説明

生体コラーゲン合成促進剤

【課題】本発明の課題は、優れた生体コラーゲン合成促進剤を提供することにある。
【解決手段】松樹皮抽出物とコラーゲンの組成物、さらにカルシウム又はその化合物、ナトリウム又はその化合物、マグネシウム又はその化合物、亜鉛又はその化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分を配合することにより生体コラーゲンの合成促進効果を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松樹皮抽出物とコラーゲンを含有し、生体内でのコラーゲン合成促進能を高めるコラーゲン合成促進剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは生体タンパク質の約30%を占める生体骨格の主たる構造タンパク質であり、生体の支持組織として構造維持に重要な役割を果たしているほか、多くの組織に存在して細胞を保護し、細胞間因子として細胞の結合など重要な生理的役割を果たしている。このように、生体において重要な役割をもつコラーゲンも加齢による新陳代謝の低下に伴い減少し、老化の進行、病気や慢性疾患の回復の遅延など、加齢変化に伴う様々な障害、疾患、疾病等を引き起こすと考えられている。特に皮膚の老化は進行しやすく、老化の兆候も観察されやすい。皮膚老化を象徴するシワ及びタルミは皮膚の弾力性、柔軟性の低下が原因とされ、このような皮膚の老化はコラーゲンの減少に基づいている。
【0003】
また組織が傷害されると生体内で修復反応が起こり、皮膚潰瘍では肉芽形成、骨折では仮骨形成等の組織の再構築が起こる。これらの再構築も新陳代謝の低下した状態では劣化しており、体内の新陳代謝を活発にし、組織の再構築過程を増強することにより、難治性の皮膚疾患である褥瘡や糖尿病性血管潰瘍あるいは老人性骨折や骨欠損の治癒を促進できる。
【0004】
更に、コラーゲンはカルシウムと共に骨を構成する成分としても重要で、強い骨を作るためにはコラーゲン合成が活発である必要があることが認識されてきており、骨粗鬆症の予防にも重要である。
【0005】
このような背景の下、コラーゲンの産生増強作用を有する組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2)。また、本発明者らは、既に松樹皮抽出物を経口摂取することにより、皮膚のコラーゲン量が増強されることを見出している(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特表昭60−500955号公報
【特許文献2】特開平7−2699号公報
【特許文献3】特開2003−146899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、生体内のコラーゲン合成能を高めることができる生体コラーゲン合成促進剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、松樹皮抽出物とコラーゲンを1:10〜1:250の重量比で含有し、さらにカルシウム又はその化合物、ナトリウム又はその化合物、マグネシウム又はその化合物、亜鉛又はその化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分を含有することにより生体コラーゲンの合成促進効果を見出した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体内でのコラーゲン合成を促進し、組織合成能を向上することが可能であり、加齢に伴う組織の障害、疾患、疲労等の機能の低下を改善することが出来、更には、褥瘡など様々な皮膚瘡傷、骨粗鬆症等にも効果を期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0011】
本発明の生体コラーゲン合成促進剤は、松樹皮抽出物とコラーゲンを含有すること、さらには、カルシウム又はその化合物、ナトリウム又はその化合物、マグネシウム又はその化合物、亜鉛又はその化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分を含有することを特徴とする。
【0012】
(松樹皮抽出物の組成)
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な有効成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。植物が作り出す強力な抗酸化物質であり、植物の葉、樹皮、果実の皮および種に集中的に含まれている。このプロアントシアニジンは、ヒトの体内では生成することができない物質である。
【0013】
このプロアントシアニジンを含有する松樹皮抽出物を摂取した場合に、優れた脂質代謝改善効果が得られる。松樹皮抽出物には、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有され、さらにカテキンなどが含有される。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましく用いられる。重合度の低い縮重合体としては、重合度が2〜30の縮重合体(2〜30量体)が好ましく、重合度が2〜10の縮重合体(2〜10量体)がより好ましく、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)がさらに好ましい。重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体)のプロアントシアニジンは、特に体内に吸収されやすい。本明細書では、上記の重合度
が2〜4の重合体を、オリゴメリック・プロアントシアニジン(oligomeric proanthocyanidin、以下「OPC」という)という。
【0014】
また、松樹皮抽出物としては、重合度が2〜4の縮重合体(2〜4量体;すなわち、OPC)を15質量%、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%の割合で含有し、5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上、好ましくは15質量%以上の割合で含有する抽出物が好ましい。
【0015】
上記松樹皮抽出物には、さらにカテキン(catechin)類が含有され得、このカテキン類は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上の割合で含有される。カテキン類は、上記抽出方法によって、プロアントシアニジン(OPC)とともに抽出され得る。カテキン類とは、ポリヒドロキシフラバン−3−オールの総称である。カテキン類としては、(+)−カテキン(狭義のカテキンといわれる)、(−)−エピカテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、およびアフゼレキンなどが知られている。上記松樹皮抽出物からは、上記の(+)−カテキンの他、ガロカテキン、アフゼレキン、ならびに(+)−カテキンまたはガロカテキンの3−ガロイル誘導体が単離されている。カテキン類には、発癌抑制作用、活性酸素やフリーラジカルの消去作用、および抗酸化作用などがあることが知られている。また、カテキン類には、血糖の上昇を抑制する抗糖尿病効果があることが知られている。カテキン類は、単独では水溶性が乏しく、その生理活性が低いが、OPCの存在下では、水溶性が増すと同時に活性化する性質がある。従って、カテキン類はOPCとともに摂取することで効果的に作用する。
