説明

生体インピーダンスの測定装置及びその測定方法

【課題】生体インピーダンスの測定装置及びその測定方法を提供する。
【解決手段】生体インピーダンスの測定装置は、重畳の原理を用いて複数の周波数の正弦波信号を合成した信号を駆動電極に印加し、センシング電極から出力される信号を周波数成分別に分離して、生体インピーダンス値を算出する。多様な周波数成分に対する測定が同時に行われるので、測定時間を短縮しうる。また、長い測定時間によってなされる被測定者の動きのような測定エラー要因を除去して、正確かつ信頼性のある測定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体インピーダンスの測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体脂肪などを測定するために、生体インピーダンスの測定装置が広く使われている。身体の成分のうち、筋肉は水分が多いが、脂肪は水分がない。これにより、生体インピーダンス値は、筋肉が多ければ低くなり、脂肪が多ければ高くなる。生体インピーダンスを測定して、被測定者の体水分量、筋肉量、脂肪量を簡便かつ高い再現度で求めうる。
【0003】
この装置は、身体部位、例えば、両手、両足に電極を付着し、その電極のうち測定部位によって一対を選択して、測定のための電流信号を印加した後、測定部位によって適切な電極対を選択して、その両端の電圧を測定することで生体インピーダンスを測定する。例えば、電流を左腕から右腕に印加した後、左腕から左足までの電圧降下を測定すれば、重複区間である左腕の生体インピーダンスを測定することができる。
【0004】
ところが、部位別にインピーダンスを測定するためには、各部位別に順次に信号を印加して測定する過程を反復しなければならない。また、体内の水分には、細胞内水分と細胞外水分とがあるが、細胞膜が、これらを区分している。細胞膜によって細胞は、電気回路的にキャパシタで動作するので、低周波数としては細胞内水分量を測定することができない。健康な人は、細胞内水分と細胞外水分とが均衡が取れているが、そうではない場合がある。したがって、細胞内水分と細胞外水分とをいずれも測定するために、複数の周波数に対して生体インピーダンスを測定しなければならない。これにより、生体インピーダンスの測定装置は、複数の周波数成分に対してインピーダンスを測定し、これに基づいて生体インピーダンス値を算出する。
【0005】
このように部位別に反復され、また多数の周波数に対して反復されるために、測定には相当長い時間がかかる。このような測定時間中に被測定者が動くか、話をすれば、生体インピーダンス値は不安定になる。
【0006】
このように、従来の生体インピーダンスの測定技術は、多様な周波数成分に対して信号印加及び測定する過程が数回反復されなければならないので、測定時間が多くかかるという問題点があった。また、長い測定時間中に被測定者が動くか、話をする場合、周波数成分別に測定条件が変わり、これにより、測定誤差が大きくなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためのものであって、生体インピーダンスの測定に必要となる時間を減らすことを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、生体インピーダンスの測定の測定誤差を減らすことを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、生体インピーダンスの測定に必要となる時間を減らしながらも、回路的な構成を簡単にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を果たすための本発明の一態様による生体インピーダンスの測定装置は、被測定者の身体部位に接触される複数の電極と、生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、前記複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部と、前記複数の電極のうち一部から出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、測定状態及び結果を表示する表示部と、を含む。本発明の特徴的な態様のうち一つによって、入力電気信号は、前記複数の電極のうち一部にそれぞれ供給され、相異なる周波数を有した複数の電気信号を含む。入力電気信号が供給される電極と出力電気信号が出力される電極は、相互間に同一電極であり、相異なる電極であり、一部のみが同一電極であり得る。
【0011】
本発明のこのような態様によって、部位別測定は、互いに相異なる周波数成分の信号を用いて同時に行われうる。
【0012】
本発明のまた他の態様による生体インピーダンスの測定装置は、被測定者の身体部位に接触される複数の電極と、生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、前記複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部と、前記複数の電極のうちまた他の一部を通じて出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、測定状態及び結果を表示する表示部と、を含む。入力電気信号が供給される電極と出力電気信号が出力される電極は、相互間に同一電極であり、相異なる電極であり、一部のみが同一電極であり得る。
