説明

生体リズム調整方法及び調整装置

【課題】日常生活において簡便に生体リズムを測定、評価し、評価結果に基づいて効果的に生体リズムの調整を行うことができる生体リズムの調整方法及び調整装置の提供。
【解決手段】電子機器の使用者に対し、波長域445nm-480nmの光を照射するための方法であって、電子機器自体の目的使用に際し、電子機器に設けられた生体接触部から使用者の生体情報を自動的に取得し蓄積する第一段階と、蓄積された前記生体情報を自動判定し、判定結果に基づいて上記波長域の光の強度を自動的に制御して使用者に照射する第二段階と、を少なくとも行う照射方法及びこの方法に使用される電子機器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体リズム調整方法及び調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は体内に時計機構(体内時計)を持ち、生体機能に関する周期現象を制御している。代表的な周期現象としては、睡眠・覚醒、体温や血圧の変化などがあり、これらは特に概日周期(サーカディアンリズム)と呼ばれる生体リズムによって制御されている(非特許文献1参照)。サーカディアンリズムは、本来的には24から25時間周期を示すが、主として光環境により1日の周期である24時間周期に同調されている。
【0003】
光環境による生体リズムの制御には、メラトニンと呼ばれるホルモンが関与しており、光環境の変化に応じてメラトニンが分泌量を変化させることによってリズムの制御がなされている。すなわち、メラトニンは、暗い環境下では分泌量を増加させ、逆に明るい環境下では分泌量を低下させることによって、睡眠・覚醒リズム等のサーカディアンリズムの調整に機能している。
【0004】
現代社会においては、室内で過ごす時間が増加しているだけでなく、照明の発達により生活の夜型化が進んでおり、昼夜の光環境にあまり明暗変化がなくなっている。また、空路での往来が活発となり、時差によって昼夜が逆転した光環境に曝される機会も増えている。このため、光環境による生体リズムの同調が上手くなされず、睡眠障害や時差ボケといった生体リズムのずれに起因した健康問題が生じている。
【0005】
そこで、近年、光環境を人為的にコントロールすることによって生体リズムの調整を行なおうとする技術が開発されてきている。特許文献1には、高照度光を用いてサーカディアンリズムの位相や振幅を変化させる技術が開示されている。例えば、外乱の無い条件下で計測した深部体温リズムが得られたとして、その最低点直前の位相で高照度光を照射すると、生体リズムの位相が後退し、最低点直後の位相での照射ではリズムの位相が前進することが知られている。また、光の照射の仕方によっては、リズムの振幅を増大又は減衰させることも可能であることが知られている。
【0006】
また、特許文献2には、生体リズム調整のために眼に光刺激を与えるために用いられる携帯用光照射装置が開示されている。この光照射装置は、携帯性が良好で使用に煩わしさや不快感がなく、生体リズムの調整を目的とした光照射を容易に行うことができるものである。
【0007】
特許文献3には、光刺激を含む刺激を生体に与えて生体リズムの調整を行う装置が開示されている。この生体リズム調整装置は、被験者の生体リズム曲線を測定し、評価しながら、適切な刺激を与えることにより生体リズムを効果的に調整するものである。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4858609号明細書
【特許文献2】特開平11−39916号公報
【特許文献3】特開平5−3920号公報
【非特許文献1】小山恵美、「モデリングを通じた生体系特徴の時間生物学的理解」、計測と制御第41巻 第10号、2002年10月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献2に記載される光照射装置は、携帯性に優れ簡便に使用できるため、日常生活を営みながら光照射による生体リズムの調整を行うことを可能とするものである。
【0010】
しかし、この光照射装置には、使用者の生体リズムを測定し、評価した上で、適切な光刺激を与えるための手段が存在せず、効果的な生体リズム調整を行うためには不十分であった。
【0011】
この点、特許文献3に記載される生体リズム調整装置は、生体リズム曲線を測定するための生体リズム曲線測定手段と、測定された生体リズム曲線を評価するための生体リズム曲線評価手段とを備え、評価結果に応じて生体に光刺激を与えることで、効果的に生体リズムの調整を行うことを可能とするものである。
【0012】
しかし、この生体リズム調整装置において、生体リズム曲線測定手段は、深部体温、より具体的には直腸温を計測するものであるため、日常生活において簡便に生体リズムの調整を行うことを想定したものとはなっていない。
