説明

環状飽和ポリオレフィンの製造法

【課題】従来の方法では効率よく水素化を行うことが困難であった環状不飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状不飽和ポリオレフィンの水素化を効率よく行い、環状飽和ポリオレフィンを経済性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】有機溶媒、ヒドラジン及び酸素の存在下、フラビン系化合物を水素化触媒として用いて環状不飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状不飽和ポリオレフィンの水素化を行い、環状飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状飽和ポリオレフィンを製造するに際し、該フラビン系化合物として水素化反応終了後の反応混合物から分離回収されたフラビン系化合物を用いる環状飽和ポリオレフィンの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状飽和ポリオレフィンの製造方法に関するものであり、特に有機溶媒、ヒドラジン及び酸素の存在下、フラビン系化合物を用い環状不飽和ポリオレフィンを水素化することにより透明耐熱樹脂として有用な環状飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状飽和ポリオレフィンを効率よく製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含硫黄環状不飽和ポリオレフィンの水素化方法としては、パラトルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド系化合物を100℃以上の温度で熱分解し、生成するジイミンを水素化剤とし、水素化を行う方法が知られている(例えば非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】Journal of American Chemical Society Vol.127,No.42,p.14544〜14545(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら非特許文献1に開示された方法は、高い水素化率を達成するためには高価なスルホニルヒドラジド系化合物を不飽和結合1モルに対して5モル当量以上の大過剰に使用しなければならず極めて不経済な方法となるばかりか、スルホンエステルなどの副生物が大量に生成するという課題も有するものであった。
【0005】
その一方で、我々は、有機溶媒、ヒドラジンの存在下、空気雰囲気中でフラビン系化合物を水素化触媒として含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを高い水素化率で水素化できる方法を見出している。このフラビン系化合物を水素化触媒とする方法では、高い水素化率で含硫黄環状飽和ポリオレフィンを製造することが可能であるが、比較的高価なフラビン系化合物を触媒として使用するため、より生産時の効率を高めた製造方法とすることが期待された。しかしながら、フラビン系化合物の該反応条件下における安定性などに関しては全く情報がなく、フラビン系化合物を回収し、繰り返し水素化触媒として使用する可能性に関しては全く知られていないのが現状であった。
【0006】
そこで、本発明は、従来より安定した水素化が困難とされてきた環状不飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを効率的に水素化し、透明耐熱樹脂として有用な環状飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状飽和ポリオレフィンを効率よく経済的に製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、フラビン系化合物を水素化触媒として用い環状不飽和ポリオレフィンを水素化して得られる反応混合物から環状飽和ポリオレフィンとフラビン系化合物とを分離回収した該フラビン系化合物が、再度水素化触媒として作用することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、有機溶媒、ヒドラジン及び酸素の存在下、下記の一般式(1)で表されるフラビン系化合物を水素化触媒として用いて環状不飽和ポリオレフィンの水素化を行い、環状飽和ポリオレフィンを製造するに際し、該フラビン系化合物が水素化反応終了後の反応混合物から分離回収されたフラビン系化合物であることを特徴とする環状飽和ポリオレフィンの製造方法に関するものである。
【0009】
【化1】

