説明

生ごみ破砕分別装置及び生ごみ破砕分別装置の管理方法

【課題】生ごみに固形物や紐状又は液状或いは金属物が混入されたものであっても、固形物や紐状に影響されず、混入された金属物を分離すると共に、所定の濃度に液状化することのできる生ごみ破砕分別装置を提供する。
【解決手段】生ごみ破砕分別装置Sは、処理タンク10と、この処理タンク10の上部に設けられた開閉自在な蓋体60を有する生ごみ投入口20と、処理タンク10に設けられた回動ブレード34を備えた破砕装置30と、処理タンク10に給水する給水口40と、処理タンク10内の処理液を排出する排出口50と、を備えている。そして、処理タンク10の底面には、底板80が配設されている。底板80は、斜面部81と、この斜面部81に連続して斜面部81より下方位置に設けられた平面部82とから構成され、この底板80に対して斜めに破砕装置30の回動ブレード34が配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生ごみ破砕分別装置及び生ごみ破砕分別装置の管理方法に係り、特にバイオマス発電装置、飼肥料化装置等に利用可能に生ごみを液状化し、使用者を管理する生ごみ破砕分別装置及び生ごみ破砕分別装置の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商業ビル、レストラン、ホテル、食品工場等施設内における従来の生ごみ廃棄及び処分に関する技術は、一般可燃処理技術、ディスポーザー処理技術、発酵肥料化・減容技術、RDF処理技術などが知られている。
【0003】
一般可燃処理技術は、調理場等で身近に置いたペール等に廃棄して、ごみ捨て場に持込み、パッカー車等が収集に来る迄そのまま放置、大型冷蔵庫で保管、アームローダーに投入し、交代で車載するなどを行っている。
この技術は、燃えるごみと一緒に廃棄できる最も簡単な技術である。この技術では、分別が不要な為、ごみの種類別のストッカーが不要という利点があるが、ダイオキシンやCO排出が多く、最も地球温暖化防止に逆行する技術であり、処理場で最もリサイクルがし難い技術である。
【0004】
ディスポーザー処理技術は、流し台等に組み込まれたディスポーザーに生ごみを投入し、水を流しながら粉砕し、下水管に流し込み、所定の場所に設けられた処理槽で排水を浄化し排水する技術である。この技術は、生ごみが最も出易い調理場に設置される為、簡単に処理できるという利点があるが、ディスポーザーの投入口に餅状の練り物を容積一杯に投入した場合、或いは繊維質のものを多く含む場合などに、回転刃が固定されて回らなくなってしまうという不都合がある。
【0005】
発酵肥料化・減容技術は、おがくず等の菌床に付かせた発酵菌で生ごみを分解したり、肥料化する技術である。この技術では、おがくず等や発酵菌の補充が必要であり、分解可能な生ごみのみを投入する必要があるという不都合がある。
【0006】
RDF処理技術は、可燃ごみや生ごみを一定のタバコフィルター程度の大きさに減容、炭素固形化して燃料として用いる技術である。しかしながら、石灰等の触媒によって固形化の作業や貯蔵等で起きる硝煙反応で火災事故等の問題があるだけでなく、焼却方法による処分は二酸化炭素排出削減に逆行するという不都合がある。
【0007】
また、生ごみを貯蔵タンク内に搬送して、その後で、処理する技術も知られている。しかし、搬入口に搬入された生ごみを順次送り込んで貯蔵タンク内に搬送するため、貯蔵タンク内に生ごみを搬入するには時間を要し、搬入口および搬入部内に存在する生ごみから発生する臭いが搬入口の周辺に漂うという不都合があり、搬入口の設置場所が限られ、搬入口から長時間生ごみが投入されない場合、搬入部内で生ごみの腐敗が始まるという衛生的な問題があった。この搬入部内における生ごみの腐敗問題は、搬入部内を乾燥している場合には生じにくいが、この場合には、搬入部内に生ごみが乾燥して付着し、搬入部を詰まらせるという不都合が生じるものであった。
【0008】
そこで、本出願人は、搬入口および搬入部に存在する生ごみから生じる臭いが搬入口周辺に漂うことを防止すると共に、搬入部の長さを自由に設定することが可能な生ごみ破砕装置を提案している(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特許第3147229号公報(段落0014,0024)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、生ごみ搬入口から投入された生ごみを破砕カッターで破砕して液状化し、この液状化した生ごみを貯蔵タンクに貯蔵する技術である。しかし、特許文献1の技術は、搬入口遮断バルブを閉じた状態で排気装置により貯蔵タンク内部を予め排気し、生ごみ搬入口からの生ごみの投入に際して搬入口遮断バルブを開き、これにより破砕カッターで破砕されて液状化した生ごみを貯蔵タンクヘ強制搬入する技術を開示しているものである。
