説明

環状化合物、その金属錯体及び変性金属錯体

【課題】耐酸性や耐熱性が優れる金属錯体及び燃料電池用電極触媒の提供。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物。


(式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、−N=等を表す。P〜Pは、対応するY〜YあるいはZ〜Zが結合した炭素原子と、隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成する。Q及びQはそれぞれ独立に、連結基または直接結合を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、−NR2等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯体及びその変性金属錯体に関する。さらに本発明は、錯体を形成する大環状配位子化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属錯体は、酸素添加反応、酸化カップリング反応、脱水素反応、水素添加反応、酸化物分解反応等の電子移動を伴うレドックス反応における触媒(レドックス触媒)として作用し、有機化合物又は高分子化合物の製造に使用されている。さらに、添加剤、改質剤、電池、センサーの材料、エレクトロルミネッセンス材料等、種々の用途にも使用されている。
【0003】
特に、該金属錯体の中でも、大環状化合物を配位子として持つ金属錯体は大環状効果のため、安定な錯体を形成することが知られ、例えば、ポルフィリン錯体は環状でない錯体に比べ、酸に安定であることが知られている(非特許文献1)。
また、金属錯体の中でも、遷移金属原子を中心金属として有する場合、過酸化水素分解触媒や酸化カップリング触媒として優れた反応活性を有することが知られている(非特許文献2参照)。
しかしながら、非特許文献2で開示されているようなシッフ塩基を配位子とする金属錯体は、安定性が不十分であり、とりわけ酸の存在下で反応を行う場合や加熱下で反応を行う場合、触媒として使用するには問題があった。このように金属錯体を触媒として適用するためには、酸または加熱に対する安定性を向上させることが切望されていた。
【0004】
【非特許文献1】ポルフィリンの化学、共立出版株式会社.
【非特許文献2】Angewandte Chemie International Edition,42,6008(2003).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐酸性や耐熱性が優れる金属錯体を提供することにある。また本発明は、前記金属錯体の配位子として有用な大環状化合物とその合成中間体を提供することを目的とする。さらに本発明は燃料電池用電極触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題は、下記の(1)〜(20)の手段により解決された。
【0007】
(1)下記一般式(1)で表される化合物。
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、
【0010】
【化2】

【0011】
(Rαは水素原子または一価の炭化水素基である。)
を表す。Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群である。Pは、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって環状骨格をなす原子群であり、Pは、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって環状骨格をなす原子群である。PとP、PとP、PとP、PとP、PとP、及びPとPからなる群から選ばれる組み合わせは、互いにさらに結合して環を形成しても良い。Q及びQはそれぞれ独立に、連結基または直接結合を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、
【0012】
【化3】

【0013】
(Rβは水素原子または一価の炭化水素基である。Rβが複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
のいずれかを表す。)
(2)前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって、フェノール環構造を形成し、かつ、Pで表される原子群が、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって、フェノール環構造を形成する、(1)に記載の化合物。
(3)前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、かつ、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成する(1)又は(2)に記載の化合物。
(4)前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、及びPで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環が、含窒素芳香族複素環である(3)に記載の化合物。
(5)前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されるものである(4)に記載の化合物。
【0014】
【化4】

【0015】
(式中、Rは水素原子または置換基であり、複数あるRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Q及びQは、それぞれ独立に、
【0016】
【化5】

【0017】
(Rは水素原子または置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R同士は互いに結合して環を形成しても良い。Xは、窒素原子または三価の基を表す。Rは水素原子または置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、R同士は互いに結合して環を形成しても良い。Xはそれぞれ独立に、下記式:
【0018】
【化6】

【0019】
(R’は水素原子または一価の炭化水素基である。)
で表される二価の基のいずれかを表す。R、R及びRは、水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、及びRとRとRからなる群から選ばれる組み合わせは、互いに結合して環を形成しても良い。)
のいずれかを示す。)
(6)前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(a1)で表されるものである(5)に記載の化合物。
【0020】
【化7】

【0021】
(式中、R16〜R18は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、隣り合う二つのR16同士、隣り合う二つのR18同士は互いに連結して環を形成してもよい。複数存在するR16〜R18は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
(7)前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(a2)で表されるものである(5)に記載の化合物。
【0022】
【化8】

【0023】
(式中、R20〜R24は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、隣り合う二つのR20同士、隣り合う二つのR21同士、隣り合う二つのR22同士、隣り合う二つのR23同士は互いに連結して環を形成してもよい。複数存在するR20〜R23は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
(8)上記一般式(1)で表される化合物の残基を有するポリマー。
(9)上記一般式(1)で表される化合物の残基を繰り返し単位として有する(8)に記載のポリマー。
(10)下記一般式(3)で表される化合物。
【0024】
【化9】

【0025】
(式中、Rは水素原子または置換基であり、複数あるRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは水素原子または保護基である。Y及びYは、それぞれ独立に、
【0026】
【化10】

【0027】
(Rγは水素原子または保護基である。)
を表す。Pは、YとYの隣接位の1つの炭素原子と一体となって員数が5である芳香族複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の1つの炭素原子と一体となって員数が5である芳香族複素環を形成するために必要な原子群である。)
(11)金属原子と配位子とを有する金属錯体であって、(1)〜(7)及び(10)のいずれかに記載の化合物または(8)もしくは(9)に記載のポリマーを配位子とする金属錯体。
(12)前記金属原子が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子のいずれかである(11)に記載の金属錯体。
(13)前記金属原子の個数が1または2である(11)または(12)に記載の金属錯体。
(14)(11)〜(13)のいずれかに記載の金属錯体を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%であり、かつ、変性後の炭素含有率が5質量%以上となるまで、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理で変性させることにより得られる変性金属錯体。
(15)(11)〜(13)のいずれかに記載の金属錯体と、カーボン担体、沸点もしくは融点が200℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物と、からなる混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%であり、かつ、変性後の炭素含有率が5質量%以上となるまで、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理で変性させることにより得られる変性金属錯体。
(16)前記加熱処理が200℃〜1200℃で行われる(14)または(15)に記載の変性金属錯体。
(17)(11)〜(13)のいずれかに記載の金属錯体、または(14)〜(16)のいずれかに記載の変性金属錯体と、カーボン担体及び/または高分子とを含む組成物。
(18)(11)〜(13)のいずれかに記載の金属錯体、(14)〜(16)のいずれかに記載の変性金属錯体、または(17)に記載の組成物からなる触媒。
(19)(18)に記載の触媒からなる燃料電池用電極触媒。
(20)下記一般式(4)で表される化合物。
【0028】
【化11】

【0029】
(式中、R〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、隣り合う二つのR10同士、二つのR11同士、隣り合う二つのR12同士は互いに連結して環を形成しても良い。R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子または保護基を表す。複数存在するR〜R15は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0030】
本発明の化合物を用いて調製した金属錯体は耐熱性や耐酸性が優れる。従って、該金属錯体は、酸の存在下や高温下においても、触媒活性の低下が抑制されることから、適用用途の広い触媒として有用である。本発明の化合物は大環状化合物であり、上記の耐熱性、耐酸性などの安定性に優れた金属錯体調製に極めて好適である。さらに本発明の金属錯体はそれ自体レドックス触媒として活性を示すとともに、それを熱処理したものは、より安定した触媒作用(酸素還元能)などを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物(以下、大環状化合物ともいう。)について説明する。
【0032】
〜Yは、それぞれ独立に
【0033】
【化12】

【0034】
(Rαは水素原子または一価の炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜8のものである。)である。)
【0035】
を表す。Rαで表される一価の炭化水素基は、後述の置換基として例示するものと同様である。P〜Pは、それぞれ独立にY〜Yの各々の隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群(以下、「P〜P骨格」ともいう。)である。なお、該隣接位の2つの炭素原子には、Rαに含まれ得る炭素原子は含まれない。複素環の具体例として、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、フォスホール、フォスファベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N−アルキルピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソキノリン、キナゾリンが挙げられ、好ましくは、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、N−アルキルピロールであり、さらに好ましくは、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェンである。
【0036】
及びQはそれぞれ独立に、連結基または直接結合を表す。連結基とは、二価または三価の基であり、直接結合とは、単結合または二重結合を表す。Q及びQは、連結基の場合、好ましくは、以下の(1−a)〜(1−g)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは、(1−a)〜(1−d)のいずれかで表される基であり、特に好ましくは、(1−a)又は(1−b)で表される基である。Q及びQが、直接結合の場合、単結合が好ましい。
【0037】
【化13】

