説明

生体内イメージング光学デバイス

【課題】生体内イメージングデバイスにおいて、照明光源の特定の設計及び位置決めに限定されず、同時に後方散乱及び/又は迷光の悪影響を回避する。
【解決手段】本発明は、撮像装置、レンズ、及び照明光源を含み、それら全てが単一の観察ウィンドウの背部に位置付けられた生体内イメージングデバイスを使用した体内イメージング用のデバイスを提供する。生体内イメージングデバイスは、光が観察ウィンドウ内面上の反射ポイントに到達するのを阻止する要素を含むことができ、これにより光が撮像装置に受けられるのを回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージング用の生体内デバイスに関し、より詳細には、本発明は、生体内イメージングデバイスにおける後方散乱又は迷光に対処するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
嚥下可能又は経口摂取可能なカプセル又は他のデバイスなどの自律生体内イメージングデバイスは、体腔を通って移動し、この移動時に撮像することができる。生体内イメージングは、例えば、デバイスの観察ウィンドウの背後の生体内イメージングデバイス内部に位置付けられた1つ又はそれ以上の照明光源を用いた生体内照明を必要とする。
【0003】
このようなイメージングデバイスでは、デバイス内部の表面からの後方散乱及び/又は迷光が問題となる場合が多く、得られる画像情報が減少する可能性がある。
【0004】
後方散乱を回避するために、生体内イメージングデバイスの設計者らは、観察ウィンドウに対して後方散乱を最小にするように計算された特定の位置に照明光源及び光学系及び/又は撮像装置を配置する。
【0005】
【特許文献1】米国公開特許出願番号2001/0035902公報
【特許文献2】米国特許第5,604,531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
生体内イメージングデバイスにおいて、照明光源の特定の設計及び位置決めに限定されず、同時に後方散乱及び/又は迷光の悪影響を回避することができるデバイス及び方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、全てウィンドウの背部に位置付けられた、1つ又はそれ以上の照明光源と、光学系と、撮像装置とを有する生体内イメージングデバイスを含む。幾つかの実施形態によれば、デバイスは、照明光源からの光がウィンドウ上の特定の既知のスポットに達するのを阻止するように設計された、典型的には物理障壁である構造体を含む。本発明の実施形態によれば、既知のスポット又は区域は、ウィンドウに反射した内部光が光学系又は撮像装置などの受光手段に向けられることになるスポット又は区域である。幾つかの実施形態によれば、光学系は絞りを含むことができ、既知のスポットは、内部に反射した光線が絞りに向けられることになるウィンドウ上のスポットである。既知のスポット又は区域は各装置に対して計算され、光学系の他の構成要素及び/又は観察ウィンドウに対する照明光源の位置決めを考慮することができる。
【0008】
従って、本発明の実施形態によれば、本質的に迷光又は後方散乱がない画像を得るためのデバイス及び方法が提供される。
【0009】
本発明の実施形態によれば、生体内イメージングデバイス内の障壁又は後方散乱遮断物は、照明光源から生体内イメージングデバイスの内部に向かう光が生体内イメージングデバイスの観察ウィンドウ上のスポットに達するのを阻止するように位置付けられ、この光は、生体内イメージングデバイスの撮像装置に向かって内部反射することになる。
【0010】
カプセル観察ウィンドウは、例えば光学ドーム又はカバーなどのドーム形状とし、デバイスの端部を覆うことができ、該ドームの背部にある照明光源、撮像装置、及びレンズホルダなどの光学構成要素を保護することができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、後方散乱遮断物は、照明光源からの迷光が撮像装置に直接到達し及び/又は照射するのを阻止するように形成及び/又は整形することができる。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、
照明光源と、
撮像装置と、
遮断要素と、
照明光源、撮像装置、及び遮断要素が背部に位置付けられる観察ウィンドウと、
を備え、
