説明

環境負荷評価装置及び環境負荷評価方法

【課題】環境負荷目録の調査に係る工数を削減できる。
【解決手段】換算表格納部DB3が、評価対象の環境負荷目録における基準項目の値に対する他の項目の値の換算表を格納し、入力部11が、他の評価対象における基準項目の値の入力を受け付け、環境負荷換算部13が、換算表をもとに、入力された基準項目の値から、他の評価対象における他の項目の値を算出することで、他の評価対象については基準項目の調査だけで他の項目の値を推定した環境負荷目録が作成でき、環境負荷目録の調査に係る工数が削減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境負荷評価装置及び環境負荷評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製品またはサービスの環境負荷を評価するために、資源採掘(企画設計)−開発製造−運用−廃棄(保守)に至るライフサイクルにおける、環境負荷算出の基となる数値データを詳細に調査して、データを集計することが行われていた。
【0003】
二酸化炭素(CO2)などの環境負荷算出の基となる数値データには、たとえば、製造時の工数や使用するPC(パーソナルコンピュータ)の消費電力量などがある。
また、近年では、二酸化炭素だけを、評価する環境負荷対象とするのでは不十分との指摘がある。大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)や、水質汚濁指標のBOD(Biochemical Oxygen Demand)、COD(Chemical Oxygen Demand)などについての影響も考慮することが求められている。
【0004】
そのため、より多くの環境負荷を対象とした影響を評価する手法(被害算定型環境影響評価手法(たとえば、LIME(Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling)))が提案されている。この手法はCO2だけでなく、多くの環境負荷を対象として評価することができ、単一指標で統合化することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−099521号公報
【特許文献2】特開2003−157341号公報
【特許文献3】特開2003−190930号公報
【特許文献4】特開2010−86440号公報
【特許文献5】特開2004−185308号公報
【特許文献6】特開2006−209502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の環境負荷評価手法では、環境負荷の目録(インベントリ)の多くの項目を事前に調べておくことが求められる。
このため、複数の製品やサービスなどの評価対象1つ1つについて、CO2だけでなくNOx、SOx、BOD、CODなどインベントリの多数の項目を調査することになり、多大な工数がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一観点によれば、評価対象の環境負荷目録における基準項目の値に対する他の項目の値の換算表を格納する換算表格納部と、他の評価対象における前記基準項目の値の入力を受け付ける入力部と、前記換算表をもとに、入力された前記基準項目の値から、前記他の評価対象における前記他の項目の値を算出する環境負荷換算部と、を備えた環境負荷評価装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
開示の環境負荷評価装置及び環境負荷評価方法によれば、環境負荷目録の調査に係る工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態の環境負荷評価装置の一例を示す図である。
【図2】評価対象格納部に格納されている評価対象の一例を示す図である。
【図3】環境負荷情報格納部に格納されているインベントリの各項目及びその値の一例を示す図である。
【図4】換算表格納部に格納されている換算表の一例を示す図である。
【図5】換算表作成処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【図6】環境負荷評価装置による環境負荷評価方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【図7】評価対象が登録されているか否かの判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】インベントリの表示例を示す図である。
【図9】評価対象がソフトウェア製品またはソリューション製品である場合の評価対象格納部の格納例を示す図である。
【図10】環境負荷情報格納部に格納されているインベントリの各項目及びその値の一例を示す図である。
【図11】換算表格納部に格納されている換算表の一例を示す図である。
【図12】ライフサイクルの段階ごとの換算表の格納例を示す図である。
【図13】換算表格納部において、事業活動の種別ごとの換算表を格納した例を示す図である。
【図14】あるハードウェア製品におけるライフサイクルの段階ごとの消費エネルギーを含むインベントリの例を示す図である。
【図15】あるソフトウェア製品またはソリューション製品におけるライフサイクルの段階ごとの消費エネルギーを含むインベントリの例を示す図である。
【図16】製品群ごとのインベントリの例を示す図である。
【図17】消費エネルギーを基準項目とした換算表の一例を示す図である。
【図18】製品群ごとに基準項目を変えた換算表の一例を示す図である。
【図19】ハードウェア製品のライフサイクルのある段階のインベントリの値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【図20】ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルのある段階のインベントリの値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【図21】ハードウェア製品のライフサイクルのある段階のインベントリの1つの項目の値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【図22】ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルのある段階のインベントリの1つの項目の値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【図23】本実施の形態に用いるコンピュータのハードウェアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の環境負荷評価装置及び環境負荷評価方法の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態の環境負荷評価装置の一例を示す図である。
