環境試験装置
【課題】製造時に容易に外枠部材を取り付けることが可能な環境試験装置を提供することを目的とする。
【解決手段】外郭筐体の天面と側面を構成する外枠部材7の構造において、外枠部材7は、2つの枠形成部材8a,8bを機械的に接合して形成されており、枠形成部材8a,8bの接合部16,20は、共に2回折り曲げられていて、接合部16,20は、外枠部材7の内側に突出する縦壁部17,21と、縦壁部17,21よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部18,22とを有し、枠形成部材8a,8bの縦壁部17,21同士と横壁部18,22同士が合致されると共に、縦壁部17,21同士の間にシール部14が介在され、さらに横壁部18,22同士の合致された部位が締結要素27で接合されて形成されている構造を有している。
【解決手段】外郭筐体の天面と側面を構成する外枠部材7の構造において、外枠部材7は、2つの枠形成部材8a,8bを機械的に接合して形成されており、枠形成部材8a,8bの接合部16,20は、共に2回折り曲げられていて、接合部16,20は、外枠部材7の内側に突出する縦壁部17,21と、縦壁部17,21よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部18,22とを有し、枠形成部材8a,8bの縦壁部17,21同士と横壁部18,22同士が合致されると共に、縦壁部17,21同士の間にシール部14が介在され、さらに横壁部18,22同士の合致された部位が締結要素27で接合されて形成されている構造を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験物を所望の環境にさらすことができる環境試験装置に関するものであり、特に、環境試験装置の外郭を形成する外枠部材の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品等の性能を評価する方法の一つとして、環境試験がある。環境試験は、製品等を特定の環境下に置き、性能等の変化を観察するものである。
環境試験装置は、試験空間内を所望の温度及び湿度に維持することができるものであり、高温環境や低温環境、高湿度や低湿度といった様々な環境を形成できる。
即ち、環境試験装置は、試験室内に製品を設置し、様々な環境下での製品の性能を評価可能である。
【0003】
また、従来、環境試験装置の試験室は、内側筐体と、そのさらに外側を取り巻く外郭筐体の2重の筐体によって覆われている。
環境試験装置は、例えば、高温高湿等の条件下といった環境試験装置の外部の環境と乖離した環境で試験が行われる場合が多い。このような場合、試験装置の外部の温度に比べて環境試験装置の内部の温度が高くなる。この温度差によって、試験室内の熱が環境試験装置の外部に逃げて試験室内の温度が低下することを防止するために、試験室を覆う内側筐体と外郭筐体の間に断熱部材を介在させて、密閉した断熱空間を形成している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−256019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、3面が囲まれた枠体を作る場合には、一枚の金属板を展開形状にプレスして、これを折り曲げて形成する場合が多い。
ところが、環境試験装置に用いられる外郭筐体は、縦・横・高さがいずれも1mあるいはそれ以上の大きさであるため、一枚の金属板で展開形状を作るには著しく大きな金属板が必要となる。このような大きな金属板は入手しにくい。そこで、一般的に、複数の金属板を接合して1つの枠体を形成している。そのため、環境試験装置の外郭筐体の1部又は全部には、2枚以上の金属板からなる枠体を用いている。
環境試験装置における金属板同士の接合方法では、金属板の端部近傍を90度に折り曲げて接合部を形成する。その後、接合部同士を重ね合わせてスポット溶接を行う。そして、2つの接合部の張り出し方向端部を覆うようにアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールしている。
【0006】
ここで、金属板の接合部をアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールする理由について説明すると、単純にスポット溶接のみを行った枠体を用いた環境試験装置で環境試験を行う際に、金属板の接合部間の隙間から断熱空間と外部とで空気の出入りが生じるためである。具体的には、高温の条件下で環境試験を行った場合、内側筐体から伝わった熱によって断熱材の内部で熱が蓄熱される。熱が蓄熱されると断熱空間内の空気が膨張し、外郭筐体の接合部間の隙間から外部に排出される。逆に低温の条件下で環境試験を行った場合、内側筐体の冷気によって、断熱空間内の空気が圧縮され、外部から接合部間の隙間を介して断熱空間内に外気が進入する。
【0007】
例えば、耐久性試験のように高温の条件と低温の条件を交互に入れ替えて環境試験を行う場合、断熱空間の空気の出入りにより、断熱空間内の空気の水分が結露する場合がある。結露が生じると、断熱材の断熱性能が低下したり、内側筐体の外側面を伝わり、断熱空間の下部に水が溜まったりする場合がある。このような場合、試験室内の試験環境が乱れる虞がある。そこで、一般的に外枠を形成する際には、スポット溶接だけではなく、金属板の接合部をアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールすることで密閉性を高めている。
【0008】
しかしながら、この接合方法では、2つの接合部の張り出し方向端部を接合面の延伸方向に沿って、アルミテープで接着するため、時間がかかる。また、接合部は、外郭筐体の設置空間の制約上、張り出し面積が小さい。そのため、密閉性を確保するためには、前記したようにアルミテープの両端部をシール材でシールする必要があり、多量のシール材で覆う必要がある。即ち、半液状のシール材を用いた場合、シール材が固化するのに時間がかかる。
【0009】
そこで、発明者らは、アルミテープを使用せずに金属板の接合部同士を接合する方法を考えた。そして、ポップリベットを用いて、機械的に金属板の接合部同士を接合した構造を有する環境試験装置を試作した。ポップリベットは、スポット溶接とは異なり、加熱することなく接合できるため、容易に接合でき信頼性が高い。
【0010】
具体的には、試作した環境試験装置の外郭筐体を形成する枠体101は、図19のように、2つの外郭形成部材102a,102bで構成されている。外郭形成部材102a,102bは、従来と同様、板状の金属板で形成されており、それぞれ本体部103と、本体部103の端部から折り曲げられた接合部105を有している。そして、枠体101の内側から外郭形成部材102aの接合部105aと外郭形成部材102bの接合部105bに亘って公知のポップリベット106を打設して接合している。接合方法に注目すると、外郭形成部材102a,102bの端部近傍を90度に折り曲げて接合部105a,105bを形成する。その後、接合部105の一方の外周に流動性を有したシール材を塗布した後に、接合部105a,105bを重ね合わせる。そして、ポップリベット106を用いて接合部105a,105b同士を接合する。その後、ポップリベット106の露出面に液状のシール材を塗布する。
【0011】
試作した環境試験装置では、アルミテープを使用せずに外郭形成部材102a,102bの接合部105a,105b同士を接合できるため、アルミテープを貼る工程を省略でき、従来の接合方法に比べて作業性が改善した。
しかし、環境試験装置において上記したように外郭筐体の外形が大きく、その一部又は全部を形成する枠体101の外形も大きいため、作業者が枠体101の内部に入り、内側から外郭形成部材102a,102bの接合部105a,105bにポップリベット106を打ち込む必要がある。しかしながら、上記したように接合部105は、外郭筐体101の設置空間の制約上、張り出し面積が小さい。そのため、作業者が枠体101の内部に入り、小さな張り出し面積にポップリベット106を打ち込む際に、枠体101の一部に作業者の頭部などが接触し、作業性が十分ではなかった。
また、接合部105a,105bの接合面に塗布されたシール材によって、ポップリベット106を打ち込む際に、接合部105a,105bの接合面が接合面に沿って滑る場合があり、位置決めが困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、製造時に容易に外郭筐体を作成することが可能な環境試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、内部に所望の試験環境を作り出す環境試験装置であって、被試験物が配される内側筐体と、内側筐体の一部又は全部を取り巻く断熱部材と、前記断熱部材のさらに外側にあって前記内側筐体及び断熱部材の一部又は全部を取り巻くと共に環境試験装置の外郭の一部又は全部を構成する外郭筐体とを有する環境試験装置において、外郭筐体の少なくとも天面と側面を構成する枠体があり、前記枠体は、複数の金属板を機械的に接合して形成されており、前記金属板の内、少なくとも接合される2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有し、接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在され、さらに前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなることを特徴とする環境試験装置である。
【0014】
ここでいう「締結要素」とは、ねじや鋲、クリップなどを含む概念である。
ここでいう「合致される」とは、同一方向に向いており、所定の間隔以下に近接されているか接触されている状態を表す。即ち、間に他の部材が介在していてもよい。なお、所定の間隔以下とは、1mm以下であり、100μm以下であることが好ましい。
ここでいう「共に同一の方向」とは、共に重なる方向を表す。
【0015】
