生体サンプルの複合自動分析装置用反応キュベット
【課題】測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができ、しかも装置内の部品を共用することによって装置を小規模にすると共に、測定時間の短縮も実現することのできる自動分析装置に適した反応キュベットを提供する。
【解決手段】反応キュベット8は、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起84を弧状にしたことを特徴とする。また、キュベット本体の底面に、曲面状壁面を有する窪みを設けることができ、更に、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることができる。
【解決手段】反応キュベット8は、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起84を弧状にしたことを特徴とする。また、キュベット本体の底面に、曲面状壁面を有する窪みを設けることができ、更に、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体サンプルの複合自動分析装置、自動分析方法、及び反応キュベットに関する。
【背景技術】
【0002】
血液サンプルや尿サンプルなどの生体サンプル中の成分を測定する自動分析装置は、従来、酵素などの生化学的な項目を測定するのが主流であった。しかしながら、近年、ホルモンや腫瘍マーカーなどの免疫学的項目の測定も増加する傾向にある。生化学自動分析装置では、一般的に、血液サンプル中の生化学的反応により反応液の吸光度が変化するのを利用して、透過光や散乱光によって検査対象物質の測定を行う。また、このような生化学自動分析装置によって、一部の免疫学的項目も測定可能であり、例えば、B/F分離を必要としないホモジニアスな測定が可能な一部の免疫学項目に関しては、ラテックス凝集法などによって吸光度の変化を利用して測定を行うことができるようになってきている。
【0003】
一方、免疫学的項目用の血清免疫分析装置では、試薬側として用意される各検査対象物質に特異的に結合する抗体や抗原に蛍光色素などで標識した標識抗体又は標識抗原と、サンプル中の検査対象物質との免疫学的な反応により結合させた後、B/F分離を行い、標識抗体又は標識抗原を検出するヘテロジニアスな測定によって、高感度又は高精度に生体サンプル中のホルモン等の検査対象物質を測定することが可能である。
【0004】
ところで、近年の血清免疫分析装置の高感度又は高精度化に伴い、甲状腺刺激ホルモンなどのように血液中に正常値以上の高濃度に存在する場合と、正常値以下でごく微量に存在する場合とで別々の病態を示すものがあることが分かってきている。このため、同一検体について生化学項目の測定と免疫学的項目の測定の必要がある場合には、従来、血清免疫分析装置での測定が終了してから生化学自動分析装置で、再度、その検体の測定を行うか、あるいは逆に、生化学自動分析装置での測定が終了した後に血清免疫分析装置で、再度、その検体の測定を行う必要があった。
【0005】
このように、病態診断のためには1台の自動分析装置によって得られる検査結果だけでは不十分である場合が多い。そこで、従来から、1台のシステムで多種類の分析項目を分析することができるように構成されている分析システムが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この分析システムは、検体ラックの搬送ラインに沿って生化学分析用の複数の分析ユニットを配置した構成であり、複数台の生化学自動分析装置を単に並置した構成と実質的には異ならない。
【0006】
また、生化学分析ユニットと免疫分析ユニットとを1つにまとめた複合自動分析装置も知られている(例えば、特許文献2)。しかしながら、この装置では、生化学分析ユニット及び免疫分析ユニットには、それぞれの試薬供給ユニットや反応及び測定を実施する装置が設けられており、前記の生化学分析ユニット及び免疫分析ユニットにサンプルを供給する検体ラックが、検体搬送ラインに沿って移動して、サンプルを共通に利用するだけである。従って、装置も比較的大がかりであるため、スペース節約の効果も限られており、測定検査時間の短縮効果も得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−281113号公報
【特許文献2】特開2001−4636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができ、しかも装置内の部品を共用することによって装置を小規模にすると共に、測定時間の短縮も実現することのできる手段を提供することにある。
また、本発明者は、前記装置の開発過程で、こうした自動分析装置に適した反応キュベットの開発にも成功した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、本発明により、
(1)複数の生体サンプルを備えるサンプル供給ユニット、
(2)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第1光学系測定手段を備える第1測定ユニット、
(3)前記サンプル供給ユニットから、前記第1測定ユニット上の反応キュベットに生体サンプルを搬送することのできるサンプル搬送手段、
(4)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第2光学系測定手段を備える第2測定ユニット、
(5)前記第1測定ユニット上の反応キュベットを、前記第2測定ユニットに移送させることのできるキュベット移送手段、
(6)前記第1測定ユニットでの測定及び前記第2測定ユニットでの測定に用いる試薬を備える試薬供給ユニット、及び
(7)前記試薬供給ユニットから第1測定ユニット及び/又は第2測定ユニット上の反応キュベットに相互に独立して反応試薬を搬送することのできる試薬搬送手段
を含み、
前記第2測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、前記キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記第2測定ユニットに移送されて担持されるものとし、そして
前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットとで別異の測定を実施する
ことを特徴とする、生体サンプルの複合自動分析装置によって解決することができる。
【0010】
本発明装置の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける測定と前記第2測定ユニットにおける測定とが、測定原理又は検出形態の異なる測定である。
本発明装置の更に好ましい態様においては、前記第2測定ユニットは、前記第1測定ユニットにおける測定よりも高感度又は高精度の測定を実施する。
【0011】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける測定が生化学測定又はラテックス凝集測定であり、前記第2測定ユニットにおける測定が酵素免疫測定である。
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットが、回転可能なディスク型で、前記回転運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンをディスク周縁部に備えているか、あるいは、往復運動可能なプレート型で、前記往復運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンを備えている。
【0012】
本発明装置の別の好ましい態様においては、相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、光学系測定手段を備え、前記第1測定ユニットにおける測定及び前記第2測定ユニットにおける測定とは異なる測定を実施する追加測定ユニット1つ又はそれ以上を更に含む。この態様において、前記追加測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記追加測定ユニットに移送されて担持されていることができ、更に、この態様において、前記追加測定ユニットが、回転可能なディスク型で、前記回転運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンをディスク周縁部に備えているか、あるいは、往復運動可能なプレート型で、前記往復運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンを備えていることができる。更にまた、この態様において、前記第1測定ユニットにおける測定が比色又は比濁測定法であり、前記第2測定ユニットにおける測定が化学発光測定法であり、前記追加測定ユニットにおける測定が血液凝固時間測定であることができる。
【0013】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記サンプル供給ユニットから生体サンプルを直接的に供給され、前記試薬供給ユニットからの試薬供給を必要とせずに測定を実施することができる独立型測定ユニット1つ又はそれ以上を更に含む。この態様においては、前記独立型測定ユニットが、例えば、体液電解質測定ユニットである。
【0014】
本発明装置の更に別の好ましい態様においては、前記測定ユニットの少なくとも1つが、異常サンプル検出手段を有している。
【0015】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける第1光学系測定手段と、前記第2測定ユニットにおける第2光学系測定手段と、前記追加測定ユニット1つ又はそれ以上における光学系測定手段とが、それぞれ相互に異なる光学検出計であり、この態様において、前記第1光学系測定手段、前記第2光学系測定手段、及び1つの前記追加測定ユニットにおける光学系測定手段が、それぞれ相互に異なる光学検出計であって、それらが、例えば、
(1)発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計、
(2)ランプユニット及び分光器を含む光学検出計、及び
(3)受光器としてフォトマルを含む光学検出計
のいずれかである。
【0016】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記試薬供給ユニットが、相互に独立に同一方向又は反対方向に回転可能で停止可能な複数の同心円型リング状試薬保存レーンを有し、個々の同心円型リング状試薬保存レーンが、それぞれ、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットのそれぞれに担持された反応キュベットに供給する試薬を保存している。また、この態様において、前記試薬供給ユニットが、前記追加測定ユニット1つ又はそれ以上に担持された反応キュベットに供給する試薬を保存する同心円型リング状試薬保存レーンを更に有することができ、更に、前記試薬供給ユニットが、前記独立型測定ユニット1つ又はそれ以上に担持された反応キュベットに供給する試薬を保存する同心円型リング状試薬保存レーンを更に有することができる。
【0017】
本発明装置の別の好ましい態様においては、反応キュベットとして、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にした反応キュベットを用いる。この態様において、前記反応キュベットは、例えば、そのキュベット本体の底面に曲面状壁面を有する窪みを有し、更に前記反応キュベットは、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を有することができる。また、前記反応キュベットは、前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有することもできる。
【0018】
また、本発明は、
(1)複数の生体サンプルを備えるサンプル供給ユニット、
(2)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第1光学系測定手段を備える第1測定ユニット、
(3)前記サンプル供給ユニットから、前記第1測定ユニット上の反応キュベットに生体サンプルを搬送することのできるサンプル搬送手段、
(4)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第2光学系測定手段を備える第2測定ユニット、
(5)前記第1測定ユニット上の反応キュベットを、前記第2測定ユニットに移送させることのできるキュベット移送手段、
(6)前記第1測定ユニットでの測定及び前記第2測定ユニットでの測定に用いる試薬を
備える試薬供給ユニット、及び
(7)前記試薬供給ユニットから第1測定ユニット及び/又は第2測定ユニット上の反応キュベットに相互に独立して反応試薬を搬送することのできる試薬搬送手段
を含む複合自動分析装置による分析方法であって、
前記第2測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、前記キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記第2測定ユニットに移送されて担持されるものとし、そして
前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットとで別異の測定を実施する
ことを特徴とする、生体サンプルの複合自動分析方法にも関する。
【0019】