【0011】
環境負荷評価装置10は、入力部11、評価対象判定部12、環境負荷換算部13、出力部14、表示部15、換算表算出部16、評価対象格納部DB1、環境負荷情報格納部DB2、換算表格納部DB3を有している。
【0012】
評価対象格納部DB1は、評価対象の情報、たとえば、製品群や品名などの情報を格納する。
環境負荷情報格納部DB2は、各評価対象におけるインベントリの各項目の値を格納する。また、環境負荷情報格納部DB2は、インベントリの各項目に応じた環境負荷換算係数を格納する。たとえば、LIMEでは、インベントリに対して、「特性化」、「被害評価」、「統合化」が行われ、環境負荷が、単一指標(単位は円)として統合化される。LIMEが用いられる場合、環境負荷情報格納部DB2は、「特性化」、「被害評価」、「統合化」の各ステップにおいて用いられる環境負荷換算係数を格納する。
【0013】
換算表格納部DB3は、ある評価対象のインベントリにおいて、基準項目(たとえば、CO2など)の値に対する、他の項目(たとえば、NOxやSOxなど)の値の換算表を格納する。換算表は、基準項目の値に対する他の項目の値の相対的な比率(換算係数)で表される。
【0014】
入力部11は、評価対象の情報や、その評価対象における基準項目の値の入力を受け付ける。
評価対象判定部12は、入力された評価対象が、予め評価対象格納部DB1に格納された評価対象と、類似する機能、性質または大きさを持つものであるか判定する。具体的には、評価対象判定部12は、両者が同じグループ(たとえば、同じ製品群、同品種、または同じサービスの種類など)のものであるか判定する。また、評価対象判定部12は、入力された評価対象が、予め評価対象格納部DB1に格納された評価対象と同じグループの場合には、登録済みの評価対象における換算表を、換算表格納部DB3から抽出する。
【0015】
環境負荷換算部13は、抽出された換算表の各換算係数に対して、入力された評価対象における基準項目の値を乗ずることで、その評価対象のインベントリの他の項目の値を算出する。また、環境負荷換算部13は、算出されたインベントリの各項目に応じた環境負荷換算係数を、インベントリの各項目の値に乗じることで、「特性化」、「被害評価」、「統合化」を行う。
【0016】
出力部14は、算出されたインベントリの各項目の値などを、たとえば、表示部15に出力する。
換算表算出部16は、環境負荷情報格納部DB2に格納されている評価対象のインベントリの各項目の値を、基準項目の値を1としたときの相対的な比率に変換することで換算表を算出する。
【0017】
以下、評価対象格納部DB1、環境負荷情報格納部DB2、換算表格納部DB3に格納されているデータの一例を示す。
図2は、評価対象格納部に格納されている評価対象の一例を示す図である。
【0018】
評価対象として、PC、サーバ、携帯電話といった製品群が挙げられている。各製品群は、さらに、品名に分けられ、品名は型名に区分される。
たとえば、評価対象格納部DB1には、製品群“PC”においては、品名A1,A2,A3が格納され、さらに各品名A1,A2,A3に対して、型名a11,a12,a13,a21,a22,a23,a31,a32,a33が格納される。製品群“サーバ”においては、品名B1,B2,B3が格納され、さらに各品名B1,B2,B3に対して、型名b11,b12,b13,b21,b22,b23,b31,b32,b33が格納される。製品群“携帯電話”においては、品名C1,C2が格納され、さらに各品名C1,C2に対して、型名c11,c12,c13,c21,c22,c23が格納される。
【0019】
図3は、環境負荷情報格納部に格納されているインベントリの各項目及びその値の一例を示す図である。
インベントリの項目には、エネルギー資源として、石炭、原油(燃料として用いられる)、天然ガス、鉱物資源として原油(原料として用いられる)、鉄鉱石(Fe)、銅鉱石(Cu)などがある。また、大気に対する環境排出負荷として、CO2、SOx、NOxなどがあり、水域に対する環境排出負荷としてBODやCODなどがあり、土壌に対する環境排出負荷として、不特定固形廃棄物、スラグなどがある。
【0020】
各インベントリの項目の値は、たとえば、ある製品における素材の製造から製品の製造、物流、使用、廃棄までのライフサイクルの段階ごとに格納されている。なお、図3に記載されている数値において、たとえば、1.19E−01は、1.19×10-1を示し、8.27E−03は、8.27×10-3を示す。単位は、Kgである。
【0021】
このようなインベントリは、たとえば、図2に示した製品群、または品名ごとに、環境負荷情報格納部DB2に格納される。
なお、環境負荷情報格納部DB2は、さらに、インベントリの各項目に応じた環境負荷換算係数を有しているが、図示を省略している。
【0022】
図4は、換算表格納部に格納されている換算表の一例を示す図である。
基準項目として、代表的な環境排出負荷であるCO2を採用した場合の換算表を、図2で示した評価対象の製品群の品名ごとに格納している例が示されている。
【0023】
換算表の値は、たとえば、図3で示したような、インベントリの各項目の値について、基準項目としたCO2の値を1としたときの相対的な比率として与えられている。
図4の例では、簡略化のため、換算表を品名ごとに1つ図示しているが、換算表格納部DB3には、たとえば、図3で示したライフサイクルの段階ごとの換算表が格納される。
【0024】
なお、図4の例では、換算表が品名ごとに格納される場合について示したが、製品群ごととしてもよい。
以下、本実施の形態の環境負荷評価装置10の動作を説明する。
【0025】
図5は、換算表作成処理の一例の流れを示すフローチャートである。
