説明

生体リズム補助照明装置

【課題】入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、足元を照らす照明を提供するとともに、起床時には覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる生体リズム補助照明装置を提供する。
【解決手段】生体リズム補助照明装置1は、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する第1発光体2とメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体3とを有し、照明装置前面には上部が光を拡散する光拡散部材4aと下部が光を透過しない光不透過部材4bとからなるカバー材4が取り付けられるとともに照明装置下面部が開放され、選択により第1発行体2と第2発光体3の点灯を制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体リズム補助照明装置に関する。詳しくは夜間入睡眠時及び起床後の覚醒に配慮した生体リズム補助照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、夜間特に就寝前の時間帯においては、居住空間における照明光の色温度を低色温度(電球のような赤っぽい色光)とすることで、白色光、昼光色光と比べて脳への刺激を低減し、円滑な入眠を促すことが知られており、時刻やヒトの生体リズムに合わせて光色を変化させる技術が提案されている( 例えば、特許文献1参照) 。
【0003】
【特許文献1】特開2000−252084号公報
【特許文献2】特開2005−230171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2にもあるように、光の波長と生体リズム、睡眠との関係について下記の論文にて報告されている。
【0005】
Brainard et al. (2001):”Action Spectrum for Melatonin Regulation in Humans: Evidence for a Novel Circadian Photoreceptor”, J.Neurosci.,21(16), 6405-6412 この文献においては、夜間の受光によるメラトニン分泌抑制の波長特性が明らかにされている。メラトニンとは、脳にある松果体から分泌されるホルモンであり、夜間の入眠前から睡眠前半の時間帯にかけて( 個人差や生活リズムによって差があるが、午後10時ごろから深夜にかけて)多く分泌され、体温の低下や入眠を促すと考えられている。このメラトニンは、夜間の受光によりその分泌が抑制されることが明らかにされており、上記文献では図6のような波長特性が報告されている。図6によると、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長は464nmであり、ピーク波長464nmにおける感度を1とした時、その感度が0.5以上となる範囲、すなわち約410nm から約500nmまでの範囲で、とくに分泌抑制感度が高くなることが分かる。
【0006】
このように、メラトニンが夜間の体温低下や入眠促進を促すことからすると、夜間の就寝時および前における上記の波長範囲を含む光の受光は、上質の睡眠をとるためには極力避けるべきであり、照明装置や光源での対処も必要である。
【0007】
波長が464nm前後の光は、寒色系の光や白色の光に比較的多く含まれる一方、暖色系の光にはあまり含まれていない。眠りにつこうとする就寝者に暖色系の光を当てると、就寝者の脳内におけるメラトニンの分泌は抑制されず、就寝者のスムーズな入眠が誘発される。一方、目覚めようとする就寝者に寒色系又は白色の光を当てると、就寝者の脳内におけるメラトニンの分泌が抑制され、就寝者がスムーズに覚醒へ導かれていく。
【0008】
また、就寝中にトイレに行くなど行動する場合、メラトニンの分泌を抑制する光に当たると覚醒してしまい、再び入眠する阻害要因となってしまう反面、行動するときに照明をつけないと暗闇のままで視界が不十分となり行動するには危険が伴ってしまう。
【0009】
一方、起床時には、メラトニンの発生を抑制する光を全身に受けることで、身体の覚醒度を上げ、目覚めの促進や規則正しい生体リズム(サーカディリアンリズム)を得ることが必要となる。
【0010】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、足元を照らす照明を提供するとともに、起床時には覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる生体リズム補助照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面に設置する照明装置であって、
メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する第1発光体とメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体とを有し、
照明装置前面に上部が光を拡散する光拡散部材と下部が光を透過しない不透過部材とからなるカバー材が取り付けられるとともに照明装置下面部が開放され、
第1発行体と第2発光体の点灯を制御できることを特徴とする生体リズム補助照明装置により解決される。
【0012】
