説明

環状オレフィン系共重合体の製造方法

【課題】環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合してなる環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、より分子量の高い共重合体を製造する方法を提供すること。
【解決手段】環状オレフィンに基づく単量体単位とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量が10〜50mol%であり、アルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量が1〜50mol%である環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、特定の遷移金属錯体を重合触媒成分とする重合触媒の存在下、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合する環状オレフィン系共重合体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン系共重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノルボルネンやスチレンといった環状化合物と、エチレンやプロピレンといったα−オレフィンとの共重合体は、光学特性に優れるため、レンズ、光ファイバー、記録媒体などの光学材料として用いられている。該共重合体の製造方法としては、例えば、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、あるいは、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドを重合触媒成分とする重合触媒用いて、ノルボルネンとエチレンとを共重合する方法、スチレンとエチレンとを共重合する方法などが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−183809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の製造方法で環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合した場合、得られる共重合体は、分子量の高さにおいて、十分満足いくものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合してなる環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、より分子量の高い共重合体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明は、環状オレフィンに基づく単量体単位とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量とα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100mol%として、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量が10〜50mol%であり、アルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量が1〜50mol%である環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、下記成分(A)を重合触媒成分とする重合触媒の存在下、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合する環状オレフィン系共重合体の製造方法にかかるものである。
(A):下記一般式[I]、[II]または[III]で表される遷移金属錯体

(上記一般式[I]〜[III]において、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を表す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表す。R1、R2、R3、R4、X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、2置換アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基を表し、該アルキル基、該アラルキル基、該アリール基、該置換シリル基の炭化水素基、2置換アミノ基の炭化水素基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基および該アリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールオキシ基で置換されていてもよく、アラルキルオキシ基で置換されていてもよい。R1、R2、R3、R4は任意に結合して環を形成してもよい。R5、R6はエチル基を表す。X3は元素の周期律表の第16族の原子を表す。一般式[II]および[III]における二つのM、A、J、Cp、R1、R2、R3、R4、X1、X3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0006】
本発明により、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合してなる環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、より分子量の高い共重合体を製造する方法を提供することができる。また、本発明は、重合触媒の重合活性に優れる。更には、本発明により得られる環状オレフィン系共重合体は、耐熱性と強度のバランス、光学特性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いられる重合触媒は、下記成分(A)を重合触媒成分とするものである。
(A):下記一般式[I]、[II]または[III]で表される遷移金属錯体

(上記一般式[I]〜[III]において、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を表す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表す。R1、R2、R3、R4、X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、2置換アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基を表し、該アルキル基、該アラルキル基、該アリール基、該置換シリル基の炭化水素基、2置換アミノ基の炭化水素基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基および該アリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールオキシ基で置換されていてもよく、アラルキルオキシ基で置換されていてもよい。R1、R2、R3、R4は任意に結合して環を形成してもよい。R5、R6はエチル基を表す。X3は元素の周期律表の第16族の原子を表す。一般式[II]および[III]における二つのM、A、J、Cp、R1、R2、R3、R4、X1、X3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【0008】
一般式[I]、[II]または[III]において、Mは元素の周期律表(IUPAC無機化学命名法改訂版1989)の第4族の遷移金属原子を表し、たとえばチタニウム原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子などがあげられる。好ましくはチタニウム原子またはジルコニウム原子である。
【0009】
一般式[I]、[II]または[III]において、Aは元素の周期律表の第16族の原子を表し、たとえば酸素原子、硫黄原子、セレン原子などがあげられ、好ましくは酸素原子である。
【0010】
一般式[I]、[II]または[III]において、Jは元素の周期律表の第14族の原子を表し、たとえば炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子などがあげられ、好ましくは炭素原子またはケイ素原子である。
【0011】