【0013】
本発明のこのような態様によって、複数の周波数に対する測定が、この複数の周波数成分をいずれも含んだ合成信号によって一気に行われる。
【0014】
本発明の態様のうち一つによって、入力電気信号は、互いに相異なる周波数の電気信号を合成した信号を含む。本発明において、生体は、回路的に重畳の原理(superposition principle)が概略的に適用される線形回路であると言える。生体が経時的に変わらなければ、獲得されなければならない複数の周波数に対する順次的な測定結果は、これら周波数を合成した信号に対する結果から求められうる。
【0015】
本発明のまた他の特徴的な態様によれば、インピーダンス測定部は、出力電気信号を周波数成分別に分離して生体インピーダンスを測定する。
【0016】
本発明のこのような態様によって、複数の周波数に対するインピーダンス測定は、一回のみ行われ、したがって、測定時間が、測定周波数の個数の比率ほど短縮されうる。また、これにより、測定時間中に被測定者によって発生する測定誤差が回避されうる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による生体インピーダンスの測定装置は、複数の周波数に対するインピーダンス測定を一回の測定で可能であり、したがって、測定時間が測定周波数の個数の比率ほど短縮されうる。さらに、測定時間が長くなるにつれて、被測定者によって発生する測定誤差が回避されうる。
【0018】
それだけではなく、従来には、測定時間が過度に長くなることを回避するために、使える周波数の個数が制限された。しかし、本発明によって測定に使われる周波数の個数が画期的に多くなりうる。これにより、さらに正確かつ精密であり、豊かな生体情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による生体インピーダンスの測定装置の全体的な構成及び使用状態を概略的に説明する図である。
【図2】本発明のより具体化された一実施形態を示す図である。
【図3】本発明のまた他の具体化された実施形態を示す図である。
【図4A】本発明のまた他の実施形態による入力信号生成部100の一例を示す図である。
【図4B】本発明のまた他の実施形態による入力信号生成部100のまた他の例を示す図である。
【図5A】本発明のまた他の実施形態によるインピーダンス測定部330の一例を示す図である。
【図5B】本発明のまた他の実施形態によるインピーダンス測定部330のまた他の例を示す図である。
【図5C】本発明のまた他の実施形態によるインピーダンス測定部330のまた他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述した、そして、追加的な本発明の態様は、後述する実施形態を通じてさらに明確になる。以下、このような本発明の態様を添付した図面を参照して記述される望ましい実施形態を通じて当業者が理解して再現できるように説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による生体インピーダンスの測定装置の全体的な構成及び使用状態を概略的に説明する図である。示されたように、一実施形態による生体インピーダンスの測定装置は、被測定者の身体部位に接触される複数の電極900と、生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、前記複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部100と、前記複数の電極のうち一部から出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部300と、測定状態及び結果を表示する表示部530とを含む。入力電気信号は、前記複数の電極のうち一部にそれぞれ供給され、相異なる周波数を有した複数の電気信号を含む。望ましい一実施形態において、入力電気信号を構成する複数の電気信号は、それぞれ複数の電極のうち一部に同時に供給される。
【0022】
本発明において、入力電気信号が印加される電極と出力電気信号が出力される電極は、実施形態によってまた一つの実施形態内でも、相互間に同一電極であり、相異なる電極であり、一部のみが同一電極であり得る。図示された実施形態において、電極900は、両手、両足にそれぞれ2個ずつ割り当てられる。この2個のうち一つに入力電気信号が印加されれば、残りの一つで出力電気信号が測定される。例えば、右手のインピーダンスを測定する場合、左手と右手の駆動電極に入力電気信号、例えば、電流信号を印加する。また右手のセンシング電極と右足のセンシング電極との間の電圧降下が測定される。次いで、入力信号区間と出力信号区間とが重なる部分である右手のインピーダンスが測定される。しかし、本発明は、これに限定されず、部位別に測定しない方式のような多様な電極方式を包括する。
【0023】
