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環状ヌクレオチド決定のための方法
説明

環状ヌクレオチド決定のための方法

【課題】細胞解析ツール、特に、細胞ライセートなどの試料中の環状ヌクレオチド濃度を検出または決定するための方法を提供する。例えば、試料中のアデニリルシクラーゼなどの酵素の活性を決定するための方法及びそのためのキットを提供する。
【解決手段】アデニリルシクラーゼなどお酵素を含み試料を、環状ヌクレオチドによって、活性化され得る不活性酵素及び活性化された酵素の活性を検出しかつ検出可能なシグナルを生成させることができる検出系と混合し、シグナルに基づいて該試料中に存在するアデニリルシクラーゼ活性などを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、完全な形で本明細書に組み入れられる、2005年12月6日に申請された米国特許仮出願第60/742,922号に対する優先権を主張する。
本発明は一般に細胞解析ツールに関し、およびより特に試料中の環状ヌクレオチド濃度を検出または決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次メッセンジャーである、アデノシン3', 5'環状一リン酸(cAMP)およびグアノシン3', 5'環状一リン酸(cGMP)は、細胞増殖、分化、アポトーシス、および細胞死を含む多様な細胞機能の重要な細胞内メディエーターである。cAMPの産生は、アデノシン三リン酸(ATP)をcAMPおよび無機ピロリン酸(PPi)に変換する、アデニリルシクラーゼファミリーの酵素によって制御される。アデニリルシクラーゼは、膜結合Gタンパク質共役型受容体(GPCR)α-サブユニットとの直接的な相互作用によって活性化または抑制される。Gαsと呼ばれる、促進性GPCRのα-サブユニットが活性化された場合、アデニリルシクラーゼはATPをcAMPおよびPPiに変換する。逆に、Gαiと呼ばれる、抑制性GPCRのα-サブユニットが活性化された場合、アデニリルシクラーゼに対する抑制的効果が発揮され、ならびにATPのcAMPおよびPPiへの変換は実現しない。Gタンパク質共役型受容体は、神経伝達、心拍出力、および痛みの調整などの多種多様な生物学的過程において顕著な役割を果たす。新しい医学的に有用な化合物を開発する際のそれらの重要性は十分に理解され;そのようなものとして、それらは創薬研究において大いに標的にされている。
【0003】
cAMPの細胞内濃度は、cAMPのAMPへのおよび環状cGMPのGMPへの加水分解を触媒する、別の群の酵素である、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)によっても影響を受ける。ホスホジエステラーゼは、アデニリルシクラーゼおよびグアニル酸シクラーゼと協同して機能し、cAMPおよびcGMPによって仲介される細胞シグナリング機構の大きさおよび持続時間を調節する。したがって、ホスホジエステラーゼは、ホルモン、光、および神経伝達物質などの一次メッセンジャーに対する幅広い範囲の重要な生物学的応答を調節する。2つのクラスのPDEがあり;クラスIが細胞質で見出されまたは全ての真核細胞の細胞内オルガネラもしくは膜に結合しているのに対し、クラスII PDEは十分には特徴付けされておらず、および下等な真核生物でしか見出されていない。cAMPおよびcGMP変換の制御を介する、クラスIホスホジエステラーゼによって制御される細胞応答には、ニューロンの応答、アルドステロン産生、血小板凝集の調節、インスリン調節、嘔吐、平滑筋伸張の調節、視覚の光伝達、およびT細胞応答性の調整が含まれる。ロリプラム、テオフィリン、およびシルデナフィルを含む、数多くの臨床的に重要な化合物は、ホスホジエステラーゼを抑制することが公知である。したがって、ホスホジエステラーゼの抑制剤は、創薬における重要な標的でもある。
【0004】
二次メッセンジャーcAMPはcAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)を活性化することが公知である。哺乳動物のホロPKAは、2つの調節サブユニットおよび2つの触媒サブユニットから構成される、四量体である。cAMPは調節サブユニットに結合し、それによってホロPKAをその触媒サブユニットおよび調節サブユニットに解離させる。ひとたび放出されると、遊離の触媒サブユニットは、多数の細胞タンパク質をリン酸化し、それによって筋収縮、細胞周期の活性化、転写活性の活性化、およびDNAプロセッシングなどの細胞機能の変化をもたらすことができる。
【0005】
GPCRの活性化または抑制およびその後のアデニリルシクラーゼの活性化または抑制は、細胞内cAMPの増加または減少を結果的にもたらすので、それらの活性に影響を及ぼす薬剤は創薬のための重要な標的である。Gタンパク質共役型受容体に関連する非常に多くの種類の生物学的過程のために、GPCRを標的する薬物は、世界中で販売されている医薬の多くを占めている。GPCRに影響する薬物の例として、アレルギー症状を緩和するのに用いられるClaritin(登録商標)およびAlavert(登録商標)(ロラタジン)、うつ病の緩和用のPaxil(登録商標)(パロキセチンHCl)、ならびに高血圧の緩和用のVasotec(登録商標)(マレイン酸エナラプリル)が含まれる。それらの重要性のために、主にcAMPレベルの増加または減少についてアッセイすることによって、これらの系構成要素に対するアゴニストおよびアンタゴニストの効果を決定するために、様々なGPCRアッセイが開発されている。これらの方法の限界には、複数の調合工程、長いインキュベーション時間、および高価な器具の必要性を必要とするノン-ホモジニアスアッセイが含まれる。
【0006】
したがって、必要とされるものは、現在利用可能な技術よりも少ない操作(例えば、2工程またはそれより少ない工程)を必要とするアッセイ、より短いインキュベーション時間(例えば、1時間未満)を提供するアッセイ、および高スループット系(HTS)能力を維持する一方で低価格の器具(例えば、発光に基づく器具)を利用するアッセイである。そのような合理化および費用有効性は、創薬のための標的のより速くかつより容易な評価を可能にする。さらに、発光に基づくアッセイは蛍光からの干渉を受ける傾向がなく;そのことは、次の潜在的な薬物を発見するための化学物質の大きなライブラリーをスクリーニングする際に有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一般に細胞解析ツールに関し、特に試料中の環状ヌクレオチド濃度を検出または決定するための方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
cAMPおよびcGMPなどの、環状ヌクレオチドは、細胞タンパク質と相互作用する多様な物質に応答して増加または減少する。本明細書において記載された方法は、そのような変化の検出を提供する。一つの態様において、本明細書において記載された方法は、環状ヌクレオチドを検出しおよび細胞タンパク質に対する刺激の効果と関連付けることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】Gタンパク質共役型受容体シグナリング経路を示す。Gタンパク質共役型受容体サブユニットGαsはアデニリルシクラーゼを刺激し、およびcAMPはATPから生成される。環状AMPはPKAの調節サブユニットに結合し、 PKAの基質をリン酸化する触媒サブユニットを放出する。逆に、抑制性GPCRサブユニットGαiはアデニリルシクラーゼを抑制し、それによってPKA基質のリン酸化が遮断される。ホスホジエステラーゼは、cAMPを、PKA調節サブユニットに結合しない、AMPに加水分解し、およびcGMPを、PKA調節サブユニットに結合しない、GMPに加水分解することによって、PKA基質リン酸化に影響を及ぼす。
【図2】cAMP濃度が増加する時に対応する試料発光の減少があるということを示すグラフである。
【図3】アデニリルシクラーゼの直接的刺激剤である、フォルスコリンの濃度が増加する時に試料発光の減少があるということを示すグラフである。
【図4】(A)アゴニストがD293細胞で発現したドーパミン受容体Dl(Gαs−タンパク質共役型受容体)を誘導する時に発光の減少があるということを示すグラフ、および(B)アゴニストの存在下での、ドーパミン受容体Dl発現D293細胞へのアンタゴニストの添加が発光の増加をもたらすということを示すグラフである。
【図5】cAMPの存在下でホスホジエステラーゼII濃度が増加する時に、 発光の増加があるということを示す。
【図6】環状ヌクレオチドがcAMPであるかcGMPであるかに関わらず、環状ヌクレオチド濃度が増加する時に発光は増加するが、親和性は異なるということを示す。
【図7】(A)cGMPの存在下でホスホジエステラーゼV濃度が増加する時に発光の増加があるということを示すグラフ、および(B)cGMPの存在下でホスホジエステラーゼVの抑制剤、ザプリナストが増加する時に発光の減少があるということを示すグラフである。
【図8】異なる哺乳動物細胞;A)ヒト胎児腎臓(HEK)293細胞およびB)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞由来の形質膜調製物におけるcAMP産生を示す。
【図9】1μgのDRD1-D293形質膜調製物を用いたフォルスコリンについてのEC50を示す。
【図10】ドーパミンの添加による活性化後の形質膜調製物におけるDl受容体活性化を示す。cAMP産生を測定することによってドーパミン受容体の活性化を評価した。
【図11】A)D2を安定にトランスフェクトしたD293細胞を用いた、10μMフォルスコリンの存在下でのアゴニスト、クインピロールによるドーパミンD2受容体の例示的な滴定、ならびにB)D2を安定にトランスフェクトしたD293細胞を用いた、100 nMクインピロールおよび10 uMフォルスコリンの存在下でのD2ドーパミンD2受容体アンタゴニスト、ラクロプライドの例示的な滴定を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一つの態様において、本明細書において記載された方法は、酵素を活性化するのに環状ヌクレオチド結合に依存する酵素(例えば、cAMP依存性タンパク質キナーゼ、またはPKA)への環状ヌクレオチドの結合をモニターする。例えば、ひとたびcAMPがPKAに結合すると、PKAはアデノシン三リン酸(ATP)から好適なPKA基質(例えば、ケンプチド(Kemptide))へリン酸を転移する。リン酸化事象を様々な公知の方法によって検出し、および各検出法の出力を試料中に存在する環状ヌクレオチドの量と関連付ける。好適な検出法として、発光、放射能、および蛍光に基づく方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
一つの態様において、試料中のアデニリルシクラーゼ活性を決定するための方法が提供される。該方法は、検出され得、測定され得、およびその後アデニリルシクラーゼ活性と関連付けられ得る活性を提供するためにPKAの活性化を利用する。例えば、アデニリルシクラーゼが刺激された場合、PKAを活性化するcAMPが産生され、その活性が検出されおよびアデニリルシクラーゼ活性と関連付けられる。
【0012】
別の態様において、試料中のホスホジエステラーゼ活性を決定するための方法が提供される。該方法は、検出され得、測定され得、およびその後ホスホジエステラーゼ活性と関連付けられ得る活性を提供するために、PKAの活性化を利用する。例えば、ホスホジエステラーゼが抑制された場合、cAMPがAMPに変換されずまたはcGMPがcGMPに変換されず、それゆえにcAMPおよびcGMPは、PKAを活性化することができ、その活性が検出されおよびホスホジエステラーゼ活性と関連付けられる。
【0013】
さらなる態様において、アゴニストによるGタンパク質共役型受容体(GPCR)の活性化、またはアンタゴニストによるその抑制をモニターするための方法が提供される。例えば、GPCRを含む試料へのアゴニストまたはアンタゴニストの添加によって見出されるcAMPのレベルをPKAの活性化を通じて検出および測定する。そのような活性(またはその欠如)を、cAMPのレベルまたは量と関連付けられる測定可能な出力によって検出する。