(1)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基を表し、R,Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,アルコキシ基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,シクロアルキル基、2,4:3,5−ジ−o−メチレンリビチル基、フェニル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基を表す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の環状飽和ポリオレフィンの製造方法は、有機溶媒、ヒドラジン及び酸素の存在下、上記の一般式(1)で表わされるフラビン系化合物を水素化触媒として用い環状飽和ポリオレフィンを製造する際に、少なくとも1度は水素化触媒として使用したフラビン系化合物を再度水素化触媒として用い環状飽和ポリオレフィンを製造するものである。
【0011】
本発明における水素化触媒としては、上記の一般式(1)で表されるフラビン系化合物であり、該範疇に属するものであれば如何なる構造を有するフラビン系化合物も用いることができる。ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基であり、より具体的には、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基などを挙げることができる。R,Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,アルコキシ基であり、より具体的には、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などを挙げることができる。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,シクロアルキル基、2,4:3,5−ジ−o−メチレンリビチル基、フェニル基であり、より具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、2,4:3,5−ジ−o−メチレンリビチル基等を例示することができる。Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基であり、より具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基などを例示することができる。
【0012】
該フラビン系化合物としては、具体的には、例えば5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレート、5−エチル−7,8,10−トリメチルイソアロキサジニウムパークロレート、5−エチル−3−メチル−10−フェニルイソアロキサジニウムパークロレート、5−エチル−3,10−ジメチルイソアロキサジニウムパークロレート、5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレートなどを例示することができ、その中でも環状不飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状不飽和ポリオレフィンの水素化効率に優れ、得られる環状飽和ポリオレフィンが優れた光学用透明性材料となることから、5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレート及び/又は5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレートであることが好ましい。
【0013】
該フラビン系化合物は、本発明の目的が達成できる限りどのような方法で入手・製造してもよく、例えばAngew.Chem.Int.Ed.,44巻,1704〜1706頁(2005年)に記載の方法にしたがって製造することができる。
【0014】
本発明におけるフラビン系化合物の使用量としては、環状不飽和ポリオレフィンの水素化が可能である限りにおいて如何なる量を用いてもよく、その中でも効率よく環状不飽和ポリオレフィンの水素化が可能となることから、環状不飽和ポリオレフィン1モルに対して0.0001モル%〜30モル%、特に0.01モル%〜5モル%の範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明において用いられる環状不飽和ポリオレフィンとしては、一般的に環状不飽和ポリオレフィンとして知られているものでよく、例えばポリノルボルネン、ポリシクロペンタジエン、ポリテトラシクロデセン等を挙げることができ、その中でも水素化が困難とされている含硫黄環状不飽和ポリオレフィンであることが好ましく、該含硫黄環状不飽和ポリオレフィンとは、下記の一般式(2)で示される繰り返し単位からなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを挙げることができる。
【0016】
【化2】

(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、RとR及び/又はRとRとは環を形成していても良い。pは0または1の整数を表す。)
ここで、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基であり、RとR及び/又はRとRとは環を形成していても良く、より具体的には、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン基等を挙げることができ、pは0または1の整数を表す。
【0017】
該含硫黄環状不飽和ポリオレフィンとしては、得られる含硫黄環状飽和ポリオレフィンが成形加工性、機械的物性、透明性に特に優れるものとなることから、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い標準ポリスチレン換算として測定した重量平均分子量が1×103〜1×10の範囲のものであることが好ましく、特に1×10〜5×10の範囲のものであることが好ましい。
【0018】
また、該含硫黄環状不飽和ポリオレフィンとしては、得られる含硫黄環状飽和ポリオレフィンが成形加工性、機械的物性、透明性に特に優れるものとなることから、上記の一般式(2)におけるpが0に相当する下記の一般式(3)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンであることが好ましい。
【0019】
【化3】

(3)
(式中、R14〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R14とR15及び/又はR16とR17とは環を形成していても良い。)
ここで、R14〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基であり、R14とR15及び/又はR16とR17とは環を形成していても良い。より具体的には、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン基等を挙げることができる。
【0020】
本発明の製造方法は、環状飽和ポリオレフィンを製造するものであり、該環状飽和ポリオレフィンとしては、一般的に環状飽和ポリオレフィンとして知られているものでよく、例えば水素化ポリノルボルネン、水素化ポリシクロペンタジエン、水素化ポリテトラシクロデセン等を挙げることができ、その中でも水素化が困難とされている含硫黄環状飽和ポリオレフィンであることが好ましく、上記の一般式(2)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを水素化してなる下記の一般式(4)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状飽和ポリオレフィンを製造する方法を挙げることができる。
【0021】
【化4】

(4)
(式中、R10〜R13は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R10とR11及び/又はR12とR13とは環を形成していても良い。qは0または1の整数を表す。)
ここで、R10〜R13は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R10とR11及び/又はR12とR13とは環を形成していても良い。より具体的には、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン基等を挙げることができる。qは0または1の整数を表す。
【0022】
そして、該含硫黄環状飽和ポリオレフィンとしては、特に成形加工性、機械的物性、透明性に優れるものとなることから、上記の一般式(4)のqが0に相当する下記の一般式(5)に示す繰り返し単位よりなるものであることが好ましい。
【0023】
【化5】