遮断要素は、照明光源からの光が観察ウィンドウの内表面上の予め計算されたポイントに達するのを阻止するように位置付けられる生体内イメージングデバイスが提供される。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、予め計算されたポイントは、内表面の反射ポイントによって定められる。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、反射ポイントは、遮断要素がない状態で照明光源から撮像装置に反射される光によって内表面上に定められる。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、遮断要素は、照明光源と反射ポイントとの間に配置される。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、生体内イメージングデバイスは、遮断要素に平行な長手方向軸線を有する。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、長手方向軸線は、遮断要素に垂直である。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、生体内イメージングデバイスはレンズホルダを有し、遮断要素がレンズホルダ上に配置される。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、遮断要素は照明光源に近接している。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、遮断要素とレンズホルダは、単一の一体型ユニットを形成する。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、遮断要素は撮像装置の遠位にある。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、遮断要素は撮像装置の近位にある。
【0023】
本発明と見なされる対象は、本明細書の結部において特に示され明確に請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、及び利点に加え、動作の構成及び方法の両方に関して、以下の詳細な説明を参照し添付図面と共に読むと最もよく理解することができる。
【0024】
図を簡単且つ明瞭にするために、図に示される構成要素は必ずしも縮尺通りに描かれていない点は理解されるであろう。例えば、構成要素の幾つかの寸法は、明瞭にするために他の構成要素に対して誇張されている場合がある。更に、適切と考えられる場合には、対応する又は類似の構成要素を示すために図中の参照符号を繰り返し用いることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下の説明は、当業者が特定の用途及びその要件との関連において提供される本発明を実施し利用することを可能にするために呈示される。当業者であれば記載された実施形態に対する種々の修正は明らかであり、本明細書で定義された一般原理は他の実施形態に適用することができる。従って、本発明は、図示され説明された特定の実施形態に限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規の特徴に適合する最も広い範囲が許容されることになる。以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解できるように多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、これら特定の詳細がなくても本発明を実施できることは当業者であれば理解するであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないように、公知の方法、手順、及び構成要素は詳細には説明されていない。
【0026】
用語「受信ユニット」及び「イメージングユニット」は、ターゲットから送られる照明光線又は該光線から導出されたデータの受信、処理、又は更に送信に好適なあらゆるユニットに関連することは理解されるであろう。例えば、電荷結合素子(CCD)カメラ又は撮像装置、或いは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)撮像装置又はカメラなどといった、撮像装置又はカメラを用いることができ、他の好適な受信又はイメージングユニットを使用してもよい。幾つかの実施形態によれば、用語「受信ユニット」は、ターゲットから送られる照明光線の受信、処理、又は更に送信に好適な光学要素を含むことができる。光学要素は、例えばレンズを含むことができる。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態によるシステムは、データ受信器及び/又は記録装置に情報(例えば画像及び/又は他のデータ)を送信する生体内感知デバイスを含むことができ、場合によっては被検体に近接し、又は装着される。