本発明の一態様によって、入力信号生成部100は、複数の電気信号を出力する。この複数の電気信号は、相互間に周波数が異なる。望ましい一実施形態において、この複数の電気信号は、周波数が異なる正弦波信号である。それぞれの信号は、対応する駆動電極に供給される。インピーダンス測定部300は、出力電気信号を周波数成分別に分離して生体インピーダンスを測定する。
【0024】
表示部530は、測定状態情報を表示して、電極900が、測定部位に十分に接触して正しい測定姿勢を維持するように助ける。また、表示部530は、中間及び最終測定結果を表示する。操作部510は、測定の基礎資料である性別、身長、年齢などの個人情報を入力するためのキーパッドあるいはタッチパッドあるいは加速度センサーなどを利用したデータ入力手段になりうる。制御部500は、装置全体を総括制御し、マイクロプロセッサとプログラムコードが保存されたメモリとで構成される。当業者に自明であるように、インピーダンス測定部300あるいは入力信号生成部100の一部の構成は、マイクロプロセッサ内で実行されるプログラムコードとして具現可能である。
【0025】
図2は、本発明のより具体化された一実施形態を示す図である。示されたように、入力信号生成部100は、それぞれが相異なる周波数で発振する複数の正弦波発振器110−1、110−2、110−3、110−4を含む。複数の正弦波発振器110−1、110−2、110−3、110−4の出力は、それぞれ複数の駆動電極910−1、910−2、910−3、910−4に連結される。複数の正弦波発振器の出力は、それぞれ複数の駆動電極に同時に印加される。複数のセンシング電極930−1、930−2、930−3、930−4の出力信号は、それぞれ複数の出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4に連結される。複数の出力フィルターは、制御部500の制御下に各部位の測定に必要な帯域の正弦波のみを通過させる帯域通過フィルターである。
【0026】
生体インピーダンスを測定するにおいて、安定状態で各周波数の正弦波信号は、独立的に回路法則を満足すると近似される。これは、線形回路において、重畳の原理の基本的な仮定である。例えば、右腕駆動電極と左腕駆動電極にf1周波数の正弦波電流を印加する。この際、右腕センシング電極と右足センシング電極との間のf1周波数の電圧信号を測定すれば、右腕部位の生体インピーダンスを測定することができる。例えば、右腕駆動電極と右足駆動電極にf2周波数の正弦波電流を印加し、左腕センシング電極と左足センシング電極のf2成分の電圧信号を測定すれば、胴体部位の生体インピーダンスを測定することができる。それぞれの出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4の出力信号は、インピーダンス計算部330内のレジスタに臨時に保存される。インピーダンス計算部330は、この値から生体インピーダンス値を算出する。制御部500は、入力信号生成部100及びインピーダンス計算部330を制御して、このような測定を短時間に数回反復して算出されたインピーダンス値を平均して、より正確な値を算出することもできる。
【0027】
本発明のこのような態様によって、生体インピーダンスは、生体のあらゆる部位に対して同時に複数の周波数成分を印加して同時に複数の周波数成分に対して測定して、一回に身体部位の全体に対してインピーダンスの測定を行える。
【0028】
図示された実施形態において、出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4は、帯域通過フィルターとして記述された。しかし、本発明は、これに限定されず、各周波数成分を分離させる多様な技術、例えば、デジタル帯域通過フィルターや、アナログフーリエ変換、デジタルフーリエ変換などを利用できる。これら変形例は、後述する実施形態を通じて理解されうる。
【0029】
図3は、本発明のまた他の実施形態の全体的な構成を概略的に示したブロック図である。示されたように、入力信号生成部100は、それぞれが相異なる周波数で発振する複数の正弦波発振器110−1、110−2、110−3、110−4を含む。複数の正弦波発振器110−1、110−2、110−3、110−4の出力は、駆動スイッチング部150を経てそれぞれ複数の駆動電極910−1、910−2、910−3、910−4に連結される。駆動スイッチング部150は、複数の正弦波発振器110−1、110−2、110−3、110−4の出力を複数の駆動電極910−1、910−2、910−3、910−4に測定部位によって順次に連結する。
【0030】
一方、複数のセンシング電極930−1、930−2、930−3、930−4の出力信号は、センシングスイッチング部350を経てそれぞれ複数の出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4に連結される。複数の出力フィルターは、制御部500の制御下に各部位の測定に必要な帯域の正弦波のみを通過させる帯域通過フィルターである。センシングスイッチング部350は、複数のセンシング電極930−1、930−2、930−3、930−4の出力信号を複数の出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4に測定部位によって順次に連結する。
【0031】