【0038】
(Rδは水素原子または1価の基(例えば、置換基を有していても良い一価の炭化水素基、置換基を有していても良い一価の芳香族基である。)である。Rδが複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)
【0039】
とP、PとP、PとP、PとP、PとP、及びPとPからなる群から選ばれる組み合わせは、互いに結合して環を形成してもよく、Q又はQと結合した具体的な構造としては、以下に示す(2−a)〜(2−o)の構造が好ましく、さらに好ましい構造は、(2−a),(2−j)〜(2−o)であり、特に好ましい構造は(2−a),(2−j)〜(2−m)である。Rδで表される一価の炭化水素基、一価の芳香族基は、後述の置換基として例示するものと同様である。なお、下記の具体例として挙げた構造は置換基を有してもよく、これらの置換基としては、後述の置換基として例示するものと同様である。
【0040】
【化14】

【0041】
ここで、Rは水素原子または炭素数が1〜30(好ましくは1〜8のもの。)で表される一価の炭化水素基を表す。2個あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
なお、P〜P骨格は置換基を有しても良く、置換基として具体的には、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、スルホン酸基、ニトロ基、ホスホン酸基、炭素数1〜4のアルキル基を有するシリル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、アダマンチル基、ドデシル基、シクロドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ドコシル基などの全炭素数1〜50程度の直鎖、分岐または環状の一価の飽和炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基、ノルボニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基などの全炭素数1〜50程度の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3、5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、4−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基などの全炭素数6〜60程度の一価の芳香族基などが例示される。
好ましくは、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基に例示される全炭素数1〜20程度の一価の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基に例示される全炭素数1〜10程度の直鎖、分岐のアルコキシ基、フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3、5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アントリル基などの全炭素数6〜30程度の一価の芳香族基である。
さらに好ましくは、クロロ基、ブロモ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、シクロへキシル基、ノルボニル基、アダマンチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基、4−ブロモフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、4−ビフェニル基、2−メチルフェニル基、3−エテニルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3、5−ジブロモフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジヒドロキシフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−メトキシメチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2−ナフチル基、9−アントリル基である。
【0042】
及びPは、各々、Z又はZが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって環状骨格をなす原子群(以下、「P及びP骨格」ともいう。)であり、Z及びZは、それぞれ独立に
【0043】
【化15】

【0044】
(Rβは水素原子または一価の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6のものである。)である。)
を表す。Rβで表される一価の炭化水素基は、前記置換基として例示したものと同様である。PとZ及びPとZは、以下の構造(3−a)〜(3−o)のいずれかで表される二価の基が好ましい。より好ましくは、(3−a)〜(3−h)のいずれかで表される二価の基であり、さらに好ましくは、(3−a)〜(3−d)のいずれかで表される二価の基であり、特に好ましくは、(3−a)又は(3−b)で表される二価の基である。
【0045】
【化16】

【0046】
(Rεは炭素数1〜10の炭化水素基である。Rεが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0047】
及びP骨格は置換基を有しても良く、前記に例示した置換基と同等のものを挙げることが出来る。Rεは表される一価の炭化水素基は、前記置換基として例示したものと同様である。
【0048】
次に、本発明の前記一般式(2)で表される化合物について説明する。
【0049】
は水素原子または置換基であり、複数あるRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ここで、置換基とは、前記に例示した置換基と同等のものを挙げることが出来る。
【0050】
及びQは、それぞれ独立に、
【0051】
【化17】

の何れかを示す。R、R、R及びRは水素原子または置換基を表し、置換基は前記に例示した置換基と同等のものを挙げることが出来る。
【0052】
同士、R同士は互いに結合して環を形成しても良い。また、R、R及びRは、水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、及び/またはRとRとRは互いに結合して環を形成しても良い。Xは、窒素原子または三価の基を表す。X
【0053】
【化18】

【0054】
(R’は、水素原子又は一価の炭化水素基である。)
を表す。
及びQとしては、以下の構造(4−a)〜(4−j)のいずれかで表される二価の基が好ましい。より好ましくは、(4−a)、(4−b)、(4−d)、(4−e)、(4−g)〜(4−j)のいずれかで表される二価の基であり、さらに好ましくは、(4−a)、(4−b)、(4−d)、(4−e)、(4−h)、(4−j)のいずれかで表される二価の基であり、特に好ましくは、(4−a)、(4−b)、(4−d)及び(4−e)のいずれかで表される二価の基である。なお、下記の具体例として挙げた構造は置換基を有してもよく、これらの置換基としては、前述の置換基として例示するものと同様である。
【0055】
【化19】

【0056】
上記一般式(1)で表される大環状化合物は、下記一般式(5)で表されるものが好ましい。
【0057】
【化20】

【0058】
(式中、R16及びR17は水素原子または置換基を表し、複数あるR16及びR17はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。また、R16同士はQ及び/またはQとともに環(好ましくは5員環及び/または6員環)を形成しても良い。Y〜Y12は、それぞれ独立に
【0059】
【化21】

【0060】
(Rζは水素原子または一価の炭化水素基である。)
のいずれかで表される二価の基である。Rζで表される一価の炭化水素基は、前記置換基として例示したものと同様である。X〜X12は、それぞれ独立に二価の基(特には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、水素原子及び炭素原子からなる群から選ばれる原子を組み合わせた二価の基)を表す。X〜X12は、それぞれ独立に最近接(即ち、構造式で表した場合に、X〜X12とR16との間にある原子数が最小となる位置)にあるR16と互いに結合して環を形成しても良い。n及びnは、それぞれ独立に、1または2を表す。Q及びQはそれぞれ独立に、連結基または直接結合を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、
【0061】
【化22】

【0062】
(Rηは水素原子または一価の炭化水素基である。)
のいずれかを表す。式中、点線でつながっている部分は共役していてもいなくても良い。)
【0063】
〜X12は、それぞれ独立に二価の基(特には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、水素原子及び炭素原子からなる群から選ばれる原子を組み合わせた二価の基)を表す。また、X〜X12は、それぞれY〜Y12と周りの炭素原子とともに、五員環または六員環を構成する。五員環、六員環の具体的な例示として、ピロリジン、ピペリジン、モルフォリン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、フォスホール、フォスファベンゼン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、N−アルキルピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、オキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソキノリン、キナゾリンが挙げられ、好ましくは、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、フラン、チオフェン、N−アルキルピロールであり、さらに好ましくは、ピリジン、ピロール、フラン、チオフェンである。Rηで表される一価の炭化水素基は、前記置換基として例示したものと同様である。Rηが複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0064】
本発明の大環状化合物は、非特許文献Tetrahedron.,1999,55,8377.に記載されているように、有機金属反応剤の複素環への付加反応及び酸化をおこない、ハロゲン化反応、次いで遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応によって前駆体を合成したのち、アルデヒドで閉環反応させることにより合成できる。また、末端にピロールを有する化合物にアルデヒドを加えてピロール同士を結合させることによっても大環状化合物が合成できる。
【0065】
この場合、複素環式化合物と複素環式化合物をアルデヒドで連結するように反応するため、上記一般式(3)で表される複素環式化合物を用いる方が好ましい。
【0066】
前記一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(3)で表される化合物と一般式(6)で表されるアルデヒド化合物を次の反応スキームに従って合成することができる。
【0067】
【化23】

【0068】
(式中、Rは水素原子又は一価の基(例えば、置換基を有してしてもよい一価の芳香族基、置換基を有していてもよい一価の炭化水素基など)を示す。)
上記反応は、適当な溶媒に原料を溶解し、酸を触媒にすることにより行うことができるが、酸自体を溶媒に用いることによっても行うことができる。
前記酸としては、三フッ化硼素、三フッ化硼素エーテラート、三塩化硼素、三臭化硼素、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等を挙げることができる。また、溶媒に用いる酸としては、前記に例示した酸と、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の有機酸を挙げることができる。
前記溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノール及びこれらを混合したものを挙げることができる。
反応温度は、通常、0℃〜250℃、好ましくは0℃〜200℃、特に好ましくは0℃〜160℃である。反応時間は、通常、1分〜1週間、好ましくは5分〜100時間、特に好ましくは1時間〜48時間である。なお、反応温度および反応時間は、酸、溶媒の組み合わせにより調整すればよい。
さらに、前記反応において得られた化合物に対して、酸化剤、溶媒を加えることにより、連結部位が酸化された大環状化合物を合成することもできる。
【0069】
【化24】

