説明

生体インピーダンス測定装置

【課題】接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる生体インピーダンス測定装置を提供すること。
【解決手段】電極1,2を介して最大供給電圧範囲内で生体900に所定の交流電流を流す定電流部20と、生体に通電電流が流れることにより生じた降下電圧を、電極3,4を介して測定する電圧測定部21とを備える。電圧測定部21は、降下電圧を最大入力電圧範囲内で入力して差動増幅する差動増幅回路22を含む。定電流部20からの電極1若しくは電極2に対する供給電圧が最大供給電圧範囲内に設定された許容供給電圧範囲を超えたとき、または第3電極3若しくは第4電極4からの差動増幅回路33への入力電圧が最大入力電圧範囲内に設定された許容入力電圧範囲を超えたとき、エラー検知部40は生体900と電極1,2,3,4との間に接触エラーがあると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は生体インピーダンス測定装置に関し、より詳しくは、四端子法によって生体のインピーダンスを測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の一般的な生体インピーダンス測定装置としては、図11(A)に示すように、載置板10上に、左足の爪先側901に接触すべき第1電極1、右足の爪先側902に接触すべき第2電極2、左足の踵903に接触すべき第3電極3、および右足の踵904に接触すべき第4電極4を備えたものがある。載置板10上に生体900の左右の足裏が載せられた状態で、図11(B)に示すように、定電流源20によって第1電極1および第2電極2を介して生体900に所定の通電電流(交流)Iが流される。そして、生体900に通電電流Iが流れることにより生じた降下電圧Vが、第3電極3および第4電極4を介して電圧測定部21で測定される(四端子法)。この降下電圧Vを数値換算(通電電流Iで割り算)して得られたインピーダンスを元に算出された体組成値が、図11(A)中に示す表示部22に表示される。なお、電圧測定部21は、第3電極3からの電圧V1と第4電極4からの電圧V2との間の差分を増幅して増幅結果を表す信号Vo1を出力する差動増幅回路22と、この差動増幅回路22の出力信号Vo1を整流する整流回路23と、この整流回路23の出力を平滑化する平滑化回路24と、この平滑化回路24の出力をA/D変換してデジタル信号Vo2として出力するA/D変換回路25とを含んでいる。制御部30は、インピーダンスや体組成値の算出、および表示部22で表示すべき信号の作成等を行う。
【0003】
ここで、電極への足の載せ方、すなわち足を載せる位置の変化や足の浮き状態などは、生体900の左右の足裏901,902,903,904と各電極1,2,3,4との間の接触インピーダンスFILR,FIRR,FVLR,FVRRを大きくすることがあり、インピーダンス測定の誤差を招く要因となる。
【0004】
従来の生体インピーダンス測定装置では、例えば特許文献1(特開平8−154911号公報)に開示されているように、インピーダンス測定結果が規定範囲内にないときや、測定に要した時間が規定時間を超えたときに、エラーメッセージを表示するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献2】特開平8−154911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の生体インピーダンス測定装置では、インピーダンス測定結果が規定範囲から極端に外れたとき、つまり接触インピーダンスの影響が極端に大きい場合にしかエラーを検出できないという問題がある。このため、接触インピーダンスが大きい(異常)にも関わらず、規定時間中に測定データが安定してしまうと、誤った測定結果を表示してしまうことになる。
【0007】
また、最近では、デザイン性を向上させるために、電極1,2,3,4が小型化される傾向があるし、電極の材料としてSUS(ステンレス鋼)に代えてITO(錫添加酸化インジウム)などの透明電極が採用されつつある。このため、接触インピーダンスが増加する要因が増えており、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出することが急務となっている。
【0008】
そこで、この発明の課題は、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる生体インピーダンス測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の生体インピーダンス測定装置は、
生体にそれぞれ接触すべき第1電極および第2電極、および上記生体のうち上記第1電極、第2電極に対応する箇所にそれぞれ接触すべき第3電極および第4電極と、
上記第1電極および第2電極を介して最大供給電圧範囲内で上記生体に所定の交流電流を流す定電流部と、
上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して最大入力電圧範囲内で入力して差動増幅する差動増幅回路を含む電圧測定部と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する供給電圧が上記最大供給電圧範囲内に設定された許容供給電圧範囲を超えたとき、または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への入力電圧が上記最大入力電圧範囲内に設定された許容入力電圧範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定するエラー検知部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の生体インピーダンス測定装置では、定電流部は、上記第1電極および第2電極を介して上記生体に所定の交流電流を流す。電圧測定部は、上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して測定する。具体的には、この電圧測定部に含まれた差動増幅回路が、上記降下電圧を最大入力電圧範囲内で入力して差動増幅する。この差動増幅回路の出力を整流し、平滑化し、A/D変換する等によって、上記降下電圧が測定される。この電圧測定部によって測定された降下電圧を数値換算(通電電流で割り算)することにより、上記生体のインピーダンスが求められる。一方、エラー検知部は、上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する供給電圧が上記最大供給電圧範囲内に設定された許容供給電圧範囲を超えたとき、または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への入力電圧が上記最大入力電圧範囲内に設定された許容入力電圧範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定する。この接触エラーに関する判定結果は、インピーダンスに関する測定結果とは別に、上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する供給電圧が飽和する前段階で、上記定電流部に関する上記許容供給電圧範囲を超えたか否かまたは上記差動増幅回路許容入力電圧範囲を超えたか否かに基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0011】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、
上記エラー検知部は、
