説明

生体刺激装置

【課題】効果的なセルライトの解消を可能にした生体刺激装置を提供する。
【解決手段】吸引カップ1は、生体表面に密着してこの生体を吸引する。吸引カップ1には、電気刺激電極14が固定して設けられ、また磁気刺激手段としての永久磁石15が回動自在に設けられる。したがって、電気刺激電極14からのイオン導入等を含む低周波や高周波の電気刺激と、永久磁石15からの磁気刺激が、生体の皮膚及び皮下組織を刺激して、筋運動や血行促進により刺激部位の基礎代謝を上げる。それと同時に、吸引カップ1により吸引された生体部位の物理的刺激により、生体の皮膚及び皮下組織をさらに刺激し、効果的にセルライトを解消できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルライト(肥大化した皮下の脂肪細胞等)を効果的に解消するための生体刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、美容装置等として使用され、内部を真空状態になされた筐体の吸引口を生体表面の皮膚に押し当てて移動させ、加熱手段で患部を温めつつ、真空ポンプとローラによって吸引マッサージを行うことにより、生体内のセルライトを除去する脂肪除去装置が、例えば特許文献1などに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された脂肪除去装置は、筐体下面に設けられたローラにより、筐体の吸引口を生体表面に押し当てたときに、ローラの回転の方向に沿って筐体が移動可能なようになされており、特にローラを軸支する回転板を回動自在にすることで、筐体をどの方向にも自由に移動させることができる構成となっている。
【0005】
しかしながら、単に吸引手段で患部を吸引してマッサージを行いつつ、筐体を自由に動かしながら加熱手段で体内のセルライトを柔らかくするだけでは、効果的なセルライトの除去効果が得られないといった不満があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決しようとするものであり、効果的なセルライトの解消を可能にした生体刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1の生体刺激装置は、生体表面に密着して当該生体を吸引する吸引カップに、電気刺激手段を固定して設けると共に、磁気刺激手段を回動自在に設け、前記吸引カップが、一端を排気手段に接続し他端を開口した中空部と、前記中空部の他端周囲にあって前記生体表面に密着する周辺部とを備え、前記磁気刺激手段を前記周辺部に沿って配置し、前記排気手段と前記中空部との間に設けた排気経路に、交換可能なエアフィルタを備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合、電気刺激手段からのイオン導入等を含む低周波や高周波の電気刺激と、磁気刺激手段からの磁気刺激が、生体の皮膚及び皮下組織を刺激することで、筋運動や血行促進により刺激部位の基礎代謝を上げると同時に、吸引カップにより吸引された生体部位の物理的刺激により、生体の皮膚及び皮下組織をさらに刺激し、効果的にセルライトを解消することができる。
【0009】
また、使用時に吸引カップの周辺部を生体表面に密着させて生体を吸引すると、回動自在な磁気刺激手段が必ず生体表面に当接することになり、磁気刺激手段からの磁気刺激を生体に効果的に与えつつ、回動する磁気刺激手段によって吸引カップを常にどの方向にも自由に移動させることができる。
【0010】
また、排気手段を動作させて、エアフィルタでゴミやオイル,皮脂,体毛等の異物を除去しながら、吸引カップが生体を吸引することにより、吸引不良や故障の頻度を大幅に減少させることができる。また、前記エアフィルタを交換可能にすることで、異物がつまって吸引能力が低下するのを防ぐことができ、長期間に渡り良好なフィルタ能力を維持できる。
【0011】
本発明の請求項2の生体刺激装置は、前記中空部と前記排気経路との間に永久磁石による連結部を設け、前記排気経路を前記中空部から取り外したときに前記エアフィルタを交換できる構成としたことを特徴とする。
【0012】
この場合、中空部と排気経路との脱着機構を簡素化することができ、部品の点数を減らすことができる。また、排気経路を中空部から取り外すだけで、その取り外した部分の清掃やエアフィルタの交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0013】
