説明

生体分子の部位活性化複合体形成方法及び材料

植物性材料の生産及び使用のための方法及び組成物を提供する。本方法は、別個のオキシド還元酵素源または触媒源に適用するか、または別個のオキシド還元酵素源または触媒源と組み合わせたときに、タンパク質結合親和性や微生物制御活性が増大し活性化された生体高分子を形成させる、安定な活性酸素種源と組み合わせた生体高分子またはその合成等価物の使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本特許出願は、2009年3月4日に出願された、「反応性植物性収斂剤(REACTIVE PLANT BASED ASTRINGENT)」というタイトルの特許文献1の優先権を主張するものであり、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、生体材料のタンパク質結合親和性の増強制御に関する。具体的には、タンパク質、微生物及び生体組織の局所的酸化促進及び/または架橋を引き起こす動物、植物、細菌の酵素、及び/または他の触媒による植物生体高分子の安定化と活性化制御に関する。
【背景技術】
【0003】
何億年にも及ぶ分岐進化にもかかわらず、ほとんど全ての植物、動物及び病原体は、環境防御のためのいくつかの共通の生化学的基本原理と戦略を共有している。このため、植物は、動物における病原体制御のための有用でかつ適合性のある化合物の豊富な供給源となっている。植物由来の機能的生化学の使用は、長い間、伝統薬や植物薬の基盤であり、同じ門に属する遺伝的にあまり遠くない種との間の方が、高度に精製された大きく複雑なタンパク質または高分子との間よりも、望ましくない免疫学的応答を誘発する可能性は低いと考えられることが多かった。
【0004】
大半の高等生物の免疫系は、特異性を高める防御によって感染から身を守る。最も単純なものは、細菌やウイルスなどの病原体が生物に侵入するのを妨げる物理的バリアである。植物と動物は、特異的な病原体に対する遺伝子にコードされた応答か、または病原体化学物質に対する様々な非特異的応答のいずれかの自然免疫系も有している。
【0005】
植物は、通常、2つの部門に分かれた免疫系を有している。第1の免疫系は、酸化的破壊を開始することができるROS(活性酸素種)生成酵素の発現増加によって、非病原体を含む、多くの種類の微生物に共通の分子を認識し、これに応答するが、そのような直接的な酸化応答はエネルギー消費が高く、また、自己中毒を防ぐように厳しく調節されなければならない。多くの病原微生物(細菌、真菌、原生動物)は、そのようなROS破壊への対抗手段としてペルオキシダーゼまたはカタラーゼを備えている。自然免疫系の第2の部門は、細胞が損傷を受けたときにキノン化合物とアミノ酸との反応によって開始される上記のような多成分創傷応答である。これらの化合物は通常、生体では、コンパートメントに分かれていて、協調しない。植物では、細胞破壊によって、様々なフェノール化合物及び活性酸素種がポリフェノールオキシダーゼ(PPO)と接触するようになり、フェノール化合物を酸化して、互いに及び細胞または存在する任意の微生物のアミノ酸と積極的に会合するキノン化合物を形成する。これにより、食物の褐色化または退色、タンパク質の沈殿、殺菌活性、収斂性、食物消化性の変化、その他色々の、多くの生理学的現象がもたらされる。
【0006】
植物システムにおけるポリフェノール酸化は、共有結合が可能な多数のキノン基を有する酸化ポリフェノール(o−ポリフェノール、酸化生体高分子、ポリキノン及びキノン化合物とも呼ばれる)を生成させる。一旦形成されると、高親和性o−ポリフェノールは、非酸化ポリフェノールに典型的な水素結合よりもはるかに積極的にタンパク質を凝縮する共有結合的な鎖内及び鎖間架橋を自然に形成する。植物システムでは、o−ポリフェノールは、損傷を受けた細胞タンパク質を架橋して、健全な組織とさらなる攻撃の間に抵抗性の遮蔽物を形成する。o−ポリフェノールはまた、その代謝経路に積極的に結合し、病原性酵素を不能にし、病原体の運動を停止させることによって病原体の繁殖を妨げる。
【0007】
高等脊椎動物は、以前に出会った病原体に対するより強力な即座の免疫応答を可能にする適応免疫系というさらなる防御層を保有している。病原体表面のより小さい分子の凝集により、宿主免疫系に対する病原体の抗原性が高くなった大きな複合体が生成される。各病原体は、シグニチャー抗原によって「記憶される」。病原体が2回以上身体に感染すれば、これらの特異的記憶細胞を用いて、病原体を迅速にかつ効率的に排除する。しかしながら、これらの特定の目的に合わせた応答の発達には何日もかかることがある。その間、特に、免疫不全動物または免疫が未熟な動物の感染では、新たに出会った病原体に対する一次防御は、自然免疫系のみに頼っており、悪い生理応答(例えば、下痢、嘔吐、発熱、炎症など)を伴うことが多い。感染に対するそのような全身応答は、極めて多くの免疫エフェクターの発現であり、これは、代謝的に極めて消耗が激しく、宿主にとって致命的ですらあり得る。
【0008】
自然免疫系による歯止めの利かない全身応答に伴う最も一般的な危険の1つは、感染性疾患または寄生虫によって誘発される下痢性脱水症である。下痢性脱水症により、毎年20億人を超える人々が侵されている。これは、第三世界の幼児の死亡の最も一般的な原因であり、年間150万件を超える死亡の原因である。水分補給の他に、下痢を治療する努力の大半は、全身免疫応答の調節、例えば、腸の運動性を低下させる薬、粘膜透過性修飾因子または抗生物質療法の使用によって、ヒトの粘膜免疫を高めることに重点を置いている。これらのアプローチはある程度有効であるが、副作用、病原体耐性、または生理学的老化といった望ましくないリスクをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/209,260号
【特許文献2】米国特許公開第2002/0034553号
【特許文献3】米国特許第5,260,021号
【特許文献4】米国特許第4,696,757号
【特許文献5】米国特許出願第12/317,638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
水、表面、及び食物によって運ばれる病原体と関連する疾患を制御するため、抗生物質や合成化学消毒剤に代わる植物性物質に対する商業ニーズが絶えず存在している。抗生物質耐性疾患の爆発的増加は、ヒトと家畜の両方における抗生物質の濫用が原因とされている。多くの地域政府と国際保健機関は、特に、成長を促進するために治療量以下で用いられる場合、家畜の飼料で必要以上の抗生物質を使用することを段階的に減らすよう求めている。これまで、病原体を安全に制御するための、費用効率が高くかつ環境に優しい代替物がほとんどないことが広く認識されている。新しい抗微生物薬の供給源としての植物に関する何十年にもわたる研究は、主に、特定の植物化合物の機械的抽出または溶媒抽出に重点を置いており、現在の抗生物質や殺菌剤の性能と一致するために必要な効力、安全性、利用者の嗜好及び環境プロファイルを備えた組成物を作製するのに成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様では、生化学的組成物は、ヒドロキシル基を酸化作用物質や触媒で酸化することにより分子を活性化する活性化機構と組み合わせた、ヒドロキシル基を有する分子を含む処理された流体を含む。分子の活性化により、分子の結合親和性が増大する。
【0012】
一実施形態では、分子はポリフェノールを含む。代替の実施形態では、分子は、高分子炭水化物分子または多糖誘導体を含む。別の実施形態では、ポリフェノールは植物に由来する。一実施形態では、植物は、カメリア・シネンシス(camellia sinensis)、またはザクロ(punica granatum)または他のポリフェノール含有植物を含む。別の実施形態では、ポリフェノールは、ポリフェノール含有植物の根、葉、茎、皮、果実または他の組織に由来する。
【0013】
代替の実施形態では、分子は、タンニン、リグニン、フラボノイド、ヒドロキシクマリン、またはアルカロイド類を含む。別の実施形態では、分子は、少なくとも1つの人工合成部分を含む。一実施形態では、触媒は、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、または金属触媒を含む。代替の実施形態では、触媒は、動物細胞にある。別の実施形態では、触媒は病原体によって生成される。一実施形態では、病原体は、ウイルス、細菌、真菌、真核生物、またはプリオンを含む。代替の実施形態では、酸化作用物質は活性酸素種(ROS)を含む。
【0014】
別の実施形態では、活性酸素種は過酸化水素を含む。別の実施形態では、活性酸素種は、無機または有機ペルオキシドを含む。一実施形態では、活性酸素種は、スーパーオキシドジスムターゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルカルボナートの水和、もしくは過酸化カルバミド(過酸化尿素)の水和または他の間接的な安定活性酸素種の生成方法によるオゾン還元産物を含む。代替の実施形態では、処理された流体は、ポリフェノールまたは多糖誘導体を含む乾燥混合物から調製される。別の実施形態では、処理された流体は、ポリフェノールを含む無傷の植物材料から調製される。別の実施形態では、ポリフェノールまたは多糖誘導体が溶液中の酵素や酸化作用物質と接触したときに、活性化機構が開始される。一実施形態では、ヒドロキシル基の活性化の後、ヒドロキシル基はカルボニル基になる。代替の実施形態では、ヒドロキシル基の活性化の後、分子はキノン基を含む。別の実施形態では、ヒドロキシル基の活性化の後、分子は病原体の不活化において効果を有する。一実施形態では、酸化作用物質はフリーラジカルを提供する。代替の実施形態では、活性化分子はフリーラジカルを提供する。
【0015】
第2の態様では、組成物を調製する方法は、植物から生体高分子を得ることと、生体高分子の分子結合親和性を増大させるために、生体高分子上のヒドロキシル基を活性化することとを含む。
【0016】
一実施形態では、生体高分子は、ポリフェノール、多糖誘導体、または高分子を含む。代替の実施形態では、活性化は、生体高分子を酵素または酸化作用物質と接触させることにより行なわれる。別の実施形態では、本方法は、活性化された生体高分子を動物のタンパク質と架橋することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、それら同士で架橋構造を形成する複数の生体高分子をさらに含む。代替の実施形態では、本方法は、生体高分子を病原体と結合させることをさらに含む。代替の実施形態では、本方法は、生体高分子を細胞と結合させることを含む。別の実施形態では、本方法は、生体高分子をウイルスと結合させることを含む。さらなる実施形態では、高分子の多数の病原体への結合は、微生物、タンパク質もしくはタンパク質性構造物の凝集または溶液からの微生物、タンパク質もしくはタンパク質性構造物の除去を引き起こす。別の実施形態では、結合は、病原体の繁殖を停止させる。いくつかの実施形態では、活性化された生体高分子は、病原体の代謝経路を阻止することができる。代替の実施形態では、本方法は、活性化された生体高分子を用いて動物の下痢症状を治療することをさらに含む。さらなる実施形態では、本方法は、活性化された生体高分子を用いて動物の任意の損傷組織を治療することを含む。別の実施形態では、ヒドロキシル基の活性化は、動物の部位にある酵素によって誘発される。一実施形態では、ヒドロキシル基の活性化は、酵素を外から添加することによって達成される。代替の実施形態では、本方法は、オキシドレダクターゼまたは酸化性物質と反応する還元化合物の除去または不活化をさらに含む。別の実施形態では、本方法は、病原体の侵入を防ぐように、生体高分子を動物のタンパク質と架橋してバリアを形成させることをさらに含む。さらなる実施形態では、本方法は、創傷治癒の加速を促進するために生体高分子を動物のタンパク質と架橋することを含む。
【0017】
第3の態様では、局所反応を容易にする方法は、添加された活性酸素種を生体高分子上のヒドロキシル基の反応近傍に局在化させることと、生体高分子のヒドロキシル基を活性化することと、生体高分子を標的部位に適用することとを含む。
【0018】