更に、本発明は、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にしたことを特徴とする、反応キュベットにも関する。
本発明による反応キュベットの好ましい態様においては、キュベット本体の底面に、曲面壁面を有する窪みを設ける。
本発明による反応キュベットの更に好ましい態様においては、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設ける。
本発明による反応キュベットの更に好ましい態様においては、前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有する。
【0020】
本明細書において、自動分析装置に関して「上方」や「下方」あるいは「上部」や「下部」などの上下関係を示す用語は、自動分析装置を用いて自動分析を実施している状態での上下関係を示しており、それ以外の状態(例えば、搬送時の状態や組み立て時の状態)における位置関係を規定するものではない。分析方法についても同様である。更に、反応キュベットに関して「上方」や「下方」あるいは「上部」や「下部」などの用語も、反応キュベットを自動分析装置上で用いて自動分析を実施している状態での上下関係を示しており、それ以外の状態(例えば、装着前後の状態)における位置関係を規定するものではない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の自動分析装置は、複数の測定ユニットを有しているので、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができ、しかも測定時間を短縮することもできる。更に、装置内の部品を共用しているので、装置が小規模となって省スペースを実現することができる。
また、本発明の反応キュベットは、弧状の載置用突起を有しているので、各測定ユニットの反応基台上での攪拌操作を円滑に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の複合自動分析装置を構成する各ユニットの配置状態を模式的に示す平面図である。
【図2】第1測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図3】第2測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図4】第3測定ユニット及び第4測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図5】本発明による反応キュベットの斜視図である。
【図6】図5の反応キュベットの断面図である。
【図7】図5の反応キュベットを反応基台に載置した状態の模式的断面図である。
【図8】図5の反応キュベットを反応基台に載置し、攪拌処理を開始した状態の模式的断面図である。
【図9】固定用突出片を有する反応キュベットの斜視図である。
【図10】図9の反応キュベットの断面図である。
【図11】別の態様の固定用突出片を有する反応キュベットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による複合自動分析装置の代表的な実施態様を添付図面に沿って説明する。
図1は、本発明の複合自動分析装置10を構成する各ユニットの配置状態を模式的に示す平面図である。図1に示すとおり、本発明の複合自動分析装置10は、ハウジング7内に、サンプル供給ユニット1、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び試薬供給ユニット4を含み、更に、追加測定ユニットとして第3測定ユニット5を含むことができ、独立型測定ユニットとして第4測定ユニット6を含むことができる。
【0024】
サンプル供給ユニット1は、複数の生体サンプル(例えば、血液検体又は尿検体)を充填したサンプルカップを着脱自在に保持するサンプルラックを備える。サンプル供給ユニット1は、例えば、図1の矢印A及び/又は矢印Bの方向に移動することによって、所定のサンプルカップをサンプル採取位置11に搬送し、そのサンプル採取位置11で、サンプル分注ピペッタ(図示せず)によって所定の生体サンプルを、第1測定ユニット2の上に保持されている反応キュベットに分注する。サンプル分注ピペッタは、例えば、ハウジング7の天井部分から垂れ下がり、天井部分に設けたガイドレールに沿って移動可能な懸架型ピペッタであることができ、サンプル供給ユニット1を移動させずに、サンプル供給ユニット1内の所定のサンプルカップの上方位置まで移動し、生体サンプルを採取し、続いて第1測定ユニット2の上に保持されている反応キュベットの上方位置まで移動して反応キュベットに分注することもできる。この場合、サンプル供給ユニット1は、ハウジング7内の所定位置に固定させて配置することができ、サンプル供給ユニット1の移動手段を設ける必要がない。
【0025】
第1測定ユニット2は、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の反応基台21を含み、その反応基台21の周縁部に、円周に沿ってリング状の反応キュベット載置ゾーン22を備えている。反応基台21は、時計方向又は反時計方向(矢印Dの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、サンプルや試薬の分注位置、攪拌位置、測定位置、廃棄位置など)で停止することができる。また、反応キュベット載置ゾーン22には、相互に独立した複数の反応キュベット25を個々に着脱可能に保持することができる。なお、反応キュベット載置ゾーン22には、円周方向に1列に、多数の反応キュベット25が、隣接反応キュベット間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの反応キュベット25を間引いて示している。
【0026】
第2測定ユニット3も、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の反応基台31を含み、その反応基台31の周縁部に、円周に沿ってリング状の反応キュベット載置ゾーン32を備えている。反応基台31も、時計方向又は反時計方向(矢印Fの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、試薬分注位置、攪拌位置、測定位置、廃棄位置など)で停止することができる。第2測定ユニット3の回転運動及び停止は、第1測定ユニット2の回転運動及び停止と、相互に同調させることも、あるいは相互に独立して別途に行うこともできる。また、反応キュベット載置ゾーン32には、相互に独立した複数の反応キュベット25を個々に着脱可能に保持することができる。なお、反応キュベット載置ゾーン32には、円周方向に1列に、多数の反応キュベット25が、隣接反応キュベット間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの反応キュベット25を間引いて示している。
【0027】
試薬供給ユニット4は、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の試薬保存基台41を含み、その試薬保存基台41には、複数の同心円型リング状試薬保存レーン42a,42b,42cを備えている。各試薬保存レーン42a,42b,42cには、本発明による複合自動分析装置の各測定ユニット(例えば、前記第1測定ユニット2、前記第2測定ユニット3、あるいは更に、追加ユニットとしての第3測定ユニット5)での測定に必要な種々の試薬を収納する試薬カップ43が格納されている。試薬保存基台41は、時計方向又は反時計方向(矢印Kの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、試薬の採取位置、試薬カップの着脱位置など)で停止することができる。なお、試薬保存レーン42a,42b,42cには、円周方向に1列に、多数の試薬カップ43が、隣接試薬カップ間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの試薬カップを間引いて示している。また、同心円型試薬保存レーンの数も3に限定されず、2以下あるいは4以上の試薬保存レーンを設けることができる。
【0028】
回転テーブル型の前記試薬保存基台41は、全体で1つのディスクとして回転する構造を有することもできるし、複数の同心円型リング状試薬保存レーン(例えば、各試薬保存レーン42a,42b,42c)がそれぞれ相互に独立して回転運動を行うことのできる多重リング構造を有することもできる。複数の同心円型試薬保存レーンが相互に独立して回転可能な多重リング構造を有する場合には、個々のリングを相互に独立に時計回り又は半時計回りに回転させ、そして相互に独立に停止させて種々の各測定ユニットへの試薬供給を相互に独立して効率的に実施することができる。
【0029】
次に、第1測定ユニット2において、比色又は比濁測定法を利用する生化学的項目の測定又はラテックス凝集測定を実施する場合を、図2に沿って説明する。
第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25は、サンプル分注位置25aにて停止し、前記サンプル供給ユニット1の所定のサンプルカップ11の生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって供給される(図1及び図2の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、反応基台21の回転によってR1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR1試薬を分注される(図2の矢印L参照)。このR1試薬分注は、例えば、ハウジング7の天井部分から垂れ下がり、天井部分に設けたガイドレールに沿って移動可能な懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42aの所定の試薬カップ43aの上方位置まで移動し、R1試薬を採取し、続いて第1測定ユニット2のR1試薬分注位置25b上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。
【0030】
こうして生体サンプルとR1試薬とを分注された反応キュベット25は、反応基台21の回転によって攪拌位置25cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、反応基台21の回転によってR2試薬分注位置25dまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR2試薬を分注される(図2の矢印M参照)。このR2試薬分注も、前記と同様の懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42bの所定の試薬カップ43bの上方位置まで移動し、R2試薬を採取し、続いて第1測定ユニット2のR2試薬分注位置25d上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。
【0031】
こうして生体サンプル、R1試薬、及びR2試薬を分注された反応キュベット25は、反応基台21の回転によって攪拌位置25cまで移動して停止し、再び、攪拌操作を受ける。なお、2回目の攪拌を行う攪拌位置は、別の位置を用意することもできる。続いて、反応基台21の回転によって光学的測定位置25eを通過させ、その通過の際に、反応キュベット内での反応に基づく変化を透過光又は散乱光などによって測定することのできる光学的測定手段26によって測定する。なお、前記光学的測定を実施する際に、光学的測定位置25eにて反応キュベット25を停止させることもできる。続いて、反応キュベット25は、最後に廃棄位置25fまで移動して停止し、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0032】
続いて、第2測定ユニット3において、化学発光を利用する酵素免疫測定法を実施する場合を、図3に沿って説明する。
第2測定ユニット3における測定を実施する場合も、サンプル分注や一部の試薬分注(あるいはサンプル分注のみ)を第1測定ユニット2の反応基台21上で実施する。すなわち、最初に、第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25をサンプル分注位置25aで停止させ、前記と同様に、前記サンプル供給ユニット1の所定のサンプルカップ11の生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって反応キュベット25に供給する(図3の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、反応基台21の回転によってR1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、R1試薬を分注される(図3の矢印L参照)。
【0033】
生体サンプルとR1試薬とを分注された反応キュベット25は、前記と同様に、攪拌位置25cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、R2試薬分注位置25dまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR2試薬を分注される(図3の矢印M参照)。次に、必要によって攪拌位置25cにて攪拌操作を受けた後、反応キュベット25は、キュベット移送位置25tまで移動して停止する。
【0034】