【0016】
カテキン類は、上記松樹皮抽出物に、5質量%以上含有されていることが好ましい。より好ましくは、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物に、カテキン類が5質量%以上含有されるのが好ましい。例えば、松樹皮抽出物のカテキン類含有量が5質量%未満の場合、含有量が5質量%以上となるようにカテキン類を添加してもよい。カテキン類を5質量%以上含有し、OPCを20質量%以上、かつ5量体以上のプロアントシアニジンを10質量%以上含有する松樹皮抽出物を用いることが最も好ましい。
【0017】
(松樹皮抽出物)
本発明に用いられる松樹皮抽出物としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ、カナダのケベック地方のアネダ等の樹皮抽出物が好ましく用いられる。中でも、フランス海岸松の樹皮抽出物が好ましく用いられる。
【0018】
フランス海岸松は、南仏の大西洋沿岸の一部に生育している海洋性松をいう。このフランス海岸松の樹皮は、フラボノイド類であるプロアントシアニジン(proanthocyanidin)を主要成分として含有する他に、有機酸並びにその他の生理活性成分等を含有している。この主要成分であるプロアントシアニジンには、活性酸素を除去する強い抗酸化作用があることが知られている。
【0019】
松樹皮抽出物は、上記松の樹皮を水または有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水、または熱水が用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2−トリクロロエテン等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、組合わせて用いてもよい。特に、熱水、含水エタノール、含水プロピレングリコール等が好ましく用いられる。
【0020】
松樹皮からの抽出方法は特に制限はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法などが用いられる。
【0021】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0022】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤・吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0023】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n−ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2〜20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC、カテキン類などの目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0024】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程などが省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0025】
また、松樹皮からの抽出は、上記の抽出法以外に、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等により行ってもよい。
【0026】
松樹皮からの抽出は、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0027】
上記抽出により得られた松樹皮抽出物は、限外濾過、あるいは吸着性担体(ダイヤイオンHP−20、Sephadex−LH20、キチンなど)を用いたカラム法またはバッチ法により精製を行うことが安全性の面から好ましい。
【0028】
本発明の生体コラーゲン合成促進剤に用いられる松樹皮抽出物は、具体的には、以下のような方法により調製されるが、これは例示であり、この方法に限定されない。
【0029】
フランス海岸松の樹皮1kgを、塩化ナトリウムの飽和水溶液3Lに入れ、100℃にて30分間抽出し、抽出液を得る(抽出工程)。その後、抽出液を濾過し、得られる不溶物を塩化ナトリウムの飽和溶液500mLで洗浄し、洗浄液を得る(洗浄工程)。この抽出液と洗浄液を合わせて、松樹皮の粗抽出液を得る。
【0030】
次いで、この粗抽出液に酢酸エチル250mLを添加して分液し、酢酸エチル層を回収する工程を5回繰り返す。回収した酢酸エチル溶液を合わせて、無水硫酸ナトリウム200gに直接添加して脱水する。その後、この酢酸エチル溶液を濾過し、濾液を元の5分の1量になるまで減圧濃縮する。濃縮された酢酸エチル溶液を2Lのクロロホルムに注ぎ、攪拌して得られる沈殿物を濾過して回収する。その後、この沈殿物を酢酸エチル100mLに溶解した後、再度1Lのクロロホルムに添加して洗浄するため沈殿させる工程を2回繰り返す。この方法により、例えば、重合度が2〜4のプロアントシアニジンを20質量%以上含有し、かつカテキン類を5質量%以上含有する、約5gの松樹皮抽出物が得られる。ここで、抽出物中の特定成分の含有量は、抽出物の乾燥質量を基準とした値である。以下、同様である。
【0031】
(コラーゲン)
本発明に言うコラーゲンとは、動物の生体を構成する繊維状の硬質蛋白の総称及び、これを加水分解して得られる可溶性蛋白を含んで意味するものであり、基源となる動物は陸上動物、水棲動物を問わない。具体的な基源となる動物を例示すれば、牛、豚、羊などの陸上動物、魚類などの水棲動物などが好ましく例示できる。これらの動物の骨格蛋白を水性担体で抽出したり、プロテアーゼなどで加水分解した後、可溶性部分を抽出したものなどが好ましく例示できる。特に好ましいものは、魚類を基源とし、それを加水分解し、可溶性にしたものである。又、好ましい分子量は、平均分子量として10000以下であり、より好ましくは5000以下である。これは平均分子量が大きすぎると、口溶け性が阻害されて嚥下しにくくなる場合が存するためである。この様な平均分子量のコラーゲンを得るためには、加水分解によって分子サイズを小さくし、所望により限外濾過などにより、分子量分布を調整することが好ましい。この様なコラーゲンには既に食品用のもので市販品が存するため、それを使用することも出来る。
