説明

生体信号描画装置及び生体信号描画方法

【課題】 ペン書き記録装置により描画された波形に近い描画を行う。
【解決手段】 サンプリングされた各生体信号の値を描画点として一画素ずつ時系列順に描画する。前記時間軸方向の各一画素区間における第1の個数の描画点について間引きを行間引手段31と、間引き結果の描画点を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出するパラメータ算出手段32と、得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の複数の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行う加重移動平均演算処理手段33とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脳波信号などの生体信号に基づき波形をディスプレイなどの画面に表示し、或いはプリンタによってプリントする場合の生体信号描画装置及び生体信号描画方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳波や心電図などに代表される生体信号波形は、ペン書き記録装置により記録紙など出力され、医者の診察に従来より使用されている。さらに近年においては脳波計や心電計のペーパレス化が進み、脳波信号などの生体信号をディジタル化し、これを表示装置に送って脳波波形を画面に表示する等している。
【0003】
上記のディジタルデータを用いて画面に描画を行った表示においては、画素の集合により線分を表現するものであり、アナログ的に描画を行うペン書き記録装置を用いて記録紙に描画したものとは波形の印象が異なってしまうことが多い。これはペンの弾性や周波数特性により、ごく小さいノイズなどに対してペンは応答しきれない一方で、画面への描画はそのようなノイズをも忠実に描画することに起因する。
【0004】
このため、特に脳波判読を記録紙で行っていた医師からは、画面に表示された脳波は記録紙の脳波と比べて見え方が違う、記録紙の脳波はノイズがなくきれいにみえるとの指摘がある。そこで、記録紙に描画したような波形表示が可能な生体信号描画装置の登場が望まれている。また、表示と共にプリンタによりプリントした場合にも同様な問題点がある。
【0005】
ここで、滑らかに脳波を描画するため、スムージングを適用することが考えられる。しかし、単純にスムージングを適用した場合、生体信号波形の特徴的な変化、例えば脳波でのスパイク(棘波)などの波形描画にも影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
上記に対し、プリントアウトしなければ異常に気付かないことなどを問題点として、記録紙のフォーマット(二次元の格子)をモニタ上に表示することが行われているが、波形の描画は一般的な手法によっており、特にペン書き記録装置により描画された波形に近付くというものではない(特許文献1参照)。
【特許文献1】特表平10−509331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような生体信号描画装置の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、ペン書き記録装置により記録紙に描画された波形に近い描画を行うことが可能な生体信号描画装置を提供することである。また、ペン書き記録装置により描画された波形に近い描画を行うことを可能とする生体信号描画方法及び生体信号描画プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体信号描画装置は、サンプリングされた各生体信号の値を描画点として一画素ずつ時系列順に描画する生体信号描画装置において、各一画素区間にサンプリングされた前記生体信号に係る第1の個数の描画点について間引きを行って、前記第1の個数より少ない第2の個数の描画点を各一画素区間毎に得る間引手段と、間引き結果の描画点を時系列に並べた場合の注目描画点を中心として、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出する処理を順次に注目描画点を移して行うパラメータ算出手段と、得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行う加重移動平均演算処理手段と、
を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る生体信号描画装置は、間引手段においては、描画点の値が最大と最小のものを残すことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生体信号描画装置は、パラメータ算出手段及び加重移動平均演算処理手段では、注目描画点を中心として、その前後少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて処理を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生体信号描画装置は、パラメータ算出手段では、注目描画点の値と隣接する描画点の値の差分の絶対値を用いてパラメータを算出することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生体信号描画装置は、パラメータ算出手段では、指数関数を用いてパラメータを算出することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る生体信号描画装置は、パラメータ算出手段は、注目描画点の値をとし、その前に2個と後に2個の描画点における隣接描画点間の値の差分の絶対値を|Diff-2|,|Diff-1|,|Diff+1|,|Diff+2|とし、係数をKとするとき、次の演算によりパラメータSmooth Coefを得ることを特徴とする。
【数5】

【0014】
本発明に係る生体信号描画装置は、加重移動平均演算処理手段において、注目描画点の値をV0_Newとし、その2個前、その前、その後、その2個後の描画点の値をそれぞれV-2, V-1, V+1, V+2とし、次の演算をすることを特徴とする。
【数6】

