説明

生コンクリートバケット

【目的】 パワーショベルやバックホー等の先端にアタッチメントとして装着して使用する生コンクリートバケットにおいて、生コンクリート吐出のための開閉蓋の操作性を向上させると共に、生コンクリートの吐出量を任意に調節可能としたものである。
【構成】 パワーショベルやバックホー等の建設用機械における作業アームのディスタンスピースを挟持して軸着するとともに、作業アームの油圧シリンダのピストンロッドを回動可能に軸着する孔19,20を穿設した連結部18を有する枠体17にバケット本体3aを固定し、バケット本体3aの排出口29に底蓋27を開閉可能に軸着し、底蓋27をバケット本体3aの外部に固定した電動モータ24で駆動するアクチュエータ23の伸縮ロッド26に連結し、電動モータ24を前記建設用機械のバッテリーと接続してリモートコントロールスイッチを介し底蓋27を開閉操作可能に構成した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は生コンクリートバケットに関し、特にはパワーショベルやバックホー等の先端にアタッチメントとして装着して使用する生コンクリートバケットにおいて、生コンクリート吐出のための開閉蓋の操作性を向上させると共に、生コンクリートの吐出量を任意に調節可能としたものである。
【0002】
【従来の技術】
建設や建築現場において生コンクリートを使用するときは、ミキサー車等から生コンクリートバケットに生コンクリートを移し変えて、生コンクリートバケットをコンクリート打設現場まで運搬することが行われている。
【0003】
この場合、生コンクリートバケットをワイヤロープに吊してクレーンで揚重し、若しくはバックホー等の建設用機械の先端にアタッチメントとして生コンクリートバケットを取り付けて運搬している。そして、コンクリート打設現場において生コンクリートバケットの底蓋を開いて生コンクリートを排出するのである。
【0004】
生コンクリートバケットの底蓋の開閉操作はハンドルを作業員が手回しして行うものが殆どであるが、バックホー等の場合には油圧装置を搭載しているので、その油圧装置から配管を導いて油圧シリンダにて底蓋を開閉操作できるようにしている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、作業員が手回しでハンドル操作して底蓋を開閉する場合、一度底蓋を開いてしまった後、生コンクリートが吐出している間に底蓋を閉じて開閉幅を調節する作業はとても困難であり、そのため吐出量の調節は無理であった。
【0006】
また、バックホー等の油圧装置を利用して底蓋を開閉するのは、配管に要する経費や油リーク等作業環境に及ぼす悪影響が大である。
【0007】
そこで、本考案は吐出のための開閉蓋の操作性を向上させて吐出量を任意に調節できるとともに、バックホー等のアタッチメントとして使用でき、しかも、油漏れ等作業環境に悪影響を及ぼすことの少ない生コンクリートバケットを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本考案の生コンクリートバケットは、パワーショベルやバックホー等の建設用機械における作業アームのディスタンスピースを挟持して軸着するとともに、作業アームの油圧シリンダのピストンロッドを回動可能に軸着する連結部を有する枠体にバケット本体を固定し、該バケット本体の排出口に底蓋を開閉可能に軸着し、該底蓋を前記枠体又はバケット本体の外部に固定した電動モータで駆動するアクチュエータの伸縮ロッドに連結してなる構成を提供する。
【0009】
また、電動モータを建設用機械のバッテリーと接続してリモートコントロールスイッチを介し底蓋を開閉操作可能にした構成、リモートコントロールスイッチを、パワーショベルやバックホー等の建設用機械の運転席近傍とバケット本体近傍の双方又は一方に配置してなる構成、連結部は作業アームのディスタンスピースが合致してピンを挿通する孔と、ピストンロッドの端部が合致してピンを挿通する孔が穿設されている構成、及び底蓋はバケット本体の排出口を2分して覆う一対の略コ字形の羽根からなり、該羽根がバケット本体の外壁部に回動可能にそれぞれ軸支され、かつ、その軸部に互いに噛み合うセクターギヤを軸着してなる構成を提供する。