【0013】
そこで、本発明は、日常生活において簡便に生体リズムを測定、評価し、評価結果に基づいて効果的に生体リズムの調整を行うことができる生体リズムの調整方法及び調整装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題解決のため、本発明は、電子機器の使用者に対し、波長域445nm-480nmの光を照射するための方法であって、電子機器自体の目的使用に際し、電子機器に設けられた生体接触部から使用者の生体情報を自動的に取得し蓄積する第一段階と、蓄積された前記生体情報を自動判定し、判定結果に基づいて上記波長域の光の強度を自動的に制御して使用者に照射する第二段階と、を少なくとも行う光照射方法を提供する。
この方法において、第一段階と第二段階は、別体に構成された電子機器で行うことができる。
第一段階は、使用者の生体情報を検出する生体接触部と、現在時刻を計時する計時手段と、生体接触部から出力される生体情報を、計時手段から出力される時刻情報と関連付けて蓄積する記憶手段と、波長域445nm-480nmの光を発する発光部を備える外部機器に対し、記憶手段に蓄積された生体情報を送信する送信手段と、を備える電子機器により行うことができる。
この電子機器は、例えば、ヘッドホン、マウス、腕時計とすることができる。
そして、第二段階は、波長域445nm-480nmの光を発する発光部と、外部機器から送信される使用者の生体情報を受信する受信手段と、受信手段から出力される生体情報を蓄積し判定する判定手段と、判定手段によって得られた判定結果に基づいて上記波長域の光の強度を制御する制御手段と、を備える電子機器により行うことができる。
【0015】
本発明において、「生体情報」とは、心拍、脈拍、血圧のいずれかから選択された一以上の情報を意味する。心拍数、脈拍数、血圧値は日内変動し、その変動はサーカディアンリズムを示すことが知られている(「Robust circadian rhythm in heart rate and its variability: influence of exogenous melatonin and photoperiod.」, Journal of Sleep Research, 2007 Jun;16(2):148-55.参照)。また、「心拍」には、例えば、心拍変動(Heart Rate Viability: HRV)や心拍間隔標準偏差(Standard Deviation of the Normal-to-Normal intervals: SDNN)、R-R間隔等の心拍に基づいて算出される各種指数が包含される。この点、脈拍や血圧についても同様である。
【0016】
また、「目的使用」とは、電子機器本来の用途を意味するものとし、例えば、ヘッドホンであれば音声の視聴が目的使用となる。本発明は、このような電子機器自体の目的使用に際し、電子機器に設けられた生体接触部により同時に生体情報の取得を行うものである。
【0017】
なお、波長域445nm-480nmの光は、メラトニン分泌を抑制する効果が特に顕著であることが明らかにされているものである(「Action Spectrum for Melatonin Regulation in Humans:Evidence for a Novel Circadian Photoreceptor」, The Journal of Neuroscience, 2001 Aug 15;21(16):6405-12.参照)。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、日常生活において簡便に生体リズムを測定、評価し、効果的に生体リズムの調整を行うことができる生体リズムの調整方法及び調整装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0020】
図1は、本発明に係る光照射方法(生体リズム調整方法)に使用される電子機器(生体リズム調整装置)の構成を説明するブロック図である。
【0021】
図1中、符号Aで示される電子機器は、生体接触部1と、計時手段2と、記憶手段3と、送信手段4と、を備えている。
【0022】
生体接触部1は、使用者の生体情報を検出するためのセンサとして機能し、電子機器Aの目的使用時において、使用者の生体情報を自動的に検出するものである。生体情報としては、例えば、心拍、脈拍、血圧等が挙げられ、生体接触部1は、これらの生体情報を検出可能なセンサによって構成されるものである。
【0023】
生体接触部1は、心拍等の検出のため、電子機器Aの目的使用時において、電子機器Aのうち使用者の体表に当接する部分に設けられる。具体的には、例えば、電子機器Aをヘッドホンのような頭部に装着可能な機器とする場合には、生体接触部1は、こめかみ部又はその近傍に当接する部位に設けることが望ましい。こめかみ部は、心拍等の生体情報を感度よく検出できるためである。