【0015】
本発明に係る生体信号描画装置は、加重移動平均演算処理手段による処理結果に基づく描画波形について、アンチエイリアス処理を行うアンチエイリアス処理手段を更に備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る生体信号描画方法は、サンプリングされた生体信号の値を描画点として一画素ずつ時系列順に描画する生体信号描画方法において、各一画素区間にサンプリングされた前記生体信号に係る第1の個数の描画点について間引きを行って、前記第1の個数より少ない第2の個数の描画点を各一画素区間毎に得る間引ステップと、間引き結果の描画点を時系列に並べた場合の注目描画点を中心として、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出する処理を順次に注目描画点を移して行うパラメータ算出ステップと、得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行う加重移動平均演算処理ステップと、を具備することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る生体信号描画方法は、間引ステップにおいては、描画点の値が最大と最小のものを残すことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る生体信号描画方法は、パラメータ算出ステップ及び加重移動平均演算処理ステップでは、注目描画点を中心として、その前後少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて処理を行うことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る生体信号描画方法は、パラメータ算出手段では、注目描画点の値と隣接する描画点の値の差分の絶対値を用いてパラメータを算出することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る生体信号描画方法は、パラメータ算出手段では、指数関数を用いてパラメータを算出することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る生体信号描画方法は、パラメータ算出ステップは、注目描画点の値をとし、その前に2個と後に2個の描画点における隣接描画点間の値の差分の絶対値を|Diff-2|,|Diff-1|,|Diff+1|,|Diff+2|とし、係数をKとするとき、次の演算によりパラメータSmooth Coefを得ることを特徴とする。
【数7】

【0022】
本発明に係る生体信号描画方法は、加重移動平均演算処理手段において、注目描画点の値をV0_Newとし、その2個前、その前、その後、その2個後の描画点の値をそれぞれV-2, V-1, V+1, V+2とし、次の演算をすることを特徴とする。
【数8】

【0023】
本発明に係る生体信号描画方法は、加重移動平均演算処理ステップによる処理結果に基づく描画波形ついて、アンチエイリアス処理を行うアンチエイリアス処理ステップを更に備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、注目描画点の値と、その前後の複数の描画点の値により、加重移動平均を求めており、波形の変化量が小さな部分に強くスムージングを加えることができると共に、波形の変化量が大きな部分に弱くスムージングを加えることができ、生体信号波形の特徴的な変化を除去することなく、ディジタル画像に特有の波形に生じる微小な振れを除去して、記録紙の波形に近い描画を行うことが可能となる効果がある。
【0025】
また、本発明では、アンチエイリアス処理を行うので、波形を構成する線のギザギザを解消することができ、記録紙の波形に近い描画を行うことが可能となる効果がある。
【0026】
また、記録紙の波形とディスプレイなどに描画された脳波とで差異がなくなることで、医師らは違和感なく良好な脳波判読を可能とする効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下添付図面を参照して本発明に係る生体信号描画装置、生体信号描画方法及び生体信号描画プログラムの実施例を説明する。図1には、本発明に係る生体信号描画装置の実施例のとして、脳波計の構成図が示されている。被検者Aの頭部には、基準電極を含む複数の電極11が装着され、各電極11にはリード線12が接続されており、電極接続箱10のアンプ13に接続されている。つまり、電極11に誘導される脳波信号はリード線12を介してアンプ13へ送られ、アンプ13において所定の増幅を受ける。
【0028】
アンプ13にはA/D変換器14が接続されており、アンプ13によって増幅された脳波信号はA/D変換器14において所定のサンプリング周期(例えば200Hz、500Hz、1000Hz)にてディジタル信号へ変換される。ディジタル化された脳波信号は、本体器20の入力部21へ送られる。本体器20は、上記入力部21の他に、中央処理部30と表示制御部22とを備えている。
【0029】
入力部21は、脳波信号のモンタージュ処理(電極の組み合わせによる信号生成)を行い、更に脳波信号の感度処理及びフィルタ処理によりノイズや不要成分の除去などを行うものである。
【0030】
中央処理部30は、入力部21により処理されたディジタル化された脳波信号を用いて脳波波形画像データを作成するもので、コンピュータにより構成される。中央処理部30は、間引手段31、パラメータ算出手段32、加重移動平均演算処理手段33、波形画像データ作成手段34、アンチエイリアス処理手段35を備えている。
【0031】
波形画像データ作成手段34は、生体信号(描画点)の値軸を縦方向にとり、一画素区間を横方向に並べて時間軸とし、サンプリングされた生体信号(描画点)を第1の個数ずつ上記一画素区間に割り当て各生体信号(描画点)の値を描画点として一画素区間毎に描画する処理を時間軸方向へ繰り返すものである。ここでは、第1の個数は、間引手段31により2とされている。
【0032】
間引手段31は、上記時間軸方向の各一画素区間における第1の個数の描画点について間引きを行って、上記第1の個数より少ない第2の個数の描画点を各一画素区間毎に得るものである。本実施例の間引手段31においては、描画点の値が最大と最小のものを残す処理を行う。
【0033】
パラメータ算出手段32は、上記間引手段31による間引き結果の描画点を時系列に並べた場合の注目描画点を中心として、時系列的にその前後の複数の描画点の値を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出する処理を順次に注目描画点を移して行う。本実施例のパラメータ算出手段32では、注目描画点を中心として、時系列的にその前に2個と時系列的に後に2個の描画点の値を用いて処理を行う。
【0034】
本実施例のパラメータ算出手段32は、注目描画点の値をとし、その前に2個と後に2個の描画点における隣接描画点間の値の差分の絶対値を|Diff-2|,|Diff-1|,|Diff+1|,|Diff+2|とし、係数をKとするとき、次式1による演算によりパラメータSmooth_Coefを得るものである。
【0035】
【数9】