上記許容供給電圧範囲または許容入力電圧範囲を定める下限電圧と上限電圧とを供給する基準電圧供給部と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記下限電圧を下回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する第1比較器と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記上限電圧を上回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する第2比較器とを含むことを特徴とする。
【0012】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記エラー検知部に含まれた基準電圧供給部が、上記許容供給電圧範囲または許容入力電圧範囲を定める下限電圧と上限電圧とを供給する。第1比較器は、上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記下限電圧を下回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する。また、第2比較器は、上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記上限電圧を上回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する。つまり、上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、下限と上限との両方で、異常であるか否かが検出される。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【0013】
別の局面では、この発明の生体インピーダンス測定装置は、
生体にそれぞれ接触すべき第1電極および第2電極、および上記生体のうち上記第1電極、第2電極に対応する箇所にそれぞれ接触すべき第3電極および第4電極と、
上記第1電極および第2電極を介して上記生体に所定の交流電流を流す定電流部と、
上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して入力して差動増幅する差動増幅回路を含む電圧測定部と、
上記差動増幅回路の出力信号が正弦波に対して歪んでいる程度を表す歪み量を算出して、上記歪み量が所定の許容範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定するエラー検知部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明の生体インピーダンス測定装置では、定電流部は、上記第1電極および第2電極を介して上記生体に所定の交流電流を流す。電圧測定部は、上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して測定する。具体的には、この電圧測定部に含まれた差動増幅回路が、上記降下電圧を差動増幅する。この差動増幅回路の出力を整流し、平滑化し、A/D変換する等によって、上記降下電圧が測定される。この電圧測定部によって測定された降下電圧を数値換算(通電電流で割り算)することにより、上記生体のインピーダンスが求められる。一方、エラー検知部は、上記差動増幅回路の出力信号が正弦波に対して歪んでいる程度を表す歪み量を算出して、上記歪み量が所定の許容範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定する。この接触エラーに関する判定結果は、上記インピーダンスに関する測定結果とは別に、上記差動増幅回路の出力信号の正弦波に対する歪み量に基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0015】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、
上記エラー検知部は、
上記差動増幅回路の上記出力信号を、上記交流電流の周期よりも短い周期でサンプリングしてサンプリングデータとして取得するサンプリング部と、
上記サンプリング部によって取得されたサンプリングデータを少なくとも一時的に記憶するサンプリングデータ記憶部と、
上記サンプリングデータ記憶部によって記憶されたサンプリングデータを用いて上記歪み量を算出する歪み量算出部とを含むことを特徴とする。
【0016】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記エラー検知部に含まれたサンプリング部が、上記差動増幅回路の上記出力信号を、上記交流電流の周期よりも短い周期でサンプリングしてサンプリングデータとして取得する。サンプリングデータ記憶部は、上記サンプリング部によって取得されたサンプリングデータを少なくとも一時的に記憶する。歪み量算出部は、上記サンプリングデータ記憶部によって記憶されたサンプリングデータを用いて上記歪み量を算出する。したがって、上記差動増幅回路の出力信号の正弦波に対する歪み量が精度良く算出される。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【0017】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング時刻と上記第2サンプリング時刻との間の中間時刻で得られる第3サンプリング電圧値を抽出して、
上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値に対する上記第3サンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする。
【0018】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記歪み量算出部は、上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング時刻と上記第2サンプリング時刻との間の中間時刻で得られる第3サンプリング電圧値を抽出する。そして、上記歪み量算出部は、上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値に対する上記第3サンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出する。これにより、上記歪み量が算出される。
【0019】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング電圧値と上記第2サンプリング電圧値との間の中間電圧を与える第3サンプリング時刻を抽出して、
上記第1サンプリング時刻と第2サンプリング時刻との平均値に対する上記第3サンプリング時刻のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする。
【0020】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記歪み量算出部は、上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング電圧値と上記第2サンプリング電圧値との間の中間電圧を与える第3サンプリング時刻を抽出する。そして、上記歪み量算出部は、上記第1サンプリング時刻と第2サンプリング時刻との平均値に対する上記第3サンプリング時刻のずれ量を、上記歪み量として算出する。これにより、上記歪み量が算出される。
【0021】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出するとともに、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出して、
上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との差の1/2を振幅とし、上記交流電流の周期と同じ周期をもち、かつ上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値をDC成分とする上記正弦波を設定し、
