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環状カーボネート合成用触媒および環状カーボネート合成方法
説明

環状カーボネート合成用触媒および環状カーボネート合成方法

【課題】排ガス中の二酸化炭素を、常圧下で効率よく利用して、環状カーボネートの合成に利用可能にする技術を提供する。
【解決手段】エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物と二酸化炭素とから環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートを生成するための環状カーボネート合成用触媒であって、末端水酸基を有する有機系イオン性化合物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネート(これらをあわせて環状カーボネート化合物と称する場合がある。)を合成するための触媒およびその触媒を用いて、環状カーボネートを合成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場などの燃焼プロセスや反応プロセスからの排ガス中には二酸化炭素(CO2)が含まれている。二酸化炭素は温室効果により地球の温暖化をもたらす温室効果ガスであることが知られている。環境負荷の少ない持続可能な社会もしくは化学工業の実現のために、排ガスから二酸化炭素を分離・回収すること、さらには再利用することが望まれている。
【0003】
そこで、排ガス中から二酸化炭素を分離して回収する方法が研究される一方、二酸化炭素を化学反応により、他の有価物を合成するための原料として用いることが検討されている。このような化学反応としては、特許文献1に記載のようにエポキシ化合物と二酸化炭素とを特定の触媒存在下で化1記載の反応を行うものがある。この化1記載の生成物は環状カーボネート(4−(無)置換−1,3−ジオキソラン−2−オン)は強極性、高沸点という特性を有しているため、リチウム電池の非水電解質および、半導体製造工程やリソグラフィーの工程で用いられている。
【0004】
【化1】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−513787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このようなエポキシ化合物と二酸化炭素の反応には、高純度の二酸化炭素が必要であったり、高温高圧下での反応が必要であったりと、高純度二酸化炭素の原料入手や使用エネルギーが膨大などの問題点があった。従い、工場などの燃焼プロセスや反応プロセスから生じた燃焼排ガスをエポキシ化合物との反応原料としてそのまま適用することはできず、常圧の二酸化炭素もしくは燃焼排ガスを利用することも達成されていない。また、燃焼排ガスを合成原料として適用しようとすると、二酸化炭素の精製工程を別途必要とすること、特に高圧処理を行いたいような場合には、エネルギー消費が多く経済的でないこと、連続処理が困難になることなど、種々の問題があり実用的ではなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記実状に鑑み、排ガス中の二酸化炭素を、常圧下で効率よく利用して、環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートの合成に利用可能にする技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究の結果、末端水酸基を有する有機系イオン性化合物が、エポキシ化合物もしくはエピスルフィド(チイラン)化合物と二酸化炭素との反応から環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートを生成するための触媒として有効に機能し、排ガス中の二酸化炭素ガスの回収用として有用であることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
〔構成1〕
すなわち、本発明のエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物と二酸化炭素とから環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートを生成する環状カーボネート合成用触媒の特徴構成は、有機系イオン性化合物であり、末端水酸基を有する第4級アルキルアンモニウム塩もしくはイミダゾリウム塩もしくはピリジニウム塩もしくはピロリジニウム塩からなる点にある。
【0010】
〔構成2〕
また、前記有機系イオン性化合物としては、化2に示すものが好適に用いられる。
【0011】
【化2】

【0012】
〔作用効果1〕〔作用効果2〕
すなわち、本発明者らによると、上記有機系のイオン性化合物A〜Eを用いた場合に、化1に示す合成反応は、常圧の排ガス中に含まれる低濃度の二酸化炭素を合成原料として利用することができ、室温程度の反応温度でカーボネート化反応が良好に進行し、対応する環状カーボネート生成物が得られる。これにより、排ガスの発生している環境条件に近い反応条件で、エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物と二酸化炭素を原料とする化学反応を行い、温室効果ガスの排出を抑制しつつ、有価物を生産することができるようになることが明らかになった。上記反応は、触媒の高い活性により、低濃度の二酸化炭素で充分進行するとともに、室温程度の低温で進行するため、簡便かつ経済的に進行させることができる。
【0013】
ここで得られる環状カーボネートは、たとえば、リチウム電池の非水電解質および、半導体製造工程やリソグラフィーの工程で溶剤としての用途で利用される。
【0014】
