説明

生体分子を活性化およびコンジュゲートする方法

本願発明は生体分子のコンジュゲートを生成する方法であって、単一の単位操作に一体化される方法を対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は生体分子のコンジュゲートを生成する方法であって、単一の単位操作に一体化される方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
生命工学の発展と共に、生物医薬品が満たされていない医療の要求に合致するように開発されてきた。しかしながら、該医薬品はインビボでの半減期が短いため、標的とする治療または予防の目的を達成するのに、患者は頻繁におよび/または多量に生物医薬品を摂取する必要がある。長期にわたる静脈内治療または頻回注入は患者の生活の質に影響を及ぼしうる。ポリエチレングリコール(PEG)などの種々のポリマーは、生体分子(例、蛋白)とコンジュゲートして、多くの生体分子の半減期および生物活性を強化することができる(Reddy, Ann, Pharmacother. 34: 915-923, 2000)。ポリマーのコンジュゲーションは、他の利点として、(a)製造プロセスの間の製品の安定性の改善;(b)腎クリアランスの低下(Fungら、Polym. Prepr. 38: 565-566、1997);腫瘍標的化の改善(Yowellら、Cancer Treat. Rev. 28 Suppl. A: 3-6, 2002);抗原性および免疫原性の減少(Mullerら、Br. J. Haematol. 110: 379-384, 2000; Abshireら、Blood 96: 1709-1715, 2000);およびより大きな耐性(Safraら、Ann. Oncol. 11: 1029-1033, 2000; Judsonら、Rur. J. Cancer 37: 870-877, 2001)を包含する。PEG化はヒト成長因子(Kimら、Biomaterials 23: 2311-2317, 2002; Wuら、Protein Expr. Purif. 48: 24-27, 2006)、成長ホルモン放出因子(Piquetら、J. Vhromatogr. 944: 141-148, 2002)、アデノウイルスベクター(Etoら、Int. J. Pharm. 354: 3-8, 2008)およびプラスミドDNA(Hosseinkhaniら、J.Control Release, 97: 157-171, 2004)に適用されてきた。PEG化のおかげで、多くのコンジュゲーション反応化合物(Robertsら、Adv. Drug Deliv. Rev. 54: 459-476, 2002)およびポリマー誘導体(欧州特許第1578841号)が開発された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
生体分子−ポリマーのコンジュゲーションの適用が増えているため、製造要件に合致する、簡易で再生可能で拡張可能な単位操作を開発することが必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は、活性化剤と接触させることにより生体分子を活性化させる工程;該活性化剤を除去する工程;および該生体分子を活性化されたポリマーと反応させることにより該生体分子をコンジュゲートさせる工程を含む、生体分子のコンジュゲートを生成する方法であって、該方法の工程が単一の単位操作に一体化されている方法を対象とする。該方法は生体分子のコンジュゲートをコンジュゲートされていない生体分子から分離する工程をさらに含んでもよい。一の実施態様において、生体分子のコンジュゲートはサイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによりコンジュゲートされていない生体分子より分離される。
【0005】
一の実施態様において、単一の単位操作は一体化接線流濾過システムである。もう一つ別の実施態様において、活性化剤は緩衝液交換、pH調節剤または還元剤より選択される。さらなる実施態様において、還元剤はジチオスレイトールまたはトリス2−カルボキシエチルホスフィンである。他の実施態様において、該ポリマーはポリエチレングリコールであり、生体分子は蛋白、多糖類および核酸より選択される。さらなる実施態様において、蛋白は凝固因子、抗体、ホルモン、成長因子および酵素より選択される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】PEG化コントロール実施(run)のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を示す。
【図2】PEG化コントロール実施からのカチオン交換クロマトグラフィーの溶出ピークのSDS−PAGEを示す。
【図3】PEG化コントロールからのカチオン交換クロマトグラフィーの溶出ピークのサイズ排除クロマトグラフィーを示す。
【図4】TFFモードにて実施されるPEG化のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を示す。
