説明

環状オリゴマーおよびそれを用いた熱可塑性樹脂の製造方法

【課題】
優れた耐熱性と加工性を兼ね備えた熱可塑性樹脂を製造するために適した環状オリゴマーを提供できる。
【解決手段】
シクロドデシリデンビスフェノール残基、およびまたは酸残基およびまたはエステル残基、およびまたはエーテル残基を含む環状オリゴマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状オリゴマーおよびそれを用いた熱可塑性樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート(PC)は耐熱性、耐衝撃性、電気的特性、耐熱性、透明性などに優れたエンジニアプラスチックで、光学記録媒体(CD、DVDなどの基盤)や自動車部品、パソコンやOA機器・携帯電話などの外装材、窓ガラスやドームの屋根等の建材、有機ガラスとして大量に製造、利用されている(非特許文献1)。PCは、原料のビスフェノールの種類により様々な構造のものがあるが、物性やコストなどから実質的にはビスフェノールA型のポリマーがほとんどを占めている。
【0003】
現在、PCの大部分(約9割)は、ホスゲンとビスフェノールAを水―塩化メチレン二相系溶媒中で縮合させるホスゲン法(または界面重縮合法)により製造されている。このホスゲン法プロセスでは、猛毒のホスゲンを大量に使用し、発ガン性が懸念され、しかも環境負荷の大きな有機ハロゲン溶媒を用いることや、製品中にNaClが残留し、CDの記録媒体を腐食することが懸念されるなどから、不純物を含まないよりグリーンな製品および製造法の開発が望まれてきた。
【0004】
非ホスゲン法PCの製造法の一つとして、炭酸ジフェニルとビスフェノールAを無溶媒・高温で加熱し、エステル交換反応させることによるエステル交換法(または溶融法)があり、既に一部工業化されている。エステル交換法は、ハロゲン系有機溶媒を使用しない、塩の残留がない、反応生成物を洗浄することなくそのままペレット成形可能等の特徴がある。一方、高分子量のPCは粘度が高く、エルテル交換反応の工程でフェノールを効率よく除去するため約300℃の高温・高真空下で反応させる必要があり、エネルギー多消費型のプロセスとなっている。また、高温・高真空反応のため、ポリマーの主鎖構造が変化したり、反応器中に漏れ混む空気により一部酸化され着色しやすいといった欠点がある。
【0005】
このような課題に対して、近年全く新しい方法が考案され注目されている。その一つが開環重合による合成で、重合時に脱離成分がないため廃棄設備が不要で同時成形が可能、重合の無溶媒化、時間の短縮が可能、さらに従来の重縮合法により製造された同種の樹脂に比べ物性が優れているなどの特徴がある。
【0006】
しかしながら、例えば特許文献1の実施例2で、低分子量環状芳香族カーボネート重合体の製造およびその線状ポリカーボネートへの転換について、環状ビスフェノールAカーボネート三量体は335−340℃で溶融し、重合することを報告しているが、記録媒体であるディスク基板用途などの更なる記録密度向上を目指すにあたっては、耐熱性や光学特性が不十分であった。
【0007】
すなわち、優れた耐熱性と光学特性を併せ持つ熱可塑性樹脂の開環重合については、多くの研究者が課題として取り上げ、活発に研究されてきたものの、未だ充分な特性を持つ熱可塑性樹脂を製造するために適した環状オリゴマーを見いだすには至っていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,274,214号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】本間精一編、「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」、日刊工業新聞社、1992年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、優れた耐熱性と光学特性を併せ持つ熱可塑性樹脂およびその原料となる環状オリゴマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の分子構造を有する環状オリゴマーを合成できれば、低複屈折性、透明性、耐熱性に極めて優れ、さらに好ましい態様においては加工性にも優れた熱可塑性樹脂の原料等になると考えた。
【0012】
すなわち本発明は、つぎのとおりのものである。
[1]下記構造式1で表される、シクロドデシリデンビスフェノール残基を含み、さらに酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む環状オリゴマー。
【0013】
【化1】

【0014】
(R、Rは各々独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R、R,Rは各々独立に有機基を表す。Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。nは1〜40の整数を表す)
[2]線状オリゴマーの含有率が20%以下である、下記構造式1で表される、シクロドデシリデンビスフェノール残基を含み、さらに酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む環状オリゴマーを溶融重合させることを特徴とする樹脂の製造方法。
【0015】
【化2】

【0016】
(R、Rは各々独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R、R,Rは各々独立に有機基を表す。Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。nは1〜40の整数を表す)
【発明の効果】
【0017】
本発明により、優れた耐熱性と加工性を兼ね備えた熱可塑性樹脂およびその原料となる環状オリゴマーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】環状オリゴマー混合物のHPLC分析例
【図2】環状オリゴマー混合物のHPLC分析例(拡大したもの)
【発明を実施するための形態】
【0019】
通常、耐熱性を向上させるための分子設計指針としてはベンゼン環をはじめとする芳香環構造をより多く含有させ、その高分子鎖どうしの相互作用を強化するというのが一般的であるが、この場合、たとえ高結晶化による不透明化を防ぐことができても、芳香族環の光学特性が高屈折率を発現することから、表面反射や着色のしやすさなどから充分な透明性を確保できない。透明性という観点からは芳香族よりも脂肪族の方が有利であるが、直鎖状の脂肪族基を分子構造に導入すると耐熱性(ガラス転移点)が極端に低下してしまうため、通常、環状の脂肪族基を導入する試みがなされる。発明者等は、耐熱性のための芳香族基と透明性のための環状脂肪族基をともに分子内にもつシクロアルキリデンビスフェノール類(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン類)に着目し、その合成と重合および物性について検討した。