【0011】
一般に、廃棄される生ごみには、固形物や紐状又は液状の状態に加えて、ナイフやフォーク等の金属物が間違えて混入され廃棄される場合があり、上記各従来技術や提案技術では、固形物や紐状又は液状の状態に加えて、ナイフやフォーク等の金属物が間違えて混入廃棄された生ごみを、分別すると共に、破砕、所定の濃度に液状化する技術は開示されておらず、解決することが困難であった。
【0012】
本発明では、上記課題に鑑み、生ごみの処理を、生ごみ破砕分別装置と、これに続くバイオマス発電装置又は飼肥料化装置等の回生装置の2つに分離して、そのうち生ごみに固形物や紐状又は液状或いは金属物が混入されたものであっても、固形物や紐状に影響されず、混入された金属物を分離すると共に、所定の濃度に液状化することのできる生ごみ破砕分別装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、バイオマス発電装置又は飼肥料化装置等の回生装置へ利用する生ごみを液状化する生ごみ破砕分別装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、生ごみ破砕分別装置の使用者の管理を行える生ごみ破砕分別装置の管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、請求項1の生ごみ破砕分別装置によれば、処理タンクと、該処理タンクの上部に設けられた開閉自在な蓋体を有する生ごみ投入口と、前記処理タンクに設けられた回動ブレードを備えた破砕装置と、前記処理タンクに給水する給水口と、処理タンク内の処理液を排出する排出口と、を備えた生ごみ破砕分別装置であって、前記処理タンクの底面には、斜面部と、該斜面部に連続して斜面部より下方位置に設けられた平面部とから構成された底板が配設され、該底板に対して斜めに前記破砕装置の回動ブレードが配設されていること、により解決される。
【0014】
このように、処理タンクの底面に、斜面部と、この斜面部より下方位置に平面部から構成された底板が設けているので、回動ブレードが常に下方位置に存在して空回りを防止でき、回動ブレードの回転に伴ってジェット水流を確実に発生させることが可能となる。
【0015】
このとき、請求項2のように、前記斜面部は、水平面に対して8度〜15度の角度を有して形成されていると好適である。このような角度にすることにより、傾斜面に落下したフォークやスプーン等の金属物が斜面を滑って、平面部に溜まるように構成することができる。すなわち、8度より傾斜が少ないと、金属物の滑り移動が困難となり、傾斜面に留まってしまうことがあり、また15度より大きいと、金属物の傾斜面の移動が急になり、回動ブレードを含めた他の部位に影響を及ぼすことがある。
【0016】
また請求項3のように、回動ブレードは、モータの出力軸に連結された回動軸と、該回動軸と連結された破砕刃とを備え、前記破砕刃は、円形状の土台と、該土台の上方に形成された概略円錐台形状の基部と、該基部の外周に所定間隔で形成された第1の刃群と、該第1の刃群より少なく配設された第2の刃群とを備え、第2の刃群は第1の刃群より外方に且つ円周方向に曲がって形成されている。
【0017】
このような特殊な回動ブレードにより、スムースに刃が生ごみを巻き込む事ことが可能となり、一個の刃で硬い物も柔らかい物も同時に破砕することが可能となる。殊に、従来では、生ごみの大きさや硬さによって破砕刃を変えたり、葱等の紐状の物は刃に絡み付いたりして、一定の条件下では破砕する事は非常に困難であったが、本発明の回動ブレードを構成する破砕刃は、第1の刃群と、該第1の刃群より少なく配設された第2の刃群とを備え、第2の刃群は第1の刃群より外方に且つ円周方向に曲がって形成されている独自の形状と流体力学によって形成されたものであり、この特殊な刃の形状によって、破砕タンク全体を攪拌する事が可能となり、後々に入ってくる生ごみと最初に投入された生ごみが適度に混ざり合う事によって、平均的な性状の資源化が可能となる。
【0018】
また、請求項4のように、回動ブレードは底板の平面部寄りの斜面部側で、水平面に対して15〜30度の範囲で上方に傾斜して配設されていると好適である。このように回動ブレードを平面に対して15〜30度の範囲で上方に傾斜して配設することにより、ジェット水流をつくり出し、回動ブレードで混入された生ごみの比重によって重く硬い生ごみは刃に直接触れて破砕され、軽い物や葱等の紐状の物は水のジェット水流によって掻き回されながら、徐々に液状化される為、刃に絡みついたり、練り状の物が刃にこびりついたりして硬いごみの破砕を妨げることがない。