データ受信器及び/又は記録装置は、勿論他の好適な構成をとることができる。データ受信器及び/又は記録装置は、受信した情報をワークステーション又はパーソナルコンピュータなどのより大型のコンピュータデバイスに転送することができ、そこでデータを更に解析し、保存し、及び/又はユーザに表示することができる。他の実施形態では、種々の構成要素の各々は必要とされず、及び/又は代替の構成内に収容してもよく、例えば、内部デバイスは、情報を直接観察し、又は処理システムに送信又は他の方法で転送(例えば有線で)することができる。別の実施例では、データ受信器又はワークステーションは、情報を生体内デバイスに送信又は他の方法で転送することができる。一実施形態ではデバイスは自律性カプセルとすることができるが、内視鏡又はトロカールなどの他の構成を使用してもよい。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態は、自律性の通常経口摂取可能な生体内デバイスを対象とすることができる点に留意されたい。他の実施形態は、経口摂取可能である必要はない。本発明の実施形態によるデバイス又はシステムは、2001年11月1日に公開された米国公開特許出願番号2001/0035902、及び/又は米国特許第5,604,531号に記載された実施形態と同様とすることができ、その各々は本発明と同一譲受人に譲受され、引用により全体が本明細書に組み込まれる。更に、本発明と共に使用するのに好適な受信及び/又は表示システムはまた、米国公開特許出願番号2001/0035902、及び/又は米国特許第5,604,531号に記載された実施形態と同様とすることができる。本明細書に記載されたデバイス及びシステムは、他の構成及び他の構成要素のセットを有することができる。
【0029】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるデバイス及びシステムの概略図が示されている。一実施形態では、システムは、長手方向軸線Lと、例えば光学ドーム又は観察ウィンドウ54、1つ又はそれ以上のレンズ49、レンズホルダ又はセパレータ48、撮像装置46、照明光源42、及び本明細書では遮断要素とも呼ばれる後方散乱遮断物43、45を含む光学系10と、1つ又はそれ以上の電源29とを有し、例えばカプセル形状とすることができるデバイス40のような生体内イメージングデバイスを含むことができる。電源29は、例えば好適なバッテリとすることができるが、別の実施形態では、外部電源から電力を受け取るユニットなどの他のデバイスであってもよい。観察ウィンドウ54は、通常ドーム形であり、典型的には、その背部に、撮像装置46、レンズホルダ48、1つ又はそれ以上のレンズ49及び照明光源42などの構成要素が位置付けられる空間52を定めることができる。ウィンドウ54は、保護光学ウィンドウであって、好ましくは、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリメチル、メタクリレート、環状オレフィンコポリマー、ポリカーボネートなどのプラスチック、又は他の好適なプラスチックガラス、或いはセラミック透明材料で作ることができる。通常、撮像装置46は、ウィンドウ54を介して撮像し、照明光源42はウィンドウ54を介して照明する。レンズホルダ48は、長手方向軸線Lと同軸にすることができ、例えば対象物15から反射された光を受けることができる開口を含むことができる。デバイス40は、画像及び場合によっては他の情報を例えば外部受信デバイス12に送信するための送信器41(通常は電波を介して無線動作する)とアンテナ44とを含むことができる。他の形式の送信器及び送信方法を使用することができ、例えば、内視鏡用途では有線又は他の送信手段を使用することができる。
【0030】
デバイス40は、無線信号の受信と無線信号の送信とを可能にすることができる送受信器51を含むことができ、幾つかの実施形態では、送受信器51は送信器のみとすることができ、送信だけを行うことができる。幾つかの実施形態によれば、送信器41の代わりに送受信器51を使用してもよい。送受信器51はまた、他の機能を有することができる。幾つかの実施形態では、送受信器51及びプロセッサ47は、単一の集積回路に含めることができる。幾つかの実施形態では、アンテナ44は、送受信器51による無線信号の受信及び送信の両方に使用することができる。他の実施形態では、アンテナは2つ以上であってもよい。幾つかの実施形態では、デバイス40は信号を送信することができるが、受信することはできない。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、撮像装置46は固定することができ、又は、例えば回路基板64などの基板に取り付けることができ、或いは基板56に直接位置付けることができる。本発明の別の実施形態によれば、デバイス40の様々な構成要素は、剛性部及び可撓部を含めた回路基板上に配置することができ、好ましくは、構成要素は垂直にスタックされる様に配列される。他の実施形態では、回路基板64は、例えば照明光源42を支持することができ、更に、デバイス40の観察方向60を定義することができる基板56に取り付けることができる。