本発明の構成によれば、2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有する。即ち、2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられているため、横壁部は、縦壁部に対して傾斜している。そして、2つの金属板の横壁部は共に同一の方向に折り曲げられている。それ故に、金属板の接合時に金属板の接合部同士を重ね合わせることによって、2つの金属板が離反することが防止できるため、接合時に位置固定が容易である。
【0016】
また、本発明の構成によれば、接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在されている。即ち、前記縦壁部同士が合致され、近接した状態で、前記縦壁部同士の間にシール材が介在している。例えば、流動性を有したシール原料を用いてシールを形成した場合、前記縦壁部同士が密着することによって、シール原料が縦壁部の広範囲に広がる。それ故に、縦壁部とシール材の接触面積が大きくなり、金属板の接合部同士の接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。また、シール原料の使用量も従来のシール原料の使用量に比べて低減できる。言い換えると、シール原料の使用量が少量でよいため、シール原料が固化する時間を短縮できる。即ち、施工時間を短縮できる。
【0017】
さらに本発明の構成によれば、前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなる。即ち、前記横壁部同士が合致され、位置決めされた状態で、締結要素によって接合することが可能である。また、前記横壁部同士が合致された状態で、締結要素によって接合されているため、2つの金属板が離反することが防止できる。
【0018】
また、本発明の構成によれば、金属板の接合部同士の接合強度は、シール材の接着強度と締結要素の接続強度の合計強度となるため、従来に比べて強度が向上する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、2枚の金属板の接合部近傍は、同一平面を形成しており、
前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置である。
【0020】
本発明の構成によれば、前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いている。即ち、前記平面に対して横壁部同士が合致された部位は平行となっている。それ故に、例えば、横壁部の面積を大きくすることによって、組み立て作業者は、枠体の内側から締結要素を容易に取り付けることができる。また、2枚の金属板の前記平面部分が、作業者が締結要素を取り付ける際に邪魔になりにくく、作業性が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記枠体は、前記2枚の金属板の接合部を複数箇所備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置である。
【0022】
かかる構成によれば、例えば、内側筐体の容量が大きなものであっても、接合することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、前記角部にシール材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0024】
かかる構成によれば、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、前記角部にシール材が介在されている。例えば、接合時に、流動性を有したシール原料を用いてシールを形成した場合、シール原料を角部に沿って塗布することによって、シール原料の塗布領域を確認しながら作業できる。それ故に、シール原料の塗り忘れを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、金属板の接合時に、位置決めして締結要素で接合可能であるため、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る環境試験装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る環境試験装置の概念図である。
【図3】図1の筐体部を表す斜視図である。
【図4】図3の外枠部材を表す分解斜視図である。
【図5】図3の外枠部材を表す断面斜視図である。
【図6】図4の外枠部材の要部を表す拡大図である。
【図7】図4の外枠部材の要部を表す拡大図である。
【図8】図5の接合部位を表す斜視図である。
【図9】図5の外枠部材の取り付け手順を表す説明図であり、(a)〜(d)は一般的な作業経過における各作業時での接続部位近傍を表す断面図である。
【図10】図9(b)の接続部位近傍を表す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図12】図11の外枠部材の枠形成部材の斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図17】本発明の変形例の外枠部材を表す説明図であり、(a)〜(d)は接続部位近傍を表す図である。
【図18】本発明の変形例の外枠部材の取り付け手順を表す説明図であり、(a)〜(e)は一般的な作業経過における各作業時での接続部位近傍を表す断面図である。
【図19】試作した環境試験装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の第1実施形態に係る環境試験装置1について説明する。
本実施形態の環境試験装置1は、図1のように試験室33を内蔵し環境試験が行われる筐体部2と、試験環境を制御する制御装置を内蔵する制御部30と、筐体部2内の装置の一部を収納する収納部31を有する。
本実施形態の環境試験装置1は、筐体部2内の被試験物が配される試験室33を所定の温度及び湿度に長時間維持することが可能である。
【0028】
まず、最初に環境試験装置1の主要な構成について説明する。
環境試験装置1は、図2のように筐体部2内に、試験室33、加湿装置37、冷却器35、加熱装置36及び送風機38を備えている。試験室33は、筐体部2によって覆われた空間である。そして試験室33と連通する空気流路40があり、当該空気流路40に空気の流れ方向から順に加湿装置37、冷却器35と、加熱装置36、及び送風機38が設けられている。また、空気流路40の出口側に、温度センサー42と湿度センサー43が設けられている。環境試験装置1では、前記した空気流路40内の部材と、温度センサー42及び湿度センサー43によって空気調和装置45が構成されている。
【0029】
加湿装置37は、加湿ヒーター46と水皿47が組み合わされたものであり、水皿47内の水を加湿ヒーター46で加熱して蒸発させる。
【0030】
冷却器35は、公知の冷凍サイクルを構成するものである。
【0031】
加熱装置36は、公知の電気ヒーターである。
【0032】
温度センサー42は、公知の温度センサーである。
【0033】
湿度センサー43は、湿度を検知可能なものであれば特に限定するものではなく、例えば、乾湿球湿度計等が採用できる。
【0034】
環境試験装置1は、内蔵される空気調和装置45によって、試験室33内に所望の温度・湿度環境を作るものである。
即ち、送風機38を駆動して試験室33内の空気を空気流路40に導入し、必要に応じて、加熱、冷却、加湿、除湿して試験室33内を所望の温度・湿度環境にする。
【0035】
試験室33の外側に位置する筐体部2に目を移すと、筐体部2は、図2のように従来と同様、内側筐体3と、内側筐体3の一部又は全部を取り巻く断熱部材5と、断熱部材5のさらに外側を取りまく外郭筐体6とを有する。
以下、筐体部2の構成に注目して説明する。
【0036】
内側筐体3は、公知の内側筐体と同様、略直方体状の筐体であり、内部に試験室33及び空気調和装置45が設置されている。
断熱部材5は、公知の断熱材を用いている。例えば、グラスウール等を採用できる。
外郭筐体6は、図2のように環境試験装置1の外郭の一部又は全部を構成する部材である。外郭筐体6は、図3,4のように筐体部2の底面部60と天面部61と左右の側面部62,63の外郭を形成する外枠部材7を有している。そして、本発明は、外枠部材7の構造に特徴的構成を有する。
【0037】
以下、本発明の特徴たる外枠部材7について説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右前後の位置関係は、通常の設置位置(図3)を基準に説明する。
外枠部材7(枠体)は、図4,5のように複数の枠形成部材8が締結要素27によって機械的に接合されて形成されている。本実施形態では、外枠部材7は、同一形状の2つの枠形成部材8が締結要素27によって機械的に接合されて形成されており、2つの枠形成部材8に囲まれた収納空間15を有している。
【0038】
それぞれの枠形成部材8は、一枚の金属板に折り曲げ加工を施して形成されている。枠形成部材8の素材は、特に限定されるものではなく、ステンレスなどが採用できる。
枠形成部材8は、図5のように断面形状が略「コ」の字状の形状をしている。具体的には、本体部10と、本体部10の両端部から本体部10に対して直交する方向に折り曲げられた張り出し壁部11,12を有している。
【0039】
ここで、それぞれの枠形成部材8は、上記したように同一形状をしている。そこで、以下の枠形成部材8の説明においては、一方の枠形成部材8aについて説明し、もう一方の枠形成部材8bについては、同様であるため省略する。
図4の左に位置する枠形成部材8aにおいて、本体部10の上端部に位置する張り出し壁部11は、図6のように張り出し壁部11の張り出し方向端部に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部16を有している。本実施形態の接合部16は、張り出し壁部11の端部を2回折り曲げられて形成されている。具体的には、張り出し壁部11の基端側(本体部10側)から、張り出し壁部11に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18を有している。縦壁部17は、内側(収納空間15側)に向かって折り曲げられている。横壁部18は、本体部10に近接する方向に折り曲げられている。
