説明

生体データを送信するための生体データ送信子機、生体データを受信するための親機

【課題】従来の検出装置においては、センサにて検出した生体信号をリアルタイムで送信することは可能であるが、検出する生体信号の種別に応じてリアルタイム用の生体データの生成方法を変えたり、汎用コンピュータ等において情報管理しやすいように蓄積データを生成したりすることができなかった。
【解決手段】本発明の生体データ送信子機は、生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出し、親機から取得する第一の生成ルールに基づいて生体信号毎にA/D変換し、リアルタイム送信用の生体データを生成する。また、A/D変換によって生成される各種生体データを、親機から取得する第二の生成ルールに基づいて蓄積用のデータを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体データを送信するための生体データ送信子機、生体データを受信するための親機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間や動物などの生体信号をセンサによって検出し、無線通信I/Fを介して親機に送信する生体データ送信子機が知られている。例えば、特許文献1においては、生体の心電信号や温度、姿勢状態を各種センサによって検出し、検出信号を無線送信手段によって生体監視装置に送信することが可能な生体情報検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−98121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の装置においては、センサにて検出した生体信号をリアルタイムで送信することは可能であるが、検出する生体信号の種別に応じてリアルタイム用の生体データの生成方法を変えたり、汎用コンピュータ等において情報管理しやすいように蓄積データを生成したりすることができなかった。
【0005】
以上の課題を解決するために、親機に対して生体データを送信するための生体データ送信子機であって、生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出する生体信号検出部と、検出した生体信号毎にA/D変換して第一データを生成する第一データ生成部と、生成された第一データを直ちに送信する第一データ送信部と、生成された第一データから蓄積用の第二データを生成する第二データ生成部と、生成された第二データを蓄積する第二データ蓄積部と、蓄積されている第二データを送信する第二データ送信部と、第一データの生成ルールを親機から取得して保持する第一データ生成ルール取得保持部と、第二データの生成ルールを親機から取得して保持する第二データ生成ルール取得保持部と、生体データの送信命令を親機から受け付ける生体データ送信命令受付部と、を有する生体データ送信子機などを提案する。
【0006】
また、上記生体データ送信子機に対応する親機であって、生体データの送信命令を取得する生体データ送信命令取得部と、第一データ及び第二データの生成ルールを取得するデータ生成ルール取得部と、生体データの送信命令を第一データ又は/及び第二データの生成ルールと共に生体データ送信子機に対して送信するデータ送信命令送信部と、生体データの送信命令に応じて生体データ送信子機から送信される生体データを受信する生体データ受信部と、受信した生体データを処理する生体データ処理部と、を有する親機を提案する。
【発明の効果】
【0007】
以上のような構成をとる本発明によって、検出する生体信号の種別に応じてリアルタイム送信用の生体データの生成方法を変えたり、汎用コンピュータ等において情報管理しやすいように蓄積用データを生成したりすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】生体データ送信子機の機能ブロックの一例を示す図
【図2】生成される第二データの内容の一例を示す図
【図3】第一データの生成ルールの内容の一例を示す図
【図4】生体データ送信子機の具体的な外形の一例を示す図
【図5】生体データ送信子機の具体的なハードウェア構成の一例を示す図
【図6】生体データ送信子機における処理の流れの一例を示すフローチャート
【図7】親機の機能ブロックの一例を示す図
【図8】親機又は親機と接続される汎用コンピュータにおける画面の一例を示す図
【図9】親機の具体的なハードウェア構成の一例を示す図
【図10】親機における処理の流れの一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。実施形態1は主に請求項1、2、3などに関し、実施形態2は主に請求項4、5などに関する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施しうる。
【0010】
<<実施形態1>>
【0011】
<概要>
