に倒れるようにワーク搬送用シャフト58を所定の角度だけ回転させ、送りピン61をパレット51の係合突起51aに当接可能な状態とする。この状態で、シャフト移動用エアシリンダ62を駆動して、ワーク搬送用シャフト58を、軸線方向の矢印方向へ1ピッチ分送り出すことによって、図4(b)に示すように、係合突起51aと送りピン61とを係合させ、パレット51とを水平案内レール57上で1ピッチ分搬送する。
【0049】
パレット51を1ピッチ分搬送した後は、シャフト回転用エアシリンダ63を駆動して、ワーク搬送用シャフト58を逆方向に所定の角度だけ回転させて、各送りピン61と係合突起51aとの係合を解除する。また、シャフト移動用エアシリンダ62を駆動して、ワーク搬送用シャフト58を、軸線方向の矢印方向とは逆方向へ1ピッチ分戻す。これらの動作が繰り返し行われることにより、水平案内レール57上にある各パレット51は、各試験槽41、42の各試験位置A、Bを経由する搬送経路Cに沿って1ピッチずつ間欠的に一括して搬送される。
【0050】
ここで、ワーク搬送用シャフト58は、図4に示すように、中空シャフトである。また、ワーク搬送用シャフト58の中空部64は、乾燥気体供給機構48が乾燥空気を各試験槽41、42の槽内に供給するための気体供給路となっており、第2試験槽42の第1試験槽41とは反対側において当該第2試験槽42の槽外に露出しているワーク搬送用シャフト58の露出部分58aには、図3に示すように、中空部64と連通する乾燥気体導入口65が設けられている。乾燥気体導入口65には、乾燥気体供給機構48の乾燥気体供給管50が接続されている。
【0051】
また、ワーク搬送用シャフト58において、各試験槽41、42の槽内に位置している槽内部分58b、および、各試験槽41、42から露出している露出部分58a、58d、58eのうち前置槽49aおよび中間槽49bの内側に位置している露出部分58d、58eには、図4に示すように、中空部64と連通している複数の乾燥気体供給口66が設けられている。乾燥気体供給口66からは、乾燥気体供給機構48から乾燥気体導入口65を介して中空部64内に導入された乾燥空気が、各試験槽41、42、前置槽49aおよび中間槽49bの槽内に吹き出される。
【0052】
(冷却機構)
第1冷却機構44および第2冷却機構45は、図3に示すように、それぞれ、各試験槽41、42の槽内に配置された直方体形状の蒸発器67と、この蒸発器67の上方に配置された送風機68を備えている。蒸発器67は、試験槽2の槽外に配置されている不図示の圧縮器、凝縮器、および膨張弁などと共に冷凍サイクルを構成している。送風機68はシロッコファンを備えており、蒸発器67によって冷却された試験槽2の槽内の空気を槽内で循環させる。
【0053】
本例では、第1冷却機構44によって、第1試験槽41の槽内温度は−20℃の温度状態に管理される。また、第2冷却機構45によって、第2試験槽42の槽内温度は−30℃の温度状態に管理される。
【0054】
(乾燥気体供給機構)
乾燥気体供給機構48は、ヒートレスドライヤ69と、ヒートレスドライヤ69から吐出された乾燥空気を載置台支持シャフト16の乾燥気体導入口65に導いている乾燥気体供給管50を備えている。ヒートレスドライヤ69としては、圧縮空気を吸着剤を用いて除湿する吸着式のものを用いることができる。本例では、乾燥気体供給機構48は吸着式のヒートレスドライヤ27を用いて、露点温度−70℃の乾燥空気を供給する。また、乾燥気体供給機構48から供給される乾燥空気の温度は、ライン型環境試験装置40が設置されている場所の外気温度と同一となっている。なお、乾燥空気の温度は外気温度よりも高い温度としてもよい。
【0055】
(試験装置)
各試験装置46、47は、パレット51に載せられたワーク100が各試験槽41、42の槽内の各試験位置A、Bに至ると、通電用端子とワーク100の通電部分を接触させて、通電試験を行う。通電試験は、パレット51に載せられた状態のワーク100に対して行われる。
【0056】
(環境試験動作)
環境試験を行う際には、各冷却機構44、45により各試験槽41、42の槽内の空気を冷却して循環させる。また、乾燥気体供給機構48を動作させて、乾燥空気をワーク搬送用シャフト58の中空部64を介して各試験槽41、42の槽内に供給する。
【0057】