なお、これらA〜Eの化合物は、有機系イオン性化合物であって、特に耐熱安定性が高く、ほとんど揮発しないことが知られており、上記反応条件においてきわめて高い安定性と触媒活性を示しているものと考えられる。そのため、有機系イオン性化合物を触媒として用いることによって、同様に高い触媒活性を発揮させられると考えられる。
また、化1に示す環状カーボネートを合成する触媒として無機系イオン性化合物(KBrやKIなど)を用いることもあるが、このような無機系イオン性化合物では有機溶媒への溶解度の低さから、首尾よく環状カーボネートが得られない。しかし、本発明では、無機系イオン性化合物と比べると有機溶媒への溶解度が著しく高い有機系イオン性化合物を用いているため、環状カーボネートが対応するエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物から合成することができる。
【0015】
また、上記A〜Eの有機系イオン性化合物は、アンモニウム系のカチオン種であると同時に、末端水酸基を有するという特徴を有している。これにより、触媒反応における炭酸ハーフエステルが安定化され、環状カーボネートが効率よく合成できる。特許文献1では末端水酸基のないアンモニウム塩を用いているため、化3に示される反応機構において原料エポキシ化合物の活性化が起こらないため環状カーボネート化反応の進行が遅い。また、Step3で生成した炭酸ハーフエステル中間体が通常不安定なため、二酸化炭素と開環したエポキシアニオンに戻ってしまい、目的の環状カーボネートが生成しにくくなるため、環状カーボネートの方へ平衡を移動させるために、二酸化炭素濃度を高くする必要がある。
【0016】
これに対して、本発明では、末端水酸基を有するアンモニウム塩を触媒として使用しているため、原料のエポキシ化合物とアンモニウム塩末端の水酸基が水素結合することによりエポキシ化合物が活性化され、環状カーボネート化反応が効率よく進行する。また、化3に示されるStep3により生成した炭酸ハーフエステル中間体はアンモニウム塩の末端水酸基により安定化されるために、Step4が効率よく進み目的の環状カーボネートが生成するとともに、アンモニウム塩触媒が再生される。このように、末端水酸基をもつ有機系イオン性化合物を触媒とすることにより、二酸化炭素の分圧を減らすことができ、常圧の二酸化炭素や純度の低い二酸化炭素を用いても環状カーボネート化反応が良好に進行する。
【0017】
【化3】

【0018】
なお、環状カーボネート合成用触媒としては、アンモニウム系イオン性化合物が有効成分として含まれていればよく、他の補助的成分が含まれていてもかまわない。本願では、触媒の特定成分が、触媒機能を担うに充分な割合で含有していれば、有効成分として含まれているものとする。たとえば、上記A〜Eの化合物を用いる場合、エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に対して、0.1〜10%程度用いられていれば触媒として高活性に機能するので好ましい。
【0019】
〔構成3〕
また、本発明の環状カーボネート合成方法の特徴構成は、上記環状カーボネート合成用触媒の存在下で、二酸化炭素を含有するガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させる点にあり、
【0020】
〔構成4〕
前記二酸化炭素を含有するガスが、3〜10%の二酸化炭素を含有するガスであることが好ましい。
【0021】
〔構成5〕
また、前記エポキシ化合物またはエピスルフィド化合物は特に限定されないが、説明のために例示すると、化4(a)〜(e)に示すようにグリシジル基を有する化合物やエピチオ基を有する化合物ならば用いることができ、これらの化合物を用いて本願の環状カーボネート合成方法を行うことにより、対応する環状カーボネートが得られることが確認されている。
【0022】
【化4】

【0023】
〔作用効果3〕〔作用効果4〕〔作用効果5〕
上記環状カーボネート合成用触媒の存在下で、たとえば排ガスのような二酸化炭素を含有するガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させると、前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に対応する環状カーボネートもしくは環状チオカーボネートが生成する。このとき、排ガス中の二酸化炭素ガスは、3〜10%程度の低濃度で充分反応し、排ガスが保有する熱量で充分反応を維持することができ、後述の実施形態の傾向から、さらに低濃度で反応を維持可能であることが読み取れる。そのため、高温高圧を要する大掛かりな反応装置を必要とせず、排ガスの発生する燃焼装置等に付随する設備として容易に適用することができ、少ない設備投資で有価物としての環状カーボネートを生産できるとともに、温室効果ガスの低減に寄与することができる。
【0024】
上記反応において、前記エポキシ化合物またはエピスルフィド化合物がスチレンオキサイドであれば、環状カーボネートとしてスチレンカーボネートが得られ、たとえば、リチウム電池の電解質としての用途で利用されている。
また、エチレンオキサイドから生成されるエチレンカーボネートは、コンデンサあるいは電池用電解液の溶媒などとして使用されている他、たとえば高分子化合物の溶媒および各種化学反応時の反応溶媒としても利用されている。
また、プロピレンオキサイドから生成されるプロピレンカーボネートについても、リチウム電池用電解液、溶剤、土壌改質剤等種々用途で利用されている。
また、エピスルフィド化合物から生成されるエチレンチオカーボネートは光学用樹脂原料の一部として利用されている。
本発明で得られた環状カーボネートは難燃剤として利用することができ、環状カーボネート化合物自身は接炎試験で着火することがない難燃剤であった。また、別の局面では環状カーボネートとフェノール性水酸基を有する化合物から親水性のポリカーボネートもしくはそのオリゴマーが得られた。
【0025】
〔構成6〕