横壁部18は、複数の貫通孔23を有しており、当該貫通孔23は張り出し壁部11の長手方向lに並べられている。貫通孔23は、横壁部18の部材厚方向に貫通した孔である。
また、接合部16には、縦壁部17と横壁部18によって角部25が形成されている。
【0040】
また、図4の左に位置する枠形成部材8aにおいて、本体部10の下端部に位置する張り出し壁部12は、図7のように張り出し壁部11と同様、張り出し壁部12の張り出し方向端部に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部20を有している。本実施形態の接合部20は、張り出し壁部12の端部を2回折り曲げられて形成されている。具体的には、本実施形態の接合部20は、張り出し壁部12の基端側(本体部10側)から、張り出し壁部12に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部21と、縦壁部21の張り出し方向端部から縦壁部21に対して交差する方向に折り曲げられた横壁部22を有している。縦壁部21は、内側(収納空間15側)に向かって折り曲げられている。即ち、縦壁部21の延伸方向は、縦壁部17に近接する方向に向いている。横壁部22は、本体部10に離反する方向に折り曲げられている。即ち、横壁部22の延伸方向は、枠形成部材8aの上部に位置する横壁部18の延伸方向に対して対向する方向に向いている。
【0041】
また、接合部20には、縦壁部21と横壁部22によって角部26が形成されている。縦壁部21と横壁部22からなる角部26の角度αは、60度から120度とされている。80度から100度であることが好ましく、90度であることが特に好ましい。
横壁部22は、複数の貫通孔24を有しており、当該貫通孔24は張り出し壁部12の長手方向lに並べられている。貫通孔24は、横壁部22の部材厚方向に貫通した孔である。枠形成部材8aの貫通孔24の位置は、2つの枠形成部材8a,8bを用いて、図5のように組み立て、横壁部18と横壁部22を重ね合わせた時に、後記するように対向する枠形成部材8bの貫通孔23に対応する位置となっている。
【0042】
張り出し壁部11の外側面(上面)から縦壁部17の内側面(下面)までの長さH1(図6)は、張り出し壁部12の内側面(下面)から横壁部22の内側面(下面)までの長さH2(図7)と等しい。
【0043】
締結要素27は、横壁部18と横壁部22を機械的に固定できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ねじや鋲、クリップなどが採用できる。鋲であることが好ましく、一方方向のみで操作が完結できる観点から鋲の中でも、ポップリベットであることが特に好ましい。本実施形態では、締結要素27はポップリベットを採用している。
【0044】
続いて、各姿勢における環境試験装置1の外枠部材7の各部材の位置関係について説明する。
【0045】
2つの枠形成部材8は、図5のように、枠形成部材8の接合部16,20を重ね合わせて、収納空間15を形成した状態においては、枠形成部材8の本体部10同士が対面し、張り出し壁部11と張り出し壁部12が同一平面上に並んだ配置となる。具体的には、2つの枠形成部材8は、一方の枠形成部材8bの天地を逆転させて、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20、枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16を重ね合わせた配置となっている。
【0046】
図5の上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の位置関係に注目すると、図8のように枠形成部材8aの張り出し壁部11の外側面(上面)と、枠形成部材8bの張り出し壁部12の外側面(上面)は、面一となっている。枠形成部材8aの縦壁部17と枠形成部材8bの縦壁部21はシール部14を介して重なり合っている。枠形成部材8aの横壁部18と枠形成部材8bの横壁部22は、同一方向に張り出しており、横壁部18の内側面(下面)と横壁部22の外側面(上面)が重なり合っている。また、枠形成部材8aの角部25は、枠形成部材8bの角部26と一致している。即ち、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20は合致している。
枠形成部材8aの貫通孔23と、枠形成部材8bの貫通孔24は互いに連通しており、貫通孔23,24に亘って、公知の締結要素27が挿入されている。
【0047】
一方、図5の下方に位置する枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16の位置関係は、上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の位置関係と天地が逆転していること以外は同様であるため、説明を省略する。
【0048】
続いて、各姿勢における環境試験装置1の外枠部材7の接合方法を説明する。なお、外枠部材7は、上記したように枠形成部材8aと枠形成部材8bを接合することによって形成されるが、図5の上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の接合方法は、図5の下方に位置する枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16の接合方法と同様であるため、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の接合方法についてのみ説明し、残りは省略する。
【0049】
まず、枠形成部材8aの接合部16の一部と枠形成部材8bの接合部20の一部を重ね合わせる(図9(a))。
このとき、縦壁部17と縦壁部21は所定の間隔を空けて配されている。即ち、縦壁部17と縦壁部21の間には隙間28が形成されている。横壁部18の一部は、横壁部22上に載置されている。
【0050】
続いて、隙間28の延伸方向に沿って、流動性を有したシール原料を塗布する(図9(b))。具体的には、角部26に沿ってゲル状のシール原料を注入する。
このとき、図10のように隙間28の延伸方向lに沿って角部26に液状のシール原料が満たされている。即ち、隙間28内の横壁部22上にシール原料が塗布されている。
【0051】
その後、枠形成部材8aの縦壁部17と枠形成部材8bの縦壁部21が近接する方向に縦壁部17と縦壁部21を押しつける(図9(c))。
このとき、隙間28内に配されたシール原料は、縦壁部17と縦壁部21によって押圧され、縦壁部17と縦壁部21の広範囲に伸ばされている。即ち、隙間28内に配されたシール原料は、縦壁部17と縦壁部21の広範囲に広がっている。また、隙間28の間隔は極めて減少しており、縦壁部17と縦壁部21が重ね合わされている。それ故に、縦壁部17,21とシール原料の接触面積が大きくなり、シール原料が固化した際の接合部16,20同士の接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。
また、枠形成部材8aの貫通孔23は、枠形成部材8bの貫通孔24と連通している。
枠形成部材8aの横壁部18は、枠形成部材8bの横壁部22と重なっている。言い換えると、横壁部18は、横壁部22上に載置されている。
【0052】
最後に、貫通孔23,24に公知の締結要素27を収納空間15側から挿入し(図9(d))、シール原料を固化させ、シール部14を形成することによって、外枠部材7が形成される。
このとき、横壁部18,22は、締結要素27の挿入方向に対して交差する方向を向いているため、締結要素27の取り付けが容易となっている。
【0053】
本発明の環境試験装置1によれば、外枠部材7は、2つの枠形成部材8の接合部16と接合部20をそれぞれ重ね合わせたものである。即ち、縦壁部17と縦壁部21及び横壁部18と横壁部22が重ね合わされているため、鉛直下方向の移動は、横壁部22に横壁部18が当接することにより規制される。それ故に、接合時に位置固定が容易である。
【0054】
また、本発明の環境試験装置1によれば、縦壁部17と縦壁部21が密着することによって、シール原料が縦壁部17と縦壁部21の接合面の広範囲に広がるため、縦壁部17とシール部14、縦壁部21とシール部14のそれぞれの接触面積が大きくなり、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20、枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16のそれぞれの接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。また、シール原料の使用量も従来のシール原料の使用量に比べて低減できる。言い換えると、シール原料の使用量が少量でよいため、シール原料が固化する時間を短縮できる。即ち、施工時間を短縮できる。
【0055】
また、本発明の環境試験装置1によれば、接合部16,20同士の接合強度は、固化したシール部14の接着強度と締結要素27の接続強度の合計強度となるため、高強度である。
【0056】
上記した実施形態では、外枠部材7は同一形状の枠形成部材8aと枠形成部材8bを直接接合して形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、枠形成部材8aと枠形成部材8bの間に、他の枠形成部材を介在させてもよい。