本発明の請求項3の生体刺激装置は、前記吸引カップの吸引圧を開放する第1の弁手段を前記吸引カップの外部に配設し、前記第1の弁手段を操作する操作体を、前記電気刺激手段に接続する信号路に共用して設けたことを特徴とする。
【0014】
この場合、吸引カップ内に複雑で故障しやすい機械的な第1の弁手段を設けることなく、吸引カップとしての信頼性を高めることができる。また操作体を適宜操作すれば、電気刺激手段に接続する信号路を通じて第1の弁手段を動作させ、吸引カップ内の吸引圧を速やかに開放することができる。
【0015】
本発明の請求項4の生体刺激装置は、前記排気手段により吸引した空気の貯留部を、前記排気手段と前記中空部との間に設けた排気経路に配設すると共に、前記貯留部の吸引圧を維持するように前記排気経路を封止する第2の弁手段を設け、この第2の弁手段は、前記排気手段を動作させるときに、前記排気経路の封止を解除して、前記貯留部と前記吸引カップとを連通させるものであることを特徴とする。
【0016】
この場合、第1の弁手段で吸引カップの吸引圧を開放したときに、別な第2の弁手段が排気通路を封止して、貯留部を気圧の低い状態で維持し、その後で排気手段を動作させるときに、第2の弁手段によって貯留部と吸引カップとを連通させることで、貯留部の負圧を利用して吸引カップによる吸引圧の立ち上がりを高速にすることができる。
【0017】
本発明の請求項5の生体刺激装置は、前記電気刺激手段を前記周辺部若しくはその近傍に配置したことを特徴とする。
【0018】
この場合、使用時に吸引カップの周辺部を生体表面に密着させて生体を吸引すると、電気刺激手段も密着若しくはその近傍に位置することになり、電気刺激手段からの電気刺激を生体に効果的に与えることが可能になる。
【0019】
本発明の請求項6の生体刺激装置は、前記吸引カップを透明もしくは半透明の素材で構成することを特徴とする。
【0020】
この場合、吸引カップを通して生体の吸着状態を目視で確認しながら施術することで、吸引レベルが適正であるか否かを容易に判断できる。また、その判断に基づいて吸引レベルを調整できれば、施術効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、効果的なセルライトの解消を可能にした生体刺激装置を提供できる。
【0022】
また、磁気刺激を生体に効果的に与えつつ、吸引カップを常にどの方向にも自由に移動させることができる。
【0023】
また、吸引カップと排気経路の連結部に永久磁石を配置して、脱着を簡素化しつつ、連結部の確実な連結を実現している。
【0024】
また、脱着を簡素化することにより、エアフィルタの交換がより容易になっている。
【0025】
請求項3の発明によれば、吸引の中断時、停止時に、排気経路開放手段で排気経路を開放することで、瞬時に吸引カップ内の気圧を大気圧に戻すことができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、排気経路開放手段で排気経路を開放したときに、排気経路封止手段で排気経路を封止することで、貯留部を気圧の低い状態で維持し、吸引の再開時に素早く吸引することができる。
【0027】
請求項5の発明によれば、電気刺激を生体に効果的に与えることが可能になる。
【0028】
請求項6の発明によれば、吸引カップの一部または全部を透明もしくは半透明の素材で構成することにより、吸引カップ内での生体の吸着状態が確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す生体刺激装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施例を示す生体刺激装置の吸引カップの概略図及び断面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す生体刺激装置の吸引カップと排気経路の連結部の概略図である。
【図4】本発明の一実施例を示す生体刺激装置の制御系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における生体刺激装置の実施例について、添付図を参照して詳細に説明する
【実施例1】
【0031】