【0020】
市販のビスフェノール化合物であるシクロヘキシリデンビスフェノール(BisZ)をモノマーとするポリカーボネート樹脂(PC−Z)は、一般に広く用いられているイソプロピリデンビスフェノール(BisA)のポリカーボネート樹脂に対しTgが40℃ほど高いことが知られているが(PC−ZのTgは約180℃)、環の員数とTgの関係を把握すべくシクロペンチリデンビスフェノール、シクロヘプチリデンビスフェノール、シクロオクチリデンビスフェノールを合成しそのポリカーボネート樹脂の物性を評価した。結果、環の員数の増加に伴い若干のTg上昇が観測されたが、シクロヘキシル体とシクロオクチル体の物性はほとんど違わず、いずれもガラス転移点は200℃以下であり充分な耐熱性は発現しなかった。
【0021】
シクロオクチル以上に環の員数を増加させても、メチレン鎖増大によりかえって耐熱性が低下することが予想されたが、より環員数の多いシクロドデシリデンビスフェノール(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン)を合成し、そのポリカーボネート樹脂の耐熱性を評価したところ、驚くべきことに極めて高いTg243℃を発現した。
【0022】
さらに本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂は無色透明で、かつ屈折率(nD)が1.56と通常の芳香族系樹脂に比べ非常に低いため、それに応じて優れた光線透過率(90%以上)を有した。
【0023】
この優れた特性を発現した要因については以下のように考えている。すなわち環状オリゴマーを原料とした開環重合による合成であるため、重合の無溶媒化、また重合と成形を同時におこなえるため、比較的低温での成形加工が可能であるため、無色透明性に優れている。また、光学特性については、シクロドデシリデンビスフェノール残基の脂肪族炭素の割合がこれまでのビスフェノール構造に比べ非常に高い(脂肪族炭素と芳香族炭素の数が等しい)ことによるものであり、耐熱性については、12員環構造の体積が樹脂構造中のポリマー主鎖間に生じる自由空間体積に合致することによって熱的な分子運動が規制されることに起因するためと考えている。
【0024】
また、このようなシクロドデシリデンビスフェノール残基による耐熱性と光学特性の特徴は、カーボネート以外の樹脂系、例えばポリヘテロ酸エステル、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン等の樹脂系においても発現し、ビスフェノールAなどの従来のビスフェノールを用いた樹脂より物性が非常に向上することがわかった。
【0025】
以下、本発明の環状オリゴマーについて具体的に説明する。
【0026】
本発明の環状オリゴマーは、下記構造式1で表される、シクロドデシリデンビスフェノール残基を含み、さらに酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む環状オリゴマーである。
【0027】
【化3】

【0028】
(R、Rは各々独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R、R,Rは各々独立に有機基を表す。Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。nは1〜40の整数を表す)
本発明の環状オリゴマーは、本質的に重合度すなわち構造式1中のnは1から40、好ましくは20以下である環状オリゴマーのみからなり、大部分が重合度12以下であるのが好ましく、さらに大部分が重合度15以下であるのが好ましい。これらの環状オリゴマーは、単一化合物、例えば対応する環状三量体と比較して比較的低い融点を有する。環状オリゴマーは通常300℃以上の温度で液体であり、たいがいの場合225以上の温度で液体である。また、環状三量体や四量体と比較して、二量体は重合速度が倍以上であるため、環状二量体の割合を大きくすることが開環重合原料として用いる場合は有用である。
【0029】
本発明の環状オリゴマーは、構造式1で表される、シクロドデシリデンビスフェノール残基を含む。シクロドデシリデンビスフェノール残基の前駆体モノマーであるシクロドデシリデンビスフェノール(下記構造式2)は、環状ケトンであるシクロドデカノンとフェノール類を原料として合成できる。また、シクロドデカノンから環縮小もしくは環拡大反応を施し、種々の員数(11,13もしくは14員環など)の環状ケトンを合成することによって、対応するビスフェノールを合成することもできる。
【0030】
【化4】

【0031】
シクロドデシリデンビスフェノール残基の含有量については、それが多いほど樹脂を製造した場合によりすぐれた性質を発現することができるが、含まれている樹脂の総重量に対して、重量換算で50%以上であることが必要である。より好ましくは70%以上、更に好ましくは85%以上である。シクロドデシリデンビスフェノール残基の含有量の分析法については後述する。
【0032】
本発明の環状オリゴマーは、構造式1で表される、酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む。
【0033】
化学的安定性等の観点からは、カーボネート残基が好ましく、力学特性および低複屈折性の観点からは、アジピン酸等の2価カルボン酸残基が好ましい。
【0034】
一方、無色透明で高屈折、低分散な重合体を得るためにホスホン酸残基を含有させることができる。リン原子上の置換基Rは炭化水素基であるが、より好ましくは環状炭化水素基であり、更に好ましくは環状脂肪族基である。ポリマー分子間の生ずる自由空間をより有効に活用し耐熱性と光学特性をよりよくさせるという観点から、Rとしてはビシクロ構造を有する環状脂肪族基が特に有効である。
【0035】
また耐熱性を更に向上させるためにはポリアリレート系の構造が極めて有効である。構造式1中のXがベンゼンやナフタレン環のジカルボン酸誘導体の場合、カルボン酸誘導体基の位置については特に限定されない。Xがナフタレンのカルボン酸誘導体基の場合、構造式1でにおいては便宜上それぞれの環に1つづつカルボン酸誘導体基が描かれているが、1つの環に2つのカルボン酸誘導体基が導入されていても(例えば、1,4位)構わない。Xがベンゼンのカルボン酸誘導体基の場合パラ位(すなわちテレフタル酸誘導体)もしくはメタ位(すなわちイソフタル酸誘導体)が好ましい。
【0036】
更なる耐熱性向上のためには芳香族ポリエーテル類を含有させることが好ましい。すなわち構造式1中のYがカルボニル基であるポリエーテルケトン、SO2基であるポリスルホン、ホスフィンオキシド基であるポリエーテルホスフィンオキシド系の構造を重合成分とする樹脂が更に有効である。
【0037】