具体的には、本発明の第2実施形態として説明する。なお、第1実施形態と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の外枠部材50は、図11のように平行に配された2つの枠形成部材8a,8bを枠形成部材51a,51bでつなぎ、締結要素27によってそれぞれ機械的に接合されて形成されている。そして、外枠部材50は、枠形成部材8a,8bと、枠形成部材51a,51bに囲まれた収納空間15を有している。
【0058】
枠形成部材51は、外枠部材50の天面又は底面の一部を形成する部材である。枠形成部材51は、図12のように長方形状の本体部55と、本体部55の幅方向wの両端部近傍に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部56,57をそれぞれ有している。本実施形態では、本体部55の幅方向wの一方の端部(図12では左端部)に接合部57、本体部55の幅方向wのもう一方の端部(図12では右端部)に接合部56が設けられている。
【0059】
本実施形態の接合部57は、第1実施形態の接合部20と略同一である。即ち、接合部57は、枠形成部材51の本体部55の幅方向w端部から、本体部55に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部21と、縦壁部21の張り出し方向端部から縦壁部21に対して交差する方向に折り返された横壁部22を有している。また、横壁部22は、本体部55の幅方向中央側から離反する方向に折り曲げられている。
本実施形態の接合部56は、第1実施形態の接合部16と略同一である。即ち、接合部56は、枠形成部材51の本体部55の幅方向w端部から、本体部55に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18を有している。また、横壁部18は、本体部55の幅方向中央側に折り曲げられている。
即ち、接合部56,57の横壁部22,18の延伸方向は、同一方向となっている。
【0060】
続いて、各姿勢における環境試験装置の外枠部材50の各部材の位置関係について説明する。
【0061】
外枠部材50は、図11のように、2つの枠形成部材8の本体部10同士、及び2つの枠形成部材51の本体部55同士が互いに向き合って平行に配されており、正面視で四角形を形成している。
2つの枠形成部材51は、枠形成部材8の接合部16,20を重ね合わせて、収納空間15を形成した状態においては、枠形成部材51の本体部55同士が対面した配置である。
【0062】
具体的には、2つの枠形成部材51の内、一方の枠形成部材51bは、天地を逆転させて配されている。そして、図11の上方に位置する枠形成部材51aにおいては、枠形成部材51aの接合部57と枠形成部材8aの接合部16、枠形成部材51aの接合部56と枠形成部材8bの接合部20がそれぞれ重ね合わせた配置となっている。
【0063】
一方、図11の下方に位置する枠形成部材51bにおいては、枠形成部材51bの接合部56と枠形成部材8aの接合部20、枠形成部材51bの接合部57と枠形成部材8bの接合部16がそれぞれ重ね合わせた配置となっている。
即ち、枠形成部材8a,8bの接合部16は、枠形成部材51a,51bの接合部57と合致している。同様に枠形成部材8a,8bの接合部20は、枠形成部材51a,51bの接合部56と合致している。
【0064】
本実施形態によれば、例え、試験室33の大きな環境試験装置であっても、第1実施形態の枠形成部材8に、枠形成部材51を増設するだけで、収納空間15の容積が大きな外枠部材50を製造可能であるため、量産性に優れている。
【0065】
上記した実施形態では、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部18、及び枠形成部材8a,8bの横壁部22の延伸方向はそれぞれ同一方向を向いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、異なる方向を向いていてもよい。例えば、図13のように、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部の延伸方向が対向していてもよい。その場合、枠形成部材8a,8bは接合部20のみ、枠形成部材51a,51bは接合部56のみ有している(第3実施形態)。
一方、図14のように、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部の延伸方向が互いに離反する方向を向いていてもよい。その場合、枠形成部材8a,8bは接合部16のみ、枠形成部材51a,51bは接合部57のみ有している(第4実施形態)。
【0066】
上記した第1実施形態では、本体部10の一方の端部に位置する張り出し壁部11と、本体部10の他方の端部に位置する張り出し壁部12には、張り出し壁部11に接合部16、張り出し壁部12に接合部20のように、異なる接合部を設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図15のようにそれぞれの張り出し壁部11、張り出し壁部12に同一の接合部を設けてもよい(第5実施形態)。本実施形態の場合、一方の枠形成部材8aの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部16を設け、他方の枠形成部材8bの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部20を設ける。
【0067】
同様に、上記した第2実施形態においても、張り出し壁部11と張り出し壁部12には、張り出し壁部11に接合部16、張り出し壁部12に接合部20のように、それぞれ異なる接合部が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図16のようにそれぞれの張り出し壁部11、張り出し壁部12に同一の接合部を設けてもよい(第6実施形態)。本実施形態の場合、一方の枠形成部材8aの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部16を設け、他方の枠形成部材8bの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部20を設ける。
【0068】
上記した実施形態では、接合部16は、張り出し壁部11の基端側から、張り出し壁部に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18から形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、張り出し壁部11に対する縦壁部17の折り曲げ角度及び縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度は特に限定されない。例えば、図17(a)のように張り出し壁部11に対する縦壁部17の折り曲げ角度βは、張り出し壁部に対して鋭角となっていてもよいし、図17(b)のように張り出し壁部に対する縦壁部17の折り曲げ角度βが張り出し壁部に対して鈍角となっていてもよい。また、例えば、図17(c)のように縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度γが縦壁部17に対して鋭角となっていてもよいし、図17(d)のように縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度γが縦壁部17に対して鈍角となっていてもよい。
また、接合部20,56,57も同様の角度であってもよい。この場合、これらの接合部に接合される他方の接合部は、接合部16,20,56,57に沿う形状となる。
【0069】
上記した実施形態は、外郭筐体の天面部61と底面部60に枠形成部材の接合部を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、接合部の場所は限定されない。例えば、外郭筐体の側面部62,63に設けてもよい。なお、接合部は、収納空間15を介して対向する位置に設けることが好ましい。
【0070】
上記した実施形態では、外枠部材は2つ又は4つの枠形成部材によって形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、枠形成部材の数は限定されない。
【0071】
上記した実施形態では、一方の枠形成部材の接合部16の一部ともう一方の枠形成部材の接合部20の一部を重ね合わせた後、隙間28の延伸方向に沿って、流動性を有したシール原料を塗布したが、本発明はこの順番に限定されるものではなく、図18(a)〜図18(c)のように流動性を有したシール原料を角部26に塗布した後に、接合部16と接合部20を重ね合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 環境試験装置
3 内側筐体
5 断熱部材
6 外郭筐体
7 外枠部材(枠体)
8 枠形成部材(金属板)
14 シール部(シール材)
16,20 接合部
17,21 縦壁部
18,22 横壁部
25,26 角部
27 締結要素
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験物を所望の環境にさらすことができる環境試験装置に関するものであり、特に、環境試験装置の外郭を形成する外枠部材の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製品等の性能を評価する方法の一つとして、環境試験がある。環境試験は、製品等を特定の環境下に置き、性能等の変化を観察するものである。
環境試験装置は、試験空間内を所望の温度及び湿度に維持することができるものであり、高温環境や低温環境、高湿度や低湿度といった様々な環境を形成できる。
即ち、環境試験装置は、試験室内に製品を設置し、様々な環境下での製品の性能を評価可能である。
【0003】
また、従来、環境試験装置の試験室は、内側筐体と、そのさらに外側を取り巻く外郭筐体の2重の筐体によって覆われている。