各試験槽41、42の槽内が所定の低温状態となると、シャフト駆動機構59が駆動される。また、水平案内レール57において第1試験槽41の第2試験槽42とは反対側で第1試験槽41の槽外に露出しているレール端部分をワーク搬入位置Dとして、このワーク搬入位置Dにワーク100を載せたパレット51が逐次に配置される。ワーク搬入位置Dに配置されたワーク100は、ワーク搬送機構43によって間欠的に搬送されて、第1試験槽41の槽内に搬入される。
【0058】
搬入口53から第1試験槽41の槽内に搬入されたワーク100は、第1試験位置Aに到達するまでの間に冷却されて所定の第1試験温度に到達する。すなわち、第1試験槽41の搬入口53から第1試験位置Aまでの距離は、試験槽2を搬送されるワーク100が第1温度に達するのに必要な冷却時間と、第1試験槽41の搬入口53に搬入されたワーク100が第1試験位置Aに到達するまでの搬送時間とに基づいて、ワーク100が第1試験位置Aに達した時点でワーク100の温度が第1試験温度に到達している距離に設定されている。
【0059】
ワーク100が第1試験位置Aに到達すると、ワーク100が第1試験位置Aで停止している間に第1試験装置46による通電試験が行われる。通電試験が終了すると、ワーク搬送機構43によってワーク100は第1試験槽41の搬出口54を介して第1試験槽41から搬出される。
【0060】
第1試験槽41から搬出されたワーク100は、第2試験槽42の搬入口53から第2試験槽42の槽内に搬入される。第2試験温度は第1試験温度よりも低い温度であり、第2試験槽42の槽内に搬入されたワーク100は第2試験位置Bに到達するまでの間に冷却されて第1試験温度よりも低温の第2試験温度に到達する。ワーク100が第2試験位置Bに到達すると、ワーク100が第2試験位置Bで停止している間に第2試験装置47による通電試験が行われる。通電試験が終了すると、ワーク搬送機構43によってワーク100は第2試験槽42の搬出口54を介して第2試験槽42から搬出される。
【0061】
これらの動作は、ワーク搬入位置Dに次々と配置されるワーク100に対して、順番に行われる。
【0062】
(作用効果)
本例によれば、各試験槽41、42の壁を貫通して延びているワーク搬送用シャフト58が中空シャフトであり、このシャフトを中空としてない場合と比較して、断面積が小さくなっている。この結果、ワーク搬送用シャフト58の伝熱性を低下させることができるので、各試験槽41、42の槽内が低温状態となったときに、ワーク搬送用シャフト58において第1試験槽41および第2試験槽42から槽外に露出している露出部分58a、58d、58eの温度が伝熱によって低下することを抑制できる。
【0063】
また、中空としたワーク搬送用シャフト58の内側に乾燥空気を流通させるので、ワーク搬送用シャフト58と乾燥空気の間の熱交換によって、シャフト駆動機構59に接続されているワーク搬送用シャフト58の露出部分58aの温度の低下を抑制できる。よって、この露出部分58aにおける結露の発生を抑制できる。
【0064】
さらに、ワーク搬送用シャフト58の露出部分58a、58d、58eのうち前置槽49aおよび中間槽49bの内側に位置している露出部分58d、58eには、中空部64と連通している複数の乾燥気体供給口66が設けられており、中空部64内に導入された乾燥空気は前置槽49aおよび中間槽49bの槽内に吹き出されるようになっている。従って、第1試験槽41、或いは、第1試験槽41および第2試験槽42を通過することにより冷却されて低温状態となった乾燥空気は前置槽49a内および中間槽49b内に放出され、これら前置槽49aおよび中間槽49bの槽内を低湿低温度とする。この結果、搬入口シャッタ55、搬出口シャッタ56が開閉する際に各試験槽41、42の温度変化が抑えられる。また、前置槽49aおよび中間槽49bの槽内が低湿低温度となるので、露出部分58d、58eにおける結露の発生を抑制できる。
【0065】
また、ワーク搬送用シャフト58の中空部64を流通させた乾燥空気は、第1試験槽41の槽内および第2試験槽42へ供給されるので、各試験槽41、42の槽内における結露の発生も抑制できる。ここで、乾燥気体供給機構48はワーク搬送用シャフト58の中空部64を乾燥空気を各試験槽41、42の槽内に供給するための乾燥空気供給路として利用しているので、乾燥空気を各試験槽41、42の槽内に供給するために各試験槽41、42の壁を貫通する専用の配管を行う必要がない。よって、ライン型環境試験装置40の製造コストを削減することができる。
【0066】