【0032】
ウィンドウ54は空間52を形成することができ、これにより照明光源42、撮像装置46、及び/又はレンズホルダ48をウィンドウ54の背部の凹所に配置することができるようにする。一実施形態では、イメージングデバイス46は、2つ以上の画像センサを含むことができる。例えば、追加の光学系を観察方向60と反対方向に含めることができ、例えば両頭観察デバイスを形成することができる。デバイス40内に2つ以上の撮像装置46及び/又は2つ以上の観察方向を含める構成を実装することができる。デバイス40及び本明細書に開示された他のデバイスを使用して、通気法などの技術を使用又は必要とせずに、自然状態及び/又は未修正形態で胃腸管などの内腔を観察することができる。
【0033】
通常、患者の身体の外の1つ又はそれ以上のロケーションには、画像受信器12、データプロセッサ14、及び画像モニタ18を配置することができる。画像受信器12は、画像受信器記憶ユニット16を含むことができる。データプロセッサ14は、プロセッサ及び/又はCPU19及び記憶ユニット21を含むことができる。
【0034】
ウィンドウ54は、例えばデバイス40のハウジング62の一部とすることができ、望ましくはプラスチック、ガラス、セラミック、又は他の透明材料で作ることができる。通常、観察されることになる生体内領域は照明され、ウィンドウ54を通して観察することができるので、撮像装置46及び照明要素42などの構成要素は、デバイス40内部のウィンドウ54の背部にあってもよい。
【0035】
本体又はハウジング62は、幾つかの実施形態では、内視鏡又はトロカールの管体とすることができ、従って、図1のデバイス40に図示されたものよりも更に後方に延びることができる。撮像装置46は、例えばCCDカメラ又は撮像装置、CMOSカメラ又は撮像装置、ディジタルカメラ、スチルカメラ、ビデオカメラ、或いは他の適切な1つ又はそれ以上の撮像装置、カメラ、受信ユニット、又は画像収集構成要素を含むことができる。
【0036】
デバイス40は、通常、内蔵型とすることができる自律性嚥下可能カプセルであるか、又はこれを含むことができるが、デバイス40は他の形状であってもよく、嚥下可能又は自律性である必要はない(例えば、デバイス40は、内視鏡又はトロカールのような他の形状とすることができる)。デバイス40は、カプセル又は他のユニットの形態にすることができ、この場合、全ての構成要素は実質的にコンテナ、ハウジング、又はシェル内部に収容することができ、デバイス40は、例えば電力を受け取り又は情報を送信するためにどのような有線又はケーブルも必要とせず、自律性とすることができる。一実施形態では、構成要素の全てをデバイス本体内にシールすることができ(本体又はシェルは、1つより多い要素を含むことができる)、例えば、撮像装置、照明ユニット、電源ユニット、並びに送信及び制御ユニットは、デバイス本体内に全てシールすることができる。デバイス40は、外部の受信及びディスプレイシステムと通信し、データの表示、制御、又は他の機能を提供する。例えば、内部バッテリ又は無線受信システムによって電力を供給することができる。他の実施形態では、他の構成及び能力を有することができる。例えば、構成要素は、複数の場所又はユニットにわたって分散させることができる。制御情報は、外部情報源から受け取ることができる。
【0037】
送信器41は、例えばデバイス40の種々の動作を制御する制御能力を含むことができるが、制御能力或いは1つ又はそれ以上の制御の態様は、個別の構成要素に含めることもできる。本発明の幾つかの実施形態では、送信器41は通常、ASIC(特定用途向け集積回路)とすることができるが、他の構成のものであってもよく、例えば送信器41は、命令を実行するプロセッサとすることができる。デバイス40は、送信器41から分離された処理ユニットを含むことができ、例えば命令を含み、又は処理することができる。
【0038】