これらの反応は炭酸エステルなどのエステルを求電子試薬としたエステル交換反応によっても合成することができる。同様にテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸などの2価のカルボン酸類を用いればポリアリレート類を合成することができ、4,4’-ジハロゲン化ベンゾフェノン、4,4’-ジハロゲン化ジフェニルスルホン、4,4’-ジハロゲン化ジフェニルホスフィンオキシドなどの芳香族ハロゲン化物を用いればポリ芳香族エーテル化合物を合成することができる。
【0038】
上記の各々の重合体は異なる重合体と共重合体となっても構わない。
【0039】
以下、本発明の環状オリゴマーの合成について具体的に説明する。
本発明の環状オリゴマーは、シクロドデシリデンビスフェノールを塩化メチレンのような有機溶剤、水及びシクロドデシリデンビスフェノール1モル当り約0.0−0.2モルのアルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムと配合することによって調製する。カーボネート環状オリゴマーを合成する場合は、ホスゲン化に先立ってシクロドデシリデンビスフェノール反応混合物のpHを約11までの値に高めるに足る量のアルカリ金属水酸化物を利用することができそれによってある量のシクロドデシリデンビスフェノールを水性相中に溶解せしめ得る。ここで、ポリカーボネート・ポリホスホネート共重合型環状オリゴマーを合成する場合は、ホスゲン化をおこなった後、ホスホネート化をおこない、続いてホスゲン化をおこなう。
【0040】
BisA共重合ポリカーボネート型環状オリゴマーを合成する場合は、シクロドデシリデンビスフェノールとイソプロピリデンビスフェノール(BisA)を塩化メチレンのような有機溶剤、水及び水酸化ナトリウムの混合物をホスゲン化する。ポリカーボネート・ポリアリレート共重合型環状オリゴマーを合成する場合は、アリレート化した後、ホスゲン化をおこない、ポリカーボネート・ポリスルホン共重合型環状オリゴマーを合成する場合は、ホスゲン化をおこなった後、スルホン化をおこない、続いてホスゲン化をおこなう。
【0041】
さらに、この反応混合物の処方に使用される有機溶剤の重量に対して約0−200ppmの割合の第3級有機アミン、たとえばトリエチルアミンを使用し得る。使用し得る適当な有機溶剤の例はヘキサン及びヘプタンのような脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロルエタン、トリクロルエタン、テトラクロルエタン、ジクロルプロパン及び1,2−ジクロルエチレンのような塩素化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、種々のクロルトルエン、ニトロベンゼン及びアセトフェノンのような置換芳香族炭化水素、及び二硫化炭素である。中でも塩素化脂肪族炭化水素、特に塩化メチレンが好ましい。
【0042】
アルカリ金属又はアルカリ土金属水酸化物水溶液を使用してホスゲン化反応混合物のpHを約3ないし約10.5の範囲であり得るpH設定値近傍に保持することができる。使用し得るアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物の若干の例は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化カルシウムである。水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、特に水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリ水酸化物溶液の使用濃度は臨界的ではなく、約0.2−19Mの範囲であり得る。少なくとも5Mのアルカリ濃度が好ましい。
【0043】
ホスゲン化およびホスホネート化反応中及び終了時の水性相対有機相の容量比は約0.2−1:1の範囲内であり得る。反応温度は約15−50℃の範囲内であり得る。塩化メチレンのような好ましい有機液体を使用する場合には、反応は35−42℃であり得る還流条件で行ない得る。反応は大気圧で行ない得るが、所望ならば大気圧以下又は大気圧以上の圧力も使用し得る。ホスゲン化およびホスホネート化工程中、反応混合物はたとえば攪拌機又はその他の慣用の装置を使用することによって攪拌する。ホスゲン化速度は毎分シクロドデシリデンビスフェノール1モル当りホスゲン約0.02−0.2モルの範囲で変動し得る。
【0044】
ホスホネート化速度は、毎分シクロドデシリデンビスフェノール1モル当りホスホン酸クロライド約0.01−1モルの範囲で変動し得る。ホスゲン化およびホスホネート化反応中、pHはしばしばpH設定値と呼ばれる約3ないし約10.5の範囲から選ばれる所望の値、たとえば8、に保持される。シクロドデシリデンビスフェノール残基、およびまたは酸残基およびまたはエステル残基、およびまたはエーテル残基を含む環状オリゴマーの製造のためには上記pH範囲の下限におけるpH設定値が望ましく、特に8より高いpH設定値が望ましい。
【0045】
本発明の実施において、シクロドデシリデンビスフェノール残基、およびまたは酸残基およびまたはエステル残基、およびまたはエーテル残基を含む環状オリゴマーを含有する原料は、(A)シクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーまたはシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートホスホネートオリゴマー、(B)脂肪族又は複素環族第3級アミン、(C)アルカリ金属水酸化物水溶液及び(D)非極性有機液体を反応器に同時的に裝入することによって製造される。
【0046】
早過ぎる反応を回避するために、試薬(A)を試薬(B)及び(C)とは別個に裝入することが必要である。多くの場合、試薬(A)を試薬(D)、すなわち溶剤と混合しそして得られる溶液を反応器に装入する。試薬(B)もまた試薬(D)中の溶液として裝入し得る。試薬(B)及び(C)は別々に又は一緒に裝入し得る。反応器内の条件は反応混合物のかきまぜ(好ましくは攪拌による)を水性相及び有機液体相の分離を防止するに少なくとも十分な程度に確保するように保持される。これより効果の低いかきまぜ条件は反応試薬間の不完全な接触を与える結果として環状オリゴマーの収率を低下し、一方過度に速いかきまぜは環状オリゴマーを犠牲にして線状オリゴマーの生成量を増大させる。
【0047】
上述した試薬間の反応は所望の環状ポリカーボネートオリゴマーまたは環状ポリホスホネートカーボネートオリゴマーを製造するに十分な時間続行せしめられる。たとえば、反応時間は通常約6−30分、特に約8−16分、好ましくは約8−12分の範囲である。反応時間がより短かくなると生成物中の線状オリゴマーの割合が急に増大し、一方約20分を超える反応時間では水性相による環状オリゴマー生成物の加水分解が生起するおそれがあり、また線状オリゴマーの生成量の増加をもたらす。また、試薬(A)の導入速度は環状オリゴマーの収率に影響する。添加速度の範囲は15−90分について全有機相1l当り0.5モル構造単位であり、好ましい範囲は20−60分について全有機相1l当り0.5モル構造単位である。