【0070】
前記酸化剤としては、酸素、クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンなどを挙げることができる。前記溶媒は、前記のものと同等のものを挙げることができる。
反応温度は、通常、0℃〜250℃、好ましくは0℃〜200℃、特に好ましくは0℃〜160℃である。反応時間は、通常、1分〜1週間、好ましくは5分〜100時間、特に好ましくは1時間〜48時間である。
【0071】
また、上記一般式(2)で表される大環状化合物は、上記一般式(a1)で表される大環状化合物又は上記一般式(a2)で表される大環状化合物が好ましい。
【0072】
上記一般式(2)で表される化合物は、上記記載の構造の組み合わせでできるものが好ましいが、具体的には以下のような(IV−1)〜(IV−6)で表される化合物がさらに好ましい。この中でも特に、(IV−1)〜(IV−4)で表される化合物が好ましい。なお、下記の具体例として挙げた構造は置換基を有してもよく、これらの置換基としては、前述の置換基として例示するものと同様である。
【0073】
【化25】

【0074】
上記一般式(1)で表される化合物の残基を有するポリマーとは、上記一般式(1)で表される化合物における水素原子の一部又は全部(通常、1個)を取り除いてなる原子団からなる基を有するポリマーを意味しており、この場合に用いられるポリマーとして、導電性高分子、デンドリマー、天然高分子、固体高分子電解質、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン等を例示することができる。その中でも、導電性高分子、固体高分子電解質、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルが好ましく、特に、ポリスチレン、ポリアクリロニトリルが好ましい。導電性高分子とは金属的または半金属的な導電性を示す高分子物質の総称である(岩波理化学辞典第5版:1988年発行)。導電性高分子としては、「導電性ポリマー」(吉村進一著、共立出版)や「導電性高分子の最新応用技術」(小林征男監修、シーエムシー出版)に記載されているような、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリカルバゾール及びその誘導体、ポリインドール及びその誘導体、ならびに前記導電性高分子の共重合体などを挙げることができる。
固体高分子電解質としては、パーフルオロスルホン酸、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリアリーレン、ポリアリーレンエーテルスルホンをスルホン化した高分子などを挙げることができる。
【0075】
上記一般式(1)で表される化合物の残基を繰り返し単位として有するポリマーとは、上記一般式(1)で表される化合物における水素原子の一部又は全部(通常、2個)を取り除いてなる原子団からなる基を繰り返し単位として有するポリマーを意味しており、例えば、大環状配位子を含む二官能性モノマーを重合することにより生成するものである。なお、分子鎖の長さによるものではない。
【0076】
次に、本発明の前記一般式(3)で表される化合物について説明する。
【0077】
前記一般式(3)で表される化合物は前記一般式(1)又は(2)で表される大環状化合物の部分構造をなす化合物であり、前記一般式(1)及び(2)を合成する原料ともなる。
【0078】
前記一般式(3)記載のRは水素原子または保護基である。
【0079】
及びYは、それぞれ独立に、
【0080】
【化26】

【0081】
(Rγは水素原子または一価の炭化水素基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは1〜6のものである。)
【0082】
を表す。P及びPは、それぞれ独立に各々の隣接位の1つの炭素原子と一体となって員数が5である芳香族複素環を形成するに必要な原子群であり、P及びPは、環状骨格をなす原子群である。なお、該隣接位の1つの炭素原子には、Rγに含まれ得る炭素原子は含まない。複素環の具体例として、ピロール、N−アルキルピロール、イミダゾール、フォスホール、チオフェン、チアゾール、フラン、オキサゾールが挙げられ、好ましくは、ピロール、N−アルキルピロール、イミダゾール、チオフェン、チアゾールであり、さらに好ましくは、ピロール、N−アルキルピロールである。
【0083】
また、P及びP骨格は置換基を有しても良く、前記に例示した置換基と同等のものを挙げることが出来る。
【0084】
次に、上記化合物を配位子とする金属錯体について説明する。該金属原子はヘテロ原子によって、錯体を形成しているものである。また、2つの金属原子がある場合、金属原子間で架橋配位していてもよい。ここで、「遷移金属」とは、「化学大辞典」(大木道則他編、平成17年7月1日発行、東京化学同人)1283頁に「遷移元素」として記載されているものと同義であり、不完全なdまたはf亜殻を有する元素を意味する。なお、本発明における遷移金属原子とは、無電荷であっても、架電しているイオンであってもよい。また、典型金属原子に関しても同様であり、無電荷であっても、架橋しているイオンであっても良い。
【0085】
ここで、遷移金属について具体的に例示すると、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネシウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀が挙げられる。
【0086】
また、典型金属について具体的に例示すると、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン、タリウム、鉛、ビスマスが挙げられる。
【0087】
これら金属の中でも、実用面から第4周期から第6周期までに属する遷移金属原子である方が好ましく、その中でも、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金がさらに好ましい。特に好ましくは、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、ロジウム、銀、白金である。特に好ましくは、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛の第4周期に属する金属元素である。
【0088】
金属錯体は、中性分子や金属錯体を電気的に中性にする対イオンを含むことがある。該中性分子とは、溶媒和して溶媒和塩を形成する分子、上記一般式(1)及び(2)における環状配位子以外の配位子が挙げられる。具体的に、該中性分子を例示すると、水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸である。好ましくは、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クロロホルム、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、4,4’−ビピリジン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸である。
【0089】
また、対イオンに関して、遷移金属原子及び典型金属原子は正の架電を有するので、これを電気的に中性にする陰イオンが選ばれ、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、亜硫酸イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸水素イオン、トリフルオロ酢酸イオン、チオシアン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオンである。好ましくは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酸化物イオン、水酸化物イオン、水素化物イオン、リン酸イオン、シアン化物イオン、酢酸イオン、2−エチルヘキサン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、アセチルアセトナート、テトラフェニルホウ酸イオンである。
また、対イオンが複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよく、中性分子とイオンが共存する形態でもよい。
【0090】
次に本発明の金属錯体の合成法について説明する。
前記金属錯体は、配位子を有機化学的に合成し、金属原子を供与する反応剤(以下、「金属付与剤」と呼ぶ)と混合することにより得ることができる。
【0091】
前記のとおり、本発明の金属錯体は、配位子及び金属付与剤を適当な反応溶媒の存在下で混合させることで得ることができる。具体的には、反応溶媒としては、水、酢酸、シュウ酸、アンモニア水、メタノール、エタノール、n−プロパノ−ル、イソプロピルアルコール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、1,1−ジメチルエタノール、エチレングリコール、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、デュレン、デカリン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリエチルアミン、ピリジン、ピラジン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンが挙げられ、これらを2種以上混合してなる反応溶媒を用いてもよいが、配位子及び金属付与剤が溶解し得るものが好ましい。反応温度としては通常−10〜200℃、好ましくは0〜150℃、特に好ましくは0〜100℃、反応時間としては通常1分〜1週間、好ましくは5分〜24時間、特に好ましくは1時間〜12時間で実施することができる。なお、反応温度および反応時間についても、配位子及び金属付与剤の種類によって適宜最適化できる。
反応後の反応溶液から、生成した金属錯体を単離精製する手段としては、公知の再結晶法、再沈殿法あるいはクロマトグラフィー法から適宜最適な手段を選択して用いることができ、これらの手段を組み合わせてもよい。
なお、前記反応溶媒の種類によっては、生成した金属錯体が析出する場合があり、析出した金属錯体を濾別等で分離し、必要に応じて洗浄操作や乾燥操作を行うことでも、金属錯体を単離精製することもできる。
【0092】
前記一般式(1)又は(2)で表される化合物を配位子とする金属錯体は、骨格が芳香族であるため、いずれも高度の耐熱性と耐酸性を有し安定性が高く、高温下あるいは強酸の存在下でも錯体構造が安定的に維持されるので、高い触媒作用が期待される。
とりわけ、該金属錯体は用途として、レドックス触媒等に好適であり、具体的には、過酸化水素の分解触媒、芳香族化合物の酸化重合触媒、排ガス・排水浄化用触媒、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサーなどの用途が挙げられる。また、共役が広がっていることを利用して、有機EL発光材料、有機トランジスタ及び色素増感太陽電池等の有機半導体材料としても用いることが可能と考えられる。
【0093】
特に、上記一般式(3)または(4)で表される化合物とアルデヒドとを反応させることで効率良く大環状化合物を得ることができる。
【0094】
次に、前記一般式(4)で表される化合物について、説明する。
【0095】
【化27】

