説明

環状イミノカルボン酸のオリゴマー及びポリマー

【課題】人工的なポリペプチド状分子、かかる残基を用いた組み合わせライブラリーを創る方法、及びかかる方法によって形成された組み合わせライブラリーの提供。
【解決手段】


式(I)によって表現された小グループからなる環状イミノカルボン酸のオリゴマー及びポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抑制されたイミノカルボン酸のオリゴマー若しくはポリマーである人工的なポリペプチド状分子、かかる残基を用いた組み合わせライブラリー(combinatorial libraries)を創る方法、及びかかる方法によって形成された組み合わせライブラリーを導く。
【背景技術】
【0002】
化学者は、長い間生体触媒と認識の力から合成システムを推定するように努力した。これらの努力は、大部分は低分子量触媒および受容体に注目した。しかしながら、ほとんどの生物系は、複合的化学機能を実行するために、タンパク質及びRNAのような大きなポリマーに専ら依存する。
【0003】
タンパク質とRNAは、小型で良く整った構成を取り入れる能力において独特である。上述の2つの生物ポリマーはまた、複合的化学作用(例えば、触媒、高い選択的認識、等)を機能することができるために独特である。“活性部位”の合成が反応基の適切な位置を要求するため、折りたたみはタンパク質とRNAの両者の機能に関連する。結果として、以前から自然な生物系を模倣する個別で予測可能な折り重なる性質(これより後において、“折り重なるもの(foldamers)”として引用する)を表示する合成ポリマーのバックボーンを認識する必要があった。かかるバックボーンは、大きな分子の相互作用の機能性(例えば、タンパク質−タンパク質及びタンパク質−RNA相互作用)を探索する分子“ツール”を提供するであろう。
【0004】
上述から合成されたβ−アミノ酸及びペプチドの多くの仕事は、スイス国、チューリッヒのDieter Seebachが率いるグループによって実行された。例えば、Seebachらによる1996年刊行のHelv. Chem. Acta. 79の913乃至941頁;及びSeebachらによる1996年刊行のHelv. Chem. Acta. 79の2043乃至2066頁を参照。Seebachらによる2つの論文中、前者において、(H−β−HVal−β−HAla−β−HLeu)−OHとして命名されるβ−ヘキサペプチドの合成及び特質が記載されている。興味深いことに、かかる論文はβ−ペプチドの構造が矛盾し、“部分的に議論の的となる”従来技術での報告を特に注意している。後者の論文において、Seebachらは上述したβ−ヘキサペプチドの2次構造及び2次構造における残基の変化の効果を探求している。
【0005】
Dado及びGellmanは、1994年刊行のJ. AM. Chem. Soc. 116の1054−1062頁にて、β−アラニン及びβ−アミノブチル酸の誘導体の分子間水素結合を記載している。かかる論文では、ポリマーのバックボーン上の近隣のアミド基間の分子間水素結合が望まれない場合、β−ペプチドがα−アミノ酸と同様の方法で折りたたまれるであろうことが仮定されている。
【0006】
Gellmanによる1998年刊行のAcc.Chem.Res.31の173乃至180頁は、β−ペプチドのさまざまな立体配座的に制限されたオリゴマーが記載され、当該論文の筆者は“折り重なるもの”という慣用名を与えている。特に、当該論文においては、立体配座的に制限されたβ−アミノ酸の二種類のオリゴマ−が記載され、いわゆるトランス−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸(トランス−ACHC)及びトランス−2−アミノシクロペンタンカルボン酸(トランス−ACPC)である。かかる残存物のオリゴマーは、溶液におけるヘリックッス立体配座を取り入れるためのコンピューターモデリングを介して予測される。
【0007】
Suharaらによる1996年刊行のTetrahedron Lett 37(10)の1575乃至1578頁は、D−グリコシルアミンの誘導体がC−1β−カルボキシレート及びC−2α−アミノ基にそれぞれ関連しているβ−ペプチドのポリサッカライドのアナログを報告している。かかる属の化合物は、慣用名として“カルボペプトイド(carbopeptoids)”が与えられている。
【0008】
組み合わせライブラリーを産する方法に関しては、数多の最近行なわれた調査が利用可能である。例えば、Ellmanによる1996年刊行のAcc.Chem.Res 29の132乃至143頁及びLamらによる1997年刊行のChem.Rev.97の411乃至448頁を参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、構造的に制限されたイミノカルボン酸のオリゴマーおよびポリマーの種類に引き起こす。本発明の好ましいオリゴマー及びポリマーは、別々の2次構造(本発明の要求ではないが)を強く好む。かかる安定した2次構造は、αアミノ酸において見られる既知のポリ(プロリン)IIへリックス構造に対するヘリックス状アナログを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
より詳細には、本発明は、下記の式からなる化合物を導き:
X−{A}−Y
かかる式において、nは1以上の整数で;及び
各A、一つおきの独立したAが、下記の物質からなるグループから選択され:
【0011】
【化1】

