説明

生ごみ処理方法および生ごみ処理装置

【課題】 米飯や麺類など粘性をもつ残飯を含む生ごみも団子状態になることなくばらばらに効率良く攪拌でき、また野菜や魚の骨なども破砕できて乾燥処理時間の短縮化を図れる生ごみ処理装置を提供する。
【解決手段】 処理槽5内に回転軸18を水平に配置し、生ごみを攪拌する攪拌羽根19を回転軸18回りに回転自在に備えた生ごみ処理装置において、攪拌羽根19が処理槽5内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成され、攪拌羽根19がこれの全長にわたって処理槽5の内面に近接対向するよう回転軸18に複数本の連結ロッド23で取付けられる。これにより攪拌羽根19の全長でもって生ごみを処理槽5の内面からすくい上げながら攪拌することになり、米飯等の粘性をもつ残飯を含む生ごみも団子状態になることなく、ばらつく状態に短時間で攪拌乾燥でき、また野菜や魚の骨などは複数本の連結ロッド23で破砕できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食堂やレストラン等から大量に出される生ごみを攪拌乾燥処理するのに好適な生ごみ処理方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の生ごみ処理機として、たとえば、生ごみが投入される処理槽内に水平に配置した回転軸に攪拌羽根又は攪拌バーを取付け、その攪拌羽根又は攪拌バーで処理物を攪拌し、処理物の真空乾燥の促進や減容効果などを講じたものがある(例えば、特許文献1参照)。上記攪拌羽根としては、図8、図9に示すように、回転軸30上に所定間隔おきに装着した複数本の連結ロッド31の各先端に細片状の攪拌羽根32を処理槽33の内面に対し直角姿勢になるよう取付けてなるものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−106768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、図8、図9に示すような攪拌羽根32を備える上記生ごみ処理装置では、回転軸30上に所定間置きに装着した複数本の連結ロッド31の各先端に取付けてある各攪拌羽根32の個々がそれぞれの表面で処理物を部分的に押し動かしたり叩いたりしながら攪拌するが、処理槽33内に投入される生ごみの中に米飯や麺類など粘性をもつ残飯が混入している場合、とくにその米飯など残飯の占める量が多い場合は攪拌に伴い処理物が団子状態になり、この団子状態がずっと続き、細粒化されるまでに非常に長い時間がかかる。そのように団子状態になる理由は定かでないが、複数個の細片状の攪拌羽根32で処理物を交互に搗いたり、捏ねたりする状態、つまり、攪拌羽根32で打って押しつぶす挙動がみられ、このため団子状態になると考えられる。団子状態になると、真空乾燥処理時間が長くかかり、最悪の場合排出口への排出を困難にすることがあった。
また、複数個の攪拌羽根32で攪拌するものでは、処理物が軸方向に相隣る攪拌羽根32,32間で押し動かされないまま処理槽33の内面33a上に一時的に停留し、この停留する処理物が処理槽33の外底側に配設した加熱手段により処理槽33の内面33aに焦げ付いたりする不具合もあった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決する為になされたものであり、その目的とするところは、特殊な形状の攪拌羽根を使い、またその攪拌羽根を回転軸に取付ける連結ロッドを利用することにより米飯や麺類など粘性をもつ残飯を含む生ごみも焦げ付かせることなく、しかも団子状態になることなく、ばらばら状態に効率良く攪拌でき、また野菜や魚骨などを効率良く破砕、細粒化できて乾燥処理時間の短縮化を図れる生ごみ処理方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生ごみ処理方法は、処理槽内に水平に配置した回転軸回りに回転自在に取付けられた攪拌羽根により処理槽内の生ごみを攪拌するに際し、前記攪拌羽根を前記処理槽内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成し、この攪拌羽根を前記回転軸に複数本の連結ロッドで取付け、前記攪拌羽根の回転に伴い該攪拌羽根の全長で前記生ごみを前記処理槽の内面からすくい上げながら攪拌すると同時に、前記連結ロッドで生ごみを破砕しながら攪拌することに特徴を有するものである。