サンプリング時刻毎に、上記正弦波の電圧値に対する上記差動増幅回路の上記出力信号のサンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする。
【0022】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記歪み量算出部は、上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出するとともに、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出する。続いて、上記歪み量算出部は、上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との差の1/2を振幅とし、上記交流電流の周期と同じ周期をもち、かつ上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値をDC(直流)成分とする上記正弦波を設定する。そして、上記歪み量算出部は、サンプリング時刻毎に、上記正弦波の電圧値に対する上記差動増幅回路の上記出力信号のサンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出する。これにより、上記歪み量が算出される。
【0023】
一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記歪み量算出部は、上記歪み量を複数のサンプリング時刻を含む所定期間にわたって平均して、得られた上記歪み量の平均値を第2の歪み量とすることを特徴とする。
【0024】
この一実施形態の生体インピーダンス測定装置では、上記歪み量算出部は、上記歪み量を複数のサンプリング時刻を含む所定期間にわたって平均して、得られた上記歪み量の平均値を第2の歪み量とする。上記エラー検知部は、この第2の歪み量が所定の許容範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定する。したがって、例えばサンプリング時刻毎の判定では接触エラーが検出されない場合であっても、上記第2の歪み量に基づいて接触エラーが検出され得る。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【発明の効果】
【0025】
以上より明らかなように、この発明の生体インピーダンス測定装置によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施形態の生体インピーダンス測定装置の回路構成を示す図である。
【図2】図1の生体インピーダンス測定装置を変形した変形例の回路構成を示す図である。
【図3】上記生体インピーダンス測定装置のエラー検知部によって検出される電圧波形を示す図である。
【図4】この発明の別の実施形態の生体インピーダンス測定装置のエラー検知部によってサンプリングされる点を示す図である。
【図5】この発明の別の実施形態の生体インピーダンス測定装置の回路構成を示す図である。
【図6】図5の生体インピーダンス測定装置を変形した変形例の回路構成を示す図である。
【図7】図7(A)は、電極と生体との間の接触インピーダンスが無い場合に、上記生体インピーダンス測定装置のエラー検知部によって検出される電圧波形を示す図である。図7(B)は、電極と生体との間の接触インピーダンスがある場合に、上記生体インピーダンス測定装置のエラー検知部によって検出される電圧波形を示す図である。
【図8】上記エラー検知部によってサンプリングして得られたデータテーブルを例示する図である。
【図9】上記データテーブル内のサンプリングデータと正弦波との間の差分に基づく接触エラーの検出の仕方をグラフ化して示す図である。
【図10】上記データテーブル内のサンプリングデータと正弦波との間の差分に基づく、更なる接触エラーの検出の仕方を説明する図である。
【図11】図11(A)は一般的な生体インピーダンス測定装置の外観を例示する図である。図11(B)は一般的な生体インピーダンス測定装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1は、この発明の一実施形態の生体インピーダンス測定装置(全体を符号91で示す。)の回路構成を示している。
【0028】
この生体インピーダンス測定装置91は、図11(B)に示した一般的な生体インピーダンス測定装置と同様に、生体900の左足の爪先側901に接触すべき第1電極1、右足の爪先側902に接触すべき第2電極2、左足の踵903に接触すべき第3電極3、および右足の踵904に接触すべき第4電極4を備えている。これらの電極1,2,3,4は、図11(A)中に示した載置板10上に設けられている。
【0029】
また、この生体インピーダンス測定装置91は、定電流部としての定電流源20と、電圧測定部21とを備えている。
【0030】
定電流源20は、この例では、ともに非接地の2つの供給端子20a,20bを備えている。供給端子20aは第1電極1に接続され、供給端子20bは第2電極2に接続されている。定電流源20は、供給端子20aから第1電極1を介して、また、供給端子20bから第2電極2を介して、最大供給電圧範囲内で生体900に所定の交流電流Iを流す(この例では周波数は50[kHz]である。)。この例では、定電流源20の最大供給電圧範囲は、図3中に示す接地電圧GND(=0[V])と電圧Vcc(=4.0[V])との間の電圧範囲である。電極1,2と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRRが小さくて、接触エラーが無いときは、供給端子20bの電圧波形は、図3中に破線Wnで示すように正弦波となる。一方、電極1,2と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRRが大きくて、接触エラーがあるときは、供給端子20bの電圧波形は、図3中に実線Wsで示すように、最大供給電圧範囲(GND,Vcc)を超えるピーク部分が飽和した波形となる。
【0031】
図1中に示す電圧測定部21は、差動増幅回路22と、整流回路23と、平滑化回路24と、A/D変換回路25とを含んでいる。差動増幅回路22は、第3電極3につながる第1入力端子22aと、第4電極4につながる第2入力端子22bと、出力端子22cとを有している。この差動増幅回路22は、第1入力端子22aを介して第3電極3からの電圧V1を受け、また、第2入力端子22bを介して第4電極4からの電圧V2を受ける。電圧V1と電圧V2との間の差分は、所定の最大入力電圧範囲(ダイナミックレンジ)内であることが予定されている。そして、差動増幅回路22は、電圧V1と電圧V2との間の差分を増幅して、増幅結果を表す出力信号Vo1を出力端子22cに出力する。整流回路23は、差動増幅回路22の出力信号Vo1を整流する。平滑化回路24は、図示しないRC積分回路を含んで、整流回路23の出力を平滑化する。A/D変換回路25は、平滑化回路24の出力をA/D変換してデジタル信号Vo2として出力する。
【0032】
さらに、この生体インピーダンス測定装置91は、エラー検知部40を備えている。エラー検知部40は、第1比較器41と、第2比較器42と、基準電圧供給部としての2つの基準電源43,44とを含んでいる。基準電源43は、許容供給電圧範囲を定める下限電圧Vref1(=0.3[V])を供給する。基準電源43は、許容供給電圧範囲を定める上限電圧Vref2(=3.7[V])を供給する。分かるように、許容入力電圧範囲(Vref1,Vref2)は、最大入力電圧範囲(GND,Vcc)内に設定されている。
【0033】