【0019】
前記処理タンクに設けられた排出口は、前記底板の平面部と反対側の斜面部上方位置に形成されていると好適である。このようにすることによって、回動ブレードは位置が排出口より下がることがなく、排出口から液状化した生ごみを排出しても、回動ブレードが空回りすることを防止できると共に、円滑な排出を可能とするものである。
【0020】
また底板の平面部側の処理タンク壁面には、異物除去点検口が設けられると好適である。このように固形物や紐状又は液状の状態に加えて、ナイフやフォーク等の金属物が間違えて混入廃棄されても、水の緩衝作用で直接ぶつかる事なく、重さで斜面部から平面部へ移動し、平面部に集合されるので、メンテナンス時に異物除去点検口から取り出せる構造になっている。
【0021】
投入口の内側には、跳ね防止板が投入口の開口から斜め下方に向けて所定範囲で配設されていると好適である。このように、跳ね防止板により、投入された生ごみによって、処理タンク内の液状化した内容物が跳ね返って、投入者に付着するのを防止することが可能となる。
【0022】
前記処理タンク内には、少なくとも前記排出口の位置及び回動ブレードの位置より上方で、跳ね防止板より下方位置まで、前記給水口から給水すると好適であり、このように排出口の位置及び回動ブレードの位置より上方まで給水しているので、回動ブレードが空回りすることなく、ジェット水流とすることができ、液状化した生ごみを排出口から容易に排出することが可能となる。なお給水を跳ね防止板の下方位置にしているのは、ジェット水流が跳ね防止板に影響するのを防止するものである。
【0023】
また、処理タンク内には、外側に向けた複数の枝を備えた柱体が上下方向に配設されていると好適である。このように外側に向けた複数の枝を備えた柱体によって、紐状物や繊維質などを、柱体に引っ掛けることが可能となり、回動ブレードへの影響を少なくし、同時にジェット水流が円滑に発生して生ごみの液状化を確実に行うことができるものである。
【0024】
前記課題は、本発明の生ごみ破砕分別装置の管理方法によれば、複数の個所に分散配置され、投入口から投入された生ごみを液状化して処理タンクに蓄積するとともに、該処理タンクに蓄積された液状化生ごみを排出口から排出して回収する生ごみ破砕分別装置において、前記請求項1乃至9の生ごみ破砕分別装置を用いるものであって、前記投入口から生ごみを投入する前記生ごみ破砕分別装置の使用者を識別する使用者識別手段と、前記使用者識別手段で識別した使用者が適正と判別された場合のみ前記投入口からの生ごみの投入を可能にする生ごみの投入管理手段とを具備し、前記使用者識別手段は、前記投入口の近傍に設けられた読み取り手段と、前記読み取り手段で読み取られた前記使用者の携帯する認証札からの読取り情報を前記生ごみ破砕分別装置を管理するセンタ装置に無線で照会することにより前記使用者が適正であるか否かを識別する識別手段とを具備したこと、により解決される。このように構成すると、上記請求項1乃至9の生ごみ破砕分別装置を使用する使用者の管理を行える。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、処理タンクの底面に、底板が斜面部と平面部からなり、回動ブレードが常に下方位置に存在しているので、空回りを防止でき、回動ブレードの回転に伴ってジェット水流を確実に発生させることが可能となる。またこの斜面部は、水平面に対して8度〜15度の角度を有して形成されているので、傾斜面に落下したフォークやスプーン等の金属物が斜面を滑って、平面部に溜まるように構成することができる。
【0026】
本発明では、特殊な回動ブレードにより、スムースに刃が生ごみを巻き込むことが可能となり、一個の回転ブレードにより、生ごみに含まれる硬い物も柔らかい物も同時に破砕することが可能となる。そして、回動ブレードを平面に対して15〜30度の範囲で上方に傾斜して配設することにより、ジェット水流をつくり出し、混入された生ごみの比重によって重く硬い生ごみは、回動ブレードの刃に直接触れて破砕され、軽い物や葱等の紐状の生ごみは、水のジェット水流によって掻き回されながら、徐々に液状化される為、刃に絡みついたり、練り状の物が刃にこびりついたりして、硬いごみの破砕を妨げることがない。
【0027】
また、本発明では、回動ブレードの位置が排出口より下がることがなく、排出口から液状化した生ごみを排出しても、回動ブレードが空回りすることを防止できると共に、円滑な排出を可能とする。