通常、患者の身体の外にある1つ又はそれ以上のロケーションに画像受信器12、データプロセッサ14、及び画像モニタ18を配置することができる。画像受信器12は通常、アンテナ又はアンテナアレイ、及び画像受信器記憶ユニット16を含むことができる。データプロセッサ14は、プロセッサ19と記憶ユニット21とを含むことができる。画像モニタ18は、とりわけ、例えばデバイス40によって記録された画像を表示することができる。通常、データプロセッサ14及びモニタ18は、パーソナルコンピュータ又はワークステーションの一部とすることができ、プロセッサ19、メモリ、ディスクドライブ、及び入出力装置などの標準的な構成要素を含むことができるが、別の構成も実施可能である。データプロセッサ14は通常、その機能性の一部として、画像表示を制御するコントローラとして動作することができる。画像モニタ18は通常、従来型のビデオディスプレイとすることができるが、これに加えて、画像又は他のデータを提供することが可能な他のあらゆるデバイスとすることができ、大型のプロジェクションサイズのモニタを含むどのようなサイズのモニタであってもよい。画像モニタ18は、通常はスチル及び/又は画像フレームのストリームの形態の画像データを呈示することができ、加えて、他の情報を呈示することもできる。例示的な実施形態では、種々のカテゴリの情報をウィンドウ内に表示することができる。他の表示フォーマットを使用してもよい。本発明の他の実施形態では、受信器12及びデータプロセッサ及び/又はワークステーション14に含まれる構成要素の1つ又はそれ以上は、別の構成でパッケージ化することができ、携帯型又は固定型のデバイス、パッケージ、及び/又はハウジングとすることができ、或いはこれらに含めることができる。
【0039】
動作中、撮像装置46は、画像を取り込み、画像を表すデータを送信器41に送ることができ、該送信器は、例えば電磁波を利用してデータを画像受信器12に伝送することができる。画像受信器12は、画像受信器記憶ユニット16に画像データを転送することができる。データ収集のある時間期間の後に、記憶ユニット16に記憶された画像データは、データプロセッサ14又はデータプロセッサ記憶ユニット21に転送することができる。例えば、画像受信器12又は画像受信器記憶ユニット16は、患者の身体から取り外し、例えばシリアル、パラレル、USB、又は無線インターフェースなどの標準的なデータリンクを介して、データプロセッサ14を含むことができるパーソナルコンピュータ又はワークステーションに接続することができる。一実施形態によれば、次に画像データは、画像受信器記憶ユニット16からデータプロセッサ記憶ユニット21に転送することができる。データプロセッサ14は、場合によっては専用ソフトウエアを含み、データを解析し、この解析したデータを画像モニタ18に供給することができ、ここで、ユーザが画像データを観察する。他の構成では、リアルタイムの観察が可能になる。更に、撮像装置46によって記録された画像の記録、伝送、保存、及び観察を行う他の方法を使用してもよい。
【0040】
ここで本発明の実施形態による光学系の概略的な二次元表示である図2Aを参照する。全体的に10で参照される光学系は、例えば図1のデバイス40に含めることができるが、内視鏡、トロカール、又は他の生体内イメージングデバイスなどの他の好適なデバイスに含めてもよい。光学系10は、例えばターゲット又は対象物15を観察するため、ウィンドウ54の背部に配置され、場合によってはその凹所に配置される、例えば、照明光源42、撮像装置46、及び1つ又はそれ以上のレンズ49を含むことができる。1つ、2つ、又は3つ以上(例えば、3つ、4つ、6つ、又は8つ)の照明光源を用いてもよい。1つ又はそれ以上のレンズ49は、例えば、生体内イメージングデバイス40の長手方向軸線Aに沿って位置付けることができる。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態では、撮像装置46、レンズホルダ48、及び/又はレンズ49は、例えば製造者の指示、又は医師などのユーザの要求に従って光学系10内の任意の場所に位置付け、後方散乱干渉の障害がなく異なる光学設計を有する様々な撮像装置を利用することができる。
【0042】