【0014】
一つの態様において、本明細書において記載されたような方法を実施する際に用いられる試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞などの原核生物または真核生物に由来する。幾つかの態様において、試料は形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。本明細書において記載されたような膜調製物は、膜調製物が膜と関連するプロセス、タンパク質、および受容体の完全性および機能性を維持するような予期せぬ結果を与えた(実施例9〜11)。これにより、通常の細胞ライセート中に見出される細胞ライセート構成要素を伴わずに、本明細書において記載されたような方法を用いて行なわれる標的膜機能アッセイが可能となる。
【0015】
測定可能な出力は、生物発光、化学発光、放射能、または異なる蛍光技術に基づく差次的な出力(例えば、蛍光偏光、蛍光共鳴エネルギー転移、および免疫アッセイ)の形態にあってもよい。一つの態様において、測定可能な出力は生物発光の形態にある。例えば、鞘翅目(ホタル)ルシフェラーゼ酵素は、ATPおよびその他の因子を利用して、甲虫ルシフェリンをオキシルシフェリンに変換し、反応の副産物が光である。ひとたびPKAが活性化されると、PKA活性化の量は存在するcAMPの量に依存し、PKAはATPからのリン酸を利用して受容基質をリン酸化し、それによってATPの濃度を試料中で減少させ、それによって発光、または光出力の減少をもたらす。そのように、試料中のcAMP濃度が増加するにつれ、初期試料中に存在するcAMP、アデニリルシクラーゼ、および/またはGPCR活性の量と関連付けられる発光に逆の減少が見られる。
【0016】
一つの態様において、本発明は、環状ヌクレオチドによって活性化され得る不活性酵素を試料に添加する工程、活性化された酵素の活性を検出しおよび検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびにシグナルに基づいて試料中に存在する環状ヌクレオチドの量を決定する工程を含む環状ヌクレオチドを含み得る試料を含む試料中の環状ヌクレオチドの量を決定するための方法を提供する。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は、形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。幾つかの態様において、環状ヌクレオチドはcAMPまたはcGMPである。幾つかの態様において、不活性酵素は、cAMP依存性タンパク質キナーゼまたはcGMP依存性タンパク質キナーゼである。幾つかの態様において、検出系は、PKAまたはPKGによってリン酸化されることができる基質を含む。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1を含む。幾つかの態様において、検出系は、ATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含み、酵素はルシフェラーゼである。幾つかの態様において、基質は、SEQ ID NO: 1をさらに含む放射性標識ビオチン化基質を含む。幾つかの態様において、検出系は、ストレプトアビジンをコーティングした結合表面をさらに含む。幾つかの態様において、基質は、SEQ ID NO: 1をさらに含む蛍光標識基質を含み、蛍光標識は好ましくはローダミンである。幾つかの態様において、本発明の方法は、1つもしくは複数のホスホジエステラーゼの抑制剤の添加、および/または試料中の環状ヌクレオチドの量に影響を及ぼすことができるアゴニストもしくはアンタゴニストの添加をさらに含む。幾つかの態様において、アゴニストまたはアンタゴニストは、アデニリルシクラーゼ活性および/またはGPCR活性および/またはPDE活性を調整する。
【0017】
一つの態様において、本発明は、cAMPによって活性化され得る不活性酵素を試料に添加する工程、活性化された酵素の活性を検出しおよび検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびにシグナルに基づいて試料中に存在するアデニリルシクラーゼ活性を決定する工程を含む、アデニリルシクラーゼを含み得る試料を含む試料中のアデニリルシクラーゼ活性を決定するための方法を提供する。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は、形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。幾つかの態様において、不活性酵素はcAMP依存性タンパク質キナーゼである。幾つかの態様において、検出系は、PKAによってリン酸化されることができる基質を含む。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1を含む。幾つかの態様において、検出系は、ATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含むことができ、酵素はルシフェラーゼである。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1をさらに含む放射性標識ビオチン化基質を含む。幾つかの態様において、検出系はストレプトアビジンをコーティングした結合表面を含む。幾つかの態様において、基質は、SEQ ID NO: 1をさらに含む蛍光標識基質を含み、蛍光標識は好ましくはローダミンである。幾つかの態様において、本発明の方法は、1つもしくは複数のホスホジエステラーゼの抑制剤の添加、および/またはアデニリルシクラーゼ活性に影響を及ぼすことができるアゴニストもしくはアンタゴニストの添加をさらに含む。
【0018】
一つの態様において、本発明は、cAMPによって活性化され得る不活性酵素を試料に添加する工程、活性化された酵素の活性を検出しおよび検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびにシグナルに基づいて試料中に存在するホスホジエステラーゼ活性を決定する工程を含む、ホスホジエステラーゼを含み得る試料を含む試料中のホスホジエステラーゼ活性を決定するための方法を提供する。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は、形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。幾つかの態様において、ホスホジエステラーゼは環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼである。幾つかの態様において、環状ヌクレオチドはcAMPまたはcGMPである。幾つかの態様において、不活性酵素はcAMP依存性タンパク質キナーゼまたはcGMP依存性タンパク質キナーゼである。幾つかの態様において、検出系は、PKAまたはPKGによってリン酸化されることができる基質を含む。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1を含む。幾つかの態様において、検出系は、ATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含むことができ、酵素はルシフェラーゼである。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1をさらに含む放射性標識ビオチン化基質を含む。幾つかの態様において、検出系はストレプトアビジンをコーティングした結合表面を含む。幾つかの態様において、基質は、SEQ ID NO: 1をさらに含む蛍光標識基質を含み、蛍光標識は好ましくはローダミンである。幾つかの態様において、本発明の方法は、1つまたは複数のホスホジエステラーゼ活性の抑制剤の添加をさらに含む。
【0019】
一つの態様において、本発明は、cAMPによって活性化され得る不活性酵素を試料に添加する工程、活性化された酵素の活性を検出しおよび検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびにシグナルに基づいて試料中に存在するGPCR活性を決定する工程を含む、GPCRを含み得る試料を含む試料中のGタンパク質共役型受容体活性を決定するための方法を提供する。幾つかの態様において、試料はライセート、より好ましくは哺乳動物細胞に由来するライセートを含む。幾つかの態様において、試料は形質膜を含む。幾つかの態様において、不活性酵素はcAMP依存性タンパク質キナーゼである。幾つかの態様において、検出系は、PKAによってリン酸化されることができる基質を含む。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1を含む。幾つかの態様において、検出系は、ATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含むことができ、酵素はルシフェラーゼである。幾つかの態様において、基質はSEQ ID NO: 1をさらに含む放射性標識ビオチン化基質を含む。幾つかの態様において、検出系はストレプトアビジンをコーティングした結合表面を含む。幾つかの態様において、基質は、SEQ ID NO: 1をさらに含む蛍光標識基質を含み、蛍光標識は好ましくはローダミンである。幾つかの態様において、本発明の方法は、1つもしくは複数のホスホジエステラーゼ活性の抑制剤の添加および/またはGPCRのアゴニストもしくはアンタゴニストの添加をさらに含む。
【0020】
一つの態様において、本発明は、環状ヌクレオチド、タンパク質キナーゼ、ATP、タンパク質キナーゼ基質、およびタンパク質キナーゼ基質を含む試料中で、環状ヌクレオチドの濃度を決定するためのキット、ならびにタンパク質キナーゼ基質の濃度を決定する際にキットを用いるための取扱説明書を提供する。幾つかの態様において、キットは発光検出系をさらに含む。幾つかの態様において、キットは蛍光検出系をさらに含む。幾つかの態様において、キットは放射性検出系をさらに含む。
【0021】
一つの態様において、本発明は、cAMPおよびcGMPのための基質、タンパク質キナーゼ、タンパク質キナーゼ基質、および環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性を決定する際にキットを用いるための取扱説明書を含む試料中の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性を決定するためのキットを提供する。幾つかの態様において、キットは発光検出系をさらに含む。幾つかの態様において、キットは蛍光検出系をさらに含む。幾つかの態様において、キットは放射性検出系をさらに含む。
【0022】
定義
本明細書において使用される場合、「試料」という用語は、その最も幅広い意味で使用される。ある意味において、生物学的試料および環境試料だけでなく、任意の供給源から得られる標本または培養物も含むことが意味される。生物学的試料は(ヒトを含む)動物から得られてもよく、ならびに体液、固形物、組織、および体内ガスを包含する。生物学的試料には、血液産物、細胞ライセート、および細胞ライセートの構成要素が含まれる。環境試料には、表面物質、土壌、水、結晶、および工業試料などの環境材料が含まれる。試料は、環状ヌクレオチド濃度を調整する物質を含んでもよく、または含まなくてもよい。しかしながら、そのような例は、本発明に適用できる試料の種類を限定するものとして解されるべきではない。
【0023】
本明細書において使用される場合、「アゴニスト」という用語は、受容体、酵素、またはその他のタンパク質の活性を刺激し得る任意の物質を指す。
【0024】
本明細書において使用される場合、「アンタゴニスト」という用語は、受容体、酵素、またはその他のタンパク質の活性を抑制し得る任意の物質を指す。
【0025】
本明細書において使用される場合、「基質」という用語は、酵素またはその他のタンパク質によって作用される任意のポリペプチドを指す。
【0026】
本明細書において使用される場合、「抑制剤」という用語は、酵素活性または生化学的反応を抑制する任意の化合物を指す。