【0024】
生体接触部1により検出された生体情報は、記憶手段3に出力される(図1中、矢印(a)参照)。記憶手段3には、計時手段2によって計時される現在時刻が時刻情報として出力されている(矢印(b)参照)。記憶手段3は、この時刻情報と、生体接触部1から出力される生体情報とを関連付け、生体情報を時系列データとして記憶、蓄積する。
【0025】
記憶手段3に蓄積された生体情報の時系列データは送信手段4に出力され(矢印(c)参照)、さらに送信手段4によって以下に説明する電子機器Bに送信される(矢印(d)参照)。送信手段4による送信方法は、通常の方法によって行うことができ、無線送信であっても有線送信であってもよい。
【0026】
図1中、符号Bで示される電子機器は、受信手段5と、判定手段6と、制御手段7と、発光部8を備え、発光部8から波長域445nm-480nmの光を発し、使用者に照射するものである。
【0027】
受信手段5は、上記の電子機器Aの送信手段4から送信される生体情報の時系列データを受信する。判定手段6は、受信手段5から出力(矢印(e)参照)される生体情報の時系列データを蓄積し、使用者の生体リズムを判定し、判定結果を制御手段7に出力する(矢印(f)参照)。
【0028】
制御手段7は、判定手段6から出力される判定結果に基づいて、発光部8から発せられる波長域445nm-480nmの光の強度を制御する。発光部8には、波長域445nm-480nmの光を発する発光体以外に、他の波長域を発する発光体を含んでいても良く、波長域445nm-480nmに加えて他の波長域の光の強度を同時に制御してもよい。
【0029】
判定手段6における、生体情報の時系列データから使用者の生体リズムを判定するための方法としては、例えば、特開平4―239380号公報に「生体リズム解析装置」として詳細に記載されている。また、生体リズムの判定結果に基づいて光の強度を制御して生体リズムの調整を行う方法については、上記特許文献2に詳細に記載されている。
【0030】
電子機器A及び電子機器Bは、一体の電子機器として構成してもよいが、図に示したように別体に構成し、生体情報の検出、蓄積を電子機器Aにより行い、電子機器Aに蓄積された生体情報の時系列データを無線又は有線によって電子機器Bに送信し、生体情報の時系列データの判定及び判定結果に基づく光照射を電子機器Bによって行う構成が望ましい。
【0031】
このように、電子機器Aと電子機器Bを別体に構成することにより、電子機器Aを小型化することでき、電子機器Aを日常身に付けて(体表に当接した状態で)使用される小型の電子機器として構成することが可能となる。このような電子機器としては、例えば、ヘッドホンやパーソナルコンピューターに使用するマウス、腕時計といったものがある。
【0032】
電子機器Aを、体表に当接した状態で日常的に使用される電子機器として構成することによって、電子機器Aの目的使用と同時に生体情報の検出及び蓄積を行うことができ、日常生活の中で使用者の生体情報を、使用者の無意識下に自動的かつ持続的に検出及び蓄積することが可能となる。
【0033】
図2には、ヘッドホンとして構成した電子機器Aを示した。
【0034】
図中、符号A1で示すヘッドホン(以下、「ヘッドホンA」という)は、頭部への装着時において、こめかみ部に当接する部位に生体接触部1を配している。これにより、ヘッドホンA1においては、使用者が音声を視聴している間、自動的かつ継続的に生体情報を検出、蓄積することが可能となる。
【0035】
なお、こめかみ部で心拍等の生体情報を検出するための技術としては、公知の技術を採用することができ、例えば、特開2006-158479号公報に記載される映像表示装置に開示されるバイタルセンサ等を採用できる。
【0036】
ヘッドホンA1において、生体接触部1により検出された生体情報は、不図示の記憶手段3に出力され、計時手段2(不図示)から出力される時刻情報と関連付けられて、送信手段4から電子機器Bへ送信される(図中、点線矢印参照)。
【0037】
図3には、パーソナルコンピューターに使用するマウスとして構成した電子機器Aを示した。
【0038】
図中、符号A2で示すマウス(以下、「マウスA2」という)は、これを保持する手の親指が当接する部位に生体接触部1が配されている。これにより、マウスA2においては、使用者が操作時に手で保持している間、自動的かつ継続的に生体情報を検出、蓄積することが可能となる。なお、マウスA2の生体接触部1も、ヘッドホンA1と同様のバイタルセンサ等を用いて構成できる。
【0039】