まず、入力部11は、評価対象のインベントリ分析結果を取得する(ステップS1)。図4に示したように、換算表を製品の品名ごとに算出する場合、入力部11は、たとえば、その品名の代表機種について行われたインベントリ分析の結果を取得し、環境負荷情報格納部DB2に格納する。
【0026】
なお、ここでのインベントリ分析では、たとえば、インベントリの基準項目となるCO2だけでなく、SOx、NOx、BOD、CODなど、基準項目以外の各項目に関しても分析が行われる。
【0027】
換算表算出部16は、環境負荷情報格納部DB2に格納されたインベントリの各項目のうち、たとえば、ユーザから入力部11で指定された基準項目の値を1とし、基準項目の値に対する、他のインベントリの項目の値の相対的な比率を求める。これにより、換算表算出部16は、図4に示したような換算表を算出し、換算表格納部DB3に格納する(ステップS2)。
【0028】
なお、環境負荷評価装置10は、外部で算出された換算表を取得して、換算表格納部DB3に格納するようにしてもよい。
図6は、環境負荷評価装置による環境負荷評価方法の一例の流れを示すフローチャートである。
【0029】
入力部11は、評価対象の情報と、その評価対象における基準項目の値の入力を受け付ける(ステップS10)。
たとえば、評価対象として、ある品名の新機種が入力された場合、その評価対象において、図3に示したようなインベントリの項目のうち、基準項目であるCO2の値が分かっている場合、入力部11にその値が入力される。また、入力部11は、評価対象の製品の組成や、重量などの情報の入力を受け付け、その情報を、環境負荷換算部13に送る。
【0030】
なお、基準項目の値の入力は、次のステップS11の処理後、またはステップS12の処理後に行うようにしてもよい。
入力部11に評価対象の情報が入力されると、評価対象判定部12は、評価対象格納部DB1を参照して、評価対象が登録されているか否かの判定処理を行う(ステップS11)。
【0031】
図7は、評価対象が登録されているか否かの判定処理の一例を示すフローチャートである。
評価対象がある製品の場合の判定処理の一例が示されている。たとえば、まず、評価対象判定部12は、入力された製品群の情報から、図2で示したような評価対象格納部DB1を探索し、評価対象が判明するか否かを判定する(ステップS20)。製品群の情報から評価対象が判明した場合には、図6で示したステップS12の換算表の抽出処理が行われる。
【0032】
製品群の情報から評価対象が判明しない場合には、評価対象判定部12は、評価対象の製品の品名または型名を入力部11から入力し(ステップS21)、評価対象格納部DB1を探索し、評価対象が判明するか否かを判定する(ステップS22)。品名または型名から評価対象が判明した場合には、図6で示したステップS12の換算表の抽出処理が行われる。
【0033】
評価対象が判明しない場合には、評価対象判定部12は、入力された評価対象は評価対象格納部DB1に未登録であると判定し、その評価対象の情報を評価対象格納部DB1に追加する(ステップS23)。
【0034】
なお、未登録の評価対象において利用可能な換算表が換算表格納部DB3にない場合には、その評価対象が利用可能な(たとえば、同一品名の製品の)換算表の登録が行われた後、換算表は抽出可能となる。
【0035】
図6のフローチャートに戻り、評価対象判定部12は、特定した評価対象におけるインベントリの換算表を、換算表格納部DB3から抽出する(ステップS12)。たとえば、評価対象の製品の品名が特定された場合には、図4で示したような、特定された品名に対応したインベントリの換算表が抽出される。
【0036】
なお、換算表の抽出は、評価対象判定部12ではなくて、環境負荷換算部13が入力された評価対象の情報(たとえば、品名)をもとに行ってもよい。
次に環境負荷換算部13は、抽出された換算表を用いて、入力された基準項目の値から、評価対象における不明なインベントリの項目の値を算出する(ステップS13)。たとえば、環境負荷換算部13は、抽出した換算表の各インベントリの項目に対応した換算係数に対して、入力された基準項目の値を乗じることによって、入力された評価対象の基準項目以外のインベントリの項目の値を算出する。
【0037】
類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象同士は、使用される部品もほぼ同じであり、材料や重量も類似したものとなる。そのため、換算表を算出した評価対象と、ほぼ同じ機能、性質または大きさを持つ他の評価対象に対して、この換算表を用いることで、インベントリの各項目の値が推定できる。本実施の形態の環境負荷評価装置10は、機能、性質または大きさがほぼ同じである同一グループ(たとえば、同一品名、同一の製品群など)に属する評価対象に対して、同一の換算表を用いることで、インベントリの各項目の値を推定する。
【0038】
その後、環境負荷換算部13は、環境負荷情報格納部DB2から、インベントリの各項目に応じた環境負荷換算係数を抽出し、それらを算出されたインベントリの各項目の値に割り当て(乗じ)る(ステップS14)。たとえば、LIMEでは、インベントリに対して、「特性化」、「被害評価」、「統合化」が行われ、環境負荷が、単一指標(単位は円)として算出される。その際、環境負荷換算部13は、環境負荷情報格納部DB2から「特性化」、「被害評価」、「統合化」の各ステップにおいて用いられる環境負荷換算係数を抽出し、入力された評価対象の製品の組成や、重量などの情報をもとに、環境負荷を算出する。
【0039】
出力部14は、ステップS13の処理で算出されたインベントリの各項目の値などを、たとえば、表示部15に出力して表示させる(ステップS15)。環境負荷評価装置10がLIMEを適用した場合、たとえば、表示部15は、インベントリのデータのほか、「特性化」、「被害評価」、「統合化」の各ステップにおける出力結果を、グラフ化して表示してもよい。
【0040】
図8は、インベントリの表示例を示す図である。
インベントリの各項目が、消費負荷、枯渇資源、エネルギー資源、鉱物資源、再生可能資源、大気への環境排出負荷、水域への環境排出負荷、土壌への環境排出負荷に分類されて表示されている。また、各インベントリの項目の値は、たとえば、ある製品における素材の製造から製品の製造、物流、使用、廃棄までのライフサイクルの段階ごとに表示されている。なお、消費エネルギー(単位はMJまたはMcal)以外のインベントリの項目の値の単位はKgで表されている。