この生体リズム補助照明装置では、建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面に設置されており、照明装置前面に上部が光を光拡散する拡散部材と下部が光を透過しない光不透過部材とからなるカバー材が取り付けられるとともに照明装置下面部が開放されているので、起床時メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する第1発光体を点灯する場合に、人が本生体リズム補助照明装置の近辺を移動するとき、カバー材上部の光を拡散する光拡散部材を通してメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光が人の顔付近を中心に照射される。そのため、顔にメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光が照射されることにより、起床時に覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる。一方、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時にメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体が点灯する場合において、人が本生体リズム補助照明装置の近辺を移動するとき、カバー材上部の光を拡散する光拡散部材を通してメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光が照射される。そのため、顔にメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光が照射されることにより、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、入眠の妨げにならず、ぐっすりと眠ることができる。
【0013】
照明装置下面部が開放されているため、照明装置下面部より光が床方向に照射され、夜間において足元を照らすことができ、安全に移動することができる。なお、照明装置下面部が開放されているとは、照明装置下面部が構造的に開放されている場合だけを意味するのではなく、透光性を有するカバー材で覆われるなど光を照射できるような態様を含む。
【0014】
また、上記の生体リズム補助照明装置において、第2発光体の光のカバー材上部方向への拡散を防止する光拡散防止部材が設けられているとよい。
【0015】
第2発光体の光のカバー材上部方向への拡散が防止されるため、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体が点灯する場合に、カバー材上部の光を拡散する光拡散部材を通してメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光が照射されることがないため、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光であっても顔に照射されることがなく、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることが一層防止される。
【0016】
また、上記の生体リズム補助照明装置において、第2発光体の光のカバー材上部方向への拡散を抑制する光抑制部材が設けられているとよい。
【0017】
第2発光体の光のカバー材上部方向への拡散が抑制されるため、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体が点灯する場合に、カバー材上部の光を拡散する光拡散部材を通してメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光の照射が抑制され、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光であっても顔に照射されることが抑制され、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることが一層防止される。
【0018】
また、上記の生体リズム補助照明装置において、第1発光体が青色LED又は白色LEDであればよい。
【0019】
青色LED又は白色LEDは、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光を多く含むためメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を多く照射することができる。また、第1発光体に 青色LED又は白色LEDを用いた場合、カバー材上部の拡散部材がLEDの光の粒々感を軽減し、指向性が強いLEDの光を和らげることができる。
【0020】
また、上記の生体リズム補助照明装置において、第2発光体が410nm〜500nm間にピーク波長を持たない照明であるとよい。
【0021】
410nm〜500nm間にピーク波長を持たない照明は、メラトニン生成抑制効果が低く、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、入眠の妨げにならず、ぐっすりと眠ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は以上のとおりであるから、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、足元を照らす照明を提供するとともに、起床時には覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる生体リズム補助照明装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1に示す生体リズム補助照明装置の第1実施形態は、生体リズム補助照明装置1を建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面7たとえば、廊下や寝室の壁面7に取り付けられる。8は床面、9は人である。生体リズム補助照明装置1は高さ方向が、一般的な人の身長165cm〜175cmのおよそ頭部あたりすなわち床下よりおよそ160cm〜175cmの位置に取り付けられる。取り付ける高さ位置は、住む人の身長に応じて適宜調整されてもよい。