【0096】
(式中、R〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、隣り合う二つのR10同士、二つのR11同士、隣り合う二つのR12同士は互いに連結して環を形成しても良い。R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子または保護基を表す。複数存在するR〜R15は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
【0097】
〜R13で表される置換基は、前記置換基として例示したものと同等のものを挙げることができる。
【0098】
14及びR15は、それぞれ独立に、水素原子又は保護基を表し、具体例としては、メチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、メチルカルボニル基、フェニルカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。好ましい保護基としては、メチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、ベンジル基、メトキシメチル基、tert−ブトキシカルボニル基が挙げられる。
【0099】
上記一般式(4)で表される好ましい化合物としては、以下の式(V−1)〜(V−8)で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物の芳香環には、上記記載の置換基がさらに結合していても良い。
(式中、MOMはメトキシメチル基、Bocはtert−ブトキシカルボニル基、Meはメチル基を表す。)
【0100】
【化28】

【0101】
次に、本発明における、金属錯体の変性処理の条件について詳述する。
この変性処理とは、通常、加熱処理などによって金属錯体の耐酸性や耐熱性を高めることをいう。
変性処理に用いる金属錯体は、1種の金属錯体のみを用いてもよく、2種以上の金属錯体を用いることもできる。
該金属錯体は、変性処理を施す前処理として、15℃以上200℃以下の温度、1333Pa以下の減圧下において6時間以上乾燥させておくと特に好ましい。該前処理としては、真空乾燥機等を用いることができる。
【0102】
金属錯体の変性処理は、水素、ヘリウム、窒素、アンモニア、酸素、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、アセトニトリル、並びにこれらの混合ガスの存在下で行うことが好ましい。好ましくは水素、ヘリウム、窒素、アンモニア、酸素、ネオン、アルゴン、並びにこれらの混合ガスの存在下、より好ましくは水素、窒素、アンモニア、アルゴン、並びにこれらの混合ガスの存在下で行う。
また、変性処理に係る圧力は、選択する変性処理において適宜変更することができる。
【0103】
まず、加熱処理に関して具体的に説明する。
該金属錯体を加熱処理する際の温度は、該加熱処理の前後において、質量減少率を1〜90質量%以上にできるものであれば、特に限定されない。
該加熱処理の処理温度としては、好ましくは200℃以上であり、より好ましくは300℃以上である。また、加熱処理にかかる温度の上限も、処理後の変性物の炭素含有率(炭素原子の含有率であり、例えば、元素分析で求められる。)が5質量%以上にできるものであれば、特に限定されないが、好ましくは1200℃以下であり、より好ましくは1000℃以下であり、さらに好ましくは、800℃以下である。
【0104】
加熱処理の処理時間は、前記の使用ガスや温度等により適宜設定できるが、上記ガスの密閉あるいは通気させた状態において、室温から徐々に温度を上昇させ目的温度到達後、すぐに降温してもよい。中でも、目的温度に到達後、温度を維持することで、徐々に金属錯体を加熱することが、耐久性をより向上させることができるため好ましい。目的とする温度到達後の保持時間は、好ましくは1〜100時間であり、より好ましくは1〜40時間であり、さらに好ましくは2時間〜10時間であり、特に好ましくは2〜3時間である。
【0105】
加熱処理を行う装置としては、オーブン、ファーネス、IHホットプレート等が例示される。
【0106】
加熱処理に代わる変性処理としては、α線、β線、中性子線、電子線、γ線、X線、真空紫外線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波、レーザー等の電磁波又は粒子線等から選ばれる何れかの放射線を照射する方法、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理(低温プラズマ処理を含む)等の放電処理から選択することができる。
これらの中でも、好ましい変性処理としては、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波及びレーザーから選ばれる放射線を照射する処理又は低温プラズマ処理が挙げられる。より好ましくは、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、レーザーから選ばれる放射線を照射する方法である。
これらの方法は、通常高分子フィルムの表面改質処理に用いられる機器、処理方法に準じて行うことが可能であり、例えば文献(日本接着学会編、「表面解析・改質の化学」、日刊工業新聞社、2003年12月19日発行)等に記載された方法を用いることができる。
【0107】
ここで、前記の放射線照射処理又は放電処理を行う際に、該金属錯体が、処理前後の質量減少率が1質量%以上90質量%以下になり、且つ処理後の変性物の炭素含有率が5質量%以上にできるよう、変成できる条件を任意に設定することができるが、好ましい処理時間としては10時間以内、より好ましくは3時間以内、さらに好ましくは1時間以内、特に好ましくは30分以内である。
【0108】
前記のようにして加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を施し、質量減少率が1〜90質量%、好ましくは2〜90質量%となるまで変性処理を行って本発明の変性金属錯体が得られる。
【0109】
一方、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の際に、大幅に質量減少する場合は錯体構造の分解が顕著であることから、質量減少率の上限として好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、とりわけ好ましくは60質量%以下である。
【0110】
さらに、本発明の変性金属錯体は元素分析における炭素含有率が5質量%以上である。該炭素含有率が10質量%以上であると好ましく、20質量%以上であるとより好ましく、30質量%以上であるとさらに好ましく、40質量%以上であると特に好ましい。処理物の炭素含有率が高いほど錯体構造がより安定化し、該変性金属錯体における金属原子の集積度が向上しやすいため好ましい。
【0111】
次に、本発明の変性金属錯体における別の実施形態について説明する。
前記に記載したような(a)金属錯体と、(b)カーボン担体、沸点あるいは融点が200℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物とを、含む金属錯体混合物を、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理の何れかの変性処理を施し、処理前後の質量減少率が1〜90質量%まで変性し、変性後の炭素含有率が5質量%以上である変性金属錯体である。ここで、質量減少率は、金属錯体混合物において、(a)と(b)の合計質量に対して求める。
【0112】
該金属錯体混合物における(a)と(b)の混合比率は、(a)と(b)の合計質量に対し、(a)の含有量が、1〜70質量%になるように設定することが好ましい。金属錯体の含有量が2〜60質量%であると、より好ましく、3〜50質量%であると、特に好ましい。
【0113】
前記カーボン担体の例としては、ノーリット、ケッチェンブラック、バルカン、ブラックパール、アセチレンブラック等のカーボン粒子、C60やC70等のフラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボン繊維等が挙げられる。
【0114】
沸点あるいは融点が200℃以上である有機化合物の例としては、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸ジイミド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、二無水ピロメリット酸などの芳香族系化合物カルボン酸誘導体などが挙げられる。これらの化合物の構造式を以下に示した。ここで、沸点又は融点は、公知の方法を用いて測定することが可能であり、測定された値から選択することが可能であるが、文献等に記載されている値を用いて選択されることもできる。なお、計算機シミュレーション等で求められた計算値でもよく、例えば、Chemical Abstract Serviceから提供されるソフトウェアであるSciFinder(version 2007.2)に登録されている沸点あるいは融点の計算値を用いても選んでも良い。下記に示す化合物において沸点(b.p.)にある「calc」の表記は、前記SciFinderに登録されている計算値である。
【0115】
【化29】

【0116】
【化30】

【0117】
また、熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物は、芳香環の他に二重結合または三重結合を有する有機化合物であり、例えばアセナフチレンやビニルナフタレンなどの有機化合物が例示される。下記に示す化合物に記載の数値は、各有機化合物の重合開始温度である。なお、該数値は「炭素化工学の基礎」(第1版第2刷、昭和57年、オーム社)に記載されている。
【0118】
【化31】