また、上記構成において、二酸化炭素を含有するガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させる反応温度を、常温℃以上200℃以下とし、反応圧力を大気圧〜760kPaGとすることが好ましい。
【0026】
〔作用効果6〕
すなわち、上記環状カーボネート合成触媒によれば、幅広い反応条件で環状カーボネート合成を行うことができ、たとえば水素ガスを製造する水素製造装置における水素製造排ガスとして高温高圧(たとえば200℃、760kPaG程度)な二酸化炭素含有排ガス、常温常圧の二酸化炭素含有排ガスのいずれを適用したとしても、低濃度から高濃度(100%)までの幅広い濃度範囲の二酸化炭素含有排ガスを、穏やかな反応状態で連続的に環状カーボネート合成に用いることができる。
【0027】
〔構成7〕
前記反応温度が、50℃以上であることが好ましい。
【0028】
〔作用効果7〕
なお、上記反応は、常温程度であっても進行することが確認されているが、反応温度としては50℃以上が好ましい。このような形態であれば、燃焼排ガスなどの高温な排熱に限らず、工場の排水、汚泥焼却の排水、発電やごみ焼却の復水器の温水なども活用できるので、排熱を多く取り出すことのできないような種々産業プラントに環状カーボネート合成プロセスを組み込むような場合にも、効率よく反応条件を設定することができるようになる。
【0029】
〔構成8〕
前記環状カーボネート合成用触媒が、反応溶媒10gあたり0.05mmol以上であるであることが好ましい。
【0030】
〔作用効果8〕
触媒量が比較的少ない場合でも、緩慢ながら室温でも反応は進行することがわかり、二酸化炭素濃度、反応温度条件に応じて反応時間を適宜調整することによって好適な反応効率を実現することができる。特に反応溶媒10gあたり0.05mmol以上としてあれば、80℃において、速やかな反応が進行することが明らかになっており、好適な反応条件を設定するのに適した触媒量であるといえる。なお、触媒量は多くても特に問題はなく(たとえば、触媒自体が溶媒をかねる場合では、含有量を∞g/溶媒10gと考えることができる)、上限を問わず使用できるものである。
【0031】
〔構成9〕
また、本発明の二酸化炭素固定化方法の特徴構成は、二酸化炭素含有排ガスを前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させて環状カーボネートに変換する点にある。
【0032】
〔作用効果9〕
すなわち、環状カーボネート合成反応により有価物を合成する反応を利用して二酸化炭素を固定化するから、温室効果ガスの削減を図りながら、付加価値を生み出すことができる。ここで、本発明の二酸化炭素固定化方法を種々二酸化炭素含有排ガスの発生箇所に適用する場合に、上記反応は幅広い条件下で穏やかな反応を持続させられるので、導入環境に制約を受けにくく、かつ、有価物の生産により導入コストを低く見積もることができる利点もある。
【0033】
〔構成10〕
また、二酸化炭素固定化装置の特徴構成は、上記環状カーボネート合成用触媒を前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物とともに溶解してなる反応液に、二酸化炭素含有排ガスを供給して反応させる反応槽を備えた点にある。
【0034】
〔作用効果10〕
すなわち、上記環状カーボネート合成用触媒を前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物とともに溶解してなる反応液に、二酸化炭素含有排ガスを供給するだけの簡単な装置構成により、二酸化炭素の固定化を行いながら有価物の生産を行える。
【0035】
〔構成11〕
なお、上記構成において、前記二酸化炭素含有排ガスが、燃料ガスを改質して水素ガスを製造する水素製造装置における水素製造排ガスであってもよい。
【0036】
〔作用効果11〕
たとえば水素ガスを製造する水素製造装置においては、水素製造排ガスとして高温高圧な二酸化炭素含有排ガス、常温常圧の二酸化炭素含有排ガスが発生するが、これらのいずれに対しても上記二酸化炭素固定化方法を適用できる構成とすることができ、穏やかな反応状態で連続的に有価物の生産を行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
したがって、温室効果ガスの削減を図りながら、環状カーボネートの生産を効率よく行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】水素製造装置のフロー図である
【図2】二酸化炭素固定化その概略図である
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に本発明を具体的な実施形態にしたがって説明する。なお、以下の実施形態は本願発明を明確にするために例示されるものであって、本発明は、下記実施形態に限られるものではない。
【0040】
本発明では、有機系イオン性化合物からなる環状カーボネート合成用触媒を用いて、エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物と二酸化炭素とから環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートを生成する。
【0041】
前記有機系イオン性化合物としては、A)1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウム塩、(B)N−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム塩、(C)N, N, N−トリエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、(D)N, N, N, N−テトラ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、(E)N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウム塩(各化2参照)から選ばれる少なくとも一種の陽イオンを含む塩を有効成分として含有するものが好適に用いられる。なお、対イオンについては、ハロゲン化物イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ビスフルオロスルフォニウムイミドイオン等の種々陰イオンが適用できる。