一実施形態では、生体高分子はポリフェノールまたは多糖誘導体を含む。代替の実施形態では、活性化は、酵素に接触させることによって達成される。別の実施形態では、活性酸素種は過酸化水素を含む。一実施形態では、本方法は、過酸化水素を生体高分子を含む溶液に添加して、ヒドロキシル基の反応近傍における過酸化水素の密度を増加させることをさらに含む。代替の実施形態では、生体高分子は多数のヒドロキシル基を含む。
【0019】
第4の態様では、制御された化学物質送達方法は、予め選択された化学物質を含む生体分子を調製することと、生体分子が動物組織を透過する速度を制御するために、サイズ、重量、またはそれらの組合せを選択することとを含む。
【0020】
一実施形態では、化学物質はフェノール化合物を含む。代替の実施形態では、化学物質はキノン化合物を含む。別の実施形態では、生体分子は、いくらかの量の植物由来抽出物を含む。一実施形態では、分子を調製することは、分子を単離することを含む。代替の実施形態では、選択することは、抽出することを含む。別の実施形態では、透過速度が適度であるために、生体分子を動物組織に適用しても動物組織からの毒性反応は生じない。さらなる実施形態では、動物への生体分子の適用により、動物システムの免疫応答の外部刺激が低下する。一実施形態では、生体分子の摂取により、動物システムを成長させる栄養素の利用が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本出願の一実施形態によるフェノール単位をキノンに変換するためのいくつかの反応経路を示す説明図
【図2】本出願の一実施形態によって調製される組成物を示す説明図
【図3】本出願の一実施形態による植物性組成物の調製方法のフローチャート
【図4】本出願の一実施形態による溶媒を用いた還元作用物質/酵素の不活化方法のフローチャート
【図5】本出願の一実施形態による還元作用物質/酵素の熱不活化方法のフローチャート
【図6】いくつかの実施形態による植物性組成物の適用を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は新規の生体活性組成物を含む。一態様では、生化学的システムは、安定な活性酸素種(ROS)源と、別個のオキシド還元酵素源または触媒源とを組み合わせた生体高分子または合成等価物を含む。これらの物質の組合せにより、タンパク質結合親和性と微生物制御活性が増大した、酸化された生体高分子を形成させることができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、収斂特性及び/または殺菌特性を有する植物性材料と活性化前駆体の混合物を安定溶液中に含む。この溶液は、分解を引き起こすように他の成分に反応を起こさせることができる酵素や触媒物質を実質的に含まない。この植物性殺菌材料と活性化前駆体の混合物は、動物、植物または微生物細胞の様々な酵素により触媒されて、酸化的ラジカルを放出し、収斂特性と殺菌特性が顕著に増強した活性化された植物性材料を形成させる。酸化的ラジカルの放出と活性化された植物材料の形成は、通常、触媒的生体酵素源に限局されており、それにより、そのような活性がトリガーとなる生物学的実体または物質の近傍に濃縮されて、最大の効果が得られる。トリガーとなる触媒は、非生物学的起源(例えば、活性化前駆体を還元させて、植物性材料をその活性化型へと自己酸化させる金属)であることもできる。
【0024】
代替の実施形態では、生体活性がありかつ殺菌性のあるシステムは、植物性材料(例えば、ポリフェノール)の混合物を含む。当業者であれば、任意の巨大分子、高分子、低分子の凝集体、細胞膜断片、多数の露出したフェノール単位を含む架橋された化合物及び活性化前駆体(例えば、過酸化水素などの酸化性物質)、またはそれらの組合せが適用可能である。
【0025】
他の実施形態では、アクチベーター材料は、オゾンまたはペルオキソンを含む。いくつかの実施形態では、植物材料は、天然の過酸化水素の供給源であることができる。しかしながら、内在性H濃度はばらつきが大きく、一般に、植物材料の処理において失われることがある。いくつかの実施形態の有利な態様のうちの1つは、酸化作用物質の供給源を、外から添加される過酸化水素、オゾン、ペルオキソンまたは他の市販の酸化性物質から活性化前駆体として得ることができるということである。
【0026】
いくつかの実施形態では、フェノール単位は、酸化性物質と反応可能な1〜3個のヒドロキシル基(OH)を担持することができる。それゆえ、実質的にフェノール単位から構成されるフェノール基を含む巨大分子は、数百から数千またはそれよりも多くのヒドロキシ基を担持することができる。こうしたヒドロキシ基の高密度分子クラスターは、様々な他の非共有結合機会や電荷の引力をもたらし、過酸化水素分子をフェノール単位の近接反応近傍に物理的に隔離する。本発明の実施形態による隔離は、隔離されていない等価成分よりも低い濃度の溶液中で、過酸化水素の安定性と飽和促進をポリフェノール基質の反応近傍内に維持する新規の方法を提供する。隔離は、十分に高濃度の過酸化水素を水中で合わせて、ポリフェノールヒドロキシル官能基の大部分と酸化水素分子の間の分子間引力を確立させることにより起こることもある。隔離の増大により、加熱、紫外線暴露、還元性汚染物質、及び自然劣化による酸化性物質の損失がかなり減ると同時に、適当な酵素に触れたときに高分子上の高親和性結合部位の潜在的な数が増加し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、ジスムターゼ、グルコースオキシダーゼ、またはそれらの組合せのような部分変性活性酸素種(ROS)プロセシング酵素が存在する植物細胞の断片を含む、いくらかの量の植物材料の粗抽出物は、過酸化水素隔離構造として機能することができる。これらのROSとしては、過酸化水素(H)、スーパーオキシド(O)、一重項酸素()、及びヒドロキシルラジカル(・OH)が挙げられる。代替の実施形態では、活性化前駆体は、溶解したオゾン(O)が分解することにより、またはそれが活性のあるジスムターゼによってHへと変換されることにより生成され得る。他の実施形態では、活性化前駆体はまた、任意のスーパーオキシド(例えば、脂肪酸ペルオキシド)の酵素的変換によって生成され得る。
【0028】
フェノール単位に寄与する組成物成分は、ポリフェノール及び/または合成、植物、もしくは動物由来の任意の不均質もしくは均質な巨大分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、3以上のフェノール基を含む。代替の実施形態では、ポリフェノールは、31以上のフェノール基を含む。他の実施形態では、ポリフェノールは、100〜10,000のフェノール基を含む。当業者であれば、組成物が本明細書に記載の所望の特徴(例えば、吸収速度が適度であること)を有する限り、任意の数のフェノール基が組成物に含まれ得る。
【0029】
本明細書に記載の植物性材料としては、限定するものではないが、ポリフェノール、リグニン、多糖及びキノン変換に利用可能なカルボニル基が主に末端にある他の巨大分子材料または構造が挙げられる。効果的な溶液は、適当な材料がどこにでもあるという性質のために、様々な種の膨大な種類の様々な植物組織から処理することができる。
【0030】
植物源から抗微生物化合物を得る典型的な技術は、生きた植物組織の創傷応答化学反応を、特に、動物または他の植物システムにおける商業的応用に活かす実際的手段を提供しない形で、有機分子の機械的抽出または溶媒抽出に依存している。商業的な処理によるものであれ、病原体の攻撃によるものであれ、草食動物によるものであれ、環境被害によるものであれまたは自然な分解によるものであれ、細胞の破壊はこれらの反応を誘発し、ごく短時間の間に、抗微生物化合物を役に立たないものにする。
【0031】
ポリフェノールは、植物によって産生される様々な有機高分子を構成し、植物の創傷応答において重要な物質である。これらの高分子は、何らかの酸化変換を受けて、抗微生物化合物を形成することができるが、わずかに異なる作用をもたらし得る。多糖類も、何らかの酸化変換を受けて、抗微生物能や傷口閉鎖能を有する生体接着剤を形成し得、効果的なキノン類似体となることができる。
【0032】
根底にあるプロセスは、反応性の高い中間体が酵素により直接的及び間接的に多数形成されることを含み得る一連の複雑な化学反応に根差している。オキシドレダクターゼは、通常、芳香族高分子のヒドロキシル(OH)官能基を、強度の高い生体構造や抗微生物防御に関与する共有結合を形成するカルボニル基(=O)に変換するいくつかの可能な様式とともに、活性酸素種源が存在するときに、この化学的カスケードを仲介することができる。カルボニル基は、酸素原子と二重結合した炭素原子:C=Oを含む官能基である。ケトン基は、各々のカルボニル基がカルボニルの炭素原子を有する2つの他の炭素原子に結合しているカルボニル基(C−C(=O)−C)を含む。いくつかの特定の関係基質としては、求核アミノ酸やタンパク質との共有結合を形成する二重結合が任意に配置された、>C(=O)基との完全に共役した環状ジオン構造を有する有機分子(多環式及び複素環式類似体を含む)を形成する多数の芳香族サブユニットを有する化合物が挙げられる。本明細書で用いられる「キノンの(quinonic)」という用語は、任意の数のカルボニル基を有するサブユニットを含む任意の化合物を含む。
【0033】
変換されたまたは酸化されたヒドロキシルサブユニットは、ヘテロ高分子またはホモ高分子の形状の多重キノン及びセミキノンに特徴的な増大した結合親和性を示す。酸化は、ポリフェノールの一部の官能基でのみ起こり得る。これらの酸化ポリフェノールの典型的な不均質性は、キノン活性を示しながらも、いくつかの基本的なポリフェノール作用を保持することができる。全体構造、三次形態、及び分子量の違いによって、混合物全体または分子内の不均質性が増大して、異なるタンパク質に対する異なる親和性が生じ、より幅広い可能性が得られる。
【0034】
いくつかの生物学的架橋活性における一過性の補因子として同定されていることに加えて、キノンモノマーは、非常に強力な殺菌作用があることで長く知られている。安定なフリーラジカルの供給源を提供することの他に、キノンは、タンパク質中の求核アミノ酸と不可逆的に複合体を形成し、多くの場合、タンパク質の不活化と関連生体機能の喪失をもたらすことができる。その理由のために、キノン化合物の潜在的な抗微生物効果は大きい。微生物細胞において標的と考えられるものは、表面に露出した接着、細胞壁ポリペプチド、運動エフェクター及び膜結合酵素である。キノンは、基質を微生物に利用できないようにすることもできる。
【0035】
全ての植物由来抗微生物薬に関して、キノンのあり得る毒性効果が完全に検討されなければならない。キノンの中には、5〜6対数希釈で抗微生物効果を示すものもある。キノンモノマーは、容易に組織を透過して、その医薬としての使用を制限し得る毒性を示す小分子であるが、ポリキノン化合物は、生体高分子、化合物分子、または合成類似体中に多数のキノン部分を含む。十分な分子量及びサイズのポリキノン化合物は全身吸収が低下することがあり、これは、高等生物に対する毒性の可能性の低下に相当する。
【0036】
キノン化合物の殺菌活性の研究は、早くも1900年代初頭に始まったが、1940年代まで十分に理解されなかった。キノンと多くの異なるタンパク質(例えば、卵アルブミン、カゼイン、ウマ血清、及びペプトン)の間の呈色反応がホルマリンで阻害されることから、この反応が主に、キノンとタンパク質のアミノ基の間で生じることが示唆される。ポリキノン単体の殺菌機構は3つの主な形、すなわち、細菌タンパク質との共有結合反応、病原体に耐性のあるバリアを収斂性を伴って形成する破裂した細胞の細胞タンパク質の架橋、及び病原体エンベロープに酸化的損傷を生じさせるペルオキシドやフリーラジカルを発生させるREDOX循環様式を取ることができる。
【0037】
フェノール酸化の主な産物は、1940年にPryorによってo−ジフェノールと同定された。この産生は、酸素ラジカル存在下の自己酸化によるか、またはフェノールオキシダーゼによる酵素変換によって起こり得る。ポリフェノールオキシダーゼ及びチロシナーゼ(例えば、リジルオキシダーゼ;EC 1.4.3.13)としても知られる、フェノールオキシダーゼ(例えば、L−ドーパ:酸素オキシドレダクターゼ;EC 1.14.18.1)は、モノフェノールのo−ジフェノールへの酸化と、その後のo−ジフェノールの対応するo−キノンへの酸化を触媒する銅含有タンパク質である。フェノールオキシダーゼは、植物、真菌、及び原核生物だけでなく、動物界にも広く見られる。昆虫も、強度の高い卵殻、繭及び絹構造を速やかに形成するときの硬化にこれらを用いている。
【0038】