【0048】
反応温度は、それだけを切離して考えれば、本発明の実施において決定的な因子ではない。約20℃以下で操業して有利である場合はほとんどない、というのは、そのような場合反応速度は望ましくないほどに低下するからである。反応を大気圧又はその近くで行なう場合には、100℃以上の温度は、1つには高エネルギーの入力を必要とするという理由でほとんど是認できないものである。ほとんどの場合、約50℃を超えない温度が適当である。大気圧以上又は大気圧以下の圧力で操業することも本発明の範囲内であるが、ほとんど利点はない。しかしながら、本発明の方法を超大気圧で行なう場合にはより高い温度を使用することもできる。
【0049】
温度の効果は二つの点で重要であり得る。その第一は温度が還流に近付くにつれて系の不規律性が増大しかつ還流の強さが増加するにつれて不規律性はさらに増加することである。かかる不規律性の増加は一般に前述したかきまぜ条件を保持するために外部から提供されるかきまぜの減少を伴うはずである。温度の効果の第二点は連続式反応器の場合の滞留時間に対する温度の効果である。たとえば、塩化メチレンの沸点は約40℃である。その沸点温度に接近すると系内の蒸気の容積が急激に増加する。多量の蒸気は液相中に気泡として存在し、反応器中の液体容積を減少せしめる。滞留時間は液相中に気泡として存在する蒸気の容積に逆比例して減少する。これは特に塩化メチレンのような低沸点溶剤を使用する場合には反応温度の重要性の一要素である。
【0050】
これらの因子をバランスさせるには、約20℃ないし還流温度の範囲の反応温度で操作することがしばしば有利であることが認められた。約25−40℃の範囲の温度がしばしば好都合である。低沸点溶剤を使用する場合にかなり重要である別の因子は揮発による溶剤の損失を回避することである。溶剤の損失及びその結果として生起する有機相の容積の減少は非効率的な冷却手段を使用した場合には再現性の問題を生起し得る。これらの場合には一又はそれ以上の冷却器中で0℃程度の低い冷却温度を使用するのが適当であり得る。
【0051】
低分子量環式オリゴマーの収率は一般に試薬(D)1l当りの試薬(B)の濃度(モル数)で表わした試薬Bの割合にある程度まで関係する。試薬(B)の濃度は多くの場合反応混合物中の有機相(すなわち水性相以外の全成分)の1l当り約0.02−0.50モルの範囲、好ましくは約0.03−0.15モルの範囲である。
【0052】
環状オリゴマーの収率はまた生成物濃度によっても影響される。生成物濃度の好ましい範囲は有機相1l当り0.1−1.5モルの構造単位である。ほとんどの場合、その他の反応条件はかきまぜの程度及び滞留時間が影響するほど生成物の組成に対して著しい影響をもたない。水性相対有機相の容積比は通常約0.05−1.0:1の範囲である。所望の反応時間が経過した後、所望の環状オリゴマー生成物は典型的には反応混合物を過剰の水又は好ましくは稀酸水溶液との接触により急冷することによって回収される。かくして生成物は試薬(D)中の溶液として得られ、それから溶剤の蒸発又は非溶剤の添加による沈殿等の慣用の手段によって分離することができる。この段階で、存在するすべての線状オリゴマー又はその他の不純物を環状オリゴマーから分離することも可能である。回収手段の精巧度は環状オリゴマー組成物の意図する最終用途のような変数に関係するであろう。
【0053】
以下、本発明の環状オリゴマーを原料として得られる樹脂の製造方法について、具体的に説明する。
【0054】
本発明の樹脂の製造方法は、線状オリゴマーの含有率が20%以下である本発明の環状オリゴマーを溶融重合させるものである。
【0055】
本発明の樹脂の製造方法に用いる環状オリゴマーは、線状オリゴマーの含有率が20%以下である。前述の点に注意して合成することによって、本発明の環状オリゴマーは線状オリゴマーを含有する割合を極めて低くすることができる。
【0056】
一般に広く用いられているイソプロピリデンビスフェノール(BisA)のポリカーボネート樹脂や本発明の環状オリゴマーから得られるシクロドデシリデンビスフェノールのポリカーボネート樹脂の耐熱性を形状化(例えば成形)する既知の方法は、ポリカーボネート樹脂の粘度やTgが高いので、わずらわしいことが多い。他方、重合中または重合後に塩化メチレンのような揮発性溶剤またはフェノールのような副生物が存在するので、ホスゲンおよび種々の単量体エステルの使用を併なう製造方法と成形操作とを統合することは、不可能であった。
【0057】
対照的に、本発明の環状オリゴマーは粘度やTgが低い。(代表的なブルックフィールド粘度値は215℃で3000センチポイズ以下である。)さらに、これらの環状オリゴマーは樹脂形成温度で実質的に非揮発性である。従って、樹脂形成をこのような成形操作と統合することが可能である。例えば、環状オリゴマーを、熱を金型に加えることにより同時に重合および成形する。この方法およびそれにより得られる成形物品は、本発明の他の実施態様を構成する。
【0058】
本発明の環状オリゴマーから得られる樹脂形成方法に用い得るポリカーボネート形成触媒には、種々の塩基とルイス酸が挙げられる。塩基触媒を用いて界面法によりポリカーボネートを製造できることは、エステル交換による製造や環状オリゴマーからの製造ともども、既知である。また、下記触媒を用いて環状オリゴマーを重合することもできる。触媒の例としては、リチウム2.2.2−トリフルオロエトキシド、n−ブチルリチウムおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドがある。種々の弱塩基性塩、例えば安息香酸ナトリウムおよびステアリン酸リチウムも有用である。ポリカーボネート形成触媒として有用なルイス酸には、トリエタノールアミンチタンイソプロポキシド、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネートおよび多価金属(特にチタンおよびアルミニウム)キレート、例えばビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート(商品名「タイザーAA(Tyzor AA デュポン株式会社製)にて商業経路で入手できる)およびエチルアセトアセテートのビスイソプロポキシアルミニウム塩がある。これらの触媒のうちステアリン酸リチウムおよびビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネートおよびテトラブチルアンモニウムフェニルボレートが好適である。
【0059】