照明光源42から照射された光線の進路は、本発明のある実施形態による光学系10内の照明光線の動作の実施例として取り入れられることになる。光線256は、ターゲット15を照明するために照明光源42から照射することができる。光線のある割合(光線217で表される)は、ウィンドウ54の内部表面54’から内部に反射することができ、例えばレンズ49に伝播することができる。光線256のある割合(光線258で表される)は、ターゲット15(例えば対象物又は生体内領域)上に入射することができ、ターゲット15から反射又は散乱され、開口48’及び/又はレンズ49を通って撮像装置46により受信される。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態によれば、開口48’近傍の例えばレンズホルダ上などの異なる領域に遮断物を位置付けることによって、例えばウィンドウ54の内表面54’から撮像装置及びレンズに反射する光線(光線217で表される)により生成される後方散乱を回避することが可能である。例えば、後方散乱遮断物210などの遮断物は、例えばレンズ49の上部に位置付けることができるので、ウィンドウ54上のポイント270に入射することが予想される217などの光線を遮断することになり、このポイントにより、光線が内部に反射してレンズ49に到達することが計算される。すなわち、ポイント270は、後方散乱遮断物210がない状態では、照明光源42からポイント270に入射して撮像装置46に反射する(開口48’とレンズ49を介して)光線の反射の幾何学的ポイントを形成する。照明光源42は、拡張照明光源、すなわち非ピンポイント照明光源とすることができるので、反射ポイント270を反射の区域又は領域とすることができる。一般的には、用語「反射区域」は、「反射ポイント」の限定事例を含むように理解されるであろう。長手方向軸線Aは、後方散乱遮断物210に対して垂直とすることができる。
【0044】
実際には、ウィンドウ54は三次元構造である。一実施形態による図2Aの光学系10の概略的な三次元表現が図2Bに示される。
【0045】
図2Bに示されるように、照明光源42から照射された光線256のある割合(例えば光線217)の遮断及びカットオフは、区域270などのウィンドウ近傍の光量を減少させるが、到達ポイント270から遮断される光の割合は僅かに過ぎず、この光線の損失は他の照明光源によって補償されるので、最終的な画像上に暗区域又は影区域は依然として生じない。更に、照明光源42は、非ピンポイント照明光源である拡張照明光源とすることができるので、暗区域又は影区域は、照明光源42から照射する他の光線(例えば、後方散乱遮断物210によって遮断されない光線)によって補償することができる。
【0046】
次に図3を参照し、ここでは、照明光源42から照射される光のある割合(光線3107によって表される)が、デバイス40のハウジング362からウィンドウ54の内表面54’まで内部反射することができ、例えばレンズ49に伝播することができ、従って後方反射効果をもたらす場合を示している。このような後方反射を防ぐために、380のような後方散乱遮断物を照明光源42に近接して配置し、光線310で示されるような光線がウィンドウ54の特定区域に到達するのを阻止することができる。後方散乱遮断物380はまた、デバイス40のハウジング362に近接して配置してもよい。光線310及び310’は、後方散乱遮断物380が存在しなかった場合に2回の反射(二重反射後方散乱)の後でレンズに到達した光の例を示している。図に示すように、二重反射後方散乱は、照明光源42と内表面54’からの反射の第1のポイントとの間に後方散乱遮断物380を位置付けることによって除去することができる。
【0047】
光線310’のような反射光線がデバイス40の光学ドーム54又はハウジング362のような生体内イメージングデバイス内の特定区域に到達するのを阻止することが、デバイス40の視野(FOV)390のような生体内イメージングデバイスの視野内の光量又は品質に視覚的に影響を及ぼすことは通常はない。これは、光線310のような反射光線の角度が長手方向軸線Lに対して鈍角であり、従って遮断されない場合には、これらの光線は通常、一般には生体内イメージングデバイス40のFOV390の外にある区域を照明することに起因する。例えば図3に示されるように、光線310''は、後方散乱遮断物380によって遮断されない場合には、FOV390の外側の区域を照明し続けるはずである。長手方向軸線Lは、後方散乱遮断物380に実質的に平行とすることができる。
【0048】
次に図4Aを参照すると、本発明の実施形態によるレンズホルダ及び照明光源上及び/又はこれらに対して後方散乱遮断物を位置付けるための組立体400を示す。本明細書で使用される、「上方」、「上部」、「上」、「下方」などのような用語は、観察者に対してデバイスが特定の向きにあるときに記述する相対的な用語と考えられ、これらの用語は相対的なものであり、特定の向きが与えられ、光学系は画像センサの「下方」、又は「側面に」あることができることは理解されるべきである。一実施形態によれば、レンズホルダ420及びレンズ構造体430は、撮像装置450の上方に位置付けることができる。幾つかの実施形態によれば、上部後方散乱遮断物425のような第1の後方散乱遮断物は、レンズホルダ420上に配置して、撮像装置450の遠位にあることができ、下部後方散乱遮断物470のような第2の後方散乱遮断物は、照明光源460近傍に位置付け、撮像装置450の近位にあることができる。