一般式[I]、[II]または[III]において、Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表し、たとえばη5−(置換)シクロペンタジエニル基、η5−(置換)インデニル基、η5−(置換)フルオレニル基などがあげられる。さらに具体的に例示すれば、たとえばη5−シクロぺンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−テトラメチルシクロペンタジエニル基、η5−エチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−プロピルシクロペンタジエニル基、η5−イソプロピルシクロペンタジエニル基、η5−n−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−sec−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−ネオペンチルシクロぺンタジエニル基、η5−n−ヘキシルシクロぺンタジエニル基、η5−n−オクチルシクロぺンタジエニル基、η5−フェニルシクロぺンタジエニル基、η5−ナフチルシクロぺンタジエニル基、η5−トリメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−トリエチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルシクロぺンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−メチルインデニル基、η5−ジメチルインデニル基、η5−エチルインデニル基、η5−n−プロピルインデニル基、η5−イソプロピルインデニル基、η5−n−ブチルインデニル基、η5−sec−ブチルインデニル基、η5−tert−ブチルインデニル基、η5−n−ペンチルインデニル基、η5−ネオペンチルインデニル基、η5−n−ヘキシルインデニル基、η5−n−オクチルインデニル基、η5−n−デシルインデニル基、η5−フェニルインデニル基、η5−メチルフェニルインデニル基、η5−ナフチルインデニル基、η5−トリメチルシリルインデニル基、η5−トリエチルシリルインデニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルインデニル基、η5−テトラヒドロインデニル基、η5−フルオレニル基、η5−メチルフルオレニル基、η5−ジメチルフルオレニル基、η5−エチルフルオレニル基、η5−ジエチルフルオレニル基、η5−n−プロピルフルオレニル基、η5−ジ−n−プロピルフルオレニル基、η5−イソプロピルフルオレニル基、η5−ジイソプロピルフルオレニル基、η5−n−ブチルフルオレニル基、η5−sec−ブチルフルオレニル基、η5−tert−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−n−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−sec−ブチルフルオレニル基、η5−ジ−tert−ブチルフルオレニル基、η5−n−ペンチルフルオレニル基、η5−ネオペンチルフルオレニル基、η5−n−ヘキシルフルオレニル基、η5−n−オクチルフルオレニル基、η5−n−デシルフルオレニル基、η5−n−ドデシルフルオレニル基、η5−フェニルフルオレニル基、η5−ジフェニルフルオレニル基、η5−メチルフェニルフルオレニル基、η5−ナフチルフルオレニル基、η5−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−ビス−トリメチルシリルフルオレニル基、η5−トリエチルシリルフルオレニル基、η5−tert−ブチルジメチルシリルフルオレニル基などがあげられ、好ましくはη5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−tert−ブチルシクロペンタジエニル基、η5−ジメチルシクロペンタジエニル基、η5−トリメチルシクロペンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−フルオレニル基であり、特に好ましくはη5−シクロペンタジエニル基、η5−メチルシクロペンタジエニル基、η5−インデニル基、η5−フルオレニル基である。
【0012】
一般式[I]、[II]または[III]において、R1、R2、R3、R4、X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基を表す。
【0013】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが例示され、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは塩素原子である。
【0014】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアルキル基としては、炭素原子数1〜20のアルキル基が好ましく、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ペンタデシル基、n−エイコシル基などがあげられ、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基またはtert−ペンチル基である。
【0015】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換された炭素原子数1〜20のアルキル基としては、たとえばフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、ヨードメチル基、ジヨードメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、クロロエチル基、ジクロロエチル基、トリクロロエチル基、テトラクロロエチル基、ペンタクロロエチル基、ブロモエチル基、ジブロモエチル基、トリブロモエチル基、テトラブロモエチル基、ペンタブロモエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロペンタデシル基、パーフルオロエイコシル基、パークロロプロピル基、パークロロブチル基、パークロロペンチル基、パークロロヘキシル基、パークロロオクチル基、パークロロドデシル基、パークロロペンタデシル基、パークロロエイコシル基、パーブロモプロピル基、パーブロモブチル基、パーブロモペンチル基、パーブロモヘキシル基、パーブロモオクチル基、パーブロモドデシル基、パーブロモペンタデシル基、パーブロモエイコシル基などがあげられる。
また、R1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアルキル基は、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0016】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアラルキル基としては、炭素原子数7〜20のアラルキル基が好ましく、たとえばベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(4,6−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、(n−テトラデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などがあげられ、より好ましくはベンジル基である。
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアラルキル基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0017】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、たとえばフェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基などがあげられ、より好ましくはフェニル基である。
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアリール基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0018】