何億年もの分岐進化の結果であるが、植物、真菌、細菌に見られるペルオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、ラッカーゼなどをはじめとする酸化酵素と、ミエロペルオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ及び様々な動物組織由来の全てのペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼの非常に近い構造類似性は、同じ基本的な生物学的目的を達成する必要性を示唆している。この機能的類似性は、生物界または生物門を超えてポリフェノールの酸化制御を誘発する新規の方法として利用することができる。
【0039】
例えば、チロシナーゼは、メラニン色素の形成の段階を触媒するいくつかの他のオキシドレダクターゼとともに、フェノールオキシダーゼファミリーのコア酵素である。哺乳動物のチロシナーゼは、昆虫における硬化、メラニン化、及び抗微生物ペプチド産生を引き起こす化学的カスケード中のフェノールオキシダーゼと機能的に類似している。
【0040】
過酸化水素は、酵素的ポリキノン生成に関与する活性酸素種のうち最も一般的な生物学的供給源の1つである。これは、多くの植物の生きた組織中で大量に発現されている。これは、損傷組織で起こるポリフェノール酸化プロセスで消費されるユビキタスな代謝産物でありかつ主要なイニシエーターである。酸化性物質(H)それ自体とその酵素媒介性反応産物であるポリキノンは両方とも抗微生物性であり、後者には強い収斂特性もある。これらは、多くの新鮮な植物材料を創傷被覆材として従来の医療で使用することを可能にする一次化合物である。しかしながら、切ったばかりの植物組織付近の抗微生物能は、これらの化合物が傷ついた植物組織中に一過性にしか存在しない性質のために、大部分が数分以内に分解される。
【0041】
植物材料と酸化性物質と酵素の混合物を用いて、種々の工業的及び商業的使用のための酸化されたポリフェノールや炭水化物が生成されているが、生体システムに影響を与えるために別個の触媒源または酵素源を提供する標的に適用する目的で、酸化性物質と安定に組み合わせるために酵素が変性されているかまたは除去されている植物材料の組成物は斬新である。
【0042】
生体システムに対して用いられる植物材料及び酸化性物質の組成物を記載している参考文献は限られている。特許文献2には、皮膚創傷上の嫌気性細菌に不利な条件を生み出す酸素化源としての過酸化水素または過酸化亜鉛を送達する粘稠な受動的担体として、アロエベラゲル及びアイリッシュモスが記載されている。特許文献3には、コンタクトレンズなどのための消毒剤としてのみ使用される酸素運搬ビヒクルとして、過酸化水素含有ゲル軟膏が開示されている。特許文献4には、表面の傷口を治療したり、髪を脱色したりするための過酸化水素担持ゲルが記載されている。これらの特許のうち、酸化性物質(例えば、過酸化水素)とポリフェノール成分の2つの間での反応を起こさせるかまたはこれら2つの間での反応を可能にする目的で、これらを組み合わせることに言及しているものはない。
【0043】
高等植物の生理機能において、過酸化水素、ポリフェノール、タンパク質及びオキシドレダクターゼは、生きた細胞の構造化された細胞質、オルガネラ及び膜構造に隔離されている。感染、損傷、破砕、粉砕、乾燥、サイロ貯蔵または他の物理的損傷過程による細胞の破壊により、これらの成分の有用な反応能力が混合され、使い果たされる。現在の植物抽出技術では、これらの成分の安定な組合せを捕捉する明白な手段は提供されない。そのため、植物における酸化ポリフェノール系の機能の発見と文書化から50年以上が経っているにもかかわらず、植物に関する健康産業や農産業は、この多分子化学反応の商業化に成功しておらず、その代わりに、簡単にパッケージングまたは抽出することができる本質的に安定な栄養分子及び薬理学的分子の捕捉に重点を置いていることは驚くべきことではない。
【0044】
酵素的に酸化されたポリフェノールは植物科学の範囲では大いに理解されているが、動物生理学、またはインビボ植物生化学の文脈から離れた他の生物学的用途とともに用いるために、このポリフェノール酸化システムの能力を回復、複製、または増強する安定なエクスビボの方法及び組成物に関する参考文献は知られていない。
【0045】
植物界の環境界面や免疫学的必要性は、いろいろな意味で、動物のものと似ている。葉のクチクラ、果皮、及び種子殻などの外部の植物組織は、ヒトの皮膚や粘膜と同じような病原体や物理的ストレスを防御するように適応した生きた組織である。動物と植物は、創傷に対処するいくつかの類似の機構も有している。したがって、植物で用いられる生化学的機構を動物に適用することができる。
【0046】
別の態様では、安定な生化学的システムを生成する方法は、活性のある還元作用物質、酵素または触媒を含まない組成物中で安定なポリフェノール基質を抽出することと、ポリフェノール基質を、別個の適当なオキシドレダクターゼ源または触媒源に適用するかまたはこのような源と組み合わせたときに酸化反応の開始及び伝播を促進する濃縮された活性酸素種源と組み合わせることとを含む。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態による組成物は、ポリフェノールのヒドロキシ官能基の近接反応近傍における濃縮された酸化性物質の隔離または安定化を確立させるために、十分に高い濃度の過酸化水素を植物生体高分子水溶液にもたらす。隔離された酸化性物質は、希釈したときに、生体高分子から離れて拡散するのに抗する。還元作用物質は、オキシドレダクターゼ酵素または生体高分子の活性型への変換を直接的もしくは間接的に仲介する他の触媒作用物質源を提供する表面、組織、生物、コーティングまたは溶液と接触させるまで酸化性物質−ポリフェノールの組合せがタンパク質と実質的に反応しないように、酸化性物質−ポリフェノールの組合せを含む製剤において除去されているかまたは変性されている。
【0048】
別の態様では、組成物は、動物起源の酵素によって仲介される酸化された生体高分子の効率的な標的特異的形成を含む。この機構により、医学的または商業的に有用な効果を動物体内の管または組織に送達することが可能になる。これらの効果は、基本的な植物創傷応答と類似している。関与する生化学的反応の多くは、今なお完全には理解されていないものの、十分に研究されている。それにもかかわらず、酸化性物質とポリフェノールを安定化し、この安定化された酸化性物質とポリフェノールの組合せを酵素活性化源として動物生理機能または病原体に適用するための先行技術は存在しない。多くの植物、細菌、及び真菌における一般的なフェノール複合化作用酵素(例えば、ラッカーゼまたはフェノールオキシダーゼ)は、タンパク質のアミノ酸に対する親和性が増強したキノン基を形成させることもできる一般的な動物酵素(例えば、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ)と機能的に似ている。
【0049】
いくつかの実施形態では、調製される液体溶液には、従来の典型的な抗微生物植物抽出物に優る多くの重要な実用面での利点がある。これらの利点としては、増大した水溶性や送達可能性、より幅広いpH安定性、より高い温度安定性、予測可能な効力、低い動物毒性、広範なグラム陰性細菌及びグラム陽性細菌スペクトルに対する低い最小阻害濃度、弱い臭気及び薄い味、原材料の使用における効率性並びに有害な環境破壊産物の欠如が挙げられる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態は、何億年にもわたって環境病原体とともに共進化してきた植物防御機構を模倣する。活性化された生体高分子の非特異的なタンパク質結合作用は、微生物不活化を引き起こすことができる多数の活性を含む。全てが、従来の殺菌剤または抗生物質の作用とは根本的に異なっており、治療量以下での抗生物質使用や抗生物質による環境汚染の原因とされている形で耐性を促進する可能性は極めて低い。
【0051】
酸化ポリフェノールはいくつかの生物学的作用機構を有する可能性がある。たった1個のそのようなポリキノン分子が、高密度かつ無希釈の集団において数個から数千個の結合部位を含むことができるため、この化合物は、損傷を受けた生物のアミノ酸やタンパク質を架橋及び凝縮して、病原体や刺激物に対する耐性バリアを形成する。化合物は、病原体に結合して、病原体の代謝経路を大きく歪ませ、病原性作用を大いに不活化することができる。これらは、病原体を物理的に凝集させるか、巻き込むかまたは固定化して、病原体が繁殖するのを防ぐことができる。キノンまたはフェノール形態は、酸化的ラジカル放出を引き起こして、病原体膜の損傷や溶解を生じさせることもできる。これらは、疼痛や炎症応答に関与する受容体を遮断することもできる。
【0052】
本発明の実施形態により生成されるポリフェノールは、個々の可溶性高分子、化合物分子、巨大分子集合体、またはタンパク質もしくは細胞断片との凝集体であることができる。酸化性物質の安定的隔離は、水素親和性、電子共有または大規模な毛管効果から生じることもある。
【0053】
多くの状況において、より広範囲の病原体に対する生体活性/生体利用性を最大化するために、活性化された生体高分子の不均質な混合を促進することは好都合であり得る。多数の植物材料から抽出されたポリフェノールを組み合わせることは、結合スペクトルをさらに広げるのに役立ち得る。場合によっては、全てのフェノールサブユニットがキノン変換を受けるわけではなく、基質は、キノン作用に加えて、酸化されていない化合物の特徴や作用を保持することができる。
【0054】
当業者であれば、多くの他の天然または合成の有機高分子を酸化させて、ポリフェノールの代わりにまたはポリフェノールと組み合わせて使用することができる多くのカルボニルまたはキノン官能基を形成させることもできる。
【0055】
いくつかの態様では、植物以外の酵素を用いて、ポリフェノールの酸化を誘発する。これにより、安定なポリフェノール−酸化性物質溶液が導入されて、動物体内の管を受動的に横断し、他の手段では現実的に接近することができない損傷組織に未反応の物質を送達し、それにより、有用な組成物の効果的な生体利用性を高めることができる。標的触媒されるキノン形成は、非特異的な生化学反応を損傷組織のごく近傍に限局し、それにより、組織全体または全身の相互作用の望ましくない作用のリスクを低下させる。
【0056】
動物界と植物界に機能的に同一の酵素が存在することにより、酵素によるポリフェノール反応を植物以外の用途に新たに移行させることが可能になる。例えば、高等脊椎動物の消化管は、2つの異なるタイプのペルオキシダーゼを有する。第1のタイプは、免疫系好酸球から分泌される、ラットとブタの両方の消化粘液に見られる可溶性ペルオキシダーゼを含む。第2のタイプは、創傷時にしか放出されない、消化管粘膜細胞に見られる不溶性ペルオキシダーゼを含む。第2のタイプのペルオキシダーゼは、基本的に、植物創傷応答のポリキノン形成に関与するペルオキシダーゼと機能的に等価であり、損傷しているか、損傷を受けやすいか、または感染している細胞のごく近傍で部位特異的にキノン活性を誘発すると同時に、健康組織に対しては不活性であり続けることができる。
【0057】
そのような安定なポリフェノール−酸化性物質組成物は、組織病変または消化管、気道、尿路、生殖管、もしくは高等動物内部の他の粘膜界面の炎症を起こした粘膜に対して特に有用な生化学的効果を有する。液体溶液中の組成物を摂取すると、オキシドレダクターゼ酵素は、ポリキノン活性を触媒する損傷細胞や感染の部位に受動的に送達される。ポリキノンは、損傷を受けた宿主細胞の細胞タンパク質を架橋及び凝縮して、防御バリアにする。表面タンパク質、酵素、受容体、並びに代謝、病原性、及び運動性にとって極めて重要な構造に対する非特異的な高親和性結合により、非常に広範囲にわたる病原体が固定化され、不活化される。病原体の凝集は、潜在的な抗原性を高めて、宿主免疫応答を惹起することもできる。
【0058】
本発明の一態様では、罹患組織に対する、強力ではあるが局所的な収斂作用は、滲出液を減少させることもできる。消化器系の高濃度のタンニンや他のポリフェノールによる非局所的な全体的収斂性は、栄養吸収を妨害することが知られており、粘膜損傷を引き起こすこともあるが、キノン作用の活性化を標的に局在化させることにより、これらの懸念は最小限に抑えられる。
【0059】
いくつかの態様では、組成物は、新規の生体活性微生物制御及び組織防御システムを含む。生体活性材料と活性化前駆体の混合物は、動物、植物、または微生物細胞の様々な酵素によって触媒される。活性化酵素が、対象となる組織(例えば、損傷組織または感染組織)と関連している場合、活性化されていない組成物を摂取または適用すると、損傷組織を通って体内の管の奥深くにまで達することができる。標的組織での部位特異的な酸化的ラジカルの放出と活性化された植物材料の形成は、生体利用性を大いに高め、増強された活性を酵素源のごく近傍に限局して、他の組織との付随的な相互作用を減らす。
【0060】
本実施形態のいくつかでは、生体活性のある植物性材料は、ポリフェノールまたは任意の生体分子、合成高分子、低分子の凝集体、細胞断片、もしくは何万もの露出した反応部位を含む架橋された化合物基であることができる。
【0061】
多くの植物を適当なポリフェノールの安価な供給源として用いることができる。カメリア・シネンシスの葉は、栽培源が一般に利用可能であり、自然毒性が低いことが報告されており、水溶性ポリフェノール含量が高いので、優れた植物原材料源となり得る例である。ポリフェノールのフラボノール基(非酸化カテキン)は、カメリア・シネンシスの乾燥葉重量の最大30%を占めているため、経済的な供給源となっている。効果的な抗微生物収斂組成物は、ライ麦の種子、ヤエナリ、ダイコンの皮、ザクロの皮、ベアベリー、アロエベラの皮、オルガン・パイプ・カクタス、五倍子、オレガノの葉、柿の実、小麦胚芽、大麦の種子、及びコーヒー豆をはじめとする、多くの異なる植物種及び構造からも生産されており、この植物防御機構が植物界のどこにでもある性質であることを示している。
【0062】
いくつかの態様では、植物材料からポリフェノール基質を抽出する方法は、活性のあるオキシドレダクターゼまたは他の還元作用物質を実質的に含まない抽出物を有することによって、安定な製剤化、貯蔵、及び送達を可能にしている。本発明のいくつかの態様は、活性のあるポリフェノール酸化酵素を含まない植物生体高分子成分を得るために、植物原材料を熱または溶媒で変性させることを含む。原材料供給の利用可能性や植物組織の種類の違いにより、場合によっては、処理の違いが決まることもある。例えば、脱水または乾燥した植物材料は既に過酸化水素を欠いているので、ポリフェノール抽出後に酵素による変性処理を受けることができる。
【0063】
分解酵素を含まない経済的なポリフェノール原材料源を生産する効率的なプロセスの例は、緑葉ポリフェノールの酸化を引き起こし得るポリフェノールオキシダーゼを変性させるために、新たに収穫したカメリア・シネンシスの葉全体を高温空気中で速やかに乾燥させることを含む。このプロセスは、過酸化水素や水の喪失と、通常、収穫と同時に極めて速やかに起こるわずかな酵素的変化とを除いて、生きた茶葉にかなり近い組成を維持する。その後、取り扱いを容易にし、抽出効率を高めるために、葉を粉砕する。
【0064】
対照的に、紅茶は、別の製造プロセスの例を経る。この製造プロセスでは、カメリア・シネンシスの葉は、破砕され、その細胞構造は破壊されるが、活性のあるポリフェノールオキシダーゼを依然として含む。これにより、酵素によるカテキンの好気的酸化が開始されて、自然に凝縮して揮発性化合物を形成するキノンになる。このように処理された植物材料は、依然として、有用なポリフェノール源であり得るが、この植物材料は、ポリフェノール含量がより低く、酵素をブランチングするかまたは変性させるのに十分な温度(好ましくは80〜110℃)まで植物材料またはその抽出物を加熱して酵素を変性させる必要がさらにある。タンパク質変性溶媒(例えば、エタノール)を植物材料抽出プロセスで代用して、細胞酵素を破壊または除去することができる。
【0065】
多くの植物は、日常的な生物活動の一部として及びストレスに応答して過酸化水素を産生する。植物組織中のH濃度は、種、組織の種類、環境ストレス及び季節によって大きく変動する。植物組織中のHは、通常の収穫後処理で失われるかまたは消費されるものであり、特に、合成による等価な酸化性物質のコストが低いことを考慮すると、一般に、天然源から捕捉するのは現実的ではない。
【0066】
いくつかの実施形態では、本発明のいくつかの実施形態による方法及び組成物は、ポリフェノール内部でのより一層のキノンサブユニット生成のための商業的に実用的でかつ安定な活性酸素種源であり得る過酸化水素を、外から添加することを含む。当業者であれば、オゾン、過酸化亜鉛、ペルオキシダーゼ、過酸化カルバミド、過炭酸ナトリウム、過酸化カルシウム、過酸化マグネシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、オゾニド(O)、スーパーオキシド(O)、オキシド(O2−)、ジオキシゲニル(O)などの他の直接的な活性酸素種源を様々な用途に用いることができるか、または酸素ガス、解離水、触媒により分解された脂肪酸、グルコース、及びポリフェノールなどの間接的な活性酸素種源を用いることができる。
【0067】
いくつかの態様では、本発明の実施形態は、過酸化水素分子がフェノールサブユニットの近接反応近傍から離れて拡散するのに抗する安定化環境を提供する高濃度活性酸素種(例えば、過酸化水素)とポリフェノール基質との組合せを含む。ポリフェノール構造により、多くの非共有結合機会と電荷による過酸化水素分子への引力とが与えられる。過酸化水素は、ポリフェノールの自己酸化産物でもあり、溶液中の全体的な平衡の維持に役立つ。安定な隔離は、過酸化水素を熱、紫外線暴露、還元性の汚染物質、及び自然劣化から保護することができる。
【0068】
図1は、本発明の一実施形態による、フェノール単位102をキノン104またはセミキノン106に変換するいくつかの反応経路を示す。本明細書で用いられるとき、「キノン」は、全てのキノン化合物(例えば、キノン及びセミキノン)を指す。過酸化水素108は、酸化を開始させるための活性酸素種源でもあり得るし、ポリフェノール酸化産物でもあり得る。したがって、ポリフェノールを含む溶液中の安定平衡が樹立され得る。一旦開始されると、活性酸素種(ROS)源は、直接的な酵素の仲介がなくても、ポリフェノール基質を通してキノン生成の効率的伝播を促進する。したがって、水中の高濃度Hは、優れた酸化性物質成分である。しかしながら、過酸化水素は、他の反応(例えば、そのような反応例をいくつか挙げれば、オゾン、脂肪酸、またはペルカルボナートの分解)を通じて間接的に得ることができる。細胞オキシドレダクターゼは、酸化反応カスケードの開始または伝播に関与する酸素種の間接的な生成に関与することもできる。例えば、動物細胞や多くの病原体をROS傷害から保護するカタラーゼは、Hを水と活性酸素種に解離する。
【0069】
過酸化水素は、植物細胞や動物細胞で天然に産生されるが、その濃度は、種、季節、ストレス、及び組織の種類によって大きく変動し得る。特定の植物タイプ(例えば、多肉植物)は、かなりの量の過酸化水素をその組織中に貯蔵することができるが、通常の商業的抽出プロセスでは破壊が避けられない壊れやすい細胞内境界でしか過酸化水素及び/またはポリフェノールから隔てられていない還元酵素が存在するために、過酸化水素を植物源から抽出するのは一般に現実的ではない。混合すると、酸化的創傷応答が引き起こされ、過酸化水素が速やかに消費され、余分なポリフェノール、酵素、及び他の無関係な植物化合物が残る。
【0070】
本出願のいくつかの態様は、別々に製造または生成された、活性酸素種源と活性のある還元作用物質または酵素を実質的に含まないポリフェノール基質との組合せの使用を含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、酸化性物質−生体高分子組成物は水溶液である。代替の実施形態では、繊維、ハイドロゲル、微孔性媒体、ミセル、エマルジョン、及び他の構造は、生体高分子−酸化性物質組成物を物理的に封入する。また他の実施形態では、乾燥粉末、顆粒、または乾燥酸化性物質(例えば、過炭酸カリウム)と組み合わせた他の非液体ポリフェノール担持材料の混合物を、有用なポリフェノール−酸化性物質溶液を生じさせるために水で戻すキットとして用いる。
【0072】
いくつかの実施形態では、触媒を液体、エアロゾルとして、またはアプリケーター、包帯、もしくは清掃器具表面の表面コーティングとして標的部位に個別に送達する。この例は、ポリフェノール−酸化性物質組成物と接触させたときに、酸素ラジカルの放出とキノン形成を速やかに引き起こす還元作用物質(例えば、カタラーゼまたは銅)を染み込ませた吸収性スポンジである。これを用いて、強い殺菌作用をもたらし、とりわけ、非生体表面上のウイルスを破壊するかまたは触媒酵素への暴露がない場合に健康な組織を消毒することができる。例えば、ウイルスエンベロープは、通常、酵素を有していないが、ポリキノンによって結合され得るタンパク質で構成されている。したがって、個別に送達される触媒または酵素を用いて、ウイルス/殺菌反応を開始させることができる。
【0073】
いくつかの態様では、本実施形態によるポリキノン化合物は、微生物凝集剤などの有用性を含む。これらのポリキノン化合物を汚染水源に添加することにより、微生物を凝集させて、完全に沈殿するかまたは機械的手段でより簡単に完全濾過することができる塊にすることができる。機械的フィルター媒体表面へのポリキノン化合物の沈着によって、タンパク質や微生物が捕捉されると同時に、殺菌特性が与えられる。これは、活性化ポリキノンをフィルター媒体に適用することまたはポリキノン形成組成物をその表面に対する触媒的側面を有するフィルター媒体(例えば、細菌バイオフィルム)に通して循環させることにより達成することができる。これは、多くの再循環シングルパス濾過アプリケーションに適用することができる。
【0074】
図2は、本発明のいくつかの実施形態によって調製される組成物200を示す。組成物200は、ヒドロキシル基含有分子204を含む生体高分子202を含む。ヒドロキシル基含有分子204は、ポリフェノールとして図示されているが、フェノール、ポリフェノール、多糖、またはそれらの組合せであることができる。代替の実施形態では、ヒドロキシル基含有分子204は、タンニン、リグニン、及びフラボノイドである。当業者であれば、生体高分子202が任意の短連結分子(例えば、2〜100個の反復単位または100〜1000個の反復単位)、巨大分子、長鎖分子、環構造分子、π電子積層分子及び/または構造積層分子であることができる。さらに、生体高分子202は、植物に由来するかもしくは植物から得ることができる任意の物質または人工的な合成分子であることもできる。さらに、生体高分子202は、植物の組合せから得ることができる。例えば、植物Aの抽出物は高い割合のポリフェノールを含み、植物Bの抽出物は高い割合の多糖を含む。生体高分子202は、植物Aと植物Bの両方の抽出物の混合物から得ることができる。そのような場合、生体高分子202の70%は植物Aに由来することができ、生体高分子202の30%は植物Bに由来することができるので、組成物200は、多糖の化学的特性よりもポリフェノールに近い化学的特性を有することができる。したがって、植物Aと植物Bの様々な組合せを用いて、組成物200の所望の反応特性(例えば、所望の反応性及び反応速度)を設計することができる。
【0075】
組成物200は、酸化試薬206及び/または酵素208を含むこともできる。いくつかの実施形態では、酸化作用物質206は活性酸素種を含む。いくつかの実施形態では、酸化作用物質206は、市販の過酸化水素210(例えば、水中>60%、20〜60%、35%、及び8〜20%のH)に由来する。代替の実施形態では、酸化作用物質206は、水中1〜2%または10%未満のHを含む。いくつかの実施形態では、酸化作用物質206は、オゾン212、脂肪酸214、またはペルカルボナート216の反応物に由来する。いくつかの実施形態では、酸化作用物質206(例えば、過酸化水素)は、生体高分子または植物により内在性に産生される。代替の実施形態では、酸化作用物質206は、例えば、市販の過酸化水素を生体高分子202と酵素208の溶液に添加することにより、外からこのシステムに添加される。
【0076】