そして、ナイフやフォーク等の金属物が間違えて混入廃棄されても、水の緩衝作用で直接ぶつかることがなく、重さで斜面部から平面部へ移動し、平面部に集合されるので、メンテナンス時に異物除去点検口から容易に取り出せ、除去することが可能である。
【0028】
本発明では、跳ね防止板により、投入された生ごみによって、処理タンク内の液状化した内容物が跳ね返って、投入者に付着するのを防止することが可能となる。
そして、排出口の位置及び回動ブレードの位置より上方まで給水しているので、回動ブレードが空回りすることなく、ジェット水流とすることができ、液状化した生ごみを排出口から容易に排出することが可能となる。なお給水を跳ね防止板の下方位置にしているのは、ジェット水流が跳ね防止板に影響するのを防止できる。
【0029】
また、外側に向けた複数の枝を備えた柱体によって、紐状物や繊維質などを、柱体に引っ掛けることが可能となり、回動ブレードへの影響を少なくし、同時にジェット水流が円滑に発生して生ごみの液状化を確実に行うことができる。また使用者の管理を確実に行えるものである。
【0030】
以上のように本発明によれば、従来、生ごみをペール等で運び、投入した場合、重量計測と投入口での破砕を行っていたが、円滑に刃が生ごみを巻き込むことができず、一人一人の作業が円滑に進まないため、投入者が列をつくってしまうという不都合を解消し、生ごみの大きさや硬さによって破砕刃を変えたり、葱等の紐状の物は刃に絡み付いたりして、一定の条件下では破砕することが非常に困難であったが、本発明により、上記不都合は解消し、同時に、処理タンク全体を攪拌することが可能で、後々に入ってくる生ごみと最初に投入された生ごみが適度に混ざり合うことによって、平均的な性状の資源化が可能となったものであり、従来技術にない、多くの利点、特有の効果を備えた生ごみ破砕分別装置及び管理方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図は本発明の実施形態を示すものであり、図1は生ごみ破砕分別装置の概略構成を示す側面説明図、図2は図1の上方からみた一部切り欠いた概略平面説明図、図3は生ごみ破砕分別装置の蓋体を開放した説明図、図4は回動ブレードの説明図、図5は柱体の説明図、図6はフィルター金網の説明図、図7は図6の上方からみた平面説明図である。なお、図1では後述する水位センサー、蓋体の駆動装置、リフティングラグ等は省略して図示している。
【0032】
本発明に係る生ごみ破砕分別装置Sは、処理タンク10と、生ごみ投入口20と、破砕装置30と、給水口40と、排出口50とを主要構成要素としている。
本実施形態の処理タンク10は、図1乃至図3で示すように、中空円筒体状をしており、上部の片方側(図1では左側)に生ごみ投入口20となる開閉自在の蓋体60が形成されている。蓋体60は、図2で示すように、一端側が回動軸61で支持されており、この回動軸61は油圧シリンダ或いは空気圧シリンダなどの駆動装置(図2の鎖線で示す)により回動され、蓋体60が生ごみ投入口20を塞いだり開放したりするように形成されている。なお、本実施形態の蓋体60の開閉及び生ごみの投入に関する管理は、本出願人の特許第3484657号で示されるような公知の管理方法を利用することができる。
【0033】
この生ごみ投入口20に内側には、図1及び図3で示すように、跳ね防止板21が、投入口20の開口から斜め下方に向けて所定範囲で配設されている。跳ね防止板21は、図3で示すように、斜め下方に向けて傾斜した滑り台状のものから形成されている。
【0034】
また、蓋体60の近傍には給水口40が形成されている。この給水口40から、処理タンク10内に給水するが、給水量は、最低30リットル以上の容量の水を給水し約30%程度貯えるようにしたもので、処理タンク10内に、少なくとも排出口50の位置及び後述する回動ブレード34の位置より上方の位置まで注入し、水位の上限は、跳ね防止板21より下方位置までとするようにしている。
【0035】
また処理タンク10の上部には、図2で示すように、水位センサー91が設けられ、上記のように給水したときに、処理タンク10内の給水状態を不図示の水位計或いはモニター等で確認することができるように構成されている。これは生ごみを投入した量との兼ね合いで、給水量を制御するように構成されている。
【0036】
処理タンク10には、図1及び図2で示すように、蓋体60側の下方位置に異物除去点検口70が形成されている。異物除去点検口70は、後述する底板80の平面部82に連続するように形成されるもので、底板80の平面部82側の処理タンク10の壁面に形成されている。従って、この異物除去点検口70から金属などの重量のある異物を取り出せるようになっている。なお、常時には異物除去点検口70は密閉蓋71によって閉塞されている。