1、R2、R3、R4、X1、X2における置換シリル基とは炭化水素基で置換されたシリル基であって、ここで炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基;フェニル基などのアリール基などがあげられる。置換シリル基としては、炭素原子数1〜20の置換シリル基が好ましく、たとえばメチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基などの炭素原子数1〜20の1置換シリル基、ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基などの炭素原子数2〜20の2置換シリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基などの炭素原子数3〜20の3置換シリル基などがあげられ、好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、またはトリフェニルシリル基である。
1、R2、R3、R4、X1、X2における置換シリル基はその炭化水素基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0019】
1、R2、R3、R4、X1、X2における2置換アミノ基とは、2つの炭化水素基で置換されたアミノ基であって、ここで炭化水素基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素原子数1〜10のアルキル基;フェニル基などの炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数7〜10のアラルキル基などがあげられる。2置換アミノ基としては、炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換された2置換アミノ基が好ましく、たとえばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基などがあげられ、好ましくはジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基である。
これらの2置換アミノ基はその炭化水素基が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで一部が置換されていてもよい。
【0020】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜20のアルコキシ基が好ましく、たとえばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−オクトキシ基、n−ドデソキシ基、n−ペンタデソキシ基、n−エイコソキシ基などがあげられ、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、またはtert−ブトキシ基である。
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0021】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基が好ましく、たとえばベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、(n−テトラデシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などがあげられ、より好ましくはベンジルオキシ基である。
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアラルキルオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0022】
1、R2、R3、R4、X1、X2におけるアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、たとえばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基、アントラセノキシ基などがあげられる。
これらのアリールオキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基などで置換されていてもよい。
【0023】
1、R2、R3、R4としては、好ましくはアルキル基、アラルキル基、アリール基または置換シリル基である。
【0024】
1およびX2としては、好ましくはそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基または2置換アミノ基であり、更に好ましくはハロゲン原子またはアルコキシ基である。
【0025】
また、R1、R2、R3、R4は、任意に結合して環を形成していてもよい。
【0026】
一般式[I]、[II]または[III]において、R5およびR6は、それぞれエチル基を表す。
【0027】
一般式[II]または[III]において、X3は元素の周期律表の第16族の原子を表し、例えば酸素原子、硫黄原子、セレン原子などがあげられ、好ましくは酸素原子である。
【0028】
一般式[I]で表される遷移金属錯体としては、例えば次に例示する化合物をあげることができる。
【0029】
ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0030】
ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0031】
ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0032】
ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0033】
ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0034】
ジエチルメチレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0035】
ジエチルメチレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルメチレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0036】
ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0037】
ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0038】
ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0039】
ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(ジメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0040】
ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0041】
ジエチルシリレン(インデニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(インデニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0042】
ジエチルシリレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−フェニル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチルジメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−トリメチルシリル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メトキシ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジエチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−クロロ−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド。
【0043】
また、上記化合物において、チタニウムをジルコニウムまたはハフニウムとした化合物をあげることができる。
【0044】
また、上記化合物において、ジクロライドをジブロミド、ジアイオダイド、ビス(ジメチルアミド)、ビス(ジエチルアミド)、ジ−n−ブトキシドまたはジイソプロポキシドとした化合物をあげることができる。
【0045】
また、上記化合物において、(シクロペンタジエニル)を(n−ブチルシクロペンタジエニル)、(tert−ブチルジメチルシリルシクロペンタジエニル)に変更した化合物をあげることをできる。
