説明

環状オレフィン共重合体の製造方法

【課題】工業的により簡便に合成でき、高い重合活性と高い共重合性を有する共重合触媒系および該触媒を用いるα−オレフィンと環状オレフィン共重合体の製造方法の提供。
【解決手段】下記式(1)で表される遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤(B)からなる重合触媒の存在下、炭素数2〜20のα−オレフィンと少なくとも1種類の環状オレフィンとを共重合させて環状オレフィン共重合体を製造する。(式中、M:周期律表5族の遷移金属、X、X:水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲン、R、R、R、R、R、R:水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基、m及びn:0〜3の整数)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−オレフィンと環状オレフィンからなる共重合体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、合成が容易でかつ高い重合活性と高い共重合性を有する共重合触媒を用いて環状オレフィン共重合体を効率よく製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
α−オレフィンと環状オレフィン類との共重合体は透明性、耐薬品性、耐水性等に優れることから種々の製造方法が提案されている。
例えば、ケイ素あるいは炭素原子等で架橋した2分子のシクロペンタジエニル骨格を有する遷移金属錯体とアルミノキサン化合物からなる、いわゆる架橋メタロセン触媒を用いる方法(例えば、特許文献1〜4参照)、また、アミド基等の供与性分子がシクロペンタジエン骨格と架橋した構造を有する、架橋型のハーフメタロセン化合物を用いて、オレフィンと環状オレフィンの共重合体を得る方法(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
【0003】
これらの製造方法は、全て架橋型のメタロセン触媒あるいは架橋型のハーフメタロセン触媒を用いるものであり、用いられる遷移金属化合物の合成はその合成経路が2〜5段階以上と多く、煩雑であり、技術的にも難しいという問題がある。
一方、合成が容易な非架橋型のハーフメタロセン化合物とアルミノキサン化合物を用いてα−オレフィンと環状オレフィンを共重合させる方法(例えば、特許文献6参照)も提案されている。これは、1〜3個の置換基を有する1分子のシクロペンタジエニル基と炭化水素基あるいはジケトナト基を有するハーフメタロセン化合物とアルミノキサン化合物を用いる方法であるが、重合活性が充分ではない。
【0004】
また、本発明において触媒成分の一つとして用いている遷移金属化合物を重合触媒として用いた環状オレフィン類の製造方法(例えば、特許文献7参照)も提案されているが、重合様式が開環メタセシスでありα−オレフィンと環状オレフィンとを共重合させる方法ではない。
従って、合成が容易でかつ高い重合活性と高い共重合性の両者を満足させる環状オレフィン共重合体の製造方法の開発が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平3−45612号公報
【特許文献2】特開平6−271626号公報
【特許文献3】特開平6−271627号公報
【特許文献4】特開2000−26518号公報
【特許文献5】特開平11−504973号公報
【特許文献6】特開2000−302811号公報
【特許文献7】特開2002−53647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、工業的に用いる上でより簡単に合成でき、高い重合活性と高い共重合性を有する共重合触媒を用いたα−オレフィンと環状オレフィンの共重合体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、合成の容易な、特定の芳香族アミド骨格を含む配位子1分子と、少なくとも1個のアリロキシ基が金属に配位した遷移金属化合物と活性化剤とからなる触媒が、α−オレフィンと環状オレフィンの共重合に対して、高い重合活性を有しかつ共重合性に極めて優れるという驚くべき事実に基づいてなされたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表される遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤(B)からなる共重合触媒の存在下、炭素数2〜20のα−オレフィンと少なくとも1種類の環状オレフィンとの共重合を行うことを特徴とする環状オレフィン共重合体の製造方法に関する。ここでいう環状オレフィンは、下記一般式(2)で表される。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Mは周期律表5族の遷移金属を表す。X及びXはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲンを表す。R、R、R、R、R及びRはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、任意の2つまたは3つが結合して環を形成していても良い。環には共役2重結合を含んだ芳香族性を有するものも含む。m及びnは0〜3の整数である。)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R〜R18は各々独立して互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基、酸素を含む置換基または窒素原子を含む置換基を示し、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてよく、かつその単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