【0036】
ここで、パラメータSmooth_Coefは、波形の変化量の大小を判断するため、注目描画点の値と隣接する描画点の値の差分の絶対値を用いて算出される。さらに、波形の変化量が大きい箇所にはスムージングをあまり加えず、変化量が小さい箇所にはスムージングを強く加えるようにするため、隣接する描画点の値の差分の絶対値の階乗(例えば3乗)を入力とする指数関数を用いることで、パラメータSmooth_Coefは算出される。
【0037】
加重移動平均演算処理手段33は、パラメータ算出手段32により得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行うものである。
【0038】
アンチエイリアス処理手段35は、加重移動平均演算処理手段33による処理結果に基づき波形画像データ作成手段34が作成した描画波形について、アンチエイリアス処理を行うものである。本実施例に係るアンチエイリアス処理手段35は、Microsoft社(Microsoftは登録商標)のGDI+によるものである。
【0039】
波形画像データ作成手段34が作成した描画波形の画像データは、表示制御部22に送られ、表示制御部22は画像データを用いてLEDなどのディスプレイ部25に画像表示を行う。
【0040】
以上の構成において、間引手段31、パラメータ算出手段32、加重移動平均演算処理手段33、波形画像データ作成手段34、アンチエイリアス処理手段35は、コンピュータが図2に示すようなフローチャートに対応するプログラムを実行することにより、実現されるものである。このため、以下では、このフローチャートに基づき、動作説明を行う。
【0041】
まず、入力部21より生体信号を取り込み(S11)、各一画素区間における最大値と最小値を残す間引き処理を行う(S12:間引ステップ)。例えば、図3に示されるように各一画素区間に3つの描画点が含まれるようにサンプリングレートが設定されているものとすると、各一画素区間において最大値と最小値の2つが残される。図3から図6(a)に示される破線の描画点が間引かれる。この結果、波形画像データ作成手段34は、各一画素区間において2つの描画点を描画することになり、処理の軽減化を図ることができる。
【0042】
次に、間引かれた結果の描画点列について、注目描画点の値と、その前に2個と後に2個の描画点の値を用いて前掲の式1によるパラメータ算出を行う(S13:パラメータ算出ステップ)。図4には、注目描画点P0について、注目描画点P0の時系列的な前に2個の描画点P-1、P-2が存在し、注目描画点P0の時系列的な後に2個の描画点P+1、P+2が存在し、各隣接描画点間の差分値が、Diff-2,Diff-1,Diff+1,Diff+2である様子が示されている。
【0043】
上記のパラメータ算出ステップは、順次に注目描画点を移して全ての描画点について行う。なお、定数Kは、経験的には0.001程度が好適と思われる。
【0044】
次に、パラメータ算出ステップにおいて算出されたパラメータSmooth Coefを用いて、次の式2により加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える(S14:加重移動平均演算ステップ)。
【0045】
【数10】