マウスA2が備える計時手段2、記憶手段3、送信手段4については図示を省略するが、生体接触部1により検出された生体情報は、時系列データとして電子機器Bへ送信されるものである(図中、点線矢印参照)。
【0040】
また、電子機器Aは、例えば、腕時計として構成してもよい。
【0041】
例えば、心拍等の測定が可能な腕時計としては既に多くの技術が開発されており(特開平6−289168号公報、特開平9−285453号公報、特開2005−342163号公報等参照)、これらの技術に基づいて電子機器Aを構成することができ、この場合、生体接触部1は、手首に内側(手のひら側)の静脈上に位置させて設けることが望ましい。
【0042】
さらに、電子機器Aは、狭義の電子機器に解するべきではなく、例えば、ヘッドホンに替えて眼鏡や、腕時計に替えて指輪に、生体接触部1を設けて自動的かつ継続的に生体情報を検出、蓄積するよう構成されたものをも含み得る。また、小型機器に限定されるべきではなく、例えば、特開2007−209446号公報に開示される心拍センサを備えた椅子などであってもよい。
【0043】
図4には、パーソナルコンピューターとして構成した電子機器Bを示した。
【0044】
図中、符号B1で示すパーソナルコンピューター(以下、「パソコンB1」という)は、電子機器Aから送信される生体情報の時系列データを受信する受信手段5を備えている。また、パソコンB1には、発光部8が接続されている。本図では、発光部8をパソコンB1に接続可能な機器として示した。
【0045】
受信手段5によって受信された生体情報の時系列データは、不図示の判定手段6に出力される。制御手段7(不図示)は、判定手段6の判定結果に基づいて、発光部8から発せられる波長域445nm-480nmの光の強度を制御する。
【0046】
図5は、本発明に係る照射方法(生体リズム調整方法)を説明する図である。
【0047】
図5中、符号S1は、使用者の電子機器の目的使用に際し、電子機器に設けられた生体接触部から使用者の生体情報を自動的に取得して蓄積する第一段階を示す。
【0048】
S1は、例えば、上述のヘッドホンA1やマウスA2、腕時計として構成された電子機器A(腕時計A3)、その他、日常生活において体表に当接した状態で使用される電子機器を電子機器Aとして構成したもの(機器A4)を用いて行うことができる。これによりS1では、ヘッドホンA1等を使用する使用者の生体情報を、使用者の無意識下に自動的かつ持続的に検出し、蓄積する。
【0049】
この際、図5に示すように、ヘッドホンA1やマウスA2、腕時計A3等の複数の電子機器を併用することで、それぞれの機器の使用時において生体情報を蓄積することができ、より長時間にわたって使用者の生体情報を蓄積することが可能となる。
【0050】
例えば、通勤時に携帯型音楽再生機で音楽を聴く使用者の生体情報をヘッドホンA1により取得し、さらに、職場でOA作業中の使用者の生体情報をマウスA2により取得すれば、日中の使用者の生体情報をほぼ全て蓄積することが可能である。
【0051】
符号S2は、蓄積された生体情報を自動判定し、判定結果に基づいて波長域445nm-480nmの光の強度を自動的に制御して使用者に照射する第二段階を示している。
【0052】
S2は、例えば、上述のパソコンB1やその他、同様の構成を有する電子機器(機器B2)を用いて行うことができる。
【0053】
この際、図5に示すように、ヘッドホンA1やマウスA2、腕時計A3等の複数の電子機器を併用し蓄積した生体情報を集約して判定を行うことにより、使用者の生体リズムの状態をより適切に判定することが可能である。
【0054】
例えば、通勤時に携帯型音楽再生機で音楽を聴く際にヘッドホンA1により取得した生体情報と、職場でのOA作業中にマウスA2により取得した生体情報とを、帰宅後にパソコンB1に併せて送信し、生体リズムの判定を行うことにより、その日一日の生体リズムの状態を適切に判定して、その結果に応じて効果的な光照射を行うことができる。この際、職場で使用するマウスA2から自宅のパソコンB1への生体情報の送信は、インターネット等のネットワークを介して行えばよい。また、帰宅後のパソコンB1の操作時においてもマウスA2を用いて生体情報を取得すれば、さらに生体リズムの判定のため生体情報を集約することができる。
【0055】
このように、本発明に係る生体リズム調整方法は、日常身に付けて使用される電子機器によって、使用者の無意識下に自動的かつ持続的に生体情報を蓄積することで、日常生活の中で簡便に生体リズムの評価を行うことに可能にし、さらにこの評価結果に基づいて光照射を行うことにより、使用者の生体リズムの状態に適した光刺激によって効果的な生体リズム調整を行うことが可能である。
【0056】
なお、生体情報から使用者の生体リズムを判定するための方法、及び、判定結果に基づいて光強度を制御して生体リズムを調整する方法は、例えば、特開平4―239380号公報や上記特許文献2に記載された方法を採用することできるが、以下に、特に簡便な方法例を説明する。