図1は本発明における生体刺激装置の全体構成の一例を示すもので、前記生体刺激装置は、中空構造の吸引カップ1と、吸引カップ1の中空部(図2の符号11)から空気を排気する排気手段としてのポンプ3と、吸引カップ1とポンプ3との間を接続し、排気される空気の通路となる排気経路4と、吸引カップ1の中空部の吸引圧を瞬時に開放できる第1の弁手段としての開放用電磁バルブ5と、排気経路4の途中に設けられ、この排気経路4を開放または閉鎖する第2の弁手段としての封止用電磁バルブ6と、後述する電気刺激電極14やポンプ3の動作の他に、開放用電磁バルブ5や封止用電磁バルブ6の開閉を制御する制御手段7と、制御手段7を操作するための操作手段(図4の符号35)と、ポンプ3,排気経路4の一部,開放用電磁バルブ5,封止用電磁バルブ6,および制御手段7を収容する箱状の本体2と、から構成される。ここでの吸気カップ1は、好ましくはその一部もしくは全部が、透明または半透明の素材で形成される。
【0032】
また図1において、管状をなす排気経路4の途中には、排気経路4よりも大きな管径の貯留部としての空気溜り8と、分岐経路9の一端を接続する連結器10がそれぞれ設けられる。空気溜り8は、封止用電磁バルブ6とポンプ3との間の排気経路4に設けられる一方、分岐経路9の一端は、封止用電磁バルブ6と吸引カップ1との間の排気経路4に設けられる。分岐経路9の途中には、この分岐経路9を開放または閉鎖する前記開放用電磁バルブ5が設けられ、分岐経路9の他端が本体2の排気口2Aに接続して、本体2外部の外気(大気圧)と常時連通している。したがって、開放用電磁バルブ5によって分岐経路9を開放すると、吸引カップ1内と本体2の外部が同じ気圧になり、吸引カップ1の吸引圧が開放されるようになっている。
【0033】
次に、吸引カップ1の構成を図2に基づき詳しく説明すると、吸引カップ1は手で保持しやすいように椀状の外観形状を有し、その一端すなわち基端が排気経路4を介してポンプ3に接続され、他端すなわち先端が開口した中空部11を内部に備えている。この中空部11の開口11Aを取り囲むように、ほぼ平坦な端面12Aを有する周辺部12が、吸引カップの気密確保用の縁端部として形成される。さらに周辺部12は有底カップ状のカップ本体13と一体的に形成され、これらの周辺部12とカップ本体13とにより、吸引カップ1の外郭部材を形成している。そして、周辺部12の端面12Aを生体表面に押し付けて、端面12Aと生体表面を密着させると、中空部11の開口11Aが生体表面によって塞がれ、その状態でポンプ3を動作させて、中空部11内の空気を排気経路4から外部に排気すると、中空部11内の圧力が低下して、吸引カップ1が生体表面を吸引するようになっている。
【0034】
前記周辺部12には、電気刺激手段としての電気刺激電極14と、磁気刺激手段としての永久磁石15とを配置している。電気刺激電極14は、前記制御手段7から信号路に相当する信号線22を通して電気刺激信号が与えられるもので、ポンプ3により中空部11が排気され、吸引カップ1が生体表面を吸引したときに、その生体表面に確実に密着できるように、周辺部12若しくはその近傍に設置される。本実施例では、端面12Aと面一となるように、複数の平板状の電気刺激電極14が露出して設けられているが、その形状や個数については特に限定されない。また、吸引カップ1の周辺部12そのものを、金属などの導電性物質からなる電気刺激電極14で構成してもよい。
【0035】
一方、本実施例では各々の永久磁石15が何れも球形の形状を有し、カップ状に形成された周辺部12に沿って、その表面が端面12Aから一部突出するように回動自在に設けられる。ここでの永久磁石15は、例えば周辺部12とカップ本体13を別部材に構成して、これらの部材と共に取り付けられるようにしてもよく、また永久磁石15を吸着できる強磁性体の部材からなる周辺部12に穴を開け、そこに永久磁石15を設置して、永久磁石15が落ちないように構成してもよい。また、永久磁石15の形状についても、周辺部12に対して回転自在に設置できる形状であれば、球形でなくてもよい。
【0036】
また、磁力の強さを制御するために、前記磁気刺激手段を電磁石と該電磁石により磁化される強磁性体とで構成してもよい。こうすると、前記電磁石に流す電流を制御することで、前記磁気刺激手段の磁気刺激の強さを制御できる。また、前記強磁性体が回転自在に設置されていれば、前記電磁石は回転自在でなくてよい。
【0037】
21は、吸引カップ1と本体2とを連結する連結体としてのエアホースである。このエアホース21は、吸引カップ1を手で持って自由に移動できるようにするために、可撓性を有する部材で構成され、前述した排気通路4の他に、電気刺激電極14に接続する信号線22が内部に挿通される。また信号線22の例えばアース線を共用して、エアホース21の先端部には、操作体としての始動・停止スイッチ23が押動可能に設けられる。