さらに、乾燥空気は、第1試験槽41よりも低温状態となっている第2試験槽42の槽内を介して、第1試験槽41の槽内に供給される。この結果、第2試験槽42を通過することによって冷却された乾燥気体を第1試験槽41の槽内に供給できるので、第1試験槽41の槽内を冷却するための冷却機構44の負荷を低減させることができる。
【0067】
また、各試験槽41、42の槽内には各試験槽41、42の槽外からワーク搬送用シャフト58の中空部64を介して乾燥空気が供給されており、各試験槽41、42の槽内における圧力が大気圧よりも高い陽圧となっているので、ワーク100の搬出および搬入に際して搬入口シャッタ55、搬出口シャッタ56が開閉したときに外気が各試験槽41、42の槽内へ進入することが抑制される。従って、搬入口シャッタ55、搬出口シャッタ56の開閉による各試験槽41、42の槽内の温度変化が小さい。
【0068】
なお、実施例1と同様に、ワーク搬送用シャフト58の内周面58cに、中心軸線回りに形成された螺旋の突条からなる旋回フィンを設けてもよい。このような旋回フィンを形成しておけば、旋回フィンを介してワーク搬送用シャフト58と乾燥空気との間の熱交換が効率よく行われるので、ワーク搬送用シャフト58の露出部分58a、58d、58eの温度の低下が、より抑制され、ワーク搬送用シャフト58の露出部分58a、58d、58eにおける結露の発生を抑制できる。ここで、旋回フィン22は、ワーク搬送用シャフト58において、各試験槽41、42に槽外に隣接している隣接部分のみ、或いは、ワーク搬送用シャフト58において各試験槽41、42の側板52を貫通している貫通部分および隣接部分のみに形成しておいてもよい。
【0069】
また、本例のライン型環境試験装置40は、試験槽として第1試験槽41および第2試験槽42を備えるものであるが、試験槽を1つ、或いは、試験槽を3つ以上の備える場合にも、本願発明を適用できる。
【0070】
(その他の実施の形態)
上記の例は、いずれも、試験槽の槽内に温度制御された空気を循環させることにより、試験槽の槽内に配置したワークを所定の試験温度に冷却する空気温調方式の環境試験装置であるが、本発明をプレート温調方式の環境試験装置に適用することもできる。プレート温調方式の環境試験装置とは、ワークを載せるために試験槽の槽内に配置されているプレートを直接に冷却機構によって冷却し、このプレートによって当該プレートに載せたワークを所定の試験温度に冷却するものである。
【0071】
例えば、冷却機構によって冷却されるプレートが、試験槽の槽外から試験槽の壁を貫通して内側に延びているプレート支持シャフトによって支持されている場合には、プレート支持シャフトを中空シャフトとしておき、プレート支持シャフトの中空部を乾燥空気供給路として乾燥空気を流通させて試験槽の槽内に供給する。このようにすれば、プレート支持シャフトにおける試験槽の槽外に位置している露出部分が、プレートからの伝熱によって冷えて、結露が発生しやすい状態となることを抑制できる。また、試験槽の槽内における結露の発生を抑制できる。
【0072】
また、このようなプレート温調方式の環境試験装置においても、プレートが冷却されることによって試験槽の槽内が低温状態となるので、試験槽の槽外から試験槽の壁を貫通して槽内に延びているシャフトを備えている場合には、このシャフトの槽外部分が伝熱によって冷えて、結露が発生しやすい状態となる。したがって、このようなシャフトを中空シャフトとして、その内側に乾燥空気を流通させれば、シャフトの槽外部分における結露の発生を抑制できる。
【符号の説明】
【0073】
1・環境試験装置、2・試験槽、3・ワーク支持機構、4・冷却機構、5・試験装置、6・乾燥気体供給機構、7・気体吹出し管、7a・吹き出し口、11・底板(壁)、12・側板、12a・開口部、13・天井板、14・開閉扉、15・ワーク載置台、16・載置台支持シャフト(中空シャフト)、16a・槽外部分、16b・槽内部分、16c・内周面、16e・貫通部分、16d・隣接部分、17・装置フレーム、17a・脚部、18・中空部、19・乾燥気体導入口、20・乾燥気体供給管、21・乾燥気体供給口、22・旋回フィン、23・蒸発器、24・送風機、25・冷媒供給管、26・冷媒回収管、27・ヒートレスドライヤ、40・ライン型環境試験装置、41・第1試験槽、42・第2試験槽、43・ワーク搬送機構、44・第1冷却機構、45・第2冷却機構、46・第1試験装置、47・第2試験装置、48・乾燥気体供給機構、49a・前置槽、49b・中間槽、50