【0027】
本明細書において使用される場合、「検出」という用語は、試料内の物質の存在または非存在を定性的または定量的に決定することを指す。例えば、本明細書に記載されたような検出の方法として、発光、放射能、および蛍光が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書において使用される場合、「ライセート」という用語は、その最も幅広い意味において、細胞膜がばらばらに破壊されるか、または溶解された時に細胞から放出される細胞破片および細胞液を指す。例えば、本明細書において記載されたように、本発明における有用性を見出すライセートには、細菌などの原核細胞由来のライセート、ならびに酵母、植物、および哺乳動物細胞ライセートなどの真核細胞由来のライセートが含まれるが、これらに限定されない。真核細胞溶解の産物である細胞破片には、オルガネラ(例えば、小胞体、核、リボソーム、ミトコンドリアなど)、微小管などの細胞構造構成要素、形質膜、オルガネラ膜、細胞膜、およびそれらと同様のものが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
一つの態様において、本発明の方法は、環状ヌクレオチドによる活性化によるタンパク質キナーゼの活性の変化をモニターすることによって、細胞タンパク質の調整をモニターすることを提供する。環状ヌクレオチドの細胞レベルは、シクラーゼと環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性の間のバランスを反映する(図1)。環状AMPは四量体PKAの調節サブユニットに結合する。環状GMPはcGMP依存性タンパク質キナーゼ、またはPKGの調節サブユニットに結合する。本発明は、特定の機構に限定されない。実際、機構の理解は本発明を実施するために必要ではない。とはいえ、cAMPがII型PKAの調節サブユニットに結合するだけでなく、cGMPもII型PKAの調節サブユニットに結合するということが見出された。したがって、ひとたびcAMPまたはcGMPがPKAの調節サブユニットに結合すると、PKA活性触媒サブユニットは、ATPから基質リン酸化部位へのリン酸の転移によってセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化することができる。そのように、PKA活性は、試料中に存在するcAMPまたはcGMPの量の指標としての役割を果たす。
【0030】
先に述べたように、シクラーゼおよびホスホジエステラーゼは試料中に存在する環状ヌクレオチドの量に直接影響する。例えば、アデニリルシクラーゼの活性化剤または抑制剤が存在する場合、cAMP濃度はそれぞれ増加または減少し、それによってPKA活性の増加または減少がもたらされると考えられる。グアニリルシクラーゼの活性化剤または抑制剤について、同じことが見出される。アデニリルシクラーゼはGPCRと関連するシグナリング経路の一部である。GPCRのアゴニストまたはアンタゴニストはアデニリルシクラーゼの活性、およびそれゆえにPKA活性に影響を及ぼすと考えられる。逆に、ホスホジエステラーゼはcAMPをAMPにおよびcGMPをGMPに加水分解し、そのためにこの酵素のアゴニストまたはアンタゴニストが試料中に存在する時に、環状ヌクレオチド濃度は、それぞれ減少または増加し、それによってPKA活性の減少または増加がもたらされると考えられる。そのように、本明細書において記載されたような方法は、cAMP、アデニリルシクラーゼ、cGMP、ホスホジエステラーゼ、およびGPCRの調整をモニターすることを提供する。
【0031】
試料中の環状ヌクレオチドのみが本方法のPKAを活性化することができるという事象を最大限に活かすために、本発明のPKAは可能な限り純粋なPKA II型ホロ酵素である(例えば、PKA調節サブユニットおよび触媒サブユニットが会合している)べきである。好ましくは、PKA II型ホロ酵素は、会合していない活性触媒サブユニットを実質的に含まない。PKAホロ酵素の純度は、対照と比較した場合のシクラーゼおよびGPCRの調整のモニタリングを可能にするのに十分であるべきである。同様に、PKGが本明細書に記載されたように用いられる場合、それは同様に会合していない活性触媒サブユニットを実質的に含まないべきである。本明細書において記載されたような方法を最大限に活かすために、本方法のために用いられるPKAホロ酵素は、<10%(>90%純粋)、好ましくは<5%(>95%純粋)、より好ましくは<1%(>99%純粋)、および最も好ましくは<0.1%(>99.9%純粋)の会合していない活性触媒サブユニットを含むべきである。会合していない活性触媒サブユニットのパーセンテージについて検討するためのアッセイは、例えば、PKAホロ酵素の被検試料の活性を不活化されたホロ酵素を含む対照試料の活性と比較するアッセイである。
【0032】
本発明の一つの態様は、試料中の環状ヌクレオチドの濃度を決定することを提供する。幾つかの態様において、本方法を用いて試料中のcAMPまたはcGMPの量を決定してもよい。本方法の試料は、細胞培地、緩衝溶液、細胞、および細胞ライセートを含むが、これらに限定されない。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。
【0033】
一つの態様において、試料中の環状ヌクレオチドの濃度を決定するために、本発明は、タンパク質キナーゼ、基質、およびATPを含む。幾つかの態様において、本発明は、環状ヌクレオチドがキナーゼの調節サブユニットに結合する時に、活性触媒サブユニットが基質をリン酸化する際にATPを利用することができるように、PKAまたはPKGを含む。幾つかの態様において、本発明は、PKAまたはPKGに対する親和性の増加を示すセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質を含む。幾つかの態様において、本方法は、ポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含む基質を含む。
【0034】
本方法を用いて試料のcAMP濃度を決定するのに用いられる検出法には、生物発光、化学発光、比色定量、放射能、または異なる蛍光技術に基づく差次的な出力の使用が含まれるが、これらに限定されない。一つの態様において、本明細書において記載された方法でキナーゼ活性を測定し、および任意の好適なキナーゼアッセイを用いることができる。例えば、公知のキナーゼアッセイとして、Kinase-Glo(商標)発光キナーゼアッセイ(Promega Corporation, Madison WI)およびPKLight(商標)HTSタンパク質キナーゼアッセイ(Cambrex, New Jersey)などの発光アッセイ、Kinome(商標)Hunter(DiscoverX, Fremont CA)およびHitHunter(商標)FPキナーゼアッセイ(DiscoverX, Fremont CA)およびProFluor(商標)PKAアッセイ(Promega Corporation, Madison WI)などの蛍光アッセイ、ならびにSignaTECT(登録商標)cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)アッセイ系(Promega Corporation, Madison WI)などの放射能アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
異なる発光検出法は、PKA活性に関して異なる発光出力のパターンを示すということが企図される。一つの態様において、発光検出法は、キナーゼ活性を検出する方法である。幾つかの態様において、本明細書に記載されたような発光検出法は、酵素、基質、および適切な緩衝剤を含む。幾つかの態様において、本発明は、生物発光によってcAMP濃度の変化を検出する。幾つかの態様において、本発明は、ルシフェラーゼを利用することによってcAMP濃度の変化を検出する。幾つかの態様において、本発明は、鞘翅目のルシフェラーゼを利用することによってcAMP濃度の変化を検出する。例えば、環状ヌクレオチドがPKAの調節サブユニットに結合する際、触媒サブユニットは基質リン酸化のためにATPを利用することができ、およびATPは枯渇する。鞘翅目のルシフェラーゼ酵素は、ATPおよびその他の補因子を利用して、そのコグネート(cognate)基質であるルシフェリンをオキシルシフェリンに変換し、反応の副産物が発光、または光である。試料中のATPが減少するにつれ、ルシフェラーゼがあまり利用できなくなり、および発光の減少が見られる。発光出力(相対光単位またはRLU)を用いて対照の発光の変化と比べた試料の発光の変化を検出する。その他の発光検出法は、PKA活性に関して差次的な光出力を示してもよい。
【0036】
一つの態様において、本発明は、試料中の環状ヌクレオチド濃度を放射性手段によって決定する検出系を提供する。異なる放射性検出法は、PKA活性に関して異なる放射性出力のパターンを示してもよい。幾つかの態様において、放射性検出法はキナーゼ活性を検出するための方法である。幾つかの態様において、本明細書において記載されたような放射性検出法は、修飾基質、好適な緩衝剤、および修飾基質を捕捉することができる表面を含む。幾つかの態様において、放射能による方法はSignalTECT(商標登録)cAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)アッセイ(Promega Corporation, Madison, WI)を含む。幾つかの態様において、放射性検出方法は放射性ATPを含む。幾つかの態様において、放射性検出法は、γ32P-ATPまたはγ33P-ATPを含む。
【0037】
一つの態様において、放射性検出法は、PKAによってリン酸化されることができる基質をさらに含む。幾つかの態様において、放射性検出法は、リガンドと会合したPKAによってリン酸化されることができる基質をさらに含む。幾つかの態様において、放射性検出法は、ポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含むビオチン化基質を含む。幾つかの態様において、本明細書に記載されたような検出法は、基質/リガンドを捕捉する化合物が存在する表面をさらに含む。例えば、表面は、ストレプトアビジンでコーティングされている膜である。環状ヌクレオチドがPKAの調節サブユニットに結合する際、触媒サブユニットは放射性標識されたATPを利用しおよび放射性リン酸を基質に転移し、それによって基質が放射性であるようにする。放射性リガンドが連結された基質は、リガンドを捕捉すると考えられる化合物(例えば、ストレプトアビジン)が存在する表面で捕捉される。幾つかの態様において、余分な放射能がないよう表面を洗浄し、および捕捉表面に捕捉された放射能を測定する。放射性出力(単位時間当たりのカウント)を用いて対照の放射能の変化と比べた試料の放射能の変化を検出する。
【0038】
一つの態様において、本発明は、試料中の環状ヌクレオチド濃度を蛍光手段によって決定する検出系を提供する。異なる蛍光検出法はPKA活性に関して異なる蛍光出力のパターンを示してもよい。一つの態様において、蛍光検出法はキナーゼ活性を検出するための方法である。幾つかの態様において、本発明の蛍光検出法は、酵素、修飾基質、および好適な緩衝剤を含む。幾つかの態様において、蛍光法はProFluor(商標)PKAアッセイ(Promega Corporation, Madison, WI)を含む。一つの態様において、本発明の蛍光検出方法はフルオロフォアを含む。幾つかの態様において、蛍光検出法はフルオロフォア ローダミン-110を含む。
【0039】
一つの態様において、本明細書において記載されたような蛍光検出法は基質をさらに含む。幾つかの態様において、蛍光検出法の基質はポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含む。幾つかの態様において、蛍光検出法は酵素を含む。幾つかの態様において、本明細書において記載されたような蛍光検出法の酵素はプロテアーゼである。幾つかの態様において、蛍光検出法のプロテアーゼは、基質がリン酸化されていない場合に、基質を消化することができる。
【0040】