上記の物質において、R,R及びRは、水素、直鎖若しくは分枝したC−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくはジ−C−Cアルキルアミノ、モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキル、−(CH1−6−OR、−(CH1−6−SR、−(CH1−6−S(=O)−CH−R、−(CH1−6−S(=O)−CH−R、−(CH1−6−NR、−(CH1−6−NHC(=O)R、−(CH1−6−NHS(=O)−CH−R、−(CH1−6−O−(CH2−6−R、−(CH1−6−S−(CH2−6−R、−(CH1−6−S(=O)−(CH2−6−R、−(CH1−6−S(=O)−(CH2−6−R、−(CH1−6−NH−(CH2−6−R、−(CH1−6−N−{(CH2−6−R、−(CH1−6−NHC(=O)−(CH2−6−R、及び−(CH1−6−NHS(=O)−(CH2−6−R、からなるグループから独立して選択され;かかる物質において
は、水素、C−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキルからなるグループから独立して選択され、;及び
は、ヒドロキシ、C−C−アルキルロキシ、アリールロキシ、ヘテロアリールロキシ、チオ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノ、モノ若しくはジ−C−C−アルキルアミノ、モノ若しくはジアリールアミノ、モノ若しくはジヘテロアリールアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−ヘテロアリールアミノ、N−アリール−N−ヘテロアリールアミノ、アリール−C−C−アルキルアミノ、カルボン酸、カルボキシアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルカルボキシアミド、モノ−若しくはジアリールカルボキシアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−アリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−へテロアリールカルボキシアミド、N−アリール−N−へテロアリールカルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルスルホンアミド、モノ−若しくはジアリールスルホンアミド、モノ−若しくはジへテロアリールスルホンアミド、N−アルキル−N−アリールスルホンアミド、N−アルキル−N−へテロアリールスルホンアミド、N−アリール−N−へテロアリールスルホンアミド、尿素;モノ−,ジ−若しくはトリ−置換型尿素であって、当該置換体は、C−C−アルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループから選択され;O−アルキルウレタン、O−アリールウレタン、及びO−ヘテロアリールウレタンからなるグループから選択され;
は、水素、直鎖若しくは分枝したC−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくはジ−C−Cアルキルアミノ、モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキル、−S(=O)−(CH1−6−R、−C(=O)R、−S(=O)−(CH2−6−R、及び−C(=O)−(CH1−6−Rからなるグループから選択され、かかる物質においてR及びRは上述のように定義され、
及びRは、上述のR、R及びRに列記されたグループから選択され、さらに、ヒドロキシ、C−C−アルキルロキシ、アリールロキシ、ヘテロアリールロキシ、チオ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノ、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルアミノ、モノ−若しくはジアリールアミノ、モノ−若しくはジヘテロアリールアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−ヘテロアリールアミノ、N−アリール−N−へテロアリールアミノ、アリール−C−C−アルキルアミノ、カルボン酸、カルボキシアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルカルボキシアミド、モノ−若しくはジアリールカルボキシアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−アリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−へテロアリールカルボキシアミド、N−アリール−N−へテロアリールカルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルスルホンアミド、モノ−若しくはジアリールスルホンアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールスルホンアミド、N−アルキル−N−アリールスルホンアミド、N−アルキル−N−ヘテロアリールスルホンアミド、N−アリール−N−へテロアリールスルホンアミド、尿素;モノ−ジ−若しくはトリ−置換型尿素であって、当該置換体は、C−C−アルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループから選択され;O−アルキルウレタン、O−アリールウレタン、及びO−ヘテロアリールウレタンからなるグループから選択され、
X及びYのいずれかは、水素若しくはアミノ末端化キャップ基(例えば、ホルミル、アセチル、tBoc、Fmoc、等)であり、
X及びYのもう一方は、水酸基若しくはカルボキシ末端化キャップ基(例えば、NH、NH(アルキル)、N(アルキル)、等)であり;及び前記記載の塩である。
【0012】
上述のように、各“A”置換体は、お互いに独立して選択される。結果として、本発明は明示的にヘテロ−オリゴマー及びポリマーと同様に、ホモ−オリゴマー及びポリマーの両方を包含する。
【0013】
本発明に包含されるものは、除去可能(直交的な除去可能を含む)部位によって選択的に保護された反応的カルボキシ及びアミノ置換体である上述した化合物の保護される立体配座である。有機化学合成における保護基として使用される全ての置換体が定義に含まれる。限定されないが、明らかに、Boc,Fmoc,Cbzのようなカルバメートを形成する保護基並びにアセチル及びアセチルのようなアミドを形成する保護基はこの定義内に含まれている。かかる保護基は既知であり、ペプチド化学の当業者によって広く使用されている。
【0014】
上述した化合物のすべての立体化学的形状(単一の対掌体、単一のジアステレオマー、対掌体及びジアステレオマーの混合物、並びにラセミ化合物)は、本発明の範囲内に包含される。好ましい実施態様において、すべての残基は、環の外にあるカルボニル化合物炭素のα位置の非対称の環状炭素に関して、同一の絶対的な形状(R若しくはv)を共有する。
【0015】
本発明はまた、主題化合物の組み合わせライブラリーの調製方法を導き、かかる方法は、C末端を介して最初のサブユニット{A}を複数の分離可能な固体の基質に結合する最初の共有結合、上記の“A”のグループから選択された第一のサブユニットの少なくとも2つの連続的な反復からなり、次いで複数の基質を無作為に少なくとも2つのサブグループに分割し、少なくとも2つのサブグループに付加された第一サブユニットを脱保護する。次いで、分割及び独立反応において、少なくとも2つのサブグループの第二の独立したサブユニットの各々の第一のサブユニットへの共有結合は、{A}残基の上述したグループから選択される。
【0016】
本発明は、さらに、上述されたような複数の異なった化合物からなるオリゴマー及び/若しくはポリマーの組み合わせライブラリー、固形支持体に共有結合する各化合物、上記に記載された方法によって合成された組み合わせライブラリーを導く。
【0017】
本発明の別の実施態様は、選択された上記に記載の複数の化合物、基質上の既知の位置若しくは個別の溶液からなるアレイを導き、かかるアレイにおいて各化合物は実質的に選択された各既知の位置内において純然で、他の選択された位置において配置された別のポリペプチド及び基質上の既知の位置とは異なる組成物を有する。
【0018】
本発明の主な利点及び利用性は、高い立体配座安定性を有するペプチド合成の構築を可能にする。かかるポリアミド合成は、バイオポリマー(biopolymer)を含む生物的相互作用を調査する有用性を有する。本化合物の安定した2次構造は、天然のタンパク質の2次構造を擬態することを可能にし、大きな分子間相互作用(例えば、タンパク質−タンパク質相互作用)の目標とされた分裂を可能にする。
【0019】
本発明の化合物はまた、天然のペプチドと比較して、かかる化合物の低い極性により、容易に生物的膜を通過するであろうことが予測される。プロリンオリゴマーの既知の能力を基にして生物的膜を通過することが予測される。主題のオリゴマー及びポリマーのバックボーンが3次的アミド結合によって結合しているため、かかる化合物は酸化したアミドプロトンをバックボーンに欠乏している。加えて、かかる化合物は天然性ではないため、酵素的切断に耐えうることが予測される。したがって、主題のオリゴマーは、生物的膜を通過する非天然のベータペプチドの能力を調査するプローブとしての有用性を有する。
【0020】
自然な結果として、本発明はさらに、組み合わせ化学(combinatorial chemistry)の技術として活用できる新奇な化合物の大きなライブラリーを合成することの基盤の分子としてかかる合成ポリアミドの使用に導かれる。残基の主な配列の変化に加えて、かかる化合物の環の位置は、R及びRの上述したような非常に多くの置換基と置換することができる。ここにおける主要な利点は、バックボーンの環における置換された位置が、通常の2次構造に適合するかかる化合物の能力を干渉しないことである。結果として、かかる主題化合物は異なった置換体を有する巨大なライブラリーを構築することを活用することができるが、すべての置換体は安定した2次構造を共有する。一般的な原理として、化学構造は化学的活性に負うため、この活用性は大いに期待できる。大きなライブラリー若しくはかかる主題の化合物を構築する手段を提供することによって、かかる化合物の構造−活性の関係は、当該明細書にて開示されたオリゴマーの機能的に変換された置換体を含むライブラリー若しくはアレイの合理的設計によって説得力のある調査ができる。
【0021】
本発明の別の計画、目的及び利点は、本発明の下記の詳細な記載及び請求項の範囲によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、ダイマーからヘキサマーまでのニペコチン酸オリゴマーのCDスペクトル(メタノール中における)を示す。
【図2】図2は、ピロリジン−3−カルボン酸オリゴマーの一連のオリゴマー(モノマーからヘキサマー)におけるCDスペクトル(メタノール中における)を示す。
【図3】図3は、シス−5メトキシメチル−3−ピロリジンカルボン酸(“シス−5−MOM−PCA”)の一連のオリゴマー(モノマーからヘキサマー)におけるCDスペクトル(メタノール中における)を示す。
【図4】図4は、PCA、Nip及びシス−5−MOM−PCA化合物のペンタマーを比較したCDスペクトル(メタノール中における)を示す。
【図5】図5は、組み合わせ化学の“分割−プール”方法の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
略語及び定義:
下記に記載の略語は、本明細書及び請求の範囲において使用される。もしそれと反対に特に確定されないならば、他のすべての用語は、用語の標準的使用を容認された意味を有する。下記に記載のすべての物質は、他の国内及び国際的な供給者と同様に、米国のウィスコンシン州ミルウォーキーのAldrich Chemical Companyにより市販されており入手可能である:
“アルキル”=C−Cの直鎖若しくは分枝したアルキル
“Bn”=ベンジル
“BnBr”=臭化ベンジル
“Boc”=tert−ブトキシカルボニル
“BopCl”=ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド
“シス−5−MOM−PCA”=シス−5メトキシメチル−3−ピロリジンカルボン酸
“Cbz”=カルボベンジルオキシ
“CSA”=(1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸
“DIEA”=ジイソプロピルエチルアミン
“DMAP”=N,N−ジメチルアミノピリジン
“DMF”=N,N−ジメチルホルムアミド
“EDCI”=N,N−ジメチルアミノプロピル−3−エチルカルボジイミド
“FAB MS”=高速原子衝撃質量分析
“MALDI−TOF MS”=マトリックスに支援されたレーザー脱着電離、飛行時間質量分析(matrix−assisted laser desorption ionization, time−of−flight mass spectrometry)
“Nip”=ニペコチン酸
“PCA”=ピロリジンカルボン酸
“PiCA”=ピペラジンカルボン酸
“TCMP”=トランス−3−カルボキシ−4−メチルピペリジン
“THF”=テトラヒドロフラン
“Ts−Cl”=p−トルエンスルホニルクロリド
化学:
一般。融点は正確ではない。CHClは、窒素の存在下においてCaHから新鮮に蒸留された。DMFは、換算気圧の下で、ニンヒドリンから蒸留され、4Å以上の分子サイズを保存した。トリエチルアミンは、上記で使用されたCaHから蒸留された。その他の溶媒及び反応液は、市販品を得て使用した。BOCの除去のために、ジオキサンからの4M塩酸が使用された。カラムクロマトグラフィーが230乃至400メッシュのシリカゲル60を伴い低気圧(典型的には6psi)によって実行された。Bruker AC−300において通常のH−NMRスペクトルが得られ、残存のプロトン化NMR溶液が参考とされた。Bruker AC−300において通常の13C−NMRスペクトルが得られ、NMR溶液が参考とされた。DS55/DS90を伴うKratos MS−80RFA分析計において高解像度電子衝撃質量分析(High resolution electron impact mass spectroscopy)が行なわれた。
【0024】
遠紫外線円二色性(CD)。データは、JascoJ−715装置において20℃にて得られた。すべてのCD値が得られ、平均残基扁平率(mean residue ellipticity)は、垂直軸上に存在する。平均残基扁平率の表示は、ペプチド化学における標準実行であり、各CDスペクトルの強度は、ペプチドバックボーンにおけるアミド発色団の数を標準化する。結果として、2次構造立体配座の最低(ca.208nm)ピークの特質の強度が鎖の長さの増加と共に増加する場合、各分子において表される発色団の数の単なる増加よりも、かかる変化は2次構造の増加を表している。
【0025】
一般的な実験操作A。Bop−Clをカップリング反応液として用いる場合のペプチドのカップリング。Boc−Xxx−Obn(1.0eq.)は4N塩酸/ジオキサン(2.5eq.)にて溶解された。溶液は2時間攪拌され、溶媒は窒素蒸気の存在下で除去され、残存物は真空下において乾燥され、白い固体(Xxx−OBn・HCl)を得た。この物質は、塩化メチレン(0.1M)にて溶解された。Boc−Xxx−OH(1.0eq.)が添加され、混合溶液は0℃まで冷却された。BopCl(1.0eq.)は、DIEA(2.0eq.)を後に続けて、添加された。反応混合液は、48時間5℃の冷却室にて攪拌された。反応混合液は、冷却室から取り出され、ジエチルエーテルの溶液(反応量の3倍)中及び水(反応量の2倍)に注がれた。有機層が孤立されて、飽和KHSO、飽和NaHCO及び塩水にて洗浄された。有機層は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。次いで、粗合成物が、カラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0026】
一般的な実験操作B。Bop−Clをカップリング反応液として用いる場合のペプチドのカップリング。Boc−Xxx−Obn(1.0eq.)は4N塩酸/ジオキサン(2.5eq.)にて溶解された。溶液は2時間攪拌され、溶媒は窒素蒸気の存在下で除去され、残存物は真空下において乾燥され、白い固体(Xxx−OBn・HCl)を得た。この物質は、塩化メチレン(0.2M)にて溶解された。Boc−Xxx−OH(1.0eq.)が添加され、混合溶液は0℃まで冷却された。BopCl(1.0eq.)は、DIEA(2.5eq.)を後に続けて、添加された。反応混合液は、48時間室温にて攪拌された。反応混合液は、ジエチルエーテルの溶液(反応量の3倍)中及び水(反応量の2倍)に注がれた。有機層が孤立されて、飽和KHSO、飽和NaHCO及び塩水にて洗浄された。有機層は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。次いで、粗合成物が、カラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0027】
ニペコチン酸オリゴマー
1.保護化モノマーの合成
Boc−(S)−Nip−OEtは、ニペコチン酸オリゴマーの合成における建築ブロックである。保護化モノマーは、CSAを伴う共有結晶化(co−crystallization)を介する分解から始めて3段階で合成された。次いでアミノ基がtert−ブチルカルバメートとして保護化され、カルボキシル基がエチルエステルとして保護化された。
【0028】
【化2】