環境試験装置は、例えば、高温高湿等の条件下といった環境試験装置の外部の環境と乖離した環境で試験が行われる場合が多い。このような場合、試験装置の外部の温度に比べて環境試験装置の内部の温度が高くなる。この温度差によって、試験室内の熱が環境試験装置の外部に逃げて試験室内の温度が低下することを防止するために、試験室を覆う内側筐体と外郭筐体の間に断熱部材を介在させて、密閉した断熱空間を形成している(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−256019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、3面が囲まれた枠体を作る場合には、一枚の金属板を展開形状にプレスして、これを折り曲げて形成する場合が多い。
ところが、環境試験装置に用いられる外郭筐体は、縦・横・高さがいずれも1mあるいはそれ以上の大きさであるため、一枚の金属板で展開形状を作るには著しく大きな金属板が必要となる。このような大きな金属板は入手しにくい。そこで、一般的に、複数の金属板を接合して1つの枠体を形成している。そのため、環境試験装置の外郭筐体の1部又は全部には、2枚以上の金属板からなる枠体を用いている。
環境試験装置における金属板同士の接合方法では、金属板の端部近傍を90度に折り曲げて接合部を形成する。その後、接合部同士を重ね合わせてスポット溶接を行う。そして、2つの接合部の張り出し方向端部を覆うようにアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールしている。
【0006】
ここで、金属板の接合部をアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールする理由について説明すると、単純にスポット溶接のみを行った枠体を用いた環境試験装置で環境試験を行う際に、金属板の接合部間の隙間から断熱空間と外部とで空気の出入りが生じるためである。具体的には、高温の条件下で環境試験を行った場合、内側筐体から伝わった熱によって断熱材の内部で熱が蓄熱される。熱が蓄熱されると断熱空間内の空気が膨張し、外郭筐体の接合部間の隙間から外部に排出される。逆に低温の条件下で環境試験を行った場合、内側筐体の冷気によって、断熱空間内の空気が圧縮され、外部から接合部間の隙間を介して断熱空間内に外気が進入する。
【0007】
例えば、耐久性試験のように高温の条件と低温の条件を交互に入れ替えて環境試験を行う場合、断熱空間の空気の出入りにより、断熱空間内の空気の水分が結露する場合がある。結露が生じると、断熱材の断熱性能が低下したり、内側筐体の外側面を伝わり、断熱空間の下部に水が溜まったりする場合がある。このような場合、試験室内の試験環境が乱れる虞がある。そこで、一般的に外枠を形成する際には、スポット溶接だけではなく、金属板の接合部をアルミテープで接着し、さらに当該アルミテープの両端部をシール材でシールすることで密閉性を高めている。
【0008】
しかしながら、この接合方法では、2つの接合部の張り出し方向端部を接合面の延伸方向に沿って、アルミテープで接着するため、時間がかかる。また、接合部は、外郭筐体の設置空間の制約上、張り出し面積が小さい。そのため、密閉性を確保するためには、前記したようにアルミテープの両端部をシール材でシールする必要があり、多量のシール材で覆う必要がある。即ち、半液状のシール材を用いた場合、シール材が固化するのに時間がかかる。
【0009】
そこで、発明者らは、アルミテープを使用せずに金属板の接合部同士を接合する方法を考えた。そして、ポップリベットを用いて、機械的に金属板の接合部同士を接合した構造を有する環境試験装置を試作した。ポップリベットは、スポット溶接とは異なり、加熱することなく接合できるため、容易に接合でき信頼性が高い。
【0010】
具体的には、試作した環境試験装置の外郭筐体を形成する枠体101は、図19のように、2つの外郭形成部材102a,102bで構成されている。外郭形成部材102a,102bは、従来と同様、板状の金属板で形成されており、それぞれ本体部103と、本体部103の端部から折り曲げられた接合部105を有している。そして、枠体101の内側から外郭形成部材102aの接合部105aと外郭形成部材102bの接合部105bに亘って公知のポップリベット106を打設して接合している。接合方法に注目すると、外郭形成部材102a,102bの端部近傍を90度に折り曲げて接合部105a,105bを形成する。その後、接合部105の一方の外周に流動性を有したシール材を塗布した後に、接合部105a,105bを重ね合わせる。そして、ポップリベット106を用いて接合部105a,105b同士を接合する。その後、ポップリベット106の露出面に液状のシール材を塗布する。
【0011】
試作した環境試験装置では、アルミテープを使用せずに外郭形成部材102a,102bの接合部105a,105b同士を接合できるため、アルミテープを貼る工程を省略でき、従来の接合方法に比べて作業性が改善した。
しかし、環境試験装置において上記したように外郭筐体の外形が大きく、その一部又は全部を形成する枠体101の外形も大きいため、作業者が枠体101の内部に入り、内側から外郭形成部材102a,102bの接合部105a,105bにポップリベット106を打ち込む必要がある。しかしながら、上記したように接合部105は、外郭筐体101の設置空間の制約上、張り出し面積が小さい。そのため、作業者が枠体101の内部に入り、小さな張り出し面積にポップリベット106を打ち込む際に、枠体101の一部に作業者の頭部などが接触し、作業性が十分ではなかった。
また、接合部105a,105bの接合面に塗布されたシール材によって、ポップリベット106を打ち込む際に、接合部105a,105bの接合面が接合面に沿って滑る場合があり、位置決めが困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、製造時に容易に外郭筐体を作成することが可能な環境試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、内部に所望の試験環境を作り出す環境試験装置であって、被試験物が配される内側筐体と、内側筐体の一部又は全部を取り巻く断熱部材と、前記断熱部材のさらに外側にあって前記内側筐体及び断熱部材の一部又は全部を取り巻くと共に環境試験装置の外郭の一部又は全部を構成する外郭筐体とを有する環境試験装置において、外郭筐体の少なくとも天面と側面を構成する枠体があり、前記枠体は、複数の金属板を機械的に接合して形成されており、前記金属板の内、少なくとも接合される2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有し、接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在され、さらに前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなることを特徴とする環境試験装置である。
【0014】
ここでいう「締結要素」とは、ねじや鋲、クリップなどを含む概念である。
ここでいう「合致される」とは、同一方向に向いており、所定の間隔以下に近接されているか接触されている状態を表す。即ち、間に他の部材が介在していてもよい。なお、所定の間隔以下とは、1mm以下であり、100μm以下であることが好ましい。
ここでいう「共に同一の方向」とは、共に重なる方向を表す。
【0015】
本発明の構成によれば、2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有する。即ち、2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられているため、横壁部は、縦壁部に対して傾斜している。そして、2つの金属板の横壁部は共に同一の方向に折り曲げられている。それ故に、金属板の接合時に金属板の接合部同士を重ね合わせることによって、2つの金属板が離反することが防止できるため、接合時に位置固定が容易である。
【0016】
また、本発明の構成によれば、接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在されている。即ち、前記縦壁部同士が合致され、近接した状態で、前記縦壁部同士の間にシール材が介在している。例えば、流動性を有したシール原料を用いてシールを形成した場合、前記縦壁部同士が密着することによって、シール原料が縦壁部の広範囲に広がる。それ故に、縦壁部とシール材の接触面積が大きくなり、金属板の接合部同士の接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。また、シール原料の使用量も従来のシール原料の使用量に比べて低減できる。言い換えると、シール原料の使用量が少量でよいため、シール原料が固化する時間を短縮できる。即ち、施工時間を短縮できる。
【0017】
さらに本発明の構成によれば、前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなる。即ち、前記横壁部同士が合致され、位置決めされた状態で、締結要素によって接合することが可能である。また、前記横壁部同士が合致された状態で、締結要素によって接合されているため、2つの金属板が離反することが防止できる。
【0018】
また、本発明の構成によれば、金属板の接合部同士の接合強度は、シール材の接着強度と締結要素の接続強度の合計強度となるため、従来に比べて強度が向上する。
【0019】
請求項2に記載の発明は、2枚の金属板の接合部近傍は、同一平面を形成しており、
前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置である。
【0020】
本発明の構成によれば、前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いている。即ち、前記平面に対して横壁部同士が合致された部位は平行となっている。それ故に、例えば、横壁部の面積を大きくすることによって、組み立て作業者は、枠体の内側から締結要素を容易に取り付けることができる。また、2枚の金属板の前記平面部分が、作業者が締結要素を取り付ける際に邪魔になりにくく、作業性が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明は、前記枠体は、前記2枚の金属板の接合部を複数箇所備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置である。