【0007】
本発明の生ごみ処理装置は、処理槽内に回転軸を水平に配置し、生ごみを攪拌する攪拌羽根を前記回転軸回りに回転自在に備えた生ごみ処理装置において、前記攪拌羽根が前記処理槽内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成され、該攪拌羽根がその全長にわたって前記処理槽の内面に近接対向するように前記回転軸に複数本の連結ロッドで取付けられていることに特徴を有するものである。これにより帯状連続板で形成された攪拌羽根はこれの全長でもって生ごみを処理槽の内面からすくい上げながら攪拌することになる。
【0008】
ひとつの好適な態様として、本発明による生ごみ処理方法及び生ごみ処理装置は、前記攪拌羽根はその長手方向に捻られた形に形成するとともに、前記回転軸回りに正逆回転駆動するよう設置することができる。また、本発明による生ごみ処理装置は、前記連結ロッドを断面矢先形状に形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の生ごみ処理方法および生ごみ処理装置によれば、帯状連続板で形成された攪拌羽根の全長でもって生ごみを処理槽の内面からすくい上げながら攪拌するので、生ごみの中に米飯や麺類などが含まれる場合も、処理槽の内面に焦げ付かせることなく、しかも団子状態になることなく、短時間でばらばらに乾燥させることができる。この理由については定かでないが、生ごみが米飯などの場合飯粒が攪拌羽根の全長ですくい上げられ攪拌羽根のすくい面に沿って回転方向後方へ移動するときに揺れ動かされてばらばらに乱れ散らばる様に作用し、搗いたり、捏ねたりすることがないため、団子状態になることなく、短時間でばらばらに乾燥することができると考えられる。それと同時に、野菜や魚の骨などは複数本の連結ロッドで破砕し、細粒化することができる。
【0010】
また、この攪拌羽根は処理槽内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成され、処理槽内の生ごみを回転軸方向ほぼ全長にわたって一斉にすくい上げながら攪拌するので、攪拌乾燥効率がよく、しかも、前述した従来のように複数個の攪拌羽根で攪拌するもののごとく、生ごみを相隣る攪拌羽根間で押し動かさないまま処理槽の内面上に一時的に停留させるようなことはなく、したがって停留する生ごみを処理槽の内面に焦げ付かすような問題も解消できる。
【0011】
攪拌羽根はその長手方向に捻られた形に形成するとともに、正逆回転させることにより、生ごみのすくい作用を効果的に働かせることができ、生ごみの攪拌ムラなく、全体を均一に攪拌でき、生ごみのより効率的な攪拌を可能にする。またこの捻られた攪拌羽根をそのねじり方向に対応して一方向に回転させることにより攪拌乾燥処理済みの処理物を排出口の方へスムーズに移動させて排出することができる。連結ロッドを断面矢先形状に形成しておくと、野菜や魚の骨などの破砕効果をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施例に係る生ごみ処理装置を一部破断状態で示す正面図、図2は図1の生ごみ処理装置を一部破断して示す側面図、図3は攪拌羽根の正面図、図4は回転軸及び攪拌羽根の平面図、図5は図3におけるA−A線断面図である。
【0013】
図1、図2において、本発明の方法を実施できる生ごみ処理装置は、全体が直方形状のケーシング1で囲まれており、ケーシング1の上面の開口部2には開閉自在な蓋3が取付けられており、その蓋3の側方にはコントロールパネル4が設置されている。
【0014】
ケーシング1の内部には、処理槽5、加熱手段6、攪拌手段7、凝縮手段8、ドレンタンク9、及び減圧手段10などが設置されている。また、図中、11は蒸気排出管、12は温度センサ、13は制御手段である。なお、図1、図2では、制御手段13と各構成要素との間の配線類については図示するのを省略している。
【0015】