いくつかの実施形態では、酵素208は、内在性に生成されるかまたは外から添加される。例えば、反応の活性化または促進に用いられる酵素208は、動物218の組織表面の病原体230によって生成される。あるいは、酵素218は、動物218及び/または植物232の細胞/組織で生成される。さらに、組成物200を動物または植物に適用する前に、酵素を生体高分子202と酸化作用物質206とを含む溶液に添加することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、ヒドロキシ基含有分子204は、キノン化合物234及び/または246を形成する。キノン化合物234、242、244、246、ヒドロキシ基236、238、240、及びヒドロキシル基含有分子204は、活性酸素種(ROS)を反応近傍に局在化させ続ける相互作用(例えば、共有結合力、水素結合相互作用、または電子積層相互作用)を提供することができる。活性酸素種は酸化試薬であることができる。
【0078】
図3は、本発明の一実施形態による、植物性組成物を調製するプロセスの工程300を示す。工程302において、活性のある還元作用物質または触媒を不活化または除去する。工程304において、活性のある還元作用物質または触媒を実質的に含まないポリフェノール基質を抽出する。工程306において、ポリフェノール基質を、酸化反応を開始及び伝播させるための活性酸素種源及び/または触媒源と混合する。上記のように、活性酸素種源(例えば、過酸化水素)を外から添加するかまたは植物抽出物によって内在性に生成させることができる。同様に、酸化反応を開始させるための触媒を外から添加するかまたは適用される部位(例えば、病原体感染部位もしくは組織損傷部分)で内在性に生成させることができる。工程308において、混合物を標的部位(例えば、動物の損傷部分)に適用する。上記の方法300は一実施形態である。これらの工程は全て任意であり、さらなる工程を付け加えることができる。これらの工程の順序は、任意の順であることができる。他のバリエーションが適用可能である。例えば、還元触媒を実質的に含まず、植物から抽出されたポリフェノールを含む溶液を過酸化水素と混合する。この溶液を後の活性化プロセスのために容器に保存することができる。反応を活性化する触媒を生成する動物の病原体感染部位に送達された後、この溶液は活性化機構を通じて活性化される。他の例では、標的(例えば、動物または植物の部位)に適用する前に触媒を外から添加してポリフェノールと過酸化水素とを含む溶液を活性化する。
【0079】
図4は、本発明の実施形態による、溶媒で還元作用物質/酵素を不活化するプロセスの工程400を示す。工程402において、植物性組成物を作製するのに用いられる植物を選択する。工程404において、ポリフェノール組成物を溶液を用いて植物から抽出する。工程406において、この溶液を、酵素を変性させるために、80〜110℃に加熱してブランチングする。工程408において、タンパク質変性溶媒(例えば、エタノール)を用いて、植物に含まれる細胞酵素を破壊または除去する。
【0080】
図5は、本発明の実施形態による、熱で還元作用物質/酵素を不活化するプロセスの工程500を示す。工程502において、植物性組成物を作製するのに用いられる植物を選択する。工程504において、植物由来のポリフェノールオキシダーゼを、カメリア・シネンシスの葉全体を高温空気中で速やかに乾燥させることにより変性させる。工程506において、水性細胞酵素を除去及び/または不活化する。工程508において、葉を粉砕する。工程510において、溶媒を添加して、ポリフェノールを抽出する。
【0081】
図6は、いくつかの実施形態による、植物性組成物のいくつかの用途を示す。これらの用途としては、動物栄養補助食品、動物組織凝固、病原体バリア形成、標的トリガー反応、殺菌用途での外からの酸化酵素の添加、過酸化水素隔離、時限送達、病原体代謝停止、薬用飲料、受容体アンタゴニスト、微生物凝集剤、生体物質保存、抗微生物洗浄、農業用途、池水清掃、医療装置表面の処置、及び医療用送達ビヒクルが挙げられるが、これらは、そのような用途のごく一部の例である。
【0082】
本実施形態によるいくつかの作用様式には、比較的大きい生体分子基質表面の親和性が高く、特異性が低い、高密度の結合部位集団の標的活性化の機能が含まれる。いくつかの実施形態では、全植物抽出物を用いる。いくつかの実施形態では、植物の混合物を、わずかに異なるタンパク質親和性を有する様々な主フェノール種及び分子量と混ぜ合わせるので、可能な限り幅広い活性を促進することができる。
【0083】
通常、従来薬の薬物設計の概念は、特異性の高い分子相互作用に重点を置いてきた。それと比べて、本発明のいくつかの実施形態は、部位特異的活性化によって極めて効果的かつ安全になる非選択的活性を用いる。本発明のいくつかの実施形態では、分子複合体は、高希釈度での拡散勾配にもかかわらず、必要な多数の反応性成分を互いに近接反応近傍に隔離した状態に保った水性分子溶液中で消化器系を横断する。これにより、複合体を活性化する適当な酵素を提供する損傷粘膜組織または病原体に出会うまで、完全な生体利用性が維持される。部位での活性化は、受動的な分子複合体が数百または数千の潜在的活性部位を有する積極的なタンパク質バインダーへと極めて局所的に転換されるのを触媒する。このタンパク質バインダーは、抗体上に見られる2つの結合部位よりもはるかに積極的である。大きな「粘着性のある」高分子のこうした極めて部位特異的な活性化や非吸収性により、最小限の全身的有害性の可能性を示す、強力な、正確に狙いを定めた作用が生み出される。これらの「粘着性のある」植物生体高分子の蓄積は、標的部位にしっかりと固定されるようになり、通常であれば植物損傷部位で起こる極めて効率的な機械的免疫反応を模倣し始める。
【0084】
いくつかの実施形態では、上記の植物免疫学における機構を動物に適用する。この機構は、(1)感染している細菌または酵母の機能的経路への非特異的結合(これは、その代謝及び生殖を障害することにより、細菌または酵母を死滅させることができる)、(2)部位に存在する毒素(通常はタンパク質性)への結合及び/または病原体がより多くの酵素性病原因子を発現するのを阻止すること、(3)その運動性を固定化及び/または障害すること、あるいは伝播や排出を防ぐ凝集を引き起こすこと、(4)損傷細胞のタンパク質をさらなる感染または刺激への暴露を減らす物理的バリアにする架橋効果、(5)種々の生理的応答のためのアンタゴニストとして機能する炎症シグナル受容体への結合、(6)細胞透過機構を不能にすることもしくはウイルスを封入すること及び/または伝播や排出を防ぐこと、並びに(7)損傷組織からの間質液の損失を減らす局所的な収斂及びバリア効果を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、有効投薬量は、下痢を止めるために従来の方法において用いられる物理的収斂剤と比べて極端に少なく、腸損傷またはタンニンの使用に伴う栄養摂取障害の原因とされている任意の物理的収斂作用を生み出すには不十分であると考えられている。
【0086】
本発明の実施形態によって調製された複合体を用いて、いくつかの実験が実施されている。これらの複合体の有効性は、これらの実施形態のうちのいくつかに従って作製された複合体で処理したブタにおいて成長の改善が一貫して認められたことにより裏付けられる。希釈に対する複合体の不感受性、健康粘膜に対する不活性な性質、及び非病原性細菌に対する最小限の活性は、低濃度の水系送達を可能にし、また、低濃度の水系送達を好ましくかつより効果的なものにする要因の一部である。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態によって調製される混合物は、組織病変または、消化管、気道、尿路、生殖管、もしくは高等動物内部の他の粘膜界面の炎症を起こした粘膜に対して有用であり得る。これらの組織及び感染細菌は、ポリフェノール基質がその酸化型に変換されるのを触媒する酸化酵素の供給源である。いくつかの実施形態では、上記のフェノール/酸化性物質組成物の摂取により、直接的な酵素的変換または酵素で分解された過酸化水素によるヒドロキシル単位の自己酸化を通じてポリフェノールがポリキノン(またはo−ポリフェノール)化合物に直接的及び/または間接的に変換され得る。その後、ポリキノン分子は、防御マトリックスを形成することができるが、これは、損傷を受けた組織細胞のタンパク質または病原体の表面タンパク質に共有結合して、それらを固定化、不活化、及び/または凝縮することができる。結合したタンパク質は、病原体のコロニー形成能を低下させ、傷口を収縮させる強力な収斂作用をもたらし、かつ滲出液を減少させる、保護マトリクスを形成することができる。基本となる反応は、特定の酵素、ポリフェノール分子の構造及び種類、酸化性物質の相対濃度、希釈環境などによって、異なる経路を取ることができる。酵素的なキノン単位の形成に直接的には関与しない酸化性物質は、病原体の細胞構造に直接損傷を与える酸化的ラジカルを放出することができる。固定化された病原体付近でのこのようなラジカルの局所的バーストにより、自由溶液中での殺菌剤拡散作用よりもはるかに効果的な集中的な殺菌作用が生み出される。2種以上の植物材料を基質として用いることまたは酸化を伴わずに既知の殺菌活性を有する植物との組合せを追加成分として用いることは、抗微生物活性の範囲または効力の拡大に望ましいことであり得る。
【0088】
他の実施形態では、酸化酵素を反応部位に個別に送達することができる。一例として、これらの実施形態のうちの1つは、触媒酵素源を提供することにより、感染組織または細菌の非存在下でウイルスと戦うことを含む。ウイルスエンベロープは、通常、酵素を有していないが、一旦ポリキノンに変換されると巨大分子によって結合され得るタンパク質で構成されている。このような変換前のポリキノンの使用は、いくつかの実施形態において適用可能である。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を殺菌性添加物として溶液中で用いることができる。これは、他の植物または動物組織がないときに、微生物(例えば、細菌及び真菌)の酵素によって誘発することができる。表面上または溶液中の殺菌効果は、処理される表面もしくは溶液に酵素もしくは他の触媒を添加することによるか、または活性化酵素もしくは触媒で処理される表面、器具、もしくは容器に組成物を適用することによって、さらに高めることができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を微生物凝集剤として用いて微生物を凝集させ、沈殿するかまたは機械的手段で完全に濾過することができる塊にすることができる。病原菌やその産物の凝集により、潜在的な抗原性を高めて、免疫応答を惹起することもできる。収斂活性は、(1)病原菌細胞の表面タンパク質及び酵素または受容体、シグナル伝達構成要素、栄養吸収及び伝達機能を不能にする架橋と(2)病原菌及びウイルスの運動性の低下または障害の結果として、病原菌に細胞毒性を示すことがある。両方のタイプの作用は、ウイルスの感染性を不能にすることができる。
【0091】
本発明の実施形態によって作製された組成物を用いた場合、細菌が16時間で使い果たし得る過酸化水素量を用いて、消費せずに全ての細菌を完全に死滅させることができることが殺菌試験により示された。酸化反応を受けなかった植物性材料は、殺菌作用を全く示さなかった。これにより、可溶性ポリフェノール化合物の少なくとも一部はポリキノンに変換されるということが示唆された。インビボ環境では、カタラーゼまたはペルオキシダーゼの量がそのように限定されなければ、この植物性殺菌作用はさらに増大するであろう。キメラのタバコアニオン性ペルオキシダーゼを有する形質転換タバコ植物は、高レベルのペルオキシダーゼを産生することができ、非形質転換タバコ植物よりも創傷治癒が7倍速いことが示されている。ポリフェノールからキノンへの変換効率が増加するのは、基質の量ではなく、酵素の量がかなりあることによる可能性が高い。
【0092】
本発明のいくつかの態様は、タンパク質架橋能を含む。タンニンは、よく知られたタンパク質結合能を有する。しかしながら、タンニン−タンパク質結合は、水素結合に基づくものであり、好ましい結合タンパク質は、唾液、及び消化器系の粘液中に通常見られるプロリンに富むタンパク質である。タンパク質の架橋及び沈殿試験により、卵アルブミンが10分以内に高密度でかつ完全な沈殿を形成したことが示されている。植物のみによる沈殿では、同様の結果を得るのに3日間かかる。酸化作用物質のみを用いた試料には、沈殿効果が全くなかった。これにより、本発明の実施形態がタンパク質の架橋能と架橋効率を大いに増大させたことが示されている。
【0093】
これらの実施形態のいくつかは、植物性殺菌剤とタンパク質架橋剤組成物と酸化性物質の混合物を含む。植物性殺菌剤とタンパク質架橋剤組成物は、大量のフェノール化合物を有する植物を含むことができる。酸化性物質は過酸化水素であることができる。このような組成物を製造するために使用可能な方法のうちのいくつかは、2008年12月23日に出願された、「植物性殺菌材料及びシステム(PLANT−BASED BIOCIDAL MATERIALS AND SYSTEMS)」というタイトルの特許文献5に開示されていて、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を植物フェノール化合物の酸化−還元反応及び/またはラジカル反応に適用することができる。植物フェノール化合物としては、微生物、植物、及び動物内または微生物、植物、及び動物表面の他の分子を酸化、還元、または架橋し、それにより、様々な標的生物または組織に対する抗微生物効果、抗ウイルス効果、収斂効果、及び創傷治癒効果を生み出す、フェノールと、ポリフェノールと、ヒドロキシクマリンと、フラボノイドと、アルカロイドと、モノフェノールまたはジフェノールと同様の化学的サブユニットを有する任意の他の成分とを挙げることができる。本開示で用いられる「キノン」及び「ポリキノン」という用語は、1以上の二重結合酸素を有する芳香族環形状の任意のモノマーまたは有機高分子を含む。
【0095】
本組成物及び方法を、皮膚表面の損傷した創傷の治癒を促進するために用いるかまたは消化器系の任意の感染を治癒させるために消化器系に適用することができる。本組成物及び方法を、インビトロやインビボでの使用などの、各種の的を絞った環境用途において利用することもできる。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の用途には、抗微生物薬、駆虫薬、抗緩下薬/抗下痢薬、鎮痛剤、抗炎症薬、化粧成分、角質溶解薬、工業プロセス用の酸化性物質、金属キレート剤、及び有機接着剤が含まれる。代替の実施形態では、生理学的用途には、殺菌剤、消毒剤、殺ウイルス剤、殺真菌剤、収斂剤、組織接着剤、創傷保護剤、バイオフィルム予防薬、抗炎症剤、鎮痛剤、止血剤、製品保存料、凝固剤、凝集剤、含嗽液、洗浄薬、創傷清拭剤、整胃剤、抗下痢薬、潰瘍治療、硬化剤、水性清掃剤、水性保存料、酸化洗浄剤、及び脱臭剤が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、病原体または病原性分子がその消化器系の組織に感染するか、これらの組織に損傷を与えるか、またはこれらの組織によって吸収されるのを治療または予防するために、ヒトまたは動物にこれらの組成物を摂取させることが含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、収斂作用、抗炎症作用、または抗微生物作用を通じて体液の分泌を低下させることによる動物の下痢の予防または治療が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、胃液の逆流によるびらん、消化性潰瘍、または消化器系の他の病変の治療が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、鼻腔または耳腔の炎症または感染の治療が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、病原体を減らすための、そしてまた、気道壁を病原体(例えば、細菌、ウイルス、及び真菌)による侵入から保護するための、気道への抗微生物薬噴霧が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、接触アレルゲンを流すための気道噴霧及び鼻うがいが含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、抗感染もしくは抗炎症治療のための尿路洗浄または尿路インプラント患者や腎透析患者のための日常的な殺菌洗浄が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、臓器移植のための殺菌臓器保存が含まれる。
【0097】
いくつかの実施形態では、これらの用途には、正常なもしくは損傷した皮膚表面、外傷表面、または任意の粘膜腔内の細菌、ウイルス、及び酵母感染用の抗微生物洗浄が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、外科的切開または損傷の治癒、閉鎖、または止血を促進するための組織接着剤が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、瘢痕を軽減するための外科的切開または局所的創傷の治療が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、局所的な切り傷、火傷、または擦り傷の応急処置が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、口腔粘膜潰瘍治療、及び歯科的処置のための殺菌膏薬、軟膏洗浄薬、または洗浄薬が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、歯周炎治療及び歯の知覚過敏の治療(例えば、歯のマイクロクラックのシーリング)が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、口臭用の含嗽液が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、皮膚炎、いんきんたむし、膣感染症、及び水虫用の浸漬液が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、火傷、慢性創傷及び潰瘍の抗微生物治療並びに治癒的治療が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、組織または表面でのバイオフィルム形成の予防または軽減が含まれる。
【0098】
代替の実施形態では、これらの用途には、農業用途が含まれる。例えば、植物にポリフェノール−酸化性物質組成物を噴霧するかまたは植物をポリフェノール−酸化性物質組成物に浸漬することによって、表面病原体を減少させ、微細な創傷を閉鎖することができる。さらに、架橋反応によって表面構造を強化するかまたは成長もしくは発達の促進を刺激することによって、植物の全体的な健康を改善することができる。
【0099】
他の実施形態では、これらの用途には、動物農場施設用のバイオセキュリティー清浄剤としての組成物のエアロゾルまたは液体スプレーが含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、動物飼料の滅菌が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、疾患伝播の予防及び防止のための食品添加剤または水性添加剤が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、植物、新鮮な果物、及び野菜の洗浄剤が含まれる。本明細書に開示されている組成物を含む溶液の噴霧または洗浄により、表面細菌を死滅させるかまたは抑制し、保存期間を延長し、表面を害虫の侵入から守るかまたは生きた穀物もしくは農作物への害虫の侵入を防ぐことができる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、発芽前の貯蔵または清浄のための植物種子の消毒が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、新鮮な切り花のための防腐スプレーまたは水処理が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、植物の接ぎ木や地下水浄化のための組織接着剤が含まれる。
【0100】
いくつかの実施形態では、これらの用途には、細菌を減少させるための、及び微生物の侵入を防ぐ薄い耐消化層を形成させるための食肉または魚介類用の防腐スプレーが含まれる。代替の実施形態には、微生物汚染を防止するための食肉加工用清浄剤が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、漁業(例えば、魚、エビ、カキ、アワビ、及びイガイ)用の池水清浄が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、水性植物や水性動物の疾患治療が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、水槽清浄剤と、液体含有製品用の保存添加物と、表面洗浄剤用の消毒成分と、医療装置、衣類及び調理器具用のキノンレドックス循環コーティングと、病院環境及び機器の清浄と、親水性コーティングされた医療器具用の抗微生物水和溶液と、金属の有機さび止め処理とが含まれる。
【0101】
代替の実施形態では、これらの用途には、工業用水の緩衝剤、防腐剤、または防汚剤が含まれる。他の実施形態では、これらの用途には、温水浴槽及びスイミングプールの水の清浄が含まれる。いくつかの実施形態では、これらの用途には、低分子治療化合物用の担体が含まれる。代替の実施形態では、これらの用途には、酸化性物質の安定剤、食品香料の修飾、及び腫瘍や嚢胞への注射が含まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、組成物は乾燥粉末形態であることができる。組成物は、乾燥粉末形態でまたは少なくとも1種の流体と組み合わせて動物に与えることができる。乾燥形態の組成物は、ポリフェノールもしくは高分子、活性酸素種、触媒、またはそれらの組合せを含むことができる。活性酸素種は、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム並びに/あるいはポリフェノール及び/または高分子を活性化することができる任意の他の物質を含むことができる。活性酸素種、ポリフェノールもしくは高分子を含む材料、触媒、またはそれらの組合せは、同時にまたは別々に動物に与えることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる「ポリフェノール」という用語は、1分子当たり2以上のフェノール単位または構成単位を含む。代替の実施形態では、「ポリフェノール」という用語は、1分子当たり1つのフェノール単位を含む。他の実施形態では、「ポリフェノール」という用語は、加水分解性のタンニン(グルコース及び他の糖類の没食子酸エステル)と、フェニルプロパノイド(例えば、リグニン、フラボノイド、及び縮合タンニン)とを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、ポリフェノール含有溶液に添加される過酸化水素は、1〜2%である。代替の実施形態では、ポリフェノール含有溶液に添加される過酸化水素は、10%未満である。当業者であれば、過酸化水素の濃度が溶液中のポリフェノールと過剰反応するほどは高くない限り、任意の濃度の過酸化水素が適用可能である。過剰反応には、活性化ポリフェノールが本出願に記載の機能を果たせないようにする、過酸化水素濃度を提供することが含まれる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる「流体」と言う用語は、液体、ガス、超臨界流体、物質の可動性固体形態、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、「病原体」という用語は、任意の感染性因子、病原菌、細菌、ウイルス、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、「病原体」という用語は、宿主(例えば、動物)に疾患、疾病、損傷、損害、もしくは悪影響を潜在的にもたらし得る任意の生物学的物質または別の生物学的物質を含む。いくつかの実施形態では、「生体高分子」という用語は、植物、動物、もしくは生物学的物質に由来するかまたはこれらから得ることができる任意の物質を含む。代替の実施形態では、「生体高分子」という用語は、生物有機体(例えば、生きた植物)によって産生される任意の高分子を含む。さらに、「生体高分子」という用語は、セルロース及びデンプン、タンパク質及びペプチド、並びにDNA及びRNAを含むことができる。いくつかの実施形態では、「生体高分子」という用語は、複数単位の糖類、アミノ酸、及びヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、「結合親和性」という用語は、任意の分子間もしくは分子内相互作用及び/または結合、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合、双極子モーメント、誘起双極子モーメント、及び静電力を含む。いくつかの実施形態では、「反応近傍」という用語は、3個以上の分子が溶液中でランダムに自由に移動しないように、3個以上の分子/原子間に存在する任意の相互作用を指す。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される「病原体の不活化における効果」という用語は、病原体が動物/植物組織に接近するのを阻止すること、病原体の代謝経路を閉鎖すること、ウイルス因子に結合すること、病原体を固定化する/凝集させること及び/または病原体に対する酸化的損傷を果たすことを含む。いくつかの実施形態では、活性酸素種源及び/または過酸化水素源は、自然源及び人工源(例えば、新鮮なアロエ及び/またはシラントロ)から得ることができる。いくつかの実施形態では、活性化ポリフェノールには、o−ポリフェノール、酸化ポリフェノール、ポリフェノン、及びポリキノンが含まれる。