下記の表は、駆動スイッチング部150及びセンシングスイッチング部350の動作を説明するためのものである。時刻T=t1で右腕を測定するための駆動電極に周波数f1の電流信号が印加され、該当するセンシング電極に周波数f1の電圧が測定される。同一時刻に、左腕には周波数f2、胴体には周波数f3、右足には周波数f4、左足には周波数f5が使われる。時刻T=t2では、右腕には周波数f5、左腕には周波数f1、胴体には周波数f2、右足には周波数f3、左足には周波数f4が使われる。時刻T=t3では、右腕には周波数f4、左腕には周波数f5、胴体には周波数f1、右足には周波数f2、左足には周波数f3が使われる。
【0032】
【表1】

【0033】
以上のスイッチング動作は、ロータリー方式で進行するということが分かる。
【0034】
本実施形態において、複数の周波数に対する測定は、スイッチによって順次に進行するが、一瞬間に部位別に相異なる周波数での生体インピーダンス値が算出されうる。測定周波数の個数が、測定部位の個数に比べて多いので、全体的な測定時間は、従来に比べて遥かに短縮されうる。
【0035】
図示された実施形態において、出力フィルター310−1、310−2、310−3、310−4は、帯域通過フィルターとして記述された。しかし、本発明は、これに限定されず、各周波数成分を分離させる多様な技術、例えば、デジタル帯域通過フィルターや、アナログフーリエ変換、デジタルフーリエ変換などを利用できる。これら変形例は、後述する実施形態を通じて理解されうる。
【0036】
図1を参照して、本発明のまた他の実施形態を説明する。一実施形態による生体インピーダンスの測定装置は、被測定者の身体部位に接触される複数の電極900と、生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、これら複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部100と、複数の電極のうちまた他の一部を通じて出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部300と、測定状態及び結果を表示する表示部530とを含みうる。
【0037】
本発明の特徴的な一態様によって、入力信号生成部100が出力する入力電気信号は、互いに相異なる周波数の電気信号を合成した信号を含む。また、本発明のまた他の特徴的な態様によって、インピーダンス測定部300は、出力電気信号を周波数成分別に分離して生体インピーダンスを測定する。
【0038】
表示部530は、測定状態情報を表示して、電極900が、測定部位に十分に接触して正しい測定姿勢を維持するように助ける。また、表示部530は、中間及び最終測定結果を表示する。操作部510は、測定の基礎資料である性別、身長、年齢などの個人情報を入力するためのキーパッドあるいはタッチパッドあるいは加速度センサーなどを利用したデータ入力手段になりうる。制御部500は、装置全体を総括制御し、マイクロプロセッサとプログラムコードが保存されたメモリとで構成される。当業者に自明であるように、インピーダンス測定部300あるいは入力信号生成部100の一部の構成は、マイクロプロセッサ内で実行されるプログラムコードとして具現可能である。
【0039】
図4Aは、図1に示され、前述された生体インピーダンスの測定装置において、入力信号生成部100の一実施形態を示す図である。示されたように、一実施形態による入力信号生成部100は、それぞれが相異なる周波数で発振する複数の発振器110と、これら複数の発振器の出力信号を合成する混合部130とを含む。出力スイッチング部150は、混合部130で合成された入力電気信号を測定部位によって適切にスイッチングして供給する。複数の発振器110は、それぞれが独立的な発振回路であり得る。しかし、例えば、複数の発振器110は、一つの発振回路と、それを分周して逓倍周波数を作る回路及びそれを正弦波に変調させる回路とを含んで構成されるなど多様な形態に変更されるということは、当業者に自明である。
【0040】
図4Bは、図1に示され、前述された生体インピーダンスの測定装置において、入力信号生成部100のまた他の実施形態を示す図である。示されたように、また他の実施形態による入力信号生成部100は、それぞれが相異なる周波数を有した複数の信号成分が合成された信号に該当する単一のデジタル信号のサンプル値を保存する入力信号メモリ120と、このメモリ120に保存されたサンプル値を読み取ってアナログ信号に変換する信号合成部140とを含む。それぞれが相異なる周波数を有した正弦波の合成信号は、最大周期を有した正弦波の周期に該当する周期を有する単一の周期的信号である。本発明の特徴的な一態様によって、入力信号メモリ120は、デジタル信号の一周期分のサンプル値を保存し、前記信号合成部は、前記メモリを周期的にアクセスしながら信号を合成する。正弦波のように半周期を中心に原点対称である信号の場合、単に半周期分ののサンプル値のみを保存し、残りの半周期は、保存されたサンプル値の負数値を取って生成することもできる。
【0041】
信号合成部140は、入力信号メモリ120をアクセスするためのアドレスを生成して供給するメモリ制御器144と、メモリ制御器144がアドレス値を供給するによって履歴信号メモリ120から出力されるサンプル値をアナログ信号に変換するデジタル-アナログ変換器142とを含んで構成される。
【0042】