【図5】実験室規模のTFF実施のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を示す。
【図6】実験室規模のTFF実施により産生されるPEG化されたrFVIIIのSEC特性を示す。
【図7】パイロット規模のTFF実施のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願発明は、記載の特定の装置またはその一部に限定されるものではなく、それ自体変化してもよいことが理解されるべきである。また、本願明細書に使用される用語は特定の実施態様だけを記載することを目的とし、本願発明の範囲を限定することを意図とせず、該範囲は添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるものであることも理解されるべきである。
【0008】
本願明細書および添付した特許請求の範囲に使用される、単数形態の「a」、「and」および「the」は、特記しない限り、複数の形態を包含すると認識されるべきである。かくして、例えば「an agent」への言及は、一または複数の「agents」に言及するものであり、当業者に知られているその等価物なども包含する。特記しない限り、本願明細書にて使用するすべての技術的または化学的用語は、本願発明が属する分野の当業者が一般に理解するのと同じ意義を有する。
【0009】
生体分子のPEG化などのコンジュゲーションは、ランダムなコンジュゲーションであっても、または部位特異的コンジュゲーションであってもよい。いずれの場合でも、生体分子は、通常、PEGなどのポリマーの効果的なカップリングを可能とするように活性化される。ランダムなPEG化では、PEGはランダムな活性化アミノ酸残基と共有的にコンジュゲートされてもよい。通常、一のPEG化されている生体分子と、複数のPEG化されている生体分子の混合物が得られる。部位特異的PEG化の場合、PEG分子が生体分子の表面上の特定の部位にコンジュゲートしうるように、該生体分子は遺伝的に修飾されていてもよい。この方法は副生成物の形成を最小限とし、その後の、生成物と副生成物を分離する精製工程の負担を軽くする。
【0010】
溶媒に暴露されている生体分子上の残基は、溶液のpHを調節するか、ジチオスレイトール(DTT)またはトリス2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)などの還元剤を用いることで活性化されてもよい。還元後に、PEG分子が共有結合を介してその活性化残基に結合されてもよい。還元剤を用いる場合、コンジュゲーション反応の前に該還元剤を除去する必要がある。実験室規模で還元剤を除去する場合に、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)が一般的方法である。
【0011】
生体分子の効率的な最先端のコンジュゲーションは、一般に複数の単位操作、例えば、
− 通常、攪拌式活性化タンクなどの混合容器中で実施される、還元剤とのインキュベーション/制御式混合を介して活性化し;
− 典型的には、サイズ排除クロマトグラフィーまたは他のクロマトグラフ法により、活性化剤を除去し;
− 通常、攪拌式コンジュゲーションタンクにて実施される、(PEGなどの)活性化ポリマーとのインキュベーション/制御式混合を介してコンジュゲートし;および
− そのコンジュゲートされている生体分子を未反応の分子および副生成物からイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを用いて分離する、
操作を必要とする。
【0012】
かかる方法は、複数のシステムを、商業的規模では、かなりの場所および手作業/単位操作間の移動を必要とする。加えて、SECは商業的規模の製造を実施するのが困難であり、独立した単位操作としてセットアップする必要がある。
【0013】
本願発明の方法は、接触/混合するための一体化接線流濾過を利用し、その後で反応体を除去することにより、活性化、活性化剤の除去およびコンジュゲーションの工程を単一の単位操作に一体化する。適当な分子量カットオフの膜を利用することで標的とする生体分子が保持されるが、濃度、pH、伝導度および緩衝液の種類などの物理化学的条件は活性化/コンジュゲーションの前、間または後で変化させてもよい。該システムにおける流体力学を調整することで最適濃度を調整することができ、所望により、膜表面にて局所的により高い接触濃度を達成させ、活性化およびコンジュゲーション工程をさらに最適化してもよい。この方法は、操作を容易にし、商業的規模の医薬の製造にて再現可能であり、拡張可能であり、かつ利用可能である。
【0014】