【0042】
上記環状カーボネート合成用触媒の存在下で、燃焼排ガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させる。この反応は、エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物を前記環状カーボネート合成用触媒とともに溶解した液相に対して、前記排ガスを接触させることによって行うことができる。気液接触効率を高めるには、液相に対して排ガスをバブリングしたり、接触材に流下循環させられる液相に対して気相を対向流通させたりすることが有効であるが、簡易的には、排ガス中に保持された液相を撹拌混合することによっても実行することができる。
【0043】
前記排ガスとしては、通常の燃焼排ガスとして3〜10%の二酸化炭素を含有するものが好適に用いられ、高効率で環状カーボネートを生成させることができる。
【0044】
また、このような燃焼排ガスは、通常100℃〜1000℃程度に達し、ガス管路にて降温するが、この排ガスのもつ熱により上記反応温度を、100℃程度の好適な温度域に維持することができる。
【0045】
前記エポキシ化合物、エピスルフィド化合物としては、化4に示すようにグリシジル基を有する化合物やエピチオ基を有する化合物ならば用いることができ、これら化合物は、二酸化炭素に対して類似の反応性を示すとともに、上記反応により利用価値の高い有価物に変換されることが知られている。
【0046】
〔実施形態1〕
フラスコにアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物を0.50mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)10.0gを加える。また、この液にスチレンオキサイド(ナカライテスク社製)1.21g,(10mmol)を加える。
この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度5%(残部はAr)の模擬排ガスを流しながら20分間反応液中に導入して室温(20℃)、常圧(101.3kPa)でバブリングした。次いで玉栓で反応溶器を密閉した後、還流管の頭頂部の三方コックにおいて前記模擬排ガスを流しながら100℃で24時間加熱撹拌した。
【0047】
得られた反応溶液をGCで分析し、化1の反応における転化率および選択率を求めた。
なお、転化率および選択率を求めるに際しその後、反応溶液を30mLの蒸留水に入れ、酢酸エチル30mL×1回、20mL×2回で抽出。抽出液を蒸留水20mL×8回で洗い、分液した酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過して、酢酸エチルを留去した後、秤量した生成物を得た。この生成物をガスクロマトグラフィーで分析し、ピーク面積より、含有する化合物(原料のスチレンオキサイドや生成物のスチレンカーボネートおよび副生成物)の面積百分率を求め、転化率および選択率を計算した。
【0048】
転化率は
転化率=100−(原料スチレンオキサイドの面積百分率)
として求めた。
選択率は、
選択率=(生成スチレンカーボネートの面積百分率)/(転化率)×100
として求めた。
【0049】
その結果、反応溶液中のスチレンカーボネートのピーク面積より、原料のスチレンオキサイドの95%がスチレンカーボネートに変換され(転化率95%)、反応溶液中に残存スチレンオキサイド5%が検出されたが、他の生成物は全く検出されなかった(選択率100%)。
得られたスチレンカーボネートの1H NMR(CDCl3)スペクトルは、4.34(dd,1H),4.80(dd,1H),5.68(m,1H),7.2−7.4(m,5H)であった。
【0050】
〔比較例1〕
アンモニウム系イオン性化合物(触媒)に代えて、塩化ナトリウムを用い、実施形態1と同様にして転化率および選択率を求めたところ、転化率57%(選択率100%)であり、イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物を用いることによって、反応効率が向上していることがわかった。
【0051】
〔実施形態2〕
フラスコに有機系イオン性化合物(触媒)として化2における各化合物を0.10mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)10.0gを加える。また、この液にスチレンオキサイド1.21g,(10mmol)を加える。
この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%のガスを流しながら20分間反応液中に導入して室温でバブリングした。次いで玉栓で反応溶器を密閉した後、還流管の頭頂部の三方コックにおいて二酸化炭素濃度100%のガスを流しながら100℃で17時間加熱撹拌した。
【0052】
得られた反応溶液をGCで分析し、化1の反応における転化率および選択率を求めた。あわせて、イオン性化合物については対イオンについても種々変更して触媒活性を比較した。結果を表1に示す。表1においては、各行項目が有機系イオン性化合物のカチオン種、各列項目がアニオン種を示している。
【0053】
【表1】

【0054】
表1より各有機系イオン性化合物によれば、高い選択率でスチレンオキサイドからスチレンカーボネートを得ることができることがわかった。また、この反応は、連続的に行うことができるので、転化率が低くても高効率で二酸化炭素の固定化に寄与できるものと考えられる。