反応キュベット25は、キュベット移送位置25tにてピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り出され、第2測定ユニット3の反応基台31に移送され(矢印E参照)、受容位置35aに移る。次に、この反応キュベット25は、反応基台31の回転(矢印F参照)によって、必要により、R3試薬分注位置35bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR3試薬を分注される(図3の矢印N参照)。このR3試薬分注は、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42cの所定の試薬カップ43cの上方位置まで移動し、R3試薬を採取し、続いて第2測定ユニット3のR3試薬分注位置35b上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。なお、R3試薬の分注が不要の場合は、この工程は省略される。また、第1測定ユニット2において、R2試薬の分注を行わずに、前記R3試薬分注位置35bにおいて、R2試薬の分注を行うこともできる。
【0035】
こうしてR3試薬(又はR2試薬)を分注された反応キュベット25は、反応基台31の回転によって攪拌位置35cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、反応キュベット25は、B/F分離位置35dにてB/F分離操作を受ける。ここで、磁性ビーズを利用する場合は、磁石によってB/F分離操作を行うことができる。磁石を使用する場合は、磁性ビーズ収集までの時間が比較的長く必要になるので、反応基台31の停止時間が比較的長くなる。しかしながら、本発明装置では、第2測定ユニット3の反応基台31を第1測定ユニット2の反応基台21と分離しているので、回転運動における長い停止時間によって、全体の処理時間が長くなることを防止することができる。
【0036】
B/F分離操作を受けた後で、反応キュベット25は、洗浄位置35eまで移動して停止し、洗浄操作を受ける。続いて、ピックアップ位置35fまで移動して停止し、適当なピックアップ手段(図示せず)によって光学的測定手段33に移送される。この光学的測定手段33は、例えば、反応キュベット内での反応に基づく変化を化学発光によって測定することのできる手段である。なお、前記光学的測定を、反応基台31の上で実施することもできる。前記光学的測定を反応基台31の上で実施する場合には、反応キュベット25が光学的測定位置(図示せず)を通過する際に測定するか、あるいは反応キュベット25を光学的測定位置(図示せず)にて停止させて測定することもできる。測定後は、その光学的測定手段33から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0037】
本発明による複合自動分析装置は、前記第1測定ユニット2及び前記第2測定ユニット3に加えて、1又はそれ以上の追加測定ユニットを備えていることができる。
追加測定ユニットは、前記第1測定ユニット1上で生体サンプルを分注され、場合によって更に試薬の一部を分注された反応キュベットを、前記第1測定ユニット1から適当なキュベット移送手段によって受け取るタイプ(プレ供給型)であるか、あるいは前記サンプル供給ユニット1から直接に生体サンプルを供給されるタイプ(直接供給型)であることができる。更に、追加測定ユニットは、試薬供給ユニット4から追加試薬の供給を必要とする追加試薬補充型であるか、あるいは試薬供給ユニット4から追加試薬の供給を必要としない追加試薬不要型であることができる。
【0038】
本発明による複合自動分析装置は、前記第1測定ユニット2及び前記第2測定ユニット3に加えて、また、前記追加測定ユニットに加えてか、あるいは前記追加測定ユニットに代えて、1又はそれ以上の独立型測定ユニットを備えていることもできる。この独立型測定ユニットでは、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルを直接的に供給され、前記試薬供給ユニット4からの試薬供給を必要とせずに測定を実施することができる。前記独立型測定ユニットは、例えば、体液電解質測定ユニットである。
【0039】
図4に沿って、追加測定ユニットとしてプレ供給型で追加試薬補充型の第3測定ユニット5と、独立型測定ユニットとしての第4測定ユニット6を備えている態様を説明する。プレ供給型で追加試薬補充型の第3測定ユニット5では、前記第1測定ユニット2や前記第2測定ユニット3での測定とは別に、例えば、血液凝固時間測定を実施することができる。プレ供給型の第3測定ユニット5における測定を実施する場合も、サンプル分注や一部の試薬分注を第1測定ユニット2の反応基台21上で実施する。すなわち、最初に、第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25をサンプル分注位置25aで停止させ、前記と同様に、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって反応キュベット25に供給する(図4の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、R1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、R1試薬を分注される。なお、第1測定ユニット2では、サンプル分注のみを実施し、試薬分注を行わないこともできる。
【0040】
続いて、必要によって、前記と同様の攪拌操作やR2試薬分注操作を受けた後、反応キュベット25は、キュベット移送位置25sまで移動して停止する。このキュベット移送位置25sにて、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り出され、移送ポジション5a(図4にて破線で示す)に位置する第3測定ユニット5の反応基台51において、受容位置55aに移送される(矢印G参照)。この第3測定ユニット5は、前記第1測定ユニット2や前記第2測定ユニット3と同様に、円形の回転テーブル型反応基台を含むタイプであることもできるが、直線的な往復運動(矢印Hの方向及びその逆方向)が可能な帯状テーブル型反応基台を含むタイプであることもできる。
【0041】
移送ポジション5aにて反応キュベット25を受け取った第3測定ユニット5は、反応基台51の直線的スライド運動(矢印Hの方向)によって追加試薬分注ポジション5b(図4にて実線で示す)に移動して停止し、追加試薬分注位置55bにて、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、追加試薬を分注される(矢印P参照)。更に、反応基台51には、反応キュベット25が載置される位置にそれぞれ光学的測定手段(図示せず)が設置されている。例えば、透過光測定用の発信部と受信部とからなる光学的測定手段を、反応キュベット25が載置される位置の両側に設けているので、例えば、0.1秒間隔の透過光測定を実施することもできる。なお、光学的測定手段を反応基台51には設置せずに、例えば、図4に示すように、反応基台51の直線的スライド運動(矢印Hの方向)によって光学的測定ポジション5c(図4にて破線で示す)に移動させて停止し、その光学的測定位置5cにおいて、例えば、反応キュベット内での反応に基づく変化を散乱光によって測定することのできる光学的測定手段57によって測定することもできる。測定後は、廃棄位置(図示せず)まで移動して停止し、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台51から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0042】
独立型測定ユニットである第4測定ユニット6へは、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって直接に供給する(図4の矢印J参照)。第4測定ユニット6は、例えば、体液電解質測定ユニット、特には、各種のイオン選択性電極を備えるイオン検出装置であることができる。イオン選択性電極としては、例えば、ハロゲンイオン選択性電極やアルカリ金属イオン選択性電極を挙げることができる。
【0043】
本発明による複合自動分析装置では、前記第1測定ユニットにおいて前記サンプル供給ユニットから共通にサンプルを供給されることを除けば、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニット、並びに場合により設置する1又は複数の追加測定ユニットに関して、それらの設置位置や設置の順序(隣接関係)、各測定ユニットの測定項目の種類や各測定ユニットに設ける光学系測定手段の種類は、特に限定されるものではない。
【0044】
なお、本発明による複合自動分析装置では、前記サンプル供給ユニットから、相互に独立した複数の反応キュベットへのサンプル分注を前記第1測定ユニットにおいて一括して実施するので、前記サンプル供給ユニットと第1測定ユニットとを隣接した近接位置に配置するのが好ましい。前記サンプル供給ユニットと第1測定ユニットとが近接していると、分注用のサンプル搬送手段の運動が単純かつ短くなり、分注操作時間の短縮や装置機構を簡素化することができる。すなわち、測定ユニット毎にサンプル分注をそれぞれ個別に実施する従来装置と比較すると、本発明による複合自動分析装置では、サンプル分注を前記第1測定ユニットにおいて一括して実施し、前記第2測定ユニットや追加測定ユニット(第3測定ユニットなど)へは反応キュベットをキュベット移送手段によって単に移送するだけであるので、サンプル分注時間を含む全体的な処理時間が短縮され、機構を簡素化することができる。
【0045】
例えば、前記第1測定ユニットでは、生化学的測定や免疫学的測定を実施することができる。生化学的測定の対象は、通常の生化学的臨床検査で実施される対象、例えば、各種の酵素、糖質、脂質、血漿(血清)タンパク質、非タンパク窒素化合物、生体色素、腫瘍マーカーなどを挙げることができる。免疫学的測定としては、透過光や散乱光を利用する免疫学的測定、例えば、免疫比濁法やラテックス凝集法を挙げることができ、測定対象としては、例えば、D−ダイマー、FDP、又はHCVを挙げることができる。
【0046】
前記第2測定ユニットでは、他の測定ユニットとは異なる反応系であり、例えば、高感度又は高精度の測定を実施することができる。高感度又は高精度の測定としては、特には、特異的親和性物質による反応を利用することができる。ここで、特異的親和性物質による反応とは、例えば、抗原抗体反応、核酸(DNA又はRNA)の相補塩基による反応、あるいはレセプタとそのリガンドとの反応を挙げることができる。
【0047】
前記の特異的親和性物質による反応では、特異親和性物質と結合した物質の量を測定する。その場合、特異親和性物質と被結合物質とが結合することにより、それ自身あるいはそれに結合しているトレ−サの性質が変化することを利用して、結合した被結合物質量を求める均一測定法(ホモジニアス法)と、特異親和性物質と被測定物質の複合体を不溶性にした後、特異親和性物質と結合した被結合物質と結合していないものとを分離するB/F分離の操作を必要とする不均一法(ヘテロジニアス法)に大別される。本発明では、ホモジニアス法又はヘテロジニアス法のいずれの方法も、前記第2測定ユニットで実施することができる。また、トレ−サとして、放射性同位元素を用いた方法や、酵素を用いる酵素免疫分析方法(EIA)のいずれも利用することができる。
【0048】
前記第2測定ユニットでは、例えば、FIA、EIA、又はCLEIAを実施することができる。測定対象としては、例えば、CEA、CA19−9、T3、T4、FT3、FT4、HBsAg、TAT、又はTSHを挙げることができる。
【0049】
前記第3測定ユニットでは、例えば、血液凝固時間測定又は合成基質を用いた活性測定を実施することができる。血液凝固時間測定としては、例えば、プロトビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、又はフィブリノゲンの測定を挙げることができる。合成基質を用いた活性測定としては、例えば、プラスミノーゲン、プラスミンインヒビター、又はアンチトロンビンの測定を挙げることができる。前記第4測定ユニットでは、例えば、電解質測定を実施することができる。電解質測定の対象としては、例えば、Naイオン、Kイオン、又は塩素イオンを挙げることができる。
【0050】
前記第1測定ユニットでは、透過光や散乱光を利用する測定、例えば、比色測定法や比濁測定法を実施することが好ましい。前記第2測定ユニットでは、化学発光や蛍光を利用する測定、例えば、CLEIAを実施することが好ましい。前記第3測定ユニットでは、透過光や散乱光を利用する測定、例えば、血液凝固時間測定法を実施することが好ましい。前記第4測定ユニットでは、起電力を利用する測定、例えば、イオン選択電極法を実施することが好ましい。
【0051】
本発明の複合自動分析装置においては、前記第1測定ユニットにて、生化学測定又はラテックス凝集測定を比色又は比濁測定法で実施し、前記第2測定ユニットにて、酵素免疫学的測定を化学発光法で実施し、前記第3測定ユニットにて、血液凝固時間測定を実施する組合せが好ましい。更に、前記の組合せに加えて、前記第4測定ユニットにて、イオン分析を実施するのが好ましい。なお、前記第2測定ユニットでの化学発光酵素免疫学的測定を、磁性担体によって実施するのがより好ましい。その場合、周知技術である磁石を用いてB/F分離を行うことができる。
【0052】
本発明の複合自動分析装置においては、前記第1測定ユニットにおける第1光学系測定手段と、前記第2測定ユニットにおける第2光学系測定手段と、前記追加測定ユニットとしての第3測定ユニットにおける第3光学系測定手段とが、それぞれ相互に異なる光学検出計であることが好ましい。前記第1光学系測定手段、前記第2光学系測定手段、及び前記第3光学系測定手段のそれぞれとしては、例えば、