第1比較器41は、定電流源20の一方の供給端子20bに接続された非反転入力端子41aと、基準電源43からの下限電圧Vref1を受ける反転入力端子41bと、出力端子41cとを備えている。この第1比較器41は、非反転入力端子41aに受けた電圧が下限電圧Vref1よりも大きいか否かを表す信号AL1を、出力端子41cに出力する。この信号AL1は、非反転入力端子41aに受けた電圧が下限電圧Vref1以上であれば、接触エラーが無いことを表す論理値1の信号となる一方、非反転入力端子41aに受けた電圧が下限電圧Vref1を下回れば、接触エラーがあることを表す論理値0の信号となる。
【0034】
第2比較器42は、定電流源20の一方の供給端子20bに接続された反転入力端子42aと、基準電源44からの上限電圧Vref2を受ける非反転入力端子42bと、出力端子42cとを備えている。この第2比較器42は、反転入力端子42aに受けた電圧が上限電圧Vref2よりも小さいか否かを表す信号AH1を、出力端子42cに出力する。この信号AH1は、反転入力端子42aに受けた電圧が上限電圧Vref2以下であれば、接触エラーが無いことを表す論理値1の信号となる一方、反転入力端子42aに受けた電圧が上限電圧Vref2を上回れば、接触エラーがあることを表す論理値0の信号となる。
【0035】
制御部30は、電圧測定部21からの信号Vo2に基づいてインピーダンスや体組成値を算出したり、表示部22で表示すべき信号を作成したりする等、この生体インピーダンス測定装置全体の動作を制御する。
【0036】
この生体インピーダンス測定装置91は、全体として次のように動作する。
【0037】
まず、生体900が有する左右の足裏が載置板10上に載せられると、定電流源20は、第1電極1および第2電極2を介して生体900に所定の交流電流Iを流す。電圧測定部21は、生体900に交流電流Iが流れることにより生じた降下電圧Vを、第3電極3および第4電極4を介して測定する。具体的には、この電圧測定部21に含まれた差動増幅回路22が、降下電圧Vを最大入力電圧範囲内で入力して差動増幅する。この差動増幅回路22の出力信号Vo1を整流回路23が整流し、平滑化回路24が平滑化し、A/D変換回路25がA/D変換してデジタル信号Vo2とする。このデジタル信号Vo2に応じて降下電圧Vが求められる。制御部30は、この降下電圧Vを数値換算(通電電流で割り算)することにより、生体のインピーダンスを求める。
【0038】
ここで、図1中のエラー検知部40が信号AL1,AH2として、接触エラーが無いことを表す論理値1の信号を出力していれば、制御部30は、上記インピーダンスを元に算出された体組成値を、表示部22(図11(A)参照)に表示させる。
【0039】
図1中のエラー検知部40は、定電流源20からの第2電極2に対する供給電圧(定電流源20の一方の供給端子20bの電圧)が最大入力電圧範囲(GND,Vcc)内に設定された許容供給電圧範囲(Vref1,Vref2)を超えたとき、生体900と電極1,2との間に接触エラーがあることを表す信号を出力する。詳しくは、定電流源20の一方の供給端子20bの電圧が下限電圧Vref1を下回ったとき、信号AL1として接触エラーがあることを表す論理値0の信号を出力する。また、定電流源20の一方の供給端子20bの電圧が上限電圧Vref2を上回ったとき、信号AH1として接触エラーがあることを表す論理値0の信号を出力する。
【0040】
信号AL1,AH2のいずれか又は両方が、接触エラーがあることを表す論理値0の信号となっていれば、制御部30は、体組成値に代えて、接触エラーがあることを表すメッセージを、表示部22(図11(A)参照)に表示させる。
【0041】
この生体インピーダンス測定装置91では、接触エラーに関する判定結果は、インピーダンスに関する測定結果とは別に、定電流源20からの第2電極2に対する供給電圧(定電流源20の一方の供給端子20bの電圧)が飽和する前段階で、定電流源20に関する許容供給電圧範囲(Vref1,Vref2)を超えたか否かに基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置91によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0042】
特に、この生体インピーダンス測定装置91では、定電流源20からの第2電極2に対する供給電圧(定電流源20の一方の供給端子20bの電圧)が、下限と上限との両方で、異常であるか否かが検出される。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【0043】
この例では、エラー検知部40は、定電流源20の一方の供給端子20bの電圧を検出したが、これに限られるものではなく、定電流源20の他方の供給端子20aの電圧を検出しても良い。その場合も、全く同じ動作によって、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0044】
なお、定電流源20が、2つの供給端子がともに非接地ではなく、1つの供給端子が接地され(又は電圧が固定され)ているタイプのものである場合は、エラー検知部40は、もう1つの供給端子(電圧が変化する端子)の電圧を検出すれば良い。それにより、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0045】
図2は、図1の生体インピーダンス測定装置91を変形した変形例(全体を符号92で示す。)の回路構成を示している。
【0046】
この生体インピーダンス測定装置92では、エラー検知部40の第1比較器41の非反転入力端子41a、第2比較器42の反転入力端子42aは、いずれも差動増幅回路22の第2入力端子22bに接続されている。つまり、この生体インピーダンス測定装置92では、エラー検知部40は、定電流源20の一方の供給端子20bの電圧に代えて、差動増幅回路22の第2入力端子22b(第4電極4につながる)への入力電圧V2を検出する。
【0047】
この例では、差動増幅回路22の最大入力電圧範囲(ダイナミックレンジ)は、図3中に示す接地電圧GND(=0[V])と電圧Vcc(=4.0[V])との間の電圧範囲である。電極1,2,3,4と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRR,FVLR,FVRRが小さくて、接触エラーが無いときは、第2入力端子22bの電圧波形は、図3中に破線Wnで示すように正弦波となる。一方、電極1,2と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRR,FVLR,FVRRが大きくて、接触エラーがあるときは、第2入力端子22bの電圧波形は、図3中に実線Wsで示すように、最大入力電圧範囲(GND,Vcc)を超えるピーク部分が飽和した波形となる。分かるように、最大入力電圧範囲(GND,Vcc)内に許容入力電圧範囲(Vref1,Vref2)が設定されている。
【0048】
図2中に示すエラー検知部40の第1比較器41は、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2が下限電圧Vref1を下回ったとき、信号AL1として接触エラーがあることを表す論理値0の信号を出力する。一方、第1比較器41は、入力電圧V2が下限電圧Vref1以上であれば、信号AL1として接触エラーが無いことを表す論理値1の信号を出力する。また、第2比較器42は、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2が上限電圧Vref2を上回ったとき、信号AH1として接触エラーがあることを表す論理値0の信号を出力する。第2比較器42は、入力電圧V2が上限電圧Vref2以下であれば、信号AH1として接触エラーが無いことを表す論理値1の信号を出力する。
【0049】