【0055】
〔実施形態3〕
フラスコにトリグリシジルシアヌレート(日産化学社製)50.15g,(169mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)508gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物8.49 mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%ガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら100℃で24時間加熱撹拌した。反応終了後、反応溶液を蒸留水2Lに投入して得られた白色固体をガラスフィルターでろ過し、アセトンで洗浄することにより化5に示される環状カーボネートが63.68g、収率88%で得られた。
得られた環状カーボネートの1H NMR(CDCl3)スペクトルは、4.06(dd,3H),4.19(dd,3H),4.32(dd,3H),4.56(dd,3H),4.94(m,3H)であった。
また、得られた環状カーボネートのC=O伸縮振動(IR)は1786 cm−1であった。
【0056】
【化5】

【0057】
〔実施形態4〕
フラスコにソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック社製)50.75g,(125mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)402gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物10.3 mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%ガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら100℃で31時間加熱撹拌した。反応終了後、反応溶液を蒸留水1Lに投入して得られた白色懸濁液を酢酸エチル400mL×4回で抽出した。得られた酢酸エチル溶液を水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥して、酢酸エチルを留去することで化6に示される黄色の環状カーボネート油状生成物が50.82g、収率70%で得られた。
得られた環状カーボネートの1H NMR(CDCl3)スペクトルは、3.3−4.2(m),4.2−4.6(m),4.7−5.0(m)であった。
また、得られた環状カーボネートのC=O伸縮振動(IR)は1786 cm−1であった。
【0058】
【化6】

【0059】
〔実施形態5〕
フラスコにエピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)52.09g,(138mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)208gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物7.03 mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%ガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら100℃で21時間加熱撹拌した。反応終了後、反応溶液を蒸留水2Lに投入して得られた白色固体をガラスフィルターでろ過し、アセトンで洗浄することにより化7に示される環状カーボネートが63.68g、収率88%で得られた。
得られた環状カーボネートの1H NMR(DMSO−d6)スペクトルは、1.57(s,6H)4.14(dd,2H),4.23(dd,2H),4.37(dd,2H),4.61(dd,2H),5.11(m,2H),6.84(d,4H),7.11(d,4H)であった。
また、得られた環状カーボネートのC=O伸縮振動(IR)は1786 cm−1であった。
【0060】
【化7】

【0061】
〔実施形態6〕
フラスコにアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物を0.50mmolを入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)10.0gを加える。また、この液に上記化合物(B)(10−(2’,5’−ジグリシジルエーテルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド)29.71g(68.1mmol)を加える。
この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素を流しながら20分間反応液中に導入して室温、常圧でバブリングした。次いで玉栓で反応溶器を密閉した後、還流管の頭頂部の三方コックにおいて前記模擬排ガスを流しながら80℃で24時間加熱撹拌した。
【0062】
反応終了後、反応溶液を蒸留水2Lに投入して得られた白色固体をガラスフィルターでろ過することにより、生成物として環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物が32.20g、収率99%で得られた。
得られた環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物の1HNMR(CDCl3)スペクトルは、8.3−6.2,m,(芳香族プロトン),4.94,bs,(環状カーボネート構造のプロトン),4.48,m,(環状カーボネート構造のプロトン),4.2−2.8,m,(環状カーボネート構造のプロトンとオキシメチレン部分のプロトン),1.82,s,(水酸基のプロトン)であった。