(S)−Nip・(S)−CSA1.1. (1S)−(+)−10−ショウノウスルホン酸(11.62g,0.05mol)がアセトン(100mL)中のラセミニペコチン酸(6.46g,0.05mol)の攪拌溶液に添加された。溶液は加熱して還流され、固体がすべて溶解するまで水(15mL)が添加された。溶液が室温まで冷却され、オーバーナイトで攪拌された。形成された沈澱物は、濾過によって分離され、白い固体の所望の合成物が1.99g(11%収率)得られるようにアセトン/水(6/1,v/v)を用いて三回再結晶化された。:融点221乃至223℃;{a}+25.3°(c1.0,MeOH)
Boc−(S)−Nip−OH1.2.(S)−Nip・(S)−CSA(1.90g,5.3mmol)がメタノール(12mL)に溶解された。トリエチルアミン(2.2mL,15.8mmol)及びジ−tert−ブチルジカーボネートが添加され、溶液は50℃にて12時間攪拌された。次いで、溶液は濃縮され、残存物が水で溶解された。水性溶液はジエチルエーテルにて洗浄され、有機層は廃棄された。水性の層は1M塩酸にてpH3まで酸化され、CHClにて抽出された。有機層はMgSO上にて乾燥され、白い固体の所望の合成物1.24g(量的収率)が得られるように濃縮された。:融点166乃至168℃;FAB−MSm/z(M+Na)C1119NONaの計算値252.3,実測値252.5
Boc−(S)−Nip−OBn1.3.Boc−(S)−Nip−OH(0.70g,3.1mmol)がN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(14mL)で溶解された。CsCO(1.0g,3.1mmol)及び臭化ベンジル(0.41mL,3.5mmol)が添加され、溶液は室温にて24時間攪拌された。次いで溶液は濃縮され、残存物は水にて溶解された。次いで、水性の溶液がCHClにて抽出された。有機性溶液がMgSO上にて乾燥され、オイルを得るために濃縮された。粗合成物は、白い所望の合成物を0.81g(82%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/3,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0029】
2.オリゴマーの合成
ニペコチン酸のオリゴマーが標準カップリング方法を用いた段階的操作にて合成された:
反応の仕組みは下記のようである:
【0030】
【化3】

Boc−(S)−Nip−N(Me)1.4.一般的な操作Aを介して、HCl・N(Me)(0.29g,3.5mmol)は、Boc−(S)−Nip−OH(0.4g,1.7mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無着色オイルの所望の合成物を0.29g(65%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。FAB−MSm/z(M+Na)C1119NONaの計算値279.3,実測値279.1。
【0031】
Boc−{(S)−Nip}−OBn1.5.一般的な操作Aを介して、Boc(S)−Nip−OBn(0.80g,2.5mmol)がBos−脱保護され、Boc−(S)−Nip−OH(0.64g,2.5mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無着色オイルの所望の合成物を0.69g(64%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M+Na)C2434Naの計算値453.5,実測値453.3。
【0032】
Boc−{(S)−Nip}−OBn1.6.一般的な操作Aを介して、Boc{(S)−Nip−}OBn(0.37g,0.85mmol)がBoc−脱保護され、Boc−(S)−Nip−OH(0.19g,0.85mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物を0.22g(49%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M+Na)C3043Naの計算値564.3,実測値564.3。
【0033】
Boc−{(S)−Nip}−OBn1.7.一般的な操作Aを介して、Boc{(S)−Nip−}OBn(0.29g,0.62mmol)がBoc脱保護され、Boc−{(S)−Nip−}−OH(0.29g,0.85mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物を0.27g(68%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M+Na)C3652Naの計算値675.4,実測値675.4。
【0034】
Boc−{(S)−Nip}−OBn1.8.一般的な操作Aを介して、Boc−(S)−Nip−OBn(88.4mg,0.28mmol)がBoc脱保護され、Boc−{(S)−Nip}−OH(0.14g,0.28mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物を0.11g(52%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M+Na)C4261Naの計算値786.4,実測値786.5。
【0035】
Boc−{(S)−Nip}−OBn1.9.一般的な操作Aを介して、Boc{(S)−Nip−}OBn(0.46g,1.1mmol)がBoc−脱保護され、Boc−{(S)−Nip}−OH(0.16g,0.3mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物を0.12g(45%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M+Na)C4870Naの計算値897.5,実測値897.6。
【0036】
ダイマーからヘキサマーのニペコチン酸のCDスペクトルが図1に示されている。データは、b−ペプチド濃度及びアミノ基の数のために標準化された。トリマーのCDスペクトルは、モノマー及びダイマーよりも異なる最大値及び最小値を有する。これは、トリマーが異なる2次構造を取り入れることを示唆している。オリゴマーが、テトラマー及びペンタマ−までの長さであるので、スペクトルの強度が増加することで2次構造がより安定になることを示唆する。ヘキサマーはペンタマーと同等の強度を有し、追加的な残基の添加がNipオリゴマーの安定性を増加しないことを示唆している。218nmにおける異二色性点(isodichroic point)は、唯一の2次構造によって占められていることを示唆している。
【0037】
温度の機能としてのイソプロパノールにおける0.5mMのNipペンタマーの円二色性のデータは、Nipオリゴマーが温度的に安定で、唯一75℃においてオリゴマーの安定性が減少することが示唆されている(データは示されていない)。メタノールで保護され、pH7.6の水で脱保護された0.5mMのNipヘキサマー(25℃)の円二色性データは、構造的安定性におけるわずかな減少を伴って同等の2次構造が水中にて取り入れられることが示唆される(データは示されていない)。
【0038】
ピロリジン−3−カルボン酸(PCA)
1.保護化モノマーの合成
【0039】
【化4】