(1)発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計、
(2)ランプユニット及び分光器を含む光学検出計、及び
(3)受光器としてフォトマルを含む光学検出計
を用いることができる。
【0053】
発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計は、例えば、血液凝固時間の測定に用いることができ、ランプユニット及び分光器を含む光学検出計は、例えば、比色測定や濁度の測定に用いることができ、受光器としてフォトマルを含む光学検出計は、例えば、化学発光の測定に用いることができる。
【0054】
本発明の複合自動分析装置においては、各測定ユニットあるいはいずれかの測定ユニットに異常サンプルを検出する手段を設けることが好ましい。異常サンプルとは、検査対象物質の濃度が極端に高い検体であり、高濃度であることを検知することができないことが多い。また、異常サンプルとしては、非特異検体(磁性ラテックスを凝集させる検体)も含まれる。このような異常サンプルは、例えば、吸光度変化によって検出することができる。
【0055】
本発明は、反応キュベットにも関する。
本発明による反応キュベットの典型的な実施態様を図5〜図8に沿って説明する。
図5は、本発明による反応キュベット8の斜視図であり、図6は、その断面図である。また、図7は、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21に載置した状態の模式的断面図であり、図8は、その反応キュベットが攪拌棒によって傾く状態を示す模式的断面図である。
【0056】
本発明による反応キュベット8は、大略四角柱状のキュベット本体81の上端部82に、一対のピックアップ用突出片83,83を備え、更にその下方に一対の載置用突出片84,84を備えている。このような反応キュベット8は、測定ユニットの反応基台に設けた載置用貫通口(あるいは載置用窪みや溝)にキュベット本体81の下方部を挿入させることによって載置することができる。ピックアップ用突出片83は、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21に載置されている反応キュベットをピックアップして第2測定ユニット3の反応基台31に移送する場合などに、ピックアップ手段が保持するための部片として用いる。従って、反応キュベット8を測定ユニットの反応基台に載置した場合に、ピックアップ用突出片83をピックアップ手段が保持することができるように、ピックアップ用突出片83を測定ユニットの反応基台の表面から上方に飛び出した位置に設ける必要がある。
【0057】
載置用突出片84は、キュベット本体81の上方部分に設けられており、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21(又は第2測定ユニット3の反応基台31)に設けた載置用貫通口(あるいは載置用窪みや溝)に反応キュベットを挿入して載置した際に、反応基台21(又は反応基台31)の基台表面と接触して落下しないための係止部片としての機能を有する。また、本発明による反応キュベット8は、キュベット本体81の底面85に、半球状の窪み86を設け、その窪み86の中心部に、攪拌棒91の先端部が挿入可能な挿入口87を有している。
【0058】
こうした構造の本発明による反応キュベット8を、図7及び図8に示すように、反応基台21の載置用貫通口に挿入して載置し、攪拌操作位置に移動させて停止させた後、攪拌装置(図示せず)の攪拌棒91の先端を半球状の窪み86に挿入させる。この際、図7に示すように、攪拌棒91の先端部が、反応キュベット8の底面85の中心部に挿入されないように、中点から円周方向に偏向させる。偏向して半球状の窪み86に挿入された攪拌棒91は、その先端部が半球状の窪み86の壁面に衝突するので、図8に示すように、反応キュベット8は、反応基台21の上で傾斜する。しかしながら、攪拌棒91の先端部が更に半球状の窪み86を押し上げていくと、最終的には挿入口87の内部に挿入される。
【0059】
反応キュベット8は、攪拌棒91の先端部が半球状の窪み86の壁面に衝突した段階から攪拌されるが、その際に、載置用突出片84が四角形の板状であると、反応基台21の表面との接触が不規則になって反応キュベット8が円滑に攪拌されないのに対し、本発明の反応キュベット8では、載置用突出片84の先端部が弧状になっているので、反応基台21の表面との接触が不規則にならず、反応キュベット8が円滑に攪拌される。従って、本発明による反応キュベットは、攪拌操作を行う自動分析装置において有効に使用することができる。
【0060】
本発明の反応キュベットの底面に設ける窪みは、曲面状壁面を有する。この曲面状壁面の形態は、窪みの周縁部壁面と最初に接触した攪拌棒先端部が、攪拌操作の過程で最終的には窪みの中心部に円滑に案内される形態であることが好ましい。従って、前記曲面状壁面は、例えば、図6〜図8に示すような半球状であるか、あるいは半楕球状又は円錐状若しくは切頭円錐状であることができる。前記曲面状壁面が、半球状又は半楕球状である場合には、窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることが好ましい。前記曲面状壁面が切頭円錐状である場合には、中心切頭部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることが好ましい。また、前記曲面状壁面が円錐状である場合には、円錐頂点が攪拌棒先端部用挿入口としての機能を果たすことができる。
【0061】
本発明の反応キュベットは、サンプルを攪拌する場合に、サンプル内に攪拌棒を挿入する必要がなく、前記のように外側からの作用によって攪拌が可能であるので、例えば、凝固時間測定が測定項目に含まれている場合に有利である。凝固時間測定の場合に、サンプル内に攪拌棒を挿入して攪拌すると凝固系に影響を与え、測定結果が不正確になることがあるためである。
【0062】
本発明の反応キュベットは、透過光を利用する測定、例えば、生化学的な測定項目やLPIAにおける濁度測定の場合に有利であるように、大略四角柱状のキュベット本体の4側面がそれぞれ平行な平坦面であることが好ましい。更に、本発明の反応キュベットは、内側底部に湾曲部(半円球状底面部ないし半楕円球状底面部)を有していることが好ましい。内側底部に湾曲部を有していないと、毛管現象によって液体がキュベット内壁面をすり上がり、洗浄が不充分になることがあり、特に高感度又は高精度の化学発光を測定する場合には、例えば、アルカリホスファターゼ標識抗体等が残留して誤差の原因になることがある。
【0063】
本発明による反応キュベットは、図9及び図10に示すように、一対の載置用突出片84,84の一方又は両方の下面に、固定用突出片88,88を有することができる。前記固定用突出片88は、載置用突出片84の下面から下方に突出するプレート状突起物であり、キュベット本体側とは反対側の外側先端部において、図11(部分断面図)に示すように曲面を形成していることもできる。前記固定用突出片を有する反応キュベットを用いる場合は、これらの反応キュベットを載置する反応基台の基台表面において、載置用貫通口の縁部に窪み又は溝を設け、この窪み又は溝に、前記固定用突出片88を挿入し、載置用貫通口には、キュベット本体81の下方部分を挿入することができる。このように、反応キュベットの載置用突出片84,84の一方又は両方の下面に前記固定用突出片88を設け、反応基台の基台表面に前記固定用突出片88用の窪み又は溝を設けることにより、キュベットの固定と位置決めを確実に行うことができる。
【0064】
本発明装置の好ましい実施態様をまとめると以下の通りである。
本発明装置は、好ましい実施態様において、少なくとも3種類以上の異なる検出系を有する。また、前記の通り、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び第3測定ユニットの光学系が、それぞれ異なる。例えば、
(1)透過光や散乱光を利用するユニット(ランプユニットと分光器を含む検出装置)
(2)高感度又は高精度の検出ユニット(化学発光の場合は、受光器がフォトマルを含む検出装置)
(3)凝固時間の検出ユニット(LEDとダイオードアレイを含む検出装置)
というように、全てが異なる検出系から構成される。
【0065】
このような構成が達成されるには、それぞれ独立したキュベットを装着できる機構を持つことが必要である。従来の自動分析装置では、複数の反応キュベットが連結した状態で機械にセットされ、反応、検出の終了後に、反応液が吸引除去され、更に洗浄液で洗浄後、再度使用される構造が大多数である。これに対して本発明装置では、例えば、検体Aは「免疫比濁」、「化学発光」及び「凝固時間」を、検体Bは「化学発光」及び「凝固時間」を適用する際、特定の測定ユニット上の位置において、検体Aは3つのキュベットに試料が分注され、検体Bは2つのキュベットに試料が分注される。それぞれの検出系に必要なキュベットが特定の位置で攪拌、ピックアップ(図示していないが、キュベットは装置のアームによって摘み上げられて次工程の特定配置位置のキュベット孔に装着される)されて各測定ユニットに搬送されることで、それぞれの検出が独立、平行して進行することで、効率的な測定が可能になるのである。
【0066】
本発明装置では、特定測定ユニットの特定の位置に新しいキュベットをセットするのも自動で連続的に行われるのである。当然、各測定ユニットでは、測定系に応じて各キュベットに添加する試薬の構成(内容物)が異なる。多数の試薬を効率よくセットするために、試薬テーブル領域は一箇所ながら、例えば、同心軸上に複数のリングを組み合わせることで、個々のリングを個別に駆動でき、且つ、セットする試薬の種類も多くすることができる。また、同心軸上の複数のリングは、当然ながら中心からの距離が異なり、その差を利用して、各測定ユニットの配置位置に対して、直線的な動きで試薬をキュベットに分注するためのシリンジを駆動させることも可能となり、小型化または駆動の簡略化による誤作動の抑制にも繋がるのである。
【0067】
上述したように、全てのキュベットは、どの測定ユニットであっても途中工程(例えば検体試料と試薬の混合後)で必ず攪拌操作が行われる構成になっている。本発明装置では、例えば、血液凝固時間の測定ユニットがあるため、当該検体をプローブ(攪拌翼)で攪拌すると、フィブリン塊が巻きついたりして不都合があるため、本発明装置の攪拌機構は非常に有効である。各キュベットは独立しているため、個々に効率よく攪拌するには、本発明のキュベット構造が重要な要件となる。すなわち、若干斜めにして攪拌できるように羽(載置用突出片)がついており、キュベット孔に固定しやすくするため(位置決めが確実)に、更に固定用突出片を有すると有利である。また、形状も四角柱とすることで、透過光の透過距離を厳密に固定でき測定結果のバラツキを抑制できる。
【0068】
従って、本発明のように、複数の異なる検出系からなる測定ユニットにおけるキュベットは、それぞれが独立している必要があり、且つ、攪拌効果を高めるためにも、キュベットは本発明の形状が好ましいのである。
このように、異なる3種以上の検出系を1台の装置として集約構成された機器は従来存在していなかった。異なる検出系の、異なる個々の装置を連結させたものと比較して、本発明装置によれば、複数の異なる検出系による測定結果をまとめて1度に得られることができる点で優れている。なお、従来技術では、個々の測定装置により、個々に測定結果が打ち出される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明による複合自動分析装置は、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができる。
本発明による反応キュベットは、攪拌操作を行う自動分析装置において有効に使用することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・サンプル供給ユニット;2・・・第1測定ユニット;
3・・・第2測定ユニット;4・・・試薬供給ユニット;
5・・・第3測定ユニット;5a・・・移送ポジション;
5b・・・追加試薬分注ポジション;5c・・・光学的測定ポジション;
6・・・第4測定ユニット;
7・・・ハウジング;8・・・反応キュベット;
10・・・複合自動分析装置;11・・・サンプル採取位置;
21・・・反応基台;22・・・反応キュベット載置ゾーン;
25・・・反応キュベット;25a・・・サンプル分注位置;
25b・・・R1試薬分注位置;25c・・・攪拌位置;
25d・・・R2試薬分注位置;25e・・・光学的測定位置;
25f・・・廃棄位置;25s,25t・・・キュベット移送位置;
26・・・光学的測定手段;31・・・反応基台;
32・・・反応キュベット載置ゾーン;
35a・・・受容位置;35b・・・R3試薬分注位置;
35c・・・攪拌位置;35d・・・B/F分離位置;
35e・・・洗浄位置;35f・・・ピックアップ位置;
37・・・光学的測定手段;41・・・試薬保存基台;
42a,42b,42c・・・試薬保存レーン;
43・・・試薬カップ;55a・・・受容位置;
55b・・・追加試薬分注位置;55c・・・光学的測定位置;
57・・・光学的測定手段;81・・・キュベット本体;
82・・・キュベット本体上端部;83・・・ピックアップ用突出片;
84・・・載置用突出片;85・・・キュベット本体底面;
86・・・半球状窪み;87・・・攪拌棒先端部挿入口;