(5)
(式中、R18〜R21は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R18とR19及び/又はR20とR21とは環を形成していても良い。)
ここで、R18〜R21は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R18とR19及び/又はR20とR21とは環を形成していても良い。より具体的には、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン基等を挙げることができる。
【0024】
本発明の環状飽和ポリオレフィンの製造方法は、環状不飽和ポリオレフィンを水素化する際に水素化触媒として再利用フラビン系化合物を用いても高い水素化率を示すものであり、特に耐熱性、透明性に優れる環状飽和ポリオレフィンとなることから水素化率が90%以上、特に水素化率が95%以上を示すことが好ましい。
【0025】
本発明で用いる有機溶媒としては、有機溶媒の範疇に属するものであれば如何なる制限を受けることなく用いることが可能であり、その中でも、含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを水素化する際には該含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを溶解するものが好ましく、その中でも特に効率良く水素化が可能となることから、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒が好ましい。
【0026】
本発明で用いるヒドラジンとしては、ヒドラジンであれば如何なる形態のものを用いても良く、通常は一水和物として使用されるが、無水物のほか溶媒や水で任意に希釈した後に用いることもできる。また、ヒドラジンの使用量としては、環状不飽和ポリオレフィンの水素化が可能である限りにおいて如何なる量を用いてもよく、その中でも特にその水素化効率に優れることから、環状不飽和ポリオレフィン1モルに対して、1モル〜20モルの範囲であることが好ましく、特に2モル〜10モルの範囲であることが好ましい。
【0027】
また、ヒドラジンの添加方法としては、環状不飽和ポリオレフィンと有機溶媒からなる溶液に所定量を一度に添加する方法;必要に応じて滴下する逐次的添加方法、更に必要に応じて反応途中に追加する方法、等の如何なる方法であってもよい。なお、一般的には、ヒドラジンと有機溶媒は溶解しない場合が多く、本発明の製造方法においても、ヒドラジンの添加により反応系が不均一となり、不均一系の水素化反応が進行するケースが多く見られる。
【0028】
本発明で用いる酸素とは、その酸素源として純酸素はもとより、空気、空気と純酸素の混合気体、純酸素と窒素,ヘリウム,アルゴンなどの不活性ガスからなる任意の混合気体を用いることができ、その中でも空気を酸素源とすることが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法は、大気圧下でも実施する事が可能ではあるが、その水素化反応効率が優れることから加圧条件で行うことが好ましく、加圧する際の圧力としては、0.01MPa〜0.99MPaの範囲が好ましく、特に0.1MPa〜0.6MPaの範囲であることが好ましい。また、反応温度としては、水素化反応が可能であれば如何なる温度条件でも良く、特に水素化反応効率に優れることから20〜200℃の範囲であることが好ましく、特に50〜150℃の範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明の製造方法において水素化触媒として用いられるフラビン系化合物は、一旦、環状不飽和ポリオレフィンの水素化触媒として用い、水素化反応終了後の反応混合物より、分離回収されたフラビン系化合物である。この際の分離回収方法としては、環状飽和ポリオレフィンの再沈殿を行う方法を挙げることができ、反応混合物から環状飽和ポリオレフィンを再沈殿させる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、等を挙げることができ、特に環状飽和ポリオレフィンの回収率およびフラビン系化合物の回収の容易さに特に優れることからアセトン、メタノールが好ましい。
【0031】
本発明に用いられるフラビン系化合物は、再沈殿後、濾過により環状飽和ポリオレフィンを濾別して得られる濾液を減圧条件下で溶媒を除去することにより、濃縮残渣として回収することができる。溶媒を減圧除去する際、溶媒の種類や温度により減圧度がことなるが通常は20℃から60℃の温度範囲で3〜6kPaの減圧条件により溶媒の除去が可能である。このようにして回収されたフラビン系化合物は、繰り返し水素化触媒としての作用を有し水素化反応に使用することができる。
【0032】
本発明において環状不飽和ポリオレフィンとして上記一般式(2)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンを用いる場合、該含硫黄環状不飽和ポリオレフィンは、如何なる製造方法により得られたものであってもよく、例えば下記の一般式(6)で表される含硫黄環状化合物を公知のメタセシス重合触媒を用いてメタセシス重合することでメタセシス重合体として製造することができる。
【0033】
【化6】