【0025】
図1(ロ)、図2に示す生体リズム補助照明装置1において、2は第1発光体、3は第2発光体、4はカバー材、5は光拡散防止部材、6はベース部である。
【0026】
第1発光体2は、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する発光体であり、ここでは青色LED又は白色LEDを用いる。青色LED又は白色LEDは、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光を多く含むためメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を多く照射する。
【0027】
第2発光体3は、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する発光体であり、410nm〜500nm間にピーク波長を持たない照明である。ここでは、白熱灯、紫外発光LED,400nm付近にピーク波長を持つLED,410nm〜500nm付近の波長カットするフィルタを装着した照明などを用いる。メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光をあまり含まないためメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を多く照射する。
【0028】
なお本明細書中において、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する発光体とは、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光のみを照射する発光体を意味するのではなく、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する割合が多い発光体という意味で用いている。また同様に、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する発光体とは、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光のみを照射する発光体を意味するのではなく、メラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する割合が多い発光体という意味で用いている。
【0029】
生体リズム補助照明装置1は、プレート型のベース部6と正面部を覆う態様で取り付けられるプレート型のカバー材4と、ベース部6とカバー材4とを連結するプレート型の光拡散防止部材5とからなり、断面視H型をしており、生体リズム補助照明装置1の下面部1aと上面部1bは開放されている。カバー材4は、カバー材4と光拡散防止部材5との境界部より上部が光を拡散する光拡散部材4aと下部が光を透過しない光不透過部材4bとからなっている。
【0030】
第1発光体2はベース部6の上部6aに生体リズム補助照明装置1の長尺方向に間隔をあけて、生体リズム補助照明装置1前面すなわちカバー材4の方向に向けて光を照射するように複数設置される。第2発光体3は、光拡散防止部材5の下面5aに生体リズム補助照明装置1の長尺方向に間隔をあけて、生体リズム補助照明装置1の下方向に向けて光を照射するように複数設置される。
【0031】
光拡散防止部材5は、ベース部6とカバー材4とを連結するするとともに、第2発光体3の光の上方向への拡散を防止する防止部材としても機能する。第2発光体3は、光拡散防止部材5の下面5aに生体リズム補助照明装置1の長尺方向に間隔をあけて、生体リズム補助照明装置1の下方向に向けて光を照射するように設置されることと相まって、第2発光体の光の上方向への拡散を防止する。
【0032】
また、光拡散防止部材5は、第1発光体2の光の下方向への拡散を防止する防止部材としても機能する。
【0033】
第1発光体2および第2発光体3の点灯は、さまざまな方式によって行われる。それぞれの発光体の点灯を制御するスイッチにより、それぞれ独立に手動で点灯・消灯がなされてもよいし、第1発光体2および第2発光体3の点灯が選択式に行われるスイッチにより点灯、消灯がなされていてもよいし、タイマー機能により第1発光体2および第2発光体3の点灯・消灯を時間により自動的に制御してもよい。また手動式であっても、時間帯に適さない発光体の点灯を防止するため、時間帯によって点灯する照明が予め決められているスイッチであってもよい。この場合、照明装置としてのスイッチは第1発光体と第2発光体がそれぞれ独立に設けられる必要はなく、照明装置としてのスイッチが一つあればよい。また、人感センサーとの組み合わせにより、人が本照明装置の付近を通過するときにその時間帯によって適切な発光体が点灯するように制御されていてもよい。
【0034】
生体リズム補助照明装置1による照明は次のようにして行われる。朝などの起床時は、メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を受け覚醒度を上げ、目覚めの促進や規則正しい生体リズム(サーカディリアンリズム)を得ることが必要となる。