本実施形態の生体データ送信子機は、生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出し、親機から取得する第一の生成ルールに基づいて生体信号毎にA/D変換し、リアルタイム送信用の生体データを生成する。また、A/D変換によって生成される各種生体データを、親機から取得する第二の生成ルールに基づいて蓄積用のデータを生成する。
【0012】
<構成>
図1は、本実施形態の生体データ送信子機の機能ブロックの一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の「生体データ送信子機」0100は、「生体信号検出部」0101と、「第一データ生成部」0102と、「第一データ送信部」0103と、「第二データ生成部」0104と、「第二データ蓄積部」0105と、「第二データ送信部」0106と、「第一データ生成ルール取得保持部」0107と、「第二データ生成ルール取得保持部」0108と、「生体データ送信命令受付部」0109と、を有する。以下、各構成について説明する。なお、以下で説明する各構成の機能は、MPU等のプロセッサにて所定のプログラムが実行されることによって実現することも可能であるし、特定の処理を実行するアナログ回路によって実現することも可能である。
【0013】
「生体データ送信子機」は、親機に対して生体データを送信するための機能を有する。ここで、生体データとは、生体からセンサを介して得られるデータであって、例えば心電波形(心臓の電気的な活動の様子を示す波形)や、体表面又は体表面近くの温度、体の動き、発汗量、脈拍、身長、体重、体脂肪率、コレステロール値、血圧、血糖値などのデータが考えられる。当該生体データを生体データ送信子機から受信した親機は、これらのデータを処理する(詳細は実施形態2で説明する)。
【0014】
「生体信号検出部」は、生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出する機能を有する。ここで、生体信号を検出するとは、生体から得られる信号を検出することをいう。生体の心電波形の信号を検出する手段としては、例えば心電センサ(Electrocardiogram)を用いることが考えられる。その他、体表面又は体表面近くの温度を検出する手段としては温度センサ、体の動きを検出する手段としては加速度センサといったように、各生体データを検出するセンサを用いることが考えられる。つまり、生体信号検出部は、これらのセンサの集合体によって実現されるものである。
【0015】
「第一データ生成部」は、検出した生体信号毎にA/D変換して第一データを生成する機能を有する。当該第一データの生成は、以下で説明する第一データの生成ルールに基づいて行われる。つまり、第一データの生成ルールに基づいてアナログデータである各生体信号をデジタルデータに変換する。なお、生体信号毎とは、生体信号の種別毎という意味であり、一の加速度センサから得られるX方向の加速度、Y方向の加速度、Z方向の加速度などについても別々の生体信号として取り扱う。
【0016】
複数の生体信号をA/D変換する手段としては、一のA/D変換回路を用いて各生体信号のA/D変換を時間的にずらして順次行うことも可能であるし(時分割処理)、複数のA/D変換回路を用いて二以上の生体信号のA/D変換を並行して行うことも可能である。なお、A/D変換回路が複数存在する場合においても、一のA/D変換回路にて複数の生体信号をA/D変換する構成としてもよい。この場合、他のA/D変換回路は一のA/D変換回路が不調になった場合に用いるようにしてもよい。
【0017】
複数の生体信号のA/D変換を行う際に、各生体信号についてサンプリング周波数を変化させることが可能である。例えば、心電波形の信号に関しては1024Hzの周期でデータをサンプリングし、温度の信号に関しては4Hzでデータをサンプリングし、加速度の信号に関しては256Hzの周期でデータをサンプリングする、といったものである。
【0018】
また、複数の生体信号のA/D変換を行う際に、各生体信号について量子化ビット数を変化させることも可能である。なお、複数の生体信号を一のA/D変換回路を用いてA/D変換する場合であっても、生体信号ごとにA/D変換回路のレジスタ設定を変化させて量子化ビット数を変化させたり、その後のソフトウェア処理によってビット数を低くしたりすることが考えられる。例えば、心電波形の信号に関しては10ビットで量子化し、温度の信号に関しては8ビットで量子化する、といったものである。
【0019】
「第一データ送信部」は、生成された第一データを直ちに送信する機能を有する。ここで、生成された第一データを直ちに送信するとは、生成されたデータをリアルタイム又はリアルタイムに近いタイミングで送信することをいう。また、第一データを圧縮して送信したり、暗号化して送信したりすることも含むものである。
【0020】
