説明

瓦等構造物とその製造方法

【課題】処理に苦慮している規格外瓦粉末を主要材料として、品質を保持したままの状態で、環境に配慮しながら、コスト的にも有利な瓦等構造物を提供する。
【解決手段】規格外瓦の粉末と樹脂とを混合し、所定の構造物に成形固化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄材料を用いた新しい瓦等構造物であって、特に規格外瓦を有効利用した瓦等構造物とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年に於ける住宅の屋根構造は、マンション等高層住宅化の流れもあり、瓦の使用量が減少気味であるが、戸建住宅に於いては、まだまだ根強い需要がある。瓦のブランド品である三州瓦の産地の三河地方では、現在でもなお旺盛な生産が行われている。ここで問題となるのが規格外瓦の処置である。規格外瓦所謂不良品は、通常粉末状にして、瓦の原料として再利用されるのであるが、再利用率は、約80%で残りの20%(約15,000t)が残ってしまい、その処理に苦慮しているということである。
【0003】
愛知県陶器瓦工業組合では、残った規格外瓦粉末の有効利用として、瓦再生産用以外に、コンクリートブロックの化粧材やテニスコート等のアンツーカ更には住宅エクステリア製品の原料として供給しているが、その実績は、まだまだ満足のいくものではない。
【0004】
こうした状況下、本出願人は、あらためて規格外瓦粉末の有効活用を検討し、新しい考え方のもとで、瓦を含めた構造物への再利用を図る必要を痛感したのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、処理に苦慮している規格外瓦粉末を主要材料として、品質を保持したままの状態で、環境に配慮しながら、コスト的にも有利な瓦等構造物とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、規格外瓦の粉末と樹脂とを混合し、所定の構造物に成形固化したものである。このように構成したことにより、廃棄を余儀なくされ、処理に苦慮していた規格外瓦の粉末を有効に活用することが出来る。
【0007】
請求項2記載の発明は、規格外瓦粉末の粒子が約60μmであって、樹脂をエポキシ樹脂とし、規格外瓦粉末と樹脂との混合割合として、樹脂100gに対して、規格外瓦粉末を600g〜800gの範囲としたことである。このように構成したことにより、廃棄を余儀なくされ、処理に苦慮していた規格外瓦の粉末を有効に活用することが出来るばかりでなく、品質の良い構造物を価格的に有利な状態で提供することが出来る。
【0008】
請求項3記載の発明は、瓦等構造物の製造方法として、規格外瓦粉末と樹脂を混合する第一工程と混合された材料を混練する第2工程と混練された材料を金型へ投入して所定の形状に圧縮成形する第3工程と自然放置することで固化させる第4工程からなるようにしたものである。このように構成したことにより、焼成することなしに、構造物を成形固化することが可能となるので、二酸化炭素を排出することがなく、環境に配慮することが出来る。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上説明したように構成されているので、下記に説明するような効果を奏する。
【0010】
本発明による瓦等構造物は、規格外瓦の粉末と樹脂とを混合し、所定の構造物に成形固化したので、廃棄を余儀なくされ、処理に苦慮していた規格外瓦の粉末を有効に活用することが出来る。
【0011】
更に、本発明による瓦等構造物は、規格外瓦粉末の粒子が約60μmであって、樹脂をエポキシ樹脂とし、規格外瓦粉末と樹脂との混合割合として、樹脂100gに対して、規格外瓦粉末を600g〜800gの範囲としたので、品質の良い構造物を価格的に有利な状態で提供することが出来る。
【0012】
更に、本発明による瓦等構造物の製造方法として、規格外瓦粉末と樹脂を混合する第一工程と混合された材料を混練する第2工程と混練された材料を金型へ投入して所定の形状に圧縮成形する第3工程と自然放置することで固化させる第4工程からなるようにしたので、焼成することなしに、構造物を成形固化することが可能となり、それにより、二酸化炭素排出の心配が無くなり、環境に配慮することが出来、環境保全に貢献することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による瓦等構造物の一実施形態を示す瓦の平面図である。
【図2】本発明による瓦等構造物の他の実施形態を示すレンガの斜視図である。
【図3】(a)は本発明による瓦等構造物の更に他の実施形態を示す車止めの斜視図であり、(b)は(a)とは異なる形状を持つ車止めの斜視図である。
【図4】本発明による瓦等構造物を製造する製造方法の一実施形態を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による瓦等構造物とその製造方法に付いて、図1〜図4に基づき詳細に説明する。