一つの態様において、蛍光検出法はフルオロフォアと会合した基質を含む。幾つかの態様において、蛍光検出法は、フルオロフォアが基質と会合している時に、基質との会合がないフルオロフォアと比較した場合に蛍光の減少があるように、フルオロフォアと会合した2つの基質を含む。例えば、環状ヌクレオチドがPKAの調節サブユニットに結合している時に、触媒サブユニットはコグネート基質をリン酸化することができる。蛍光検出法の基質は、基質に結合した時にフルオロフォアが蛍光の減少を示すようにフルオロフォアに連結されている。本明細書において記載されたようなプロテアーゼは、リン酸化の時点まで基質を消化する。したがって、試料中の環状ヌクレオチド濃度が増加する場合、より多くの基質がリン酸化されると考えられ、および蛍光は低いままであると考えられる。逆に、試料中の環状ヌクレオチド濃度が低い場合、より少ない基質がリン酸化されると考えられ、非リン酸化基質のプロテアーゼ消化が完結し、その結果フルオロフォアが放出され、かつ蛍光が増加すると考えられる。蛍光出力(相対蛍光単位)を検出し、および対照の蛍光の変化と比べた試料の蛍光の変化を決定する。
【0041】
一つの態様において、本発明は、試料中の環状ヌクレオチド濃度を決定し、および環状ヌクレオチド濃度を試料中のシクラーゼ活性と関連付けることを提供する。一つの態様において、検出される環状ヌクレオチドはcAMPまたはcGMPである。本方法の試料は、細胞培地、緩衝溶液、細胞、および細胞ライセートを含むが、これらに限定されない。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。幾つかの態様において、本発明のシクラーゼは、アデニリルシクラーゼおよびグアニリルシクラーゼからなる群より選択される。一つの態様において、本発明のシクラーゼはアデニリルシクラーゼである。幾つかの態様において、本発明を用いてアデニリルシクラーゼ活性に対する影響を有する物質を発見する。例えば、本発明の方法を用いて、アデニリルシクラーゼ活性を刺激する(例えば増加させる)かまたは抑制する(例えば減少させる)かのいずれかである物質を発見する。アデニリルシクラーゼ活性を刺激する物質の例として、フォルスコリン、ならびに7-デアセチル-フォルスコリン、6-アセチル-7-デアセチル-フォルスコリン、および7-デアセチル-7-O-ヘミスクシニル-フォルスコリンなどのフォルスコリン誘導体が含まれるが、これらに限定されない。アデニリルシクラーゼ活性を抑制する物質の例として;9-(テトラヒドロフリル)-アデニン、2',5'-デオキシアデノシン、および9-(シクロペンチル)-アデニンなどの細胞透過性抑制剤;基質類似体であるβ-L-2',3'-デオキシ-アデノシン-5'-三リン酸、β-L-アデノシン 5'-三リン酸、およびアデノシン 5'-(βγ-メチレン)-三リン酸などの競合的抑制剤;9-(アラビノフラノシル)-アデニン、9-(キシロフラノシル)-アデニン、および2',5'-デオキシアデノシン 3'-四リン酸などの非競合的抑制剤;シス-N-(2-フェニルシクロペンチル)アザシクロトリデカ-1-エン-2-アミン、9-(2-ジホスホリルホスホニルメトキシエチル)アデニン、およびポリアデニリルなどのその他の抑制剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
一つの態様において、アデニリルシクラーゼ活性に対する物質の影響を決定するために、本発明の方法は、タンパク質キナーゼ、基質、およびATPを含む。幾つかの態様において、本方法は、環状ヌクレオチドがキナーゼの調節サブユニットに結合し、およびセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化する際にATPを利用することができる活性触媒サブユニットを放出するようなcAMP依存性タンパク質キナーゼ(PKA)を含む。幾つかの態様において、本方法は、PKAの遊離の触媒サブユニットに対する親和性の増加を示すセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質を含む。幾つかの態様において、本方法は、ポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含む基質を含む。アデニリルシクラーゼは、ATPからcAMPを生成させ、それゆえにアデニリルシクラーゼ活性に影響を及ぼす物質は試料中のcAMPの濃度に影響を与える。検出法は先の態様において記載されており、かつそれらの検出法はここで同等に適用可能である。例えば、物質が試料中のアデニリルシクラーゼの活性に影響を及ぼす時に、cAMP濃度が増加または減少すると考えられ、それがPKAによる基質リン酸化の増加または減少をもたらすと考えられる。先に記載されたような検出法出力を用いて、対照のアデニリルシクラーゼ活性の増加または減少と比べた試料のアデニリルシクラーゼ活性の増加または減少と関連付けられるcAMP濃度の増加または減少を決定する。したがって、アデニリルシクラーゼのアゴニストが試料中に存在し、それによってアデニリルシクラーゼ活性が刺激される時、使用する検出法の出力に反映されるcAMP産生の増加がある。逆に、アデニリルシクラーゼのアンタゴニストが試料中に存在し、それによってアデニリルシクラーゼ活性が抑制される場合、使用する検出法の出力に反映される、cAMP産生の減少がある。
【0043】
一つの態様において、本発明は、試料中の環状ヌクレオチドの濃度を決定し、および環状ヌクレオチド濃度とホスホジエステラーゼ活性を関連付ける。幾つかの態様において、検出される環状ヌクレオチドはcAMPまたはcGMPである。幾つかの態様において、cGMPが検出に用いられる環状ヌクレオチドである場合、試料はcAMPと比べて過剰のcGMPを有する。幾つかの態様において、cGMPが検出に用いられる環状ヌクレオチドである時、ホスホジエステラーゼIV(cAMP特異的ホスホジエステラーゼ)が試料中に存在する。幾つかの態様において、本発明の試料には、細胞培地、緩衝溶液、細胞、および細胞ライセートが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。
【0044】
一つの態様において、ホスホジエステラーゼは環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼである。幾つかの態様において、PKAのcAMP活性化を検出する時に、決定される環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性は、ホスホジエステラーゼII、ホスホジエステラーゼIII、およびホスホジエステラーゼIVからなる群由来である。幾つかの態様において、PKAのcGMP活性化を検出する時に、決定される環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性は、ホスホジエステラーゼII、ホスホジエステラーゼIII、ならびにホスホジエステラーゼIVおよびホスホジエステラーゼVからなる群由来である。幾つかの態様において、本発明の方法を用いて、ホスホジエステラーゼ活性に対する影響を有する物質を発見する。幾つかの態様において、本発明の方法を用いて、ホスホジエステラーゼ活性を刺激する(例えば増加させる)かまたは抑制する(例えば減少させる)かのいずれかである物質を発見する。ホスホジエステラーゼII活性を抑制する物質の例として、エリスロ-9-(2-ヒドロキシ-3-ノニル)アデニンが含まれるが、これに限定されない。ホスホジエステラーゼIII活性を抑制する物質の例として、1,6-ジヒドロ-2-メチル-6-オキソ-(3,4'-ビピリジン)-5-カルボニトリル、1,3-ジヒドロ-4-メチル-5-(4-メチルチオベンゾイル)-2H-イミダゾール-2-オン、および塩酸トレキシン(Trequisin hydrochloride)が含まれるが、これらに限定されない。ホスホジエステラーゼIV活性を抑制する物質の例として、4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]-2-ピロリジノン、4-(3-ブトキシ-4-メトキシベンジル)イミダゾリジン-2-オン、および1-エチル-4-[91-メチルエチリデン-ヒドラジノ]1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-カルボン酸エチルエステルヒドロクロライドが含まれるが、これらに限定されない。ホスホジエステラーゼV活性を抑制する物質の例として、1,4-ジヒドロ-5-(2-プロポキシフェニル)-7H-1,2,3-トリアゾロ(4,5-d-ピリミジン-7-オン(ザプリナスト)、ジピリダモル、および1-[4-エトキシ-3-(6,7-ジヒドロ-1-メチル-7-オキソ-3-プロピル-1H-ピラゾロ[4,3-d]ピリミジン-5-イル-フェニルスルフォリル]-4-メチルピペラジンシトレートが含まれるが、これらに限定されない。環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの非選択的抑制剤である物質の例は、3-イソブチル-1-メチルキサンチンである。
【0045】
一つの態様において、ホスホジエステラーゼ活性に対する物質の影響を決定するために、本発明は、環状ヌクレオチド、タンパク質キナーゼ、基質、およびATPを含む。幾つかの態様において、本発明は、cAMPまたはcGMPのいずれかの、環状ヌクレオチドが、放出されおよびセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化する際にATPを利用することができるようになるキナーゼの調節サブユニットに結合するようなPKAを含む。幾つかの態様において、本発明は、cAMP依存性タンパク質キナーゼに対する親和性の増加を示すセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質を含む。幾つかの態様において、本発明は、ポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含む基質を含む。
【0046】
ホスホジエステラーゼは、環状ヌクレオチドである、cAMPをAMPに、およびcGMPをGMPに加水分解する。検出法は、先の態様において記載されており、およびそれらの検出法はここで同等に適用可能である。例えば、物質が試料中のホスホジエステラーゼの活性を調整する際、環状ヌクレオチド濃度は増加または減少し、それによってPKAによる基質リン酸化の増加または減少がもたらされる。本明細書において記載されたような検出法出力を用いて、対照のホスホジエステラーゼ活性の減少または増加と比べた試料のホスホジエステラーゼ活性の減少または増加と関連付けられる環状ヌクレオチド濃度の増加または減少を決定する。したがって、ホスホジエステラーゼのアゴニストが試料中に存在し、それによってホスホジエステラーゼ活性が刺激される時、使用する検出法の出力に反映される、cAMPのAMPへのまたはcGMPのGMPへの加水分解の増加がある。逆に、ホスホジエステラーゼのアンタゴニストが試料中に存在し、それによってホスホジエステラーゼ活性が抑制される場合、使用する検出法の出力に反映される、cAMPのAMPへのまたはcGMPのGMPへの加水分解の減少がある。
【0047】