【0046】
また、上記化合物において、(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)を(2−フェノキシ)、(3−メチル−2−フェノキシ)、(3,5−ジ−tert−ブチル−2−フェノキシ)、(3−フェニル−5−メチル−2−フェノキシ)、(3−tert−ブチルジメチルシリル−2−フェノキシ)または(3−トリメチルシリル−2−フェノキシ)とした化合物などをあげることをできる。
【0047】
一般式[I]で表される遷移金属錯体は、公知の方法、たとえばWO97/03992号公開明細書に記載の方法で製造される。
【0048】
また、一般式[II]で表される遷移金属錯体は、一般式[I]で表される遷移金属錯体と該遷移金属錯体に対して0.5倍モル量の水とを反応させることにより製造され、一般式[III]で表される遷移金属錯体は、一般式[I]で表される遷移金属錯体と該遷移金属錯体に対して1倍モル量の水とを反応させることにより製造される。該遷移金属錯体と水との反応においては、該遷移金属錯体と必要量の水を直接反応させる方法、必要量の水を含んだ炭化水素等の溶媒中に該遷移金属錯体を投入する方法、乾燥させた炭化水素等の溶媒に該遷移金属錯体を投入し、さらに必要量の水を含んだ不活性ガス等を流通させる方法等を採用することができる。
【0049】
本発明に用いられる重合触媒としては、成分(A)と下記成分(B)および/または成分(C)とを接触してなる接触処理物をあげることができる。
【0050】
(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(B1)一般式 E1aAlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
(B2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで表される環状のアルミノキサン
(B3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE32で表される線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。E1、E2およびE3は炭化水素基を表し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよく、複数のE1、複数のE2および複数のE3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、複数のZは同じであっても異なっていてもよい。)
【0051】
(C):下記(C1)〜(C3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物
(C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1、Q2、Q3およびQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基を表し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよい。G+は無機または有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表し、(L−H)+はブレンステッド酸を表す。)
【0052】
(B1)の有機アルミニウム化合物の一般式において、E1は炭化水素基を表し、好ましくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であり、より好ましくはアルキル基である。
【0053】
(B1)の有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライド等のジアルキルアルミニウムクロライド;メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライド等のアルキルアルミニウムジクロライド;ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド等を例示することができる。
好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0054】
(B2)および(B3)のアルミノキサンの一般式において、E2およびE3は炭化水素基を表し、好ましくは炭素原子数1〜8の炭化水素基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基等のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、イソブチル基である。
【0055】
(B2)および(B3)のアルミノキサンの一般式において、bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、bは2〜40、cは1〜40である。
【0056】
(B2)および(B3)のアルミノキサンの製造方法としては、公知の方法が用いられる。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族炭化水素など)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)にトリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を接触させて作る方法が例示できる。
【0057】
(C1)〜(C3)のホウ素化合物の一般式において、Q1、Q2、Q3およびQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基を表し、該炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Q1、Q2、Q3およびQ4として、好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20の置換シリル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基または炭素原子数2〜20のアミノ基であり、該炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、より好ましくは、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、該炭化水素基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、更に好ましくは、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、特に好ましくは、炭素原子数1〜20のフッ素化炭化水素基であり、最も好ましくは、炭素原子数6〜20のフッ素化アリール基である。
【0058】
(C2)のホウ素化合物の一般式において、G+は無機または有機のカチオンを表し、具体例としては、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどの無機のカチオン;トリフェニルメチルカチオンなどの有機のカチオンがあげられる。好ましくはカルベニウムカチオンであり、より好ましくはトリフェニルメチルカチオンである。
【0059】
(C2)および(C3)のホウ素化合物の一般式において、(BQ1234-としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどがあげられる。
【0060】
(C3)のホウ素化合物の一般式において、Lは中性ルイス塩基であり、(L−H)+はブレンステッド酸であり、(L−H)+の具体例としては、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどがあげられる。
【0061】
(C1)のホウ素化合物の具体例としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等があげられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0062】
(C2)のホウ素化合物の具体例としては、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ジメチルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0063】