88・・・固定用突出片;91・・・攪拌棒。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体サンプルの複合自動分析装置、自動分析方法、及び反応キュベットに関する。
【背景技術】
【0002】
血液サンプルや尿サンプルなどの生体サンプル中の成分を測定する自動分析装置は、従来、酵素などの生化学的な項目を測定するのが主流であった。しかしながら、近年、ホルモンや腫瘍マーカーなどの免疫学的項目の測定も増加する傾向にある。生化学自動分析装置では、一般的に、血液サンプル中の生化学的反応により反応液の吸光度が変化するのを利用して、透過光や散乱光によって検査対象物質の測定を行う。また、このような生化学自動分析装置によって、一部の免疫学的項目も測定可能であり、例えば、B/F分離を必要としないホモジニアスな測定が可能な一部の免疫学項目に関しては、ラテックス凝集法などによって吸光度の変化を利用して測定を行うことができるようになってきている。
【0003】
一方、免疫学的項目用の血清免疫分析装置では、試薬側として用意される各検査対象物質に特異的に結合する抗体や抗原に蛍光色素などで標識した標識抗体又は標識抗原と、サンプル中の検査対象物質との免疫学的な反応により結合させた後、B/F分離を行い、標識抗体又は標識抗原を検出するヘテロジニアスな測定によって、高感度又は高精度に生体サンプル中のホルモン等の検査対象物質を測定することが可能である。
【0004】
ところで、近年の血清免疫分析装置の高感度又は高精度化に伴い、甲状腺刺激ホルモンなどのように血液中に正常値以上の高濃度に存在する場合と、正常値以下でごく微量に存在する場合とで別々の病態を示すものがあることが分かってきている。このため、同一検体について生化学項目の測定と免疫学的項目の測定の必要がある場合には、従来、血清免疫分析装置での測定が終了してから生化学自動分析装置で、再度、その検体の測定を行うか、あるいは逆に、生化学自動分析装置での測定が終了した後に血清免疫分析装置で、再度、その検体の測定を行う必要があった。
【0005】
このように、病態診断のためには1台の自動分析装置によって得られる検査結果だけでは不十分である場合が多い。そこで、従来から、1台のシステムで多種類の分析項目を分析することができるように構成されている分析システムが提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この分析システムは、検体ラックの搬送ラインに沿って生化学分析用の複数の分析ユニットを配置した構成であり、複数台の生化学自動分析装置を単に並置した構成と実質的には異ならない。
【0006】
また、生化学分析ユニットと免疫分析ユニットとを1つにまとめた複合自動分析装置も知られている(例えば、特許文献2)。しかしながら、この装置では、生化学分析ユニット及び免疫分析ユニットには、それぞれの試薬供給ユニットや反応及び測定を実施する装置が設けられており、前記の生化学分析ユニット及び免疫分析ユニットにサンプルを供給する検体ラックが、検体搬送ラインに沿って移動して、サンプルを共通に利用するだけである。従って、装置も比較的大がかりであるため、スペース節約の効果も限られており、測定検査時間の短縮効果も得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−281113号公報
【特許文献2】特開2001−4636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができ、しかも装置内の部品を共用することによって装置を小規模にすると共に、測定時間の短縮も実現することのできる手段を提供することにある。
また、本発明者は、前記装置の開発過程で、こうした自動分析装置に適した反応キュベットの開発にも成功した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、本発明により、
(1)複数の生体サンプルを備えるサンプル供給ユニット、
(2)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第1光学系測定手段を備える第1測定ユニット、
(3)前記サンプル供給ユニットから、前記第1測定ユニット上の反応キュベットに生体サンプルを搬送することのできるサンプル搬送手段、
(4)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第2光学系測定手段を備える第2測定ユニット、
(5)前記第1測定ユニット上の反応キュベットを、前記第2測定ユニットに移送させることのできるキュベット移送手段、
(6)前記第1測定ユニットでの測定及び前記第2測定ユニットでの測定に用いる試薬を備える試薬供給ユニット、及び
(7)前記試薬供給ユニットから第1測定ユニット及び/又は第2測定ユニット上の反応キュベットに相互に独立して反応試薬を搬送することのできる試薬搬送手段
を含み、
前記第2測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、前記キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記第2測定ユニットに移送されて担持されるものとし、そして
前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットとで別異の測定を実施する
ことを特徴とする、生体サンプルの複合自動分析装置によって解決することができる。
【0010】
本発明装置の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける測定と前記第2測定ユニットにおける測定とが、測定原理又は検出形態の異なる測定である。
本発明装置の更に好ましい態様においては、前記第2測定ユニットは、前記第1測定ユニットにおける測定よりも高感度又は高精度の測定を実施する。
【0011】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける測定が生化学測定又はラテックス凝集測定であり、前記第2測定ユニットにおける測定が酵素免疫測定である。
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットが、回転可能なディスク型で、前記回転運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンをディスク周縁部に備えているか、あるいは、往復運動可能なプレート型で、前記往復運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンを備えている。
【0012】
本発明装置の別の好ましい態様においては、相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、光学系測定手段を備え、前記第1測定ユニットにおける測定及び前記第2測定ユニットにおける測定とは異なる測定を実施する追加測定ユニット1つ又はそれ以上を更に含む。この態様において、前記追加測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記追加測定ユニットに移送されて担持されていることができ、更に、この態様において、前記追加測定ユニットが、回転可能なディスク型で、前記回転運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンをディスク周縁部に備えているか、あるいは、往復運動可能なプレート型で、前記往復運動方向に反応キュベットを搬送可能な載置ゾーンを備えていることができる。更にまた、この態様において、前記第1測定ユニットにおける測定が比色又は比濁測定法であり、前記第2測定ユニットにおける測定が化学発光測定法であり、前記追加測定ユニットにおける測定が血液凝固時間測定であることができる。
【0013】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記サンプル供給ユニットから生体サンプルを直接的に供給され、前記試薬供給ユニットからの試薬供給を必要とせずに測定を実施することができる独立型測定ユニット1つ又はそれ以上を更に含む。この態様においては、前記独立型測定ユニットが、例えば、体液電解質測定ユニットである。
【0014】
本発明装置の更に別の好ましい態様においては、前記測定ユニットの少なくとも1つが、異常サンプル検出手段を有している。
【0015】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記第1測定ユニットにおける第1光学系測定手段と、前記第2測定ユニットにおける第2光学系測定手段と、前記追加測定ユニット1つ又はそれ以上における光学系測定手段とが、それぞれ相互に異なる光学検出計であり、この態様において、前記第1光学系測定手段、前記第2光学系測定手段、及び1つの前記追加測定ユニットにおける光学系測定手段が、それぞれ相互に異なる光学検出計であって、それらが、例えば、
(1)発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計、
(2)ランプユニット及び分光器を含む光学検出計、及び
(3)受光器としてフォトマルを含む光学検出計
のいずれかである。
【0016】
本発明装置の別の好ましい態様においては、前記試薬供給ユニットが、相互に独立に同一方向又は反対方向に回転可能で停止可能な複数の同心円型リング状試薬保存レーンを有し、個々の同心円型リング状試薬保存レーンが、それぞれ、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットのそれぞれに担持された反応キュベットに供給する試薬を保存している。また、この態様において、前記試薬供給ユニットが、前記追加測定ユニット1つ又はそれ以上に担持された反応キュベットに供給する試薬を保存する同心円型リング状試薬保存レーンを更に有することができ、更に、前記試薬供給ユニットが、前記独立型測定ユニット1つ又はそれ以上に担持された反応キュベットに供給する試薬を保存する同心円型リング状試薬保存レーンを更に有することができる。
【0017】
本発明装置の別の好ましい態様においては、反応キュベットとして、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にした反応キュベットを用いる。この態様において、前記反応キュベットは、例えば、そのキュベット本体の底面に曲面状壁面を有する窪みを有し、更に前記反応キュベットは、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を有することができる。また、前記反応キュベットは、前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有することもできる。
【0018】
また、本発明は、
(1)複数の生体サンプルを備えるサンプル供給ユニット、
(2)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第1光学系測定手段を備える第1測定ユニット、
(3)前記サンプル供給ユニットから、前記第1測定ユニット上の反応キュベットに生体サンプルを搬送することのできるサンプル搬送手段、
(4)相互に独立した複数の反応キュベットを相互に独立して着脱可能に保持することができ、第2光学系測定手段を備える第2測定ユニット、
(5)前記第1測定ユニット上の反応キュベットを、前記第2測定ユニットに移送させることのできるキュベット移送手段、
(6)前記第1測定ユニットでの測定及び前記第2測定ユニットでの測定に用いる試薬を
備える試薬供給ユニット、及び
(7)前記試薬供給ユニットから第1測定ユニット及び/又は第2測定ユニット上の反応キュベットに相互に独立して反応試薬を搬送することのできる試薬搬送手段
を含む複合自動分析装置による分析方法であって、
前記第2測定ユニット上の反応キュベットは、前記第1測定ユニット上で生体サンプルを分注された後、前記キュベット移送手段によって前記第1測定ユニットから前記第2測定ユニットに移送されて担持されるものとし、そして
前記第1測定ユニットと前記第2測定ユニットとで別異の測定を実施する
ことを特徴とする、生体サンプルの複合自動分析方法にも関する。
【0019】
更に、本発明は、キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にしたことを特徴とする、反応キュベットにも関する。
本発明による反応キュベットの好ましい態様においては、キュベット本体の底面に、曲面壁面を有する窪みを設ける。
本発明による反応キュベットの更に好ましい態様においては、前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設ける。
本発明による反応キュベットの更に好ましい態様においては、前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有する。
【0020】
本明細書において、自動分析装置に関して「上方」や「下方」あるいは「上部」や「下部」などの上下関係を示す用語は、自動分析装置を用いて自動分析を実施している状態での上下関係を示しており、それ以外の状態(例えば、搬送時の状態や組み立て時の状態)における位置関係を規定するものではない。分析方法についても同様である。更に、反応キュベットに関して「上方」や「下方」あるいは「上部」や「下部」などの用語も、反応キュベットを自動分析装置上で用いて自動分析を実施している状態での上下関係を示しており、それ以外の状態(例えば、装着前後の状態)における位置関係を規定するものではない。
【発明の効果】
【0021】