【0041】
図8に示すようなインベントリは、たとえば、産業環境管理協会のエコリーフ環境ラベルの認定時に用いられる製品環境情報開示シート(PEIDS:Product Environmental Information Data Sheet)に適用される。PEIDSを作成する際には、たとえば、30〜40のインベントリ項目の調査が求められる。本実施の形態の環境負荷評価装置10によれば、新たな評価対象において基準項目の値が分かっていれば、換算表で他のインベントリの項目の値が算出できるので、新たな評価対象の調査に係る工数を、少なくとも30〜40分の1に削減することができる。
【0042】
また、従来は、不明なインベントリ項目を評価対象外としていたのに対して、本実施の形態の環境負荷評価装置10によれば、換算表をもとにした推測値が得られるので、評価の信頼性が高まる。さらに、従来はインベントリ項目が不備であったがために評価そのものを断念していた製品やサービスについても、新たに評価対象として加えることができる。
【0043】
環境負荷評価装置10によって得られた評価対象に対するインベントリや、環境負荷の情報は、たとえば、評価対象と同一品種の製品やサービスの設計においてフィードバックされることにより、さらなる環境負荷低減が図られる。
【0044】
なお、上記では、入力部11には、評価対象の基準項目の値が入力されると説明したが、基準項目以外の項目の値(たとえば、NOx、SOx、BOD、CODなど)が分かる場合には、入力部11は、これらの値を入力するようにしてもよい。そして、環境負荷情報格納部DB2は、入力された値に応じて、格納しているインベントリの値を更新したり、補正を行ったりしてもよい。また、換算表算出部16は、インベントリの値の変更に伴い、換算表を更新するようにしてもよい。
【0045】
また、上記では、評価対象として、PC、サーバ、携帯電話などのハードウェア製品を対象に説明を行ったが、評価対象はソフトウェア製品、ソフトウェア製品とハードウェア製品の双方を含む製品(以下ソリューション製品という)であってもよい。
【0046】
図9は、評価対象がソフトウェア製品またはソリューション製品である場合の評価対象格納部の格納例を示す図である。
評価対象として、インターネット関連のソフトウェア製品またはソリューション製品、データベース関連のソフトウェア製品またはソリューション製品、運用管理に関するソフトウェア製品またはソリューション製品といった製品群が挙げられている。各製品群は、さらに、品名に分けられ、品名は型名に区分される。
【0047】
たとえば、評価対象格納部DB1には、製品群“インターネット”においては、品名D1,D2が格納され、さらに各品名D1,D2に対して、型名d11,d12,d21,d22が格納される。製品群“データベース”においては、品名E1,E2が格納され、さらに各品名E1,E2に対して、型名e11,e12,e21,e22が格納される。製品群“運用管理”においては、品名F1,F2が格納され、さらに各品名F1,F2に対して、型名f11,f12,f21,f22が格納される。
【0048】
図10は、環境負荷情報格納部に格納されているインベントリの各項目及びその値の一例を示す図である。
ソフトウェア製品またはソリューション製品は、企画設計−開発製造−運用−保守という、ハードウェア製品とは異なるライフサイクルに応じて評価される。
【0049】
インベントリの項目には、ハードウェア製品の場合と同様に、エネルギー資源として、石炭、原油(燃料として用いられる)、天然ガス、鉱物資源として原油(原料として用いられる)、鉄鉱石(Fe)、銅鉱石(Cu)などがある。また、大気に対する環境排出負荷として、CO2、SOx、NOxなどがあり、水域に対する環境排出負荷としてBODやCODなどがあり、土壌に対する環境排出負荷として、不特定固形廃棄物、スラグなどがある。
【0050】
各インベントリの項目の値は、あるソフトウェア製品またはソリューション製品における企画設計、開発製造、運用、保守までのライフサイクルの段階ごとに格納されている。なお、図11に記載されている数値において、たとえば、2.38E−02は、2.38×10-2を示し、3.12E−01は、3.12×10-1を示す。単位は、Kgである。
【0051】
このようなインベントリは、たとえば、図9に示したソフトウェア製品またはソリューション製品の製品群、または品名ごとに、環境負荷情報格納部DB2に格納される。
図11は、換算表格納部に格納されている換算表の一例を示す図である。
【0052】
基準項目として、代表的な環境排出負荷であるCO2を採用した場合の、ある換算表を、図9で示した製品群“インターネット”、“データベース”、“運用管理”の品名D1,D2,E1,E2,F1,F2ごとに格納している例が示されている。なお、図11では、ソフトウェア製品またはソリューション製品における、あるライフサイクルの段階(たとえば、企画設計)での換算表の例が示されている。
【0053】
換算表の値は、たとえば、図10で示したような、インベントリの各項目の値について、基準項目としたCO2の値を1としたときの相対的な比率として与えられている。
図11の例では、換算表を品名ごとに1つ図示しているが、換算表格納部DB3には、たとえば、図10で示したライフサイクルの段階ごとの換算表が格納される。
【0054】
図12は、ライフサイクルの段階ごとの換算表の格納例を示す図である。
製品群“インターネット”と、製品群“データベース”の品名D1,E1について、企画設計−開発製造−運用−保守というライフサイクルの段階ごとの換算表の格納例が示されている。
【0055】
なお、図11、図12の例では、換算表が品名ごとに格納される場合について示したが、製品群ごとに1つ格納されるようにしてもよい。
図11、図12で示したような換算表は、ハードウェア製品の場合と同様に、図5で示したような処理により作成される。
【0056】
新たな評価対象のソフトウェア製品またはソリューション製品に対する環境負荷を評価する際は、図6に示した処理と同様の処理が行われる。上記のような換算表を用いることで、新たな評価対象のソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの各段階での基準項目の値が分かっていれば、他のインベントリの項目の値が算出できるので、新たな評価対象の調査に係る工数を削減できる。