第一データ送信部の機能は、例えば、プロセッサ、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。通信インターフェイスとしては、無線方式も可能であるし、有線方式も可能である。無線方式の通信としては、具体的には950MHz帯の周波数を利用することが考えられる。当該周波数は、環境にも依存するが、約30m程度の通信範囲を有するため、その範囲に配置された親機に対して無線データを送信することが可能である。有線方式の通信としては、シリアル通信I/F(USBI/F等)によって親機と接続し、シリアル通信によってデータを送信することが考えられる。
【0021】
「第二データ生成部」は、生成された第一データから蓄積用の第二データを生成する機能を有する。第二データ生成部の機能は、例えば、プロセッサ、RAM、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。ここで、蓄積用の第二データとしては、第一データを所定単位でブロック化したデータや、第一データを圧縮したデータ、第一データを暗号化したデータなどが考えられる。第一データから蓄積用の第二データを生成する処理は、以下で説明する所定の生成ルールに則って行われる。
【0022】
図2は、第二データ生成部によって生成される第二データの内容の一例を示す図である。この図の例では、任意の日時における複数種類の生体データの検出開始時間(データ送信開始命令)から検出終了時間(データ送信停止命令)までに得られる第一データを一つのブロックとみなし、当該第一データに対して、ブロックID、検出開始日時、検出時間の長さ、各生体信号のサンプリング周波数、コメントなどの情報を関連付けたデータを生成している。なお、上記では検出開始時間から検出終了時間までを一つのブロックとみなしたが、所定の時間間隔や所定のデータサイズでさらに分割し、それぞれにブロックID等を関連付けてもよい。また、上記では複数種類の生体信号をまとめて一つのブロックとみなしたが、各生体信号のデータに分けて、それぞれにブロックID等を関連付けてもよい。
【0023】
「第二データ蓄積部」は、生成された第二データを蓄積する機能を有する。第二データ蓄積部の機能は、例えば、フラッシュメモリ等の書き換え可能なメモリや、HDD等の記録デバイスなどの装置によって実現される。
【0024】
「第二データ送信部」は、蓄積されている第二データを親機に送信する機能を有する。第二データ送信部の機能は、第一データ送信部と同様に、例えばプロセッサ、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。通信インターフェイスとしては、無線方式も可能であるし、有線方式も可能である。
【0025】
ここで、第二データを親機に送信するタイミングは、任意とすることが可能であり、親機から送信要求があった時に送信することも可能であるし、タイマを起動して一定の周期で送信することも可能である。
【0026】
「第一データ生成ルール取得保持部」は、第一データの生成ルールを親機から取得して保持する機能を有する。第一データ生成ルール取得保持部の機能は、例えば、プロセッサ、通信インターフェイス、RAMや不揮発性メモリ等の記憶装置、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。
【0027】
図3は、第一データの生成ルールの内容の一例を示す図である。この図の例では、生成ルールの情報として、生体信号の種類ごとにサンプリング周波数、量子化ビット数が含まれている。なお、この図の例では量子化ビット数が生体信号の種類ごとに変化する態様を示しているが、生体信号の種類に関係なく同一の量子化ビット数を用いる場合(共通のA/D変換回路を用いる場合など)はサンプリング周波数のみを第一データの生成ルールとして取得することも考えられる。
【0028】
例えば、生成ルールの情報は、第一データの送信命令と共に親機から受信してRAMに保持され、MPUは当該生成ルールの情報に基づいて各センサI/Fのコントロールレジスタの内容を書き換える。また、第一データの送信命令とは独立に親機から第一データの生成ルールを受信し、設定情報として不揮発性メモリに格納し、MPUが第一データの送信命令の受信に際して各センサI/Fのコントロールレジスタの内容を書き換えることも可能である。
【0029】
また、第一データの生成ルールを、親機から複数取得して不揮発性メモリ等にて保持する構成も可能である。また、通信相手となる親機が複数ある場合は、各親機の端末IDと関連付けてそれぞれの生成ルールを保持することも考えられる。
【0030】
「第二データ生成ルール取得保持部」は、第二データの生成ルールを親機から取得して保持する機能を有する。第二データ生成ルール取得保持部の機能は、第一データ生成ルール取得保持部と同様であり、例えば、プロセッサ、通信インターフェイス、フラッシュメモリ等の記憶装置、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。
【0031】