【0035】
朝の起床時に、手動やタイマーによる制御装置の設定などにより、第1発光体2を点灯させる。第1発光体2の青色LED又は白色LEDは、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光を多く含むためメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を多く照射し、図3(イ)に示すように、カバー材4上部の光を拡散する光拡散部材4aを介して照射される。本生体リズム補助照明装置1は、廊下や寝室の壁面7など建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面の一般的な人の身長165cm〜175cmのおよそ頭部あたりすなわち床下よりおよそ160cm〜175cmの位置に取り付けられているため、照射する光はカバー材4上部の光を拡散する光拡散部材4aを介して人の顔に照射され、人は覚醒度を上昇させ目覚めの促進や規則正しい生体リズム(サーカディリアンリズム)を得る。なお、第1発光体2から照射される光の一部は、生体リズム補助照明装置1の上面部1bからも廊下や寝室内に照射される。
【0036】
一方、就寝前や就寝中にトイレなどに行く時などは、手動やタイマーによる制御装置の設定などにより、第2発光体3を点灯させる。第2発光体3の白熱灯や紫外発光LEDは、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光をあまり含まないためメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を多く照射する。図3(ロ)に示すように、第2発光体3は防止部材5の下面5aに、生体リズム補助照明装置1の下方向に向けて光を照射するように複数設置されているため、光拡散防止部材5により上側方向への光の照射を防止され、またカバー材4の下部が光を透過しない光不透過部材4bからなっているため、第2発光体3の照射は下方向のみとなり、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光をあまり含まないためメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光であっても直接顔にあたらないようにすることで光刺激を軽減するとともに、壁面7の広い範囲と床面8が照射されるので、夜間の使用時において足元が広範囲に照らされ、夜間による視認性の確保による安全性向上を図ることができる。
【0037】
このように、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、足元を照らす照明を提供するとともに、起床時には覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる生体リズム補助照明装置を状況に応じて使用することで規則正しい生体リズム(サーカディアンリズム)を得ることができる。
【0038】
図4に示す本発明の第2実施形態である生体リズム補助照明装置11は、プレート型のベース部6と正面部を覆う態様で取り付けられる略プレート型のカバー材41と、ベース部6とカバー材41とを連結する図示しない連結部材からなり、生体リズム補助照明装置1の下面部11aと上面部11bは開放されている。連結部材はベース部6とカバー材41とを端部同士で連結するタイプであってもよいし、中間部において複数の棒材で連結するタイプであってよい。カバー材41は、上部が光を拡散する光拡散部材41aと下部が光を透過しない光不透過部材41bとからなっている。
【0039】
カバー材41下部の光不透過部材41bは生体リズム補助照明装置11内側において、2つの傾斜面41c、41dを有し、これが、後述する第1発光体2および第2発光体3の位置関係と相まって、第1発光体2および第2発光体3の光の拡散を抑制する。
【0040】
第1発光体2はベース部6の上部に生体リズム補助照明装置11の長尺方向に間隔をあけて、生体リズム補助照明装置11前面すなわちカバー材41の方向に向けて光を照射するように複数設置される。第2発光体3はベース部6の下部に生体リズム補助照明装置11の長尺方向に間隔をあけて、生体リズム補助照明装置11前面すなわちカバー材41の方向に向けて光を照射するように複数設置される。
【0041】
図4(ハ)に示すように、カバー材41の傾斜面41dは、第1発光体2の高さ位置よりも下方に位置するとともに、第1発光体2の下方向への光を上方向への反射するように傾斜がつけられ、第1発光体2の照明の下方向への拡散を抑制する光拡散抑制部材として機能する。また、カバー材41の傾斜面41cは、第2発光体3の高さ位置よりも上方に位置するとともに、第2発光体3の上方向への光を下方向への反射するように傾斜がつけられ、第2発光体3の照明の上方向への拡散を抑制する光拡散抑制部材として機能する。
【0042】