【0022】
かかる構成によれば、例えば、内側筐体の容量が大きなものであっても、接合することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、前記角部にシール材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境試験装置である。
【0024】
かかる構成によれば、前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、前記角部にシール材が介在されている。例えば、接合時に、流動性を有したシール原料を用いてシールを形成した場合、シール原料を角部に沿って塗布することによって、シール原料の塗布領域を確認しながら作業できる。それ故に、シール原料の塗り忘れを防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の構成によれば、金属板の接合時に、位置決めして締結要素で接合可能であるため、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る環境試験装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る環境試験装置の概念図である。
【図3】図1の筐体部を表す斜視図である。
【図4】図3の外枠部材を表す分解斜視図である。
【図5】図3の外枠部材を表す断面斜視図である。
【図6】図4の外枠部材の要部を表す拡大図である。
【図7】図4の外枠部材の要部を表す拡大図である。
【図8】図5の接合部位を表す斜視図である。
【図9】図5の外枠部材の取り付け手順を表す説明図であり、(a)〜(d)は一般的な作業経過における各作業時での接続部位近傍を表す断面図である。
【図10】図9(b)の接続部位近傍を表す斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図12】図11の外枠部材の枠形成部材の斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図16】本発明の第6実施形態に係る外枠部材の斜視図である。
【図17】本発明の変形例の外枠部材を表す説明図であり、(a)〜(d)は接続部位近傍を表す図である。
【図18】本発明の変形例の外枠部材の取り付け手順を表す説明図であり、(a)〜(e)は一般的な作業経過における各作業時での接続部位近傍を表す断面図である。
【図19】試作した環境試験装置の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の第1実施形態に係る環境試験装置1について説明する。
本実施形態の環境試験装置1は、図1のように試験室33を内蔵し環境試験が行われる筐体部2と、試験環境を制御する制御装置を内蔵する制御部30と、筐体部2内の装置の一部を収納する収納部31を有する。
本実施形態の環境試験装置1は、筐体部2内の被試験物が配される試験室33を所定の温度及び湿度に長時間維持することが可能である。
【0028】
まず、最初に環境試験装置1の主要な構成について説明する。
環境試験装置1は、図2のように筐体部2内に、試験室33、加湿装置37、冷却器35、加熱装置36及び送風機38を備えている。試験室33は、筐体部2によって覆われた空間である。そして試験室33と連通する空気流路40があり、当該空気流路40に空気の流れ方向から順に加湿装置37、冷却器35と、加熱装置36、及び送風機38が設けられている。また、空気流路40の出口側に、温度センサー42と湿度センサー43が設けられている。環境試験装置1では、前記した空気流路40内の部材と、温度センサー42及び湿度センサー43によって空気調和装置45が構成されている。
【0029】
加湿装置37は、加湿ヒーター46と水皿47が組み合わされたものであり、水皿47内の水を加湿ヒーター46で加熱して蒸発させる。
【0030】
冷却器35は、公知の冷凍サイクルを構成するものである。
【0031】
加熱装置36は、公知の電気ヒーターである。
【0032】
温度センサー42は、公知の温度センサーである。
【0033】
湿度センサー43は、湿度を検知可能なものであれば特に限定するものではなく、例えば、乾湿球湿度計等が採用できる。
【0034】
環境試験装置1は、内蔵される空気調和装置45によって、試験室33内に所望の温度・湿度環境を作るものである。
即ち、送風機38を駆動して試験室33内の空気を空気流路40に導入し、必要に応じて、加熱、冷却、加湿、除湿して試験室33内を所望の温度・湿度環境にする。
【0035】
試験室33の外側に位置する筐体部2に目を移すと、筐体部2は、図2のように従来と同様、内側筐体3と、内側筐体3の一部又は全部を取り巻く断熱部材5と、断熱部材5のさらに外側を取りまく外郭筐体6とを有する。
以下、筐体部2の構成に注目して説明する。
【0036】
内側筐体3は、公知の内側筐体と同様、略直方体状の筐体であり、内部に試験室33及び空気調和装置45が設置されている。
断熱部材5は、公知の断熱材を用いている。例えば、グラスウール等を採用できる。
外郭筐体6は、図2のように環境試験装置1の外郭の一部又は全部を構成する部材である。外郭筐体6は、図3,4のように筐体部2の底面部60と天面部61と左右の側面部62,63の外郭を形成する外枠部材7を有している。そして、本発明は、外枠部材7の構造に特徴的構成を有する。
【0037】
以下、本発明の特徴たる外枠部材7について説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右前後の位置関係は、通常の設置位置(図3)を基準に説明する。
外枠部材7(枠体)は、図4,5のように複数の枠形成部材8が締結要素27によって機械的に接合されて形成されている。本実施形態では、外枠部材7は、同一形状の2つの枠形成部材8が締結要素27によって機械的に接合されて形成されており、2つの枠形成部材8に囲まれた収納空間15を有している。
【0038】
それぞれの枠形成部材8は、一枚の金属板に折り曲げ加工を施して形成されている。枠形成部材8の素材は、特に限定されるものではなく、ステンレスなどが採用できる。
枠形成部材8は、図5のように断面形状が略「コ」の字状の形状をしている。具体的には、本体部10と、本体部10の両端部から本体部10に対して直交する方向に折り曲げられた張り出し壁部11,12を有している。
【0039】
ここで、それぞれの枠形成部材8は、上記したように同一形状をしている。そこで、以下の枠形成部材8の説明においては、一方の枠形成部材8aについて説明し、もう一方の枠形成部材8bについては、同様であるため省略する。
図4の左に位置する枠形成部材8aにおいて、本体部10の上端部に位置する張り出し壁部11は、図6のように張り出し壁部11の張り出し方向端部に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部16を有している。本実施形態の接合部16は、張り出し壁部11の端部を2回折り曲げられて形成されている。具体的には、張り出し壁部11の基端側(本体部10側)から、張り出し壁部11に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18を有している。縦壁部17は、内側(収納空間15側)に向かって折り曲げられている。横壁部18は、本体部10に近接する方向に折り曲げられている。
横壁部18は、複数の貫通孔23を有しており、当該貫通孔23は張り出し壁部11の長手方向lに並べられている。貫通孔23は、横壁部18の部材厚方向に貫通した孔である。
また、接合部16には、縦壁部17と横壁部18によって角部25が形成されている。
【0040】
また、図4の左に位置する枠形成部材8aにおいて、本体部10の下端部に位置する張り出し壁部12は、図7のように張り出し壁部11と同様、張り出し壁部12の張り出し方向端部に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部20を有している。本実施形態の接合部20は、張り出し壁部12の端部を2回折り曲げられて形成されている。具体的には、本実施形態の接合部20は、張り出し壁部12の基端側(本体部10側)から、張り出し壁部12に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部21と、縦壁部21の張り出し方向端部から縦壁部21に対して交差する方向に折り曲げられた横壁部22を有している。縦壁部21は、内側(収納空間15側)に向かって折り曲げられている。即ち、縦壁部21の延伸方向は、縦壁部17に近接する方向に向いている。横壁部22は、本体部10に離反する方向に折り曲げられている。即ち、横壁部22の延伸方向は、枠形成部材8aの上部に位置する横壁部18の延伸方向に対して対向する方向に向いている。
【0041】
また、接合部20には、縦壁部21と横壁部22によって角部26が形成されている。縦壁部21と横壁部22からなる角部26の角度αは、60度から120度とされている。80度から100度であることが好ましく、90度であることが特に好ましい。
横壁部22は、複数の貫通孔24を有しており、当該貫通孔24は張り出し壁部12の長手方向lに並べられている。貫通孔24は、横壁部22の部材厚方向に貫通した孔である。枠形成部材8aの貫通孔24の位置は、2つの枠形成部材8a,8bを用いて、図5のように組み立て、横壁部18と横壁部22を重ね合わせた時に、後記するように対向する枠形成部材8bの貫通孔23に対応する位置となっている。
【0042】
張り出し壁部11の外側面(上面)から縦壁部17の内側面(下面)までの長さH1(図6)は、張り出し壁部12の内側面(下面)から横壁部22の内側面(下面)までの長さH2(図7)と等しい。