【0010】
【作用】
上記構成の本考案によれば、バケット本体は作業アームに連結されて建設用機械により自在に操縦でき、したがって、ミキサー車等から直接生コンクリートを受けることができる。受けた生コンクリートを排出するときは、電動モータの操作により底蓋を全開するのは勿論、半開するなど排出量の調節ができる。そして、バケット底部の開閉蓋の開閉をバックホー等のバッテリーを電源として、直流モータを駆動させて、開閉蓋に装着したロッドを伸縮させることにより開閉を行う。そのため、開閉蓋の開閉を任意の位置で停止させることができ、開閉量に応じて生コンクリートの吐出量を調節することができ、作業内容に応じて吐出量を細かく調節した吐出作業が可能となるる。さらに、遠隔操作によるバックホー等の運転席からの操作、或はバケットの手元からの操作を選択する事ができ、視野のよい安全な場所で作業をすることができる。
【0011】
【実施例】
以下本考案の実施例を図面に基づき説明する。図1に示すように、周知の建設用機械であるバックホー1における作業アーム2の先端部に、バケット3がピン4にて回動可能に装着されている。そして、作業アーム2の先端部付近に固定された油圧シリンダ5のピストンロッド6の端部をピン7でバケット3に連結してある。したがって、油圧シリンダ5を運転席8の手前にある操作盤9の複数本のレバー10の一部を操作することによって、バケット3は水平又は前後方向へ傾斜して保持できる。
【0012】
なお、作業アーム2はその油圧シリンダ11をレバー10で駆動操作することにより、ピン16を中心として時計方向又は反時計方向へ回動し、また、作業アーム2を支持する起動アーム13はその油圧シリンダ14を駆動操作することにより、ピン15を中心として時計方向又は反時計方向へ回動することができる。
したがって、バケット3の位置はいかようにでも保持できる。
【0013】
バケット3は、図2〜4に示すように、切頭円錐形をしたバケット本体3aを枠体17にて囲んで補強し、この枠体17にバックホー等への連結部18を一体形成してある。連結部18にはピン4,7を挿通する孔19,20が穿設されている。枠体17はバケット本体3aを包囲し地面に載置して自立できる。
【0014】
バケット3と作業アーム2との連結は、図5に示すように、作業アーム2の先端部のディスタンスピース2aにカラー21を嵌合して孔19に合わせ、ピン4を挿通して抜け止め具22をピン結合して固定する。
【0015】
連結部18内部には電動モータ24で作動するアクチュエータ23がバケット本体3aの外側壁部にヒンジ25を介して揺動可能に吊支され、また、アクチュエータ23の伸縮ロッド26の端部は底蓋27の端部にヒンジ28を介して連結されている。ヒンジ25はバケット本体3aの外側壁部でなく連結部18に支持させてもよい。
【0016】
電動モータ24の駆動電源はバックホー1に搭載してあるバッテリーを利用するものとし、ケーブル等の配線を介して接続される。そして、操作は図6に示すリモートコントロールスイッチ40,40aを用いる。このリモートコントロールスイッチ40は運転席8の操作盤9近傍に常備され、リモートコントロールスイッチ40aはバケット3の近傍に常備される。図示例ではリモートコントロールスイッチ40は運転席8にカールコード52にて延長可能に装備されている。
一方リモートコントロールスイッチ40aは枠体17に固定されたケース51にカールコード52にて延長可能に収納されている(図2,図3参照)。この二つのリモートコントロールスイッチ40,40aを作業内容や作業場所に応じて使いわけるものである。なお、リモートコントロールスイッチ40,40aはどちらかを単独で装備し、必要によって取り外して使用するようにしても良い。図6において、41は自己保持用の取込スイッチ、42は開ボタン、43は閉ボタン、44は取込解除兼非常停止用の停止ボタンである。2つのリモートコントロールスイッチ40,40aの使い分は、使用する方のリモートコントロールスイッチ40,40aの自己保持用の取込スイッチ41を入に操作することにより、その入操作をした方のリモートコントロールスイッチのみが使用可能となるものである。よって、自己保持用の取込スイッチ41を入操作していないリモートコントロールスイッチ40,40aは操作することができない。