(6)
(式中、R22〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R22とR23及び/又はR24とR25とは環を形成していても良い。rは1または2の整数を表す。)
ここで、R22〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R22とR23及び/又はR24とR25とは環を形成していても良い。より具体的には、例えば水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基;ベンジル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;チエニル基、ピリジル基等の複素環化合物基;シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン基等を挙げることができる。rは1または2の整数を表す。
【0034】
一般式(6)で表される含硫黄環状化合物としては、例えば2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジメチル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジエチル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジプロピル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジブチル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジオクチル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジドデシル−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジメトキシ−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジエトキシ−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジシアノ−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジ(2−チエニル)−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジ(2−ピリジル)−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジ(4−ピリジル)−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジクロロ−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジブロモ−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン、2−チア−1,3−ジヨード−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン等の無置換もしくは置換基を有する2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン類を挙げることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の方法により、従来の方法では効率よく水素化を行うことが困難であった環状不飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状不飽和ポリオレフィンの水素化が効率よく行うことが可能となり、高屈折率を有し光学用透明材料として期待される環状飽和ポリオレフィン、特に含硫黄環状飽和ポリオレフィンを経済性よく製造することが可能となる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明を説明するが、本実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0037】
<分析・測定>
〜数平均分子量・重量平均分子量の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名HLC8020GPC)を用い、クロロホルムを溶媒として40℃で測定した溶出曲線より標準ポリスチレン換算値として数平均分子量・重量平均分子量を測定した。
【0038】
〜NMRスペクトルの測定〜
核磁気共鳴スペクトル測定装置(日本電子製、商品名GSX270WB)を用い、重溶媒に重クロロホルムを用い測定した。
【0039】
〜GC−MSの測定〜
ガスクロマトグラフィー−質量分析計(ヒューレットパッカード製、商品名質量分析計5971シリーズ)を用い、カラムに外径0.25mm、長さ30mのキャピラリーカラム(GLサイエンス製,商品名DB−1)を用いて測定を行った。
【0040】
〜IRの測定〜
赤外分光光度計(日立製作所製、商品名270−30形赤外分光光度計)を用い測定を行った。
【0041】
〜UV−Visの測定〜
紫外可視分光光度計(日本分光製、製品名UVIDEC−650)を用い測定を行った。
【0042】
合成例1(2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの合成)
ジャーナル オブ オーガニック ケニストリー,30巻,p.2560〜2564(1965)に記載の方法に従い合成した。
【0043】
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl):1.62〜1.80(2H)、2.26〜2.42(2H)、2.60〜2.82(2H)、3.08〜3.28(2H)、6.11(2H)
EI−MS:152(M)
合成例2(2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンのメタセシス重合)
磁気回転子が入った100mlシュレンク管を減圧下にヒートガンで乾燥し、窒素で十分置換した。ここに、下記の一般式(7)で示されるルテニウム錯体21mg(25μmol)を入れた。このシュレンク管に乾燥クロロホルム46mlとフェニルビニルスルフィド34mg(0.25mmol)をシリンジで秤入れ、メタセシス重合触媒溶液を調製した。次に、合成例1で得られた2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエン3.8g(25mmol)を仕込み、60℃に調整したオイルバスに浸け、5時間重合を行なった。
【0044】
その後、重合溶液を2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを0.1%含んだアセトン150mlに流し込みポリマーを析出させた。ろ過後、回収したポリマーは真空乾燥機中、室温で8時間乾燥し、1.1gのポリマーを得た。
【0045】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体であることを確認した。
【0046】
270MHz H−NMRの測定結果;δ(CDCl):1.4〜3.6(10H)、5.2〜5.6(2H)
このポリマーの重量平均分子量(Mw)は50000であった。
【0047】
【化7】