かかるモノマーの合成は、Kleinらによって与えられた1997年刊行のBio.&Med.Chem.Let.7の1773頁の拡張である。
【0040】
3−ヒドロキシ−(R)−ピロリジン。トランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(13.11g,0.1mol)がシクロヘキサノール(65mL)に添加され、続いて2−シクロへキサン−1−オン(0.65mL)が添加された。反応混合液は、すべての固体が溶解するまで180℃にて加熱された。溶液は室温まで冷却され、真空回転蒸発にて濃縮された。粗合成物は、さらなる精製は行なわず次ぎの合成段階が行なわれた。
【0041】
3−ヒドロキシ−Cbz−(R)−ピロリジン2.1.3−ヒドロキシ−(R)−ピロリジン(8.71g,0.1mol)が、CHCl(260mL)にて溶解され、0℃まで冷却された。トリエチルアミン(33.5mL,0.24mol)及びベンジルクロロホルマート(benzyl chloroformate)(14.9mL,0.11mol)が添加され、生じた溶液は0℃で2時間攪拌された。溶液は次第に室温まで上昇させ、オーバーナイトで攪拌した。溶液は、1M塩酸、飽和NaHCO、及び食塩水にて洗浄された。有機性溶液は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、紫色オイルの所望の合成物を13.7g(62%収率、2段階)得るために酢酸エチルによるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0042】
3−トシル−Cbz−(R)−ピロリジン2.2.3−ヒドロキシ−Cbz−(R)−ピロリジン(13.7g,0.06mol)が、CHCl(250mL)にて溶解され、0℃まで冷却された。p−トルエンスルホニルクロリド(14.16g,0.07mol)及びトリエチルアミン(20.7mL,0.15mol)が添加され、生じた溶液は0℃で4時間攪拌された。溶液は、1M塩酸、飽和NaHCO、及び塩水にて洗浄された。有機性溶液は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物を20.4g(88%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0043】
3−シアノ−Cbz−(S)−ピロリジン2.3.3−トシル−Cbz−(R)−ピロリジン(20.4g,0.05mol)がDMSO(54mL)にて溶解され、続いてKCN(5.3g,0.08mol)が添加された。反応混合液は、80℃にて5時間攪拌された。溶液は室温まで冷却され、塩水/水(90mL)(1/1,v/v)が添加された。水性溶液が酢酸エチルにて抽出された。有機性の抽出物は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物を8.13g(65%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0044】
Cbz−(S)−PCA−OMe2.4.3−シアノ−Cbz−(S)−ピロリジン(8.13g,35.3mol)がメタノール(35mL)にて溶解され、続いて濃縮塩酸(35mL)が添加された。反応液は、室温にて3日間攪拌された。溶液は、NaHCOによって中和された。メタノールが除去され、溶液が水(100mL)にて希釈された。水溶性溶液は、CHClにて抽出された。有機性の抽出物は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、無色オイルの所望の合成物を5.26g(57%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0045】
Boc−(S)−PCA−OMe2.5.Cbz−(S)−PCA−OMe(5.26g,20.0mmol)がメタノール(0.1M)、10%Pd/C(12質量%)にて溶解され、BocO(5.67g,25.9mmol)が添加され、溶液が水素のpsiの下で12時間Parr装置で揺動された。溶液は、ガラス綿のプラグを通過して濾過され、濾過物は濃縮された。粗合成物は、無色オイルの所望の合成物を3.79g(83%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0046】
Boc−(S)−PCA−OH2.6.Boc−(S)−PCA−OMe(2.52g,11.0mol)がメタノール(55mL)及び水(54mL)にて溶解され、溶液は0℃まで冷却された。LiOH・HO(4.6g,0.11mol)が添加され、続いてH(6.23mL,0.05mol)が添加されて、溶液は5℃の冷却室にて15時間攪拌された。冷たさを維持している間に、水(93mL)に溶解したNaSO(21g,0.17mol)を添加した。メタノールが除去され、溶液は1M塩酸でpH2に調製された。水溶性溶液は、塩化メチレンにて抽出された。有機性の抽出物は、MgSO上にて乾燥され、白い固体の所望の合成物を2.36g(88%収率)得るために濃縮された。
【0047】
Boc−(S)−PCA−OBn2.7.Boc−(S)−PCA−OH(1.07g,4.9mmol)がDMF(50mL)にて溶解された。CsCO(1.62g,4.9mmol)及び臭化ベンジル(0.63mL,5.2mmol)が添加され、溶液は室温にて24時間攪拌された。次いで溶液は濃縮され、残存物は水にて溶解された。次いで、水溶性溶液は酢酸エチルにて抽出された。有機性溶液は、MgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、白い固体の所望の合成物を1.52g(90%収率)得るために酢酸エチル/へキサン(1/3,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0048】
2.オリゴマーの合成
【0049】
【化5】

Boc−(S)−PCA−N(Me)2.8.一般的な操作Aを介して、HCl・N(Me)(31.7mmg,0.5mmol)が、Boc−(S)−OH(93.5mmg,0.4mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無色オイルの所望の合成物を39.1mg(37%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0050】
Boc−{(S)−PCA}−OBn2.9.一般的な操作Aを介して、Boc−(S)−PCA−OBn(0.46g,1.5mmol)はBoc脱保護され、Boc−(S)−PCA−OH(0.32g,1.5mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無色オイルの所望の合成物を0.28g(47%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0051】
Boc−{(S)−PCA}−OBn2.10.一般的な操作Aを介して、Boc−{(S)−PCA}−OBn(90mg,0.2mmol)はBoc脱保護され、Boc−(S)−PCA−OH(48mg,0.2mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無色オイルの所望の合成物を29.8mg(27%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(20/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0052】
Boc−{(S)−PCA}−OBn2.11.一般的な操作Aを介して、Boc−{(S)−PCA}−OBn(0.21g,0.5mmol)はBoc脱保護され、Boc−{(S)−PCA}−OH(0.16g,0.5mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物を67.9mg(27%収率)得るために酢酸エチル/メタノール(20/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M)C3244Naの計算値620.724,実測値620.5。
【0053】
Boc−{(S)−PCA}−OBn2.12.一般的な操作Aを介して、Boc−{(S)−PCA}−OBn(0.10g,0.2mmol)はBoc脱保護され、Boc−(S)−PCA−OH(36mg,0.2mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、透明なガラス状固体の所望の合成物を16.3mg(14%収率)得るために塩化メチレン/メタノール(20/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M)C3751Naの計算値716.841,実測値716.5。
【0054】
Boc−{(S)−PCA}−OBn2.13.一般的な操作Aを介して、Boc−{(S)−PCA}−OBn(0.10g,0.2mmol)はBoc脱保護され、Boc−{(S)−PCA}−OH(52mg,0.2mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、透明なガラス状固体の所望の合成物を7.0mg(6%収率)得るために塩化メチレン/メタノール(20/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。MALDI−TOF−MSm/z(M)C4258Naの計算値813.957,実測値813.5。
【0055】
図2を参照すると、メタノール(25℃)中におけるPCAオリゴマーの円二色性データは、モノマー2.8及びダイマー2.9が無作為な立体配座を取り入れることを示唆している。トリマー2.10のCDスペクトルは異なっており、それは、オリゴマーが明らかに2次構造を取り入れ始めることを示唆する。テトラマー2.11、ペンタマ−2.12及びヘキサマー2.13のCDスペクトルは、トリマーよりもより強いシグナル強度を有する。これは、テトラマーになる場合に、より安定した2次構造であるが、さらに長いオリゴマーであるペンタマーやヘキサマーになる場合は、構造の安定性を増加しないことを示唆している。232nmにおける異二色性点は、唯一の2次構造が専有していることを示唆している。
【0056】
温度の機能を25℃、50℃及び75℃として、イソプロパノール中の0.5mMPCAペンタマー2.12の円二色性データは、オリゴマーが温度的に安定していることを示唆している。わずかに穏やかな温度の増加は、オリゴマーの強度を減少させる(データは示されていない)。メタノールで保護され、pH7.6の水で脱保護された0.5mMPCAテトラマーの円二色性データは、PCAテトラマーが水においては同一の2次構造を取り入れるが、オリゴマーの安定性が減少することを示唆している(データは示されていない)。
【0057】
置換型ピロリジン−3−カルボン酸
下記の反応は、位置4にアミノ基を与えるピロリジン−3−カルボン酸の誘導体の合成を例証する:
【0058】
【化6】