また、得られた環状カーボネート構造を有するホスフィン酸エステル化合物のC=O伸縮振動(IR)は1793cm−1であった。
これらのデータより、得られた化合物は、10−[4−ジ(2−オキソ−1,3−ジオキソリルメチルオキシ)フェニル]−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−カーボネートであることが確認できた。
【0063】
〔実施形態7〕
フラスコに1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン1.50g(10mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)20gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物0.20mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%のガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら種々の温度で種々の時間加熱撹拌した。
種々の温度、時間で得られた反応溶液をGCで分析し、化1の反応における環状カーボネート化合物の収率(転化率×選択率)を求めた。
【0064】
その結果、GCのピーク面積より、表2に示す収率で環状カーボネート化合物が得られた。
【0065】
【表2】

【0066】
〔実施形態8〕
フラスコに1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン1.50g(10mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)20gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物0.20mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度5%のガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら100℃で22hrまで加熱撹拌した。
種々の時間で得られた反応溶液をGCで分析し、化1の反応における環状カーボネート化合物の収率を求めた。
【0067】
その結果、GCのピーク面積より、表3に示す収率で環状カーボネート化合物が得られた。実施形態7中の100℃とほぼ同じ反応速度の結果が得られ、つまり、燃焼排ガス中に含まれる程度の二酸化炭素濃度のガスでも純二酸化炭素ガス同等の速度で反応が進むことが期待できる。
【0068】
【表3】

【0069】
〔実施形態9〕
フラスコに1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン1.50g(10mmol)を入れ、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(溶媒)20gを加える。また、この液にアンモニウム系イオン性化合物(触媒)として化2における(C)化合物1.00mmolを加える。この反応容器を還流管に取り付け、二酸化炭素濃度100%のガスを常圧で反応溶液中にバブリングしながら60℃で22hrまで加熱撹拌した。
種々の時間で得られた反応溶液をGCで分析し、化1の反応における環状カーボネート化合物の収率を求めた。
【0070】
その結果、GCのピーク面積より、表4に示す収率で環状カーボネート化合物が得られた。実施形態7中の80℃より反応速度が速く、触媒量を増加させることにより、より低温範囲まで実用範囲が広がることが期待できる。
【0071】
【表4】

【0072】
〔まとめ〕
上記実施形態を表5にまとめた。表5より、環状カーボネート合成は、反応温度、触媒量によって、反応速度が変化するものと考えられる。一方、原料のエポキシ化合物の種類や、二酸化炭素濃度はあまり反応速度に影響していないものと考えられる。
【0073】
【表5】

【0074】
すなわち、触媒として、化2に示す触媒を用いた場合、100℃程度でカーボネート化反応が素早く(24hrで50%以上の収率が望める程度以上)進む(実施形態2〜5,および,7)。また、反応温度が低くても、充分な触媒量が確保されていれば充分に反応が進む。(実施形態2,7に対して実施形態6,9)
【0075】
触媒量が多く(10gのNMPに対して0.5mmol程度)、反応温度が比較的高い(100℃程度)場合、二酸化炭素濃度は低くても(5%程度でも)反応は素早く進む。(実施形態1)一方、触媒量が少なくても、反応温度が充分高ければ、二酸化炭素濃度は低くても(5%程度でも)反応は素早く進む。(実施形態8)
したがって、反応温度が高ければ低濃度の二酸化炭素であっても、環状カーボネートの合成に用いることで、効率よく固定化することができることがわかる。
【0076】
表5によれば、二酸化炭素濃度、エポキシ化合物の種類によらず、反応温度が80℃以上であれば、溶媒10gに対して触媒量を0.10mmol以上用いることで素早い反応が起こり(実施形態1〜8)、さらに触媒量を0.05mmol程度に減じても充分な反応速度が得られるものと考えることができる。なお、触媒量を規定する場合、たとえば、触媒自体が溶媒をかねる場合の含有量を∞g/溶媒10gと考えることができ、上限を問わず使用できるものである。また、二酸化炭素濃度に関しても、燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素濃度(3〜10%程度)で充分速い反応速度が得られていることから、さらに低い二酸化炭素濃度(たとえば0.1%程度)であっても確実に反応を行えるものと考えられる。
【0077】
さらに、触媒量が多い場合(10gのNMPに対して0.5mmol程度)、温度が低くても反応は素早く進み、反応温度としては50℃以上が好ましいことが読み取れる(実施形態9)。このような形態であれば、燃焼排ガスなどの高温な排熱に限らず、工場の排水、汚泥焼却の排水、発電やごみ焼却の復水器の温水なども活用できるので、排熱を多く取り出すことのできないような産業プラントにも環状カーボネート合成プロセスを組み込むことができるようになる。