(C3)のホウ素化合物の具体例としては、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどをあげることができ、好ましくは、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0064】
重合触媒として、成分(A)と成分(B)とを接触してなる接触処理物を用いる場合、成分(B)としては、(B2)の環状のアルミノキサンおよび/または(B3)の線状のアルミノキサンを用いることが好ましい。また、重合触媒として、成分(A)と成分(B)と成分(C)とを接触してなる接触処理物を用いる場合、成分(B)としては、(B1)の有機アルミニウム化合物が使用しやすい。
【0065】
各重合触媒成分を接触処理する方法としては、各重合触媒成分が接触する方法であればよく、炭化水素溶媒の存在下で接触させてもよく、気体中で接触させてもよい。また、重合触媒成分を3成分以上使用する場合、任意の2つの重合触媒成分を予め接触させて、その後もう一つの触媒成分を接触させてもよく、各触媒成分を重合反応装置中に任意の順序で別々に投入して、あるいは、任意の2つ以上の触媒成分を予め接触させたものを重合反応装置中に投入して、重合反応装置中で接触させてもよい。
【0066】
各重合触媒成分の接触処理量としては、通常、成分(B)のAl原子/成分(A)(モル比)が0.1〜10000であり、好ましくは5〜2000である。また、成分(C)/成分(A)(モル比)が0.01〜100であり、好ましくは0.5〜10である。
【0067】
各重合触媒成分を溶液状態もしくは溶媒に懸濁状態で用いる場合の濃度としては、例えば、重合反応装置に各重合触媒成分を供給する装置の性能などの条件により、適宜選択されるが、成分(A)の濃度は、通常0.01〜500μmol/gであり、好ましくは0.05〜100μmol/gであり、より好ましくは0.05〜50μmol/g、である。また、成分(B)の濃度は、Al原子換算として、通常0.01〜10000μmol/gであり、好ましくは0.1〜5000μmol/gであり、より好ましくは0.1〜2000μmol/gである。成分(C)の濃度は、通常0.01〜500μmol/gであり、好ましくは0.05〜200μmol/gであり、より好ましくは0.05〜100μmol/gである。
【0068】
本発明で用いられる重合触媒としては、SiO2、Al23等の無機担体;ポリエチレン、ポリスチレン等の有機ポリマー担体を含む粒子状担体を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
本発明で用いられる環状オレフィンは、4個以上の炭素原子により形成された環を有し、該環の少なくとも1つの環に、1つの炭素−炭素二重結合を有する化合物である。
【0070】
環状オレフィンとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等の無置換単環状オレフィン;3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン等の置換単環状オレフィン;ノルボルネン、1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン等の無置換多環状オレフィン;5−メチルノルボルネン等の置換多環状オレフィンが例示される。
【0071】
環状オレフィンとしては、好ましくは、下記一般式[IV]で表される化合物である。

(上記一般式において、mは0以上の整数を表す。R7〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アミノ基、ホスフィノ基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アラルキルオキシスルホニル基、置換シリル基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、シアノ基を表し、該アルキル基、該アリール基および該アラルキル基は、水酸基、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、置換シリル基、アルキルアミノ基もしくはシアノ基で置換されていてもよい。R7〜R18は、任意に結合して環を形成してもよい。)
【0072】
mは0以上の整数であり、好ましくは0≦m≦3の整数である。
【0073】
一般式[IV]におけるR7〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アミノ基、ホスフィノ基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アラルキルオキシスルホニル基、置換シリル基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、シアノ基を表し、該アルキル基、該アリール基および該アラルキル基は、水酸基、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、置換シリル基、アルキルアミノ基もしくはシアノ基で置換されていてもよい。
【0074】
7〜R18としては、水素原子または炭素原子数が20以下の基が好ましく、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等があげられ、アリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基等があげられ、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等があげられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等があげられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基等があげられ、アシル基としては、アセチル基等があげられ、アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等があげられ、アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基等があげられ、アルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等があげられ、置換シリル基としては、トリメチルシリル基等があげられ、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等があげられる。
【0075】
7〜R18として好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数7〜20のアラルキル基、炭素原子数1〜20のアシル基、炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、炭素原子数1〜20の置換シリル基である。
【0076】
一般式[IV]で表される環状オレフィンとしては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−ブチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、8−メチルテトラシクロドデセン、8−エチルテトラシクロドデセン、5−アセチルノルボルネン、5−アセチルオキシノルボルネン、5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−エトキシカルボニルノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニルノルボルネン、5−シアノノルボルネン、8−メトキシカルボニルテトラシクロドデセン、8−メチル−8−テトラシクロドデセン、8−シアノテトラシクロドデセン等をあげることができる。これらの環状オレフィンは1種以上が使用される。環状オレフィンとして、好ましくは、ノルボルネン、テトラシクロドデセンであり、より好ましくはテトラシクロドデセンである。
【0077】
本発明で用いられるアルケニル芳香族炭化水素としては、下記一般式[V]で表される化合物をあげることができる。

(上記一般式において、R19は水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、Arは炭素原子数6〜25の芳香族炭化水素基を表す。)
【0078】
一般式[V]において、R19は水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基である。該炭素原子数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等をあげることができる。R19として好ましくは、水素原子またはメチル基である。