本願発明の方法に用いることのできるポリマーの例として、限定されるものではないが、ポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレングリコール、デキストラン、コロミン酸、または他の炭水化物をベースとするポリマー、アミノ酸ポリマー、ビオチン誘導体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸共重合ポリエチレン、無水リンゴ酸共重合ポリスチレン、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ヘパリン、アルブミン、セルロース、キトサンの加水分解物、グリコーゲン、アガロースおよびその誘導体、グアーガム、プルラン、イヌリン、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、アルギン酸加水分解物、およびそのいずれの均等物も挙げられる。ポリエチレングリコールの一例が、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。他の有用なポリアルキレングリコール化合物がポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)、PEG−グリシドエーテル(EPox−PEG)、PEG−オキシカルボニルイミダゾール(COl−PEG)、分岐したポリエチレングリコール、線状ポリエチレングリコール、フォーク状のポリエチレングリコールおよび複数のアームを有するか、超分岐したポリエチレングリコール(star−PEG)である。
【0015】
ポリエチレングリコール(PEG)は水可溶性ポリ(酸化エチレン)を包含する。典型的には、PEGは次の構造:「−−(OCHCH−−」からなり、ここでnは2〜4000である。本願明細書で用いる場合、PEGはまた、末端酸素が置換されているかどうかに応じて、「−−CHCH−−O(CHCHO)−−CHCH−−」および「(OCHCH)O−−」を包含する。
【0016】
ポリエチレングリコールはまた、限定するものではないが、ヒドロキシルまたはC120アルコキシ基などの、種々の末端または終点キャッピング基を有する構造を包含する。ポリエチレングリコールはまた、大半が、いわゆる50%より多くが−−OCHCH−−反復サブユニットを含有するポリマーを意味する。特定の形態に関して、PEGは多種の分子量、ならびに分岐、線状、フォーク状および多機能などの構造または形状とすることができる。
【0017】
生体分子の例として、例えば、蛋白、多糖または核酸が挙げられる。蛋白は、限定されないが、凝固因子、抗体、ホルモン、成長因子および酵素を包含する。
【0018】
本願明細書に記載の方法および材料は本願発明の代表例を意図とするものであり、本願発明の範囲は実施例の範囲によって限定されないことが理解されよう。当業者は開示されている方法および材料に基づき変更を加えて実施してもよく、かかる変形は本願発明の範囲内とみなされることを理解するであろう。
【実施例】
【0019】
本願発明がより理解されるために、以下に実施例を示す。これらの実施例は説明を目的とするに過ぎず、本願発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。本願明細書に記載の文献はすべてその内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
実施例1:PEG化
【0020】
コントロールにて、トリス2−カルボキシエチルホスフィン(TCEP)ストック溶液を7.2mlの精製されたrFVIII溶液(0.4μM)に充填した。還元した後、rFVIII溶液中のTCEPをSuperdex−75カラムを用いるSECにより除去した。PEG固体を該rFVIII溶液に30μMの最終PEG濃度にまで充填した。該rFVIIIをPEGと一緒に2−8℃で13時間インキュベートした。PEG化インキュベーションの終わりに、バッチを3倍に希釈し、4mLのカチオン交換クロマトグラフィーカラム上に充填した。該カラムに結合したrFVIIIを分離し、グラジエントで溶出させた。
【0021】
もう一つ別の実施では、695mLの精製されたrFVIII溶液(0.49μM)を50cmの30kDaの再生セルロース接線流濾過(TFF)膜を備えた接線流セットアップのリテンテート(retentate)の容器に充填した。まず、500mLのペルメエート(permeate)をTFF膜を介して浸透させることでrFVIII溶液を1.78μMに濃縮した。濃縮の後に、TCEPストック溶液を該濃縮されたrFVIII溶液に充填した。還元インキュベーションを30分間続けた。リテンテートのクロス流速を4L/分/mに維持し、一方でペルメエートを0.7L/分/mでリテンテートの溶液に再循環して戻した。還元の後、リテンテートにあるTCEPを5倍量のPEG化緩衝液に対して透析濾過することで取り除いた。透析濾過の間に、リテンテートおよびペルメエートのサンプルを各透析濾過の後でTCEP濃縮について分析するための容量で採取した。TCEPを除去する透析濾過の最後に、PEG固体をペルメエートの容器に充填し、39μMの最終のPEG濃度を得た。rFVIIIをPEGと一緒に約2時間インキュベートした。インキュベーションの間に、ペルメエートを4L/分/mでTFFシステムを介する再循環に付すことで混合物が提供された。PEG化のインキュベーションの最後に、リテンテートを集め、4倍に希釈した。希釈されたリテンテートの一部を5mLのカチオン交換クロマトグラフィーのカラムに充填した。カラムに結合したrFVIIIを分離し、グラジエント溶出により溶出させた。
【0022】
グラジエント溶出より得られるフラクションをSDS−PAGEおよび分析性HPLC−SECにより分析し、その一方でリテンテートおよびペルメエートの試料を分析性HPLCアッセイによりTCEPについて分析した。
【0023】
コントロール実験のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を図1に示す。それはピーク1、2および3の3本の溶出ピークからなり、各々、49.5%、58%および63.7%の緩衝液Bで溶出される。
【0024】
溶出ピークを特徴付けるのにSDS−PAGEを用いた。ヨウ化バリウム染色剤はポリエチレングリコールと複合体を形成するため、まずSDS−PAGEゲルをヨウ化バリウムで染色し、ポリエチレングリコールのrFVIIIのコンジュゲーションを確認した。画像を撮影した後、ゲルを脱染し、ついでクマシーブルーで再染色した。図2に示されるクマシーブルーで染色されたSDS−PAGEは、PEG化の前にrFVIIIが、その分子量が82kDaと116kDaの間にある、重鎖(HC)および軽鎖(LC)を含有することを示す。PEG化の後で、ピーク1のrFVIIIの軽鎖は182kDaより大きく上昇する。分子量の増加はポリエチレングリコールがPEG化の間に軽鎖にコンジュゲートしたことによるものであり、そのことがヨウ化バリウム染色剤により確認される。ピーク2はPEG化されていない種々の蛋白種を含有する。ピーク3に集められた種は重鎖およびPEG化されていない軽鎖を有する。
【0025】
各溶出ピークからの試料をSECにより分析した。図3はピーク1(PEG化rFVIII)、ピーク2およびピーク3(PEG化されていないrFVIII)のSEC分析の保持時間が、各々、16.6分、17.8分および19.4分であることを示す。PEGされていないrFVIIIの保持時間がPEG化されているrFVIIIの保持時間よりも2.8分長いため、SEC分析値をPEGのrFVIII分子とのコンジュゲーションを確認するための直交法として用いてもよい。
【0026】
PEG化方法における付加的な工程がコンジュゲーション工程の前に還元剤を除去することである。表1はTFFモードのPEG化にて集められたリテンテートおよびペルメエートが各容量の透析濾過の最後で同様のTCEP濃度を有することを示す。リテンテートおよびペルメエートの両方にあるTCEPは4倍容量の透析濾過の後にアッセイの検出限界より下にまで減少する。このことは透析濾過が還元剤を取り除く上で効果的であることを示す。
表1
【表1】

【0027】
TFFモードのPEG化より回収される物質のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を図4に示す。図1と同様に、それも3本の溶出ピークからなり、ピーク1、2および3は、各々、48.3%、56.1%および62.8%の緩衝液Bで溶出される。ピーク1の分析性HPLC−SECの保持時間は15.6分であり、それと比べてピーク3では18.5分であった。これら2つのカチオン交換クロマトグラフィーの溶出ピークの間の保持時間の違い(2.9分)はコントロールアームの違いと一致する。このことはTFFモードのPEG化法が生体分子−ポリマーのコンジュゲーションに含まれる工程を単一のTFF工程に一体化しうることを示す。
実施例2 整合性実験
【0028】
複数の実験室規模の実施を行い、TFFモードのPEG化方法の整合性を評価した。700−900mLの容量の精製されているrFVIIIを、50−100cmの30kDaの再生セルロース膜を備えたUniflux(登録商標)TFFシステム(GE Healthcare, Piscataway, NJ)に充填した。rFVIII溶液を標的とする濃度にまで濃縮した。TCEPをリテンテートの容器に充填し、250−450μMの有効濃度を達成し、30分間インキュベートした。還元した後、該システム中のTCEPを透析濾過により取り除いた。PEGを還元されたrFVIIIに充填し、13−26μMの有効濃度を達成し、10−15時間インキュベートした。濃縮および透析濾過の間に利用される、リテンテートのクロス流速およびペルメエートの流速は、各々、6−15L/分/mおよび0.5−2L/分/mである。PEG化の後、リテンテートをTFFシステムより取り出し、希釈し、56mLのカチオン交換クロマトグラフィーカラムに充填した。カラムに結合したrFVIIIを分離し、グラジエント溶出により溶出させた。SEC−HPLC分析により蛋白濃度を測定した。発色検定により試料の効能を測定した。
【0029】
実験室規模の実施で使用された膜の面積を表に示す。TFFの実施について使用されるrFVIII溶液の初期濃度は35μg/mLから55μg/mLの範囲である。該溶液はその後で還元およびPEG化の前に10倍まで濃縮された。
表2
【表2】

【0030】
実験室規模のTFF実施のカチオン交換クロマトグラフィー溶出特性を図5に示す。これらの特性は、PEG化されているrFVIII、PEG化されていないrFVIIIおよび他のrFVIII関連の種を含有する、図4に示される特性と同様である。
【0031】
図6に示されるHPLC−SECの分析性溶出特性は、PEG化されているrFVIIIがモノPEG化されていることを示す。表3に要約されるHPLC−SEC保持時間はPEG化されているrFVIIIがPEG化されていないrFVIIIよりも2.5−2.6分早く溶出されることを示す。このことは実施例1の観察と一致する。