化合物58である最終合成物は、上述した他のモノマーと同等の方法でオリゴマー化できる。
【0059】
化合物52:化合物51(2.0g)及びNaBHCN(0.54g)はメタノール(40ml)にて溶解され、1N塩酸(水性)がpH3乃至4を維持するように滴下して添加された。15乃至20分後、pHはゆっくりと変化した。混合液は、追加で1時間攪拌される一方で、pH3乃至4を維持するために1N塩酸が時々加えられた。水(100ml)が添加された。混合液はジエチルエーテル(3x150ml)で抽出された。抽出物はNaHCO(100ml)及び希釈した塩水(100ml)にて洗浄され、MgSO上にて乾燥し、無色のオイル(1.9g)を95%収率で得るために濃縮された。さらなる精製はせずに、合成物は直接使用された。
【0060】
化合物53:化合物52(1.9g)及びPhP(2.8g)は窒素の存在下にてトルエン(無水物,30ml)にて溶解された。続いて、トルエン(10ml)に溶解しているジエチルアゾジカルボキシレート(1.5ml)の溶液がシリンジによって15分間徐々に添加された。反応混合液は、12時間室温にて窒素の存在下にて攪拌された。トルエンは換算気圧の下で除去された。残存物は、無色オイル(1.6g)を91%収率で得るために酢酸エチル/ヘキサン(3/7,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0061】
化合物54:化合物53(1.0g)及びR−(+)−α−メチルベンジルアミン(1.1ml)が水(15ml)で混合された。混合液は、55℃で67時間攪拌された。混合液は、ジエチルエーテル(300ml)にて溶解され、水溶性層が分離した。エーテル溶液が水(3x50ml)にて洗浄され、MgSO上にて乾燥され、わずかに黄色いオイルを得るために濃縮された。ジアステレオマー異性体は、RSS(0.2g)及びRRR(0.34g)を51%収率で溶出して得るために酢酸エチル/ヘキサン(2/8,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて分離された。
【0062】
化合物55:化合物54(4.2g)は酢酸エチル(200ml)にて溶解された。ジオキサン(4.35ml)に溶解している4N塩酸は、攪拌中に滴下して添加された。白い沈澱物が生じた。酢酸エチルは換算気圧下で除去され、生じた白い固体(4.6g,100%)は真空下で乾燥された。
【0063】
化合物56:化合物55(4.6g)は95%エタノール(150ml)で水素化処理フラスコ中にて溶解された。活性炭(0.5g)の10%パラジウムが添加された。フラスコは、水素にて50psi気圧にされ、室温にて22時間放置され、NMR分析にて、水素化処理が完結していることが示された。Pd/Cが濾過にて除去された。白い固体を得るために濾過物は濃縮された。白い固体は、アセトン/水(2/1,v/v,150ml)にて溶解された。NaHCO(9.7g)が添加され、続いてCbz−OSU(3.4g)が加えられた。反応混合液は、室温にて14時間攪拌された。水(100ml)が添加された。アセトンが、換算気圧下にて除去された。水溶性混合液は酢酸エチル(3x200ml)にて抽出された。抽出物は1N塩酸(3x100ml)及び飽和NaHCO(水性)にて洗浄され、MgSO上にて乾燥し、無色のオイルを得るために濃縮された。粗合成物は、無色粘性オイル(4.0g)のきれいな合成物を90%収率で溶出して得るために酢酸エチル/ヘキサン(3/7,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0064】
化合物57:化合物56(2.0g)はメタノール/水(3/1,v/v,115ml)にて溶解され、0℃まで冷却され、LiOH・HO(2.4g)を添加された。混合液は、0℃にて15時間攪拌され、TLC分析によって、加水分解が完結していることが示された。飽和水酸化アンモニウム(水性,100ml)が添加された。メタノールが換算気圧の下で除去された。水性物は1N塩酸でpH3まで酸化され、酢酸エチル(3x200ml)にて抽出された。抽出物は、希釈した塩水(100ml)で洗浄され、MgSO上にて乾燥し、泡状の固体(1.63g,88%)を得るために濃縮され、濃縮物はさらなる精製を行なわずに直接使用された。
【0065】
化合物58:化合物57(1.63g)はメタノール(70ml)で水素化処理フラスコ中にて溶解された。活性炭(250mg)の5%パラジウムが添加された。フラスコは、水素にて35psi気圧にされ、室温にて15時間放置され、NMR分析にて、水素化処理が完結していることが示された。Pd/Cが濾過にて除去された。白い固体を得るために濾過物は濃縮された。白い固体は、アセトン/水(2/1,v/v,90ml)にて溶解され、0℃まで冷却された。NaHCO(2.27g)が添加され、続いてFMOC−OSU(1.83g)が加えられた。反応混合液は、0℃にて2時間攪拌され、続いて室温で28時間攪拌された。水(50ml)が添加された。アセトンが、換算気圧下にて除去された。水性物は1N塩酸でpH3まで酸化され、酢酸エチル(3x200ml)にて抽出された。抽出物は、希釈した塩水(100ml)で洗浄され、MgSO上にて乾燥し、泡状の固体を得るために濃縮された。白い固体の粗合成物は、白い固体(1.68g)のきれいな合成物を84%収率で溶出して得るためにメタノールフェチルアセタート(methanolfethyl acetate)(3/7,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0066】
ピペラジンカルボン酸(PiCA)
1.保護化モノマーの合成
【0067】
【化7】

かかるモノマーの合成は、Patelらによる1997年刊行のJ.Org.Chem.62の6439頁によって与えられたものの拡張である。
【0068】
N−tert−ブトキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトン3.1.無水THF(110mL)のトリフェニルホスフィン(7.48g,28.5mmol)の溶液が窒素の存在下で攪拌され、マイナス78℃まで冷却され、ジメチルアゾジカルボキシレート(4.83mL,30.7mmol)を滴下して添加された。混合液は10分間攪拌され、THF(110mL)のBoc−セリン(4.5g,21.9mmol)の溶液は滴下して添加された。添加後、攪拌がマイナス78℃で30分間行なわれ、追加の3時間後、冷却槽が取り除かれた。溶液は濃縮され、残存物は、白い固体の所望の合成物を2.21g(54%収率)で溶出して得るためにヘキサン/酢酸エチル(2/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0069】
(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(2−プロペニル)−2,3−ジアミノプロパン酸3.2.アセトニトリル(224mL)のN−tert−ブトキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトン(2.21g,11.8mmol)が、攪拌したアセトニトリル(448mL)のアリルアミン(21.9mL,0.29mmol)溶液に滴下されて添加された。溶液は室温にて2時間攪拌され、次いで濃縮された。固形の残存物はアセトニトリルでスラリー状にされ、白い固体1.51g(52%収率)の所望の合成物を得るために濾過された。
【0070】
(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルカルボニル)−N−(2−プロペニル)−2,3−ジアミノプロパン酸3.3.飽和NaHCO(36mL)及び水(5mL)中の(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(2−プロペニル)−2,3−ジアミノプロパン酸(2.80g,11.4mmol)溶液がアセトン(2.5mL)のベンジルクロロホルマート(1.84mL,12.8mmol)の溶液に滴下されて処理された。濁った反応混合液は2時間攪拌された。生じた溶液は、ジエチルエーテル(130mL)と水(65mL)で分離された。水性層は氷冷槽にて冷却され、1M塩酸にてpH2に調製され、酢酸エチルで抽出された。有機抽出物は、MgSO上にて乾燥され、無色オイル3.15g(73%収率)の所望の合成物を得るために濃縮された。
【0071】
(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルオキシカルボニル)−ピペラジンカルボン酸3.5.塩化メチレン(110mL)及びメタノール(11mL)の(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルカルボニル)−N−(2−プロペニル)−2,3−ジアミノプロパン酸(3.15g,8.3mmol)溶液が窒素の存在下でマイナス78℃まで冷却された。淡青色になるまで、オゾンは溶液を通過された(6psi酸素,90V,20分)。余分なオゾンは、窒素の泡を15分間溶液に通すことによって取り除かれた。ジメチルスルフィド(11mL)が添加され、溶液はオーバーナイトで室温まで次第に温められた。20時間後、反応混合液は塩化メチレン(200mL)で希釈され、塩水で洗浄された。有機層がMgSO上にて乾燥され、黄色い泡状3.02g(95%収率)の所望の合成物を得るために濃縮された。
【0072】
塩化メチレン(200mL)中の粗物質及びトリエチルシラン(1.4mL,8.8mmol)は窒素の存在下にてマイナス78℃まで冷却され、三フッ化ホウ素ジエチルエタレート(boron trifluoride diethyl etherate)(1.11mL,8.8mmol)と滴下されて処理された。30分後、さらなるトリエチルシラン(1.4mL,8.8mmol)及び三フッ化ホウ素ジエチルエタレート(1.11mL,8.8mmol)が同じ方法で添加された。反応混合液はマイナス78℃で2時間攪拌され、塩水が添加され、冷却混合液は塩化メチレンにて抽出された。有機抽出物がMgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、白い固体の所望の合成物を2.13g(74%収率)で溶出して得るために塩化メチレン/酢酸エチル/酢酸(2/1/0.03,v/v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0073】
(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルオキシカルボニル)−ピペラジンエチルエステル3.6.(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルオキシカルボニル)−ピペラジンカルボン酸(4.66g,12.8mmol)がDMF(128mL)にて溶解された。CsCO(4.37g,13.4mmol)及びヨウ化エチル(1.23mL,15.3mmol)が添加され、反応混合液は室温にて24時間攪拌された。反応混合液は濃縮され、残存物は水で溶解された。水性溶液は酢酸エチルにて抽出された。有機層はMgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物を3.77g(75%収率)で溶出して得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0074】
(S)−N−(メシル)−N−(ベンゾイルオキシカルボニル)−ピペラジンエチルエステル3.7.(S)−N−(tert−ブトキシカルボニル)−N−(ベンゾイルオキシカルボニル)−ピペラジンエチルエステル(3.77g,9.6mmol)が4N塩酸/ジオキサンにて溶解され、室温で2時間攪拌された。反応混合物は窒素蒸気の存在下で濃縮され、次いで真空にて濃縮された。残存物は塩化メチレンにて溶解され、0℃まで冷却された。トリエチルアミン(6.7mL,50mmol)及びDMAP(0.12g,1.0mmol)が添加され、続いてメタンスルホニルクロリド(1.5mL,19.2mmol)が添加された。反応溶液は室温にて24時間攪拌された。次いで反応溶液は塩水にて洗浄され、有機層はMgSO上にて乾燥され、濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物を2.1g(59%収率)で溶出して得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーにて精製された。
【0075】
2.オリゴマーの合成
【0076】
【化8】

Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn3.8.一般的な操作Aを介して、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn(0.15g,0.3mmol)はBoc脱保護され、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OH(0.12g,0.3mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、無色オイルの所望の合成物0.13g(57%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0077】
Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn3.9.一般的な操作Aを介して、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn(0.11g,0.2mmol)はBoc脱保護され、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OH(58.3mg,0.2mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物78mg(51%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0078】
Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn3.10.一般的な操作Aを介して、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OBn(65.2mg,0.1mmol)はBoc脱保護され、Boc−{(N−Ts)−PiCA}−OH(24.9mg,0.1mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物25mg(33%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0079】
メタノール中の(N−Ts)−PiCAオリゴマーの円二色性データは、テトラマーが明らかに2次構造を取り入れ、ダイマー及びトリマーによって取り入れられた構造とは異なることが示唆された。
【0080】
シス−5−メトキシメチル−3−ピロリジンカルボン酸(シス−5−MOM−PCA)
1.保護化モノマーの合成
【0081】
【化9】

トランス−4−ヒドロキシ−Cbz−L−プロリン4.1.ベンジルクロロホルマート(8.6mL,0.06mol)がアセトン(12mL)にて溶解されて、この溶液は、飽和NaHCO(160mL)及び水(24mL)のトランス−4−ヒドロキシ−L−プロリン(6.56g,0.05mol)の攪拌された溶液に滴下して添加された。生じた溶液は、室温にて6時間攪拌された。溶液はジエチルエーテルにて洗浄され、有機層は廃棄された。水性層は1M塩酸にてpH3まで酸性に調製され、酢酸エチルにて抽出された。有機層はMgSO上にて乾燥し、オイルの所望の合成物13.5g(量的収率)を得るために濃縮された。
【0082】
トランス−4−TBDMSO−Cbz−L−プロリン4.2.トランス−4−ヒドロキシ−Cbz−L−プロリン(13.5g,0.05mol)がDMF(190mL)にて溶解され、続いてイミダゾール(17.0g,0.25mol)及びTBDMS−Cl(22.6g,0.15mol)が添加された。生じた溶液は室温にて12時間攪拌された。メタノール(150mL)が添加され、溶液は2時間攪拌された。溶液は濃縮され、残存物は酢酸エチルにて溶解され、1M塩酸にて洗浄された。有機層はMgSO上にて乾燥し濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物18.01mg(95%収率)を得るために塩化メチレン/酢酸エチル/酢酸(2/1/0.03,v/v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0083】
トランス−5−ヒドロキシメチル−3−TBDMSO−Cbz−ピロリジン4.3.トランス−4−TBDMSO−Cbz−L−プロリン(14.31g,0.04mol)がTHFにて溶解され、THF(48.0mL,0.09mol)の2MMeS・BHの攪拌溶液にカニューレを介して添加された。生じた溶液は、還流され16時間攪拌された。次いで、反応はメタノール(50mL)で抑制されて濃縮された。残存物は酢酸エチルにて溶解され塩水で洗浄された。有機層はMgSO上にて乾燥し濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物9.73g(70%収率)を得るためにヘキサン/酢酸エチル(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0084】
トランス−5−メトキシメチル−3−TBDMSO−Cbz−ピロリジン4.4.トランス−2−ヒドロキシメチル−4−TBDMSO−Cbz−ピロリジン(5.02g,13.7mmol)がアセトニトリル(13.7mL)にて溶解され、続いてヨードメタン(8.55mL,0.14mol)及びAgO(6.36g,27.5mmol)が加えられた。生じた反応混合液は、暗下で還流して12時間攪拌された。次いで、反応混合液はセライト(celite)を通して濾過され、セライトはアセトニトリルによって洗浄された。濾過物は濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物4.05g(78%収率)を得るためにヘキサン/酢酸エチル(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0085】
トランス−5−メトキシメチル−3−トシル−Cbz−ピロリジン4.5.トランス−2−ヒドロキシメチル−4−TBDMSO−Cbz−ピロリジン(8.99g,23.6mmol)がTHF(237mL)にて溶解され、続いてTHF(23.7mL,23.7mmol)の1MのTBAFが加えられた。生じた溶液は室温にて3時間攪拌された。反応は飽和NHClにて抑制された。溶液は濃縮され、残存物は酢酸エチルにて溶解され塩水で洗浄された。有機層はMgSO上にて乾燥し濃縮された。残存物は塩化メチレン(230mL)にて溶解され、0℃まで冷却された。DMAP(3.37g,27.6mmol)及びトリエチルアミン(7.7mL,66.2mmol)が添加され、続いてp−トルエンスルホニルクロリド(5.26g,27.6mmol)が加えられた。反応溶液は室温にて12時間攪拌された。溶液は塩水で洗浄され、有機層はMgSO上にて乾燥し濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物8.67g(90%収率)を得るためにヘキサン/酢酸エチル(2/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0086】
シス−5−メトキシメチル−3−シアノ−Cbz−ピロリジン4.6.トランス−5−メトキシメチル−3−トシル−Cbz−ピロリジン(3.55g,8.8mmol)がDMSO(8.8mL)にて溶解された。微細粉砕のNaCN(0.65g,13.2mmol)が添加され、生じた反応混合液は80℃で4時間攪拌された。溶液は室温まで冷却され、水(9mL)及び塩水(9mL)で希釈されて、酢酸エチルで抽出された。有機抽出物はMgSO上にて乾燥し濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物2.09g(87%収率)を得るためにヘキサン/酢酸エチル(2/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0087】
シス−5−メトキシメチル−Boc−3−ピロリジンカルボン酸{シス−Boc−(5−MOM)−PCA−OH}4.7.シス−5−メトキシメチル−3−シアノ−Cbz−ピロリジン(1.71g,6.2mmol)が濃縮塩酸にて溶解され、50℃で12時間攪拌された。溶液は室温まで冷却されNaHCOにて中和された。溶液は濃縮され、残存物はメタノール(62mL)にて溶解された。トリエチルアミン(2.6mL,18.7mmol)及びBocO(1.63g,7.5mmol)が添加され、溶液は50℃にて12時間攪拌された。溶液は濃縮され、残存物は水で溶解された。水性溶液はジエチルエーテルで洗浄され、有機層は廃棄された。水性層は1M塩酸でpH3の酸性に調製され、酢酸エチルにて抽出された。有機層はMgSO上にて乾燥し、オイルの所望の合成物1.40g(86%収率)を得るために濃縮された。
【0088】
シス−5−メトキシメチル−Boc−3−ピロリジン酸のベンジルエステル{シス−Boc−(5−MOM)−PCA−OBn}4.8.シス−5−メトキシメチル−Boc−3−ピロリジンカルボン酸(1.4g,5.3mmol)がDMF(26.5mL)にて溶解された。CsCO(1.73g,5.3mmol)及び臭化ベンジル(0.76mL,6.4mmol)が添加され、反応混合液は室温にて24時間攪拌された。反応混合液は濃縮され、残存物は水で溶解された。水性溶液は酢酸エチルにて抽出された。有機層はMgSO上にて乾燥し、濃縮された。粗合成物は、オイルの所望の合成物1.88g(85%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(1/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0089】
2.オリゴマーの合成
【0090】
【化10】

Boc−{(シス−5−MOM)−PCA}−OBn4.9.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−(5−MOM)−PCA−OBn(1.88g,5.38mmol)はBoc脱保護され、シス−Boc−(5−MOM)−PCA−OH(1.40g,5.38mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、オイルの所望の合成物1.90g(72%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0091】
Boc−{(シス−5−MOM)−PCA}−OBn4.10.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OBn(0.26g,0.54mmol)はBoc脱保護され、シス−Boc−(5−MOM)−PCA−OH(0.13g,0.54mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物0.25g(75%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(20/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0092】
Boc−{(シス−5−MOM)−PCA}−OBn4.11.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OBn(0.26g,0.54mmol)はBoc脱保護され、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OH(0.20g,0.54mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物0.24g(57%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(15/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0093】
Boc−{(シス−5−MOM)−PCA}−OBn4.12.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OBn(0.12g,0.18mmol)はBoc脱保護され、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OH(0.09g,0.20mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物0.12g(83%収率)を得るために塩化メチレン/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0094】
Boc−{(シス−5−MOM)−PCA}−OBn4.13.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OBn(0.13g,0.17mmol)はBoc脱保護され、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OH(0.07g,0.17mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、白い泡状の所望の合成物70mg(52%収率)を得るために塩化メチレン/メタノール(10/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0095】
Boc−(シス−5−MOM)−PCA−NMe4.14.一般的な操作Bを介して、シス−Boc−{(5−MOM)−PCA}−OBn(0.11g,0.41mmol)はBoc脱保護され、ジメチルアミン塩酸塩(0.04g,0.49mmol)とカップリングされた。反応後、粗合成物は、オイルの所望の合成物57mg(50%収率)を得るために酢酸エチル/ヘキサン(3/1,v/v)によるカラムクロマトグラフィーの溶出にて精製された。
【0096】
シス−5−MOM)−PCAのモノマーからヘキサマーまでの一連のオリゴマーにおけるCDスペクトル(25℃,メタノール)が図3に示されている。CDデータは、上述したNip及びPCAの一連のオリゴマーと同等の挙動を示しており、“残基一つ当たりのCD”はモノマーからテトラマーまでの一定の変化を示し、本質的に一定である。上述したように、2次構造がテトラマーの長さにおいて最大である示唆を表す。
【0097】
図4に示されたCDスペクトルは、PCA,Nip,及びシス−5−MOM−PCAの一連の化合物のペンタマーを比較している。興味深いことに、シス−5−MOM−PCAペンタマーのCD曲線は、212nm近辺の最低値が他の2つの中間に位置している。これは、Nipペンタマーよりもわずかに高く、PCAペンタマーよりもわずかに低い。詳細な構造的結論はかかる結果からは導きだせないが、すべての3つのペンタマーが関連した立体配座を有するであろうことを示唆する
分子モデル研究:
トランス−3−カルボキシ−4−メチルピペリジンの3−へリックスのコンピューターシミュレーション:
トランス−3−カルボキシ−4−メチルピペリジン(TCMP)のオリゴマーは分子間の水素結合を含まないため、通常のヘリックス構造は本質的な分子の選択において安定すべきである。
【0098】
【化11】