【0037】
上記蓋体60と反対側には、図1及び図2で示すように、フィルター金網92を配置、取り出し等を行うためのフィルター金網92の取り出し点検口23が形成されている。フィルター金網92は、図6及び図7で示すように、多数の小孔が形成された円弧状のものであり、上部には取っ手93が形成されている。このフィルター金網92は排出口50を覆っては位置されるが、不図示のガイド等により上方からガイドに沿って処理タンク10内に配置される。
【0038】
排出口50は、このフィルター金網92の配置範囲の位置で、処理タンク10の下方に形成されている。排出口50は、処理タンク10内の処理液を排出し、次の工程に移動させるためのものであり、この排出口50は、図1で示すように、底板80の平面部82と反対側の斜面部81の上方位置に形成されている。またこの排出口50は不図示の真空ポンプ等と連結されており、処理液を吸引して処理タンク10内から液状化した生ごみを排出するものである。そして、タンクローリー車や施設内に設けられた搬送パイプでバイオマス発電装置又は飼肥料化装置等へ供給される。
なお、処理タンク10の上部所定位置には、処理タンク10を設置する等に持ち上げるためのリフティングラグ95が設けられている。
【0039】
本実施形態の処理タンク10の底面には、図1で示すように、底板80が配設されている。底板80は斜面部81と、この斜面部81に連続して斜面部81より下方位置に設けられた平面部82とから構成されている。本実施形態の斜面部81は、水平面に対して8度〜15度の角度を有して形成されており、排出口50から下方に向けて傾斜している。本実施形態では12度の傾斜を設けている。このように傾斜面となっているので、落下したフォークやスプーン等の金属物が斜面を滑って、平面部82に溜まるようになる。
【0040】
すなわち、斜面部81の傾斜が8度より少ないと、金属物の滑り移動が困難となり、傾斜面に留まってしまうことがあり、また15度より大きいと、金属物の斜面部81での移動が急になり、回動ブレード34を含めた他の部位に影響を及ぼすことがある。
【0041】
上記底板80に対して斜めの位置に、破砕装置30が配設されている。本実施形態の破砕装置30は、処置タンク10の外に取り付け口を介して配設された駆動手段(駆動モータなど)32と、減速装置或いは加速装置を介して、出力される駆動手段32の出力軸に連結された回動ブレード34とから構成されている。回動ブレード34は処理タンク10の内部下方に配設される。
【0042】
本実施形態の回動ブレード34は、図1で示すように、底板80の平面部82寄りの斜面部81側で、水平面に対して15〜30度の範囲で上方に傾斜して配設されている。回動ブレード34は、図4で示されるように、駆動手段(駆動モータなど)32の出力軸に連結された回動軸33と、この回動軸33と連結された破砕刃35と、を備えている。
【0043】
本実施形態の破砕刃35は、土台35aと、第1の刃群35bと、第2の刃群35cと、第1の刃群35b及び第2の刃群35cを取り付ける基部35dと、を主要構成要素としている。土台35aは、円形状をしており、この土台35aの上方に概略円錐台形状の基部35dが形成されている。この基部35dの外周には、第1の刃群35bと第2の刃群35cが設けられている。第1の刃群35bは、所定間隔で等間隔に中心から放射状に概略円錐台形状の基部35dの形状に沿って形成されている。本実施形態では20個の刃を形成している。
【0044】
また第2の刃群35cは、上記第1の刃群35bより少ない個数で配設されるもので、第2の刃群35cは第1の刃群35bより外方に且つ円周方向に曲がって形成されるが、本実施形態では等間隔で3つ形成されている。第2の刃群35cは概略円錐台形状の基部35dの上方(図4(b)の上側)が幅広となっており、概略円錐台形状の基部35dの形状に沿って時計回り(図4(a)参照)に細くねじれをもって形成され、第2の刃群35cの外周端部は、上記第1の刃群35bより外側まで延出して形成されている(図4(a)参照)。
【0045】
この土台35a及び基部35dには、連結孔36が形成されており、破砕刃35は、ボルトナット37により土台35aと連結され、この土台35aが回動軸33と連結されている。なお、回動軸33は、本実施形態では、減速装置或いは加速装置及び出力軸を介して接続されているが、回動軸33と駆動装置の出力軸とを兼用することもできる。また、駆動手段の回転力などは、減速装置或いは加速装置を介さず、直接駆動手段の回転制御によって制御してもよい。