【0079】
一般式[V]において、Arは炭素原子数6〜25の芳香族炭化水素基であり、Arとしては、フェニル基、トリル基、キシリル基、第三級ブチルフェニル基、ビニルフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンジル基等をあげることができる。好ましくは、フェニル基、トリル基、キシリル基、第三級ブチルフェニル基、ビニルフェニル基、ナフチル基である。
【0080】
アルケニル芳香族炭化水素としては、スチレン、2−フェニルプロピレン、2−フェニルブテン、3−フェニルプロピレン等のアルケニルベンゼン;p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、o−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、3−メチル−5−エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、p−第2級ブチルスチレンなどのアルキルスチレン;1−ビニルナフタレン等のアルケニルナフタレン等をあげることができる。好ましくは、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−第3級ブチルスチレン、2−フェニルプロピレン、1−ビニルナフタレンであり、より好ましくはスチレンである。
【0081】
本発明で用いられるα−オレフィンとしては、下記一般式[VI]で表される化合物をあげることができる。
CH2=CH−R20 [VI]
(上記一般式において、R20は、水素原子または飽和炭化水素基を表す。)
【0082】
α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等の分岐オレフィン類等があげられ、これらは1種以上で使用される。
【0083】
α−オレフィンとして、好ましくは、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンであり、より好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンであり、更に好ましくは、エチレン、プロピレンであり、特に好ましくはエチレンである。
【0084】
環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとの共重合においては、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとに加え、他のビニル化合物を共重合させてもよい。かかるビニル化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル等を例示することができる。
【0085】
本発明では、上述の成分(A)を重合触媒成分とする重合触媒の存在下、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとの共重合を行う。重合法としては特に制限はなく、例えば気相重合法、塊状重合法、溶液重合法、スラリー重合法等、任意の方法を使用することができる。溶媒を使用する場合、触媒を失活させない溶媒が使用可能であり、このような溶媒の例として、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素;ジクロロメタン、二塩化スチレン等のハロゲン化炭化水素をあげることができる。また、重合法は、バッチ式であってもよく、連続式でもよい。
【0086】
重合温度については特に制限はなく、一般に−100〜250℃、好ましくは−50〜200℃が採用される。また、圧力についても制限はないが、一般に10MPa以下、好ましくは0.2MPaから5MPaで実施される。また、共重合体の分子量を調節するために水素などの連鎖移動剤を添加することもできる。
【0087】
本発明により得られる環状オレフィン系共重合体において、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、環状オレフィン系共重合体中の環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量とα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100mol%として、共重合体の耐熱性と強度のバランス、耐溶剤性を高める観点から、10〜50mol%であり、好ましくは15〜35mol%であり、より好ましくは25〜35mol%である。該環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量は、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)スペクトルやカーボン核磁気共鳴(13C−NMR)スペクトルにより求められる。
【0088】
環状オレフィン系共重合体において、アルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量は、環状オレフィン系共重合体中の環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量とα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100mol%として、共重合体の光学特性を高める観点から、1〜50mol%であり、好ましくは5〜40mol%であり、より好ましくは5〜30mol%であり、更に好ましくは10〜25mol%であり、特に好ましくは15〜25mol%である。該アルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量は、1H−NMRスペクトルや13C−NMRスペクトルにより求められる。
【0089】
環状オレフィン系共重合体は、透明性を高める観点から、結晶性を有しない非晶性の共重合体であることが好ましい。結晶性を有しないことは、示差走査熱量計(DSC)で測定した融解曲線に、融点に由来するピークが、実質的に存在しないことにより確認できる。
【0090】
環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)は、通常−20〜300℃である。好ましくはTgが30〜200℃の共重合体であり、より好ましくはTgが30〜170℃の共重合体であり、より好ましくはTgが50〜150℃の共重合体であり、特に好ましくはTgが100〜150℃である。ここでいうTgは示差走査熱量計(DSC)で測定される。
【0091】
環状オレフィン系共重合体の極限粘度([η])は、通常0.6〜3dl/gである。共重合体の強度を高める観点から、好ましくは0.7dl/g以上である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例中における共重合体の性質は、下記の方法によって測定した。
【0093】
(1)極限粘度([η]、単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用い、テトラリンを溶媒として135℃で測定した。
【0094】
(2)ガラス転移点(Tg、単位:℃)
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製 SSC−5200)を用いて、次の条件で吸熱曲線を測定し、その変曲点より求めた。
昇温 20℃〜200℃(10℃/分)10分間保持
冷却 200℃〜30℃(10℃/分)10分間保持
測定 30℃〜200℃(10℃/分)
【0095】
(3)共重合体中の単量体単位含有量
1H−NMR]
装置 BRUKER社製 AC250
測定溶媒 テトラクロロエタン−d2
測定温度 135℃
13C−NMR]
装置 BRUKER社製 AC250
測定溶媒 オルトジクロロベンゼンとオルトジクロロベンゼン−d4の80:20(容積比)混合液
測定温度 135℃
【0096】
(4)フィルムの引張破断強度(単位:MPa)
共重合体を230℃でプレス成形したシートから、幅20mm、長さ100mm、厚さ約0.1mmの短冊型試験片を作成した。該短冊型試験片を、引張試験機((株)オリエンテック製 UNIVERSAL TESTING MACHINE)により、チャック間距離40mmおよび引張試験速度5mm/分の条件で引っ張り、測定した。
【0097】