(7)
合成例3(5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレートの合成)
Angew.Chem.Int.Ed.,44巻,1704〜1706頁(2005年)に記載の方法にしたがって合成し、5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレートを紫色粉体として1.1g得た。
融点測定結果:206〜208℃
UV測定結果:(CHCN)λmax418nm、559nm
IR測定結果:(KBr)1710、1650、1600、1560、1460、1440、1360、1180、1120、1100(cm−1
合成例4
磁気回転子が入った50mlのステンレスオートクレーブに、合成例2で得た2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体152mg(1mmol)と1,1,2−トリクロロエタン4mlを仕込み室温で撹拌溶解した。この溶液に、ヒドラジン−水和物240mg(4.8mmol)及びフラビン系化合物として合成例3で合成した5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレート(1.3mg/2.5μmol)を入れ、空気を0.2MPaGまで加圧し、120℃に加温したオイルバスに浸けて4時間撹拌しながら水素添加反応を行なった。尚、反応の途中で空気の入れ替えを1時間置きに3回行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、150mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去し5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレートを回収した。
【0048】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は96%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0049】
実施例1
触媒であるフラビン系化合物として合成例1で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例1と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、151mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0050】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は96%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0051】
実施例2
触媒であるフラビン系化合物として実施例1で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例1と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、151mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0052】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は95%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0053】
実施例3
触媒であるフラビン系化合物として実施例2で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例1と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、149mgのポリマーを得た(回収率98%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0054】
得られたポリマーのH−NMRスペクトル分析より、水素化率は96%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0055】
合成例5(5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレートの合成)
リービッヒ アナーレン デール ケミー,p.1388〜1415(1973)記載の方法にしたがって合成し、赤紫粉体として5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレート0.35gを得た。
融点測定結果:220〜225℃
UV測定結果:(CHCN)λmax412nm、555nm
IR測定結果:(KBr)1700、1650、1100(cm−1
合成例6
磁気回転子が入った50mlのステンレスオートクレーブに、合成例2で得た2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体152mg(1mmol)と1,1,2−トリクロロエタン4mlを仕込み室温で撹拌溶解した。この溶液に、ヒドラジン−水和物240mg(4.8mmol)及びフラビン系化合物として合成例5で合成した5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレート(0.9mg/2.5μmol)を入れ、空気を0.2MPaGまで加圧し、120℃に加温したオイルバスに浸けて4時間撹拌しながら水素添加反応を行なった。尚、反応の途中で空気の入れ替えを1時間置きに3回行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、150mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去し5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレートを回収した。
【0056】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は96%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0057】
実施例4
触媒であるフラビン系化合物として合成例6で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例6と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、151mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0058】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は95%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0059】
実施例5
触媒であるフラビン系化合物として実施例4で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例6と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、149mgのポリマーを得た(回収率98%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0060】
得られたポリマーは、H−NMRスペクトル分析より、水素化率は94%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。
【0061】
実施例6
触媒であるフラビン系化合物として実施例5で回収したフラビン系化合物を用いた以外は、合成例6と同様の操作により2−チア−1,2−ジヒドロジシクロペンタジエンの開環メタセシス重合体の水素化反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し反応液をアセトン80mlに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーはろ過後、真空乾燥機中、80℃で4時間乾燥した。乾燥後、150mgのポリマーを得た(回収率99%)。一方、濾液は3〜6kPaの減圧下、50℃で溶媒を除去しフラビン系化合物を回収した。
【0062】
得られたポリマーのH−NMRスペクトル分析より、水素化率は94%である含硫黄環状飽和ポリオレフィン(一般式(4)において、R10〜R13が水素原子、qが0である繰り返し単位よりなる重合体)であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒、ヒドラジン及び酸素の存在下、下記の一般式(1)で表されるフラビン系化合物を水素化触媒として用いて環状不飽和ポリオレフィンの水素化を行い、環状飽和ポリオレフィンを製造するに際し、該フラビン系化合物が水素化反応終了後の反応混合物から分離回収されたフラビン系化合物であることを特徴とする環状飽和ポリオレフィンの製造方法。
【化1】

(1)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基を表し、R,Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,アルコキシ基を表し、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基,シクロアルキル基、2,4:3,5−ジ−o−メチレンリビチル基、フェニル基を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜12のフェニルアルキル基を表す。)
【請求項2】
環状不飽和ポリオレフィンが下記の一般式(2)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンであり、環状飽和ポリオレフィンが下記の一般式(3)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状飽和ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の環状飽和ポリオレフィンの製造方法。
【化2】

(2)
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、RとR及び/又はRとRとは環を形成していても良い。pは0または1の整数を表す)。
【化3】

(3)
(式中、R10〜R13は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R10とR11及び/又はR12とR13とは環を形成していても良い。qは0または1の整数を表す。)
【請求項3】
環状不飽和ポリオレフィンが、下記の一般式(4)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状不飽和ポリオレフィンであり、環状飽和ポリオレフィンが、下記の一般式(5)で示される繰り返し単位よりなる含硫黄環状飽和ポリオレフィンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の環状飽和ポリオレフィンの製造方法。
【化4】

(4)
(式中、R14〜R17は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R14とR15及び/又はR16とR17とは環を形成していても良い。)
【化5】

(5)
(式中、R18〜R21は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基,アラルキル基,芳香族基、シアノ基、炭素数1〜10のアルコキシ基,複素環化合物、ハロゲン基を表し、R18とR19及び/又はR20とR21とは環を形成していても良い。)
【請求項4】
水素化反応終了後の反応混合物からフラビン系化合物を分離回収する際の溶媒が、アセトンまたはメタノールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環状飽和ポリオレフィンの製造方法。
【請求項5】
フラビン系化合物が、5−エチル−3,7,8−トリメチル−10−(2’,4’:3’,5’−ジ−o−メチレンリビチル)イソアロキサジニウムパークロレート及び/又は5−エチル−3,7,8,10−テトラメチルイソアロキサジニウムパークロレートであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の環状飽和ポリオレフィンの製造方法。

【公開番号】特開2008−150459(P2008−150459A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338710(P2006−338710)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】