本発明の自動分析装置は、複数の測定ユニットを有しているので、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができ、しかも測定時間を短縮することもできる。更に、装置内の部品を共用しているので、装置が小規模となって省スペースを実現することができる。
また、本発明の反応キュベットは、弧状の載置用突起を有しているので、各測定ユニットの反応基台上での攪拌操作を円滑に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の複合自動分析装置を構成する各ユニットの配置状態を模式的に示す平面図である。
【図2】第1測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図3】第2測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図4】第3測定ユニット及び第4測定ユニットにおける測定手順を示す模式的説明図である。
【図5】本発明による反応キュベットの斜視図である。
【図6】図5の反応キュベットの断面図である。
【図7】図5の反応キュベットを反応基台に載置した状態の模式的断面図である。
【図8】図5の反応キュベットを反応基台に載置し、攪拌処理を開始した状態の模式的断面図である。
【図9】固定用突出片を有する反応キュベットの斜視図である。
【図10】図9の反応キュベットの断面図である。
【図11】別の態様の固定用突出片を有する反応キュベットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明による複合自動分析装置の代表的な実施態様を添付図面に沿って説明する。
図1は、本発明の複合自動分析装置10を構成する各ユニットの配置状態を模式的に示す平面図である。図1に示すとおり、本発明の複合自動分析装置10は、ハウジング7内に、サンプル供給ユニット1、第1測定ユニット2、第2測定ユニット3、及び試薬供給ユニット4を含み、更に、追加測定ユニットとして第3測定ユニット5を含むことができ、独立型測定ユニットとして第4測定ユニット6を含むことができる。
【0024】
サンプル供給ユニット1は、複数の生体サンプル(例えば、血液検体又は尿検体)を充填したサンプルカップを着脱自在に保持するサンプルラックを備える。サンプル供給ユニット1は、例えば、図1の矢印A及び/又は矢印Bの方向に移動することによって、所定のサンプルカップをサンプル採取位置11に搬送し、そのサンプル採取位置11で、サンプル分注ピペッタ(図示せず)によって所定の生体サンプルを、第1測定ユニット2の上に保持されている反応キュベットに分注する。サンプル分注ピペッタは、例えば、ハウジング7の天井部分から垂れ下がり、天井部分に設けたガイドレールに沿って移動可能な懸架型ピペッタであることができ、サンプル供給ユニット1を移動させずに、サンプル供給ユニット1内の所定のサンプルカップの上方位置まで移動し、生体サンプルを採取し、続いて第1測定ユニット2の上に保持されている反応キュベットの上方位置まで移動して反応キュベットに分注することもできる。この場合、サンプル供給ユニット1は、ハウジング7内の所定位置に固定させて配置することができ、サンプル供給ユニット1の移動手段を設ける必要がない。
【0025】
第1測定ユニット2は、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の反応基台21を含み、その反応基台21の周縁部に、円周に沿ってリング状の反応キュベット載置ゾーン22を備えている。反応基台21は、時計方向又は反時計方向(矢印Dの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、サンプルや試薬の分注位置、攪拌位置、測定位置、廃棄位置など)で停止することができる。また、反応キュベット載置ゾーン22には、相互に独立した複数の反応キュベット25を個々に着脱可能に保持することができる。なお、反応キュベット載置ゾーン22には、円周方向に1列に、多数の反応キュベット25が、隣接反応キュベット間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの反応キュベット25を間引いて示している。
【0026】
第2測定ユニット3も、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の反応基台31を含み、その反応基台31の周縁部に、円周に沿ってリング状の反応キュベット載置ゾーン32を備えている。反応基台31も、時計方向又は反時計方向(矢印Fの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、試薬分注位置、攪拌位置、測定位置、廃棄位置など)で停止することができる。第2測定ユニット3の回転運動及び停止は、第1測定ユニット2の回転運動及び停止と、相互に同調させることも、あるいは相互に独立して別途に行うこともできる。また、反応キュベット載置ゾーン32には、相互に独立した複数の反応キュベット25を個々に着脱可能に保持することができる。なお、反応キュベット載置ゾーン32には、円周方向に1列に、多数の反応キュベット25が、隣接反応キュベット間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの反応キュベット25を間引いて示している。
【0027】
試薬供給ユニット4は、典型的には回転テーブル型(ディスク型)の試薬保存基台41を含み、その試薬保存基台41には、複数の同心円型リング状試薬保存レーン42a,42b,42cを備えている。各試薬保存レーン42a,42b,42cには、本発明による複合自動分析装置の各測定ユニット(例えば、前記第1測定ユニット2、前記第2測定ユニット3、あるいは更に、追加ユニットとしての第3測定ユニット5)での測定に必要な種々の試薬を収納する試薬カップ43が格納されている。試薬保存基台41は、時計方向又は反時計方向(矢印Kの方向)に回転可能であり、所定の位置(例えば、試薬の採取位置、試薬カップの着脱位置など)で停止することができる。なお、試薬保存レーン42a,42b,42cには、円周方向に1列に、多数の試薬カップ43が、隣接試薬カップ間の間隙をほとんど設けずに配置されているが、図1には、それらの試薬カップを間引いて示している。また、同心円型試薬保存レーンの数も3に限定されず、2以下あるいは4以上の試薬保存レーンを設けることができる。
【0028】
回転テーブル型の前記試薬保存基台41は、全体で1つのディスクとして回転する構造を有することもできるし、複数の同心円型リング状試薬保存レーン(例えば、各試薬保存レーン42a,42b,42c)がそれぞれ相互に独立して回転運動を行うことのできる多重リング構造を有することもできる。複数の同心円型試薬保存レーンが相互に独立して回転可能な多重リング構造を有する場合には、個々のリングを相互に独立に時計回り又は半時計回りに回転させ、そして相互に独立に停止させて種々の各測定ユニットへの試薬供給を相互に独立して効率的に実施することができる。
【0029】
次に、第1測定ユニット2において、比色又は比濁測定法を利用する生化学的項目の測定又はラテックス凝集測定を実施する場合を、図2に沿って説明する。
第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25は、サンプル分注位置25aにて停止し、前記サンプル供給ユニット1の所定のサンプルカップ11の生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって供給される(図1及び図2の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、反応基台21の回転によってR1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR1試薬を分注される(図2の矢印L参照)。このR1試薬分注は、例えば、ハウジング7の天井部分から垂れ下がり、天井部分に設けたガイドレールに沿って移動可能な懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42aの所定の試薬カップ43aの上方位置まで移動し、R1試薬を採取し、続いて第1測定ユニット2のR1試薬分注位置25b上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。
【0030】
こうして生体サンプルとR1試薬とを分注された反応キュベット25は、反応基台21の回転によって攪拌位置25cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、反応基台21の回転によってR2試薬分注位置25dまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR2試薬を分注される(図2の矢印M参照)。このR2試薬分注も、前記と同様の懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42bの所定の試薬カップ43bの上方位置まで移動し、R2試薬を採取し、続いて第1測定ユニット2のR2試薬分注位置25d上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。
【0031】
こうして生体サンプル、R1試薬、及びR2試薬を分注された反応キュベット25は、反応基台21の回転によって攪拌位置25cまで移動して停止し、再び、攪拌操作を受ける。なお、2回目の攪拌を行う攪拌位置は、別の位置を用意することもできる。続いて、反応基台21の回転によって光学的測定位置25eを通過させ、その通過の際に、反応キュベット内での反応に基づく変化を透過光又は散乱光などによって測定することのできる光学的測定手段26によって測定する。なお、前記光学的測定を実施する際に、光学的測定位置25eにて反応キュベット25を停止させることもできる。続いて、反応キュベット25は、最後に廃棄位置25fまで移動して停止し、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0032】
続いて、第2測定ユニット3において、化学発光を利用する酵素免疫測定法を実施する場合を、図3に沿って説明する。
第2測定ユニット3における測定を実施する場合も、サンプル分注や一部の試薬分注(あるいはサンプル分注のみ)を第1測定ユニット2の反応基台21上で実施する。すなわち、最初に、第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25をサンプル分注位置25aで停止させ、前記と同様に、前記サンプル供給ユニット1の所定のサンプルカップ11の生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって反応キュベット25に供給する(図3の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、反応基台21の回転によってR1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、R1試薬を分注される(図3の矢印L参照)。
【0033】
生体サンプルとR1試薬とを分注された反応キュベット25は、前記と同様に、攪拌位置25cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、R2試薬分注位置25dまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR2試薬を分注される(図3の矢印M参照)。次に、必要によって攪拌位置25cにて攪拌操作を受けた後、反応キュベット25は、キュベット移送位置25tまで移動して停止する。
【0034】
反応キュベット25は、キュベット移送位置25tにてピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り出され、第2測定ユニット3の反応基台31に移送され(矢印E参照)、受容位置35aに移る。次に、この反応キュベット25は、反応基台31の回転(矢印F参照)によって、必要により、R3試薬分注位置35bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4からR3試薬を分注される(図3の矢印N参照)。このR3試薬分注は、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって実施することができる。懸架型試薬分注ピペッタは、試薬供給ユニット4の、例えば、試薬保存レーン42cの所定の試薬カップ43cの上方位置まで移動し、R3試薬を採取し、続いて第2測定ユニット3のR3試薬分注位置35b上に保持されている反応キュベット25の上方位置まで移動して反応キュベット25に分注することができる。なお、R3試薬の分注が不要の場合は、この工程は省略される。また、第1測定ユニット2において、R2試薬の分注を行わずに、前記R3試薬分注位置35bにおいて、R2試薬の分注を行うこともできる。
【0035】
こうしてR3試薬(又はR2試薬)を分注された反応キュベット25は、反応基台31の回転によって攪拌位置35cまで移動して停止し、攪拌操作を受ける。続いて、反応キュベット25は、B/F分離位置35dにてB/F分離操作を受ける。ここで、磁性ビーズを利用する場合は、磁石によってB/F分離操作を行うことができる。磁石を使用する場合は、磁性ビーズ収集までの時間が比較的長く必要になるので、反応基台31の停止時間が比較的長くなる。しかしながら、本発明装置では、第2測定ユニット3の反応基台31を第1測定ユニット2の反応基台21と分離しているので、回転運動における長い停止時間によって、全体の処理時間が長くなることを防止することができる。