樹脂形成反応は、代表的には、環状オリゴマーを触媒と350℃以下、好ましくは約200−300℃の温度で接触させるだけで行われ、この接触は重合が所望の度合いに進行するまで行う。溶剤の使用は本発明の範囲内に入るが、通常好ましくない。一般に、触媒の使用量はオリゴマーに基づいて約0.0001−1.0モル%である。
【0060】
また種々の構造の樹脂組成物を、種々の環状オリゴマー混合物を用いて製造することができる。使用できる選択事項は多数ある。環状オリゴマーから得られる樹脂が「リビング」ポリマーであるからである。従って、シクロドデシリデンビスフェノールクロロホルメートのような単一材料から製造したオリゴマーを用いると、ホモポリカーボネートが得られる。ランダムコポリカーボネートは、2つ以上の異なるオリゴマー混合物のブレンドを用いることで得られる。ブロックコポリカーボネートを製造するには、例えばシクロドデシリデンビスフェノールの環状オリゴマーを、他のビスフェノール、例えばイソプロピリデンビスフェノール(BisA)の環状オリゴマーと反応させればよい。
【0061】
所望に応じて、片方または両方を予備重合させてから、両者を合わせてもよい。約50モル%の(例えば)シクロドデシリデンビスフェノール単位と、約50%の2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンのような、それ自身では縮合しない立体障害単位とを含有する環状オリゴマー混合物を形成することも可能である。
【0062】
分子量の制御は、触媒の量を変えることによって可能で、通常触媒量を減らすと分子量が増加する。あるいは既知の末端封止剤、例えばジフェニルカーボネートを用いることで分子量分布(即ちMw/Mn比)の極めて低い、しばしば2.0付近またはそれより低い樹脂を製造することも可能である。
【0063】
本発明の環状オリゴマーを用いて、極めて高い分子量の重合体を製造でき、特に末端封止剤を用いないときそうである。250,000以上の値が簡単に得られる。特定の条件下では、分子量が600,000−700,000の範囲にあるかそれより高い樹脂を製造することができる。このタイプの高分子量ポリカーボネートは周知であるが、通常の成形条件下では扱いにくいので、これまで成形操作にはほとんど用いられていない。しかし、本発明の環状オリゴマーをポリカーボネート前駆物質として使用する場合、この性質は関係ない。その理由は、環状オリゴマーを同時に重合および成形して、極めて強靭でかつ苛酷な温度および溶剤条件に耐え得る物品を製造することができるからである。
【0064】
本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂は、耐熱性であるが故に加工性の要求される用途において非常に有効である。成型体としては、本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂が熱可塑性であるが故に、フィルム状のものであれば溶融押出法あるいは溶液製膜法いずれの方法も適用でき、レンズ状の成型体の場合には射出成型やプレス成形などを適宜選択して比較的低温で成型することができる。
【0065】
本発明の環状オリゴマーの製造方法とその環状オリゴマーから得られる樹脂の製造方法を実施例で具体的に説明する。
【実施例】
【0066】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。実施例中、特に示さない限り、すべての部は重量部である。樹脂の評価は以下の方法により行った。
【0067】
〔シクロドデシリデンビスフェノール残基含有量の測定法〕
本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂を大過剰(シクロドデシリデンビスフェノール残基のモル量の4倍モル以上)のカリウムメトキシドもしくはカリウムフェノキシドのような求核試薬と反応させることにより、ポリマーを分解し、得られた粗生成物の中に含まれるシクロドデシリデンビスフェノールの量を高速液体クロマトグラフにて分離・検量し、分解前の樹脂量に対する割合を算出した。
【0068】
〔環状オリゴマーの定性、定量〕
合成した環状オリゴマー混合物の0.2重量%クロロホルム溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフ)〔島津にて各成分単位の定量をおこなった。また各成分単位の定性は、分取液体クロマトグラフにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により行った。H−NMR法では、例えば、モノクロルホルメート型の場合、クロロホルム重溶媒中でのスペクトルの帰属は、4.5〜5.5ppmのピークが水酸基の水素を示す。
【0069】
〔分子量〕
本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂の0.2重量%クロロホルム溶液を、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)〔東ソー(株)製、GPC8020〕により測定し、数平均分子量(Mn)を求めた。尚、分子量は、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
【0070】
〔熱特性:ガラス転移点〕
DSC(セイコー電子工業(株)製:SSC5200)にてガラス転移温度を測定した。
【0071】
〔光学特性〕
本発明の環状オリゴマーから得られた樹脂のアッベ数および屈折率については、以下の方法で成形し測定した。すなわち重合と成形を同時におこなうため、得られた環状オリゴマーを、環状オリゴマーの融点より50〜100℃高い温度に加熱した金型に投入し、圧力2tにて加圧成形することによって板状(φ30mm、厚さ3mmの円盤状)の樹脂成形品を得、それを切断して互いに直行する2面をつくり、さらにそれぞれの面が鏡面仕上げになるようにバフ研磨することによって評価サンプルを作製した。得られた板状成型品を屈折計(カルニュー光学工業(株)製:KPR−2)にて評価を行い、屈折率(nD)、およびアッベ数(νD)を測定した。アッベ数(νD)は次式(式A)で表される。
アッベ数(νD)=(nD−1)/(nF−nC) ・・・(式A)
(ここで、nD:D線(波長587.6nm)屈折率、nF:F線(波長486.1nm)屈折率、nC:C線(波長656.3nm)屈折率)
実施例1(ポリカーボネート型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン550ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物をホスゲン化した。ホスゲン化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。また、ホスゲンガスは約5.8g/分にて30分間通し(合計1.76モル)ながら攪拌した。ホスゲン化反応の完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は66%がモノクロルホルメート型、26%がビスクロルホルメート型、8%が線状オリゴマーであった。