レンズホルダ420及び後方散乱遮断物470は、例えば後方散乱遮断物470及びレンズホルダ420の1つ又はそれ以上の突起又は脚部471及び471’を備えた回路基板480などの基板上に、例えば接着剤490で固定及び/又は取り付けることができる。例えば超音波溶着である他の固定又は取り付け方法を使用してもよい。レンズホルダ420は、上部後方散乱遮断物425をレンズホルダ420の上及び/又は上方に組み付けるために突起427を実装することができる。幾つかの実施形態では、突起427は、例えば、接着、摩擦嵌め、圧入、溶接、レーザ溶接、及び/又は他の好適な方法によって上部後方散乱遮断物425に付着させることができる。レンズホルダ420の突起427以外及び/又はこれに加えて他の好適な表面を使用して、上部後方散乱遮断物425をレンズホルダ420に取り付けることができる。一実施形態によれば、上部後方散乱遮断物は、レンズホルダ420の一体化部分とすることができる。本発明の一実施形態では、窪み又は他のキャビティなどをレンズホルダ420に、及び/又は上部後方散乱遮断物425及び下部後方遮断物に付加することができ、これにより、例えば上部後方遮断物425と下部後方遮断物470は、例えば所定位置にスナップ嵌合することができる。
【0049】
開口473を備えた下部後方遮断物は、必要であれば、例えばエッチング及びレーザカッティングなどの当該技術分野で公知の方法を使用して高い精度で製造及び/又は製作することができる。
【0050】
次に図4Bを参照すると、本発明の実施形態による後方散乱遮断物470の等角投影図が示される。図4A及び図4Bに示される本発明の幾つかの実施形態によれば、下部後方遮断物は、照明光源を収容するための例えば4つの開口473のような1つ又はそれ以上の開口と、レンズホルダを後方散乱遮断物470の中心に配置するための正方形状の開口474のような別の開口とを含むことができる。
【0051】
本発明の幾つかの実施形態によれば、後方散乱遮断物470は、例えばABSなどのいずれかの好適なプラスチックで作られ、例えば、射出成型又は他の好適な方法によって製造することができる。本発明の幾つかの実施形態では、後方散乱遮断物470は、後方散乱遮断物470を通って光線が貫通することができないように不透明にすることができる。後方散乱遮断物470を製造するために他の好適な材料又は方法を使用することができる。
【0052】
次に図4Cを参照すると、本発明の実施形態による、例えば撮像装置450の上方に位置付けられたレンズホルダ430を示す。本発明の一実施形態では、レンズホルダ430は、後方散乱遮断物432とレンズホルダ430とが単一の一体化ユニットを形成するように後方散乱遮断物432を組み込むことができる。後方散乱遮断物432を含むことができるレンズホルダは、例えば、シングルキャビティ射出成型によって作製することができる。本発明の代替的な実施形態では、レンズホルダは、マルチキャビティ射出成型によって製造することができ、ここでは、例えば第1のステップとして、好適な色を含むことができる本明細書に記載された材料のいずれかのような不透明な材料を例えばレンズホルダの周辺壁の区域の型に射出することができ、例えば第2のステップとして、例えばレンズホルダの金型内の区域に透明な材料を射出することができる。本発明の別の実施形態では、これらのステップを異なる順序にすることができ、或いは別のステップを追加することができる。従って本発明の実施形態によれば、後方散乱遮断物432は、周辺の迷光から撮像装置及び/又はレンズ構造体449を離隔する不透明な区画と、例えばレンズ構造体449を含む透明セクションとを有することができる。
【0053】
本発明のある実施形態による生体内イメージングデバイスにおける迷光を遮断するための方法が図5に示される。一実施形態によれば、本方法は、照明光源を提供する段階(500)と、1つ又はそれ以上の後方散乱遮断物を提供する段階(510)と、例えばプリント回路基板(PCB)及び/又はレンズホルダ或いは照明光源上など、撮像装置の基板及び/又は構成要素上に後方散乱遮断物を位置付ける段階(520)とを含むことができ、これにより、後方散乱遮断物は、光が撮像装置上に内部反射する観察ウィンドウ上の区域に光が到達し、望ましくないグレアを発生させるのを阻止することになる。幾つかの実施形態によれば、本方法は、基板及び/又は構成要素を生体内イメージングデバイスのハウジングに挿入する段階(530)を更に含むことができる。幾つかの実施形態によれば、光が内部反射されることになる観察ウィンドウ上の区域は、三次元光学ユニット及び空間並びに角度が現実的に分布された光源をシミュレートする、LightTools又はTraceProのようなコンピュータプログラムを使用して計算される。幾つかの実施形態によれば、計算は、Zemax、Code−V、OSLOプログラムの不連続な方法を使用して行ってもよい。