【0078】
なお、実施形態7に示すように、触媒量が比較的少ない場合でも、緩慢ながら室温でも反応は進行することがわかり、二酸化炭素濃度、反応温度条件に応じて反応時間を適宜調整することによって好適な反応効率を実現することができることがわかる。
【0079】
〔実施形態10〕
上記実施形態で行った環状カーボネート合成方法を燃料ガスを改質して水素ガスを製造する水素製造装置100において水素製造排ガス中の二酸化炭素を固定化するのに利用する例を示す。
【0080】
(水素製造装置)
本実施形態で用いる水素製造装置100は、図1に示すように、燃料ガスとしての天然ガスを脱硫する脱硫器1を備え、前記脱硫器1で脱硫された天然ガスを改質する改質器2を備え、天然ガスが改質され、水素および二酸化炭素を主成分とする改質ガス中に含まれる一酸化炭素ガスを、酸化して二酸化炭素に変換する変成器3を備え、前記変成器3を経た改質ガスをPSAプロセス(圧力変動吸着プロセス)により精製する水素PSA装置4を備え、前記水素PSA装置4から得られる水素ガスを製品水素ガスとして供給可能に構成してある。
【0081】
上記水素製造装置100において、水素PSA装置4からのオフガス(排ガス)は、オフガスタンク5に一時貯留されるとともに、前記改質器2における加熱用バーナ21の燃料として用いられる。
【0082】
このような構成により、
(A)前記水素PSA装置4に供給される改質ガスおよび
(B)前記オフガスタンク5に一時貯留されるオフガスおよび
(C)前記改質器2における加熱用バーナ21からの排ガス
には、それぞれ二酸化炭素が含まれており、二酸化炭素固定化装置200における二酸化炭素含有排ガスとして取り扱うことができる。表6にそれぞれの二酸化炭素含有排ガスの性状を示す。
【0083】
【表6】

【0084】
(二酸化炭素固定化装置)
本発明の環状カーボネート合成方法を用いた二酸化炭素固定化方法を行う二酸化炭素固定化装置200は、上記水素製造装置100における二酸化炭素含有排ガスの供給路(A)〜(C)の少なくともいずれかに設けられ、図2に示すように、前記環状カーボネート合成用触媒を前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物(以下原料と称する)としてのスチレンオキサイドとともに反応溶媒としてのNMPに溶解してなる反応液に、二酸化炭素含有排ガスを供給して反応させる反応槽6を備える。
【0085】
前記反応槽6は、前記原料を供給する原料供給部61を備えるとともに、前記環状カーボネート合成用触媒を供給する触媒供給部62を備え、前記環状カーボネート合成用触媒とともに反応溶媒としてのNMP溶媒に溶解してなる反応液を収容する反応容器60からなり、前記反応液に対して、二酸化炭素含有排ガスを供給してバブリングする二酸化炭素含有ガス供給部63を備える。なお、前記反応容器60内部には、前記環状カーボネート合成反応を行う反応温度(ここでは50℃〜80℃程度)を維持するための熱交換器64が設けられている。前記反応容器60は必要に応じて複数段設けられ、前記環状カーボネート合成反応を順次移送路65を通じて移送させつつ充分に進行させられるように調整してある。また、反応槽6にはガス抜き路66を設けてあり、合成反応により副生成した雑ガス等を定期的に排出可能に構成してある。また、二酸化炭素含有排ガスは、気液接触の効率を高める目的で、再供給路67を介して反応槽内に繰り返しバブリングされる構成となっている。
【0086】
前記環状カーボネート合成反応の終了した反応液は、環状カーボネート抽出槽7に供給され、環状カーボネートを回収するとともに、抽出溶媒を回収再利用可能に構成してある。
【0087】
前記環状カーボネート抽出槽7は、前記反応液を供給する反応液供給部71および抽出溶媒としての水、酢酸エチルを供給するための抽出液供給部72、73を備えるとともに、抽出された反応液を生成物とともに分離回収する抽出液回収部74(水層回収部74a、有機層回収部74b)を備える。抽出液回収部74から回収された抽出液は、蒸留精製部8(触媒回収部81、カーボネート精製部82)にそれぞれ分離供給され、抽出溶媒、反応溶媒、環状カーボネート合成用触媒を再生再供給可能にする。前記蒸留精製部8には、抽出液を加熱蒸留するための熱交換装置9が設けられている。
【0088】
前記熱交換装置9は、熱媒を循環させる熱媒循環路91に、熱供給を受ける熱媒循環ポンプ92および排熱熱交換部93を備え、排熱熱交換部93は前記改質器2の加熱用バーナ21等における排熱を受けて熱媒を加熱するとともに、熱媒循環ポンプ92により前記熱媒を熱媒循環路91に流通する。
前記熱媒は、触媒回収部81に供給される抽出液に含まれる水を水蒸気として留去し、触媒を回収可能にする熱交換器94に流通され、さらに、カーボネート精製部82に供給される抽出液に含まれる酢酸エチルを蒸発留去し、カーボネートを精製可能に加熱する熱交換器95に流通される。また、蒸留精製部8を加熱した熱媒は、さらに、前記反応槽6に設けられた熱交換器64に循環され、反応温度を維持するために熱交換される。各熱交換器へ熱供給し、冷却された熱媒は、前記熱媒循環ポンプにより前記熱媒を排熱熱交換部93に返送される。
【0089】
(二酸化炭素の固定化)
このように構成される二酸化炭素固定化装置200に前記水素製造装置100の各流路における前記(A)〜(C)の二酸化炭素含有排ガスを、前記反応槽6内で供給原料が完全に消費される条件で二酸化炭素含有ガス供給部63からバブリングしたところ、いずれの二酸化炭素含有排ガスであっても、カーボネート精製部82より、酢酸エチルを回収するとともに、触媒回収部81より水および前記環状カーボネート合成用触媒および反応溶媒を回収して循環利用することができ、環状カーボネートを連続的に製造しつつ、前記二酸化炭素含有排ガス中の二酸化炭素を固定化し有価物に変換することができることがわかった。