[実施例1]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中に、スチレン24.1ml、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(以下、テトラシクロドデセンと記す。)のトルエン溶液(5mol/l)66ml、脱水トルエン47.7mlを投入した。50℃に昇温後、エチレンを0.4MPa仕込んだ。トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・ファインケム(株)製、1mol/l]2ml、ジエチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.5mgを脱水トルエン2.2mlに溶解した溶液、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート16mgを脱水トルエン4mlに混合したものを順次仕込み、反応液を50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を塩酸(2%)150mlと攪拌混合し、分液した後アセトン500ml中に投入し、沈殿した白色固体を濾取した。該固体をアセトンで洗浄後、減圧乾燥した結果、共重合体6.57gを得た。この共重合体の[η]は、0.78dl/g、ガラス転移点は124℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は35mol%、スチレン単位の含有量は23mol%、エチレン単位の含有量は42mol%であった。フィルムの引張破断強度は58MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、330kg/(mol・時間)であった。
【0098】
[実施例2]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中に、スチレン24.1ml、テトラシクロドデセンのトルエン溶液(5mol/l)63.6ml、脱水トルエン50.1mlを投入した。50℃に昇温後、エチレンを0.4MPa仕込んだ。トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・ファインケム(株)製、1mol/l]2ml、ジエチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.5mgを脱水トルエン2.2mlに溶解した溶液、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート16mgを脱水トルエン4mlに混合したものを順次仕込み、反応液を50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を塩酸(2%)150mlと攪拌混合し、分液した後アセトン500ml中に投入し、沈殿した白色固体を濾取した。該固体をアセトンで洗浄後、減圧乾燥した結果、共重合体6.12gを得た。この共重合体の[η]は、0.74dl/g、ガラス転移点は124℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は34mol%、スチレン単位の含有量は23mol%、エチレン単位の含有量は43mol%であった。フィルムの引張破断強度は47MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、310kg/(mol・時間)であった。
【0099】
[実施例3]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中に、スチレン15.5ml、テトラシクロドデセンのトルエン溶液(5mol/l)33ml、脱水トルエン89.9mlを投入した。50℃に昇温後、エチレンを0.6MPa仕込んだ。トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・ファインケム(株)製、1mol/l]2ml、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド6.5mgを脱水トルエン1.6mlに溶解した溶液、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート24mgを脱水トルエン4mlに混合したものを順次仕込み、反応液を50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を塩酸(2%)150mlと攪拌混合し、分液した後アセトン500ml中に投入し、沈殿した白色固体を濾取した。該固体をアセトンで洗浄後、減圧乾燥した結果、共重合体7.44gを得た。この共重合体の[η]は、0.76dl/g、ガラス転移点は122℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は31mol%、スチレン単位の含有量は19mol%、エチレン単位の含有量は50mol%であった。フィルムの引張破断強度は43MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、250kg/(mol・時間)であった。
【0100】
[実施例4]
アルゴンで置換した400mlのオートクレーブ中に、スチレン13.4ml、テトラシクロドデセンのトルエン溶液(5mol/l)33ml、脱水トルエン91.4mlを投入した。50℃に昇温後、エチレンを0.6MPa仕込んだ。トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液[東ソー・ファインケム(株)製、1mol/l]2ml、ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.3mgを脱水トルエン2.2mlに溶解した溶液、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート16mgを脱水トルエン4mlに混合したものを順次仕込み、反応液を50℃で2時間攪拌した。その後、反応液を塩酸(2%)150mlと攪拌混合し、分液した後アセトン500ml中に投入し、沈殿した白色固体を濾取した。該固体をアセトンで洗浄後、減圧乾燥した結果、共重合体4.93gを得た。この共重合体の[η]は、0.77dl/g、ガラス転移点は124℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は30mol%、スチレン単位の含有量は17mol%、エチレン単位の含有量は53mol%であった。フィルムの引張破断強度は46MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、250kg/(mol・時間)であった。
【0101】
[比較例1]
脱水トルエンを48.4mlに変更し、「ジエチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.5mgを脱水トルエン2.2mlに溶解させたもの」に替えて「ジメチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド6.3mgを脱水トルエン1.6mlに溶解させたもの」を用い、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを24mgに変更した以外は実施例1と同様に行ったところ、共重合体5.57gを得た。この共重合体の[η]は、0.65dl/g、ガラス転移点は127℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は36mol%、スチレン単位の含有量は22mol%、エチレン単位の含有量は42mol%であった。フィルムの引張破断強度は42MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、190kg/(mol・時間)であった。
【0102】
[比較例2]
脱水トルエンを50.8mlに変更し、「ジエチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.5mgを脱水トルエン2.2mlに溶解させたもの」に替えて「ジメチルシリレン(3−メチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド6.3mgを脱水トルエン1.6mlに溶解させたもの」を用い、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを24mgに変更した以外は実施例2と同様に行ったところ、共重合体6.54gを得た。この共重合体の[η]は、0.62dl/g、ガラス転移点は128℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は33mol%、スチレン単位の含有量は22mol%、エチレン単位の含有量は45mol%であった。フィルムの引張破断強度は34MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、220kg/(mol・時間)であった。