【0057】
なお、評価対象は、ハードウェア製品やソフトウェア製品またはソリューション製品に限らず、サービスや事業活動としてもよい。
図13は、換算表格納部において、事業活動の種別ごとの換算表を格納した例を示す図である。
【0058】
G、H、Iという事業活動(たとえば、電子デバイス事業、ソフトウェア事業など)ごとの換算表の例が示されている。たとえば、換算表格納部DB3は、所定期間(たとえば、1年または半年など)の事業活動におけるインベントリの各項目の値から、ある項目を基準項目として算出された換算表を格納しておく。図13の例では、基準項目はCO2である。
【0059】
環境負荷換算部13は、このような換算表をもとに、換算表の算出に用いた所定期間以降の同一期間(たとえば、1年または半年など)で行われる同じ事業活動における基準項目の値から、インベントリの他の項目の値を算出する。
【0060】
上記のような換算表を用いることで、同一期間の事業活動における基準項目の値を調べるだけでインベントリの各項目の値を推定することができる。これにより、たとえば、ある事業活動における年度ごとのインベントリが容易に作成でき、環境負荷の経年変化を簡単に求めることができる。
【0061】
また、換算表を作成した事業活動と同様の事業形態を持つものに対しても、基準項目の値が分かっている場合には、同じ換算表を用いることで、その他のインベントリの項目の値を推定することができる。
【0062】
ところで、上記の説明では、インベントリの基準項目として評価対象が、たとえば、ライフサイクルの各段階(評価対象が事業の場合は、所定期間)で発生するCO2を用いた場合について説明したがこれに限定されない。
【0063】
上記のインベントリの例では図示していなかったが、評価対象が消費する消費エネルギーをインベントリの基準項目としてもよい。
図14は、あるハードウェア製品におけるライフサイクルの段階ごとの消費エネルギーを含むインベントリの例を示す図である。
【0064】
また、図15は、あるソフトウェア製品またはソリューション製品におけるライフサイクルの段階ごとの消費エネルギーを含むインベントリの例を示す図である。
図14に示される例では、あるハードウェア製品における素材の製造から製品の製造、物流、使用、廃棄までのライフサイクルの段階ごとに発生する消費エネルギー(単位はMJ)を含むインベントリの各項目の値が格納されている。
【0065】
また、図15に示される例では、あるソフトウェア製品またはソリューション製品における、企画設計、開発製造、運用、保守というライフサイクルの段階ごとに発生する消費エネルギーを含むインベントリの各項目の値が格納されている。
【0066】
同じ品名、製品群、または事業活動であれば、消費エネルギーが等しい時のインベントリの各項目の値は、同じような値を示す。
消費エネルギーの大きさは、大部分が消費電力の大きさに依存する傾向があり、電力は、エネルギー資源である石炭、原油、天然ガスなどを消費して発生するものであるから、消費エネルギーが等しいと、これらのエネルギー資源の値は同じような値となる。
【0067】
そのため、インベントリの基準項目として、CO2の代わりに、消費エネルギーを採用することも好ましい。
図16は、製品群ごとのインベントリの例を示す図である。
【0068】
また、図17は、消費エネルギーを基準項目とした換算表の一例を示す図である。
図16では、あるライフサイクルの段階における、製品群ごとのインベントリの例が示されている。各製品群A,B,Cのインベントリの項目には、消費エネルギーが含まれている。図17では、このような消費エネルギーを基準項目として採用した場合の換算表が、評価対象の製品群ごとに示されている。
【0069】
換算表の値は、たとえば、図16で示されているようなインベントリの各項目の値について、基準項目とした消費エネルギーの値を1としたときの相対的な比率として与えられている。
【0070】
なお、図17の例では、簡略化のため換算表を製品群ごとに1つ図示しているが、換算表格納部DB3には、たとえば、図14または図15で示したライフサイクルの段階ごとの換算表が格納される。
【0071】
また、図17の例では、換算表が製品群ごとに求められた例について示したが、品名ごとに消費エネルギーを基準項目とした換算表を算出するようにしてもよい。また、事業活動ごとの換算表を算出するようにしてもよい。
【0072】
このような換算表は、たとえば、前述した図5の処理と同様の流れに従って算出される。すなわち、環境負荷評価装置10の入力部11は、たとえば、各製品群A,B,Cの代表機種について行われたインベントリ分析の結果を取得し(ステップS1)、環境負荷情報格納部DB2に格納する。なお、ここでのインベントリ分析では、たとえば、インベントリの基準項目となる消費エネルギーだけでなく、石炭、原油(燃料)、天然ガスなど、基準項目以外の各項目に関しても分析が行われる。
【0073】
その後、換算表算出部16は、環境負荷情報格納部DB2に格納されたインベントリの各項目のうち、たとえば、消費エネルギーの値を1とし、基準項目の値に対する、他のインベントリの項目の値の相対的な比率を求める。これにより、換算表算出部16は、図17に示したような換算表を算出し、換算表格納部DB3に格納する(ステップS2)。
【0074】
格納された換算表を用いた環境負荷評価方法については、たとえば、前述した図6の処理に従って行われる。
すなわち、入力部11は、評価対象の情報と、その評価対象における基準項目である消費エネルギーの値の入力を受け付ける(ステップS10)。
【0075】
たとえば、評価対象として、ある製品群の新機種が入力された場合、その評価対象において、図16に示したようなインベントリの項目のうち、基準項目である消費エネルギーの値が分かっている場合、入力部11にその値が入力される。たとえば、評価対象の製品の製造時の消費エネルギーは、1年間の製造台数と総電力量から1台当たりの電力量を算出し、エネルギーに換算することで求まる。
【0076】
また、入力部11は、評価対象の製品の組成や、重量などの情報の入力を受け付け、その情報を、環境負荷換算部13に送る。
入力部11に評価対象の情報が入力されると、評価対象判定部12は、評価対象格納部DB1を参照して、評価対象が登録されているか否かの判定処理を行う(ステップS11)。判定処理については、たとえば、図7に示した流れで行われる。