【0057】
表1は、3名の被験者(A, B, C)について、日中の心拍のピーク(最大心拍数)出現時刻を10日間記録した結果を示している。表中、「16」は「16:00」、「14.5」は「14:30」を表す。
【0058】
【表1】

【0059】
表に示すように、A〜Cの各被験者において、日中の心拍ピーク出現時刻はほぼ一定しており、心拍がサーカディアンリズムを示していることが分かる。 このことから、心拍ピークの出現時刻を判定することで、被験者の生体リズムの状態を判定することが可能と考えられる。
【0060】
そして、例えば、当日の心拍ピークの出現時刻が、過去10日間の出現ピークの平均値に対して、1時間以上の進んでいると判定された場合には、波長域445nm-480nmの光の強度を高めて照射すれば、生体リズムの位相を後退させ、平均値に戻すような生体リズム調整を行うことができると考えられる(特許文献1参照)。
【0061】
本発明における生体リズムの判定、及び、判定結果に基づいた光強度の制御についても、このような日中の心拍ピーク出現時刻に基づいて行うことが可能である。また、この点、先に説明した電子機器Bの判定手段6についても、同様である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る生体リズムの調整方法及び調整装置は、生体リズムの変調に起因する時差ぼけ等の体調不良や交替勤務に伴う疲労の改善のために用いることができる。また、生体リズムの異常による睡眠障害、季節性感情障害や鬱病等の疾患の予防及び治療のために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る電子機器(生体リズム調整装置)の構成を説明するブロック図である。
【図2】ヘッドホンとして構成した電子機器Aを示す図である。
【図3】パーソナルコンピューターに使用するマウスとして構成した電子機器Aを示す図である。
【図4】パーソナルコンピューターとして構成した電子機器Bを示す図である。
【図5】本発明に係る照射方法(生体リズム調整方法)を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
A、B 電子機器
1 生体接触部
2 計時手段
3 記憶手段
4 送信手段
5 受信手段
6 判定手段
7 制御手段
8 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の使用者に対し、波長域445nm-480nmの光を照射するための方法であって、
該電子機器自体の目的使用に際し、該電子機器に設けられた生体接触部から使用者の生体情報を自動的に取得して蓄積する第一段階と、
蓄積された前記生体情報を自動判定し、判定結果に基づいて前記波長域の光の強度を自動的に制御して使用者に照射する第二段階と、
を少なくとも行う光照射方法。
【請求項2】
前記第一段階と前記第二段階は、別体に構成された電子機器で行われることを特徴とする請求項1記載の照射方法。
【請求項3】
前記生体情報は、心拍、脈拍、血圧のいずれかから選択された一以上の情報であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
請求項1記載の光照射方法に用いる電子機器であって、
使用者の生体情報を検出する生体接触部と、
現在時刻を計時する計時手段と、
前記生体接触部から出力される前記生体情報を、前記計時手段から出力される時刻情報と関連付けて蓄積する記憶手段と、
波長域445nm-480nmの光を発する発光部を備える外部機器に対し、前記記憶手段に蓄積された前記生体情報を送信する送信手段と、
を備える電子機器。
【請求項5】
ヘッドホン、マウス、腕時計のいずれかから選択されることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
請求項1記載の光照射方法に用いる電子機器であって、
波長域445nm-480nmの光を発する発光部と、
外部機器から送信される使用者の生体情報を受信する受信手段と、
該受信手段から出力される生体情報を蓄積し判定する判定手段と、
該判定手段によって得られた判定結果に基づいて前記波長域の光の強度を制御する制御手段と、を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−82263(P2009−82263A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252993(P2007−252993)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)