【0013】
さらに本発明は、前記一般式(1)で表される遷移金属化合物において、Mで表される遷移金属がバナジウムであり、炭素数1〜20のα−オレフィンと前記一般式(2)で表される環状オレフィンとの共重合体の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、工業的に用いる上でより簡単に合成でき、且つ高い重合活性と高い共重合性を有する共重合触媒、および該共重合触媒を用いるより効率的なα−オレフィンと環状オレフィンとの共重合体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に関わる環状オレフィン共重合体の製造方法について詳細に説明する。
本発明のα−オレフィンと環状オレフィンの共重合触媒の遷移金属化合物(A)については、前記式(1)で表されるが、式中、Mは周期律表5族の遷移金属を表す。好ましくはバナジウムである。X及びXはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲンを表す。R、R、R、R、R及びRはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、任意の2つまたは3つが結合して環を形成していても良い。環には共役2重結合を含んだ芳香族性を有するものも含む。好ましくは水素または炭素数1〜20のアルキル基からなる。m及びnは0〜3の整数である。
【0016】
前記式(1)におけるX、X及びR〜Rのアルキル基、アリール基、及びアラルキル基のアルキル、アリール、アラルキル部分の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル,1,2−ジメチルプロピル,ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、
【0017】
1,1−エチルメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、4−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1−エチルペンチル、1−プロピルブチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、1,1−エチルメチルブチル、1,1−ジエチルプロピル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、3,4−ジメチルペンチル、
【0018】
1−エチル−2−メチルブチル、1−エチル−3−メチルブチル、4−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、2,2,1−トリメチルブチル、2,2,3−チルメチルブチル、3,3,1−トリメチルブチル、3,3,2−トリメチルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、イソオクチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、1,1−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、
【0019】
1,2−ジメチルヘキシル、1,3−ジメチルヘキシル、1,4−ジメチルヘキシル、1,5−ジメチルヘキシル、2,3−ヂメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、3,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3,5−ジメチルヘキシル、1,1−メチルエチルペンチル、1−エチル−2−メチルペンチル、1−エチル−3−メチルペンチル、1−エチル−4−メチルペンチル、2−エチル−1−メチルペンチル、2,2−エチルメチルペンチル、3,3−エチルメチルペンチル、2−エチル−3−メチルペンチル、2−エチル−4−メチルペンチル、3−エチル−4−メチルペンチル、3−エチル−2−メチルペンチル、
【0020】
1,1−ジエチルブチル、2,2−ジエチルブチル、1,2−ジエチルブチル、1,1−メチルプロピルブチル、2−メチル−1−プロピルブチル、3メチル−1−プロピルブチル、4−エチルシクロヘキシル、3−エチルシクロヘキシル、3,4−ジメチルシクロヘキシル、1,1,2−トリメチルペンチル、1,1,3−トリメチルペンチル、1,1,4−トリメチルペンチル、2,2,1−トリメチルペンチル、2,2,3−トリメチルペンチル、2,2,4−トリメチルペンチル、3,3,1−トリメチルペンチル、3,3,2−トリメチルペンチル、3,3,4−トリメチルペンチル、1,2,3−トリメチルペンチル、1,2,4−トリメチルペンチル、1,3,4−トリメチルペンチル、1,2,3−トリメチルペンチル、1,2,4−トリメチルペンチル、1,3,4−トリメチルペンチル、
【0021】
1,1,2,2−テトラメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1,1,2,3−テトラメチルブチル、2,2,1,3−テトラメチルブチル、1−エチル−1,2−ジメチルブチル、2−エチル−1,2−ジメチルブチル、1−エチル−2,3−ジメチルブチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、2−メチルオクチル、3−メチルオクチル、4−メチルオクチル、5−メチルオクチル、6−メチルオクチル、1−エチルヘプチル、2−エチルヘプチル、3−エチルヘプチル、4−エチルヘプチル、5−エチルヘプチル、
【0022】