【0032】
(本発明の生体コラーゲン合成促進剤)
本発明の生体コラーゲン合成促進剤は、松樹皮抽出物とコラーゲンとを含有し、その割合は、松樹皮抽出物1重量部に対して、コラーゲンが10〜250重量部、好ましくは10〜200重量部、より好ましくは10〜100重量部の割合で含有される。
さらに、カルシウム又はその化合物、ナトリウム又はその化合物、マグネシウム又はその化合物、亜鉛又はその化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分を配合する。
【0033】
本発明の製剤中の松樹皮抽出物の量は、特に制限はないが、製剤全体に対して、通常0.001〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。
【0034】
また、本発明の製剤中のコラーゲンの量は、特に制限はないが、製剤全体に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0035】
本発明の生体コラーゲン合成促進剤は、錠剤、ピル、カプセル、顆粒、粉末、散剤、軟剤、ゲル剤、ジェル剤、液剤等の固形または溶液の形態に公知の方法により適宜調製することができる。即ち、本発明の製剤として有用な固形製剤または液状製剤は、松樹皮抽出物およびコラーゲンと、所望により添加剤とを混合し、従来充分に確立された公知の製剤製法を用いることにより製造される。添加剤としては、例えば賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、希釈剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤または香料などが挙げられる。
【0036】
上記賦形剤としては、例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール或いはキシリトールなどの糖アルコール、ブドウ糖、白糖、乳糖或いは果糖などの糖類、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、リン酸水素カルシウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、β−シクロデキストリン、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、またはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0037】
上記pH調整剤としては、例えばクエン酸、リンゴ酸、リン酸水素ナトリウムまたはリン酸二カリウムなどが挙げられる。
【0038】
上記清涼化剤としては、例えばl−メントールまたはハッカ水などが挙げられる。
【0039】
上記懸濁化剤としては、例えば、カオリン、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、メチルセルロースまたはトラガントなどが挙げられる。
【0040】
上記希釈剤としては、例えば精製水、エタノール、植物油または乳化剤等が挙げられる。
【0041】
上記消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンまたはシリコン消泡剤などが挙げられる。
【0042】
上記粘稠剤としては、例えばキサンタンガム、トラガント、メチルセルロースまたはデキストリンなどが挙げられる。
【0043】
上記溶解補助剤としては、例えばエタノール、ショ糖脂肪酸エステルまたはマクロゴールなどが挙げられる。
【0044】
上記崩壊剤としては、例えば低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチまたは部分アルファー化デンプンなどが挙げられる。
【0045】
上記結合剤としては、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファー化デンプン、カンテン、トラガント、アルギン酸ナトリウムまたはアルギン酸プロピレングリコールエステルなどが挙げられる。
【0046】
上記滑沢剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ミツロウまたはサラシミツロウなどが挙げられる。
【0047】
上記抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)またはクエン酸などが挙げられる。
【0048】
上記コーティング剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタートジエチルアミノアセテートまたはセラックなどが挙げられる。
【0049】
上記着色剤としては、例えばウコン抽出液、リボフラビンまたは酸化チタンなどが挙げられる。
【0050】
上記矯味矯臭剤としては、例えばクエン酸、アジピン酸、果糖、D−ソルビトール、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、単シロップ、白糖、ハチミツ、アマチャ、カンゾウ、クエン酸、アジピン酸、オレンジ油、トウヒチンキ、ウイキョウ油、ハッカまたはメントールなどが挙げられる。
【0051】
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類またはショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0052】
上記可塑剤としては、例えばクエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはセタノールなどが挙げられる。
【0053】
上記香料としては、例えば、動物性香料或いは植物性香料等の天然香料、または単離香料或いは純合成香料等の合成香料などが挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明がこの実施例により制限されないことはいうまでもない。
【0055】
(組織合成能回復実験)
本発明は、ホルマリン濾紙法(FFP法:A.Tanaka et al,Endocrinol,Japan.1960(4)357−364)による組織修復能、コラーゲン合成能の回復効果の測定実験を行った。本発明は、Raoらの報告(Rao et al,Leather Science,Vol.33(1)1986,1−7)をもとに長期間低蛋白食で飼育することによって新陳代謝を著しく低下させたラットに対する本発明の生体コラーゲン合成促進剤の影響を検討したものである。
(1)実験動物
5週齢のWistar系雄性ラットを8〜9日間の予備飼育後、1群5〜9匹として使用した。
(2)飼料
表1に示す飼料及び飲料水を自由に摂取させた。なお、表1の混合ビタミンは表2の混合物である。試料溶液を1日1回、実験終了 まで胃ゾンデを用いて強制的に経口投与した。
【0056】
(表1)