処理槽5は、例えば図1、図2のように、正面及び上方から見て矩形状で、かつ、側方から見て相対向する前後の直壁側面5a,5bと、この直壁側面5a,5bの下端どうしをつなぐ部分円弧状の底面5cを有する馬蹄形状に形成され、上部全域が上方開放状で前記開口部2に連通する投入口14になっており、この投入口14が前記蓋3で開閉される。また処理槽5の直壁側面5bの上部に蒸気排出口15が形成されている。また処理槽5の一側面5eの下部には処理物排出口16が設けられ、この処理物排出口16に連通する排出シュート17の下端部がケーシング1の一側面下部から外方へ突出している。
【0016】
加熱手段6は、図2のように、例えば処理槽5の底面5cの外側に装着したラバーヒータなどで構成され、処理槽5内の生ごみを加熱できる構成になっている。ラバーヒータに代えて、処理槽に熱風などを送り込むようにしてもよく、この場合は処理槽5に送風口(図示せず)を設けることになる。
【0017】
攪拌手段7は、図1、図2のように、処理槽5の内部に水平に配置された回転軸18、この回転軸18に連結ロッド23を介して取付けられた攪拌羽根19、回転軸18を正逆回転駆動する駆動モータ20、回転軸18に駆動モータ20の駆動力を伝達する巻掛伝達機構21等からなっている。攪拌羽根19および連結ロッド23については本発明の特徴とするものであって、詳しくは後述する。
【0018】
凝縮手段8は、処理槽5から排出された蒸気を急冷して凝縮水と気体に分離するものであり、例えば、図2のようにコンデンサ本体8a及び冷却ファン8bを備えた空冷式コンデンサなどである。なお、凝縮手段は空冷式に限らず水冷式などであってもよい。
【0019】
減圧手段10は、例えば真空ポンプなどであって、図2のように、凝縮手段8との間に排気管22が配設され、処理槽5及び凝縮手段8から蒸気又は気体を吸い出すようになっている。
【0020】
蒸気排出管11は、図2のように、処理槽5の蒸気排出口15から水平方向に延出し、凝縮手段8の上方で下方に向けて折れ曲がっており、その下流側(凝縮手段8側)の端部近傍の外周面に温度センサ12が設置されている。温度センサ12は、蒸気排出管11の温度を測定するためのもので、その検出値は制御手段13に伝達される。
【0021】
制御手段13は、CPU、ROM、RAM、I/Oポートなどで構成されたマイクロコンピュータなどでよく、I/Oポートには温度センサ12の他、コントロールパネル4、加熱手段6、攪拌手段7の駆動モータ20、凝縮手段8の冷却ファン8b、及び減圧手段10との間に信号線が配線されており、温度センサ12の検出値がコントロールパネル4による乾燥度の設定値に対応する値になった段階で加熱手段6などの動作を停止するようになっている。
【0022】
本発明の特徴とする攪拌手段7の攪拌羽根19は、図1に示すように、処理槽5内の回転軸方向ほぼ全長、すなわち処理槽5内の回転軸18の両端部を軸受24,25を介して支持する左右の側面5d,5e間のほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成される。そして、攪拌羽根19はこれの外面側19aがその全長にわたって処理槽5の直壁側面5a,5bの内面下端部及び底面5cの内面に近接対向するように回転軸18に複数本の連結ロッド23でボルト・ナットなど締結部材26を介して脱着可能に取付けられる。図示例では、各連結ロッド23は攪拌羽根19の内面から内方へ突設した羽根側連結ロッド23aと、回転軸18から直角に突設した軸側連結ロッド23bからなり、羽根側連結ロッド23aの突出側端部と軸側連結ロッド23bの突出端部とを重ね合わせ、この重合部をボルト・ナットによる締結部材26で締結してある。
【0023】
このように帯状連続板で形成された攪拌羽根19によれば、その内面側のすくい面19bの全長でもって生ごみを処理槽5の内面からすくい上げ該すくい面19bに沿って回転方向後方へ移動させながら攪拌できることになり、この結果、生ごみを処理槽5の加熱手段6で加熱される内面に焦げ付かせることなく、しかも生ごみの中に米飯や麺類など粘性をもつ残飯が含まれている場合も米粒どうし等がくっつくことなく、ばらつく状態に短時間で真空乾燥することができた。
また、野菜や魚の骨などは複数本の連結ロッド23で破砕され、細粒化することができた。とくに、図6のように連結ロッド23を断面矢先形状に形成し、その矢先部231で生ごみを破砕することにより、破砕効果をより一層高めることができ、野菜や魚の骨などの占める量が多い場合に有効である。
【0024】