上記のように第二データを生成するルールは、第一データを所定単位でブロック化する場合はブロック化を行うために必要な情報であり、第一データを圧縮する場合は圧縮率や圧縮方法を指定する情報であり、第一データを暗号化する場合は暗号化の種類を指定する情報などである。なお、第二データを生成するルールとしては、第二データを生成するための処理プログラムも考えられるが、処理プログラムにて利用する情報も含まれるものである。つまり、第二データを生成するための処理プログラム自体は予め生体データ送信子機において保持されており、当該処理プログラムに用いるパラメータを第二データの生成ルールとして親機から受信する態様も含まれるものである。
【0032】
第一データをブロック化して第二データを生成するプロセスとしては、上記のように、任意の日時におけるデータ取得開始時間からデータ取得終了時間までに得られる複数種類の生体データを一つのブロックとみなし、当該ブロックのデータに対して、ブロックID、検出開始時間、検出時間の長さ、データサイズ、各生体データのサンプリング周波数などの識別情報を関連付けることが考えられる。
【0033】
なお、第二データを生成するためのルールが、第一データを生成するためのルールと重複する場合も考えられる。例えば、上記のように第一データに識別情報を関連付けて第二データを生成する場合において、各生体データのサンプリング周波数などは第一データの生成ルールにも含まれているものである。この場合、当該重複する情報は、第一データの生成ルールでもあるし、第二データの生成ルールでもある。
【0034】
なお、第二データ生成ルール取得保持部の処理と第一データ生成ルール取得保持部の機能は共通するため、第一データ生成ルール取得保持部のハードウェア又はソフトウェアの全部又は一部を第二データ生成ルール取得保持部として用いることも可能である。
【0035】
第二データの生成ルールを親機から取得するタイミングとしては、親機から第二データの送信要求を受信する際に合わせて取得することも可能であるし、第二データの送信要求とは独立に設定情報として任意のタイミングで親機から取得することも可能である。なお、第一データの生成ルールと共に取得することも可能である。
【0036】
「生体データ送信命令受付部」は、生体データの送信命令を親機から受け付ける機能を有する。生体データ送信命令受付部の機能は、例えば、プロセッサ、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムによって実現される。
【0037】
ここで、生体データの送信命令としては、第一データの送信命令又は/及び第二データの送信命令が挙げられる。生体データ送信命令受付部は、送信命令を受け付けると、第一データ送信部や第二データ送信部に送信命令の受付を通知し、当該通知を受信した第一データ送信部や第二データ送信部は第一データや第二データを親機に送信する。
【0038】
なお、第一データの送信命令の情報としては、第一データの送信を開始すべきタイミングを通知する情報が主として挙げられるが、第一データの送信を行うべき時間の長さの情報や、特定の種類の生体データ(例えば、心電波形の生体データのみ)の送信要求を通知する情報なども考えられる。
【0039】
また、第二データの送信命令の情報としては、送信すべき一又は複数の第二データを特定する情報(一又は複数のブロックIDなど)が主として挙げられるが、第二データ蓄積部に保持されている全ての第二データの送信要求を通知する情報や、送信後の第二データの取り扱い(データ消去など)を通知する情報なども考えられる。
【0040】
また、生体データの送信命令を第一データの生成ルール又は/及び第二データの生成ルールと共に受信した場合は、当該生成ルールに基づいて生体データを生成し、これらの生成ルールを共に受信しない場合は、過去に親機から受信した生成ルール又はデフォルトの生成ルールに基づいて生体データを生成することが考えられる。
【0041】
また、生体データの送信元となる生体データ送信子機の端末IDや生体データの送信先となる親機の端末IDの情報を生体データの送信命令に含めることも可能である。特に、複数の生体データ送信子機や複数の親機が存在する場合は、生体データの送受信を行う組が複数存在することになるため、端末IDによって送信元と送信先を明確にすることが考えられる。
【0042】
なお、省電力の観点から、生体データの送信命令を親機から受け付けていない場合は、生体信号検出部の機能を停止させておくことも可能である。この場合、生体データ送信命令受付部は、送信命令を受け付けると、生体信号検出部に対して送信命令の受付を通知し、当該通知を受信した生体信号検出部は、生体信号の検出を開始する。
【0043】
<外形>
図4は、本実施形態の生体データ送信子機の具体的な外形の一例を示す図である。この図の例では、生体データ無線子機の外形は、生体の心電波形を検出する取り外し可能な「電極部材(ディスポーザル電極)など」0401と、電極部材からの電気信号を伝送するための「伝送部材」0402と、電極部材からの電気信号を処理するための回路等が格納された「筐体部材」0403によって特徴づけられる。また、この図の例では、生体データ無線子機の筐体は20cm以内であり、大人の手のひらにも収まるようなサイズとなっている。