【0017】
底蓋27はバケット本体3aの排出口29を覆う略コ字形の2枚の羽根30,30がバケット本体3aの外側壁部に直径方向で相対向して固定されたブラケット31,31にそれぞれシャフト32,32で回動可能に軸支されている。排出口29はシャフト31,31を中心として下方へ突出する円弧状断面に形成され、したがって、この排出口29に摺接できるように羽根30の下部は円弧断面に形成されている。
【0018】
シャフト31,31にはそれぞれセクターギヤ33,33が固定されており、セクターギヤ33,33は、図7に示すように、互いにそれらの円弧部に形成したギヤ34が噛み合っている。したがって、一方の羽根30が回動すると、セクターギヤ33を介して他方の羽根30が同じ角度で回動する。
【0019】
次に上記実施例の作用につき説明すると、ミキサー車等から生コンクリートを受けるとき、図1に示すように、作業アーム2及び起動アーム13を駆動してバケット3を地面に載置し又は地面上に保持して、ミキサー車の生コンクリート排出口に低く位置させ、直接バケット3に生コンクリートを流し込む。
【0020】
バケット本体15内に生コンクリートを流し込むときは、自己保持用の取込スイッチ41を操作してリモートコントロールスイッチ40又はリモートコントロールスイッチ40aのどちらを使用するかを選択した後、該選択したリモートコントロールスイッチ40又はリモートコントロールスイッチ40aの閉ボタン43を押し電動モータ24を操作してアクチュエータ23の伸縮ロッド26を伸長させ、図8に示すように、羽根30,30で排出口29を閉じて行う。羽根30,30は互いに近接してそれらの隙間を覆うべく一方の羽根30の下部に取り付けたフランジ34が生コンクリートが漏れ出るのを阻止する。
【0021】
そして、バケット本体3a内に所定量の生コンクリートが投入されたら、バックホー1の作業アーム2及び起動アーム13を適宜操作してバケット3を揚重し、クローラを駆動しバックホー1自体を走行させてコンクリート打設現場まで移動する。
【0022】
コンクリート打設現場において、必要な生コンクリート量を排出するためには、自己保持用の取込スイッチ41を操作してリモートコントロールスイッチ40又はリモートコントロールスイッチ40aのどちらを使用するかを選択した後、該選択したリモートコントロールスイッチ40又はリモートコントロールスイッチ40aの開ボタン41を押すと電動モータ24が駆動してアクチュエータ23の伸縮ロッド26が引き込められ、セクターギヤ33を介して羽根30,30が互いに離反する方向へ回動し、図9に示すように、必要量を排出するに適する開角度になると開ボタン41を押すのを解除すれば伸縮ロッド26が停止して羽根30,30の開角度が保持される。そして、必要量の生コンクリートが排出されると、閉ボタン43を押すと羽根30,30が互いに近接する元の状態に戻る。
【0023】
しかして、バケット本体3a内の生コンクリート全量を排出するときは、開ボタン41を押して、図10に示すように、羽根30,30を最大限度開けばよい。すなわち、伸縮ロッド26がアクチュエータ23内に最大限度で引き込まれた状態でセクターギヤ33を介し羽根30は排出口29を最大に開くことができる。
【0024】
このように、バックホー等の建設用機械の作業アーム2にバケット3を連結して生コンクリートの運搬ができ、しかも、運転席8の操作盤9付近においてリモートコントロールスイッチ40を介し底蓋27を開閉できる。なお、上記実施例ではバックホーを例としたが、パワーショベルにも装着できる。また、リモートコントロールスイッチ40,40aはカールコード52に連結されているため、必要長さを延長して作業状態を目視して確認しつつ作業ができる。
【0025】
【考案の効果】