【0015】
図1に於いて、1は、本発明による構造物の一実施形態である瓦であって、規格外瓦の粉末と樹脂を混合して圧縮成形したものである。図2に示す2は、本発明による構造物の他の実施形態であるレンガであり、前記瓦と同じく規格外瓦の粉末と樹脂を混合して成形したものである。そして図3には、車止め3及び4が示されているが、車止め3及び4も前記瓦1とレンガ2と同様に、規格外瓦粉末と樹脂から成っていて、圧縮成形したものである。これらの構造物は、すべて同じ製造方法でもって製造(成形)されている。
【0016】
それでは、その製造方法を図4を参照しながら説明することとする。そしてその基本的な製造方法は、瓦粉末と樹脂(エポキシ樹脂)を所定の割合で混合する第一工程と混合された材料を混練する第2工程と充分混練された材料を金型へ投入して所定の形状に圧縮成形する第3工程と自然放置することで固化させる第4工程から成っている。勿論多少の変更は可能であり、例えば、第一工程である瓦粉末と樹脂との混合を第2工程である混練と同時に連続して行うようにしても良い。該製造方法の特徴は、焼成することなく成形することが出来ることであり、従って、製造(成形)時に二酸化炭素を発生することがなく、環境に配慮した方法であるという点である。尚、顔料や充填剤等を必要に応じて加えることも可能であって、その場合は、第1工程の混合時もしくは第2工程の混練時に加えるようになる。
【0017】
ここで使用する瓦粉末に付いて、あらためて説明を加えておくことにする。既に述べたとおり、使用する粉末は、瓦の原料として再利用するために粉砕した規格外瓦の粉末であって、且つ処分を余儀なくされる廃棄材料としての余った粉末である。そして粒子の大きさが約60μmのものが使用される。
【0018】
次に、瓦粉末と樹脂との混合割合であるが、図1に示す瓦の場合を取り上げ説明することにする。混合割合設定に於いては、樹脂材料や混合割合を変えたサンプルを各種作成し、テストを実施した。その結果、樹脂としてはエポキシ樹脂が適当であり、混合割合は、エポキシ樹脂100gに対し瓦粉末600g〜800gの場合が良好であった。そして汎用性のあるエポキシ樹脂を使用することにより、価格的にも有利な状態で、瓦等構造物を提供することが出来るようになる。
【0019】
瓦は、建築基準法に於いて、不燃材料を使用することが義務付けられていて、その要件は、通常の火災による火熱で燃焼しないこと、防火上有害な変形、熔融、亀裂その他を生じないこと、の2つである。そして、建築基準法第2条9号では、不燃材料として、通常の火災による火熱が加えられた場合、加熱開始後20分間上記2要件をみたしているもの、と規定されているが、本発明による構造物の一実施形態である図1に示す瓦が、この規定をクリアしていることは勿論である。
【0020】
ここまで、瓦を例に取り上げ、説明してきたが、他の実施形態であるレンガ及び車止めに付いても説明を加えることにする。然し、製造方法に於いては、基本的に瓦の場合と同じであり、使用する樹脂材料も同じエポキシ樹脂が良好であるので、特別に説明することはない。但し、製品(商品)が異なれば、求められる性能や品質が異なるのは当然のことであり、従って、瓦とレンガそして車止め各々に於ける瓦粉末と樹脂との混合割合は、まったく同じというわけではなく、多少異なることは、当たり前のことであり、むしろ必要なことである。要は、該当する製品が求められる品質や性能に即した混合割合に設定することが重要であり、これは異なる製品の間だけではなく、同じ製品であっても、仕様が異なれば、それに対応することが重要となるのは当然のことである。
【0021】
尚、使用する樹脂材料としては、エポキシ樹脂以外でも一部使用出来るものもあるが、価格的にエポキシ樹脂が最も有利であるので、念のため付言しておくことにする。更に、本発明による瓦等構造物とその製造方法は、実施形態として説明した瓦やレンガそして車止めに限定されるものではなく、広く応用可能であるので、付言しておくこととする。
【符号の説明】
【0022】
1 瓦
2 レンガ
3,4 車止め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規格外瓦の粉末と樹脂とを混合し、所定の構造物に成形固化したことを特徴とする瓦等構造物。
【請求項2】
規格外瓦粉末の粒子が約60μmであって、樹脂をエポキシ樹脂とし、規格外瓦粉末と樹脂との混合割合として、樹脂100gに対して、規格外瓦粉末を600g〜800gの範囲としたことを特徴とする請求項1記載の瓦等構造物。
【請求項3】
規格外瓦粉末と樹脂を混合する第一工程と混合された材料を混練する第2工程と混練された材料を金型へ投入して所定の形状に圧縮成形する第3工程と自然放置することで固化させる第4工程からなることを特徴とする瓦等構造物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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