一つの態様において、本明細書に記載されたような方法は、試料中の環状ヌクレオチドの濃度を決定し、および環状ヌクレオチド濃度とGタンパク質共役型受容体(GPCR)活性を関連付ける。幾つかの態様において、検出される環状ヌクレオチドは、cAMPまたはcGMPである。幾つかの態様において、本発明の試料は、細胞培地、緩衝溶液、細胞、および細胞ライセートを含むが、これらに限定されない。幾つかの態様において、試料はライセートを含む。幾つかの態様において、試料ライセートは、細菌、酵母、または哺乳動物細胞に由来する。幾つかの態様において、試料は形質膜、細胞膜、および/またはオルガネラ膜を含む。幾つかの態様において、本発明を用いてGPCR活性に対する影響を有する物質を発見する。幾つかの態様において、本発明の方法を用いて、GPCR活性を刺激する(例えば増加させる)かまたは抑制する(例えば減少させる)かのいずれかである物質を発見する。完全な形で本明細書に組み入れられる、Hermans, E., 2003, Pharmacology & Therapeutics 99:25-44の中にGタンパク質共役型受容体の代表的なリストを見出すことができる。GPCRの例として、ドーパミン受容体D1(SEQ ID NO: 2)(米国特許第5,389,543号)およびβ-2-アドレナリン作動性受容体およびプロスタグランジンE1受容体が含まれるが、これらに限定されない。ドーパミン受容体D1(SEQ ID NO: 2)活性を増加させる物質の例として、ドーパミン、アポモルフィン、1-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-(1H)-3-ベンザゼピン-7,8-ジオール(SKF 38393)および6-クロロ-7.8-ジヒドロキシ-3-アリル-1-フェニル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-3-ベンザゼピンヒドロブロマイド(SKF 82958)が含まれるが、これらに限定されない。その他のドーパミン受容体として、D2、D3、D4、およびD5受容体が含まれるが、これらに限定されない。β-2-アドレナリン作動性受容体の活性を増加させる物質の例として、イソプロテレノールが含まれるが、これに限定されない。プロスタグランジンE2受容体の活性を増加させる物質の例として、CP-533,536が含まれるが、これに限定されない。その他のプロスタグランジン受容体として、EP1、EP3、およびEP4が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
一つの態様において、GPCR活性に対する物質の影響を決定するために、本発明の方法は、環状ヌクレオチド、タンパク質キナーゼ、基質、およびATPを含む。幾つかの態様において、本発明は、環状ヌクレオチドがキナーゼの調節サブユニットに結合し、および活性触媒サブユニットがセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化する際にATPを利用することができるようなPKAを含む。幾つかの態様において、本発明は、そのサブユニットへの環状ヌクレオチドの結合によって、触媒サブユニットのキナーゼ活性が生み出され、およびセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化するのにATPを利用するPKAを含む。幾つかの態様において、本発明は、その調節サブユニットへの環状ヌクレオチドの結合によって、触媒サブユニットのキナーゼ活性が生み出され、およびセリン/スレオニンタンパク質キナーゼ基質をリン酸化するのにATPを利用する、PKAを含む。幾つかの態様において、基質はポリペプチド配列LRRASLG(SEQ ID NO: 1)を含む。
【0049】
Gタンパク質共役型受容体は、細胞の外側から内側へのシグナリングに関与する膜内在性タンパク質である。GPCR機能不全によって引き起こされる多くの疾患があり、したがって本発明の方法が、物質がGPCR活性に対する影響を有するかどうかを明確にすることができることは、学問的および臨床的の両方で重要である。物質がGタンパク質共役型受容体を刺激するかまたは抑制するかのいずれかである場合、会合したアデニリルシクラーゼが影響を及ぼされ、その活性はそれぞれ、増加または減少すると考えられる。アデニリルシクラーゼ活性がGPCRを介した刺激または抑制によって調整される時に、cAMPに変換されるATPの量は影響を及ぼされ、それによってPKAの調節サブユニットと会合するのに利用可能であるcAMPの量が制御され、それによって今度は試料中で生じる基質リン酸化の量が制御される。
【0050】
検出法は、先の態様において記載されており、かつそれらの検出法はここで同等に適用可能である。物質が試料中のGPCRの活性に影響を及ぼす際、環状ヌクレオチド濃度がそれに従って変化し、それによってPKAによる基質リン酸化の増加または減少がもたらされる。検出法出力を用いて、対照のGPCR活性の増加または減少と比べた試料のGPCR活性の増加または減少と関連付けられるcAMP濃度の増加または減少を決定する。したがって、Gαsに共役しているGPCRのアゴニストが試料中に存在する場合、アデニリルシクラーゼ活性は刺激され、使用される検出法の出力に反映される、cAMP生成の増加をもたらす。
【0051】
逆に、Gαsに共役しているGPCRのアンタゴニストが試料中に存在する場合、アデニリルシクラーゼ活性は抑制され、および使用される検出法の出力に反映されるcAMP生成の減少がある。Gαiに共役したGPCRのアゴニストが試料中に存在する場合、アデニリルシクラーゼ活性は抑制され、使用される検出法の出力に反映されるcAMP生成の減少をもたらす。Gαiに共役したGPCRのアンタゴニストが試料中に存在する場合、アデニリルシクラーゼ活性は抑制されず、したがってcAMP生成の増加が実現される可能性があり、および使用される検出法の出力に反映される。
【0052】
一つの態様において、本発明は、本明細書において記載されたような任意の方法を実行するための1つまたは複数の試薬を含むキットを提供する。幾つかの態様において、試薬は本明細書において記載されたような方法を実行するのに十分である。幾つかの態様において、キット試薬には、対照、取扱説明書、緩衝剤、データ解析用のソフトウェア、本明細書において記載されたような検出法を実施するための器具、本明細書において記載されたような方法を実施するための1つまたは複数の試薬を含む1つまたは複数の容器、および組織培養細胞が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、キットはcAMPまたはcGMPなどの、環状ヌクレオチドを含む。幾つかの態様において、キットはPKAおよびPKGなどの酵素を含む。幾つかの態様において、キットは細胞溶解緩衝剤または細胞溶解溶液を含む。幾つかの態様において、キットは反応緩衝剤を含む。幾つかの態様において、キットは、凍結乾燥されているかまたは溶液中にあるかのいずれかの、タンパク質キナーゼ基質を含む。幾つかの態様において、キットは、特定の検出系または検出法、例えば、発光検出系、蛍光検出系、または放射性検出系に適した緩衝剤および試薬を含む。
【0053】
本明細書において利用される術語は、説明の目的のためのものであり、および限定的であるとみなされるべきではない。さらに、本明細書において記載されたような態様は、本キット、方法、および組成物を用いることによって実施されることの例示的なものである。それらは、限定的であるよう意図されず、および当業者はその中に具体化される同等物を正しく理解すると考えられる。
【0054】
実施例
以下の実施例は、本発明のある種の好ましい態様および局面を示しおよびさらに例証するために提供され、ならびにその範囲を限定するものと解されるべきではない。
【0055】
実施例1−哺乳動物細胞の培養
そうでないように述べられない限り、哺乳動物細胞HEK D293(ヒト胎児腎臓)を全ての細胞培養関連実験について以下のやり方で培養した。ポリ-D-リジンをコーティングした96ウェルの白い、透明な底の組織培養プレート(BD BioCoat(商標)Poly-D-Lysine Multiwell(商標)プレート)の中に5〜10,000細胞/ウェルの密度で細胞を播種した。細胞培地は、10%胎仔ウシ血清(FBS)、1Uペニシリン、および1mg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコの改変イーグルス培地(DMEM)からなった。ドーパミン受容体D1を安定に発現する細胞株については、選択および維持目的のために500μg/mlのネオマイシンを培養培地に添加した。それらがトランスフェクション、誘導、またはその他の細胞操作が行なわれる時点で60〜75%コンフルエントになるまで、細胞を37℃/5% CO2でおよそ24時間増殖させた。
【0056】
実施例2−cAMP濃度の決定
この実験は、本発明を用いて試料中のcAMP濃度を決定することができるということ、および試料のcAMP濃度を決定する際に多様な検出技術と共に本発明を用いることができるということを示すために実行された。
【0057】
ポリ-D-リジンをコーティングした、白い、透明な底の96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0058】
2×誘導緩衝剤(240mM NaCl、7.0mM KCl、3.0mM CaCl2、2.4mM MgSO4、2.4mM NaH2PO4、50mM NaHCO3、20mMグルコース、200μM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)、100μM 4-(3-ブトキシ-4-メトキシベンジル)イミダゾリジン-2-オン(RO 201724)中の25μMから始めたcAMPの3倍連続希釈を作製し、および10μlの各希釈を96ウェルプレートの別々のウェルに移した。各cAMP希釈ウェルに、10μlの2×誘導緩衝剤および60μlのPKA/基質試薬(100ng/ウェル ホロ酵素-R-IIαタンパク質キナーゼA(BIAFFIN GmbH & Co., Kassel, Germany), 25μM ケンプチド, 1μM rATP, 20mM MgCl2)を添加した。試料プレートを室温で20分間インキュベートし、その後80μlのKinase-Glo(商標)試薬(Promega Corporation, Madison, WI)を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を読み取り、ならびに出力を相対光単位(RLU、n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版(GraphPad Software, San Diego, CA)を用いてcAMP濃度に対してプロットした。
【0059】
図2で見ることができるように、cAMP濃度が増加する時に発光は減少する。SignaTECT(登録商標)PKAアッセイ系(放射能カウント, Promega Corporation, Madison, WI)およびProFluor(商標)PKAアッセイ系(相対蛍光, Promega Corporation, Madison, WI)の両方を用いた場合、同じ逆の応答が見られた。したがって、本発明および標準曲線を用いて、未知試料中でcAMP濃度を推定することができる。同様に、この標準曲線を用いて、アゴニストまたはアンタゴニストで処置した細胞の細胞抽出物中のcAMPの濃度を推定することができる。
【0060】
実施例3−フォルスコリンの存在下でのアデニリルシクラーゼ活性化のモニタリング
ポリ-D-リジンをコーティングした、白い、透明な底の96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0061】
2×誘導緩衝剤中の250μMフォルスコリンの2倍連続希釈を作製した。D293細胞を実施例1で記載されたようなコンフルエンシーまで増殖させた。培地を培養細胞から除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、および10μlの各フォルスコリン希釈を96ウェルD293細胞培養プレートのウェルに添加した。数個のD293細胞のウェルにフォルスコリンなしの10μlの2×誘導緩衝剤を添加することによって、対照を含んだ。フォルスコリンありおよびフォルスコリンなしの細胞を15分間室温でインキュベートし、その後10μlの2×溶解緩衝剤(80mM Tris-HCl、pH 7.5、2mM EDTA、pH 8.0、2mM EGTA、pH 7.2、0.4% Tergitol(登録商標)NP-9、20%グリセロール、100mM NaF、200uM Na3VO4、400uMロイペプチン、40ug/mlアプロチニン、400uM 1-クロロ-3-トシルアミド-7-アミノ-2-ヘプタノン(TLCK)、400uM 1-クロロ-3-トシルアミド-4-フェニル-2-ブタノン(TPCK)、200uM 4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルフォニルフルオライド-HCl(ABSF)、200uM IBMX、および4uM rATP(TPCKを最後に添加し、TPCKを添加する前に緩衝剤をボルテックスして沈殿を避けおよび溶解緩衝剤を氷上で保持する)を添加した。細胞を4℃で15〜30分間溶解させ、および完全な溶解を顕微鏡評価によって確かめた。溶解後、60μlのPKA/基質試薬を各ウェルに添加し、および反応物をさらに20分間室温でインキュベートし、その後80μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を読み取り、ならびに出力を相対光単位(RLU、n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてフォルスコリン濃度に対してプロットした。