したがって、かかる立体配座的選択は任意のヘリックス構造が評価される以前に決定されるであろう。下記に示される3つの分子は、C2−C3−C(O)−N1´捻転の回転にアルキル置換基が持つ影響を決定するために構成された。各分子は、AMBER*C力場及びCHCl GB/SA連続的溶媒和(AMBER*C force field and CHCl GB/SA continuous solvation)を用いてMarcoModel6.0における二面体駆動シミュレーション(dihedral drive simulation)にて行なわれた。1990年刊行のMohamadi,F.,Richards,N.G.J.,Guida,W.C.,Liskamp,R.,Lipton,M.,Caufield,C.,Chang,G.,Hendrickson,T.,Still,W.C.らのJ.Comput.Chem.11の440頁の(マクロモデル−分子力学を用いた有機及び生物有機分子のモデルのための集積されたソフトウェアシステム);1997年ウィスコンシン大学マディソン校のChristianson,L.A.の論文;及び1990年刊行のStill,Tempczyk,Hawley及びHendricksonのJ.Am.Chem.Soc.112の6127頁をそれぞれ参照。各シミュレーションにとって、所望のねじれは10°の増加において0°乃至360°から回転し、各回転後に1000反復を最小限にした。また、内部のイミド結合は0°(若しくはシス)に強いられた。
【0099】
【化12】

図2A及び2Bで表されるグラフにおいて示されるように、相対エネルギーは、すべて3つの分子の各増加において比較され、C2−C3−C(O)−N1´捻転周辺の好ましい立体が決定される。分子2と分子4の違いは、比較的小さく、両者はおよそ同等エネルギーの3つの最小限度を有している。両者の最も最低限のエネルギー限度は、角度が20°のC2−C3−C(O)−N1´捻転で発生し、次ぎの最小限度は分子2において+1.0kcal/molで分子4において+1.2kcal/molである相対エネルギーを伴う90°で発生する。最後の最小限度は、5.7kcal/molより大きい各分子にとって高いエネルギーで、250°において発生する。
【0100】
しかしながら、分子3と他の分子との違いは、より明確にされた。まず、最も最低限のエネルギー限度は、角度が90°のC2−C3−C(O)−N1´捻転で発生し、次ぎの最小限度はわずかに0.3kcal/mol高いエネルギーで40°にて発生する。最後の最小限度は250°で、+4.5kcal/molの他よりもわずかに低いエネルギーである。
【0101】
いったん立体配座的な選択が確立されると、各分子からの螺旋構築の安定性は力学的シミュレーションにより評価することができる。まず最初に、置換されていないモノマー、ニペコチン酸が研究される。ニペコチン酸のデカマーは残基を並べて構築され、各付加後に極小化し、5−へリックスを創る。生じたヘリックスは、0.5fsの時間段階で200ps分子力学シミュレーションにかけられ、再度AMBER*C及びGB/SA連続的CHCl溶媒和(AMBER*C and GB/SA continuous CHClsolvation)を用いた。シミュレーションは決定的でななかった。
【0102】
次ぎのヘリックスの評価はTCMPのデカマーである。このヘリックスは、前述した二面体駆動シミュレーションにおいて決定された強制的に強いられる理想的な立体角度が90°のC2−C3−C(O)−N1´捻転によって構築された。極小化立体配座は、小型の3−へリックスである。200ps分子力学シミュレーションが、ニペコチン酸デカマーの場合と同じ状態においてかかるデカマーにおいて行なわれた。前述のシミュレーションと異なり、かかるオリゴマーはシミュレーションを通してヘリックスを維持して、安定した立体配座を示唆する。また、かかるヘリックスはモンテカルロ/統計力学のハーシャーの混合モードの200psシミュレーション(200 ps simulation of harsher mixed−mode Monte Carlo/stoichastic dynamics)においても保たれた。しかしながら、かかるヘリックスの安定性の最も手掛かりとなる証拠は、シミュレート化されたアニーリング計算から分かる。
【0103】
TCMPの3−へリックスは、2つのシミュレート化されたアニーリング計算を受ける:ニペコチン酸のデカマーと同様に、一つは3−へリックスの開始構造であり、一つは3−へリックスの開始である。両者のシミュレーションは、初期の立体配座を崩壊する600Kにおける分子力学(1fs時間段階)の50psセグメント及び温度を600Kから50Kに次第に下げる400psの冷却段階からなる。再度、AMBER*C力場及びGB/SA連続的CHCl溶媒和が使用された。メチル置換基は、炭素を6個有する環におけるシミュレート化されたアニーリングの既知の問題である、冷却段階の非生成2軸配座(unproductive diaxial conformation)において環が癒着するのを防ぐために、1000kJ/mol(239kcal/mol)の力の定数を伴い70°±20°に強いられた。両者のシミュレーションからの最終立体配座は、ほとんど3−へリックスである。いずれの構造も完全なヘリックスではないが、両者はヘリックスに異常を導入するねじれ舟形配座(twist−boat conformation)の環を含んでいる。かかる結果は、TCMPのオリゴマーは安定したヘリックス構造立体配座になるであろうことを示唆している。
【0104】
同様な結果がトランス−5−カルボキシ−2−メチルピペリジンのオリゴマーのモデル研究において発見された。
【0105】
組み合わせ化学
当該明細書にて記述された好ましいポリペプチドによって議論され定義された立体配座は、組み合わせ化学を介した潜在的に活用性ある化合物の大きなライブラリーを構築するためのかかるポリアミド化合物の利用性を高める。主題化合物の機能化されたオリゴマーの組み合わせ探索は、すべての明確に定義された2次構造を表示する新奇のポリペプチド分子の文字通り何百万もの潜在的な成果を有する。
【0106】
最終ペプチドからなるアミノ酸は、ポリペプチドへの組み込みに先だって機能化でき、若しくは無機能化ポリペプチドが構築され得、次いで完全なオリゴマーが機能化される。いずれの方法も所望の化合物の種類に補足的に依存する他に対して好ましくない。
【0107】
本化合物を活用する組み合わせライブラリーは、現在当業者に既知の手段若しくは将来開発される手段を用いて構築されるであろう。しかしながら、好ましい手段は不活性固体基質における固体段階のポリペプチド合成を用いた“分割−プール(split and pool)”方法及び平行合成であり、またマルチピン(multipin)合成として参照される。
【0108】
“分割−プール”概念は、唯一一種類の化合物を表示するが、100μmの直径の単一ビーズにおける同一化合物の1013のコピーまで存在するであろう単一のビーズを含む、組み合わせビーズライブラリー(combinatorial bead libraries)の根拠に基づいている。工程は、上述の標準固体段階ペプチド合成プロトコールを活用して下記のように進行する:
数多の適切な個体基質が商業的に入手可能である。一般的に基質は小さな直径のビーズで、例えば約100μmであり、ポリオキシエチレン融合されたポリスチレン若しくはポリジメチルアクリルアミドのような不活性ポリマー状物質から形成される。“ARGOGEL”の商標として市販されている例証の基質はワシントンD.C.のArgonaut Technologiesから入手可能である。
【0109】
“分割−プール”方法を概略的に描写した図5を参照すると、複数の不活性基質は2つ若しくはそれ以上のグループに分割され、次いで最初のサブユニットの集合体は不活性支持体に共有結合している。図5に描写されているように、初期の複数の基質は3つのサブグループに分割される。カップリングの第一段階後のビーズの3つのグループの形状は、図5のIに示されている。次いで、ビーズの3つのグループは、ビーズを無作為化するために一つにまとめられる。次いで、ビーズは再び数多のサブグループに分割される。次いで、カップリングの他の段階は第二のサブユニットが各ビーズにすでに存在する第一のサブユニットに結合されて起こる。次いで、工程は所望の鎖の長さに達成するまで繰り返される(理論的に無限の付加(theoretically ad infinitum))。
【0110】
“分割−プール”工程は柔軟性が高く、不活性基質に付加中の活性を測定されることができる文字通り何百万もの異なる化合物を産する可能性を有している。
【0111】
“分割−プール”方法論の重要な点は、カップリングの次ぎへ続く段階の開始に先だって各反応が完了されることである。各カップリング反応の完了に関する限り、各基質ビーズは単一の化合物を唯一表示するであろう。ライブラリー構築進展のように反応率がビーズによって異なるため、合成の他段階の開始に先だってカップリングの完結を確認するために、従来の蛍光物質を用いてビーズはモニターされることができる。一つのビーズにつき単一化合物の唯一の存在は、各個々のビーズが各カップリング周期における唯一一つのアミノ酸と遭遇する理由からである。カップリング周期の完了に関する限り、各ビーズのすべての利用可能なカップリング部位は各周期中に反応するであろう。したがって、ペプチドの唯一一つの種類が各ビーズに表示されるであろう。
【0112】
生じる組み合わせライブラリーは複数の不活性基質からなり、各々は組み合わせライブラリーの異なるポリペプチドへの共有結合を有している。所望で実行可能な活性が調査される場合、ポリペプチドは、不活性支持体に付加中は活性においてスクリーニングされることができる。次いで、所望の活性を表示するビーズは分離され、かかるビーズに含まれたポリペプチドは、例えば、質量分析によって特徴づけられる。溶液段階アッセイがライブラリーのスクリーニングに使用される場合、ポリペプチドは固体基質から切除されて溶液中にて試験される。
【0113】
本発明への適用において、一つ以上のサブユニットは、当該明細書にて開示された環状イミノ酸(imino acid)から選択された不活性基質とカップリングした。かかる方法において、ポリペプチドの大きなライブラリーが組み立てられることができる。
【0114】
組み合わせライブラリーを産する代替工程は、平行合成を使用する。かかる工程において、第一サブユニットの既知の集合体は、各部位に対する一つのサブユニットの種類である、不活性基質の既知の部位に共有結合される。基質は、濾紙若しくはコットンのような適切に分割可能な基質上の一連の点である。一般的に使用される基質は、上述のように、適切な樹脂から製造された各ピンのピンのアレイである。
【0115】
カップリングの初期段階後、アレイの各ピンは第一のサブユニットを共有結合させる。次いで、アレイは一般的に第一とは異なる既知の第二サブユニットの集合体と反応し、続いて第三サブユニットの集合体と反応するようにして、次々と行なわれる。各繰り返しの間、各個々のピン(若しくは部位)は、各段階で記録されたサブユニットの順序を伴うサブユニットの明らかに区別された集合体から選択されて入ってくるサブユニットとカップリングされる。最終結果は、各固体の基質に結合した異なるポリペプチドを伴うポリペプチドのアレイである。サブユニットの順序が記録されているため、基質(例えば、任意の与えられたピン)の任意に与えられた部位におけるポリペプチドの1次配列の認証は既知である。“分割−プール”方法において、各カップリング反応は、基質上の各部位が単一の種類のポリペプチドのみを含むことを確認するために完了すべきである。
【0116】
大きな分子相互作用
本化合物における使用は、選択された生物反応の拮抗剤、作用薬及び阻害剤を認証する生物的マクロ分子間の相互作用を探索する分子プローブのようなものである。上述のように、多くの生物反応は非常に大きなマクロ分子間で発生する。かかる反応が起こる表面エリアは、あまりにも大きすぎて崩壊されず変換されない多くのもの若しくは小さな分子による擬態によると考えられる。不可能でない場合、より明らかな立体配座を表示する適切な大きさの分子プローブを製造することは難しいであろう。当該明細書にて開示した化合物は、たとえ機能化されていたとしても、予測可能性の高いヘリックス若しくはシート状立体配座であると仮定されるため、大きな生物分子間の相互作用を探索するための試薬としての使用を発見する。
【0117】
当該明細書にて開示した組み合わせ方法の採用は、例えば、選択された生物反応での抑制及び拮抗活性のような特異的な活性をスクリーニングできる化合物の多大なライブラリーとしての化合物の医学的適用に拡大できる。
【0118】
引用文献に編入される、1999年6月14日に出願した仮出願の出願番号60/138972号に基づく優先権を主張する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X−{A}−Y
の式からなる化合物であって、
該式において、nは1以上の整数で;及び
各A、一つおきに独立しているAが、下記の物質からなるグループから選択され:
【化13】