1,1−ジメチルヘプチル、2,2−ジメチルヘプチル、3,3−ジメチルヘプチル、4,4−ジメチルヘプチル、5,5−ジメチルヘプチル、6,6−ジメチルヘプチル、2−ジメチルヘプチル、1,3−ジメチルヘプチル、1,4−ジメチルヘプチル、1,5−ジメチルヘプチル、1,6−ジメチルヘプチル、2,3−ジメチルヘプチル、2,4−ジメチルヘプチル、2,5−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチルヘプチル、3,4−ジメチルヘプチル、3,5−ジメチルヘプチル、3,6−ジメチルヘプチル、4,5−ジメチルヘプチル、4,6−ジメチルヘプチル、5,6−ジメチルヘプチル、
【0023】
1,1,2−トリメチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,4−トリメチルヘキシル、1,1,5−トリメチルヘキシル、2,2,1−トリメチルヘキシル、2,2,3−トリメチルヘキシル、2,2,4−トリメチルヘキシル、2,2,5−トリメチルヘキシル、3,3,1−トリメチルヘキシル、3,3,2−トリメチルヘキシル、3,3,4−トリメチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、4,4,1−トリメチルヘキシル、4,4,2−トリメチルヘキシル、4,4,3−トリメチルヘキシル、4,4,5−トリメチルヘキシル、5,5,1−トリメチルヘキシル、5,5,2−トリメチルヘキシル、5,5,3−トリメチルヘキシル、5,5,4−トリメチルヘキシル、
【0024】
1,2,3−トリメチルヘキシル、2,3,4−トリメチルヘキシル、3,4,5−トリメチルヘキシル、1,3,4−トリメチルヘキシル、1,4,5−トリメチルヘキシル、2,4,5−トリメチルヘキシル、1,2,5−トリメチルヘキシル、1,2,4−トリメチルヘキシル、1,1−エチルメチルヘキシル、2,2−エチルメチルヘキシル、3,3−エチルメチルヘキシル、4,4−エチルメチルヘキシル、5,5−エチルメチルヘキシル、1−エチル−2−メチルヘキシル、1−エチル−3−メチルヘキシル、1−エチル−4−メチルヘキシル、1−エチル−5−メチルヘキシル、2−エチル−1−メチルヘキシル、3−エチル−1−メチルヘキシル、3−エチル−2−メチルヘキシル、1,1−ジエチルペンチル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルペンチル、
【0025】
1,2−ジエチルペンチル、1,3−ジエチルペンチル、2,3−ジエチルペンチル、1,1−メチルプロピルペンチル、2,2−メチルプロピルペンチル、1−メチル−2−プロピルペンチル、n−デシル、イソデシル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、3−メチルノニル、4−メチルノニル、5−メチルノニル、6−メチルノニル、7−メチルノニル、1−エチルオクチル、2−エチルオクチル、3−エチルオクチル、4−エチルオクチル、5−エチルオクチル、6−エチルオクチル、1,1−ジメチルオクチル、2,2−ジメチルオクチル、3,3−ジメチルオクチル、4,4−ジメチルオクチル、5,5−ジメチルオクチル、6,6−ジメチルオクチル、7,7−ジメチルオクチル、
【0026】
1,2−ジメチルオクチル、1,3−ジメチルオクチル、1,4−ジメチルオクチル、1,5−ジメチルオクチル、1,6−ジメチルオクチル、1,7−ジメチルオクチル、2,3−ジメチルオクチル、2,4−ジメチルオクチル、2,5−ジメチルオクチル、2,6−ジメチルオクチル、2,7−ジメチルオクチル、3,4−ジメチルオクチル、3,5−ジメチルオクチル、3,6−ジメチルオクチル、3,7−ジメチルオクチル、4,5−ジメチルオクチル、4,6−ジメチルオクチル、4,7−ジメチルオクチル、5,6−ジメチルオクチル、5,7−ジメチルオクチル、
【0027】
n−ウンデシル、n−ドデシル、フェニル、ベンジル、p−トリル、m−トリル、キシリル、メシチリル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、ナフチル、2−メトキシフェニル、2−イソプロポキシフェニル、2−ターシャリーブトキシフェニル、2,6−ジターシャリーブチルフェニル、2−メチルフェニル、2−イソプロピルフェニル、2−ターシャリーブチルフェニル、2−メチル−6−イソプロピルフェニル、2−メチル−6−ターシャリーブチルフェニル、ベンジル、
【0028】
(2−メチルフェニル)メチル、(3−メチルフェニル)メチル、(4−メチルフェニル)メチル、(2,3−ジメチルフェニル)メチル、(2,4−ジメチルフェニル)メチル、(2,5−ジメチルフェニル)メチル、(2,6−ジメチルフェニル)メチル、(3,4−ジメチルフェニル)メチル、(3,5−ジメチルフェニル)メチル、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル、(2,4,5−トリメチルフェニル)メチル、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル、(ペンタメチルフェニル)メチル、ナフチルメチル、アントラセニルメチルなどが挙げられる
【0029】
これらの炭化水素基は水素原子を任意にハロゲン原子で置換していてもよい。ハロゲン原子で置換した炭化水素基の例としては、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、o−クロロフェニル、ペンタフルオロフェニルなどがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
【0030】