【0046】
また処理タンク10内には、図5で示すように、外側に向けた複数の枝100a,100a・・を備えた柱体100が、処置タンク10の上下方向に配設されている。この柱体100は、処理タンク10の上面に形成された配置口から配設されるもので、底板80に形成された不図示の係合部に、下部が固定され、上部は配置口の蓋部101に設けられた係止部(不図示)によって、固定されている。柱体100に形成された枝100a,100a・・は、本実施形態では、図5で示すように、上方向に向けて、3方向に所定間隔を置いて複数形成されている。この枝100a,100a・・によって、紐状物や繊維質などを絡ませ、除去することが可能である。
【0047】
次に、上記構成からなる生ごみ破砕分別装置Sの動作について説明する。
先ず、処理タンク10に、最低30リットル以上の容量の水を給水し約30%程度貯える。次に、生ごみ投入口20から処理タンク10内に生ごみを投入する。このとき常時には、処理タンク10は蓋体60で閉塞されているため、所定の処理(後述する管理システムなどを参照)を行い、生ごみ投入口20を覆う蓋体60が開き、生ごみを投入できるようになる。生ごみを投入すると、生ごみは、跳ね防止板21に沿って処理タンク10内に入り、投入した生ごみによって、処理液(生ごみと水が混ざって液状化したもの)が跳ね返って、投入者に付着するのを防止できる。
【0048】
生ごみの投入が終了すると、生ごみ投入口20を蓋体60が覆って閉塞させる。そして、破砕装置30の回動ブレード34を駆動して、処理タンク10内に配設された回動ブレード34を一方向に高速回転させることによって、水を攪拌しながら投入された生ごみを破砕、所定の濃度に液状化する。このとき、高速で一方向に回転させるためにジェット水流が発生し、同時に、混入された生ごみの比重によって、重く硬い生ごみは、回動ブレード34の破砕刃35に直接触れて破砕され、軽い物や葱等の紐状の物は、回動ブレード34の回転によって生じたジェット水流によって掻き回されながら、徐々に液状化される。
【0049】
これにより、破砕刃35に絡みついたり、練り状の物が破砕刃35にこびりついたりして硬いごみの破砕を妨げることがないようにすることができる。また一般に、ごみには、固形物や紐状又は液状の状態に加えて、ナイフやフォーク等の金属物が間違えて混入廃棄される場合があるが、このような場合でも、水の緩衝作用で直接ぶつかる事がなく、金属物の自重で、底板80に至ると共に、底板80の斜面部81から平面部82へ移動しながら沈み、メンテナンス時に使用する異物除去点検口70から取り出せるものである。
【0050】
様々な状態で投入された生ごみは、特殊な回動ブレード34により、スムースに刃が生ごみを巻き込み、一個の刃で硬い物も柔らかい物も同時に破砕することが可能となる。殊に、従来では、生ごみの大きさや硬さによって破砕刃35を変えたり、葱等の紐状の物は刃に絡み付いたりして、一定の条件下では破砕する事は非常に困難であったが、本実施形態の回動ブレード34を構成する破砕刃35は、第1の刃群35bと、この第1の刃群35bより少なく配設された第2の刃群35cとを備えており、第2の刃群35cは第1の刃群35bより外方に且つ円周方向に曲がって形成されている独自の形状であり、この独自の破砕刃35によって回流するジェット水流と流体力学によって形成されたものであり、この回動ブレード34により、処理タンク10内全体を攪拌し、後々に入ってくる生ごみと最初に投入された生ごみが適度に混ざり合うことによって、平均的な性状の資源化された処理液(所定濃度に液状化したもの)とすることが可能となる。また、回動ブレード34は、最後に反転させて所定時間逆方向の回転を行って、停止する。
【実施例】
【0051】
図8は、生ごみ破砕分別装置Sを用いた管理方法に関する実施態様を示すもので、図8は生ごみ破砕分別装置Sを含む生ごみ処理方法の一例を示すフローチャートである。本実施態様において、前記した実施態様と同一部材、同様構成には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施形態は、前記した生ごみ破砕分別装置Sに、処理量積算により、処理管理を行う生ごみ処理方法の例を示すもので、使用者の管理を行える管理方法である。この処理方法は、データ記憶手段(HDDや半導体メモリ、その他公知の記憶手段など)、出力手段(有線、無線、光等の各種通信手段やレシート発行を含むプリンタ、チケット発行装置などデータ通信やデータ記録類のハード出力など)、演算装置(CPU)、表示手段(ディスプレイなど)を付加したものである。また、これらの一部は管理部門(ホスト)と出力手段のうち通信手段により情報のやりとりを行うことができるものである。これらは、前記した生ごみ破砕分別装置Sと接続され、生ごみ破砕分別装置Sを構成する駆動手段や検出手段等から情報を取得し、これらに信号を与えて制御することができるものである。