【0062】
図3で示されるように、フォルスコリン濃度が増加する時に発光は減少し、それによって本発明を用いてアデニリルシクラーゼ活性の増加を検出することができるということが示された。フォルスコリンがアデニリルシクラーゼを直接刺激し、ATPからcAMPを生成させる時に、cAMPが今度はPKAの調節サブユニットに結合し、それによって活性PKA触媒サブユニットが放出され、それが今度はATPを用いてケンプチド基質をリン酸化する。ケンプチドのリン酸化が増加する時に、Kinase-Glo(商標)試薬中のルシフェラーゼ酵素によって用いられる利用可能なATPがより少なくなり、発光の減少がもたらされる。アデニリルシクラーゼに対するフォルスコリンのこの効果は図3で見られ、フォルスコリン濃度が増加する時に発光の減少と関連付けられるアデニリルシクラーゼ活性が増加する。したがって、本発明は、cAMPを利用して刺激剤によるアデニリルシクラーゼの誘導をモニターすることができる。
【0063】
実施例4−アゴニストおよびアンタゴニストに応答したドーパミン受容体D1活性のモニタリング
実験は、本発明が、哺乳動物細胞における、Gαs共役型受容体である、GPCRドーパミン受容体D1(DRD1)に対するアゴニストおよびアンタゴニストの効果を決定することができることを示すために実行された。
【0064】
標準的な分子生物学的技術を用いて、DRD1を安定に発現するD293細胞株を創出した。簡潔に述べると、DRD1(Genbank NM000794)をコードする遺伝子を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いてcDNAを含むベクター(ATCC、HGR213-1)から増幅し、および製造元のプロトコル(Promega Corporation, TM044)に従ってpTarget(商標)哺乳動物発現ベクターにクローニングした。細胞を実施例1と同様に増殖させ、および播種24時間後に細胞にpTarget-DRD1をトランスフェクトした。トランスフェクションの1日後、細胞をトリプシン処理しおよび様々な希釈で再びプレーティングし、ならびに500μg/mlの選択薬物ネオマイシンを含む新鮮な培地を適用した。薬物耐性クローンが創出されたことが明白であるまで培地を2〜3日毎に変えた。数個のネオマイシン耐性クローンをさらなる特徴解析のために選択し、およびドーパミン受容体D1応答について検討した。最も高い応答を示すクローンを拡大し、および凍結ストックを創出した。クローニングした細胞株のうちの1つをその後の検討に用いた。
【0065】
10μMストック濃度のアゴニスト、ドーパミン、SKF 38393、アポモルフィン、およびSKF 82958の3倍希釈を2×誘導緩衝剤中で希釈した。アンタゴニストSCH 23390を検討するために、アンタゴニストSCH 23390(5uM)の2倍連続希釈も100nMのアゴニストSKF 38393を含む2×誘導緩衝剤中で作製した。
【0066】
ポリ-D-リジンをコーティングした、白い、透明な底の96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0067】
DRD1を発現するD293安定細胞を実施例1で記載されたように播種した。翌日、細胞をPBSで3回洗浄し、および10μlの各アゴニスト希釈を特定のウェルに添加した。対照反応用に、アゴニストなしの10μlの2×誘導緩衝剤を用いた。誘導を室温で30分間進行させ、その時点で10μlの2×溶解緩衝剤を各ウェルに添加した。溶解にはおよそ20〜30分かかり、および完全な溶解を顕微鏡評価によって確かめた。ひとたび細胞が完全に溶解すると、60μlのPKA/基質試薬を添加し、および反応物を室温でさらに20分間インキュベートした。インキュベーション後、80μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加し、および室温で10分のインキュベーション後に発光を読み取った。出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてアゴニスト濃度に対してプロットした。図4Aは、アゴニスト濃度が増加する時に発光シグナルが減少し、それによってDRD1を含む細胞のアデニリルシクラーゼに対する各アゴニストの誘導効果が示されるということを示す。様々なアゴニストについての異なるEC50値によって図4Aで示されたように、各アゴニストはDRD1活性に対して異なる効果を有する。
【0068】
アンタゴニストによる抑制を検討するために、室温で30分間インキュベートした、100nMのアゴニストSKF 38393の存在下で10μlのアンタゴニストSCH 23390希釈と共にDRD1を発現するD293安定細胞をインキュベートした。PKA/基質試薬およびKinase-Glo(商標)試薬の添加ならびにその後のインキュベーションおよび読み取りを上記のように実行した。
【0069】
出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてアゴニスト濃度に対してプロットした。図4Bは、アンタゴニスト濃度が増加する時に発光シグナルが同様に減少するということを示す。この増加は、アゴニストSKF 38393に対するSCH 23390の拮抗的影響によるアデニリルシクラーゼの抑制による。したがって、本発明は、Gαs経路に共役したGPCRのアデニリルシクラーゼ構成要素に対するアゴニストおよびアンタゴニストの効果をモニタリングする際の利用を見出す。
【0070】
実施例5−PDE活性とcAMPおよびcGMPの相関
実験は、PKAが環状ヌクレオチドおよびコグネート環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの存在下でcAMPおよびcGMP濃度の変化をモニターすることができることを示すために実行された。実験はまた、環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの活性化剤または抑制剤の存在下でPDE活性の変化をモニターするために実行された。
【0071】
白い96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0072】
IBMXおよびRO 201724のない2×誘導緩衝剤中で1/10量ずつ1mUストックを希釈する(1mU、0.9mU、0.8mUなど)ことによって、cAMPをAMPに加水分解する、ウシ脳ホスホジエステラーゼII(Sigma, PDE II)の連続希釈を創出した。50mM Tris HCl、pH 7.5、10mM MgCl2、50μM CaCl2、0.1mg/ml BSA、20μMカルモジュリン(CaM)、および0.5または1.0μM cAMPを含む12.5μlの溶液に各希釈の12.5μlアリコートを添加し、25μlの全容量が96ウェルの白いプレート中にあった。酵素反応物を室温で15分間インキュベートし、ならびに12.5μlの停止緩衝剤(40mM Tris HCl pH 7.5、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、375μM IBMX、および4μM ATP)の添加によって反応を終結させた。IBMX溶液の添加後、25μlのPKA/基質試薬を添加し、反応物をさらに20分間インキュベートし、および50μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を測定し、ならびに出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてPDE濃度に対してプロットした。図5で見られるように、増加するPDE II濃度と共に発光は増加し、cAMP濃度に対するPDE IIの効果を示した。PDE IIによってcAMPがAMPに加水分解される時に、cAMP濃度は減少し、それによって発光の増加がもたらされる。
【0073】
cGMPがPKAを活性化することができることを示すために、本アッセイ系を用いてcAMPおよびcGMPの並列滴定を行なった。cAMPおよびcGMP(両方とも40μMの初期濃度)の2倍連続希釈をATPおよびIBMXを含まないが、2μM ATPを補充した停止緩衝剤中で作製した。25μlの希釈を白い96ウェルプレートの中に分注し、その後100ng/ウェル ホロ酵素-R-IIαタンパク質キナーゼA、20μM ケンプチド、40mM Tris HCl pH 7.5、20mM MgCl2、および0.1mg/ml BSAを含む25μlのPKA/基質試薬を添加した。反応物を室温で20分間インキュベートさせ、および50μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加し、その後さらに10分のインキュベーションを行なった。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を測定し、ならびに出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いて環状ヌクレオチド(cNMP)濃度に対してプロットした。図6で示されるように、環状ヌクレオチド濃度が増加する時に相対光単位は減少する。図6は、cAMPの親和性よりも低い親和性でではあるが、cGMPがPKAの調節サブユニットに結合することができ、それによって活性触媒サブユニットが放出されることを示す。
【0074】
実施例6−cGMP-PDE(PDE V)活性のモニタリング
25μlの全容量で50mM Tris HCl pH 7.5、10mM MgCl2、0.5mM EGTA、0.1mg/ml BSA、および5μM cGMPを含む溶液中で50U濃度から始めたホスホジエステラーゼPDE Vの連続希釈を創出した。酵素反応を室温で60分間進行させ、その後12.5μlの停止緩衝剤を添加した。100ng/ウェル ホロ酵素-R-IIαタンパク質キナーゼA、40μM ケンプチド、40mM Tris HCl pH 7.5、および30mM MgCl2を含む25μlのPKA/基質試薬を反応ウェルに添加し、その後室温で20分のインキュベーションを行なった。等容量(50μl)のKinase-Glo(商標)試薬を添加し、反応物をさらに10分インキュベートし、発光を測定し、ならびに出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてホスホジエステラーゼPDE V濃度に対してプロットした。図7Aで見ることができるように、ホスホジエステラーゼPDE V濃度が増加する時に試料の相対発光は増加する。図7Aは、本アッセイがcAMP加水分解に特異的なホスホジエステラーゼだけでなく、cGMPの加水分解に特異的なホスホジエステラーゼもモニターすることができることを示す。
【0075】
実施例7−抑制剤の存在下でのcGMP-PDE(PDE V)の活性のモニタリング