【0044】
<ハードウェア構成>
図5は、本実施形態の生体データ送信子機の具体的なハードウェア構成の一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の生体データ送信子機は、「MPU」0501と、「RAM」0502と、「不揮発性メモリ(フラッシュメモリ等)」0503と、「無線通信I/F」0504と、「心電センサ」0505と、「加速度センサ」0506と、「温度センサ」0507と、各「センサI/F」0508を備える。
【0045】
無線通信I/Fを介して親機からリアルタイムの生体データの送信命令を受信すると、送信命令に含まれている第一データ及び第二データの生成ルールを取得して、RAM及び不揮発性メモリに格納する。
【0046】
続いて、MPUは、取得した第一データの生成ルールの情報に基づいて各センサI/Fのコントロールレジスタを制御して、心電センサ、加速度センサ、温度センサにて取得するデータのサンプリング周波数、量子化ビット数を設定し、各生体信号(アナログデータ)の入力を開始する。また、第一データの生成ルールにおいて、データ取得開始時間やデータ取得終了時間、データ取得時間を指定する情報が含まれている場合は、タイマを起動して、所定タイミングで各生体信号(アナログデータ)の入力を開始し、終了タイミングをタイマ割り込みで検知して各生体信号の入力を終了する。
【0047】
心電センサ等を介して入力されるアナログデータは、各センサI/Fにおいて所定のサンプリング周波数、量子化ビット数でデジタルデータに変換され、変換後の各生体データ(第一データ)は、RAM及び無線通信I/Fのバッファに格納される。無線通信I/Fのバッファに格納された各生体データ(第一データ)は、所定の帯域(例えば、950MHz帯)を利用してリアルタイムで親機に対して送信される。
【0048】
無線通信I/Fを介して親機から送信停止命令を受信した場合又はタイマ割り込みによって送信停止が通知された場合は、MPUは、各センサI/Fのコントロールレジスタを制御して、心電センサ等からのアナログデータの入力を停止する。MPUは、上記データ取得開始時間からデータ取得終了時間までに得られる生体データを一つのブロックとみなし、RAMに格納されている当該ブロックデータに対して、ブロックID、データ取得開始時間、データ取得終了時間、取得時間の長さ、データサイズなどの識別情報を関連付ける処理を行う。当該識別情報と関連付けられたデータは、第二データとして不揮発性メモリに格納される。
【0049】
なお、上記ではデータ取得開始時間からデータ取得終了時間までを一つのブロックとみなしたが、さらに所定の時間間隔や所定のデータサイズで分割し、各サブブロックに対してブロックID等の識別情報を関連付ける処理を行ってもよい。当該処理の指定は、第二データの生成ルールに基づいて行われる。
【0050】
また、第一データと識別情報の関連付けの処理に代えて又は加えて、所定の圧縮率で圧縮する処理を行ったり、所定の暗号方法で暗号化する処理を行ったりすることも可能である。これらの追加的な処理についても、第二データの生成ルールの内容に基づいて行われる。
【0051】
さらに、無線通信I/Fを介して親機から不揮発性メモリに格納されている生体データの識別情報の送信命令を受信すると、MPUは不揮発性メモリに格納されている生体データの識別情報をRAMに読み出して、無線通信I/Fを介して親機に対して送信する処理を行う。そして、無線通信I/Fを介して親機から特定の識別情報を有する生体データの送信命令を受信すると、MPUは、不揮発性メモリに格納されている当該特定の識別情報を有する生体データをRAMに読み出して、無線通信I/Fを介して親機に対して送信する処理を行う。
【0052】
<処理の流れ>
図6は、本実施形態の生体データ送信子機における処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、ステップS0601において、生体データの送信命令を親機から受け付ける(生体データ送信命令受付ステップ)。次に、ステップS0602において、生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出する(生体信号検出ステップ)。次に、ステップS0603において、検出した生体信号毎にA/D変換して第一データを生成する(第一データ生成ステップ)。次に、ステップS0604において、生成された第一データを親機に直ちに送信する(第一データ送信ステップ)。次に、ステップS0605において、生成された第一データから蓄積用の第二データを生成する(第二データ生成ステップ)。次に、ステップS0606において、生成された第二データを蓄積する(第二データ蓄積ステップ)。次に、ステップS0607において、蓄積されている第二データを親機に送信する(第二データ送信ステップ)。