前記式(1)で表される具体的な金属錯体として、例えば、V(N−2,6−Me)(O−2,6−Me)Cl、V(N−2,6−Me)(O−2,6−Pr)Cl、V(N−2,6−Me)(O−2,6−Ph)Cl及びV(N−2,6−Me)(O−2,6−t−Bu−4−Me−C)Cl等を例示することが出来る。これらは単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。
【0031】
本発明で用いることのできる有機アルミニウムオキシ化合物としては下記一般式(3)、(4)、(5)および(6)で示される有機アルミニウムオキシ化合物のうち少なくとも1つの化合物があげられる。
【0032】
【化3】

【0033】
(式中、R19〜R21はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜8の炭化水素基、nは1〜50までの整数を表す。)
【0034】
【化4】

【0035】
(式中、R22〜R24はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜8の炭化水素基、nは1〜50までの整数を表す。)
【0036】
【化5】

【0037】
(式中、R25は炭素数1〜8の炭化水素基、nは1〜50までの整数を表す。)
【0038】
【化6】

【0039】
(式中、R26〜R29はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜8の炭化水素基、nは1〜50までの整数を表す。)
【0040】
これら有機アルミニウムオキシ化合物の具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン、メチルブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサン等が挙げられる。特に、メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチルイソブチルアルミノキサンが好適に使用できる。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、これら有機アルミニウムオキシ化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物を含んでいてもよい。
【0041】
また、本発明で用いることのできる有機ホウ素化合物としては下記一般式(7)または(8)で示される有機ホウ素化合物のうち少なくとも1つの化合物があげられる。
(BR303132)n・・・(7)
(式中、R30〜R32はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜14のハロゲン化アリール基またはハロゲン化アリロキシ基を含む炭化水素基、nは1〜4までの整数を表す。)
Q(BR33343536)n・・・(8)
(式中、Qは4級アミンまたは4級アンモニウム塩またはカルボカチオンまたは価数+1〜+4の金属カチオンであり、R33〜R36はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、炭素数1〜14のハロゲン化アリール基またはハロゲン化アリロキシ基を含む炭化水素基、nは1〜4までの整数を表す。)
【0042】
前記一般式(7)および(8)の炭化水素基の具体例としてはフェニル、ベンジル、p−トリル、m−トリル、キシリル、メシチリル、2,6−ジメチルフェニル,2,4,6−トリメチルフェニル,2,6−ジメトキシフェニル,2,4,6−トリメトキシフェニル,2,6−ジイソプロピルフェニル,2,4,6−トリイソプロピルフェニル、ナフチル、o−イソプロポキシフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタフルオロベンジル、テトラフルオロフェニル、テトラフルオロトリル等があげられる。
【0043】
また、前記一般式(8)のQの具体例としてはピリジニウム、2,4−ジニトロ−N,N−ジエチルアニリニウム、p−ニトロアニリニウム、2,5−ジクロロアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリニウム,キノリニウム、N,N−ジメチルアニリニウム,メチルジフェニルアンモニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、8−クロロキノリニウム、トリメチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、アンモニウム、トリフェニルメチル、ナトリウム、リチウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム等があげられる。
これら有機ホウ素化合物の具体例としては、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。これらは2種以上組み合わせて用いてもよい。最も好ましくはトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0044】
本発明において使用するのに好適な触媒は(A)遷移金属化合物および(B)アルキルアルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤を任意の順序でかつ任意の好適な方法で組み合わせることによって製造される。
前記(A)成分と(B)成分の触媒組成比(モル比)は、好ましくは(A):(B)=1:0.01〜1:10000であり、更に好ましくは1:100〜1:3000である。
【0045】