この生体インピーダンス測定装置92では、接触エラーに関する判定結果は、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2が飽和する前段階で、差動増幅回路22の許容入力電圧範囲(Vref1,Vref2)を超えたか否かに基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置92によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0050】
特に、この生体インピーダンス測定装置92では、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2が、下限と上限との両方で、異常であるか否かが検出される。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【0051】
この例では、エラー検知部40は、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2を検出したが、これに限られるものではなく、差動増幅回路22の第1入力端子22aへの入力電圧V1を検出しても良い。その場合も、全く同じ動作によって、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0052】
また、定電流源20の一方の供給端子20b(または他方の供給端子20a)の電圧を検出する図1中のエラー検知部40と、差動増幅回路22の第2入力端子22bへの入力電圧V2(または第1入力端子22aへの入力電圧V1)を検出する図2中のエラー検知部40との両方を備えても良い。それにより、接触インピーダンスの影響による異常をより精度良く検出できる。エラー検知部40の数は、要求精度に応じて設定するのが望ましい。
【0053】
(第2実施形態)
図5は、この発明の別の実施形態の生体インピーダンス測定装置(全体を符号93で示す。)の回路構成を示している。なお、理解の容易のために、図5において、図1中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0054】
この生体インピーダンス測定装置93は、図11(B)に示した一般的な生体インピーダンス測定装置と同様に、生体900の左足の爪先側901に接触すべき第1電極1、右足の爪先側902に接触すべき第2電極2、左足の踵903に接触すべき第3電極3、および右足の踵904に接触すべき第4電極4を備えている。これらの電極1,2,3,4は、図11(A)中に示した載置板10上に設けられている。
【0055】
また、この生体インピーダンス測定装置93は、定電流部としての定電流源20と、電圧測定部21′と、エラー検知部50とを備えている。
【0056】
定電流源20は、供給端子20aから第1電極1を介して、また、供給端子20bから第2電極2を介して、最大供給電圧範囲内で生体900に所定の交流電流Iを流す(この例では周波数は50kHzである。)。
【0057】
電圧測定部21′は、差動増幅回路22と、A/D変換部32と、整流処理部33と、平滑処理部34と、電圧検出部35とを含んでいる。差動増幅回路22は、第3電極3につながる第1入力端子22aと、第4電極4につながる第2入力端子22bと、出力端子22cとを有している。この差動増幅回路22は、第1入力端子22aを介して第3電極3からの電圧V1を受け、また、第2入力端子22bを介して第4電極4からの電圧V2を受けて、電圧V1と電圧V2との間の差分を増幅して、増幅結果を表す出力信号Vo1を出力端子22cに出力する。A/D変換部32は、差動増幅回路22の出力信号Vo1をA/D変換してデジタル信号Vo1′として出力する。整流処理部33は、A/D変換部32の出力信号Vo1′を整流する。この例では、整流処理部33全波整流するものとし、以下では、得られた波形の半波分を反転させて、全波が連続しているものとして説明する。平滑処理部34は、整流処理部33の出力を平滑化する。電圧検出部35は、平滑処理部34の出力に応じた電圧値Vo2を出力する。この電圧値Vo2に応じて降下電圧Vが求められる。
【0058】
制御部30は、この降下電圧Vを数値換算(通電電流で割り算)することにより、生体のインピーダンスを求める。
【0059】
ここで、電極1,2,3,4と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRR,FVLR,FVRRが小さくて、接触エラーが無いときは、第3電極3からの電圧V1と第4電極4からの電圧V2は、それぞれ図7(A)中に破線、1点鎖線で示すように正弦波となる。この結果、差動増幅回路22の出力信号Vo1も、図7(A)中に実線で示すように正弦波となる。一方、電極1,2,3,4と生体900との間の接触インピーダンスFILR,FIRR,FVLR,FVRRが大きくて、接触エラーがあるときは、第3電極3からの電圧V1と第4電極4からの電圧V2は、それぞれ図7(B)中に破線、1点鎖線で示すように歪んだ波形となる。この結果、差動増幅回路22の出力信号Vo1も、図7(B)中に実線で示すように歪んだ波形となる。
【0060】
図5中に示すエラー検知部50は、サンプリング部51と、サンプリングデータ記憶部52と、歪み量算出部53と、接触エラー判定部54とを含んでいる。サンプリング部51は、A/D変換部32の出力信号Vo1′(アナログ信号とデジタル信号との相違を除いて、実質的には差動増幅回路22の出力信号Vo1と等価である。以下、適宜「差動増幅回路22の出力信号Vo1′」という。)を、交流電流Iの周期よりも十分短い周期(この例では500[kHz])でサンプリングしてサンプリングデータとして取得する。なお、サンプリング周期は、要求精度に応じて設定するのが望ましい。要求精度が高ければ、サンプリング周期をより短く設定しても良い。サンプリングデータ記憶部52は、サンプリング部51によって取得されたサンプリングデータを少なくとも一時的に記憶する。歪み量算出部53は、サンプリングデータ記憶部52によって記憶されたサンプリングデータを用いて、差動増幅回路の出力信号Vo1′が正弦波に対して歪んでいる程度を表す歪み量を算出する。接触エラー判定部54は、歪み量算出部53が算出した歪み量が所定の許容範囲を超えたとき、生体900と電極1,2,3,4との間に接触エラーがあると判定して、信号AS1として接触エラーがあることを表す論理値1の信号を出力する。一方、接触エラー判定部54は、歪み量算出部53が算出した歪み量が所定の許容範囲内であれば、信号AS1として接触エラーが無いことを表す論理値0の信号を出力する。
【0061】
なお、電圧測定部21′のA/D変換部32、整流処理部33、平滑処理部34および電圧検出部35、並びにエラー検知部50のサンプリング部51、歪み量算出部53および接触エラー判定部54は、制御部30の図示しないCPUおよびソフトウェアによって構成される。サンプリングデータ記憶部52は、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)によって構成される。当業者ならば分かるように、この生体インピーダンス測定装置93では、一般的な生体インピーダンス測定装置に比して、新たな部品コストをかける必要がない。また、装置を小型に構成できる。
【0062】
この生体インピーダンス測定装置93では、接触エラーに関する判定結果は、インピーダンスに関する測定結果とは別に、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の、正弦波に対する歪み量に基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置93によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0063】