【0036】
B/F分離操作を受けた後で、反応キュベット25は、洗浄位置35eまで移動して停止し、洗浄操作を受ける。続いて、ピックアップ位置35fまで移動して停止し、適当なピックアップ手段(図示せず)によって光学的測定手段33に移送される。この光学的測定手段33は、例えば、反応キュベット内での反応に基づく変化を化学発光によって測定することのできる手段である。なお、前記光学的測定を、反応基台31の上で実施することもできる。前記光学的測定を反応基台31の上で実施する場合には、反応キュベット25が光学的測定位置(図示せず)を通過する際に測定するか、あるいは反応キュベット25を光学的測定位置(図示せず)にて停止させて測定することもできる。測定後は、その光学的測定手段33から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0037】
本発明による複合自動分析装置は、前記第1測定ユニット2及び前記第2測定ユニット3に加えて、1又はそれ以上の追加測定ユニットを備えていることができる。
追加測定ユニットは、前記第1測定ユニット1上で生体サンプルを分注され、場合によって更に試薬の一部を分注された反応キュベットを、前記第1測定ユニット1から適当なキュベット移送手段によって受け取るタイプ(プレ供給型)であるか、あるいは前記サンプル供給ユニット1から直接に生体サンプルを供給されるタイプ(直接供給型)であることができる。更に、追加測定ユニットは、試薬供給ユニット4から追加試薬の供給を必要とする追加試薬補充型であるか、あるいは試薬供給ユニット4から追加試薬の供給を必要としない追加試薬不要型であることができる。
【0038】
本発明による複合自動分析装置は、前記第1測定ユニット2及び前記第2測定ユニット3に加えて、また、前記追加測定ユニットに加えてか、あるいは前記追加測定ユニットに代えて、1又はそれ以上の独立型測定ユニットを備えていることもできる。この独立型測定ユニットでは、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルを直接的に供給され、前記試薬供給ユニット4からの試薬供給を必要とせずに測定を実施することができる。前記独立型測定ユニットは、例えば、体液電解質測定ユニットである。
【0039】
図4に沿って、追加測定ユニットとしてプレ供給型で追加試薬補充型の第3測定ユニット5と、独立型測定ユニットとしての第4測定ユニット6を備えている態様を説明する。プレ供給型で追加試薬補充型の第3測定ユニット5では、前記第1測定ユニット2や前記第2測定ユニット3での測定とは別に、例えば、血液凝固時間測定を実施することができる。プレ供給型の第3測定ユニット5における測定を実施する場合も、サンプル分注や一部の試薬分注を第1測定ユニット2の反応基台21上で実施する。すなわち、最初に、第1測定ユニット2の反応基台21の反応キュベット載置ゾーン22に載置されている空の反応キュベット25をサンプル分注位置25aで停止させ、前記と同様に、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって反応キュベット25に供給する(図4の矢印C参照)。次に、この反応キュベット25は、R1試薬分注位置25bまで移動して停止し、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、R1試薬を分注される。なお、第1測定ユニット2では、サンプル分注のみを実施し、試薬分注を行わないこともできる。
【0040】
続いて、必要によって、前記と同様の攪拌操作やR2試薬分注操作を受けた後、反応キュベット25は、キュベット移送位置25sまで移動して停止する。このキュベット移送位置25sにて、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台21から取り出され、移送ポジション5a(図4にて破線で示す)に位置する第3測定ユニット5の反応基台51において、受容位置55aに移送される(矢印G参照)。この第3測定ユニット5は、前記第1測定ユニット2や前記第2測定ユニット3と同様に、円形の回転テーブル型反応基台を含むタイプであることもできるが、直線的な往復運動(矢印Hの方向及びその逆方向)が可能な帯状テーブル型反応基台を含むタイプであることもできる。
【0041】
移送ポジション5aにて反応キュベット25を受け取った第3測定ユニット5は、反応基台51の直線的スライド運動(矢印Hの方向)によって追加試薬分注ポジション5b(図4にて実線で示す)に移動して停止し、追加試薬分注位置55bにて、試薬供給ユニット4から、例えば、懸架型試薬分注ピペッタ(図示せず)によって、追加試薬を分注される(矢印P参照)。更に、反応基台51には、反応キュベット25が載置される位置にそれぞれ光学的測定手段(図示せず)が設置されている。例えば、透過光測定用の発信部と受信部とからなる光学的測定手段を、反応キュベット25が載置される位置の両側に設けているので、例えば、0.1秒間隔の透過光測定を実施することもできる。なお、光学的測定手段を反応基台51には設置せずに、例えば、図4に示すように、反応基台51の直線的スライド運動(矢印Hの方向)によって光学的測定ポジション5c(図4にて破線で示す)に移動させて停止し、その光学的測定位置5cにおいて、例えば、反応キュベット内での反応に基づく変化を散乱光によって測定することのできる光学的測定手段57によって測定することもできる。測定後は、廃棄位置(図示せず)まで移動して停止し、ピックアップ手段(図示せず)によって反応基台51から取り除かれ、廃棄室(図示せず)に廃棄される。
【0042】
独立型測定ユニットである第4測定ユニット6へは、前記サンプル供給ユニット1から生体サンプルをサンプル分注ピペッタ(図示せず)によって直接に供給する(図4の矢印J参照)。第4測定ユニット6は、例えば、体液電解質測定ユニット、特には、各種のイオン選択性電極を備えるイオン検出装置であることができる。イオン選択性電極としては、例えば、ハロゲンイオン選択性電極やアルカリ金属イオン選択性電極を挙げることができる。
【0043】
本発明による複合自動分析装置では、前記第1測定ユニットにおいて前記サンプル供給ユニットから共通にサンプルを供給されることを除けば、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニット、並びに場合により設置する1又は複数の追加測定ユニットに関して、それらの設置位置や設置の順序(隣接関係)、各測定ユニットの測定項目の種類や各測定ユニットに設ける光学系測定手段の種類は、特に限定されるものではない。
【0044】
なお、本発明による複合自動分析装置では、前記サンプル供給ユニットから、相互に独立した複数の反応キュベットへのサンプル分注を前記第1測定ユニットにおいて一括して実施するので、前記サンプル供給ユニットと第1測定ユニットとを隣接した近接位置に配置するのが好ましい。前記サンプル供給ユニットと第1測定ユニットとが近接していると、分注用のサンプル搬送手段の運動が単純かつ短くなり、分注操作時間の短縮や装置機構を簡素化することができる。すなわち、測定ユニット毎にサンプル分注をそれぞれ個別に実施する従来装置と比較すると、本発明による複合自動分析装置では、サンプル分注を前記第1測定ユニットにおいて一括して実施し、前記第2測定ユニットや追加測定ユニット(第3測定ユニットなど)へは反応キュベットをキュベット移送手段によって単に移送するだけであるので、サンプル分注時間を含む全体的な処理時間が短縮され、機構を簡素化することができる。
【0045】
例えば、前記第1測定ユニットでは、生化学的測定や免疫学的測定を実施することができる。生化学的測定の対象は、通常の生化学的臨床検査で実施される対象、例えば、各種の酵素、糖質、脂質、血漿(血清)タンパク質、非タンパク窒素化合物、生体色素、腫瘍マーカーなどを挙げることができる。免疫学的測定としては、透過光や散乱光を利用する免疫学的測定、例えば、免疫比濁法やラテックス凝集法を挙げることができ、測定対象としては、例えば、D−ダイマー、FDP、又はHCVを挙げることができる。
【0046】
前記第2測定ユニットでは、他の測定ユニットとは異なる反応系であり、例えば、高感度又は高精度の測定を実施することができる。高感度又は高精度の測定としては、特には、特異的親和性物質による反応を利用することができる。ここで、特異的親和性物質による反応とは、例えば、抗原抗体反応、核酸(DNA又はRNA)の相補塩基による反応、あるいはレセプタとそのリガンドとの反応を挙げることができる。
【0047】
前記の特異的親和性物質による反応では、特異親和性物質と結合した物質の量を測定する。その場合、特異親和性物質と被結合物質とが結合することにより、それ自身あるいはそれに結合しているトレ−サの性質が変化することを利用して、結合した被結合物質量を求める均一測定法(ホモジニアス法)と、特異親和性物質と被測定物質の複合体を不溶性にした後、特異親和性物質と結合した被結合物質と結合していないものとを分離するB/F分離の操作を必要とする不均一法(ヘテロジニアス法)に大別される。本発明では、ホモジニアス法又はヘテロジニアス法のいずれの方法も、前記第2測定ユニットで実施することができる。また、トレ−サとして、放射性同位元素を用いた方法や、酵素を用いる酵素免疫分析方法(EIA)のいずれも利用することができる。
【0048】
前記第2測定ユニットでは、例えば、FIA、EIA、又はCLEIAを実施することができる。測定対象としては、例えば、CEA、CA19−9、T3、T4、FT3、FT4、HBsAg、TAT、又はTSHを挙げることができる。
【0049】
前記第3測定ユニットでは、例えば、血液凝固時間測定又は合成基質を用いた活性測定を実施することができる。血液凝固時間測定としては、例えば、プロトビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、又はフィブリノゲンの測定を挙げることができる。合成基質を用いた活性測定としては、例えば、プラスミノーゲン、プラスミンインヒビター、又はアンチトロンビンの測定を挙げることができる。前記第4測定ユニットでは、例えば、電解質測定を実施することができる。電解質測定の対象としては、例えば、Naイオン、Kイオン、又は塩素イオンを挙げることができる。
【0050】
前記第1測定ユニットでは、透過光や散乱光を利用する測定、例えば、比色測定法や比濁測定法を実施することが好ましい。前記第2測定ユニットでは、化学発光や蛍光を利用する測定、例えば、CLEIAを実施することが好ましい。前記第3測定ユニットでは、透過光や散乱光を利用する測定、例えば、血液凝固時間測定法を実施することが好ましい。前記第4測定ユニットでは、起電力を利用する測定、例えば、イオン選択電極法を実施することが好ましい。
【0051】
本発明の複合自動分析装置においては、前記第1測定ユニットにて、生化学測定又はラテックス凝集測定を比色又は比濁測定法で実施し、前記第2測定ユニットにて、酵素免疫学的測定を化学発光法で実施し、前記第3測定ユニットにて、血液凝固時間測定を実施する組合せが好ましい。更に、前記の組合せに加えて、前記第4測定ユニットにて、イオン分析を実施するのが好ましい。なお、前記第2測定ユニットでの化学発光酵素免疫学的測定を、磁性担体によって実施するのがより好ましい。その場合、周知技術である磁石を用いてB/F分離を行うことができる。
【0052】
本発明の複合自動分析装置においては、前記第1測定ユニットにおける第1光学系測定手段と、前記第2測定ユニットにおける第2光学系測定手段と、前記追加測定ユニットとしての第3測定ユニットにおける第3光学系測定手段とが、それぞれ相互に異なる光学検出計であることが好ましい。前記第1光学系測定手段、前記第2光学系測定手段、及び前記第3光学系測定手段のそれぞれとしては、例えば、
(1)発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計、
(2)ランプユニット及び分光器を含む光学検出計、及び
(3)受光器としてフォトマルを含む光学検出計
を用いることができる。
【0053】
発光ダイオード及びダイオードアレイを含む光学検出計は、例えば、血液凝固時間の測定に用いることができ、ランプユニット及び分光器を含む光学検出計は、例えば、比色測定や濁度の測定に用いることができ、受光器としてフォトマルを含む光学検出計は、例えば、化学発光の測定に用いることができる。
【0054】
本発明の複合自動分析装置においては、各測定ユニットあるいはいずれかの測定ユニットに異常サンプルを検出する手段を設けることが好ましい。異常サンプルとは、検査対象物質の濃度が極端に高い検体であり、高濃度であることを検知することができないことが多い。また、異常サンプルとしては、非特異検体(磁性ラテックスを凝集させる検体)も含まれる。このような異常サンプルは、例えば、吸光度変化によって検出することができる。
【0055】
本発明は、反応キュベットにも関する。
本発明による反応キュベットの典型的な実施態様を図5〜図8に沿って説明する。
図5は、本発明による反応キュベット8の斜視図であり、図6は、その断面図である。また、図7は、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21に載置した状態の模式的断面図であり、図8は、その反応キュベットが攪拌棒によって傾く状態を示す模式的断面図である。
【0056】