触媒調製はあらかじめ、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、好適な溶媒中で混合することにより行ってもよいし、(A),(B)それぞれの成分を別々にモノマーが共存するリアクター内に打ち込んで、リアクター内において調製してもよい。触媒調製に好適な溶媒はヘキサン、シクロヘキサン等のアルカンをはじめとする炭化水素系溶媒とトルエン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族系の溶媒があげられる。またこれらの溶媒は前処理において水分等を除去しておくことが好ましい。触媒の調製温度としては、−20℃〜150℃が最適である。
【0046】
本発明で使用できる炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン等をあげることができる。
【0047】
また、本発明で使用できる環状オレフィンとしては、下記一般式(2)で表すことができる。
【0048】
【化7】

【0049】
(式中、R〜R18は各々独立して互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基、酸素を含む置換基または窒素原子を含む置換基を示し、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてよく、かつその単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
【0050】
前記一般式(2)のハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基としては具体的には、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン基、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基等の炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基、炭素数1〜20のハロゲン非置換アルキル基等を挙げることができる。
【0051】
また、前記一般式(2)の酸素を含む置換基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0052】
さらに、前記一般式(2)の窒素原子を含む置換基としては具体的には、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げることができる。
【0053】
前記一般式(2)で表される環状オレフィンの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(以下ノルボルネンと称する)、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−クロロノルボルネン、5−シアノノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5−ジメチルアミノノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−メチルノルボルネン、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8,8−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−メトキシテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8−ジメチルアミノテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[6.6.1.13.6.02.7.09.14]−4−ヘキサデセン、ヘキサシクロ[6.6.1.13.6.110.13.02.7.09.14]−4−ヘプタデセン等が例示される。これらの環状オレフィンは1種単独または2種以上組み合わせて用いることが出来る。これらの環状オレフィンのなかで、ノルボルネン、トリシクロ[4.3.0.12.5]−3−デセン、トリシクロ[4.4.0.12.5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]−3−ドデセンが好ましく、特にノルボルネンが好ましい。
【0054】
本発明の共重合方法は、モノマー類と触媒の存在下、減圧、大気圧、加圧のいずれかの条件のもと、バルク、溶液、スラリーのいずれの方法でも行うことができる。
共重合を行うのに好適な温度範囲は−30℃〜260℃であり、好ましくは0℃〜200℃である。また、共重合においては、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよいし、エチレン雰囲気下で行ってもよい、またエチレンおよび/またはα−オレフィン類と上記の不活性ガスの混合雰囲気下で行ってもかまわない。さらに、分子量調節のために上記のガスに加えて、水素を共存させてもかまわない。また、触媒成分をアルミナ、塩化マグネシウム、シリカのような好適な担体に担持させて用いてもかまわない。また所望ならば、共重合に際して溶媒を用いることも出来る。共重合に用いるのに好適な溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン等のアルカンをはじめとする炭化水素系溶媒とトルエン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族系の溶媒があげられる。
【0055】
共重合における好適な触媒量は[(生成ポリマー重量)kg]/[触媒(A)成分1mol]=10kg/1mol〜1000000kg/1mol程度のポリマーを与える量である。本発明における共重合後のポリマーの分離方法としては、例えば共重合液にアセトンまたは酸もしくはアルカリを混合したアルコール等の貧溶媒となる極性溶媒を加えて共重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下、熱湯中に投入後、溶媒と共に蒸留回収する方法、または直接反応液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