【0090】
すなわち、上記二酸化炭素固定化装置200によると、常圧〜760kPaG程度の加圧状態の40%程度の二酸化炭素含有排ガスであっても温和な条件下で固定化し、有価物に変換することができるようになった。
【0091】
なお、上記二酸化炭素固定化装置200では、反応溶媒や抽出溶媒として、NMP、酢酸エチル、水等を用いたが、これらは、上記二酸化炭素固定化装置において好適に使用することができる一例であって、原料の種類、排ガスの性状等に応じて適宜変更することができる。
【0092】
また、二酸化炭素含有排ガスとしては、水素製造装置100からの排ガスに限らず、種々製造装置等から排出される二酸化炭素含有排ガスにも適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 :脱硫器
2 :改質器
21 :加熱用バーナ
3 :変成器
4 :水素PSA装置
5 :オフガスタンク
6 :反応槽
60 :反応容器
61 :原料供給部
62 :触媒供給部
63 :二酸化炭素含有ガス供給部
64 :熱交換器
65 :順次移送路
66 :ガス抜き路
67 :再供給路
7 :環状カーボネート抽出槽
71 :反応液供給部
72 :抽出液供給部
74 :抽出液回収部
74a :水層回収部
74b :有機層回収部
8 :蒸留精製部
81 :触媒回収部
82 :カーボネート精製部
9 :熱交換装置
91 :熱媒循環路
92 :熱媒循環ポンプ
93 :排熱熱交換部
94 :熱交換器
95 :熱交換器
100 :水素製造装置
200 :二酸化炭素固定化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物もしくはエチレンスルフィド誘導体と二酸化炭素とから環状カーボネート化合物もしくは環状チオカーボネートを生成する環状カーボネート合成用触媒であって、末端水酸基を有する有機系イオン性化合物からなる環状カーボネート合成用触媒。
【請求項2】
前記有機系イオン性化合物が、
(A)1−メチル−3−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリウム塩、
(B)N−(2−ヒドロキシエチル)ピリジニウム塩、
(C)N, N, N−トリエチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、
(D)N, N, N, N−テトラ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、
(E)N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジニウム塩
から選ばれる少なくとも一種の陽イオンを含む塩を有効成分として含有するものである請求項1に記載の環状カーボネート合成用触媒。
【請求項3】
請求項1または2に記載の環状カーボネート合成用触媒の存在下で、二酸化炭素を含有するガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させる環状カーボネート合成方法。
【請求項4】
前記二酸化炭素を含有するガスが、3〜10%の二酸化炭素を含有するガスである請求項3に記載の環状カーボネート合成方法。
【請求項5】
前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物が、スチレンオキサイド、トリグリシジルシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAジ(β―エピチオプロピルエーテル)、10−(2’,5’−ジグリシジルエーテルフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパンから選ばれる少なくとも一種である請求項3または4に記載の環状カーボネート合成方法。
【請求項6】
二酸化炭素を含有するガスをエポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させる反応温度が、常温℃以上200℃以下であり、反応圧力が大気圧〜760kPaGである請求項3〜5のいずれか一項に記載の環状カーボネート合成方法。
【請求項7】
前記反応温度が、50℃以上である請求項6に記載の環状カーボネート合成方法。
【請求項8】
前記環状カーボネート合成用触媒が、反応溶媒10gあたり0.05mmol以上である請求項6または7に記載の環状カーボネート合成方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載の環状カーボネート合成用触媒の存在下で、二酸化炭素含有排ガスを前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物に反応させて環状カーボネートに変換する二酸化炭素固定化方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載の環状カーボネート合成用触媒を前記エポキシ化合物もしくはエピスルフィド化合物とともに溶解してなる反応液に、二酸化炭素含有排ガスを供給して反応させる反応槽を備えた二酸化炭素固定化装置。
【請求項11】
前記二酸化炭素含有排ガスが、燃料ガスを改質して水素ガスを製造する水素製造装置における水素製造排ガスである請求項9に記載の二酸化炭素固定化装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−63417(P2013−63417A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31847(P2012−31847)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】