次に、歪み量の算出および接触エラーの判定の仕方について、4つの具体例を挙げて説明する。なお、歪み量の算出の基準となる理想的な正弦波は、振幅をAm、周波数をf、時間をt、オフセット電圧(DC成分)をVdc(一定)としたとき、Vs=AmSIN(2πft)+Vdcで表されるものとする。この例では、定電流源20の交流周波数に応じて、周波数fは固定であり、f=50[kHz]である。
【0064】
(具体例1)
この例では、歪み量算出部53は、図4中に示すように、サンプリングデータから差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極大点(山)に相当する第1サンプリング時刻T1と第1サンプリング電圧値P1とを抽出し、また、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極小点(谷)に相当する第2サンプリング時刻T2と第2サンプリング電圧値P2とを抽出する。さらに、サンプリングデータから、第1サンプリング時刻T1と第2サンプリング時刻T2との間の中間時刻Tx=(T1+T2)/2で得られる第3サンプリング電圧値Vxを抽出する。
【0065】
それとともに、歪み量算出部53は、第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値(P1+P2)/2に対する第3サンプリング電圧値Vxのずれ量|Vx−(P1+P2)/2|を、歪み量として算出する。
【0066】
次に、接触エラー判定部54は、歪み量|Vx−(P1+P2)/2|が、要求精度に応じた閾値(Vth1とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。つまり、|Vx−(P1+P2)/2|≧Vth1であれば、接触エラーがあると判定する。|Vx−(P1+P2)/2|<Vth1であれば、接触エラーが無いと判定する。
【0067】
ここで、閾値Vth1は、例えば差動増幅回路22の出力信号Vo1′の振幅AmをAm=(P1−P2)/2として算出し、その振幅Amの10%の値(例えば0.1[V])というように定めておく。
【0068】
または、歪み量算出部53は、上述の電圧ベースの歪み量に代えて、次のように時間ベースの歪み量を算出しても良い。
【0069】
すなわち、歪み量算出部53は、サンプリングデータから差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極大点(山)に相当する第1サンプリング時刻T1と第1サンプリング電圧値P1とを抽出し、また、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極小点(谷)に相当する第2サンプリング時刻T2と第2サンプリング電圧値P2とを抽出する。さらに、サンプリングデータから、第1サンプリング電圧値P1と第2サンプリング電圧値P2との間の中間電圧(P1+P2)/2を与える第3サンプリング時刻Txを抽出する。そして、歪み量算出部53は、第1サンプリング時刻T1と第2サンプリング時刻T2との平均値(T1+T2)/2に対する第3サンプリング時刻Txのずれ量|Tx−(T1+T2)/2|を、歪み量として算出する。
【0070】
次に、接触エラー判定部54は、歪み量|Tx−(T1+T2)/2|が、要求精度に応じた閾値(Tth1とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。つまり、|Tx−(T1+T2)/2|≧Tth1であれば、接触エラーがあると判定する。|Tx−(T1+T2)/2|<Tth1であれば、接触エラーが無いと判定する。
【0071】
ここで、閾値Tth1は、例えば差動増幅回路22の出力信号Vo1′の周期の10%の値(例えば0.002[msec])というように定めておく。
【0072】
この具体例1によれば、比較的簡単な演算によって接触エラーの有無を判定できる。
【0073】
(具体例2)
この例では、歪み量算出部53は、図4中に示すように、サンプリングデータから差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極大点(山)に相当する第1サンプリング時刻T1と第1サンプリング電圧値P1とを抽出し、また、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極小点(谷)に相当する第2サンプリング時刻T2と第2サンプリング電圧値P2とを抽出する。さらに、サンプリングデータから、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極大点(山)に相当する第3サンプリング時刻T3と第3サンプリング電圧値P3とを抽出する。このようにして、順次、各極点についての第nサンプリング時刻Tnと第3サンプリング電圧値Pnとを抽出する(ただし、nは3以上の自然数とする。)。各極点は、(T1,P1)、(T2,P2)、…、(Tn,Pn)と表されるものとする。
【0074】
それとともに、歪み量算出部53は、隣り同士の極点(T1,P1)、(T2,P2)間の振幅差|P1−P2|を算出し、また、隣り同士の極点(T2,P2)、(T3,P3)間の振幅差|P2−P3|を算出する。このようにして、順次、隣り同士の極点間の振幅差を算出する。
【0075】
さらに、歪み量算出部53は、隣り同士の極点間の振幅差|P1−P2|、|P2−P3|、…と、理想的な正弦波の隣り同士の極点間の振幅差との間の差分を、歪み量として算出する。
【0076】
そして、接触エラー判定部54は、それらの歪み量が、要求精度に応じた閾値(Vth2とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。
【0077】
なお、歪み量算出部53は、振幅差|P1−P2|、|P2−P3|、…の間の差分を歪み量として算出し、接触エラー判定部54は、それらの歪み量の間のばらつきが、要求精度に応じた閾値(Vth2′とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定しても良い。また、閾値Vth2による接触エラーの有無の判定と、閾値Vth2′による接触エラーの有無の判定とを併用しても良い。
【0078】
または、歪み量算出部53は、上述の電圧ベースの歪み量に代えて、次のように時間ベースの歪み量を算出しても良い。
【0079】
すなわち、歪み量算出部53は、隣り同士の極点(T1,P1)、(T2,P2)間の時間差|T1−T2|を算出し、また、隣り同士の極点(T2,P2)、(T3,P3)間の時間差|T2−T3|を算出する。このようにして、順次、隣り同士の極点間の時間差を算出する。
【0080】
さらに、歪み量算出部53は、隣り同士の極点間の時間差|T1−T2|、|T2−T3|、…と、理想的な正弦波の隣り同士の極点間の時間差との間の差分を、歪み量として算出する。
【0081】
そして、接触エラー判定部54は、それらの歪み量が、要求精度に応じた閾値(Tth2とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。
【0082】
なお、歪み量算出部53は、|T1−T2|、|T2−T3|、…の間の差分を歪み量として算出し、接触エラー判定部54は、それらの歪み量の間のばらつきが、要求精度に応じた閾値(Tth2′とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定しても良い。また、閾値Tth2による接触エラーの有無の判定と、閾値Tth2′による接触エラーの有無の判定とを併用しても良い。
【0083】
なお、この具体例2では、隣り同士の極点間の振幅差または時間差を用いて歪み量を規定したが、隣りよりも離れた極点間の振幅差、時間差を用いて歪み量を規定しても良い。
【0084】
(具体例3)