【0043】
締結要素27は、横壁部18と横壁部22を機械的に固定できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ねじや鋲、クリップなどが採用できる。鋲であることが好ましく、一方方向のみで操作が完結できる観点から鋲の中でも、ポップリベットであることが特に好ましい。本実施形態では、締結要素27はポップリベットを採用している。
【0044】
続いて、各姿勢における環境試験装置1の外枠部材7の各部材の位置関係について説明する。
【0045】
2つの枠形成部材8は、図5のように、枠形成部材8の接合部16,20を重ね合わせて、収納空間15を形成した状態においては、枠形成部材8の本体部10同士が対面し、張り出し壁部11と張り出し壁部12が同一平面上に並んだ配置となる。具体的には、2つの枠形成部材8は、一方の枠形成部材8bの天地を逆転させて、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20、枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16を重ね合わせた配置となっている。
【0046】
図5の上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の位置関係に注目すると、図8のように枠形成部材8aの張り出し壁部11の外側面(上面)と、枠形成部材8bの張り出し壁部12の外側面(上面)は、面一となっている。枠形成部材8aの縦壁部17と枠形成部材8bの縦壁部21はシール部14を介して重なり合っている。枠形成部材8aの横壁部18と枠形成部材8bの横壁部22は、同一方向に張り出しており、横壁部18の内側面(下面)と横壁部22の外側面(上面)が重なり合っている。また、枠形成部材8aの角部25は、枠形成部材8bの角部26と一致している。即ち、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20は合致している。
枠形成部材8aの貫通孔23と、枠形成部材8bの貫通孔24は互いに連通しており、貫通孔23,24に亘って、公知の締結要素27が挿入されている。
【0047】
一方、図5の下方に位置する枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16の位置関係は、上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の位置関係と天地が逆転していること以外は同様であるため、説明を省略する。
【0048】
続いて、各姿勢における環境試験装置1の外枠部材7の接合方法を説明する。なお、外枠部材7は、上記したように枠形成部材8aと枠形成部材8bを接合することによって形成されるが、図5の上方に位置する枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の接合方法は、図5の下方に位置する枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16の接合方法と同様であるため、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20の接合方法についてのみ説明し、残りは省略する。
【0049】
まず、枠形成部材8aの接合部16の一部と枠形成部材8bの接合部20の一部を重ね合わせる(図9(a))。
このとき、縦壁部17と縦壁部21は所定の間隔を空けて配されている。即ち、縦壁部17と縦壁部21の間には隙間28が形成されている。横壁部18の一部は、横壁部22上に載置されている。
【0050】
続いて、隙間28の延伸方向に沿って、流動性を有したシール原料を塗布する(図9(b))。具体的には、角部26に沿ってゲル状のシール原料を注入する。
このとき、図10のように隙間28の延伸方向lに沿って角部26に液状のシール原料が満たされている。即ち、隙間28内の横壁部22上にシール原料が塗布されている。
【0051】
その後、枠形成部材8aの縦壁部17と枠形成部材8bの縦壁部21が近接する方向に縦壁部17と縦壁部21を押しつける(図9(c))。
このとき、隙間28内に配されたシール原料は、縦壁部17と縦壁部21によって押圧され、縦壁部17と縦壁部21の広範囲に伸ばされている。即ち、隙間28内に配されたシール原料は、縦壁部17と縦壁部21の広範囲に広がっている。また、隙間28の間隔は極めて減少しており、縦壁部17と縦壁部21が重ね合わされている。それ故に、縦壁部17,21とシール原料の接触面積が大きくなり、シール原料が固化した際の接合部16,20同士の接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。
また、枠形成部材8aの貫通孔23は、枠形成部材8bの貫通孔24と連通している。
枠形成部材8aの横壁部18は、枠形成部材8bの横壁部22と重なっている。言い換えると、横壁部18は、横壁部22上に載置されている。
【0052】
最後に、貫通孔23,24に公知の締結要素27を収納空間15側から挿入し(図9(d))、シール原料を固化させ、シール部14を形成することによって、外枠部材7が形成される。
このとき、横壁部18,22は、締結要素27の挿入方向に対して交差する方向を向いているため、締結要素27の取り付けが容易となっている。
【0053】
本発明の環境試験装置1によれば、外枠部材7は、2つの枠形成部材8の接合部16と接合部20をそれぞれ重ね合わせたものである。即ち、縦壁部17と縦壁部21及び横壁部18と横壁部22が重ね合わされているため、鉛直下方向の移動は、横壁部22に横壁部18が当接することにより規制される。それ故に、接合時に位置固定が容易である。
【0054】
また、本発明の環境試験装置1によれば、縦壁部17と縦壁部21が密着することによって、シール原料が縦壁部17と縦壁部21の接合面の広範囲に広がるため、縦壁部17とシール部14、縦壁部21とシール部14のそれぞれの接触面積が大きくなり、枠形成部材8aの接合部16と枠形成部材8bの接合部20、枠形成部材8aの接合部20と枠形成部材8bの接合部16のそれぞれの接着強度が向上する。言い換えると、密封性が向上する。また、シール原料の使用量も従来のシール原料の使用量に比べて低減できる。言い換えると、シール原料の使用量が少量でよいため、シール原料が固化する時間を短縮できる。即ち、施工時間を短縮できる。
【0055】
また、本発明の環境試験装置1によれば、接合部16,20同士の接合強度は、固化したシール部14の接着強度と締結要素27の接続強度の合計強度となるため、高強度である。
【0056】
上記した実施形態では、外枠部材7は同一形状の枠形成部材8aと枠形成部材8bを直接接合して形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、枠形成部材8aと枠形成部材8bの間に、他の枠形成部材を介在させてもよい。
具体的には、本発明の第2実施形態として説明する。なお、第1実施形態と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
第2実施形態の外枠部材50は、図11のように平行に配された2つの枠形成部材8a,8bを枠形成部材51a,51bでつなぎ、締結要素27によってそれぞれ機械的に接合されて形成されている。そして、外枠部材50は、枠形成部材8a,8bと、枠形成部材51a,51bに囲まれた収納空間15を有している。
【0058】
枠形成部材51は、外枠部材50の天面又は底面の一部を形成する部材である。枠形成部材51は、図12のように長方形状の本体部55と、本体部55の幅方向wの両端部近傍に2回以上に渡って折り曲げられて形成された接合部56,57をそれぞれ有している。本実施形態では、本体部55の幅方向wの一方の端部(図12では左端部)に接合部57、本体部55の幅方向wのもう一方の端部(図12では右端部)に接合部56が設けられている。
【0059】
本実施形態の接合部57は、第1実施形態の接合部20と略同一である。即ち、接合部57は、枠形成部材51の本体部55の幅方向w端部から、本体部55に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部21と、縦壁部21の張り出し方向端部から縦壁部21に対して交差する方向に折り返された横壁部22を有している。また、横壁部22は、本体部55の幅方向中央側から離反する方向に折り曲げられている。
本実施形態の接合部56は、第1実施形態の接合部16と略同一である。即ち、接合部56は、枠形成部材51の本体部55の幅方向w端部から、本体部55に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18を有している。また、横壁部18は、本体部55の幅方向中央側に折り曲げられている。
即ち、接合部56,57の横壁部22,18の延伸方向は、同一方向となっている。
【0060】
続いて、各姿勢における環境試験装置の外枠部材50の各部材の位置関係について説明する。
【0061】
外枠部材50は、図11のように、2つの枠形成部材8の本体部10同士、及び2つの枠形成部材51の本体部55同士が互いに向き合って平行に配されており、正面視で四角形を形成している。
2つの枠形成部材51は、枠形成部材8の接合部16,20を重ね合わせて、収納空間15を形成した状態においては、枠形成部材51の本体部55同士が対面した配置である。
【0062】
具体的には、2つの枠形成部材51の内、一方の枠形成部材51bは、天地を逆転させて配されている。そして、図11の上方に位置する枠形成部材51aにおいては、枠形成部材51aの接合部57と枠形成部材8aの接合部16、枠形成部材51aの接合部56と枠形成部材8bの接合部20がそれぞれ重ね合わせた配置となっている。
【0063】
一方、図11の下方に位置する枠形成部材51bにおいては、枠形成部材51bの接合部56と枠形成部材8aの接合部20、枠形成部材51bの接合部57と枠形成部材8bの接合部16がそれぞれ重ね合わせた配置となっている。