【0053】
なお、上記処理とは別に、第一データの生成ルールを親機から取得して保持する(第一データ生成ルール取得保持ステップ)と、第二データの生成ルールを親機から取得して保持する(第二データ生成ルール取得保持ステップ)と、が実行される。当該処理は、上記ステップS0601と同時又は前後やステップS0603の直前において行われてもよいし、生体データ送信子機の設定段階において予め行われていてもよい。
【0054】
<効果>
本実施形態の生体データ送信子機により、検出する生体信号の種別に応じてリアルタイム送信用の生体データの生成方法を変えたり、他の装置において情報管理しやすい蓄積用データを生成したりすることが可能になる。
【0055】
<<実施形態2>>
【0056】
<概要>
本実施形態の親機は、実施形態1の生体データ送信子機に対応するものであり、生体データ送信子機にてリアルタイム送信用の生体データを生成するための一の生成ルールと、生体データ送信子機にて蓄積用の生体データを生成するための他の生成ルールと、を生体データ送信子機に送信する。また、当該生成ルールに基づいて生成されたデータの送信要求を生体データ送信子機に対して送信したり、生成されたデータを生体データ送信子機から受信して他の装置に転送したりする。
【0057】
<構成>
図7は、本実施形態の親機の機能ブロックの一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の「親機」0700は、「生体データ送信命令取得部」0701と、「データ生成ルール取得部」0702と、「データ送信命令送信部」0703と、「生体データ受信部」0704と、「生体データ処理部」0705を有する。以下、各構成について説明する。
【0058】
「生体データ送信命令取得部」は、生体データの送信命令を取得する機能を有する。生体データ送信命令取得部の機能は、例えば、プロセッサ、ユーザインターフェイス、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムなどにより実現される。送信命令は、ユーザインターフェイスを介して取得することも可能である。例えば、スイッチの切り換えやボタンの押下等の信号を送信命令として取得するこが考えられる。
【0059】
また、通信インターフェイスを介して接続された他の装置から取得することも可能である。例えば、汎用コンピュータとシリアル通信I/Fを介して接続した上で、汎用コンピュータからシリアル通信により送信命令を受信することが考えられる。この場合、汎用コンピュータでは、送信命令を受け付けるための表示を行い、所定の操作をキーボードやマウスを介して受け付けたことを親機に対して通知することが考えられる。
【0060】
また、送信命令の取得には、内部処理のタスク管理プログラムによって、送信命令タスクが自動的に生成されることも含まれるものである。例えば、タイマを利用して所定の日時や所定の時間間隔で送信命令タスクを生成することが考えられる。
【0061】
送信命令としては、要求するデータが第一データ又は/及び第二データであることを示す情報、生体データが複数ある場合は要求する生体データがどの種類の生体データであるかを示す情報、生体データを送信するタイミングの情報、生体データの送信が失敗した場合にリトライする回数の情報、などが挙げられる。
【0062】
「データ生成ルール取得部」は、第一データ及び第二データの生成ルールを取得する機能を有する。データ生成ルール取得部の機能は、例えば、プロセッサ、ユーザインターフェイス、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムなどにより実現される。
【0063】
第一データの生成ルールとしては、実施形態1で説明したように、サンプリングレートや量子化ビット数を設定するルールなどが挙げられる。また、第二データの生成ルールは、ブロック化する時間の単位やデータサイズの単位、データの圧縮率、データの暗号種別などが挙げられる。
【0064】
また、第一データの生成ルール及び第二データの生成ルールは、生体信号毎に別々の生成ルールを取得することも可能であるし、生体信号毎に共通の生成ルールを取得することも可能である。例えば、生体信号毎に第一データのサンプリングレートや量子化ビット数を変化させることが可能である。ただし、共通のA/D変換ルールを取得する構成(共通ルール取得手段)とすることによって、各生体信号のA/D変換を共通の回路で行わせることも可能である。
【0065】
上記生成ルールは、ユーザインターフェイスを介して取得することも可能である。例えば、スイッチを所定の位置に切り替えることによって、当該位置に対応した生成ルールをROMから読み出すことが考えられる。また、通信インターフェイスを介して接続された他の装置から取得することも可能である。例えば、汎用コンピュータとシリアル通信I/Fを介して接続した上で、汎用コンピュータからシリアル通信により生成ルールの情報を受信することが考えられる。この場合、汎用コンピュータでは、生成ルールの内容入力操作や選択操作を受け付けるための表示を行い、当該操作をキーボードやマウスを介して受け付けたことを親機に対して通知することが考えられる。