ホスホジエステラーゼPDE V選択的抑制剤ザプリナスト(Sigma)の滴定を行なった。ザプリナスト(20μM)の2倍連続希釈をIBMXおよびATPを含まないが、10μM cGMPを補充した停止緩衝剤中で作製した。あらゆる12.5μlの酵素溶液が15U(IBMXおよびATPなしの停止緩衝剤)の酵素を含むようにPDE Vを含む酵素溶液も作製した。各希釈のアリコート(12.5μl)を反応ウェルに添加し、および反応を開始させるために等量のホスホジエステラーゼPDEV酵素溶液を添加した。プレートを室温で30分間インキュベートし、その後反応を停止させるために1.5mM IBMXおよび4μM ATPを補充した12.5μlの停止緩衝剤を添加した。100ng/ウェル ホロ酵素-R-IIαタンパク質キナーゼA、40μM ケンプチド、40mM Tris HCl pH 7.5、20mM MgCl2、および0.1mg/ml BSAを含む等容量のPKA/基質試薬を反応ウェルに添加し、プレートをさらに20分間インキュベートし、ならびに50μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を測定し、ならびに出力をRLU(n=2)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてザプリナスト濃度に対してプロットした。図7Bで示されるように、ホスホジエステラーゼPDE V抑制剤ザプリナストの量が増加する時に相対光単位は減少する。図7Bは、発光とザプリナスト濃度の間の相関を示し、それによってcGMP特異的ホスホジエステラーゼPDE Vの潜在的抑制剤を決定する際の本アッセイの有用性が示されている。図7Bは、文献(Turko 1998)で見出されるザプリナストについてのIC50と比較した本実験で算出されるザプリナストについてのIC50をさらに示し、コグネートcGMPホスホジエステラーゼの活性の変化をモニターするための本アッセイの有用性を再び示している。したがって、本発明は、抑制剤の存在下および非存在下でcAMP濃度およびそのコグネートホスホジエステラーゼの活性を測定するだけでなく、抑制剤の存在下および非存在下でcGMP濃度およびそのコグネートホスホジエステラーゼの活性をモニターする際にも有用性を見出す。
【0076】
実施例8−cGMP濃度の検出
生物学的試料中のcGMP濃度を決定するために、試料を初めに5分間95℃まで熱し、その後PDE IVなどのcAMP選択的ホスホジエステラーゼを添加し、および室温で30分間のさらなるインキュベーションを行なわなければならなかった。その後、PKA基質試薬のアリコートを試料に添加しおよび室温で20分間インキュベートし、その後Kinase-Glo(商標)試薬(Promega Corporation, Madison WI)を添加することができた。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後、発光を測定し、ならびに出力を記録し(RLU)および異なる試料容量に対してプロットした。その後、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版などのグラフ描写プログラムを用い、および試料発光出力をcGMP標準曲線の発光出力と比較することによって、試料中のcGMP量を決定することができた。
【0077】
生物学的試料中のcAMPまたはcGMPホスホジエステラーゼの活性を測定するために、例えば、500Daカットオフを持つ透析膜で、試料を透析し、内在性のcAMPおよびcGMPを除去しなければならなかった。透析膜の中に残る試料をその後の実験で用いた。試料を先の実施例で記載されたような基質および試薬とインキュベートした。それゆえに、cAMPまたはcGMPホスホジエステラーゼ用に、それぞれ、基質であるcAMPまたはcGMPを用いた。検出法を先に記載されたように用いることができ、および検出出力を対照の検出出力と比較することによってホスホジエステラーゼの活性を決定することができた。
【0078】
実施例9−形質膜におけるcAMPの検出
この実験は、低張溶解法または窒素空洞化溶解法を用いて形質膜調製物を調製するための例示的方法を提供する。
【0079】
低張溶解のために、3×107細胞を500×gで5分間の遠心分離で回収しおよびPBS中で2回洗浄した。10mlの低張溶解緩衝剤(1mM HEPES pH 7.5、1mM EDTA、0.2mMロイペプチン、および40μg/mlアプロチニン)の中で細胞ペレットを再懸濁し、ならびにPyrex(登録商標)ダウンスホモジナイザーを用いて細胞懸濁をホモジナイズした(20往復)。場合によって、細胞懸濁を3回ホモジナイズして低張細胞溶解を開始した。細胞懸濁中の低張性を整えるために、細胞懸濁のうちの幾つかで、それぞれ、25mMおよび10%の最終濃度までHEPESおよびグリセロールを添加した。その他には、等容量の2×緩衝剤A(2×:50mM HEPES pH 7.5、2mM EDTA、0.5Mスクロース、0.4mMロイペプチン、および80μg/mlアプロチニン)を添加した。全ての懸濁をさらなる17往復によってホモジナイズした。
【0080】
窒素空洞化溶解のために、3×108細胞を500×gで5分間の遠心分離で回収しおよびPBS中で2回洗浄した。15mlの緩衝剤A(0.25mMスクロース、25mM HEPES pH 7.5、1mM EDTA、0.2mMロイペプチン、および40μg/mlアプロチニン)の中で細胞ペレットを再懸濁した。窒素空洞化爆弾(Parr Instrument Company, Moline, IL)の中で20分間350Psiで細胞懸濁を予め平衡化し、圧力をゆっくりと放出し、および細胞ライセートを回収した。
【0081】
両溶解法のために、形質膜画分を以下の手順で回収した。細胞ライセートを10分間の低速遠心分離(1000×g)に供して細胞破片を除去した。上清を回収しおよび30分間の高速遠心分離(50,000×g)に供して、形質膜を回収した。緩衝剤A、緩衝剤B(25mM HEPES pH 7.5、1mM EDTA、0.2mMロイペプチン、および40μg/mlアプロチニン)、または10%の最終濃度のグリセロールを含む緩衝剤Bのいずれかの中で形質膜画分を再懸濁した。
【0082】
膜完全性を維持しおよび、最も重要なことには、受容体-Gタンパク質-アデニリルシクラーゼ複合体が無傷のままであるのを可能にする最適な方法を決定するために、異なる調製方法を評価した。図8は、異なる細胞型に対して異なる溶解法および緩衝剤を用いた異なる膜調製物の検討からのデータを示す。膜調製物はcAMP産生の誘導を示したが、低張溶解でのみ溶解されおよび緩衝剤B中で再懸濁された膜は、グリセロールを含む緩衝剤Bまたはスクロースを含む緩衝剤A中で溶解された膜よりも低い応答を示した。グリセロールを含む緩衝剤Bまたはスクロースを含む緩衝剤A中で再懸濁された膜調製物の間に差は見られなかった。
【0083】
実施例10−形質膜におけるフォルスコリン刺激型アデニリルシクラーゼ活性の検出
ポリ-D-リジンをコーティングした、白い、透明な底の96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0084】
刺激緩衝剤(25mM HEPES pH 7.5、10mM MgCl2、100μM IBMX、および0.1% Tween-20)中の250μMフォルスコリンの2倍連続希釈を作製した。実施例9で記載されたような方法に従って、実施例4で記載されたようなDRD1を安定に発現するHEK293細胞から形質膜調製物を調製した。形質膜(刺激緩衝剤の中で25μl中に1μgのタンパク質)および10μM GDPを96ウェルプレートのウェルに添加しならびに室温で10分間インキュベートした。15マイクロリットルの各フォルスコリン希釈を形質膜調製物に添加した。予めインキュベートした形質膜調製物を含む数個のウェルにフォルスコリンなしの15μlの刺激緩衝剤を添加することによって対照を含んだ。フォルスコリンありまたはフォルスコリンなしの形質膜調製物を室温で15分間インキュベートした。cAMP産生を検出するために、40μl PKA/基質試薬を各ウェルに添加し、および反応物を室温でさらに20分間インキュベートさせ、その後80μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を読み取り、ならびに出力を相対光単位(RLU)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてフォルスコリン濃度に対してプロットした。
【0085】
図9で見られるように、フォルスコリン濃度が増加する時に発光は減少し、それによって本発明が形質膜調製物におけるフォルスコリン刺激型アデニリルシクラーゼ活性を検出する際の有用性を見出すということが示される。したがって、本発明は、刺激剤によるアデニリルシクラーゼの誘導による形質膜調製物におけるcAMP生成を検出することができる。
【0086】
実施例11−形質膜におけるアゴニストに応答したドーパミン受容体D1活性のモニタリング
実験は、本発明が、形質膜調製物におけるGPCRドーパミン受容体D1(DRD1)上のアデニリルシクラーゼ活性に対するアゴニストの影響を決定することができることを示すために実行された。
【0087】
10μMストック濃度のアゴニスト ドーパミンおよびSKF38393の2倍希釈を50μM ATPおよび0.2μM GTPを含む刺激緩衝剤中で希釈した。10μMストック濃度のDRD1の非特異的リガンド、クインピロール、の2倍希釈も作製した。
【0088】
ポリ-D-リジンをコーティングした、白い、透明な底の96ウェルプレート中で反応を行なったが、添加される試薬の量を比例的に減少させることによって、反応を384ウェルプレート中で行なうこともできる。添加物容量をそれ相当にスケールダウンすることによって、1536ウェルプレートなどの、より高い密度のプレートを場合によっては用いることもできる。
【0089】
実施例7で記載されたような方法に従って、実施例4で記載されたようなDRD1を安定に発現するHEK293細胞から形質膜調製物を調製した。形質膜(25μlの刺激緩衝剤中に1μgのタンパク質)および10μM GDPを96ウェルプレートのウェルに添加しならびに室温で10分間インキュベートした。20マイクロリットルの各化合物希釈を特定のウェルに添加した。誘導を室温で15分間実行し、その後40μlのPKA/基質試薬を添加した。反応物を室温でさらに20分間インキュベートさせ、その後80μlのKinase-Glo(商標)試薬を添加した。Kinase-Glo(商標)試薬の添加10分後に発光を読み取り、ならびに出力を相対光単位(RLU)として記録しおよびGraphPad Prism(登録商標)ソフトウェア第4.0版を用いてフォルスコリン濃度に対してプロットした。
【0090】
図10は、アゴニスト濃度が増加する時に、発光シグナルは、公知の特異的DRD1アゴニスト(ドーパミンおよびSKF38393)の場合には減少するが、DRD1受容体の非特異的リガンド、クインピロールの場合には減少せず、それによってDRD1受容体の活性化を膜調製物中で検出することができることが示されるということを示す。したがって、本発明は、cAMP濃度の変化を測定することによって形質膜調製物におけるアゴニスト/アンタゴニスト誘導型のGPCR受容体活性化をモニターする際の使用を見出す。
【0091】
実施例4で見出されるのと同様の様式で、DRD1のアンタゴニストを用いる実験を行なうことができる。例えば、形質膜におけるDRD1に対するアンタゴニストによる抑制を検討するために、DRD1を含む形質膜調製物に100nMのアゴニストSKF38393の存在下で10μlのアンタゴニストSCH 23390希釈を添加し、および反応物を室温で30分間インキュベートする。PKA/基質試薬およびKinase-Glo(商標)試薬の添加ならびにその後のインキュベーションおよび読み取りを上記のように実行することができる。
【0092】
実施例12−アゴニストおよびアンタゴニストに応答したドーパミン受容体D2(DRD2)活性のモニタリング
実験は、本発明が、Gαiタンパク質共役型受容体である、GPCRドーパミン受容体D2(DRD2)に対するアゴニストおよびアンタゴニストの効果を決定することができることを示すために実行された。
【0093】
DRD1について実施例4で記載されたような標準的な分子生物学的技術を用いて、DRD2を安定に発現するD293細胞株を創出した。
【0094】
細胞をリン酸緩衝生理食塩水溶液で手短に洗浄して微量の血清を除去し、ならびにKrebs Ringer緩衝剤(100uM IBMXおよび100uM Ro-20-1724)中で10uMフォルスコリンの存在下で様々な濃度のD2受容体アゴニストと共に20μl(96ウェルプレート)または7.5μl(384ウェルプレート)中でインキュベートした。室温での15分のインキュベーションの後、20μl(96ウェルプレート)または7.5μl(384ウェルプレート)の溶解緩衝剤を用いて、細胞を溶解した。RTで15分間のインキュベーションの後、PKA(96ウェル中に40μlおよび384ウェルプレート中に15μl)を含む40μl反応緩衝剤を用いてキナーゼ反応を行ない、ならびにキナーゼ反応を室温で20分間実行した。キナーゼ反応の最後に、等容量のKinase-Glo(商標)試薬を添加しおよび室温で10分間インキュベートし、ならびにルミノメーターを用いてプレートを読み取った。