即ち、枠形成部材8a,8bの接合部16は、枠形成部材51a,51bの接合部57と合致している。同様に枠形成部材8a,8bの接合部20は、枠形成部材51a,51bの接合部56と合致している。
【0064】
本実施形態によれば、例え、試験室33の大きな環境試験装置であっても、第1実施形態の枠形成部材8に、枠形成部材51を増設するだけで、収納空間15の容積が大きな外枠部材50を製造可能であるため、量産性に優れている。
【0065】
上記した実施形態では、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部18、及び枠形成部材8a,8bの横壁部22の延伸方向はそれぞれ同一方向を向いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、異なる方向を向いていてもよい。例えば、図13のように、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部の延伸方向が対向していてもよい。その場合、枠形成部材8a,8bは接合部20のみ、枠形成部材51a,51bは接合部56のみ有している(第3実施形態)。
一方、図14のように、対向する枠形成部材8a,8bの横壁部の延伸方向が互いに離反する方向を向いていてもよい。その場合、枠形成部材8a,8bは接合部16のみ、枠形成部材51a,51bは接合部57のみ有している(第4実施形態)。
【0066】
上記した第1実施形態では、本体部10の一方の端部に位置する張り出し壁部11と、本体部10の他方の端部に位置する張り出し壁部12には、張り出し壁部11に接合部16、張り出し壁部12に接合部20のように、異なる接合部を設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図15のようにそれぞれの張り出し壁部11、張り出し壁部12に同一の接合部を設けてもよい(第5実施形態)。本実施形態の場合、一方の枠形成部材8aの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部16を設け、他方の枠形成部材8bの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部20を設ける。
【0067】
同様に、上記した第2実施形態においても、張り出し壁部11と張り出し壁部12には、張り出し壁部11に接合部16、張り出し壁部12に接合部20のように、それぞれ異なる接合部が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図16のようにそれぞれの張り出し壁部11、張り出し壁部12に同一の接合部を設けてもよい(第6実施形態)。本実施形態の場合、一方の枠形成部材8aの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部16を設け、他方の枠形成部材8bの張り出し壁部11、張り出し壁部12には、それぞれ接合部20を設ける。
【0068】
上記した実施形態では、接合部16は、張り出し壁部11の基端側から、張り出し壁部に対して直交する方向に折り曲げられた縦壁部17と、縦壁部17の張り出し方向端部から縦壁部17に対して交差する方向に折り返された横壁部18から形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、張り出し壁部11に対する縦壁部17の折り曲げ角度及び縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度は特に限定されない。例えば、図17(a)のように張り出し壁部11に対する縦壁部17の折り曲げ角度βは、張り出し壁部に対して鋭角となっていてもよいし、図17(b)のように張り出し壁部に対する縦壁部17の折り曲げ角度βが張り出し壁部に対して鈍角となっていてもよい。また、例えば、図17(c)のように縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度γが縦壁部17に対して鋭角となっていてもよいし、図17(d)のように縦壁部17に対する横壁部18の折り曲げ角度γが縦壁部17に対して鈍角となっていてもよい。
また、接合部20,56,57も同様の角度であってもよい。この場合、これらの接合部に接合される他方の接合部は、接合部16,20,56,57に沿う形状となる。
【0069】
上記した実施形態は、外郭筐体の天面部61と底面部60に枠形成部材の接合部を設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、接合部の場所は限定されない。例えば、外郭筐体の側面部62,63に設けてもよい。なお、接合部は、収納空間15を介して対向する位置に設けることが好ましい。
【0070】
上記した実施形態では、外枠部材は2つ又は4つの枠形成部材によって形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、枠形成部材の数は限定されない。
【0071】
上記した実施形態では、一方の枠形成部材の接合部16の一部ともう一方の枠形成部材の接合部20の一部を重ね合わせた後、隙間28の延伸方向に沿って、流動性を有したシール原料を塗布したが、本発明はこの順番に限定されるものではなく、図18(a)〜図18(c)のように流動性を有したシール原料を角部26に塗布した後に、接合部16と接合部20を重ね合わせてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 環境試験装置
3 内側筐体
5 断熱部材
6 外郭筐体
7 外枠部材(枠体)
8 枠形成部材(金属板)
14 シール部(シール材)
16,20 接合部
17,21 縦壁部
18,22 横壁部
25,26 角部
27 締結要素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に所望の試験環境を作り出す環境試験装置であって、被試験物が配される内側筐体と、内側筐体の一部又は全部を取り巻く断熱部材と、前記断熱部材のさらに外側にあって前記内側筐体及び断熱部材の一部又は全部を取り巻くと共に環境試験装置の外郭の一部又は全部を構成する外郭筐体とを有する環境試験装置において、
外郭筐体の少なくとも天面と側面を構成する枠体があり、前記枠体は、複数の金属板を機械的に接合して形成されており、
前記金属板の内、少なくとも接合される2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、
前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有し、
接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在され、さらに前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなることを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
2枚の金属板の接合部近傍は、同一平面を形成しており、
前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記2枚の金属板の接合部を複数箇所備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、
前記角部にシール材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項1】
内部に所望の試験環境を作り出す環境試験装置であって、被試験物が配される内側筐体と、内側筐体の一部又は全部を取り巻く断熱部材と、前記断熱部材のさらに外側にあって前記内側筐体及び断熱部材の一部又は全部を取り巻くと共に環境試験装置の外郭の一部又は全部を構成する外郭筐体とを有する環境試験装置において、
外郭筐体の少なくとも天面と側面を構成する枠体があり、前記枠体は、複数の金属板を機械的に接合して形成されており、
前記金属板の内、少なくとも接合される2枚の金属板の接合部は、共に2回以上に渡って折り曲げられていて、
前記接合部は、少なくとも枠体の内側に突出する縦壁部と、前記縦壁部よりも先端側にあって共に同一の方向に折り曲げられた横壁部とを有し、
接合される2枚の金属板の前記縦壁部同士と横壁部同士が合致されると共に、前記縦壁部同士の間にシール材が介在され、さらに前記横壁部同士の合致された部位が締結要素で接合されてなることを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
2枚の金属板の接合部近傍は、同一平面を形成しており、
前記縦壁部同士が合致された部位は、前記平面に対して直交する方向に延伸しており、
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位は、互いに直交する方向を向いていることを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記2枚の金属板の接合部を複数箇所備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
前記縦壁部同士が合致された部位と横壁部同士が合致された部位を結ぶ角部を有しており、
前記角部にシール材が介在されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の環境試験装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−72812(P2013−72812A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213348(P2011−213348)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】
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