【0119】
このような金属錯体混合物を、加熱処理する際の条件等は、前記金属錯体を単独で加熱処理する条件と同様である。
【0120】
本発明の金属錯体やその変性物は、種々の用途に応じて、種々の担体、添加剤等を併用することや、その形状を加工することができる。用途として、燃料電池用の電極触媒や膜劣化防止剤、芳香族化合物の酸化カップリング触媒、排ガス・排水浄化用触媒、色素増感太陽電池の酸化還元触媒層、二酸化炭素還元触媒、改質水素製造用触媒、酸素センサーなどの用途が挙げられる。
【0121】
また、本発明の金属錯体やその変性物(変性金属錯体)は、触媒として使用する際に、カーボン担体及び/又は高分子とを含む組成物として用いることもできる。このようにすると、変性金属錯体の安定性が増したり、触媒活性が向上したりする等の観点から有用である。なお、高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等を挙げることができる。また、カーボン担体の具体例は前記と同等である。また、このような組成物としては、本発明の変性金属錯体を複数混合して使用することもできるし、カーボン担体又は高分子を複数使用することもできるし、カーボン担体と高分子を組み合わせて使用することもできる。
【0122】
以下に、本発明の金属錯体やその変性物の、有用性について説明する。
本発明の金属錯体やその変性物は、過酸化物の分解触媒、特に過酸化水素の分解触媒に用いることができる。過酸化水素の分解触媒に用いる場合、ヒドロキシルラジカルの発生を抑制しつつ水と酸素に分解できるという特徴を有する。具体的には、固体高分子電解質型燃料電池用や水電気分解用のイオン伝導膜の劣化防止剤や、医農薬や食品の抗酸化剤等の用途が挙げられる。
また、芳香族化合物の酸化カップリング触媒としても有用であり、この場合、例えば、ポリフェニレンエーテルやポリカーボネートなどのポリマー製造に関わる触媒として使用することができる。使用形態としては、前記変性物を反応溶液に直接添加する方法や、該変性物をゼオライトやシリカ等に担持させる方法が挙げられる。また、該金属錯体は共役骨格が環全体に広がっていることを利用して、有機EL発光材料、有機トランジスタ及び色素増感太陽電池等の有機半導体材料としても用いることが可能である。
【0123】
本発明の金属錯体やその変性物は、各種工場や自動車からの排ガス中に含有されている硫黄酸化物や窒素酸化物を硫酸やアンモニアへ転換するための脱硫・脱硝触媒にも利用できる。工場からの排ガスが通気する塔に充填する方法や、自動車のマフラーに充填する方法などが挙げられる。
【0124】
さらに、本発明の金属錯体やその変性物は、改質水素中のCOを変成させる触媒として使用することもできる。改質水素中にはCOなどが含まれており、改質水素を燃料電池として使用する場合、燃料極がCOの被毒を受けることが問題であり、COの濃度を極力低減することが望まれる。具体的な使用形態については、例えば、Chemical Communication,3385(2005)に記載の方法等が挙げられる。
【実施例】
【0125】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に制限されるものではない。
【0126】
大環状化合物(C)を以下の反応式に従い、化合物(A)、化合物(B)を経由して合成した。
プロピオン酸はWako社製、メタノール、ジクロロメタンはWako社製無水物を用いた。また、酢酸コバルト4水和物はAldrich社製を用いた。シリカゲルはワコーゲルC300を用いた。
実施例において、式中、「Boc」はtert−ブトキシカルボニル基、「dba」はジベンジリデンアセトン、「Me」はメチル基、「Cy」はシクロヘキシル基、「Ac」はアセチル基を意味する。
【0127】
実施例1
【0128】
【化32】

【0129】
アルゴン雰囲気下で、3.945gの2,9−(3’−ブロモ−5’−tert−ブチル−2’−メトキシフェニル)−1,10−フェナントロリン、3.165gの1−N−Boc−ピロール−2−ボロン酸、0.138gのトリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、0.247gの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、5.527gのリン酸カリウムを200mLのジオキサンと20mLの水の混合溶媒に溶解し、60℃にて6時間攪拌した。反応終了後、放冷して蒸留水、クロロホルムを加えて、有機層を抽出した。得られた有機層を濃縮して、黒い残留物を得た。これを、シリカゲルカラムを用いて精製し、化合物(A)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.34(s,18H),1.37(s,18H),3.30(s,6H),6.21(m,2H),6.27(m,2H),7.37(m,2H),7.41(s,2H),7.82(s,2H),8.00(s,2H),8.19(d,J=8.6Hz,2H),8.27(d,J=8.6Hz,2H).
【0130】
実施例2
【0131】
【化33】

【0132】
窒素雰囲気下で0.904gの化合物(A)を10mLの無水ジクロロメタンに溶解させる。ジクロロメタン溶液を−78℃に冷却しながら、8.8mLの三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液)をゆっくり滴下した。滴下後、10分間そのまま攪拌させた後、室温まで攪拌させながら放置した。3時間後、反応溶液を0℃まで冷却させ、飽和NaHCO水溶液を加えたのち、クロロホルムを加えて抽出し、有機層を濃縮した。得られた褐色の残留物を、シリカゲルカラムで精製し、化合物(B)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.40(s,18H),6.25(m,2H),6.44(m,2H),6.74(m,2H),7.84(s,2H),7.89(s,2H),7.92(s,2H),8.35(d,J=8.4Hz,2H),8.46(d,J=8.4Hz,2H),10.61(s,2H),15.88(s,2H).
【0133】
実施例3
【0134】
【化34】

【0135】
0.061gの化合物(B)と0.012gのベンズアルデヒドを5mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で7時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(C)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.49(s,18H),6.69(d,J=4.8Hz,2H),7.01(d,J=4.8Hz,2H),7.57(m,5H),7.90(s,4H),8.02(s,2H),8.31(d,J=8.1Hz,2H),8.47(d,J=8.1Hz,2H).
【0136】
大環状化合物(F)を以下の反応式に従い、化合物(D)、化合物(E)を経由して合成した。
【0137】
実施例4
【0138】
【化35】

【0139】
0.547gの2,6−ジブロモ−4−tert−ブチルアニソール、0.844gの1−N−Boc−ピロール−2−ボロン酸、0.138gのトリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム、0.247gの2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル、5.527gのリン酸カリウムを200mLのジオキサンと20mLの水の混合溶媒に溶解し、60℃にて9時間攪拌した。反応終了後、放冷して蒸留水、クロロホルムを加えて、有機層を抽出した。得られた有機層を濃縮して、黒い残渣を得た。これを、シリカゲルカラムを用いて精製し、化合物(D)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.30(s,18H),1.31(s,9H),3.19(s,3H),6.19(m,2H),6.25(m,2H),7.22(s,2H),7.38(m,2H).
【0140】
実施例5
化合物(E)を以下の反応式に従って合成した。
【0141】
【化36】

【0142】
窒素雰囲気下で0.453gの化合物(D)を15mLの無水ジクロロメタンに溶解させた。ジクロロメタン溶液をドライアイス/アセトンバスで−78℃に冷却しながら、5.4mLの三臭化ホウ素(1.0Mジクロロメタン溶液)をゆっくり滴下した。滴下後、10分間そのまま攪拌させた後、ドライアイス/アセトンバスを取り除き、室温まで攪拌させながら放置した。1時間後、飽和NaHCO水溶液を加えて中和し、クロロホルムを加えて3回抽出した。得られた有機層を濃縮して、得られた黒色の残渣を、シリカゲルで精製し、化合物(E)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.34(s,9H),6.35(m,2H),6.40(s,1H),6.55(m,2H),6.93(m,2H),7.36(s,2H),9.15(s,2H).
【0143】
実施例6
大環状化合物(F)を以下の反応式に従って合成した。
【0144】
【化37】

【0145】
0.051gの化合物(E)と0.019gのベンズアルデヒドを20mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で7時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルで精製して、大環状化合物(F)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.38(s,18H),6.58(d,J=3.8Hz,4H),6.92(d,J=3.8Hz,4H),7.49(m,10H),7.71(s,4H),12.75(br,4H).
【0146】
実施例7
大環状化合物(G)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0147】
【化38】

【0148】
0.166gの化合物(B)と0.065gの4−ブロモベンズアルデヒド(Aldrich社製)を20mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で5時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(G)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.43(s,18H),6.59(d,J=4.2Hz,2H),6.95(d,J=4.2Hz,2H),7.44(d,J=7.0Hz,2H),7.63(d,J=7.0Hz,2H),7.73(s,2H),7.82(s,2H),7.89(s,2H),8.16(d,J=8.6Hz,2H),8.29(d,J=8.6Hz,2H).

【0149】
実施例8
大環状化合物(H)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0150】
【化39】

【0151】
0.100gの化合物(B)と0.025gの2,6−ジメチルベンズアルデヒド(Aldrich社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で21時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(H)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.43(s,18H),δ2.26(s,6H),6.47(d,J=4.2Hz,2H),6.94(d,J=4.2Hz,2H),7.17(d,J=7.7Hz,2H),7.63(d,J=7.0Hz,2H),7.73(s,2H),7.82(s,2H),7.89(s,2H),8.16(d,J=8.6Hz,2H),8.29(d,J=8.6Hz,2H).
【0152】
実施例9
大環状化合物(I)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0153】
【化40】

【0154】
0.100gの化合物(B)と0.033gのビフェニル−4−カルボキシアルデヒド(Aldrich社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で23時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(I)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.44(s,18H),6.74(d,J=3.7Hz,2H),6.98(d,J=3.7Hz,2H),7.53(t,J=6.8Hz,2H),7.63(d,J=8.4Hz,2H),7.74(d,J=7.5Hz,4H),7.84(s,4H),7.96(s,2H),8.24(d,J=8.6Hz,2H),8.41(d,J=8.6Hz,2H).
【0155】
実施例10
大環状化合物(J)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0156】
【化41】