【0095】
アンタゴニストに基づくアッセイのために、100μM IBMXおよび100μM Ro-20-1724を含みかつアンタゴニストありまたはアンタゴニストなしのKrebs Ringer緩衝剤中で10μMフォルスコリンおよびEC80濃度のD2受容体のアゴニストと共に細胞をインキュベートし、ならびに先に記載したようにアッセイを進行させた。図11Aで示されるように、文献で報告されたEC50と同様であるクインピロールについての0.5nMというEC50が得られた。10μMフォルスコリンおよび100nMのD2アゴニスト クインピロール、ならびに増加する濃度のアンタゴニスト ラクロプライドと共に細胞をインキュベートすることを除いて、同様の実験設計を用いて、アンタゴニストを検討した。図11Bで示されるように、文献で報告されたIC50値と同様であるラクロプライドについての0.8nMというIC50値が得られた。ドーパミンD2受容体はGαiタンパク質共役型受容体である。したがって、このアッセイは、Gαsタンパク質共役型受容体の調整だけでなく、Gαiタンパク質共役型受容体の調整もモニターすることができ、それによって両方のクラスの受容体のモジュレーターを探索するHTSスクリーニングプログラムのための本アッセイの有用性が示されている。
【0096】
本出願で言及された全ての刊行物および特許は参照により本明細書に組み入れられる。記載された本発明の方法および組成物の様々な変更および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に明白であると考えられる。本発明は特定の好ましい態様と一緒に記載されたが、主張されたような本発明がそのような特定の態様に過度に限定されるべきではないということが理解されるべきである。実際、関連分野の業者にとって明らかである本発明を実行するための記載された様式の様々な変更が、特許請求の範囲の範囲内にあるよう意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のアデニリルシクラーゼ活性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)アデニリルシクラーゼを含み得る試料を提供する工程、
b)cAMPによって活性化され得る不活性酵素を該試料に添加する工程、
c)活性化された酵素の活性を検出しかつ検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびに
d)該シグナルに基づいて該試料中に存在するアデニリルシクラーゼ活性を決定する工程。
【請求項2】
試料がライセートを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ライセートが真核細胞に由来する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
試料が形質膜を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
不活性酵素がcAMP依存性タンパク質キナーゼである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
検出系がcAMP依存性タンパク質キナーゼによってリン酸化されることができる基質を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
基質がSEQ ID NO: 1を含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
検出系がATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含む、請求項6記載の方法。
【請求項9】
酵素がルシフェラーゼである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
基質が放射性標識ビオチン化基質を含む、請求項6記載の方法。
【請求項11】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
検出系がストレプトアビジン結合表面をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
基質が蛍光標識基質を含む、請求項6記載の方法。
【請求項14】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
蛍光標識がローダミン部分である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
ホスホジエステラーゼの1つまたは複数の抑制剤の添加をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
アデニリルシクラーゼ活性のアゴニストまたはアンタゴニストの添加をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
試料中のホスホジエステラーゼ活性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)ホスホジエステラーゼを含み得る試料を提供する工程、
b)cAMPによって活性化され得る不活性酵素を該試料に添加する工程、
c)活性化された酵素の活性を検出しかつ検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびに
d)該シグナルに基づいて該試料中に存在するホスホジエステラーゼ活性を決定する工程。
【請求項19】
ホスホジエステラーゼが環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
環状ヌクレオチドがcAMPまたはcGMPである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
試料がライセートを含む、請求項18記載の方法。
【請求項22】
ライセートが真核細胞に由来する、請求項18記載の方法。
【請求項23】
試料が形質膜を含む、請求項18記載の方法。
【請求項24】
不活性酵素がcAMP依存性タンパク質キナーゼまたはcGMP依存性タンパク質キナーゼである、請求項18記載の方法。
【請求項25】
検出系がcAMP依存性タンパク質キナーゼまたはcGMP依存性タンパク質キナーゼによってリン酸化されることができる基質を含む、請求項18記載の方法。
【請求項26】
基質がSEQ ID NO: 1を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
検出系がATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
酵素がルシフェラーゼである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
基質が放射性標識ビオチン化基質を含む、請求項25記載の方法。
【請求項30】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
検出系がストレプトアビジン結合表面をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項32】
基質が蛍光標識基質を含む、請求項25記載の方法。
【請求項33】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
蛍光標識がローダミン部分である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
ホスホジエステラーゼの1つまたは複数の抑制剤の添加をさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項36】
試料中のGタンパク質共役型受容体活性を決定するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)Gタンパク質共役型受容体を含み得る試料を提供する工程、
b)cAMPによって活性化され得る不活性酵素を該試料に添加する工程、
c)活性化された酵素の活性を検出しかつ検出可能なシグナルを生成させることができる検出系を添加する工程、ならびに
d)該シグナルに基づいて該試料中に存在するGタンパク質共役型受容体活性を決定する工程。
【請求項37】
試料がライセートを含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ライセートが真核細胞に由来する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
試料が形質膜を含む、請求項36記載の方法。
【請求項40】
不活性酵素がcAMP依存性タンパク質キナーゼである、請求項36記載の方法。
【請求項41】
検出系がcAMP依存性タンパク質キナーゼによってリン酸化されることができる基質を含む、請求項36記載の方法。
【請求項42】
基質がSEQ ID NO: 1を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
検出系がATPを利用して発光シグナルを生成させることができる酵素をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
酵素がルシフェラーゼである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
基質が放射性標識ビオチン化基質を含む、請求項41記載の方法。
【請求項46】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
検出系がストレプトアビジン結合表面をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項48】
基質が蛍光標識基質を含む、請求項45記載の方法。
【請求項49】
基質がSEQ ID NO: 1をさらに含む、請求項48記載の方法。
【請求項50】
蛍光標識がローダミン部分である、請求項48記載の方法。
【請求項51】
ホスホジエステラーゼの1つまたは複数の抑制剤の添加をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項52】
Gタンパク質共役型受容体活性のアゴニストまたはアンタゴニストの添加をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項53】
試料中の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ活性を決定するためのキットであって、以下を含むキット:
a)cAMPおよびcGMPのための基質、
b)タンパク質キナーゼ、
c)タンパク質キナーゼ基質、
d)ATP、および
e)試料中の環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼの濃度を決定するためのキットを用いるための取扱説明書。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−223196(P2012−223196A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−158962(P2012−158962)
【出願日】平成24年7月17日(2012.7.17)
【分割の表示】特願2008−544445(P2008−544445)の分割
【原出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(593089149)プロメガ コーポレイション (57)
【氏名又は名称原語表記】Promega Corporation
【Fターム(参考)】