攪拌羽根19は、捻れを加えない直羽根に形成してもよいが、図3〜図5に示すように、その長手方向に捻られた形に形成することが好ましい。すなわち、攪拌羽根19は捻っておくことにより生ごみのすくい作用を効果的に働かせることができるため攪拌効率をより高めることができる。またこの捻られた攪拌羽根19はそのねじり方向に対応して一方向に回転させることにより攪拌乾燥処理済みの処理物を処理物排出口16の方へスムーズに移動させて排出させることができる。なお、このように捻られた攪拌羽根19の外面側19aはこれの全長にわたって処理槽5の部分円弧状の底面5c内面に殆ど隙間無く一様に近接させることができるように回転軸18に対し交叉する斜め方向の姿勢になるよう回転軸18に連結ロッド23でもって取付けられる。
【0025】
攪拌羽根19は攪拌時には駆動モータ20により低速な正転と逆転を数回繰り返して往復回転(例えば、5〜6回/R.P.M)させることにより、米飯などの残飯もムラなく、均一なばらばら状態に攪拌でき、残飯のより効率的な攪拌を可能にすることができた。
【0026】
なお、攪拌羽根19の取付けにあたっては、図7に示すように、2枚以上の攪拌羽根19を回転軸18に取付けるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係る生ごみ処理装置を一部破断状態で示す正面図である。
【図2】図1の生ごみ処理装置を一部破断して示す側面図である。
【図3】攪拌羽根の正面図である。
【図4】回転軸及び攪拌羽根の平面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】連結ロッドの他例を示す断面図である。
【図7】他の実施例の生ごみ処理装置を図2に相応して示す側面図である。
【図8】従来例の生ごみ処理装置の攪拌羽根及び回転軸の正面図である。
【図9】従来例の生ごみ処理装置の攪拌羽根及び回転軸の側面図である。
【符号の説明】
【0028】
5 処理槽
18 回転軸
19 攪拌羽根
19b すくい面
20 駆動モータ
23 連結ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽内に水平に配置した回転軸回りに回転自在に取付けられた攪拌羽根により処理槽内の生ごみを攪拌するに際し、前記攪拌羽根を前記処理槽内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成し、この攪拌羽根を前記回転軸に複数本の連結ロッドで取付け、前記攪拌羽根の回転に伴い該攪拌羽根の全長で前記生ごみを前記処理槽の内面からすくい上げながら攪拌すると同時に、前記連結ロッドで生ごみを破砕しながら攪拌することを特徴とする、生ごみ処理方法。
【請求項2】
前記攪拌羽根がその長手方向に捻られた形に形成されるとともに、前記回転軸回りに正逆回転駆動するよう設置されている、請求項1記載の生ごみ処理方法。
【請求項3】
処理槽内に回転軸を水平に配置し、生ごみを攪拌する攪拌羽根を前記回転軸回りに回転自在に備えた生ごみ処理装置において、前記攪拌羽根が前記処理槽内の回転軸方向ほぼ全長にわたって延びる帯状の連続板で形成され、該攪拌羽根がこれの先端がその全長にわたって前記処理槽の内面に近接対向するように前記回転軸に複数本の連結ロッドで取付けられていることを特徴とする、生ごみ処理装置。
【請求項4】
前記攪拌羽根がその長手方向に捻られた形に形成されるとともに、前記回転軸回りに正逆回転駆動するよう設置されている、請求項3記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
前記連結ロッドが断面矢先形状に形成されている、請求項3又は4記載の生ごみ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−26600(P2006−26600A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212831(P2004−212831)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(599152223)株式会社宮田工機 (4)
【出願人】(000128108)株式会社エヌシーエー (2)
【Fターム(参考)】