【0157】
0.050gの化合物(B)と0.012gのo−トルアルデヒド(Aldrich社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で11時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(J)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.43(s,18H),2.28(s,3H),6.47(d,J=4.2Hz,2H),6.93(d,J=4.2Hz,2H),7.30−7.33(m,4H),7.77(s,2H),7.85(s,2H),7.91(s,2H),8.21(d,J=8.8Hz,2H),8.33(d,J=8.8Hz,2H)
【0158】
実施例11
大環状化合物(K)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0159】
【化42】

【0160】
0.121gの化合物(B)と0.030gの3−ビニルベンズアルデヒド(Aldrich社製)を30mLのジクロロメタンに溶解させ、トリフルオロ酢酸を1滴添加し24時間室温で攪拌した。次に、0.050gのクロラニルを添加し、さらに室温で24時間攪拌した。その後、ジクロロメタンを留去し、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(K)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.42(s,18H),5.34(d,J=10.8Hz,1H),5.87(d,J=17.8Hz,1H),6.65(d,J=4.2Hz,2H),6.86(dd,J=17.8Hz,J=10.8Hz1H),6.95(d,J=4.2Hz,2H),7.46−7.62(m,6H),7.90(s,4H),7.81(s,4H),8.01(d,J=8.6Hz,2H),8.13(d,J=8.8Hz,2H).
【0161】
実施例12
大環状化合物(L)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0162】
【化43】

【0163】
0.061gの化合物(B)と0.022gのペンタフルオロベンズアルデヒド(Wako社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で9時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(L)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.36(s,18H),6.56(d,J=4.0Hz,2H),6.92(d,J=4.0Hz,2H),7.16(s,2H),7.51(s,2H),7.59(s,2H),7.62(d,J=8.4Hz,2H),7.71(d,J=8.4Hz,2H).
【0164】
実施例13
大環状化合物(M)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0165】
【化44】

【0166】
0.061gの化合物(B)と0.019gのp−トリフルオロメチルベンズアルデヒド(Wako社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で9時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(M)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.37(s,18H),6.47(d,J=4.4Hz,2H),6.89(d,J=4.4Hz,2H),7.60−7.74(m,8H),7.79(s,2H),8.03(d,J=8.8Hz,2H),8.16(d,J=8.8Hz,2H).
【0167】
実施例14
大環状化合物(N)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0168】
【化45】

【0169】
0.121gの化合物(B)と0.045gの9−アントラセンカルボキシアルデヒド(TCI社製)を50mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で13時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(N)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.41(s,18H),6.07(d,J=4.4Hz,2H),6.80(d,J=4.4Hz,2H),7.35−7.49(m,4H),7.85(s,4H),7.98(s,2H),8.07(d,J=8.4Hz,2H),8.11(d,J=8.8Hz,2H),8.31(d,J=8.8Hz,2H),8.40(d,J=8.8Hz,2H),8.58(s,2H).
【0170】
実施例15
大環状化合物(O)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0171】
【化46】

【0172】
0.121gの化合物(B)と0.063gの3,5−ジブロモベンズアルデヒド(Aldrich社製)を35mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で8時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(O)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.33(s,18H),6.57(d,J=4.0Hz,2H),6.92(d,J=4.0Hz,2H),7.51(m,3H),7.60(s,2H),7.74(s,2H),7.85(s,2H),7.90(d,J=8.6Hz,2H),8.12(d,J=8.6Hz,2H).
【0173】
実施例16
大環状化合物(P)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0174】
【化47】

【0175】
0.061gの化合物(B)と0.019gの3,5−ジメトキシベンズアルデヒド(TCI社製)を20mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で11時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(P)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.38(s,18H),3.89(s,6H),6.65(s,1H),6.73(m,4H),6.94(d,J=3.5Hz,2H),7.72(s,2H),7.80(s,2H),7.86(s,2H),8.12(d,J=7.9Hz,2H),8.28(d,J=7.9Hz,2H).
【0176】
実施例17
大環状化合物(Q)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0177】
【化48】

【0178】
0.121gの化合物(B)と0.031gの3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド(Wako社製)を20mLのジクロロメタンに溶解させ、トリフルオロ酢酸を1滴添加し6時間室温で攪拌した。次に、0.050gのクロラニルを添加し、さらに室温で9時間攪拌した。その後、ジクロロメタンを留去し、得られた黒い残渣をクロロホルムで洗浄し、大環状化合物(Q)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.49(s,18H),6.69(d,J=4.8Hz,2H),7.01(d,J=4.8Hz,2H),7.57(m,5H),7.90(s,4H),8.02(s,2H),8.31(d,J=8.1Hz,2H),8.47(d,J=8.1Hz,2H).
【0179】
実施例18
大環状化合物(R)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0180】
【化49】

【0181】
0.061gの化合物(B)と0.042gの2,6−ビス(メトキシメチル)ベンズアルデヒドを15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で8時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(R)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.39(s,18H),1.53(s,9H),3.32(s,6H),4.50(s,4H),6.56(d,J=3.8Hz,2H),7.00(d,J=3.7Hz,2H),7.65(s,2H),7.75(s,2H),7.90(s,2H),7.99(s,2H),8.27(d,J=8.6Hz,2H),8.35(d,J=8.6Hz,2H).
【0182】
実施例19
大環状化合物(S)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0183】
【化50】

【0184】
0.061gの化合物(B)と0.042gの4−tert−ブチルベンズアルデヒド(TCI社製)を15mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で6時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(S)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.39(s,18H),1.53(s,9H),6.70(d,J=4.2Hz,2H),6.89(d,J=4.4Hz,2H),7.32(s,2H),7.51(d,J=7.5Hz,2H),7.59−7.62(m,6H),7.72(d,J=9.0Hz,2H),7.90(d,J=8.6Hz,2H).
【0185】
実施例20
大環状化合物(T)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0186】
【化51】

【0187】
0.100gの化合物(B)と0.028gの2−ナフトアルデヒド(TCI社製)を20mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で9時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(T)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ1.42(s,18H),6.62(d,J=3.8Hz,2H),6.92(d,J=4.0Hz,2H),7.59−7.62(m,2H),7.67(s,2H),7.70(s,1H),7.79(s,2H),7.84(s,2H),7.94−7.97(m,3H),8.04(s,1H),8.08(d,J=8.8Hz,2H),8.23(d,J=8.4Hz,2H).
【0188】
実施例21
大環状化合物(U)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0189】
【化52】

【0190】
0.100gの化合物(B)と0.044gの4−オクチルベンズアルデヒド(ACROS社製)を20mLのプロピオン酸に溶解させ、140℃で8時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して、得られた黒い残渣をシリカゲルカラムで精製して、大環状化合物(U)を得た。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ0.94(t,J=6.2Hz,3H),1.35−1.43(m,30H),1.72−1.79(m,2H),2.78(t,J=7.5Hz,2H),6.68(d,J=3.3Hz,2H),6.92(d,J=3.3Hz,2H),7.35(d,J=7.3Hz,2H),7.44(d,J=7.3Hz,2H),7.52(s,2H),7.66(s,2H),7.71(s,2H),7.89(d,J=8.2Hz,2H),8.12(d,J=8.2Hz,2H).
【0191】
実施例22
金属錯体(AA)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0192】
【化53】

【0193】
窒素雰囲気下において、0.057gの大環状化合物(F)と0.047gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール4ml、クロロホルム6mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら5時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると紫色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AA)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=846.0
【0194】
実施例23
金属錯体(AB)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0195】
【化54】

【0196】
窒素雰囲気下において、0.047gの大環状化合物(C)と0.018gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール3ml、クロロホルム3mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら5時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると緑色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AB)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=749.0
【0197】
実施例24
金属錯体(AC)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0198】
【化55】

【0199】
窒素雰囲気下において、0.045gの大環状化合物(C)と0.040gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール3ml、クロロホルム3mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら5時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AC)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=866.0
【0200】
実施例25
金属錯体(AD)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0201】
【化56】

【0202】
窒素雰囲気下において、0.100gの大環状化合物(C)と20mlのクロロホルムを50mlの二口フラスコに入れ、0.074gの酢酸マンガン4水和物(Wako社製)を含んだ10mlのメタノール溶液を加えた。溶液を70℃に加熱しながら10時間攪拌すると、青緑色固体が生成した。得られた溶液を濃縮乾固させると緑色固体を得た。これを水で洗浄、乾燥することで金属錯体(AD)を得た。
ESI−MS[M]:m/z=858.0
【0203】
実施例26
金属錯体(AE)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0204】
【化57】