・乾燥気体供給管、51・パレット、51a・係合突起、52・側板(壁)、53・搬入口、54・搬出口、55・搬入口シャッタ、56・搬出口シャッタ、57・水平案内レール、58・ワーク搬送用シャフト(中空シャフト)、58a・58d・58e・露出部分、58b・槽内部分、58c・内周面、59・シャフト駆動機構、60・軸受、61・送りピン、62・シャフト移動用エアシリンダ、63・シャフト回転用エアシリンダ、64・中空部、65・乾燥気体導入口、66・乾燥気体供給口、67・蒸発器、68・送風機、69・ヒートレスドライヤ、100・ワーク、A・B・試験位置、C・搬送経路、D・ワーク搬入位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験槽と、
前記試験槽の槽内に搬入されたワークを冷却するための冷却機構と、
前記試験槽の槽内に乾燥気体を供給する乾燥気体供給機構と、
前記試験槽の槽外から当該試験槽の壁を貫通して槽内に延びている中空シャフトとを有し、
前記乾燥気体供給機構は、前記乾燥気体を前記中空シャフトの中空部を通して前記試験槽の槽内に供給することを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記中空シャフトにおける前記試験槽の外側に隣接している隣接部分の内周面には凹凸が形成されていることを特徴とする環境試験装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記試験槽の槽内にワーク載置台を有し、
前記ワーク載置台は、前記中空シャフトによって支持されていることを特徴とする環境試験装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記試験槽の槽内に位置している前記中空シャフトの槽内部分には、前記ワーク載置台の表面の側に気体を吹き付ける吹き出し口を備えた気体吹き出し管が取り付けられており、
前記気体吹き出し管は、前記中空シャフトの前記中空部に連通していることを特徴とする環境試験装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記ワークを搬送するワーク搬送機構を有し、
前記ワーク搬送機構は、
前記ワークを載せるパレットと、
前記試験槽の槽内を経由する搬送経路に沿って延びており、前記パレットが移動可能な状態で載せられているレールと、前記レールに沿って前記試験槽の槽外から当該試験槽の壁を貫通して槽内に延びており、前記パレットに当接可能な突部を備えるワーク搬送用シャフトと、
前記試験槽の槽外に配置されており、前記試験槽の槽外に露出している前記ワーク搬送用シャフトの露出部分に連結されているエアシリンダとを備え、
前記ワーク搬送用シャフトの前記突部を前記パレットに当接させた状態として、前記エアシリンダによって前記ワーク搬送用シャフトを軸線方向に移動させることにより、前記パレットに載せられた前記ワークを前記試験槽の槽内で移動させ、
前記ワーク搬送用シャフトが前記中空シャフトであることを特徴とする環境試験装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記試験槽として、第1試験槽と、槽内が前記第1試験槽よりも低温状態となる第2試験槽を備え、
前記レールは、前記第1試験槽および第2試験槽を経由する搬送経路に沿って延びており、
前記ワーク搬送用シャフトは、前記レールに沿って前記第1試験槽の槽外から前記第1試験槽および前記第2試験槽を経由して当該第2試験槽の槽外まで延びており、
前記エアシリンダは、前記第1試験槽および前記第2試験槽の槽外に配置され、前記ワーク搬送用シャフトにおける前記第1試験槽および前記第2試験槽の槽外に露出している露出部分に連結されており、
前記乾燥気体供給機構は、前記ワーク搬送用シャフトの露出部分における前記第2試験槽の前記第1試験槽とは反対側の部位から前記乾燥気体を当該ワーク搬送用シャフトの前記中空部に導入することを特徴とする環境試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−112875(P2012−112875A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263630(P2010−263630)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】