図5Aは、図1に示され、前述された生体インピーダンスの測定装置において、インピーダンス測定部330の一実施形態を示す図である。示されたように、インピーダンス測定部330は、出力電気信号を周波数成分別に分離する出力フィルター310と、前記出力フィルター310から出力される複数の信号成分を分析して、生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算部330とを含む。
【0043】
図示された実施形態において、入力スイッチング部350は、測定部位によって複数の電極のうち一対を選択する。望ましい一実施形態において、出力フィルター310は、それぞれが、前記入力電気信号の周波数成分に対応する通過帯域周波数を有した複数の帯域通過フィルター310−1、310−2、...、310−nであり得る。この帯域通過フィルターは、アナログフィルターで構成されることもあり、デジタルフィルターで構成されることもある。
【0044】
図5Bは、図1に示され、前述された生体インピーダンスの測定装置において、インピーダンス測定部330のまた他の実施形態を示す図である。示されたように、インピーダンス測定部330は、出力電気信号をフーリエ変換するフーリエ変換部320と、前記フーリエ変換部320から出力される周波数成分別のフーリエ係数から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算部340とを含む。入力信号生成部100から供給される入力電気信号が、複数周波数の正弦波信号の合成信号であるので、理想的には、出力される出力電気信号も入力電気信号に含まれた正弦波成分のみが出力される。したがって、フーリエ変換部320は、単に入力電気信号に含まれた周波数成分に該当する係数のみ求める。フーリエ変換のためのアナログ回路は、乗算器と積分器とを組み合わせたものと知られている。インピーダンス計算部340は、フーリエ変換部320で求められた係数値から生体インピーダンス値を求める。入力スイッチング部350は、図5Aのそれと同一である。
【0045】
図5Cは、図1に示され、前述された生体インピーダンスの測定装置において、インピーダンス測定部330のまた他の実施形態を示す図である。示されたように、インピーダンス測定部330は、出力電気信号をデジタルに変換するアナログ/デジタル変換器321と、前記デジタル変換された信号をデジタルフーリエ変換するデジタルフーリエ変換部323と、前記デジタルフーリエ変換部323の対応する周波数成分の係数値から生体インピーダンス値を算出するインピーダンス計算部340とを含む。図5Cは、FFT、DFTのようなデジタルフーリエ変換を使う点を除けば、図5Bの場合と同一である。入力スイッチング部350も図5Aのそれと同一である。入力スイッチング部350あるいは出力スイッチング部150は、必須的な構成ではない。測定部位別に回路を独立的に構成する場合、これらは省略されうる。
【0046】
以下、本発明による生体インピーダンスの測定方法について説明する。
【0047】
本発明の一実施形態による生体インピーダンスの測定方法は、被測定者の身体部位に接触される駆動電極に互いに相異なる周波数を有した電気信号を印加する信号印加段階と、被測定者の身体部位に接触するセンシング電極に出力される信号成分を周波数成分別に分析して、生体インピーダンス値を算出するインピーダンス測定段階とを含む。
【0048】
一実施形態において、インピーダンス測定段階は、それぞれのセンシング電極に出力される信号成分に対して特定周波数の信号成分のみをフィルタリングする段階と、フィルタリングされた信号成分の値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階とを含む。
【0049】
本発明のまた他の実施形態による生体インピーダンスの測定方法は、被測定者の身体部位に接触される駆動電極に相異なる周波数の複数の電気信号を合成した信号が含まれた電気信号を印加する信号印加段階と、被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号成分を周波数成分別に分析して、生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定段階とを含む。
【0050】
一実施形態において、信号印加段階は、それぞれが相異なる周波数を有した複数の電気信号を発振する段階と、前記発振された複数の電気信号を合成する段階とを含む。また他の実施形態において、信号印加段階は、メモリからそれぞれが相異なる周波数を有した複数の信号成分が合成された信号に該当する単一のデジタル信号のサンプル値を読み取るメモリアクセス段階と、読み取ったデータをアナログ電気信号に変換する信号変換段階とを含む。付加的な態様によれば、ここで、信号印加段階が、メモリに保存された一周期のサンプル値の少なくとも一部を読み取るメモリアクセス段階と信号変換段階とを反復する段階であり得る。
【0051】