【0077】
評価対象が登録されている場合、評価対象判定部12は、特定した評価対象におけるインベントリの換算表を、換算表格納部DB3から抽出する(ステップS12)。たとえば、評価対象の製品群が特定された場合には、図17で示したような、特定された製品群に対応したインベントリの換算表が抽出される。
【0078】
次に環境負荷換算部13は、抽出された換算表を用いて、入力された消費エネルギーの値から、評価対象における不明なインベントリの項目の値を算出する(ステップS13)。たとえば、環境負荷換算部13は、抽出した換算表の各インベントリの項目に対応した換算係数に対して、入力された消費エネルギーの値を乗じることによって、入力された評価対象の消費エネルギー以外のインベントリの項目の値を算出する。
【0079】
その後、前述したステップS14,S15の処理が行われ、環境負荷の評価結果が表示部15に表示される。
このように、基準項目はCO2に限らず、消費エネルギーを基準項目として換算表を算出して、その換算表を用いて環境負荷を評価することでも同様の効果が得られる。
【0080】
なお、基準項目は、評価対象の種類に応じて変えるようにしてもよい。
図18は、製品群ごとに基準項目を変えた換算表の一例を示す図である。
図18では、自動車と、船舶という製品群における換算表の例が示されている。たとえば、自動車では、大気汚染物質のNOxがインベントリの基準項目として扱われ、基準項目の値に対する、他のインベントリの項目の値の相対的な比率が換算表として求められている。また、船舶では、水質汚染物質のCODがインベントリの基準項目として扱われ、基準項目の値に対する、他のインベントリの項目の値の相対的な比率が換算表として求められている。
【0081】
このような換算表を求めておけば、インベントリの調査において、たとえば自動車に関しては、NOx、船舶に関しては、CODを求めることで、他のインベントリの項目についても推定することができ、調査に係る工数を削減することができる。また、評価対象の種類に応じて基準項目を変えることで、その評価対象の設計や製造などの際に、環境への影響が高い項目や、重点的に調査すべき項目を基準項目として採用することができる。これによって、より環境に配慮した設計が可能になる。
【0082】
また、換算表格納部DB3は、ある製品における素材の製造から製品の製造、物流、使用、廃棄までのライフサイクルの段階ごとに、異なる基準項目を採用した異なる換算表を格納するようにしてもよい。
【0083】
ところで、以上の説明における換算表は、評価対象のライフサイクルの各段階のインベントリごとの基準項目の値に対する、他の項目の値の換算表としたものであった。つまり、ライフサイクルの段階ごとに基準項目が設定され、基準項目の値と他の項目の値の比率により換算係数が求められていた。
【0084】
しかしながら、類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象同士では、ライフサイクルのある段階のインベントリの値のみならず、ライフサイクルの他の段階の値も同じような傾向を持つ。たとえば、同じ製品群、同じ品名、同じ型名の評価対象同士では、ライフサイクルのある段階のインベントリの値と、他の段階のインベントリの値との比率は同じようなものになる。
【0085】
そこで、換算表算出部16は、評価対象における、ライフサイクルのある段階のインベントリの値を基準項目の値とし、その基準項目の値に対するライフサイクルの他の段階のインベントリの各項目の値の換算表を求めるようにしてもよい。そして、換算表格納部DB3はその換算表を格納し、環境負荷換算部13は、類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象に対して、格納された換算表を適用するようにしてもよい。
【0086】
図19は、ハードウェア製品のライフサイクルのある段階のインベントリの値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
図19の換算表の例では、図14に示したインベントリにおいて、あるハードウェア製品のライフサイクルの1段階である、“素材の製造”におけるインベントリの各項目の値を基準項目の値としたときの換算表の例が示されている。すなわち、“素材の製造”におけるインベントリの各項目の値が1(1.00E+00)となっている。ライフサイクルの他の段階のインベントリの各項目の値は、“素材の製造”の各項目の値を1としたときの相対的な比率を示す換算係数として与えられている。
【0087】
なお、ハードウェア製品のライフサイクルの他の段階(たとえば、物流や仕様など)のインベントリの値を基準項目の値としてもよい。
図20は、ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルのある段階のインベントリの値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【0088】
図20の換算表の例では、図15に示したインベントリにおいて、あるソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの1段階である、“企画設計”におけるインベントリの各項目の値を基準項目の値としたときの換算表の例が示されている。すなわち、“企画設計”におけるインベントリの各項目の値が1(1.00E+00)となっている。ライフサイクルの他の段階のインベントリの各項目の値は、“企画設計”の各項目の値を1としたときの相対的な比率を示す換算係数として与えられている。
【0089】
なお、ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの他の段階(たとえば、開発製造や運用など)のインベントリの値を基準項目の値としてもよい。
このような、換算表を用いることで、類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象のインベントリの各項目を調査する際、ライフサイクルのある段階のインベントリの各項目の値が分かれば、他の段階のインベントリの各項目の値が推定できる。
【0090】
たとえば、図19に示すような換算表を用いた場合、“素材の製造”のインベントリの各項目の値が分かれば、ハードウェア製品のライフサイクルの他の段階(製品の製造、物流、使用及び廃棄)のインベントリの各項目の値が推定できる。
【0091】
また、図20に示すような換算表を用いた場合、“企画設計”のインベントリの各項目の値が分かれば、ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの他の段階(開発製造、運用、保守)のインベントリの各項目の値が推定できる。
【0092】
そのため、インベントリの調査に係る工程を大幅に削減できる。
図19、図20の例では、評価対象のライフサイクルのある段階のインベントリの各項目の値を基準項目の値としたが、そのインベントリの、ある1つの項目の値を基準項目の値とするようにしてもよい。
【0093】
その場合、換算表算出部16は、ライフサイクルのある段階のインベントリの1つの基準項目の値に対する、そのライフサイクルの段階のインベントリの他の項目、及び、他の段階のインベントリの各項目の値の換算表を求める。そして、換算表格納部DB3はその換算表を格納し、環境負荷換算部13は、類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象に対して、格納された換算表を適用する。
【0094】
図21は、ハードウェア製品のライフサイクルのある段階のインベントリの1つの項目の値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
図21の換算表の例では、図14に示したインベントリにおいて、あるハードウェア製品のライフサイクルの1段階である、“素材の製造”におけるインベントリの、消費エネルギーの値を基準項目の値としたときの換算表の例が示されている。すなわち、“素材の製造”におけるインベントリの消費エネルギーの値が1(1.00E+00)となっている。“素材の製造”におけるインベントリのその他の項目、及び、ライフサイクルの他の段階のインベントリの各項目の値は、“素材の製造”の消費エネルギーの値を1としたときの相対的な比率を示す換算係数として与えられている。
【0095】
なお、基準項目とする項目は、消費エネルギーに限らず、たとえば、CO2としてもよいし、ハードウェア製品のライフサイクルの他の段階(たとえば、物流や仕様など)のインベントリの任意の項目の値を基準項目の値としてもよい。
【0096】
図22は、ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルのある段階のインベントリの1つの項目の値を基準項目の値としたときの換算表の一例を示す図である。
【0097】
図22の換算表の例では、図15に示したインベントリにおいて、あるソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの“企画設計”におけるインベントリの、消費エネルギーの値を基準項目の値としたときの換算表の例が示されている。すなわち、“企画設計”におけるインベントリの消費エネルギーの値が1(1.00E+00)となっている。“企画設計”におけるインベントリのその他の項目、及び、ライフサイクルの他の段階のインベントリの各項目の値は、“企画設計”の消費エネルギーの値を1としたときの相対的な比率を示す換算係数として与えられている。
【0098】
なお、基準項目とする項目は、消費エネルギーに限らず、たとえば、CO2としてもよいし、ソフトウェア製品またはソリューション製品のライフサイクルの他の段階のインベントリの任意の項目の値を基準項目の値としてもよい。
【0099】
このような換算表を用いることで、類似する機能、性質または大きさを持つ評価対象のインベントリの各項目を調査する際、ライフサイクルのある段階のインベントリの1つの項目の値が分かれば、他の段階のインベントリを含めた全項目の値が推定できる。
【0100】
たとえば、図21に示すような換算表を用いた場合、“素材の製造”のインベントリの消費エネルギーの値が分かれば、“素材の製造”のインベントリの他の項目の値及び、他の段階(製品の製造、物流、使用及び廃棄)のインベントリの各項目の値が推定できる。
【0101】
また、図22に示すような換算表を用いた場合、“企画設計”のインベントリの消費エネルギーの値が分かれば、“企画設計”のインベントリの他の項目の値及び、他の段階(開発製造、運用、保守)のインベントリの各項目の値が推定できる。
【0102】
そのため、インベントリの調査に係る工程をさらに大幅に削減できる。
なお、前述した事業活動に関しても、上記のライフサイクルの各段階に相当するような複数段階のインベントリを求める場合には、ハードウェア製品や、ソフトウェア製品またはソリューション製品を評価対象として適用した場合と同様の手法が適用できる。
【0103】
ところで、本実施の形態の環境負荷評価装置10や、図5〜図7で示した処理内容は、以下のようなコンピュータにより実現できる。
図23は、本実施の形態に用いるコンピュータのハードウェアの一例を示す図である。
【0104】
コンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101は、バス108を介して接続されたRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器を制御することによって、図1で示した環境負荷評価装置10の各部の機能を実現する。
【0105】
RAM102は、コンピュータ100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に用いる各種データが格納される。
【0106】
バス108に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、及び通信インタフェース107がある。
【0107】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込み及び読み出しを行う。HDD103は、コンピュータ100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラムのほか各種データが格納される。また、図1に示した評価対象格納部DB1、環境負荷情報格納部DB2、換算表格納部DB3は、たとえば、HDD103に作成されるデータベースによって実現できる。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0108】