この例では、サンプリング部51がサンプリングして得られたサンプリングデータは、サンプリングデータ記憶部52によって、図8のデータテーブル中の「時間t[msec]」欄と「入力データ」欄に示すように記憶されているものとする。各サンプリング点は、「時間t[msec]」欄に格納されたサンプリング時刻t[msec]と、「入力データ」欄に格納されたサンプリング電圧値V[V]とを用いて、(t,V)と表されるものとする。
【0085】
歪み量算出部53は、隣り同士のサンプリング点(t,V)、(t,V)間の電圧差|V−V|と、時間差|t−t|と、歪み量としての傾き|V−V|/|t−t|とを算出する。さらに、隣り同士のサンプリング点(t,V)、(t,V)間の電圧差|V−V|と、時間差|t−t|と、歪み量としての傾き|V−V|/|t−t|とを算出する。このようにして、順次、隣り同士のサンプリング点間の電圧差と、時間差と、歪み量としての傾きとを算出する。
【0086】
そして、接触エラー判定部54は、それらの歪み量(傾き)が、要求精度に応じた閾値(Vtth3とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。
【0087】
なお、閾値Vtth3は、理想的な正弦波における各サンプリング点の位相に応じて予め定めておくものとする。
【0088】
(具体例4)
この例では、上の例と同様に、サンプリング部51がサンプリングして得られたサンプリングデータは、サンプリングデータ記憶部52によって、図8のデータテーブル中の「時間t[msec]」欄と「入力データ」欄に示すように記憶されているものとする。各サンプリング点は、「時間t[msec]」欄に格納されたサンプリング時刻t[msec]と、「入力データ」欄に格納されたサンプリング電圧値V[V]とを用いて、(t,V)と表される。
【0089】
歪み量算出部53は、サンプリングデータから差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極大点(山)に相当する第1サンプリング時刻T1と第1サンプリング電圧値P1とを抽出し、また、差動増幅回路22の出力信号Vo1′の極小点(谷)に相当する第2サンプリング時刻T2と第2サンプリング電圧値P2とを抽出する。なお、図8に、欄外から、極大点(T1,P1)に相当するサンプリング点と、極小点(T2,P2)に相当するサンプリング点とを示している。
【0090】
ここで、既述のように、歪み量の算出の基準となる理想的な正弦波は、振幅をAm、周波数をf、時間をt、オフセット電圧(DC成分)をVdc(一定)としたとき、Vs=AmSIN(2πft)+Vdcで表される。この例では、定電流源20の交流周波数に応じて、周波数fは固定であり、f=50[kHz]である。振幅Amは、第1サンプリング電圧値P1と第2サンプリング電圧値P2との差の1/2として求める。つまり、Am=|P1−P2|/2とする。オフセット電圧(DC成分)Vdcは、第1サンプリング電圧値P1と第2サンプリング電圧値P2との平均値(P1+P2)/2として求める。つまり、Vdc=(P1+P2)/2とする。これにより、歪み量の算出の基準となる理想的な正弦波の電圧値が、Vs=AmSIN(2πft)+Vdcで表す。
【0091】
歪み量算出部53は、図8中の「正弦波」欄に示すように、各サンプリング時刻t毎に上記正弦波の電圧値Vsを算出する。算出された電圧値Vsは、図8のデータテーブル中の「正弦波」欄に格納される。このとき、極大点(T1,P1)に相当するサンプリング点と、極小点(T2,P2)に相当するサンプリング点とを用いて、サンプリングデータの位相と上記正弦波の位相とを合わせる。極点(T1,P1)、(T2,P2)付近のデータが多数取れた場合は、例えばデータを平均化して、サンプリングデータの位相と上記正弦波の位相とを合わせる。
【0092】
さらに、歪み量算出部53は、サンプリング時刻t毎に、上記正弦波の電圧値Vsに対する差動増幅回路22の出力信号Vo1′のサンプリング電圧値Vのずれ量(V−Vs)を、歪み量として算出する。算出された歪み量は、図8のデータテーブル中の「差分」欄に格納される。
【0093】
そして、接触エラー判定部54は、それらの歪み量が、要求精度に応じた閾値(Vth4とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。つまり、|V−Vs|≧Vth4であれば、接触エラーがあると判定する。|V−Vs|<Vth4であれば、接触エラーが無いと判定する。
【0094】
ここで、閾値Vth4は、例えば差動増幅回路22の出力信号Vo1′の振幅Amの10%の値(例えば0.100[V])というように定めておく。
【0095】
図9は、サンプリング時刻t毎のサンプリング電圧値V(実線Vo1′で結ばれた記号◇で示す。)と、上記正弦波の電圧値Vs(破線D0で結ばれた記号□で示す。)と、ずれ量(V−Vs)(実線D1で結ばれた記号△で示す。)とを、グラフ化して示している。この例では、サンプリング時刻t=0.002〜0.003[msec]までの期間と、サンプリング時刻t=0.008〜0.011[msec]までの期間と、サンプリング時刻t=0.017〜0.018[msec]までの期間で、|V−Vs|が閾値Vth4を超えている。したがって、接触エラー判定部54は、接触エラーがあると判定する。
【0096】
また、仮に1周期にわたって|V−Vs|<Vth4であり、接触エラーが無いと判定された場合であっても、図10中に差分D1′として示すように、1周期内の大部分の期間で|V−Vs|が閾値Vth4に接近した状態になっている場合がある。このような場合は、接触エラーがあると判定すべきであると考えられる。
【0097】
そこで、歪み量算出部53は、(V−Vs)を複数のサンプリング時刻tを含む所定期間、例えば1/4周期毎にその1/4周期にわたって平均して、得られた(V−Vs)の平均値を第2の歪み量(Ave(V−Vs)で表す。)として算出する。
【0098】
接触エラー判定部54は、この第2の歪み量Ave(V−Vs)が要求精度に応じた閾値(Vth5とする。)よりも大きいか小さいかに応じて、接触エラーの有無を判定する。つまり、|Ave(V−Vs)|≧Vth5であれば、接触エラーがあると判定する。|Ave(V−Vs)|<Vth5であれば、接触エラーが無いと判定する。
【0099】
ここで、閾値Vth5は、Vth5<Vth4となるように定めておく。この例では、Vth5=0.050[V]とする。
【0100】
このようにした場合、例えばサンプリング時刻t毎の判定では接触エラーが検出されない場合であっても、第2の歪み量Ave(V−Vs)に基づいて接触エラーが検出され得る。したがって、接触インピーダンスの影響による異常をより適切に検出できる。
【0101】
なお、具体例1から4までで説明した歪み量の算出および接触エラーの判定の仕方を幾つか組み合わせて、接触エラーの有無を判定しても良い。
【0102】
既述のように、図5中の接触エラー判定部54は、生体900と電極1,2,3,4との間に接触エラーがあると判定したとき、信号AS1として接触エラーがあることを表す論理値1の信号を出力する。一方、接触エラー判定部54は、生体900と電極1,2,3,4との間に接触エラーが無いと判定したとき、信号AS1として接触エラーが無いことを表す論理値0の信号を出力する。
【0103】
接触エラー判定部54が信号AS1として接触エラーが無いことを表す論理値0の信号を出力していれば、制御部30は、上記インピーダンスを元に算出された体組成値を、表示部22(図11(A)参照)に表示させる。
【0104】
一方、接触エラー判定部54が接触エラーがあることを表す論理値1の信号を出力していれば、制御部30は、体組成値に代えて、接触エラーがあることを表すメッセージを、表示部22(図11(A)参照)に表示させる。
【0105】
この実施形態では、整流処理部33は全波整流するものとし、得られた波形の半波分を反転させて、全波が連続しているものとして説明した。整流処理部33が半波整流する場合は、得られた半波波形をコピーして全波分にするか、2波分の波形を用いて歪み量を算出すれば良い。