【0057】
(表2)

【0058】
(3)FFP法の評価
実験開始日より3週間目にエーテル麻酔の下、7%ホルマリンを20μL染み込ませた直径6mm、重量10mgの濾紙(東洋ろ紙株式会社製 濾紙No.26)をラット背部の皮下4カ所に埋没した。1週間飼育後、エーテル致死させ、直ちに濾紙を囲む肉芽組織を摘出し、肉芽質重量を測定し、コラーゲン合成能、ラットの組織修復能の指標とした。
上記実験の結果を表3及び表4に示す。
表3及び表4によれば、松樹皮抽出物とコラーゲンを1:10〜1:250で組み合わせ、さらにカルシウ化合物、ナトリウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分を投与する方が、肉芽形成の促進効果が認められた。
【0059】
(表3)

【0060】
(表4)

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、生体内のコラーゲン合成能を飛躍的に高めることができる生体コラーゲン合成促進剤を提供することが出来る。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物とコラーゲンを含有することを特徴とする、生体コラーゲン合成促進剤。
【請求項2】
松樹皮抽出物とコラーゲンを1:10〜1:250の重量比で含有することを特徴とする、請求項1に記載の生体コラーゲン合成促進剤。
【請求項3】
カルシウム又はその化合物、ナトリウム又はその化合物、マグネシウム又はその化合物、亜鉛又はその化合物から選ばれる少なくとも1種以上の成分をさらに含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の生体コラーゲン合成促進剤。


【公開番号】特開2010−6743(P2010−6743A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167315(P2008−167315)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】