一実施形態において、インピーダンス測定段階は、被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号を周波数成分別に分離するフィルタリング段階と、前記分離された信号の値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階とを含む。また他の実施形態において、インピーダンス測定段階は、被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号をフーリエ変換するフーリエ変換段階と、前記フーリエ変換段階で求められたフーリエ係数値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階とを含む。
【0052】
以上、本発明は、添付した図面を参照して、記述される望ましい実施形態を中心に説明されたが、これに限定されるものではない。したがって、本発明は、記載の実施形態から自明に導出される変形を包括するように意図された特許請求の範囲によって解析されなければならない。
【0053】
本発明に係る生体インピーダンスの測定装置は、被測定者の身体部位に接触される複数の電極と、生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、前記複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部と、前記複数の電極のうち一部から出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、測定状態及び結果を表示する表示部と、を含む生体インピーダンスの測定装置において、相異なる周波数を有した複数の前記入力電気信号を前記複数の電極のうち一部にそれぞれ同時に供給する。
【0054】
本発明に係る生体インピーダンスの測定装置では、前記インピーダンス測定部は、出力電気信号を周波数成分別に分離した信号から生体インピーダンス値を算出する。
【0055】
本発明に係る生体インピーダンスの測定装置では、前記入力信号生成部は、互いに相異なる周波数の正弦波を発生する複数の正弦波発振器と、前記複数の正弦波発振器の出力を測定部位によって複数の駆動電極にそれぞれ連結する駆動スイッチング部と、を含み、前記インピーダンス測定部は、それぞれが入力信号で前記正弦波発生器に対応する相異なる周波数成分の信号値を抽出する複数のフィルターと、測定部位によって複数のセンシング電極の出力を前記複数のフィルターにそれぞれ連結するセンシングスイッチング部と、を含む。
【0056】
本発明に係る生体インピーダンスの測定装置では、前記入力信号生成部は、駆動スイッチング部は、前記複数の正弦波発振器の出力を測定部位によって複数の駆動電極にそれぞれ同時に連結し、前記センシングスイッチング部は、測定部位によって複数のセンシング電極の出力を前記複数のフィルターにそれぞれ同時に連結する。
【0057】
本発明に係る生体インピーダンスの測定方法は、被測定者の身体部位に接触される駆動電極に互いに相異なる周波数を有した電気信号を同時に印加する信号印加段階と、被測定者の身体部位に接触するセンシング電極に出力される信号成分を周波数成分別に分析して、生体インピーダンス値を算出するインピーダンス測定段階と、を含む。
【0058】
本発明に係る生体インピーダンスの測定方法では、前記インピーダンス測定段階は、それぞれのセンシング電極に出力される信号成分に対して特定周波数の信号成分のみをフィルタリングする段階と、前記フィルタリングされた信号成分の値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階と、を含む。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、生体インピーダンスの測定装置及びその測定方法の分野で適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の身体部位に接触される複数の電極と、
生体インピーダンスの測定のための入力電気信号を生成して、前記複数の電極のうち一部に供給する入力信号生成部と、
前記複数の電極のうち一部を通じて出力される出力電気信号から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
測定状態及び結果を表示する表示部と、
を含む生体インピーダンスの測定装置において、
前記入力電気信号は、互いに相異なる周波数の電気信号を合成した信号を含むことを特徴とする生体インピーダンスの測定装置。
【請求項2】
前記インピーダンス測定部は、
出力電気信号を周波数成分別に分離した信号から生体インピーダンス値を算出することを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項3】
前記入力信号生成部は、
それぞれが相異なる周波数で発振する複数の発振器と、
前記複数の発振器の出力信号を合成する混合部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項4】
前記入力信号生成部は、
それぞれが相異なる周波数を有した複数の信号成分が合成された信号に該当する単一のデジタル信号のサンプル値を保存する入力信号メモリと、
前記メモリに保存されたサンプル値を読み取ってアナログ信号に変換する信号合成部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項5】
前記入力信号メモリは、