【0072】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は92%が環状オリゴマー混合物で8%は線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0073】
得られた環状オリゴマー混合物の前記方法にてHPLC分析した結果を図1に示す。得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果を表1に示す。得られた環状オリゴマー混合物は、94%が目的の環状オリゴマーで、5%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを6%含んでいた。
【0074】
【表1】

【0075】
参考例1
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン550ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物を実施例1と同様の方法でホスゲン化し、66%がモノクロルホルメート型、26%がビスクロルホルメート型、8%が線状オリゴマーの生成物を得た。
【0076】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で60分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は95%が環状オリゴマー混合物で5%は線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0077】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、22%が目的の環状オリゴマーで、70%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、8%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを78%含んでいた。環化反応時間が長く、水性相による環状オリゴマー生成物の加水分解がおこり、それにより線状オリゴマーの生成量増加し、目的の環状オリゴマー収率が悪くなったと考えられる。
【0078】
参考例2
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン550ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物をホスゲン化した。ホスゲン化は反応温度15℃、反応pHは4でおこなった。また、ホスゲンガスは約5.8g/分にて30分間通し(合計1.76モル)ながら攪拌した。ホスゲン化反応の完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は30%がモノクロルホルメート型、18%がビスクロルホルメート型、52%が線状オリゴマーであった。
【0079】
この生成物を実施例1と同じ方法で環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は99%が環状オリゴマー混合物で1%は線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0080】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、9%が目的の環状オリゴマーで、88%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、3%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを91%含んでいた。ホスゲン化が不十分だったため、目的の環状オリゴマー収率が悪くなった。
【0081】
実施例2(ポリカーボネート・ポリホスホン酸共重合型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン500ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物にホスゲンガスを約5.8g/分にて8分間通し(合計0.47モル)をホスゲン化した。この溶液に2−ノルボルニルホスホン酸ジクロライド85.2g(0.4mol)の塩化メチレン(50ml)溶液を15分間かけて滴下し、ホスホネート化した。続いてホスゲンガスを約5.8g/分にて8分間通し(合計0.47モル)をホスゲン化した。ホスゲン化およびホスホネート化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンおよび2−ノルボルニルホスホン酸ジクロライドを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は60%がモノクロルホルメート型、31%がビスクロルホルメート型、9%が線状オリゴマーであった。
【0082】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は86%が環状オリゴマー混合物で14%は線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0083】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、91%が目的の環状オリゴマーで、4%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、2%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートホスホネートオリゴマー、2%はシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートノルボルニルホスホネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを9%含んでいた。
【0084】
実施例3(BisA共重合ポリカーボネート型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール169g(0.48モル)、イソプロピリデンビスフェノール(BisA)73g(0.32モル)、塩化メチレン550ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物をホスゲン化した。ホスゲン化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。また、ホスゲンガスは約5.8g/分にて30分間通し(合計1.76モル)ながら攪拌した。ホスゲン化反応の完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は70%がモノクロルホルメート型、22%がビスクロルホルメート型、8%が線状オリゴマーであった。