【0053】
例えば、生ごみ破砕分別装置Sに生ごみを投入する際は、予め利用者に配布した認証札(ICタグ)を読み取る読取装置を設けておき、この読み取り装置に認証札を読み取らせること(ステップ201)によって、生ごみ投入口20の蓋体60が開口する(ステップ202)ように構成することで、認証札を所持していない人物は、生ごみを投入できない構造とすることができる。生ごみの投入(ステップ203)が終了して認証札を取り出す(ステップ204)と、生ごみ投入口20を蓋体60が閉塞する(ステップ205)。
【0054】
そして生ごみを投入すると、生ごみ破砕分別装置Sの本体底辺部に設けられた特殊計量機によって、生ごみ投入重量測定を行い(ステップ206)。これにより食品リサイクル法の報告に要するリサイクル量の積算を可能とする。なお、生ごみ投入重量測定は、投入前後の重量の差分によって計測が可能である。次に処理タンク10の洗浄(或いは給水)を行い(ステップ207)、その後に破砕装置30を駆動させる(ステップ208)。この破砕装置30の動作は、前述したものと同様である。
【0055】
そして、破砕装置30を駆動すると共に、チケット(或いはレシート)を発行する(ステップ209)。このチケット(或いはレシート)は、スーパーマーケットや商業ビル等に入居しているテナントに対してリサイクル料の積算及びリサイクル料金の請求等も同時に計算し提供するようにしたものである。このようにすると、職種別に異なる生ごみ量差に順応した請求を行えることになる。
【0056】
そして、また上記生ごみ投入の各種データ、例えば地球温暖化防止における二酸化炭素排出削減量の積算、新エネルギーや省エネ量の積算、生ごみ資源を発電やその他に再生利用する処理装置に投入の各種情報を記憶する(ステップ210)。次に、無線装置等の通信手段によって、上記記憶した各種情報をホスト側へ送信し(ステップ211)、管理することができる。
【0057】
また、再度生ごみを再投入するかどうか判断し、投入するために読み取り装置に認証札を再度読み取らせる(ステップ212:YES)と、破砕装置30の駆動を停止(ステップ213)し、ステップ202に戻りステップ212までの処理を行う。一方、再投入を行わない(例えば所定時間が経過したとき)ような場合(ステップ212:NO)、破砕装置30の回動ブレード34を逆回転に駆動(所定時間)する(ステップ214)。その後、破砕装置30の駆動を停止する(ステップ215)。
【0058】
なお、生ごみ破砕分別装置Sの間で、連結送信する事によって、処理装置に常時処理量の事前情報を与え、円滑に連動する事もできる。
さらに、上記システムに関しては、本出願人の特許第3484657号で記載しているようにICタグ等を利用した技術を利用することも可能である。
【0059】
つまり、複数の個所に分散配置され、投入口から投入された生ごみを液状化して処理タンクに蓄積するとともに、該処理タンクに蓄積された液状化生ごみを排出口から排出して回収する生ごみ破砕分別装置において、本発明の請求項1乃至9の生ごみ破砕分別装置を用いるものであって、前記投入口から生ごみを投入する前記生ごみ破砕分別装置の使用者を識別する使用者識別手段と、前記使用者識別手段で識別した使用者が適正と判別された場合のみ前記投入口からの生ごみの投入を可能にする生ごみの投入管理手段とを具備し、前記使用者識別手段は、前記投入口の近傍に設けられた読み取り手段と、前記読み取り手段で読み取られた前記使用者の携帯する認証札からの読み取り情報を前記生ごみ破砕分別装置を管理するセンタ装置に無線で照会することにより前記使用者が適正であるか否かを識別する識別手段とを具備するように構成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る生ごみ破砕分別装置の概略構成を示す側面説明図である。
【図2】図1の上方からみた一部切り欠いた概略平面説明図である。
【図3】生ごみ破砕分別装置の蓋体を開放した説明図である。
【図4】回動ブレードの説明図である。
【図5】柱体の説明図である。
【図6】フィルター金網の説明図である。
【図7】図6の上方からみた平面説明図である。
【図8】本発明に係る生ごみ破砕分別装置の管理方法に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10 処理タンク