【0046】
上記の加重移動平均演算ステップは、パラメータ算出ステップによる注目描画点と対応させて処理を行う。更に、波形画像データ作成処理が行われる(S15:波形画像データ作成処理ステップ)。このステップS15では、描画点の値軸を縦方向にとり、一画素区間を横方向に並べて時間軸とし、描画点を所定個(ここでは、最大と最小の2個)ずつ上記一画素区間に割り当て各描画点の値を描画点として一画素区間毎に描画する処理を時間軸方向へ繰り返すものである。
【0047】
例えば、図5(a)に示すように一画素区間に3点の描画点がサンプリングされ、これをそのまま描画するときには、波形画像データ作成処理ステップは次のように機能する。順番を丸内の番号により示す図5(b)のように、同じ一画素区間にP11を描画し、次にP11を始点としてP12まで塗り潰す描画をし、更にP12を始点としてP13まで塗り潰す描画をする。次に、時間軸を移しP11、P12、P13の一画素区間に隣接する同じ一画素区間内に移動しながら描画を行い、移動してまずP21を描画し、次にP21を始点としてP22まで塗り潰す描画をし、更にP22を始点としてP23まで塗り潰す描画をする。以降、同様にして描画を行う。
【0048】
上記に対し、本実施例においては図6(a)に示す一画素区間に3点から最大と最小の描画点が求められ、破線で示される描画点の間引きが行われる。更に、前述の通りに加重移動平均演算処理されて画素値が式2により変換されている。加重移動平均演算処理されて変換された描画点をPa11、Pa12、Pa22、Pa23、Pa32、Pa33として図6(a)に示す。係る場合には、波形画像データ作成処理ステップは次のように機能する。図6(a)に示されている各一画素区間内の変換後の2点を描画する。順番を丸内の番号により示す図6(b)のように同じ一画素区間にPa11を描画し、次にPa11を始点としてPa12まで塗り潰す描画をする。次に、時間軸を移しPa11、Pa12の一画素区間に隣接する同じ一画素区間内に移動しながら描画を行い、移動してPa22を描画し、次にPa22を始点としてPa23まで塗り潰す描画をする。以降、同様にして描画を行う。
【0049】
この結果を図7、図8に示す。図7(a)は、加重移動平均演算処理を行わない従来例による描画波形を示し、図7(b)は、加重移動平均演算処理を行った本願発明による描画波形を示す。図7(a)と図7(b)から明らかな通り、図7(b)の波形においてはペン書き記録によっては現れない小さなノイズが除去されており、クリアな波形となっていることが確認できる。
【0050】
図8は波形の変化量が多い波形について示しており、図8(a)は加重移動平均演算処理を行わない従来例による描画波形を示し、図8(b)は、加重移動平均演算処理を行った本願発明による描画波形を示す。図8(a)と図8(b)のそれぞれ上から2番目及び4番目の波形の後半部分から明らかな通り、波形の変化量が多い部分は、加重移動平均演算処理によっても殆ど変化が無く、必要な変化量に係る情報が殺ぎ落とされていないことを示している。また、図8(a)と図8(b)のそれぞれ上から3番目の波形を比較して明らかなように変化量が小さい波形は微少な振れが除去されていることが確認できる。
【0051】
以上の通り、本実施例により、波形の変化量が小さな部分に強くスムージングを加えることができると共に、波形の変化量が大きな部分に弱くスムージングを加えることができ、生体信号波形の特徴的な変化を除去することなく、ディジタル画像に特有の波形に生じる微小な振れを除去して、記録紙に描画された波形に近い描画を行うことができた。
【0052】
更に、図4に示すように、ステップS15に次いでアンチエイリアス処理が行われ、表示制御動作が行われる(S16:アンチエイリアス処理ステップ)。図9には、アンチエイリアス処理を行わずに描画を行った描画波形(図9(a))と、アンチエイリアス処理を行って描画を行った描画波形(図9(b))とを示す。アンチエイリアス処理を施すことにより、波形を構成する線のギザギザを解消して滑らかで自然な描画波形を得ることができている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形のブロック図。
【図2】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形の動作を説明するためのフローチャート。
【図3】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形によりサンプリングされた生体信号ついて、各一画素区間に含まれる描画点を説明するための図。
【図4】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形のパラメータ算出動作において用いる注目描画点と各隣接描画点間の差分値を示す図。
【図5】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形のパラメータ算出動作を説明するための図。
【図6】本発明に係る生体信号描画装置の実施例である脳波形の描画画像データ作成動作を説明するための図。
【図7】変化量の少ない波形について、加重移動平均演算処理を行わない従来例による描画波形と加重移動平均演算処理を行った本願発明による描画波形の例を示す図。
【図8】変化量の少ない波形について、加重移動平均演算処理を行わない従来例による描画波形と加重移動平均演算処理を行った本願発明による描画波形の例を示す図。
【図9】アンチエイリアス処理を行わずに描画を行った描画波形と、アンチエイリアス処理を行って描画を行った描画波形の例を示す図。
【符号の説明】
【0054】
10 電極接続箱
11 電極
13 アンプ
14 A/D変換器
20 本体器
21 入力部
22 表示制御部
25 ディスプレイ部
30 中央処理部
31 間引手段
32 パラメータ算出手段
33 加重移動平均演算処理手段
34 波形画像データ作成手段
35 アンチエイリアス処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリングされた各生体信号の値を描画点として一画素ずつ時系列順に描画する生体信号描画装置において、
各一画素区間にサンプリングされた前記生体信号に係る第1の個数の描画点について間引きを行って、前記第1の個数より少ない第2の個数の描画点を各一画素区間毎に得る間引手段と、
間引き結果の描画点を時系列に並べた場合の注目描画点を中心として、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出する処理を順次に注目描画点を移して行うパラメータ算出手段と、
得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行う加重移動平均演算処理手段と、
を具備することを特徴とする生体信号描画装置。
【請求項2】
間引手段においては、描画点の値が最大と最小のものを残すことを特徴とする請求項1に記載の生体信号描画装置。
【請求項3】
パラメータ算出手段及び加重移動平均演算処理手段では、注目描画点を中心として、その前後少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の生体信号描画装置。
【請求項4】
パラメータ算出手段では、注目描画点の値と隣接する描画点の値の差分の絶対値を用いてパラメータを算出する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の生体信号描画装置。
【請求項5】
パラメータ算出手段では、指数関数を用いてパラメータを算出する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体信号描画装置。
【請求項6】
パラメータ算出手段は、注目描画点の値をとし、その前に2個と後に2個の描画点における隣接描画点間の値の差分の絶対値を|Diff-2|,|Diff-1|,|Diff+1|,|Diff+2|とし、係数をKとするとき、次の演算によりパラメータSmooth Coefを得ることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の生体信号描画装置。
【数1】