以上説明した本考案によれば、ミキサー車等から生コンクリートを受けるとき、作業アームを駆動してバケットをミキサー車の生コンクリート排出口に低く位置させることができ、直接バケットに生コンクリートを流し込めるので、樋などの付帯設備が不要で経済的である。
【0026】
底蓋の開閉には電動モータによるアクチュエータで伸縮ロッドを進退させてセクターギヤが噛み合う一対の底蓋を回動させて行うので、必要量の生コンクリートを排出するべく底蓋の開角度を任意に設定できて便利である。また、バックホー等の建設用機械に搭載したバッテリーを電源として利用でき、油圧などを用いないために、油漏れ等の環境に悪影響を及ぼすことがない。しかも、運転席近傍とバケット近傍の双方に常備されたリモートコントロールスイッチを作業内容や作業場所に応じて使いわけることができ、使い勝手がよく、視野のよい安全な場所で作業をすることができる。しかも、遠隔操作で開閉でき、作業条件の向上と安全性を向上させる。
【0027】
したがって、従来のように人力で底蓋を開閉させる作業が省力化され、作業能率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を適用した建設用機械を示す側面図。
【図2】本考案にかかる生コンクリートバケットの一部破断側面図。
【図3】生コンクリートバケットの断面側面図。
【図4】生コンクリートバケットの平面図。
【図5】生コンクリートバケットと建設用機械との連結部構造の断面図。
【図6】リモートコントロールスイッチの平面図。
【図7】セクターギヤの正面図。
【図8】作用説明図。
【図9】作用説明図。
【図10】作用説明図。
【符号の説明】
1…建設用機械(バックホー)
2…作業アーム
3…バケット
3a…バケット本体
13…起動アーム
17…枠体
18…連結部
23…アクチュエータ
24…電動モータ
25,28…ヒンジ
27…底蓋
29…排出口
30…羽根
31…ブラケット
32…シャフト
33…セクターギヤ
40…リモートコントロールスイッチ
41…取込スイッチ
42…開ボタン
43…閉ボタン
44…停止ボタン

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 パワーショベルやバックホー等の建設用機械における作業アームのディスタンスピースを挟持して軸着するとともに、作業アームの油圧シリンダのピストンロッドを回動可能に軸着する連結部を有する枠体にバケット本体を固定し、該バケット本体の排出口に底蓋を開閉可能に軸着し、該底蓋を前記枠体又はバケット本体の外部に固定した電動モータで駆動するアクチュエータの伸縮ロッドに連結してなることを特徴とする生コンクリートバケット。
【請求項2】 パワーショベルやバックホー等の建設用機械における作業アームのディスタンスピースを挟持して軸着するとともに、作業アームの油圧シリンダのピストンロッドを回動可能に軸着する連結部を有する枠体にバケット本体を固定し、該バケット本体の排出口に底蓋を開閉可能に軸着し、該底蓋を前記枠体又はバケット本体の外部に固定した電動モータで駆動するアクチュエータの伸縮ロッドに連結し、該電動モータを前記建設用機械のバッテリーと接続してリモートコントロールスイッチを介し底蓋を開閉操作可能にしたことを特徴とする生コンクリートバケット。
【請求項3】 リモートコントロールスイッチを、パワーショベルやバックホー等の建設用機械の運転席近傍とバケット本体近傍の双方又は一方に配置してなる請求項2記載の生コンクリートバケット。
【請求項4】 連結部は作業アームのディスタンスピースが合致してピンを挿通する孔と、ピストンロッドの端部が合致してピンを挿通する孔が穿設されている請求項1,2又は3記載の生コンクリートバケット。
【請求項5】 底蓋はバケット本体の排出口を2分して覆う一対の略コ字形の羽根からなり、該羽根がバケット本体の外壁部に回動可能にそれぞれ軸支され、かつ、その軸部に互いに噛み合うセクターギヤを軸着してなる請求項1,2,3又は4記載の生コンクリートバケット。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate