説明

生体内薬剤放出装置及び生体内薬剤放出キット

【課題】薬剤の補充時の手間を軽減すると共に、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持すること。
【解決手段】この生体内薬剤放出装置1は、薬剤を収容するとともに所定位置に可動弁3及び可動弁4が形成され、且つ、可動弁3と可動弁4との間に薬剤を流通させるための流通路6を有する収容容器2と、収容容器2内に設けられ、流通路6内の可動弁3側から可動弁4側に向けて薬剤を移送するポンプ5と、収容容器2内に設けられ、薬剤を補充するための補充機構7とを備え、補充機構7は、流通路6と可動弁4側において接続された供給用孔部34と、流通路6と可動弁3側において接続された排出用孔部36と、供給用孔部34及び排出用孔部36の両方に交わり、収容容器2の外部から内部に向けて延びる挿入孔32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に配置されて生体に薬剤を投与するための生体内薬剤放出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤を注射等により外部から投与する場合の煩わしさを軽減するために、人体等の生体の内部に配置させて、各種測定や薬剤の投与を行うための装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、ガラス管からなるカプセル内にグルコース濃度を測定するための電気回路と、測定結果に基づいて制御されるインシュリンポンプとが内蔵されたセンサ装置が記載されている。
【特許文献1】特開平6−7324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の装置においては、投与の対象となる薬剤が使用により減少した場合には、その薬剤を装置内に補充することが必要になる。しかしながら、薬剤を補充しようとする場合には、いったん生体外に装置を取り出す必要があり手間がかかる傾向にあった。また、薬剤は時間の経過と共に成分や性質が変化したり、使用時における体液の流入により濃度が減少する場合がある。このとき、補充によって薬剤の濃度及び性質を維持するにはある程度の割合の薬剤を入れ替える必要があり、補充時の手間が増大し、薬剤の無駄が多くなる。
【0004】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、薬剤の補充時の手間を軽減すると共に、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持することが可能な生体内薬剤放出装置及び生体内薬剤放出キットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の生体内薬剤放出装置は、生体内に配置されて生体に薬剤を投与する生体内薬剤放出装置であって、薬剤を収容するとともに所定位置に液体吸引口及び液体吐出口が形成され、且つ、液体吸引口と液体吐出口の間に薬剤を流通させるための流通路を有する収容容器と、収容容器内に設けられ、流通路内の液体吸引口から液体吐出口に向けて薬剤を移送するポンプ機構と、収容容器内に設けられ、薬剤を補充するための補充機構とを備え、補充機構は、流通路と液体吸引口側において接続された供給用孔部と、流通路と液体吐出口側において接続された排出用孔部と、供給用孔部及び排出用孔部の両方に交わり、収容容器の外部から内部に向けて延びる挿入孔とを有する。
【0006】
このような生体内薬剤放出装置によれば、生体内に配置された際にポンプ機構を機能させることにより、薬剤を収容した収容容器の流通路内を液体吸引口から液体吐出口に向けて薬剤が移送される結果、液体吐出口から生体内に所望量の薬剤が吐き出される。薬剤の補充時には、補充機構の挿入孔に補給用の針が挿入されることによって、挿入孔と交わる供給用孔部に向けて薬剤が供給され、挿入孔と交わる排出用孔部から体液等の流通路内の残留液が排出される。これにより、薬剤の投与時には、収容容器の流通路を通して薬剤を移送することで、液体吐出口から吐き出される薬剤の濃度をほぼ一定に維持することができるとともに、薬剤の補充時には、生体内に配置させたままで流通路全体の薬剤の濃度を適切に維持しながら効率良く薬剤を補充することができる。その結果、薬剤の補充時の手間を軽減しつつ、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持することができる。
【0007】
挿入孔は、直線状に延在し、供給用孔部及び排出用孔部とは、その延在方向に沿って距離をおいて交わることが好ましい。この場合、薬剤の補給時に挿入孔に挿入される補給用針の構造を単純化することができるとともに、生体内に装置を配置させた状態での薬剤の補充作業がスムーズとなる。
【0008】
また、収容容器の外面上に設けられ、ポンプ機構に電力を供給するための太陽電池セルを更に備えることも好ましい。こうすれば、装置を生体内に配置させたままで生体内に向けて透過する赤色領域から赤外線領域の光によってポンプ機能に給電することができるので、電池交換等の必要なしに長期的に装置を連続使用することができる。
【0009】
本発明の生体内薬剤放出キットは、上述した生体内薬剤放出装置と、生体内薬剤放出装置の挿入孔に挿入された状態で、先端部における供給用孔部及び排出用孔部のそれぞれに対向する位置から基端部にかけて2つの貫通孔が形成された薬剤補充用針とを備える。
【0010】
このような生体内薬剤放出キットによれば、薬剤の補充時には、補充機構の挿入孔に薬剤補給用針が挿入されることによって、挿入孔と交わる供給用孔部に向けて薬剤が供給され、挿入孔と交わる排出用孔部から体液等の流通路内の残留液が排出される。これにより、薬剤の投与時には、収容容器の流通路を通して薬剤を移送することで、液体吐出口から吐き出される薬剤の濃度をほぼ一定に維持することができるとともに、薬剤の補充時には、生体内に配置させたままで流通路全体の薬剤の濃度を適切に維持しながら効率良く薬剤を補充することができる。その結果、薬剤の補充時の手間を軽減しつつ、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬剤の補充時の手間を軽減すると共に、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る生体内薬剤放出装置及び生体内薬剤放出キットの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の好適な一実施形態である生体内薬剤放出装置の平面図である。同図に示す生体内薬剤放出装置1は、人体の腹空内等の生体内に配置されて生体に薬剤を投与するための装置である。具体的には、糖尿病等の特定疾患を患っている患者用に用いられる。通常、糖尿病を患っている患者においては、インスリン等のホルモン物質が膵臓から十分に放出されないために、重症度に応じて規則的に毎食後にインスリンの注射が必要とされる。注射の代替として皮膚や鼻粘膜からインスリンを吸収させようという試みもあるが、本実施形態の生体内薬剤放出装置1は、生体内に配置させてインスリン等の微量の特定薬剤を定期的及び定量的に投与しようとするものである。
【0014】
生体内薬剤放出装置1は、円筒形状で内部に薬剤を収容するための空洞が形成された直径数cmの収容容器2と、収容容器2の側面上の中心軸を挟んで向かい合う位置に設けられた2つの可動弁3,4と、収容容器2の内部に設けられたポンプ5、流通路6、補充機構7、及び電源部8とを備えている。ここで、生体内薬剤放出装置1に内蔵される2つの可動弁3,4及びポンプ5により、装置内部及び装置内部と外部との間で薬剤を移送するためのポンプ機構が構成される。以下、生体内薬剤放出装置1の構成要素について詳細に説明する。
【0015】
可動弁3の断面図である図2に示すように、可動弁3は、収容容器2の側壁と一体的に形成され内部に微小空洞が形成された略直方体形状の空洞部9を有し、空洞部9における外側の壁面には、空洞内に向けて貫通する液体吸引口10が形成され、空洞部9における内側の壁面には、収容容器2内のポンプ5を経由して流通路6に繋がる液体送出口11が形成されている。また、可動弁3は、空洞部9の内部において液体吸引口10及び液体送出口11を開閉するための開閉部12を有している。開閉部12は、その一端が空洞部9の内部の一端に固定されて収容容器2の側面に沿って空洞部9の他端側に延び、リード線L2(図1参照)を介した電源部8からの電圧信号の印加により収容容器2の側面の厚み方向に屈曲動作する長尺状のバイモルフ型圧電素子13を有する。このバイモルフ型圧電素子13の先端には、収容容器2の側壁の厚み方向に延びるように取り付けられ、バイモルフ型圧電素子13の屈曲動作に応じて液体吸引口10及び液体送出口11を同時に開閉する2つの円錐形状の弁部14,15が取り付けられている。
【0016】
同様に、図3に示すように、可動弁4は、収容容器2の側壁と一体的に形成された空洞部16を有し、空洞部16における外側の壁面には、空洞内に向けて貫通する液体吐出口17が形成され、空洞部16における内側の壁面には、収容容器2内の流通路6に繋がる液体送入口18が形成されている。また、可動弁4は、空洞部16の内部において液体吐出口17及び液体送入口18を開閉するための開閉部19を有している。開閉部19は、その一端が空洞部16の内部の一端に固定されて空洞部16の他端側に延び、リード線L1(図1参照)を介した電源部8からの電圧信号の印加により屈曲動作するバイモルフ型圧電素子20を有する。このバイモルフ型圧電素子20の先端には、収容容器2の側壁の厚み方向に延びるように取り付けられ、バイモルフ型圧電素子20の屈曲動作に応じて液体吐出口17及び液体送入口18を同時に開閉する2つの円錐形状の弁部21,22が取り付けられている。
【0017】
収容容器2内には、上記可動弁3に隣接してポンプ5が設けられている。図4は、ポンプ5の構造を示す図であり、(a)は、ポンプ5の縦断面図、(b)は、ポンプ5の横断面図である。ポンプ5は、シリコン基板等からなり、長手方向に沿って互いに平行な2つの側壁を有する矩形状のベース板23と、ベース板23の底面と微小距離を空けて向かい合うようにベース板23にその側壁に沿って固定された略直方体形状のピエゾ素子(圧電素子)24とを有する。このベース板23とピエゾ素子24との間には、ベース板23の長手方向に沿って流路が形成され、ベース板23の長手方向の一端側には液体吸引口25aが、ベース板23の長手方向の他端側には液体吐出口25bが形成される。このピエゾ素子24のベース板23と反対側の外面には、ベース板23の長手方向に沿って複数の微小電極板26が等間隔で固定されている。微小電極板26は、リード線L1を介して電源部8に電気的に接続され、ベース板23の長手方向に沿って所定割合で変化する位相を有する電圧信号が、電源部8によって印加される。これにより、ピエゾ素子24のベース板23と向かい合う面の表面形状において、液体吸引口25aから液体吐出口25bに向けて進行する進行波が生成可能とされ、ポンプ5内において液体吸引口25aから液体吐出口25bに向けて液体が送られる。
【0018】
このような構造を有するポンプ5は、その液体吸引口25aが可動弁4の液体送出口11に接続された状態で空洞部9の壁面に接して固定されるとともに、その液体吐出口25bが流通路6に接続される。
【0019】
図1に戻って、収容容器2の空洞内のポンプ5と可動弁4との間には、管状の流通路6が、収容容器2の中心軸に沿って複数回折り返して設けられている。このような管状の流通路6は、管状の部材によってなるものであってもよいし、ブロック状部材に貫通孔が設けられたものであってもよい。この流通路6の両端には、開口端27,28が設けられ、開口端27は収容容器2の空洞内に通じており、開口端28は補充機構7(詳細は、後述)に接続されている。また、流通路の開口端27,28近傍の管壁にはそれぞれ開口部29,30が設けられ、開口部29はポンプ5の液体吐出口25bと接続され、開口部30は、可動弁4の液体送入口18と接続されている。
【0020】
さらに、収容容器2の空洞部内には、流通路6の開口端28に接して補充機構7が固定されている。図5は、補充機構7の側面図である。図1及び図5を参照して、補充機構7は、収容容器2の側面に埋め込まれたその樹脂製の略直方体形状の部材であり、その上面31が外部に露出した状態で固定されている。補充機構7には、上面31から収容容器2の中心軸に垂直な方向に、すなわち、収容容器2の外部から内部に向けて直線状に延びる断面楕円形状の挿入孔32が形成されている。また、補充機構7には、一の側面33から挿入孔32に対して垂直な方向に交わる直線状の供給用孔部34と、他の側面35から挿入孔32に対して垂直な方向に交わり、供給用孔部34とは挿入孔32の延在方向において離間する排出用孔部36とが形成されている。この供給用孔部34は、その側面33上の開口が流通路6の開口端28と接続される一方、排出用孔部36は、その側面35上の開口が収容容器2の空洞内に通じることにより、間接的に流通路6の開口端27に接続されている。また、供給用孔部34には、側面33側から内側への液体の流入を防止するための逆止弁が設けられ、排出用孔部36には、内側から側面35側への液体の流出を防止するための逆止弁が設けられている。
【0021】
また、収容容器2の側面上には、電源部8が埋め込まれている。電源部8は、可動弁3,4及びポンプ5に電圧信号(電力)を供給することによって、可動弁3,4及びポンプ5を駆動する。具体的には、電源部8の収容容器2の外部に露出した面37には、近赤外領域の感度が高い太陽電池セルSが取り付けられており、太陽電池セルSへの近赤外光を含む光の入射に応じて電力が生成され、電源部8内部の図示しない回路部を介して、リード線L1,L2に電圧信号が送出される。このとき、電源部8は、可動弁3の液体吸引口10及び液体送出口11と、可動弁4の液体吐出口17及び液体送入口18とを同時に開閉するとともに、可動弁3,4が開くタイミングに合わせて流通路6内の液体を開口部29から開口部30に向けて圧送するように電圧信号を生成する。これにより、可動弁3の液体吸引口10から可動弁4の液体吐出口17に向けて流通路6内に液体が移送される。
【0022】
ここで、生体内薬剤放出装置1の動作について説明する。
【0023】
初期状態として、生体内薬剤放出装置1の流通路6には、開口端27から開口端28にかけてほぼ全長に亘って薬剤が充填されている。このような状態の生体内薬剤放出装置1を生体内に配置させた後、所定のタイミングで可動弁3,4が開かれると同時にポンプ5が駆動される。これにより、液体吸引口10から液体送出口11及び開口部29を経由して生体内の体液が流通路6内に吸入されると同時に、流通路6内の薬剤が開口端27から開口端28に向けて流通される。その結果、流通路6内の圧力が高まることによって開口部30から液体送入口18及び液体吐出口17を経由して生体内に薬剤が放出される。このとき、薬剤の放出量に応じて流通路6内における体液と薬剤とで形成される界面が、開口端27側から開口端28側に移動する。
【0024】
続いて、本実施形態に係る生体内薬剤放出キットについて説明する。上述した生体内薬剤放出装置1への薬剤の補充を簡便に実施するために、生体内薬剤放出キットを用いることができる。生体内薬剤放出キットは、上述した生体内薬剤放出装置1と、生体内薬剤放出装置1内にインスリン等の薬剤を補充するための薬剤補充用針101とから構成される。
【0025】
図6は、薬剤補充用針101の構造を示す側面図である。同図に示すように、薬剤補充用針101には、その先端部から基端部にかけて2つの貫通孔102,103が独立して形成されている。これらの貫通孔102,103は、補充機構7の挿入孔32に挿入された状態で、貫通孔102及び貫通孔103の先端側開口部が、それぞれ、排出用孔部36及び供給用孔部34に対向する位置にくるように形成されている(図5参照)。
【0026】
このような構成の薬剤補充用針101によって薬剤を補充する際には、薬剤補充用針101が体壁を通じて生体内薬剤放出装置1の挿入孔32に差し込まれる。そして、貫通孔102の基端側開口部に図示しない吸引ポンプが接続されるとともに、貫通孔103の基端側開口部から薬剤が供給される。これにより、流通路6の開口端27から収容容器2の空洞内を経由して外部に体液が排出され、開口端28から流通路6の内部に薬剤が補充される。このときの薬剤の補充量に応じて、流通路6内における体液と薬剤とで形成される界面が、開口端28側から開口端27側に移動する。このとき、補充機構7の供給用孔部34及び排出用孔部36には逆止弁が設けられているので、生体内への薬剤の放出時の補充機構7における薬剤又は体液の逆流が防止される。
【0027】
以上説明した生体内薬剤放出装置1及び生体内薬剤放出キットによれば、生体内に配置された際にポンプ機構を機能させることにより、薬剤を収容した収容容器2の流通路6内を液体吸引口10から液体吐出口17に向けて薬剤が移送される結果、液体吐出口17から生体内に微量の薬剤が定量的に吐き出される。薬剤の補充時には、補充機構7の挿入孔32に薬剤補充用針101が挿入されることによって、挿入孔32と交わる供給用孔部34に向けて薬剤が供給され、挿入孔32と交わる排出用孔部36から体液等の流通路6内の残留液が排出される。これにより、薬剤の投与時には、収容容器2の流通路6を通して薬剤を移送することで、液体吐出口17から吐き出される薬剤の濃度をほぼ一定に維持することができるとともに、薬剤の補充時には、生体内に配置させたままで流通路6全体の薬剤の濃度を適切に維持しながら効率良く薬剤を補充することができる。特に、管状の流通路6を採用することで、常に流通路6内における薬剤と体液との界面が維持され、薬剤放出時及び薬剤補充時における体液による薬剤の希釈化が防止される。その結果、薬剤の補充時の手間を軽減しつつ、投与される薬剤の濃度及び性質を効率的に維持することができる。
【0028】
また、補充機構7の挿入孔32は、直線状に延在し、供給用孔部34及び排出用孔部36とは、その延在方向に沿って距離をおいて交わっているので、薬剤の補給時に挿入孔32に挿入される薬剤補充用針の構造を単純化することができるとともに、生体内に装置を配置させた状態での薬剤の補充作業がスムーズとなる。
【0029】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、可動弁3,4のみで流通路6内に薬剤を移送可能である場合には、ポンプ5は省略されていてもよい。
【0030】
また、ポンプ5の構造としては、特定の構造には限定されず、図7に示すように、略直方体形状の2枚のピエゾ素子224a,224bを対面させてピエゾ素子224a,224bの長手方向の一端側に液体吸引口225aが、他端側に液体吐出口325bが形成された構造を採ってもよい。また、図8に示すように、円筒形状のピエゾ素子324の内側にピエゾ素子324の内面と微小距離を空けて軸部材323が固定され、ピエゾ素子324の長手方向の一端側に液体吸引口325aが、他端側に液体吐出口325bが形成されたような構造を有していてもよい。
【0031】
また、ポンプ5としては、微細加工技術(MEMS)によって加工された静電駆動型のマイクロポンプや、抵抗素子を用いた加熱制御によって進行波を生成可能な形状記憶合金を備えたポンプを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の好適な一実施形態である生体内薬剤放出装置の平面図である。
【図2】図1の一方の可動弁の構造を示す断面図である。
【図3】図1の他方の可動弁の構造を示す断面図である。
【図4】図1のポンプの構造を示す図であり、(a)は、ポンプの縦断面図、(b)は、ポンプの横断面図である。
【図5】図1の補充機構の構造を示す側面図である。
【図6】本実施形態における薬剤補充用針の構造を示す側面図である。
【図7】図1のポンプの変形例の構造を示す図であり、(a)は、ポンプの縦断面図、(b)は、ポンプの横断面図である。
【図8】図1のポンプの変形例の構造を示す図であり、(a)は、ポンプの縦断面図、(b)は、ポンプの横断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1…生体内薬剤放出装置、2…収容容器、3,4…可動弁(ポンプ機構)、5…ポンプ(ポンプ機構)、6…流通路、7…補充機構、10…液体吸引口、17…液体吐出口、34…供給用孔部、36…排出用孔部、101…薬剤補充用針、102,103…貫通孔、S…太陽電池セル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に配置されて前記生体に薬剤を投与する生体内薬剤放出装置であって、
前記薬剤を収容するとともに所定位置に液体吸引口及び液体吐出口が形成され、且つ、前記液体吸引口と前記液体吐出口の間に前記薬剤を流通させるための流通路を有する収容容器と、
前記収容容器内に設けられ、前記流通路内の前記液体吸引口から前記液体吐出口に向けて前記薬剤を移送するポンプ機構と、
前記収容容器内に設けられ、前記薬剤を補充するための補充機構とを備え、
前記補充機構は、前記流通路と前記液体吸引口側において接続された供給用孔部と、前記流通路と前記液体吐出口側において接続された排出用孔部と、前記供給用孔部及び前記排出用孔部の両方に交わり、前記収容容器の外部から内部に向けて延びる挿入孔とを有する、
ことを特徴とする生体内薬剤放出装置。
【請求項2】
前記挿入孔は、直線状に延在し、前記供給用孔部及び前記排出用孔部とは、その延在方向に沿って距離をおいて交わる、
ことを特徴とする請求項1記載の生体内薬剤放出装置。
【請求項3】
前記収容容器の外面上に設けられ、前記ポンプ機構に電力を供給するための太陽電池セルを更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の生体内薬剤放出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体内薬剤放出装置と、
前記生体内薬剤放出装置の前記挿入孔に挿入された状態で、先端部における前記供給用孔部及び前記排出用孔部のそれぞれに対向する位置から基端部にかけて2つの貫通孔が形成された薬剤補充用針と、
を備えることを特徴とする生体内薬剤放出キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−220766(P2008−220766A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65466(P2007−65466)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【Fターム(参考)】