【請求項7】
加重移動平均演算処理手段において、注目描画点の値をV0_Newとし、その2個前、その前、その後、その2個後の描画点の値をそれぞれV-2, V-1, V+1, V+2とし、次の演算をすることを特徴とする請求項6に記載の生体信号描画装置。
【数2】

【請求項8】
加重移動平均演算処理手段による処理結果に基づく描画波形について、アンチエイリアス処理を行うアンチエイリアス処理手段を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の生体信号描画装置。
【請求項9】
サンプリングされた生体信号の値を描画点として一画素ずつ時系列順に描画する生体信号描画方法において、
各一画素区間にサンプリングされた前記生体信号に係る第1の個数の描画点について間引きを行って、前記第1の個数より少ない第2の個数の描画点を各一画素区間毎に得る間引ステップと、
間引き結果の描画点を時系列に並べた場合の注目描画点を中心として、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて隣接描画点間の値の差分に基づき、所定演算を行ってパラメータを算出する処理を順次に注目描画点を移して行うパラメータ算出ステップと、
得られたパラメータを、注目描画点の値と、その前後の少なくとも一つ以上の描画点の値に適用して加重移動平均演算を行い、注目描画点の値を加重移動平均演算結果の値に置き換える処理を順次に注目描画点を移して行う加重移動平均演算処理ステップと、
を具備することを特徴とする生体信号描画方法。
【請求項10】
間引ステップにおいては、描画点の値が最大と最小のものを残すことを特徴とする請求項9に記載の生体信号描画方法。
【請求項11】
パラメータ算出ステップ及び加重移動平均演算処理ステップでは、注目描画点を中心として、その前後少なくとも一つ以上の描画点の値を用いて処理を行うことを特徴とする請求項9または10に記載の生体信号描画方法。
【請求項12】
パラメータ算出手段では、注目描画点の値と隣接する描画点の値の差分の絶対値を用いてパラメータを算出する
ことを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の生体信号描画方法。
【請求項13】
パラメータ算出手段では、指数関数を用いてパラメータを算出する
ことを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の生体信号描画方法。
【請求項14】
パラメータ算出ステップは、注目描画点の値をとし、その前に2個と後に2個の描画点における隣接描画点間の値の差分の絶対値を|Diff-2|,|Diff-1|,|Diff+1|,|Diff+2|,とし、係数をKとするとき、次の演算によりパラメータSmooth Coefを得ることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の生体信号描画方法。
【数3】

【請求項15】
加重移動平均演算処理手段において、注目描画点の値をV0_Newとし、その2個前、その前、その後、その2個後の描画点の値をそれぞれV-2, V-1, V+1, V+2とし、次の演算をすることを特徴とする請求項14に記載の生体信号描画装置。
【数4】

【請求項16】
加重移動平均演算処理ステップによる処理結果に基づく描画波形ついて、アンチエイリアス処理を行うアンチエイリアス処理ステップを更に備えていることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の生体信号描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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