【0107】
「プロセス流体」という用語は、人為的に及び/または生物学的に処理された流体を含むことができる。「生物学的に処理された」という用語は、添加された組成物が生物学的実体(例えば、動物)によって処理されることを指すことができる。「人為的に処理された」という用語は、濾過、乾燥、単離、抽出、または任意の他の製造もしくは化学的/生物学的実験プロセスを含むことができる。例えば、「プロセス流体」という用語は、乾燥粉末形態の物質を動物に与えて、動物の流体または添加された流体にこの乾燥粉末を溶解または分散させ、それにより、処理された流体を形成する状況を含むことができる。乾燥粉末は、動物に与えられるポリフェノールと活性酸素種(例えば、過炭酸ナトリウム及び過炭酸カリウム)の両方を含むことができる。あるいは、乾燥粉末は、主にポリフェノールを含むことができる。活性酸素種は、乾燥粉末と一緒にまたは乾燥粉末とは別々に液体形態で動物に与えることができる。別の代替の実施形態では、乾燥粉末形態は、主に活性酸素種を含むことができる。ポリフェノールまたはヒドロキシル基を含有する分子は、乾燥粉末と一緒にまたは乾燥粉末とは別々に液体形態で動物に与えることができる。
【0108】
以下の実験は、本発明の実施形態のうちのいくつかに従って調製された組成物の有効性を示している。
【0109】
実験1:
精製した粉末ウシ血清アルブミン(BSA)の3つの試料を、水溶液中に調製した。試料#1はBSAのみを含んでいた。試料#2は、BSAとポリフェノールオキシダーゼを含んでいた。試料#3は、BSAとポリフェノールオキシダーゼと過酸化水素とを含んでいた。30分後、分光光度計で測定したときに、各試料は、同様の定常状態の濁りを示した。五倍子由来のポリフェノール(タンニン)の水溶液をこれらの試料の各々に添加した。1時間後、試料#1は、目に見える変化をほとんど示さなかった。試料#2は、粒径の増加による濁りの増加を示し、わずかなタンパク質凝固を示唆した。試料#3は、試験チューブの底に大量の沈殿があることと、濁りがないこととを示し、ポリフェノールと活性酸素種源との酵素的反応によって、タンパク質凝固の大幅な増加を達成することができることを示した。
【0110】
実験2:
五倍子と過酸化水素の溶液を(1)水で再構成した粉末ニワトリ卵白(粉末卵白の製造において用いられる乾燥プロセスは酵素を変性させる)を含むチューブ及び(2)水に新鮮ニワトリ卵アルブミンを含むチューブに添加した。はるかに大量の沈殿が新鮮ニワトリ卵アルブミン試料で観察され、植物ポリフェノールを動物起源の酵素で触媒して、植物創傷で示されるキノン形成と一致するタンパク質結合を増大させることができることが示された。
【0111】
実験3:
製剤Aを下記の方法を用いて調製した。1グラムの市販の緑茶粉末を、1リットルの脱イオン水を含む1リットルのPyrexビーカー中に調製し、室温で6時間抽出した。この溶液に35%食品等級過酸化水素を添加し、4時間静置した後、2ミクロンのメッシュ媒体またはフィルターに通して濾過した。得られた原液を18Mohm水で1000:1、200:1、及び100:1に希釈した。15mlの希釈溶液を、10個の野生株大腸菌(E.coli)培養物を含む等量の培養溶液(水対照)に添加し、37℃でインキュベートした。2時間、4時間、6時間、及び8時間で、各試験シリーズからの試料を寒天プレート上に満たしてインキュベートし、手作業でコロニーカウントを行なった。100:1の試料は4時間で100%の殺菌を達成し、200:1の試料は6時間で100%の殺菌を達成し、1000:1の試料は静菌的でしかなかった。これにより、原材料とエネルギー入力を非常に少なくして殺菌能力の高い植物性組成物を製造する可能性が示されている。
【0112】
実験4:
野生株大腸菌培養物を3つの試料に添加した。試料Aは、水に25ppmの過酸化水素を含んでいた。試料Bは、同じ25ppmの過酸化水素の割合になるまで希釈した製剤Aの溶液を含んでいた。試料Cは、製剤Aと同じ濃度の緑茶抽出物を含むが、過酸化水素を含まない溶液を含んでいた。過酸化水素(試料A)中の細菌個体群は、初めは減少したが、16時間後には目に見える濁りの増加を示し始め、抗微生物能の枯渇を示唆した。緑茶抽出物のみ(試料C)では、目に見える抗微生物活性がほとんど示されなかった。製剤A(試料B)は、殺菌し続けて、3日後に逆戻りを示さず、100%の殺菌及び/または抗微生物効果の増大を示した。これにより、緑茶抽出物と過酸化水素の組合せがもたらした殺菌性能の顕著な増加が示されている。
【0113】
実験5:
試料#2は、上記の製剤Aを用いて事前調製した溶液であり、事前調製した試料#1と同じポリフェノール濃度を再現するように希釈した溶液であった。試料#3では、ポリフェノールと希釈過酸化水素を組み合わせて、試料#2と同じポリフェノール対過酸化水素比を達成した。各試料の連続希釈を調製し、24時間放置した。10個/mlの野生株大腸菌を含む溶液を各試料に添加し、その後、これらをインキュベートし、目視によるコロニーカウントのために寒天上にすべてプレーティングした。事前調製した試料#2のポリフェノール−酸化性物質溶液は、試料#3希釈液中よりもかなり低い濃度で効果的に殺菌し続けた。これにより、ポリフェノール基質−酸化性物質組成物が、希釈前に(活性のあるオキシドレダクターゼまたは他の還元作用物質の非存在下で)高濃度で産生された場合、低い濃度での性能が高まることが示され、安定性を改善するための分子間力による隔離という概念が裏付けられた。
【0114】
実験6:
以下は、製剤Bの調製方法であり、ポリフェノール基質抽出プロセスを説明したものである。30グラムの乾燥したザクロの皮を用いる。ザクロの皮は、150℃で1時間乾燥させ、すりつぶして細かい粉末状にし、80℃で20分間加熱した10リットルの脱イオン水と合わせた後、室温まで2時間冷却したものであった。35%食品等級過酸化水素を添加し、6時間静置した後、5ミクロンの媒体に通して濾過した。ポリフェノールとの過剰反応を防ぐために、添加された過酸化水素溶液は、溶液への添加後、溶液中10%未満とした。得られた溶液を水で連続希釈したものを10〜10個の細菌の培養液に添加した。得られた溶液を24時間インキュベートし、濁りを目視観察した。表1に示すように、濁り(+濁りあり、−濁りなし)は生菌を示す。
【0115】
【表1】

【0116】
実験7:
実験用マウス表面のメスによる左右対称の創傷に製剤Aの200:1希釈物を適用すると、生理食塩水対照または抗生物質軟膏で処置した創傷の約3分の1において創傷閉鎖が示された。
【0117】
実験8:
製剤Aの200:1希釈物に浸漬した綿パッドを、炎症を起こした口腔粘膜に10分間当てた。3人のボランティアのうち、全員が1時間以内に疼痛や腫脹の顕著な軽減を経験した。感染は2人において完全に消失しており、粘膜組織に対する抗炎症能と抗感染能が示された。
【0118】
実験9:
現在頻回下痢または慢性下痢の症状を有する及び過去に頻回下痢または慢性下痢の症状の既往歴がある10人のヒトボランティアに対して、製剤Bを水250mlに40:1希釈したものを5ml、5日間投与した。9人が、1週間以上の間、不快感や症状の顕著な軽減を示した。
【0119】
実験10:
製剤A及び製剤Bの100:1希釈物0.5mlを、表面に大腸菌が植菌されたヒツジ血液注入寒天プレート上の穴の開いたウェルに導入した。ウェルの周囲には、PP−O複合体を透過させない不透明な架橋された血液タンパク質の領域が素早く形成され、ウェルの周辺に細菌抑制帯は示されなかった。それに比べて、血液タンパク質を含まない最小栄養寒天では、培地中へのPP−Oの拡散を示す顕著な抑制帯が示された。これにより、毒性ポテンシャルの低下を裏付ける、組成物の組織透過の低さが示された。
【0120】
実験11:
商品生産農場の5日齢のアジア産ランドレース雑種ブタを試験被験体13頭と対照被験体3頭に分けて、全頭に生まれてから3カ月まで同じ量及び同じ種類の餌を与えた。試験被験体には、給水中の5マイクログラム(乾燥植物重量当量)の製剤Aを3日ごとに投与し、下痢が観察された場合には、同じ用量を毎日投与した。対照には、下痢を治療するための抗生物質注射を施した。21日の時点で、試験群は対照よりも下痢になる頻度が低く、平均して1.0kg重かった。3カ月の時点で、試験被験体の平均体重は、胴回りの測定に基づくと、対照群の体重よりも25〜30%大きく、製剤Aが予防・成長促進物としての抗生物質代替品として実現可能であることが示された。
【0121】
実験12:
純血種のランドレース子ブタ99頭の成長を追跡し、評価した。子ブタには、製剤Bの酸化性物質−ポリフェノール組成物を含むブタ代用乳を与えた。21日齢のスターターは、環境移行によるストレスを受ける傾向があり、約1週間、下痢の発生率が上昇した。実験群は、この期間中に対照群よりも18%高い平均体重増加を示し、成長の最適化や代用乳との適合性の点で商業的価値を示した。
【0122】
【表2】

【0123】
実験13:
特定病原体が感染していない純血種ランドレースブタ10頭(各々23日齢)を用いて、毒物学的安全性を試験した。これらのブタに、250μgまたは2500μg用量を毎日1回、45日間投与した。血液化学と成長をモニタリングし、組織検査を行なったところ、組織または器官への悪影響は全く示されなかった。
【0124】
実験14:
離乳したスターター子ブタ50頭を5つの群に分け、3日ごとに1回12μg用量を5週間投与した。統計解析からは、実験群におけるより大きい体重増加が示されている。上記の実験は、病原体の制御におけるポリフェノール−酸化性物質組成物の効果的利用の証拠となるものであり、多くの商業上及び医療上有用な用途における相当に重要な価値を示している。これらの実験は、農業用動物生産における直接的な成長促進利益を示しているが、ブタは、ヒトと生理学的及び免疫学的にかなり類似していることが知られており、ヒトにおける性能や安全性の予測判断材料として一般に用いられている。したがって、潜在的な効果をヒトについて推定し、主張することができる。これは、原因が不特定のたまの消化障害や下痢がすぐに治まるという直接体験によって裏付けられる。20〜250μg(乾燥重量当量)の単回用量は、ヒトの下痢を消失させるのに有効であることが観察されており、症状の緩和は、通常1時間以内に認められる。
【0125】
本実施形態のいくつかは本明細書に記載の方法に従って生産されている。製造プロセスでは、有機生産用の材料と、全米有機プログラム(National Organic Program)(NOP)による認証を受けた、一般に安全と認められる(GRAS)食品等級材料を用いる手順とを用いることができる。製造プロセスは、医薬品製造品質管理基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)に準処して無菌実験室で行なうことができる。
【0126】
いくつかの生産方法は、植物の前処理、タンパク質の変性及び抽出、反応物の準安定フェノール複合体への分子内隔離、後処理、並びに追加成分による希釈及び製剤化を含む。
【0127】
本明細書に開示されたプロセスは、対象となる化学物質がどこにでもあるという性質のために、幅広い植物種及び組織タイプに適用可能である。植物源は、栽培源の利用可能性や、主要画分の含量や、望ましいまたは望ましくない特徴的効果(例えば、毒性及び自己分解)を潜在的に与え得る二次成分に基づいて選択することができる。
【0128】