グラフィック処理装置104には、図1の表示部15に対応したモニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、たとえば、インベントリの内容や、環境負荷の算出結果などのグラフをモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0109】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0110】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク106aに記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク106aは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク106aには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0111】
通信インタフェース107は、ネットワーク107aに接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク107aを介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。図1に示した評価対象格納部DB1、環境負荷情報格納部DB2、換算表格納部DB3に格納される情報は、ネットワーク107aを介して、他のコンピュータから取得することができる。
【0112】
以上のようなハードウェアによって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
なお、図1に示した環境負荷評価装置10は、たとえば、図23に示したハードウェアを持つ複数のコンピュータを用いて実現するようにしてもよい。
【0113】
以上、実施の形態に基づき、本発明の環境負荷評価装置及び環境負荷評価方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0114】
10 環境負荷評価装置
11 入力部
12 評価対象判定部
13 環境負荷換算部
14 出力部
15 表示部
16 換算表算出部
DB1 評価対象格納部
DB2 環境負荷情報格納部
DB3 換算表格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の環境負荷目録における基準項目の値に対する他の項目の値の換算表を格納する換算表格納部と、
他の評価対象における前記基準項目の値の入力を受け付ける入力部と、
前記換算表をもとに、入力された前記基準項目の値から、前記他の評価対象における前記他の項目の値を算出する環境負荷換算部と、
を有することを特徴とする環境負荷評価装置。
【請求項2】
前記環境負荷換算部は、前記評価対象と類似する機能、性質または大きさを持つ前記他の評価対象に対して、前記換算表を用いることを特徴とする請求項1に記載の環境負荷評価装置。
【請求項3】
前記基準項目の値は、前記評価対象のライフサイクルの1段階の前記環境負荷目録の1つまたは複数の項目の値であり、
前記換算表格納部は、前記基準項目の値に対する、前記ライフサイクルの他の段階の前記環境負荷目録の各項目の値の換算係数を含む換算表を格納することを特徴とする請求項1または2に記載の環境負荷評価装置。
【請求項4】
前記基準項目は、前記評価対象の種類によって異なることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項5】
前記評価対象はハードウェア製品であり、前記換算表は、前記ハードウェア製品の前記環境負荷目録をもとに算出され、
前記環境負荷換算部は、前記換算表をもとに、前記ハードウェア製品と同じ製品群または品名の製品における前記基準項目の値から、前記他の項目の値を算出することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項6】
前記評価対象はソフトウェア製品またはハードウェア製品とソフトウェア製品の双方を含む製品であり、前記換算表は、前記ソフトウェア製品または前記ハードウェア製品とソフトウェア製品の双方を含む製品の前記環境負荷目録をもとに算出され、
前記環境負荷換算部は、前記換算表をもとに、前記ソフトウェア製品または前記ハードウェア製品とソフトウェア製品の双方を含む製品と、同じ製品群または品名の製品における前記基準項目の値から、前記他の項目の値を算出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項7】
前記評価対象は所定期間の事業活動であり、前記換算表は、前記所定期間の事業活動における前記環境負荷目録をもとに算出され、
前記環境負荷換算部は、前記換算表をもとに、前記所定期間以降の同一期間の前記事業活動における前記基準項目の値から、前記他の項目の値を算出することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項8】
前記基準項目は、前記評価対象が発生するCO2であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項9】
前記基準項目は、前記評価対象が消費する消費エネルギーであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の環境負荷評価装置。
【請求項10】
換算表格納部が、評価対象の環境負荷目録における基準項目の値に対する他の項目の値の換算表を格納している状態において、入力部が、他の評価対象における前記基準項目の値の入力を受け付け、
環境負荷換算部が、前記換算表をもとに、入力された前記基準項目の値から、前記他の評価対象における前記他の項目の値を算出することを特徴とする環境負荷評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−252679(P2012−252679A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149646(P2011−149646)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】