【0066】
図8は、親機又は親機と接続された汎用コンピュータにて表示される送信命令や第一データの生成ルール、第二データの生成ルールの入力画面の一例を示す図である。この図の例では、スタートボタンやストップボタンに対する操作や検出開始遅延時間の情報などを送信命令として受け付け、心電、加速度、温度のサンプリング周波数の情報などを第一データ及び第二データの生成ルールとして受け付ける。また、データ検出時間、コメントの情報などを第二データの生成ルールとして受け付ける。
【0067】
「データ送信命令送信部」は、生体データの送信命令を第一データ又は/及び第二データの生成ルールと共に生体データ送信子機に対して送信する機能を有する。データ送信命令送信部の機能は、プロセッサ、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムなどにより実現される。
【0068】
ここで、生体データとして第一データの送信を要求する場合は第一データの生成ルールのみを共に送信し、生体データとして第二データの送信を要求する場合は第二データの生成ルールのみ共に送信するといった構成も可能であるし、第一データの送信を要求する場合であっても第一データと第二データの生成ルールの両方を共に送信する構成も可能である。
【0069】
「生体データ受信部」は、生体データの送信命令に応じて生体データ送信子機から送信される生体データを受信する機能を有する。生体データ受信部の機能は、プロセッサ、通信インターフェイス、ROMに格納された処理プログラムなどにより実現される。
【0070】
「生体データ処理部」は、受信した生体データを処理する機能を有する。生体データ処理部の機能は、例えば、プロセッサ、通信インターフェイス、RAM、ROMに格納された処理プログラムなどにより実現される。生体データの処理としては、例えば、蓄積用メモリ(フラッシュメモリ等)に生体データを格納する処理や、通信インターフェイスを介して他の装置に生体データを送信する処理などが挙げられる。
【0071】
具体的には、生体データ送信子機から受信した生体データを、シリアル通信I/Fを貸して接続された汎用コンピュータに対してシリアル通信により転送する処理を行うことが挙げられる。当該生体データを受信した汎用コンピュータにおいては、アプリケーションを実行して生体データの時間変化の様子を表示することが可能になる。
【0072】
<ハードウェア構成>
図9は、本実施形態の親機の具体的なハードウェア構成の一例を示す図である。この図にあるように、本実施形態の親機は、「MPU」0901と、「RAM」0902と、「不揮発性メモリ(フラッシュメモリ等)」0903と、「無線通信I/F」0904と、「シリアル通信I/F(USBI/F等)」0905を備える。
【0073】
(第一データの転送処理)
汎用コンピュータからシリアル通信I/Fを介して、リアルタイムの生体データ(第一データ)の送信命令と第一データ又は/及び第二データ生体データの生成ルールを受信すると、MPUは無線通信I/Fを介して生体データの送信命令を第一データ又は/及び第二データの生成ルールと共に生体データ送信子機に対して送信する。
【0074】
続いて、生体データ送信子機から無線通信I/Fを介して、リアルタイムの生体データを受信すると、MPUはシリアル通信I/Fを介して汎用コンピュータに対してリアルタイムの生体データを送信する。また、汎用コンピュータからシリアル通信I/Fを介してリアルタイムの生体データの検出停止命令を受信すると、MPUは無線通信I/Fを介して生体データ送信子機に対してリアルタイムの生体データの検出停止命令を送信する。
【0075】
(第二データの転送処理)
また、汎用コンピュータからシリアル通信I/Fを介して生体データ送信子機に蓄積されている生体データ(第二データ)の識別情報の送信命令を受信すると、MPUは無線通信I/Fを介して生体データの識別情報の送信命令を生体データ送信子機に対して送信する。また、生体データ送信子機から無線通信I/Fを介して生体データの識別情報を受信すると、MPUはシリアル通信I/Fを介して汎用コンピュータに対して生体データの識別情報を送信する。
【0076】
また、シリアル通信I/Fを介して汎用コンピュータから特定の識別情報を有する生体データの送信命令を受信すると、MPUは無線通信I/Fを介して当該特定の識別情報を有する生体データの送信命令を生体データ送信子機に対して送信する。また、生体データ送信子機から無線通信I/Fを介して上記特定の識別情報を有する生体データを受信すると、MPUはシリアル通信I/Fを介して汎用コンピュータに対して当該特定の識別情報を有する生体データを送信する。
【0077】