デジタル信号の一周期分のサンプル値の少なくとも一部を保存し、前記信号合成部は、前記メモリを周期的にアクセスしながら信号を合成することを特徴とする請求項4に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項6】
前記インピーダンス測定部は、
出力電気信号を周波数成分別に分離する出力フィルターと、
前記出力フィルターから出力される複数の信号成分を分析して、生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算部と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項7】
前記出力フィルターは、
それぞれが、前記入力電気信号の周波数成分に対応する通過帯域周波数を有した複数の帯域通過フィルターであることを特徴とする請求項6に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項8】
前記インピーダンス測定部は、
出力電気信号をフーリエ変換するフーリエ変換部と、
前記フーリエ変換部から出力される周波数成分別のフーリエ係数から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算部と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項9】
前記インピーダンス測定部は、
出力電気信号をデジタルに変換するアナログ/デジタル変換器と、
前記デジタル変換された信号をデジタルフーリエ変換するデジタルフーリエ変換部と、
前記デジタルフーリエ変換部の対応する周波数成分の係数値から生体インピーダンス値を算出するインピーダンス計算部と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の生体インピーダンスの測定装置。
【請求項10】
被測定者の身体部位に接触される駆動電極に相異なる周波数の複数の電気信号を合成した信号が含まれた電気信号を印加する信号印加段階と、
被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号成分を周波数成分別に分析して、生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定段階と、
を含むことを特徴とする生体インピーダンスの測定方法。
【請求項11】
前記インピーダンス測定段階は、
被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号を周波数成分別に分離するフィルタリング段階と、
前記分離された信号の値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の生体インピーダンスの測定方法。
【請求項12】
前記インピーダンス測定段階は、
被測定者の身体部位に接触される測定電極に出力される信号をフーリエ変換するフーリエ変換段階と、
前記フーリエ変換段階で求められたフーリエ係数値から生体インピーダンスを計算するインピーダンス計算段階と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の生体インピーダンスの測定方法。
【請求項13】
前記信号印加段階は、
それぞれが相異なる周波数を有した複数の電気信号を発振する段階と、
前記発振された複数の電気信号を合成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項10ないし請求項12のうち何れか一項に記載の生体インピーダンスの測定方法。
【請求項14】
前記信号印加段階は、
メモリからそれぞれが相異なる周波数を有した複数の信号成分が合成された信号に該当する単一のデジタル信号のサンプル値を読み取るメモリアクセス段階と、
読み取ったデータをアナログ電気信号に変換する信号変換段階と、
を含むことを特徴とする請求項10ないし請求項12のうち何れか一項に記載の生体インピーダンスの測定方法。
【請求項15】
前記信号印加段階は、
メモリに保存された一周期のサンプル値の少なくとも一部を読み取るメモリアクセス段階と信号変換段階とを反復することを特徴とする請求項14に記載の生体インピーダンスの測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2012−192199(P2012−192199A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133102(P2012−133102)
【出願日】平成24年6月12日(2012.6.12)
【分割の表示】特願2010−74629(P2010−74629)の分割
【原出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(508142354)バイオ スペース・カンパニー・リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】BIOSPACE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】518−10 Dogok 2−dong,Gangnam−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】