【0106】
図6は、図5の生体インピーダンス測定装置93を変形した変形例(全体を符号94で示す。)の回路構成を示している。図6において、図5中の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付して、重複した説明を省略する。
【0107】
この生体インピーダンス測定装置94は、図5の生体インピーダンス測定装置93におけるA/D変換部32と整流処理部33との順番が入れ替えられたものに相当する。すなわち、この生体インピーダンス測定装置94では、差動増幅回路22の次に整流回路23が設けられ、整流回路23の次にA/D変換部32が設けられている。エラー検知部50のサンプリング部51は、A/D変換部32の出力信号を入力する。
【0108】
この生体インピーダンス測定装置94は、図5の生体インピーダンス測定装置93と同様に動作し、同様の作用効果を奏する。すなわち、この生体インピーダンス測定装置94では、接触エラーに関する判定結果は、インピーダンスに関する測定結果とは別に、A/D変換部32の出力信号の、正弦波に対する歪み量に基づいて、リアルタイムで得られる。したがって、この生体インピーダンス測定装置94によれば、接触インピーダンスの影響による異常を適切に検出できる。
【0109】
以上の実施形態では、生体インピーダンス測定装置91,92,93,94は、接触エラーがあるとき、体組成値に代えて、接触エラーがあることを表すメッセージを、表示部22(図11(A)参照)に表示させるものとした。しかしながら、これに限られるものではなく、例えばスピーカや圧電ブザーを備えて、接触エラーがあるときは、その旨を音声やアラーム音によってユーザに知らせても良い。
【符号の説明】
【0110】
20 定電流源
21 電圧測定部
30 制御部
40,50 エラー検知部
91,92,93,94 生体インピーダンス測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体にそれぞれ接触すべき第1電極および第2電極、および上記生体のうち上記第1電極、第2電極に対応する箇所にそれぞれ接触すべき第3電極および第4電極と、
上記第1電極および第2電極を介して最大供給電圧範囲内で上記生体に所定の交流電流を流す定電流部と、
上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して最大入力電圧範囲内で入力して差動増幅する差動増幅回路を含む電圧測定部と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する供給電圧が上記最大供給電圧範囲内に設定された許容供給電圧範囲を超えたとき、または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への入力電圧が上記最大入力電圧範囲内に設定された許容入力電圧範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定するエラー検知部とを備えたことを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記エラー検知部は、
上記許容供給電圧範囲または許容入力電圧範囲を定める下限電圧と上限電圧とを供給する基準電圧供給部と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記下限電圧を下回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する第1比較器と、
上記定電流部からの上記第1電極若しくは第2電極に対する上記供給電圧または上記第3電極若しくは第4電極からの上記差動増幅回路への上記入力電圧が、上記基準電圧供給部からの上記上限電圧を上回ったとき、上記接触エラーがあることを表す信号を出力する第2比較器とを含むことを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項3】
生体にそれぞれ接触すべき第1電極および第2電極、および上記生体のうち上記第1電極、第2電極に対応する箇所にそれぞれ接触すべき第3電極および第4電極と、
上記第1電極および第2電極を介して上記生体に所定の交流電流を流す定電流部と、
上記生体に上記交流電流が流れることにより生じた降下電圧を、上記第3電極および第4電極を介して入力して差動増幅する差動増幅回路を含む電圧測定部と、
上記差動増幅回路の出力信号が正弦波に対して歪んでいる程度を表す歪み量を算出して、上記歪み量が所定の許容範囲を超えたとき、上記生体と上記第1電極、第2電極、第3電極および第4電極との間に接触エラーがあると判定するエラー検知部とを備えたことを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記エラー検知部は、
上記差動増幅回路の上記出力信号を、上記交流電流の周期よりも短い周期でサンプリングしてサンプリングデータとして取得するサンプリング部と、
上記サンプリング部によって取得されたサンプリングデータを少なくとも一時的に記憶するサンプリングデータ記憶部と、
上記サンプリングデータ記憶部によって記憶されたサンプリングデータを用いて上記歪み量を算出する歪み量算出部とを含むことを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング時刻と上記第2サンプリング時刻との間の中間時刻で得られる第3サンプリング電圧値を抽出して、
上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値に対する上記第3サンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出し、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出し、さらに、上記第1サンプリング電圧値と上記第2サンプリング電圧値との間の中間電圧を与える第3サンプリング時刻を抽出して、
上記第1サンプリング時刻と第2サンプリング時刻との平均値に対する上記第3サンプリング時刻のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項7】
請求項4に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記歪み量算出部は、
上記サンプリングデータから、上記差動増幅回路の上記出力信号の極大点に相当する第1サンプリング時刻と第1サンプリング電圧値とを抽出するとともに、上記差動増幅回路の上記出力信号の極小点に相当する第2サンプリング時刻と第2サンプリング電圧値とを抽出して、
上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との差の1/2を振幅とし、上記交流電流の周期と同じ周期をもち、かつ上記第1サンプリング電圧値と第2サンプリング電圧値との平均値をDC成分とする上記正弦波を設定し、
サンプリング時刻毎に、上記正弦波の電圧値に対する上記差動増幅回路の上記出力信号のサンプリング電圧値のずれ量を、上記歪み量として算出することを特徴とする生体インピーダンス測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の生体インピーダンス測定装置において、
上記歪み量算出部は、上記歪み量を複数のサンプリング時刻を含む所定期間にわたって平均して、得られた上記歪み量の平均値を第2の歪み量とすることを特徴とする生体インピーダンス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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