20 生ごみ投入口
21 跳ね防止板
23 取り出し点検口
30 破砕装置
33 回動軸
34 回動ブレード
35 破砕刃
35a 土台
35b 第1の刃群
35c 第2の刃群
35d 基部
36 連結孔
40 給水口
50 排出口
60 蓋体
61 回動軸
70 異物除去点検口
80 底板
81 斜面部
82 平面部
91 水位センサー
92 フィルター金網
100 柱体
100a 枝
S 生ごみ破砕分別装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理タンクと、該処理タンクの上部に設けられた開閉自在な蓋体を有する生ごみ投入口と、前記処理タンクに設けられた回動ブレードを備えた破砕装置と、前記処理タンクに給水する給水口と、処理タンク内の処理液を排出する排出口と、を備えた生ごみ破砕分別装置であって、
前記処理タンクの底面には、斜面部と、該斜面部に連続して斜面部より下方位置に設けられた平面部とから構成された底板が配設され、該底板に対して斜めに前記破砕装置の回動ブレードが配設されていることを特徴とする生ごみ破砕分別装置。
【請求項2】
前記斜面部は、水平面に対して8度〜15度の角度を有して形成されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項3】
前記回動ブレードは、モータの出力軸に連結された回動軸と、該回動軸と連結された破砕刃とを備え、前記破砕刃は、円形状の土台と、該土台の上方に形成された概略円錐台形状の基部と、該基部の外周に所定間隔で形成された第1の刃群と、該第1の刃群より少なく配設された第2の刃群とを備え、第2の刃群は第1の刃群より外方に且つ円周方向に曲がって形成されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項4】
前記回動ブレードは前記底板の平面部寄りの斜面部側で、水平面に対して15〜30度の範囲で上方に傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項5】
前記処理タンクに設けられた排出口は、前記底板の平面部と反対側の斜面部上方位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項6】
前記底板の平面部側の処理タンク壁面には、異物除去点検口が設けられたことを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項7】
前記投入口に内側には、跳ね防止板が投入口の開口から斜め下方に向けて所定範囲で配設されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項8】
前記処理タンク内には、少なくとも前記排出口の位置及び回動ブレードの位置より上方で、跳ね防止板より下方位置まで、前記給水口から給水してなることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項9】
前記処理タンク内には、外側に向けた複数の枝を備えた柱体が上下方向に配設されていることを特徴とする請求項1記載の生ごみ破砕分別装置。
【請求項10】
複数の個所に分散配置され、投入口から投入された生ごみを液状化して処理タンクに蓄積するとともに、該処理タンクに蓄積された液状化生ごみを排出口から排出して回収する生ごみ破砕分別装置において、前記請求項1乃至9の生ごみ破砕分別装置を用いるものであって、前記投入口から生ごみを投入する前記生ごみ破砕分別装置の使用者を識別する使用者識別手段と、前記使用者識別手段で識別した使用者が適正と判別された場合のみ前記投入口からの生ごみの投入を可能にする生ごみの投入管理手段とを具備し、前記使用者識別手段は、前記投入口の近傍に設けられた読み取り手段と、前記読み取り手段で読み取られた前記使用者の携帯する認証札からの読取り情報を前記生ごみ破砕分別装置を管理するセンタ装置に無線で照会することにより前記使用者が適正であるか否かを識別する識別手段とを具備したことを特徴とする生ごみ破砕分別装置の管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−291761(P2009−291761A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150421(P2008−150421)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(508172904)日本エコ発電株式会社 (1)
【Fターム(参考)】