朝の起床時に、手動やタイマーによる制御装置の設定などにより、第1発光体2を点灯させる。第1発光体2は、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光を多く含むためメラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を多く照射し、図4(イ)に示すように、カバー材4上部の光を拡散する光拡散部材4aを介して照射されるとともに、一部は生体リズム補助照明装置11の下端部からも床面に向かって照射される。本生体リズム補助照明装置1は、廊下や寝室の壁面7など建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面の一般的な人の身長165cm〜175cmのおよそ頭部あたりすなわち床下よりおよそ160cm〜175cmの位置に取り付けられているため、照射する光はカバー材4上部の光を拡散する光拡散部材4aを介して人の顔に照射されるため、人は覚醒度をさせ目覚めの促進や規則正しい生体リズム(サーカディリアンリズム)を得る。なお、第1発光体2から照射される光の一部は、生体リズム補助照明装置1の上面部1bからも廊下や寝室内に照射される。
【0043】
一方、就寝前や就寝中にトイレなどに行く時などは、手動やタイマーによる制御装置の設定などにより、第2発光体3を点灯させる。第2発光体3は、メラトニン分泌抑制感度がピークとなる波長464nm付近の光をあまり含まないためメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を多く照射する。図4(ロ)に示すように、第2発光体3は光拡散抑制部材としての傾斜面41cに反射し床面8方向へ照射されるとともに、その一部は光拡散抑制部材としての傾斜面41dに反射され、カバー材4上部の光を拡散する光拡散部材4aを介して照射されるとともに、生体リズム補助照明装置1の上面部1bからも廊下や寝室内に照射される。壁面7の広い範囲と床面8が照射されるので、夜間の使用時において足元が広範囲に照らされ、夜間による視認性の確保による安全性向上を図ることができる。
【0044】
このように、入眠時やトイレに行くなどの睡眠時に覚醒されることなく、足元を照らす照明を提供するとともに、起床時には覚醒度が上昇しすっきりとした目覚め感を得ることができる生体リズム補助照明装置を状況に応じて使用することで規則正しい生体リズム(サーカディアンリズム)を得ることができる。
【0045】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、生体リズム補助照明装置を寝室や廊下に取り付けた場合について示したが、居室や洗面所など建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面に設置してもよいのはいうまでもない。
【0046】
第2実施形態において、光拡散抑制部材は発光体の取付け位置と相まって発光体の光の照射方向を抑制するカバー材裏面に設けた傾斜面としたが、実施形態に限定されることなく、発光体に取付けられるカバーなどカバー材上部への光の照射を抑制される光拡散抑制部材であればよい。
【0047】
また、上記実施形態では、生体リズム補助照明装置の上部を開放している場合について示したが、図5に示すように、上部を閉鎖し上部からの光の拡散を防止してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図(イ)は生体リズム補助照明装置の第1実施形態の使用状況を示す正面図、図(ロ)は生体リズム補助照明装置の第1実施形態を示す正面図である。
【図2】図(イ)は生体リズム補助照明装置の第1実施形態を示す斜視図、図(ロ)は図(イ)の背面から見た斜視図である。
【図3】図(イ)、(ロ)は生体リズム補助照明装置の第1実施形態の使用状況において、光の照射状況を示す正面図である。
【図4】図(イ)、(ロ)は生体リズム補助照明装置の第2実施形態の使用状況において、光の照射状況を示す正面図、図(ハ)は生体リズム補助照明装置の第2実施形態を示す正面図である。
【図5】図(イ)、(ロ)は生体リズム補助照明装置の他の実施形態の使用状況において、光の照射状況を示す正面図、図(ハ)は生体リズム補助照明装置の他の実施形態を示す正面図である。
【図6】Brainardらの報告した、光によるメラトニン分泌抑制の波長特性図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・生体リズム補助照明装置
2・・・第1発光体
3・・・第2発光体
4・・・カバー材
4a・・・光拡散部材
4b・・・光不透過部材
41b・・・光不透過部材(光拡散抑制部材)
5・・・光拡散防止部材
6・・・ベース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の立位で通過もしくは滞在する場所の壁面に設置する照明装置であって、
メラトニン生成抑制効果の高い波長帯の光を照射する第1発光体とメラトニン生成抑制効果の低い波長帯の光を照射する第2発光体とを有し、
照明装置前面に上部が光を拡散する光拡散部材と下部が光を透過しない光不透過部材とからなるカバー材が取り付けられるとともに照明装置下面部が開放され、
第1発行体と第2発光体の点灯を制御できることを特徴とする生体リズム補助照明装置。
【請求項2】
前記第2発光体の光の前記カバー材上部方向への拡散を防止する光拡散防止部材が設けられた請求項1に記載の生体リズム補助照明装置。
【請求項3】
前記第2発光体の光の前記カバー材上部方向への拡散を抑制する光拡散抑制部材が設けられた請求項1に記載の生体リズム補助照明装置。
【請求項4】
前記第1発光体が青色LED又は白色LEDからなる請求項1乃至3に記載の生体リズム補助照明装置。
【請求項5】
前記第2発光体が410nm〜500nm間にピーク波長を持たない照明である請求項1乃至4に記載の生体リズム補助照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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