前記物質において、R,R及びRは、水素、直鎖若しくは分枝したC−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくはジ−C−Cアルキルアミノ、モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキル、−(CH1−6−OR、−(CH1−6−SR、−(CH1−6−S(=O)−CH−R、−(CH1−6−S(=O)−CH−R、−(CH1−6−NR、−(CH1−6−NHC(=O)R、−(CH1−6−NHS(=O)−CH−R、−(CH1−6−O−(CH2−6−R、−(CH1−6−S−(CH2−6−R、−(CH1−6−S(=O)−(CH2−6−R、−(CH1−6−S(=O)−(CH2−6−R、−(CH1−6−NH−(CH2−6−R、−(CH1−6−N−{(CH2−6−R、−(CH1−6−NHC(=O)−(CH2−6−R、及び−(CH1−6−NHS(=O)−(CH2−6−R、からなるグループから独立して選択され;前記物質において
は、水素、C−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキルからなるグループから独立して選択され、;及び
は、ヒドロキシ、C−C−アルキルロキシ、アリールロキシ、ヘテロアリールロキシ、チオ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノ、モノ若しくはジ−C−C−アルキルアミノ、モノ若しくはジアリールアミノ、モノ若しくはジヘテロアリールアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−ヘテロアリールアミノ、N−アリール−N−ヘテロアリールアミノ、アリール−C−C−アルキルアミノ、カルボン酸、カルボキシアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルカルボキシアミド、モノ−若しくはジアリールカルボキシアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−アリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−へテロアリールカルボキシアミド、N−アリール−N−へテロアリールカルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルスルホンアミド、モノ−若しくはジアリールスルホンアミド、モノ−若しくはジへテロアリールスルホンアミド、N−アルキル−N−アリールスルホンアミド、N−アルキル−N−へテロアリールスルホンアミド、N−アリール−N−へテロアリールスルホンアミド、尿素;モノ−,ジ−若しくはトリ−置換型尿素であって、該置換体は、C−C−アルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループから選択され;O−アルキルウレタン、O−アリールウレタン、及びO−ヘテロアリールウレタンからなるグループから選択され;
は、水素、直鎖若しくは分枝したC−C−アルキル、アルケニル、又はアルキニル;モノ−若しくはジ−C−Cアルキルアミノ、モノ−若しくは二環式アリール、N,O,及びSから選択される5つまでのヘテロな原子を有するモノ−若しくは二環式ヘテロアリール;モノ−若しくは二環式アリール−C−C−アルキル、モノ−若しくは二環式ヘテロアリール−C−C−アルキル、−S(=O)−(CH1−6−R、−C(=O)R、−S(=O)−(CH2−6−R、及び−C(=O)−(CH1−6−Rからなるグループから選択され、前記物質においてR及びRは上述のように定義され、
及びRは、上述のR、R及びRに列記されたグループから選択され、さらに、ヒドロキシ、C−C−アルキルロキシ、アリールロキシ、ヘテロアリールロキシ、チオ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、アリールチオ、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールチオ、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、アミノ、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルアミノ、モノ−若しくはジアリールアミノ、モノ−若しくはジヘテロアリールアミノ、N−アルキル−N−アリールアミノ、N−アルキル−N−ヘテロアリールアミノ、N−アリール−N−へテロアリールアミノ、アリール−C−C−アルキルアミノ、カルボン酸、カルボキシアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルカルボキシアミド、モノ−若しくはジアリールカルボキシアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−アリールカルボキシアミド、N−アルキル−N−へテロアリールカルボキシアミド、N−アリール−N−へテロアリールカルボキシアミド、スルホン酸、スルホンアミド、モノ−若しくはジ−C−C−アルキルスルホンアミド、モノ−若しくはジアリールスルホンアミド、モノ−若しくはジヘテロアリールスルホンアミド、N−アルキル−N−アリールスルホンアミド、N−アルキル−N−ヘテロアリールスルホンアミド、N−アリール−N−へテロアリールスルホンアミド、尿素;モノ−ジ−若しくはトリ−置換型尿素であって、該置換体は、C−C−アルキル、アリール、ヘテロアリールからなるグループから選択され;O−アルキルウレタン、O−アリールウレタン、及びO−ヘテロアリールウレタンからなるグループから選択され、
X及びYのいずれかは、水素若しくはアミノ末端化キャップ基であり、
X及びYのもう一方は、水酸基若しくはカルボキシ末端化キャップ基であり;及び前記記載の塩である
ことを特徴とする前記式からなる化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168383(P2010−168383A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19577(P2010−19577)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2001−503834(P2001−503834)の分割
【原出願日】平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願人】(597061859)ウイスコンシン アルムニ リサーチ ファウンデイション (5)
【氏名又は名称原語表記】Wisconsin Alumni Research Foundation
【Fターム(参考)】