表3
【表3】

【0032】
TFF実施のPEG化の効率を該プロセスの中間体の有効性を用いて計算した。効率は他の蛋白のPEG化と同等な48−72%(TABLE)の範囲にある(Brocchiniら、Adv. Drug Deliv. Rev. 60: 3-12, 2008;Schiavonら、Farmoco 55: 264-269, 2000;Leeら、Bioconjug. Chem. 18: 1728-1734, 2007)。この実施例はTFFモードのPEG化が文献に報告されているPEG化の効率に相当する効率を再生しうることを示す。
実施例3 パイロット規模のTFFモードのPEG化
【0033】
パイロット規模のTFFモードのPEG化を行い、該プロセスの拡張性を明らかにした。これらの実施にて、約25LのrFVIII溶液を0.5mの再生セルロース膜を備えたTFFスキッドに移した。該rFVIII溶液を濃縮し、600μMの有効濃度のTCEPで還元させた。還元させた後に、TCEPをPEG化緩衝液に対して透析濾過することで除去した。PEGを還元されたrFVIIIに充填し、効果的な40μMの濃度を達成した。濃縮および透析濾過の間に用いられたクロス流速および浸透流速は、各々、7L/分/mおよび1L/分/mであった。PEG化インキュベーションの最後に、リテンテートを収穫し、希釈し、4Lのカチオン交換クロマトグラフィーカラムに充填した。カラムに結合した蛋白を分離し、グラジエント溶出により溶出した。
【0034】
PEG化rFVIIIを分析性HPLC−SECで分析し、その一方でPEG化効率を発色検定により測定される有効性に基づいて算定した。
【0035】
該パイロット規模のTFFモードのPEG化のカチオン交換クロマトグラフィーの溶出特性を図7に示す。上記した実施例に示されるように、該溶出特性はPEG化rFVIIIピークおよび他のrFVIII関連の種を含有する。PEG化rFVIIIは、適当なグラジエント溶出でのカチオン交換クロマトグラフィーにより他の種より分離され得る。
【0036】
PEG化されている、およびPEG化されていないrFVIIIの保持時間を表4に要約する。これら2つのrFVIII種の間の保持時間の違いは3分である。PEG化の効率は40−55%の範囲にあった。これらはまた、上記した実施例に示される効率と一致する。この実施例はTFFモードのPEG化が拡張可能であり、矛盾しないことを示した。
表4
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化剤と接触させることで生体分子を活性化させる工程;
該活性化剤を除去する工程;および
該生体分子を活性化されたポリマーと反応させることにより該生体分子をコンジュゲートさせる工程;
を含む、生体分子のコンジュゲートを生成する方法であって、ここで該方法の工程が単一の単位操作に一体化されているところの、方法。
【請求項2】
単一の単位操作が一体化接線流濾過システムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生体分子のコンジュゲートをコンジュゲートされていない生体分子より分離する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
生体分子のコンジュゲートがコンジュゲートされていない生体分子よりサイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーにより分離される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
活性化剤が緩衝液交換、pH調整剤または還元剤より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
還元剤がジチオスレイトールまたはトリス2−カルボキシエチルホスフィンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ポリマーがポリエチレングリコールである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
生体分子が蛋白、多糖および核酸より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
蛋白が凝固因子、抗体、ホルモン、成長因子および酵素より選択される、請求項8記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−520441(P2013−520441A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554081(P2012−554081)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2011/025592
【国際公開番号】WO2011/103531
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(503106111)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (154)
【Fターム(参考)】