本発明による反応キュベット8は、大略四角柱状のキュベット本体81の上端部82に、一対のピックアップ用突出片83,83を備え、更にその下方に一対の載置用突出片84,84を備えている。このような反応キュベット8は、測定ユニットの反応基台に設けた載置用貫通口(あるいは載置用窪みや溝)にキュベット本体81の下方部を挿入させることによって載置することができる。ピックアップ用突出片83は、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21に載置されている反応キュベットをピックアップして第2測定ユニット3の反応基台31に移送する場合などに、ピックアップ手段が保持するための部片として用いる。従って、反応キュベット8を測定ユニットの反応基台に載置した場合に、ピックアップ用突出片83をピックアップ手段が保持することができるように、ピックアップ用突出片83を測定ユニットの反応基台の表面から上方に飛び出した位置に設ける必要がある。
【0057】
載置用突出片84は、キュベット本体81の上方部分に設けられており、例えば、図1〜図4に示す複合自動分析装置において、第1測定ユニット2の反応基台21(又は第2測定ユニット3の反応基台31)に設けた載置用貫通口(あるいは載置用窪みや溝)に反応キュベットを挿入して載置した際に、反応基台21(又は反応基台31)の基台表面と接触して落下しないための係止部片としての機能を有する。また、本発明による反応キュベット8は、キュベット本体81の底面85に、半球状の窪み86を設け、その窪み86の中心部に、攪拌棒91の先端部が挿入可能な挿入口87を有している。
【0058】
こうした構造の本発明による反応キュベット8を、図7及び図8に示すように、反応基台21の載置用貫通口に挿入して載置し、攪拌操作位置に移動させて停止させた後、攪拌装置(図示せず)の攪拌棒91の先端を半球状の窪み86に挿入させる。この際、図7に示すように、攪拌棒91の先端部が、反応キュベット8の底面85の中心部に挿入されないように、中点から円周方向に偏向させる。偏向して半球状の窪み86に挿入された攪拌棒91は、その先端部が半球状の窪み86の壁面に衝突するので、図8に示すように、反応キュベット8は、反応基台21の上で傾斜する。しかしながら、攪拌棒91の先端部が更に半球状の窪み86を押し上げていくと、最終的には挿入口87の内部に挿入される。
【0059】
反応キュベット8は、攪拌棒91の先端部が半球状の窪み86の壁面に衝突した段階から攪拌されるが、その際に、載置用突出片84が四角形の板状であると、反応基台21の表面との接触が不規則になって反応キュベット8が円滑に攪拌されないのに対し、本発明の反応キュベット8では、載置用突出片84の先端部が弧状になっているので、反応基台21の表面との接触が不規則にならず、反応キュベット8が円滑に攪拌される。従って、本発明による反応キュベットは、攪拌操作を行う自動分析装置において有効に使用することができる。
【0060】
本発明の反応キュベットの底面に設ける窪みは、曲面状壁面を有する。この曲面状壁面の形態は、窪みの周縁部壁面と最初に接触した攪拌棒先端部が、攪拌操作の過程で最終的には窪みの中心部に円滑に案内される形態であることが好ましい。従って、前記曲面状壁面は、例えば、図6〜図8に示すような半球状であるか、あるいは半楕球状又は円錐状若しくは切頭円錐状であることができる。前記曲面状壁面が、半球状又は半楕球状である場合には、窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることが好ましい。前記曲面状壁面が切頭円錐状である場合には、中心切頭部に攪拌棒先端部用の挿入口を設けることが好ましい。また、前記曲面状壁面が円錐状である場合には、円錐頂点が攪拌棒先端部用挿入口としての機能を果たすことができる。
【0061】
本発明の反応キュベットは、サンプルを攪拌する場合に、サンプル内に攪拌棒を挿入する必要がなく、前記のように外側からの作用によって攪拌が可能であるので、例えば、凝固時間測定が測定項目に含まれている場合に有利である。凝固時間測定の場合に、サンプル内に攪拌棒を挿入して攪拌すると凝固系に影響を与え、測定結果が不正確になることがあるためである。
【0062】
本発明の反応キュベットは、透過光を利用する測定、例えば、生化学的な測定項目やLPIAにおける濁度測定の場合に有利であるように、大略四角柱状のキュベット本体の4側面がそれぞれ平行な平坦面であることが好ましい。更に、本発明の反応キュベットは、内側底部に湾曲部(半円球状底面部ないし半楕円球状底面部)を有していることが好ましい。内側底部に湾曲部を有していないと、毛管現象によって液体がキュベット内壁面をすり上がり、洗浄が不充分になることがあり、特に高感度又は高精度の化学発光を測定する場合には、例えば、アルカリホスファターゼ標識抗体等が残留して誤差の原因になることがある。
【0063】
本発明による反応キュベットは、図9及び図10に示すように、一対の載置用突出片84,84の一方又は両方の下面に、固定用突出片88,88を有することができる。前記固定用突出片88は、載置用突出片84の下面から下方に突出するプレート状突起物であり、キュベット本体側とは反対側の外側先端部において、図11(部分断面図)に示すように曲面を形成していることもできる。前記固定用突出片を有する反応キュベットを用いる場合は、これらの反応キュベットを載置する反応基台の基台表面において、載置用貫通口の縁部に窪み又は溝を設け、この窪み又は溝に、前記固定用突出片88を挿入し、載置用貫通口には、キュベット本体81の下方部分を挿入することができる。このように、反応キュベットの載置用突出片84,84の一方又は両方の下面に前記固定用突出片88を設け、反応基台の基台表面に前記固定用突出片88用の窪み又は溝を設けることにより、キュベットの固定と位置決めを確実に行うことができる。
【0064】
本発明装置の好ましい実施態様をまとめると以下の通りである。
本発明装置は、好ましい実施態様において、少なくとも3種類以上の異なる検出系を有する。また、前記の通り、第1測定ユニット、第2測定ユニット及び第3測定ユニットの光学系が、それぞれ異なる。例えば、
(1)透過光や散乱光を利用するユニット(ランプユニットと分光器を含む検出装置)
(2)高感度又は高精度の検出ユニット(化学発光の場合は、受光器がフォトマルを含む検出装置)
(3)凝固時間の検出ユニット(LEDとダイオードアレイを含む検出装置)
というように、全てが異なる検出系から構成される。
【0065】
このような構成が達成されるには、それぞれ独立したキュベットを装着できる機構を持つことが必要である。従来の自動分析装置では、複数の反応キュベットが連結した状態で機械にセットされ、反応、検出の終了後に、反応液が吸引除去され、更に洗浄液で洗浄後、再度使用される構造が大多数である。これに対して本発明装置では、例えば、検体Aは「免疫比濁」、「化学発光」及び「凝固時間」を、検体Bは「化学発光」及び「凝固時間」を適用する際、特定の測定ユニット上の位置において、検体Aは3つのキュベットに試料が分注され、検体Bは2つのキュベットに試料が分注される。それぞれの検出系に必要なキュベットが特定の位置で攪拌、ピックアップ(図示していないが、キュベットは装置のアームによって摘み上げられて次工程の特定配置位置のキュベット孔に装着される)されて各測定ユニットに搬送されることで、それぞれの検出が独立、平行して進行することで、効率的な測定が可能になるのである。
【0066】
本発明装置では、特定測定ユニットの特定の位置に新しいキュベットをセットするのも自動で連続的に行われるのである。当然、各測定ユニットでは、測定系に応じて各キュベットに添加する試薬の構成(内容物)が異なる。多数の試薬を効率よくセットするために、試薬テーブル領域は一箇所ながら、例えば、同心軸上に複数のリングを組み合わせることで、個々のリングを個別に駆動でき、且つ、セットする試薬の種類も多くすることができる。また、同心軸上の複数のリングは、当然ながら中心からの距離が異なり、その差を利用して、各測定ユニットの配置位置に対して、直線的な動きで試薬をキュベットに分注するためのシリンジを駆動させることも可能となり、小型化または駆動の簡略化による誤作動の抑制にも繋がるのである。
【0067】
上述したように、全てのキュベットは、どの測定ユニットであっても途中工程(例えば検体試料と試薬の混合後)で必ず攪拌操作が行われる構成になっている。本発明装置では、例えば、血液凝固時間の測定ユニットがあるため、当該検体をプローブ(攪拌翼)で攪拌すると、フィブリン塊が巻きついたりして不都合があるため、本発明装置の攪拌機構は非常に有効である。各キュベットは独立しているため、個々に効率よく攪拌するには、本発明のキュベット構造が重要な要件となる。すなわち、若干斜めにして攪拌できるように羽(載置用突出片)がついており、キュベット孔に固定しやすくするため(位置決めが確実)に、更に固定用突出片を有すると有利である。また、形状も四角柱とすることで、透過光の透過距離を厳密に固定でき測定結果のバラツキを抑制できる。
【0068】
従って、本発明のように、複数の異なる検出系からなる測定ユニットにおけるキュベットは、それぞれが独立している必要があり、且つ、攪拌効果を高めるためにも、キュベットは本発明の形状が好ましいのである。
このように、異なる3種以上の検出系を1台の装置として集約構成された機器は従来存在していなかった。異なる検出系の、異なる個々の装置を連結させたものと比較して、本発明装置によれば、複数の異なる検出系による測定結果をまとめて1度に得られることができる点で優れている。なお、従来技術では、個々の測定装置により、個々に測定結果が打ち出される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明による複合自動分析装置は、生化学的分析と免疫学的分析のように、測定精度の異なる複数種の分析を単独の装置によって測定することができる。
本発明による反応キュベットは、攪拌操作を行う自動分析装置において有効に使用することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・サンプル供給ユニット;2・・・第1測定ユニット;
3・・・第2測定ユニット;4・・・試薬供給ユニット;
5・・・第3測定ユニット;5a・・・移送ポジション;
5b・・・追加試薬分注ポジション;5c・・・光学的測定ポジション;
6・・・第4測定ユニット;
7・・・ハウジング;8・・・反応キュベット;
10・・・複合自動分析装置;11・・・サンプル採取位置;
21・・・反応基台;22・・・反応キュベット載置ゾーン;
25・・・反応キュベット;25a・・・サンプル分注位置;
25b・・・R1試薬分注位置;25c・・・攪拌位置;
25d・・・R2試薬分注位置;25e・・・光学的測定位置;
25f・・・廃棄位置;25s,25t・・・キュベット移送位置;
26・・・光学的測定手段;31・・・反応基台;
32・・・反応キュベット載置ゾーン;
35a・・・受容位置;35b・・・R3試薬分注位置;
35c・・・攪拌位置;35d・・・B/F分離位置;
35e・・・洗浄位置;35f・・・ピックアップ位置;
37・・・光学的測定手段;41・・・試薬保存基台;
42a,42b,42c・・・試薬保存レーン;
43・・・試薬カップ;55a・・・受容位置;
55b・・・追加試薬分注位置;55c・・・光学的測定位置;
57・・・光学的測定手段;81・・・キュベット本体;
82・・・キュベット本体上端部;83・・・ピックアップ用突出片;
84・・・載置用突出片;85・・・キュベット本体底面;
86・・・半球状窪み;87・・・攪拌棒先端部挿入口;
88・・・固定用突出片;91・・・攪拌棒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にしたことを特徴とする、反応キュベット。
【請求項2】
キュベット本体の底面に、曲面状壁面を有する窪みを設ける、請求項1に記載の反応キュベット。
【請求項3】
前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設ける、請求項2に記載の反応キュベット。
【請求項4】
前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有する、請求項3に記載の反応キュベット。
【請求項1】
キュベット本体の上部側面から突出させて設ける載置用突起を弧状にしたことを特徴とする、反応キュベット。
【請求項2】
キュベット本体の底面に、曲面状壁面を有する窪みを設ける、請求項1に記載の反応キュベット。
【請求項3】
前記窪みの中心部に攪拌棒先端部用の挿入口を設ける、請求項2に記載の反応キュベット。
【請求項4】
前記載置用突起の下面に、その下面から下方に突出する固定用突出片を有する、請求項3に記載の反応キュベット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−17716(P2011−17716A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204417(P2010−204417)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【分割の表示】特願2007−511225(P2007−511225)の分割
【原出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(591122956)三菱化学メディエンス株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【分割の表示】特願2007−511225(P2007−511225)の分割
【原出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(591122956)三菱化学メディエンス株式会社 (45)
【Fターム(参考)】
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