【0054】
本発明は、本明細書で上記に特に図示され記載されたことに限定されないことは当業者であれば理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態による生体内イメージングシステムの概略図である。
【図2A】本発明の実施形態による光学系の概略表示である。
【図2B】本発明の実施形態による光学系の概略表示である。
【図3】本発明の別の実施形態による光学系の概略図である。
【図4A】本発明の一実施形態による上部及び下部後方散乱遮断物を含む光学系の概略図である。
【図4B】本発明の一実施形態による後方散乱遮断物の概略図である。
【図4C】本発明の一実施形態によるレンズホルダの概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による方法のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0056】
10 光学系
12 画像受信器
14 データプロセッサ
15 対象物
18 画像モニタ
29 画像受信器
40 生体内イメージングデバイス
42 照明光源
45 後方散乱遮断物
46 撮像装置
48 レンズホルダ
49 レンズ
54 観察ウィンドウ
56 基板
62 本体又はハウジング
64 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光源と、
撮像装置と、
遮断要素と、
前記照明光源、前記撮像装置、及び前記遮断要素が背部に位置付けられる観察ウィンドウと、
を備え、
前記遮断要素は、前記照明光源からの光が前記観察ウィンドウの内表面上の予め計算されたポイントに達するのを阻止するように位置付けられることを特徴とする生体内イメージングデバイス。
【請求項2】
前記予め計算されたポイントは、前記内表面の反射ポイントによって定められることを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項3】
前記反射ポイントは、前記遮断要素がない状態で前記照明光源から前記撮像装置に反射される光によって前記内表面上に定められることを特徴とする請求項2に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項4】
前記遮断要素は、前記照明光源と前記反射ポイントとの間に配置されることを特徴とする請求項2に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項5】
前記遮断要素に平行な長手方向軸線を有することを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項6】
前記遮断要素に垂直な長手方向軸線を有することを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項7】
レンズホルダを更に備え、前記遮断要素は該レンズホルダ上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項8】
前記遮断要素は、前記照明光源に近接していることを特徴とする請求項7に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項9】
レンズホルダを更に備え、前記遮断要素と前記レンズホルダが単一の一体型ユニットを形成することを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項10】
前記遮断要素は前記撮像装置の遠位にあることを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。
【請求項11】
前記遮断要素は、前記撮像装置の近位にあることを特徴とする請求項1に記載の生体内イメージングデバイス。

【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−181700(P2007−181700A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−357455(P2006−357455)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(500277630)ギブン・イメージング・リミテツド (44)
【Fターム(参考)】