【0205】
窒素雰囲気下において0.10gの大環状化合物(C)と20mlのクロロホルムを100mlの二口フラスコに入れ、0.075gの酢酸ニッケル4水和物(Wako社製)を含んだ10mlのメタノール溶液を加えた。溶液を70℃に加熱しながら6時間攪拌し、得られた溶液を濃縮乾固させると青緑色固体を得た。これを水で洗浄、乾燥することで金属錯体(AE)を得た。
ESI−MS[M−OAc]:m/z=805.0
【0206】
実施例27
金属錯体(AF)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0207】
【化58】

【0208】
窒素雰囲気下において、0.100gの大環状化合物(C)と20mlのクロロホルムを100mlの二口フラスコに入れ、0.060gの酢酸銅1水和物(Wako社製)を含んだ10mlのメタノール溶液を加えた。溶液を70℃に加熱しながら5時間還流すると、濃緑色固体が生成した。得られた溶液を濃縮乾固させ、これを水で洗浄、乾燥することで金属錯体(AF)を得た。
ESI−MS[M−OAc]:m/z=815.0
【0209】
実施例28
金属錯体(AG)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0210】
【化59】

【0211】
窒素雰囲気下において、0.025gの大環状化合物(G)と0.020gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら3時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AG)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=946.0
【0212】
実施例29
金属錯体(AH)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0213】
【化60】

【0214】
窒素雰囲気下において、0.024gの大環状化合物(H)と0.020gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール4ml、クロロホルム4mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら8時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AH)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=894.1
【0215】
実施例30
金属錯体(AI)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0216】
【化61】

【0217】
窒素雰囲気下において、0.067gの大環状化合物(I)と0.052gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム10mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AI)を得た。
ESI−MS[M+H]:m/z=943.0
【0218】
実施例31
金属錯体(AJ)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0219】
【化62】

【0220】
窒素雰囲気下において、0.034gの大環状化合物(J)と0.028gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、75℃に加熱しながら8時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AJ)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=880.1
【0221】
実施例32
金属錯体(AK)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0222】
【化63】

【0223】
窒素雰囲気下において、0.071gの大環状化合物(K)と0.055gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール10ml、クロロホルム10mlの混合溶液を、40℃に加熱しながら2時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AK)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=892.1
【0224】
実施例33
金属錯体(AL)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0225】
【化64】

【0226】
窒素雰囲気下において、0.021gの大環状化合物(L)と0.014gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら7時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AL)を得た。
ESI−MS[M+H]:m/z=957.0
【0227】
実施例34
金属錯体(AM)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0228】
【化65】

【0229】
窒素雰囲気下において、0.015gの大環状化合物(M)と0.011gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら8時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AM)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=933.9
【0230】
実施例35
金属錯体(AN)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0231】
【化66】

【0232】
窒素雰囲気下において、0.034gの大環状化合物(N)と0.026gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら7時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AN)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=907.1
【0233】
実施例36
金属錯体(AO)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0234】
【化67】

【0235】
窒素雰囲気下において、0.025gの大環状化合物(O)と0.020gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AO)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=1023.9
【0236】
実施例37
金属錯体(AP)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0237】
【化68】

【0238】
窒素雰囲気下において、0.030gの大環状化合物(P)と0.025gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら3時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AP)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=926.1
【0239】
実施例38
金属錯体(AQ)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0240】
【化69】

【0241】
窒素雰囲気下において、0.050gの大環状化合物(Q)と0.037gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール10ml、クロロホルム10mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AQ)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=898.1
【0242】
実施例39
金属錯体(AR)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0243】
【化70】

【0244】
窒素雰囲気下において、0.025gの大環状化合物(R)と0.026gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AR)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=1010.1
【0245】
実施例40
金属錯体(AS)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0246】
【化71】

【0247】
窒素雰囲気下において、0.032gの大環状化合物(S)と0.023gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AS)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=922.1
【0248】
実施例41
金属錯体(AT)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0249】
【化72】

【0250】
窒素雰囲気下において、0.042gの大環状化合物(T)と0.035gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、80℃に加熱しながら8時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AT)を得た。
ESI−MS[M・]:m/z=916.0
【0251】
実施例42
金属錯体(AV)を以下の反応式にしたがって合成した。
【0252】
【化73】

【0253】
窒素雰囲気下において、0.047gの大環状化合物(C)と0.059gの2−エチルヘキサン酸コバルト(65wt% in mineral spirit,Aldrich社製)を含んだメタノール5ml、クロロホルム5mlの混合溶液を、60℃に加熱しながら6時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると青色固体を得た。これを水で洗浄することにより、金属錯体(AV)を得た。
ESI−MS [M・]:m/z=1094.1
【0254】
実施例43
金属錯体(AW)を以下にしたがって合成した。
【0255】
0.121gの化合物(B)と0.100gのベンズアルデヒドポリマー担持体(loading〜2mmol/g,resin,100−300mesh,Fluka社製)を50mLのプロピオン酸に分散させ、140℃で7時間加熱した。その後、プロピオン酸を留去して得られた黒い残渣に、窒素雰囲気下で、0.110gの酢酸コバルト4水和物を含んだメタノール20ml、クロロホルム20mlの混合溶液を加え、50℃に加熱しながら8時間攪拌した。得られた溶液を濃縮乾固させると黒色固体を得た。これをクロロホルム、メタノールで洗浄することにより、金属錯体(AW)を得た。
元素分析値: C:73.34、H:6.13、N:3.18、Co:4.88
【0256】
実施例44
金属錯体混合物(BX)を以下にしたがって合成した。
【0257】
窒素雰囲気下で、0.010gの金属錯体(AK)を3.000gのメタノールに溶解させ、さらに、0.010gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(Wako社製)、0.305gのアクリロニトリル(TCI社製)、0.019gのアクリル酸(Wako社製)、0.040gのケッチェンブラック600JD(ライオン)をそれぞれ加え、60℃で攪拌しながら加熱した。1時間後、沈殿を濾過し乾燥させて、0.066gの金属錯体混合物(BX)を得た。
元素分析値: C:86.37、H:2.83、N:5.54、Co:1.40
【0258】
実施例45〜64
また、金属錯体(AA)〜金属錯体(AT)とカーボン担体(商品名:ケッチェンブラックEC300J(嵩密度100〜145Kg/m)、または商品名:ケッチェンブラック600JD(嵩密度15〜50Kg/m)、いずれもライオン製)を1:4の質量比でそれぞれ混合し、該混合物をメタノール中、室温にて攪拌後、室温にて200Paの減圧下で12時間乾燥することで、金属錯体混合物(BA)〜(BT)をそれぞれ調製した。その組成を以下の表1に示す。
【0259】
【表1】

【0260】
実施例65〜72
熱処理時の質量減少率が5質量%以上となるように熱処理を行った。すなわち、金属錯体あるいは金属錯体混合物を管状炉を用いて、窒素雰囲気下において目的温度で2時間熱処理を行った。
熱処理に用いた管状炉および熱処理条件を以下に示す。
管状炉:プログラム制御開閉式管状炉EPKRO−14R、いすゞ製作所
熱処理雰囲気:窒素ガスフロー(200ml/min)
昇温速度および降温速度:200℃/h
表2に使用した金属錯体混合物、熱処理温度を示し、処理後の質量減少率を示す。また、熱処理後の炭素含有量(元素分析値)を併記する。
【0261】
【表2】

【0262】
ここで、上記の金属錯体混合物(BB)、金属錯体混合物(BC)、金属錯体混合物(BN)、金属錯体混合物(BO)、金属錯体混合物(BP)、金属錯体混合物(BQ)および金属錯体混合物(BR)の熱処理により得られた変性金属錯体を、それぞれ変性金属錯体(CB)、変性金属錯体(CC)、変性金属錯体(CN)、変性金属錯体(CO)、変性金属錯体(CP)、変性金属錯体(CQ)、変性金属錯体(CRA)、および変性金属錯体(CRB)とした。
【0263】
比較例1
[比較錯体の合成]
下記の反応式に示す比較錯体をAustralian Journal of Chemistry,23,2225(1970)に記載の方法に従い合成した。
【0264】
【化74】