本明細書で開示された組成物の製造に、基質含量、イニシエーター効力、微生物学的性能、及び分子結合能を直接測定するいくつかの標準化された品質管理法を取り入れることができる。組成物の製造は、室温で1年以上の間、試験された。保管試料で試験した結果からは安定性の促進が示されている。化合物の微生物学的安定性希釈閾値は、化合物を自己保存的にする閾値を超えるものであると決定された。
【0129】
本実施形態のいくつかは、様々な異なる植物基材から生産するのに成功している。好ましい結果は、補完代替医療において長年にわたって使用されている議論の余地のない十分に特徴付けられた食用植物を用いたときに得られる。当業者であれば、作用機序が本明細書に記載の実施形態と機能的に、構造的に、化学的に、生物学的に、または物理的に等価である限りにおいて、様々な市場用の様々な製剤を製造するために、多くの植物、植物組織または組合せを用いることができる。
【0130】
本発明は、本発明の構築及び実施の原理を理解しやすくするために、詳細を組み込んだ特定の実施形態に関して記載されている。特定の実施形態及びその詳細に対する本明細書におけるそのような言及は、本明細書に付随する特許請求の範囲を限定するものではない。当業者には、付随する特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、説明のために選択された実施形態に対して様々な修正を行ない得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.ヒドロキシル基を有する分子を含む処理された流体と、
b.そのヒドロキシル基を酸化作用物質や触媒で酸化することにより分子を活性化する活性化機構であって、分子の活性化が分子の結合親和性を増大させる機構と、を含む
ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記分子が、高分子または高分子化合物を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分子が、ポリフェノールを含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリフェノールが、植物に由来する
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記植物が、カメリア・シネンシスの葉、ザクロの皮、またはそれらの組合せを含む
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記分子が、タンニン、リグニン、フラボノイド、ヒドロキシクマリン、アルカロイド類、またはそれらの組合せを含む
請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記分子が、少なくとも1つの人工合成部分を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記触媒が、オキシドレダクターゼを含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記触媒が、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、金属触媒、またはそれらの組合せを含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記触媒が、動物細胞にある
請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記触媒が、病原体によって生成される
請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記病原体が、ウイルス、細菌、真菌、真核生物、プリオン、またはそれらの組合せを含む
請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記酸化作用物質が、活性酸素種(ROS)を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記活性酸素種が、過酸化水素を含む
請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記活性酸素種が、オゾン還元産物を含む
請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記流体が、ポリフェノール、多糖、またはそれらの組合せを含む乾燥混合物から調製される
請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリフェノール、前記多糖、または前記それらの組合せが、溶液中の前記触媒や前記酸化作用物質と接触したときに、前記活性化機構が開始される
請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ヒドロキシル基の活性化の後、ヒドロキシル基がカルボニル基になる
請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記ヒドロキシル基の活性化の後、前記分子がキノン基を含む
請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記ヒドロキシル基の活性化の後、前記分子が病原体の不活化において効果を有する
請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記酸化作用物質が、フリーラジカルを提供する
請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記活性化分子が、フリーラジカルを提供する
請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
a.植物から1以上の生体高分子を得ることと、
b.その1以上の生体高分子の分子結合親和性を増大させるために、その1以上の生体高分子上のヒドロキシル基を活性化することと、を含む
ことを特徴とする組成物の調製方法。
【請求項24】
前記1以上の生体高分子が、ポリフェノール、多糖、またはそれらの組合せを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記1以上の生体高分子を実質的に乾燥した形態で動物に与えることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記活性化が、前記1以上の生体高分子を酵素、酸化作用物質、またはそれらの組合せと接触させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記酸化作用物質を実質的に乾燥した形態で動物に与えることを含む
請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記活性化された1以上の生体高分子を動物のタンパク質と架橋することを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記1以上の生体高分子が、それら同士で架橋構造を形成する
請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記1以上の生体高分子を1以上の病原体と結合させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記1以上の生体高分子を前記1以上の病原体と結合させることによって凝集の沈殿が生じ、その結果、前記沈殿を濾過し、除去することができる
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記結合が、前記病原体の繁殖を停止させる
請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記1以上の活性化された生体高分子が、病原体またはウイルスの代謝経路または機能を阻止することができる
請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記1以上の活性化された生体高分子を用いて、動物の下痢症状を治療することを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒドロキシル基の活性化が、動物の部位表面の酵素によって誘発される
請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒドロキシル基の活性化が、酵素を外から添加することによって達成される
請求項23に記載の方法。
【請求項37】
酸化性物質と反応するオキシドレダクターゼまたは還元化合物の除去、不活化、またはそれらの組合せを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項38】
病原体の侵入を防ぐように、前記1以上の生体高分子を動物のタンパク質と架橋してバリアを形成させることを含む
請求項23に記載の方法。
【請求項39】
a.添加された活性酸素種を生体高分子上のヒドロキシル基の反応近傍に局在化させることと、
b.その生体高分子のヒドロキシル基を活性化することと、
c.その生体高分子を標的部位に適用することと、を含む
ことを特徴とする局所反応を容易にする方法。
【請求項40】
前記生体高分子が、ポリフェノール、多糖、またはそれらの組合せを含む
請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記活性化が、酵素に接触させることを含む
請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記活性酸素種が、過酸化水素を含む
請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記過酸化水素を前記生体高分子を含む溶液に添加して、前記ヒドロキシル基の反応近傍における前記過酸化水素の密度を増加させることを含む
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記生体高分子が、多数のヒドロキシル基を含む
請求項39に記載の方法。
【請求項45】
a.予め選択された化学物質を含む1以上の生体分子を調製することと、
b.その1以上の生体分子が動物組織を透過する速度を制御するために、サイズ、重量、またはそれらの組合せを選択することと、を含む
ことを特徴とする制御された化学物質送達方法。
【請求項46】
前記化学物質が、フェノール化合物を含む
請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記化学物質が、キノン化合物を含む
請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記生体分子が、植物由来の抽出物を含む
請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記調製することが前記生体分子を単離することを含む
請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記選択することが、前記生体分子を抽出することを含む
請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記生体分子を前記動物組織に適用しても前記動物組織からの毒性反応が生じないように、前記透過速度を適度に調整する
請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−519690(P2012−519690A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553012(P2011−553012)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/025805
【国際公開番号】WO2010/101844
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(511203293)メタアクティブ、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】METAACTIVE,INC.
【住所又は居所原語表記】903 Arnold Way,Menlo Park,California 94025 United States of America
【Fターム(参考)】