【0103】
[比較例3]
脱水トルエンを89.5mlに変更し、「ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド6.5mgを脱水トルエン1.6mlに溶解させたもの」に替えて「ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド8.1mgを脱水トルエン2mlに溶解させたもの」を用い、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを32mgに変更した以外は実施例3と同様に行ったところ、共重合体5.72gを得た。この共重合体の[η]は、0.63dl/g、ガラス転移点は124℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は33mol%、スチレン単位の含有量は18mol%、エチレン単位の含有量は49mol%であった。フィルムの引張破断強度は42MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、140kg/(mol・時間)であった。
【0104】
[比較例4]
脱水トルエンを91.6mlに変更し、「ジエチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド4.3mgを脱水トルエン2.2mlに溶解させたもの」に替えて「ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド8.1mgを脱水トルエン2mlに溶解させたもの」を用い、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを32mgに変更した以外は実施例4と同様に行ったところ、共重合体5.04gを得た。この共重合体の[η]は、0.60dl/g、ガラス転移点は128℃であり、テトラシクロドデセン単位の含有量は32mol%、スチレン単位の含有量は16mol%、エチレン単位の含有量は53mol%であった。フィルムの引張破断強度は32MPaであった。また、遷移金属錯体1molおよび単位時間あたりの重合活性は、130kg/(mol・時間)であった。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オレフィンに基づく単量体単位とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位とα−オレフィンに基づく単量体単位とを有し、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量とアルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量とα−オレフィンに基づく単量体単位の含有量との合計を100mol%として、環状オレフィンに基づく単量体単位の含有量が10〜50mol%であり、アルケニル芳香族炭化水素に基づく単量体単位の含有量が1〜50mol%である環状オレフィン系共重合体の製造方法であって、下記成分(A)を重合触媒成分とする重合触媒の存在下、環状オレフィンとアルケニル芳香族炭化水素とα−オレフィンとを共重合する環状オレフィン系共重合体の製造方法。
(A):下記一般式[I]、[II]または[III]で表される遷移金属錯体

(上記一般式[I]〜[III]において、Mは元素の周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、Aは元素の周期律表の第16族の原子を表し、Jは元素の周期律表の第14族の原子を表す。Cpはシクロペンタジエン形アニオン骨格を有する基を表す。R1、R2、R3、R4、X1、X2はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、置換シリル基、2置換アミノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基またはアリールオキシ基を表し、該アルキル基、該アラルキル基、該アリール基、該置換シリル基の炭化水素基、2置換アミノ基の炭化水素基、該アルコキシ基、該アラルキルオキシ基および該アリールオキシ基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、アルコキシ基で置換されていてもよく、アリールオキシ基で置換されていてもよく、アラルキルオキシ基で置換されていてもよい。R1、R2、R3、R4は任意に結合して環を形成してもよい。R5、R6はエチル基を表す。X3は元素の周期律表の第16族の原子を表す。一般式[II]および[III]における二つのM、A、J、Cp、R1、R2、R3、R4、X1、X3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
重合触媒が、成分(A)と下記成分(B)および/または成分(C)とを接触してなる接触処理物である請求項1に記載の環状オレフィン系共重合体の製造方法。
(B):下記(B1)〜(B3)からなる群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(B1)一般式 E1aAlZ3-aで表される有機アルミニウム化合物
(B2)一般式 {−Al(E2)−O−}bで表される環状のアルミノキサン
(B3)一般式 E3{−Al(E3)−O−}cAlE32で表される線状のアルミノキサン
(式中、aは0<a≦3を満足する数を、bは2以上の整数を、cは1以上の整数を表す。E1、E2およびE3は炭化水素基を表し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよく、複数のE1、複数のE2および複数のE3はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。Zは水素原子またはハロゲン原子を表し、複数のZは同じであっても異なっていてもよい。)
(C):下記(C1)〜(C3)からなる群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(C1)一般式 BQ123で表されるホウ素化合物
(C2)一般式 G+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(C3)一般式 (L−H)+(BQ1234-で表されるホウ素化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q1、Q2、Q3およびQ4はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭化水素基、置換シリル基、アルコキシ基または2置換アミノ基を表し、該炭化水素基はハロゲン原子で置換されていてもよい。G+は無機または有機のカチオンを表し、Lは中性ルイス塩基を表し、(L−H)+はブレンステッド酸を表す。)
【請求項3】
環状オレフィンが、下記一般式[IV]で表される化合物である請求項1または2に記載の環状オレフィン系共重合体の製造方法。

(上記一般式において、mは0以上の整数を表す。R7〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、アミノ基、ホスフィノ基、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アラルキルオキシスルホニル基、置換シリル基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、シアノ基を表し、該アルキル基、該アリール基および該アラルキル基は、水酸基、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、置換シリル基、アルキルアミノ基もしくはシアノ基で置換されていてもよい。R7〜R18は、任意に結合して環を形成してもよい。)

【公開番号】特開2007−254576(P2007−254576A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80241(P2006−80241)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】