本発明の環状オレフィン共重合体の製造方法において、α−オレフィン系モノマーユニットおよび環状オレフィン系モノマーユニットは各々2種類以上の成分から構成されていてもよく、三元あるいは四元以上の共重合体の製造も可能である。
【0056】
本発明の環状オレフィン共重合体の製造方法において、上記モノマー以外にも必要に応じてシクロヘキセン、シクロペンテンのような環状オレフィン、スチレンのような芳香族ビニル化合物を共重合モノマーとして共重合することも可能である。
【0057】
本発明の環状オレフィン共重合体の製造方法において、環状オレフィン共重合体中の組成は、α−オレフィン類1〜99mol%に対し、環状オレフィン類99〜1mol%の範囲で共重合できる。好ましくはα−オレフィン類10〜75mol%に対し、環状オレフィン類90〜25mol%である。
【実施例】
【0058】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、測定方法について述べる。
(1)重合活性
重合活性は重合終了後に得られたポリマー量から求めた。
(2)ポリマー中のコモノマー含有量
ポリマー中のコモノマー含有量はMacromolecules, 33,8931(2000) に従い、13C−NMRスペクトルを用いて行った。
(3)NMR測定
NMR測定はd−ベンゼン/1,2,4−トリクロロベンゼン(1/1vol比)溶液中で行った。
(4)ポリマーのガラス転移温度(Tg)
ポリマーのガラス転移温度(Tg)の測定は示差走査熱量計(DSC)を用い、窒素雰囲気下20℃/分の昇温速度で求めた。
(5)ポリマーの分子量
ポリマーの分子量はGPC法により140℃において、o−ジクロルベンゼンを測定溶媒として、RIにより検出し、ポリスチレン換算により求めた。
【0059】
[製造例1]
V(N−2,6−Me)(O−2,6−Me)Clの合成例
(以下、上記金属錯体を[金属錯体−1]という)
V(N−2,6−Me)Cl(3.0g,10.85mmol)を含むヘキサン溶液(30ml)中に、−30℃で2,6−ジメチルフェノール(10.85mmol,1.0Mジメチルエーテル溶液)を15分間かけて滴下した。得られた反応溶液を、攪拌しつつゆっくりと室温まで上昇させ、終夜攪拌した。反応液をろ過した後、濃縮し、次いで−30℃においてヘキサンより再結晶することにより、目的錯体を60%の収率で得た。
H−NMR(CDCl):δ2.24(s,6H),2.38(s,6H),6.84(m,3H),6.92(m,1H),7.02(m,2H)
13C−NMR(CDCl):δ16.9,18.2,125.5,125.8,127.4,128.5,129.7,139.2,168.8
【0060】
[製造例2]
V(CHPh)(N−2,6−Me)(O−2,6−Pr)の合成例
(以下、上記金属錯体を[金属錯体−2]という)
V(CHPh)(N−2,6−Me)(1.0g,2.25mmol)を含むジクロロメタン溶液(25ml)中に、−30℃で2,6−ジイソプロピルフェノール(402mg,2.25mmol)を含むジクロロメタン溶液(5ml)をゆっくりと滴下した。反応液を攪拌しつつ室温まで上昇させ、さらに40時間攪拌し、得られた反応液を濃縮した。得られた固体をヘキサンを用いて再結晶することにより、収率75%で目的錯体を得た。
H−NMR(CDCl):1.32(d,12H),2.97(d,10H),3.20(m,2H),7.23(m,16H)
13C−NMR(CDCl):22.7,27.1,37.8,37.9,77.2,120.6,123.4,125.9,128.3,128.4,133.6,141.8,150.0
【0061】
[実施例1]
内部を真空脱気し、窒素置換した100mlのオートクレーブに白色固体MAO(メチルアルミノキサン)(Al換算で5mmol、東ソーアクゾ社製:PMAO−Sから溶媒のトルエンとAlMeを真空下で除いて使用した。)を導入した。次いで、Na上で蒸留し脱水脱酸素処理したノルボルネンのトルエン溶液(濃度:0.05mol/l)を30ml仕込んだ。オートクレーブの内温を室温に保ち、[金属錯体−1]を0.5μmol含むトルエン溶液2mlをオートクレーブに加えた。直ちに0.8MPaのエチレンガスを導入し、重合反応を開始させた。オートクレーブの内温およびエチレン圧を保ちつつ、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に移しポリマーを析出させた。
共重合活性=3010kg/mol・V・hであった。
GPC測定より、Mn=7.6×10(Mw/Mn=1.97)であった。
DSC測定より、Tg=−2.0℃であった。
13C−NMRから共重合体中のノルボルネン含有量は8.9mol%と見積もられた。
【0062】
[実施例2]
内部を真空脱気し、窒素置換した100mlのオートクレーブに白色固体MAO(メチルアルミノキサン)(Al換算で5mmol、東ソーアクゾ社製:PMAO−Sから溶媒のトルエンとAlMeを真空下で除いて使用した。)を導入した。次いで、Na上で蒸留し脱水脱酸素処理したノルボルネンのトルエン溶液(濃度:0.1mol/l)を30ml仕込んだ。オートクレーブの内温を室温に保ち、[金属錯体−1]を0.5μmol含むトルエン溶液2mlをオートクレーブに加えた。直ちに0.8MPaのエチレンガスを導入し、重合反応を開始させた。オートクレーブの内温およびエチレン圧を保ちつつ、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に移しポリマーを析出させた。
共重合活性=2491kg/mol・V・hであった。
GPC測定より、Mn=6.4×10(Mw/Mn=1.97)であった。
DSC測定より、Tg=10.8℃であった。