【0265】
まず、窒素雰囲気下において1.9gの塩化コバルト6水和物と1.31gの4−メチル−2,6−ジホルミルフェノールを含んだ50mlメタノール溶液を100mlのナスフラスコに入れ、室温にて攪拌した。この溶液に0.59gの1,3−プロパンジアミンを含んだ20mlメタノールを徐々に添加した。上記混合物を3時間還流することにより茶褐色沈殿が生成した。この沈殿を濾取し、乾燥することで比較錯体を得た(収量1.75g)。元素分析値(%):計算値(C2634ClCoとして);C,47.65;H,5.23;N,8.55.実測値:C,46.64;H,5.02;N,8.58であった。
【0266】
比較例2
また、比較錯体とカーボン担体(ケッチェンブラックEC300J、ライオン)を1:4の質量比でそれぞれ混合し、該混合物を、メタノール中、室温にて攪拌後、室温にて1.5Torrの減圧下で12時間乾燥することで、比較錯体混合物を調製した。
【0267】
参考例1
熱質量/示差熱分析装置(セイコーインスツルEXSTAR−6300、以下熱分析装置と呼ぶ)を用いて、金属錯体(AB)、金属錯体(AC)、金属錯体(AG)、金属錯体(AH)、金属錯体(AI)、金属錯体(AT)、金属錯体(AJ)、金属錯体(AN)及び金属錯体(AR)の熱処理時における質量変化(TGA)を測定した。測定条件は窒素雰囲気下(昇温速度10℃/min)であり、加熱処理にはアルミナ皿を使用した。800℃における質量減少率を表3に示す。
【0268】
【表3】

【0269】
表3より、本発明の金属錯体(AB)、金属錯体(AC)、金属錯体(AG)、金属錯体(AH)、金属錯体(AI)、金属錯体(AT)、金属錯体(AJ)、金属錯体(AN)及び金属錯体(AR)と、比較錯体とを比較すると、質量減少率が比較例より小さく、耐熱性に優れることが判明した。
【0270】
[電極の作成]
電極には、ディスク部がグラッシーカーボン(4.0mmφ)、リング部がPt(リング内径5.0mm、リング外径7.0mm)とするリングディスク電極を用いた。
前記の金属錯体混合物あるいは変性金属錯体2mgを入れたサンプル瓶へ、水0.6mL、エタノール0.4mL、ナフィオン(登録商標)溶液(Aldrich、5wt%溶液)20μLを加えた後、超音波で30分間、分散処理を行った。得られた懸濁液4.44μLを上記電極のディスク部に滴下した後、室温にて一晩乾燥することにより、測定用電極を得た。
【0271】
[回転リングディスク電極による酸素還元能の評価]
前記で作製した電極を回転させることにより、その時の酸素還元反応の電流値を評価した。測定は室温において窒素雰囲気下および酸素雰囲気下で行い、酸素雰囲気下での測定で得られた電流値から、窒素雰囲気下での測定で得られた電流値を引いた値を酸素還元の電流値とした。測定装置および測定条件は、以下の通りである。
【0272】
測定装置
ビー・エー・エス株式会社製
RRDE−2回転リングディスク電極装置
ALSモデル701Cデュアル電気化学アナライザー
測定条件
セル溶液:0.05mol/L硫酸水溶液(酸素飽和)
溶液温度:25℃
参照電極:銀/塩化銀電極(飽和KCl)
カウンター電極:白金ワイヤー
掃引速度:5mV/s
電極回転速度:600rpm
【0273】
酸素雰囲気下での0.3V(vs RHE)の電位における電流密度を表4に示した。
【0274】
【表4】

【0275】
表4より、本発明の金属錯体混合物(BB)、金属錯体混合物(BC)、金属錯体混合物(BG)、金属錯体混合物(BI)、金属錯体混合物(BL)及び金属錯体混合物(BP)が、比較錯体混合物に比べて、電流密度が高く、酸素還元能が優れていることが判明した。
また、本発明の変性金属錯体(CB)、変性金属錯体(CC)、変性金属錯体(CN)、及び変性金属錯体(CS)においても、比較錯体混合物に比べて、電流密度が高く、酸素還元能が優れていることが判明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物。
【化1】

(式中、Y〜Yは、それぞれ独立に、
【化2】

(Rαは水素原子または一価の炭化水素基である。)
を表す。Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって複素環を形成するために必要な原子群である。Pは、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって環状骨格をなす原子群であり、Pは、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって環状骨格をなす原子群である。PとP、PとP、PとP、PとP、PとP、及びPとPからなる群から選ばれる組み合わせは、互いにさらに結合して環を形成しても良い。Q及びQはそれぞれ独立に、連結基または直接結合を表す。Z及びZは、それぞれ独立に、
【化3】

(Rβは水素原子または一価の炭化水素基である。Rβが複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
のいずれかを表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって、フェノール環構造を形成し、かつ、Pで表される原子群が、Zが結合した炭素原子と、その隣接位の2つの炭素原子と一体となって、フェノール環構造を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成し、かつ、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって芳香族複素環を形成する請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記一般式(1)において、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、Pで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環、及びPで表される原子群が、YとYの隣接位の2つの炭素原子と一体となって形成する芳香族複素環が、含窒素芳香族複素環である請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表されるものである請求項4に記載の化合物。
【化4】

(式中、Rは水素原子または置換基であり、複数あるRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Q及びQは、それぞれ独立に、
【化5】

(Rは水素原子または置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。R同士は互いに結合して環を形成しても良い。Xは、窒素原子または三価の基を表す。Rは水素原子または置換基を表し、複数あるRはそれぞれ同一であっても異なっていても良く、R同士は互いに結合して環を形成しても良い。Xはそれぞれ独立に、下記式:
【化6】

(R’は水素原子または一価の炭化水素基である。)
で表される二価の基のいずれかを表す。R、R及びRは、水素原子または置換基を表し、RとR、RとR、及びRとRとRからなる群から選ばれる組み合わせは、互いに結合して環を形成しても良い。)
のいずれかを示す。)
【請求項6】
前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(a1)で表されるものである請求項5記載の化合物。
【化7】

(式中、R16〜R18は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、隣り合う二つのR16同士、隣り合う二つのR18同士は互いに連結して環を形成してもよい。複数存在するR16〜R18は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項7】
前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(a2)で表されるものである請求項5記載の化合物。
【化8】

(式中、R20〜R24は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表し、隣り合う二つのR20同士、隣り合う二つのR21同士、隣り合う二つのR22同士、隣り合う二つのR23同士は互いに連結して環を形成してもよい。複数存在するR20〜R23は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項8】
上記一般式(1)で表される化合物の残基を有するポリマー。
【請求項9】
上記一般式(1)で表される化合物の残基を繰り返し単位として有する請求項8記載のポリマー。
【請求項10】
下記一般式(3)で表される化合物。
【化9】

(式中、Rは水素原子または置換基であり、複数あるRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは水素原子または保護基である。Y及びYは、それぞれ独立に、
【化10】

(Rγは水素原子または保護基である。)
を表す。Pは、YとYの隣接位の1つの炭素原子と一体となって員数が5である芳香族複素環を形成するために必要な原子群であり、Pは、YとYの隣接位の1つの炭素原子と一体となって員数が5である芳香族複素環を形成するために必要な原子群である。)
【請求項11】
金属原子と配位子とを有する金属錯体であって、請求項1〜7及び10のいずれかに記載の化合物または請求項8もしくは9に記載のポリマーを配位子とする金属錯体。
【請求項12】
前記金属原子が、周期表の第4周期から第6周期に属する遷移金属原子のいずれかである請求項11記載の金属錯体。
【請求項13】
前記金属原子の個数が1または2である請求項11または12に記載の金属錯体。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかに記載の金属錯体を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%であり、かつ、変性後の炭素含有率が5質量%以上となるまで、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理で変性させることにより得られる変性金属錯体。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれかに記載の金属錯体と、カーボン担体、沸点もしくは融点が200℃以上の有機化合物、又は熱重合開始温度が250℃以下である有機化合物と、からなる混合物を、処理前後の質量減少率が1〜90質量%であり、かつ、変性後の炭素含有率が5質量%以上となるまで、加熱処理、放射線照射処理又は放電処理で変性させることにより得られる変性金属錯体。
【請求項16】
前記加熱処理が200℃〜1200℃で行われる請求項14または15に記載の変性金属錯体。
【請求項17】
請求項11〜13のいずれかに記載の金属錯体、または請求項14〜16のいずれかに記載の変性金属錯体と、カーボン担体及び/または高分子とを含む組成物。
【請求項18】
請求項11〜13のいずれかに記載の金属錯体、請求項14〜16のいずれかに記載の変性金属錯体、または請求項17に記載の組成物からなる触媒。
【請求項19】
請求項18に記載の触媒からなる燃料電池用電極触媒。
【請求項20】
下記一般式(4)で表される化合物。
【化11】

(式中、R〜R13は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、隣り合う二つのR10同士、二つのR11同士、隣り合う二つのR12同士は互いに連結して環を形成しても良い。R14及びR15は、それぞれ独立に水素原子または保護基を表す。複数存在するR〜R15は、各々、同一であっても異なっていてもよい。)

【公開番号】特開2009−173627(P2009−173627A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222796(P2008−222796)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】