【0085】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は92%が環状オリゴマー混合物で8%が線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0086】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、94%が目的の環状オリゴマーで、2%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、2%はイソプロピリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がイソプロピリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを6%含んでいた。
【0087】
実施例4(ポリカーボネート・ポリアリレート共重合型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン500ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物にホスゲンガスを約5.8g/分にて8分間通し(合計0.47モル)をホスゲン化した。この溶液にイソフタル酸ジクロライド40.6g(0.2mol)の塩化メチレン(50ml)溶液を15分間かけて滴下し、アリレート化した。続いてホスゲンガスを約5.8g/分にて16分間通し(合計0.94モル)をホスゲン化した。ホスゲン化およびアリレート化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンおよびイソフタル酸ジクロライドを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は65%がモノクロルホルメート型、27%がビスクロルホルメート型、8%が線状オリゴマーであった。
【0088】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は93%が環状オリゴマー混合物で7%が線状ポリマーであった。
【0089】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、91%が目的の環状オリゴマーで、5%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、2%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリアリレートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリアリレートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを9%含んでいた。
【0090】
実施例5(ポリカーボネート・ポリスルホン共重合型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、シクロドデシリデンビスフェノール282g(0.8モル)、塩化メチレン500ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物にホスゲンガスを約5.8g/分にて8分間通し(合計0.47モル)をホスゲン化した。この溶液に4,4‘ジクロロロジフェニルスルホン57.4g(0.2mol)の塩化メチレン(50ml)溶液を15分間かけて滴下し、スルホン化した。続いてホスゲンガスを約5.8g/分にて16分間通し(合計0.94モル)をホスゲン化した。ホスゲン化およびスルホン化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンおよび4,4‘ジクロロロジフェニルスルホンを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は62%がモノクロルホルメート型、30%がビスクロルホルメート型、8%が線状オリゴマーであった。
【0091】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は93%が環状オリゴマー混合物で7%が線状ポリマーであった。
【0092】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、86%が目的の環状オリゴマーで、10%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、2%はシクロドデシリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリスルホンオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がシクロドデシリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリスルホンオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを14%含んでいた。
【0093】
実施例6(ポリカーボネート型樹脂)
実施例1で得た環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のステアリンリチウム触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量200,000(Mw)及び92,000(Mn)、Tg=243℃、nD=1.56、νD=35を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものであった。
【0094】
実施例7(ポリカーボネート・ポリホスホン酸共重合型樹脂)
実施例2で得た環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量170,000(Mw)及び81,000(Mn)、Tg=225℃、nD=1.56、νD=37を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものであった。
【0095】
実施例8(BisA共重合ポリカーボネート型樹脂)
実施例3で得た環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量200,000(Mw)及び99,000(Mn)、Tg=206℃、nD=1.57、νD=33を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものであった。