13C−NMRから共重合体中のノルボルネン含有量は13.2mol%と見積もられた。
【0063】
[実施例3]
内部を真空脱気し、窒素置換した100mlのオートクレーブに白色固体MAO(メチルアルミノキサン)(Al換算で5mmol、東ソーアクゾ社製:PMAO−Sから溶媒のトルエンとAlMeを真空下で除いて使用した。)を導入した。次いで、Na上で蒸留し脱水脱酸素処理したノルボルネンのトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を30ml仕込んだ。オートクレーブの内温を室温に保ち、[金属錯体−1]を2.5μmol含むトルエン溶液2mlをオートクレーブに加えた。直ちに0.8MPaのエチレンガスを導入し、重合反応を開始させた。オートクレーブの内温およびエチレン圧を保ちつつ、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に移しポリマーを析出させた。
共重合活性=367kg/mol・V・hであった。
GPC測定より、Mn=1.1×10(Mw/Mn=1.85)であった。
DSC測定より、Tg=69.3℃であった。
13C−NMRから共重合体中のノルボルネン含有量は32.9mol%と見積もられた。
【0064】
[実施例4]
内部を真空脱気し、窒素置換した100mlのオートクレーブにNa上で蒸留し脱水脱酸素処理したノルボルネンのトルエン溶液(濃度:0.1mol/l)を30ml仕込んだ。オートクレーブの氷浴にひたし温度を一定に保持しながら、EtAlClのn−ヘキサン溶液(和光純薬工業社製、濃度:1mol/l)0.25mlを加え、次いで、[金属錯体−1]を1.0μmol含むトルエン溶液2mlをオートクレーブに加えた。直ちに0.8MPaのエチレンガスを導入し、重合反応を開始させた。オートクレーブの内温およびエチレン圧を保ちつつ、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に移しポリマーを析出させた。
共重合活性=2308kg/mol・V・hであった。
GPC測定より、Mn=9.0×10(Mw/Mn=1.80)であった。
DSC測定より、Tg=0.0℃であった。
13C−NMRから共重合体中のノルボルネン含有量は9.6mol%と見積もられた。
【0065】
[実施例5]
内部を真空脱気し、窒素置換した100mlのオートクレーブにNa上で蒸留し脱水脱酸素処理したノルボルネンのトルエン溶液(濃度:0.1mol/l)を30ml仕込んだ。オートクレーブの氷浴にひたし温度を一定に保持しながら、次いで、[金属錯体−2]および[PhC][B(C]を1.0μmol:1.2μmol含むトルエン溶液2mlをオートクレーブに加えた。直ちに0.8MPaのエチレンガスを導入し、重合反応を開始させた。オートクレーブの内温およびエチレン圧を保ちつつ、10分間重合した。重合終了後、オートクレーブの内容物を大量の塩酸酸性メタノール中に移しポリマーを析出させた。
共重合活性=300kg/mol・V・hであった。
【0066】
以上、本発明を好ましい実施態様に関連して説明してきたが、当業者が容易に理解されるように本発明の原理及び範囲を逸脱することなく改変及び変更を実施し得ることを理解すべきであり、前記改変は本発明の範囲内で実施され得る。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の方法によって、透明性、熱安定性に優れた新規な環状オレフィン系共重合体を工業的に効率良く製造することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される遷移金属化合物(A)および有機アルミニウムオキシ化合物または有機ホウ素化合物から選ばれる1種以上の活性化剤(B)からなる重合触媒の存在下、炭素数2〜20のα−オレフィンと少なくとも1種類の環状オレフィンとの共重合を行うことを特徴とする環状オレフィン共重合体の製造方法。
【化1】

(式中、Mは周期律表5族の遷移金属を表す。X及びXはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基またはハロゲンを表す。R、R、R、R、R及びRはそれぞれ同じでも異なっていても良く、水素、ハロゲンまたは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、任意の2つまたは3つが結合して環を形成していても良い。環には共役2重結合を含んだ芳香族性を有するものも含む。m及びnは0〜3の整数である。)
【請求項2】
前記環状オレフィンが下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。
【化2】

(式中、R〜R18は各々独立して互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素基、酸素を含む置換基または窒素原子を含む置換基を示し、R15〜R18は互いに結合して単環または多環を形成していてよく、かつその単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。nは0〜2の整数を示す。)
【請求項3】
前記一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)において、Mがバナジウムであることを特徴とする、請求項1又は2記載の環状オレフィン共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2006−16533(P2006−16533A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196857(P2004−196857)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】