なお、シリアル通信I/Fを介して汎用コンピュータから特定の識別情報を有する生体データの削除命令を受信すると、MPUは無線通信I/Fを介して当該特定の識別情報を有する生体データの削除命令を生体データ送信子機に対して送信する。
【0078】
<処理の流れ>
図10は、本実施形態の親機の処理の流れを示すフローチャート図である。この図にあるように、まずステップS1001において、生体データの送信命令を取得する(生体データ送信命令取得ステップ)。次に、ステップS1002において、第一データ及び第二データの生成ルールを取得する(データ生成ルール取得ステップ)。次に、ステップS1003において、生体データの送信命令を第一データ又は/及び第二データの生成ルールと共に生体データ送信子機に対して送信する(データ送信命令送信ステップ)。次に、ステップS1004において、生体データの送信命令に応じて生体データ送信子機から送信される生体データを受信する(生体データ受信ステップ)。次に、ステップS1005において、受信した生体データを処理する(生体データ処理ステップ)。
【0079】
<効果>
本実施形態の親機により、生体信号の種別に応じてリアルタイム送信用の生体データを生体データ送信子機によって生成させたり、汎用コンピュータ等において情報管理しやすいように蓄積用データを生体データ送信子機によって生成させたりすることが可能になる。
【符号の説明】
【0080】
0100…生体データ送信子機、0101…生体信号検出部、0102…第一データ生成部、0103…第一データ送信部、0104…第二データ生成部、0105…第二データ蓄積部、0106…第二データ送信部、0107…第一データ生成ルール取得保持部、0108…第二データ生成ルール取得保持部、0109…生体データ送信命令受付部、0401…電極部材、0402…伝送部材、0403…筐体部材、0501・0901…MPU、0502・0902…RAM、0503・0903…不揮発性メモリ、0504・0904…無線通信I/F、0505…心電センサ、0506…加速度センサ、0507…温度センサ、0508…センサI/F、0905…シリアル通信I/F、0700…親機、0701…生体データ送信命令取得部、0702…データ生成ルール取得部、0703…データ送信命令送信部、0704…生体データ受信部、0705…生体データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機に対して生体データを送信するための生体データ送信子機であって、
生体の心電波形を含む複数種類の生体信号を検出する生体信号検出部と、
検出した生体信号毎にA/D変換して第一データを生成する第一データ生成部と、
生成された第一データを直ちに送信する第一データ送信部と、
生成された第一データから蓄積用の第二データを生成する第二データ生成部と、
生成された第二データを蓄積する第二データ蓄積部と、
蓄積されている第二データを送信する第二データ送信部と、
第一データの生成ルールを親機から取得して保持する第一データ生成ルール取得保持部と、
第二データの生成ルールを親機から取得して保持する第二データ生成ルール取得保持部と、
生体データの送信命令を親機から受け付ける生体データ送信命令受付部と、
を有する生体データ送信子機。
【請求項2】
第一データ生成部は、各生体信号をA/D変換するためのA/D変換回路を一つのみ有する請求項1に記載の生体データ送信子機。
【請求項3】
生体信号検出部は、生体データ送信命令受付部が生体データの送信命令を受け付けた場合に生体信号の検出を開始する請求項1又は2に記載の生体データ送信子機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の親機であって、
生体データの送信命令を取得する生体データ送信命令取得部と、
第一データ又は/及び第二データの生成ルールを取得するデータ生成ルール取得部と、
生体データの送信命令を第一データ又は/及び第二データの生成ルールと共に生体データ送信子機に対して送信するデータ送信命令送信部と、
生体データの送信命令に応じて生体データ送信子機から送信される生体データを受信する生体データ受信部と、
受信した生体データを処理する生体データ処理部と、
を有する親機。
【請求項5】
データ生成ルール取得部は、各生体信号に共通のA/D変換ルールを取得する共通ルール取得手段を有する請求項4に記載の親機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−249916(P2012−249916A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126002(P2011−126002)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【出願人】(508047288)アーズ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】