【0096】
実施例9(ポリカーボネート・ポリアリレート重合型樹脂)
実施例4で得た環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量180,000(Mw)及び89,000(Mn)、Tg=265℃、nD=1.59、νD=31を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものであった。
【0097】
実施例10(ポリカーボネート・ポリスルホン重合型樹脂)
実施例5で得た環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のビスイソプロポキシチタンビスアセチルアセトネート触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量160,000(Mw)及び78,000(Mn)、Tg=261℃、nD=1.61、νD=28を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものであった。
【0098】
比較例1(実施例1と参考例1の環状オリゴマーを用いた重合)
実施例1で得た環状オリゴマー混合物(94%が環状オリゴマー混合物で6%は線状ポリマー)と参考例1で得た環状オリゴマー混合物(22%が環状オリゴマー混合物で78%は線状ポリマー)を1:1の割合で混合したもの(58%が環状オリゴマー混合物で42%は線状ポリマー)、及び0.05モル%のステアリンリチウム触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させたが環状オリゴマーの収率が低いため、重合しなかった。
【0099】
比較例2(参考例2の環状オリゴマーを用いた重合)
参考例2で得た環状オリゴマー混合物(9%が環状オリゴマー混合物で91%は線状ポリマー)及び0.05モル%のステアリンリチウム触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させたが環状オリゴマーの収率が低いため、重合しなかった。
【0100】
比較例3(BisAポリカーボネート型環状オリゴマー)
窒素雰囲気下、イソプロピリデンビスフェノール(BisA)182.5g(0.8モル)、塩化メチレン550ml、HO250ml、NaOHの50重量%水溶液5mlの混合物をホスゲン化した。ホスゲン化は反応温度27℃、反応pHは5でおこなった。また、ホスゲンガスは約5.8g/分にて30分間通し(合計1.76モル)ながら攪拌した。ホスゲン化反応の完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液にHClの10重量%水溶液5mlを加え10分間攪拌し、残留ホスゲンを加水分解した。その後、HO300mlで数回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は70%がモノクロルホルメート型、21%がビスクロルホルメート型、9%が線状オリゴマーであった。
【0101】
この生成物0.07モルを塩化メチレン70ml、HO5ml、NaOHの25重量%水溶液2ml、トリエチルアミン1mlの混合溶液に加え、275rpmの攪拌速度、10−12の反応pH及び35℃の条件化で10分間攪拌し、環化させた。環化反応完了後、直ちに試料を採取しHPLCによって分析した。その後、反応液を3NのHClで洗浄し、さらに続いてHOで3回洗浄し、分離した有機層を回収した。HPLC分析によって、得られた生成物は83%が環状オリゴマー混合物で17%が線状ポリマーであった。その後分離した有機層をアセトン2000mlに投入して再沈し、線状ポリマーを濾取し、除去した後、分離した有機層を濃縮、乾燥して環状オリゴマー混合物を得た。
【0102】
得られた環状オリゴマー混合物を分取HPLCにて分取したのち、プロトン核磁気共鳴(H−NMR)法により解析した結果、得られた混合物は、97%が目的の環状オリゴマーで、2%はイソプロピリデンビスフェノールモノクロルホルメートポリカーボネートオリゴマー、1%がイソプロピリデンビスフェノールビスクロルホルメートポリカーボネートオリゴマーであった。すなわち線状オリゴマーを3%含んでいた。
【0103】
得られた環状オリゴマー混合物及び0.05モル%のステアリンリチウム触媒を含む試験管を窒素雰囲気化で300℃のオイルバス中に2分間浸漬することによって溶融重合させた。結果、得られた樹脂は、分子量200,000(Mw)及び92,000(Mn)、Tg=140℃、nD=1.58、νD=29を示し、力学特性、光学特性、耐熱性共に満足できるものではなかった。
【0104】
上記実施例は本発明の方法の実施に使用し得る極めて多数の変数のうちのごく僅かなものを例示しているに過ぎないが、本発明は著しいより広範囲の環状オリゴマーおよびそれを用いた熱可塑性樹脂の製造方法を包含するものであることは云うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式1で表される、シクロドデシリデンビスフェノール残基を含み、さらに酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む環状オリゴマー。
【化1】

(R、Rは各々独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R、R,Rは各々独立に有機基を表す。Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。nは1〜40の整数を表す)
[請求項2]
線状オリゴマーの含有率が20%以下である下記構造式1で表されるシクロドデシリデンビスフェノール残基と、酸残基および/またはエステル残基および/またはエーテル残基を含む環状オリゴマーを溶融重合させることを特徴とする樹脂の製造方法。
【化2】

(R、Rは各々独立に水素、炭素数1〜6の炭化水素基を表す。R、R,Rは各々独立に有機基を表す。Yは単結合、エーテル基、チオエーテル基、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基、シクロアルキリデン基、フェニルアルキリデン基、カルボニル基、スルホン基、脂肪族ホスフィンオキシド基、芳香族ホスフィンオキシド基、アルキルシラン基、ジアルキルシラン基およびフルオレン基からなる群からから選ばれた官能基を表す。nは1〜40の整数を表す)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−157465(P2011−157465A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19995(P2010−19995)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】