【0038】
25は、エアホース21の先端部に固定して設けられ、吸引カップ1に着脱可能な形状を有するキャップ体である。このキャップ体25はスリーブ状で、エアホース21よりも硬質な部材で形成される。前記始動・停止スイッチ23は、操作がし易いようにキャップ体25の側部外方に突出して設けられる。キャップ体25の先端にはエアフィルタ26が交換可能に設けられているが、このフィルタ26はメッシュ状で、吸引カップ1から排気経路4を経てポンプ3に吸い込まれる空気中の異物を除去する機能を有する。特に本実施例では、図3に示すように、吸引カップ1からエアホース21を含めたキャップ体25を取り外したときに、キャップ体25の先端に装着したエアフィルタ26を取り外して、新しいフィルタ26に交換できる構成となっており、エアフィルタ26は着脱が容易なようにキャップ体25の先端に係合または嵌合される。
【0039】
図3において、吸引カップ1とエアホース21のキャップ体25は、永久磁石からなる連結部27の磁力を利用して連結される。連結部27は、吸引カップ1とキャップ体25の両方に設けてもよいし、吸引カップ1またはキャップ体25の一方の部材が磁性体であれば、他方の部材にのみ連結部27を設けてもよい。いずれにせよ、連結部27によって吸引カップ1とエアホース21を着脱可能にできれば、無理な力を加えずに吸引カップ1をエアホース21から簡単に着脱でき、吸引カップ1およびエアホース21の清掃や、エアフィルタ26の交換作業を容易にできる。
【0040】
図4は、制御系統の構成を示す図である。同図において、本体2内に設けられる制御手段7は、例えばマイクロコンピュータなどで構成され、その入力側には操作手段35を構成する前記始動・停止スイッチ23の他に、電気刺激や磁気刺激の度合い(強度,周波数など)を設定する設定スイッチ28が接続される一方で、出力側には、前述した排気手段としてのポンプ3と、第1の弁手段としての開放用電磁バルブ5と、第2の弁手段としての封止用電磁バルブ6と、電気刺激手段としての電気刺激電極14と、必要に応じて磁気刺激手段としての電磁石29が接続される。また制御手段7には、始動・停止スイッチ23や設定スイッチ28の操作結果に基づき、前記出力側に接続した各部を制御する制御部として、ポンプ3の動作を制御する排気手段制御部30と、開放用電磁バルブ5の動作を制御する開放用バルブ制御部31と、封止用電磁バルブ6の動作を制御する開放用バルブ制御部32と、電気刺激電極14に出力する刺激信号を制御する電気刺激制御部33と、電磁石29に出力する刺激信号を制御する磁気刺激制御部34をそれぞれ備えている。また図示しないが、ポンプ3やバルブ5,6の起動および停止タイミングを設定するために、時刻をカウントするタイマ手段を内蔵してもよい。
【0041】
次に、上記構成の生体刺激装置の動作について図4を用いて説明する。
【0042】
吸引カップ1の開口11Aを生体表面に向け、周辺部12の端面12Aを生体表面に軽く押し当てて、当該生体表面により開口11Aを閉塞する。この状態から操作手段35を構成する始動・停止スイッチ23を押動操作すると、制御手段7の開放用電磁バルブ制御部31が、開放用電磁バルブ5を閉状態にして分岐経路9を閉鎖する一方で、別な封止用電磁バルブ制御部32が、封止用電磁バルブ6を開状態にして排気経路4を開放し、それと共に排気手段制御部30がポンプ3を動作開始させ、排気経路4を通して中空部14内の空気を本体2の外部に排出する。これにより、吸引カップ1の中空部11内の圧力が低くなることにより、開口11Aに面した生体の皮膚が吸引され、電気刺激電極14に密着する。また、ポンプ3が動作することに伴い、吸引カップ1の中空部11のみならず、排気経路4の途中に設けた空気溜り8の内圧も低下する。
【0043】
このとき、電気刺激制御部33から電気刺激電極14に対し、電気刺激を与えるための電圧を刺激信号として印加することで、電気刺激手段18からの低周波や高周波の電気刺激(イオン導入等を含む)が生体に与えられる。また、生体表面には複数の永久磁石15が密着して、その永久磁石15から生体に磁力すなわち磁気刺激が与えられる。こうした電気刺激と磁気刺激を、周辺部の端面12Aに密着させた生体表面に対し集中的に与えることで、その生体の皮膚及び皮下組織を刺激し、筋運動や血行促進により刺激部位の基礎代謝を上げることができる。さらに、前記ポンプ3を動作させることで引き上げられた生体部位の物理的刺激によって、皮膚及び皮下組織がさらに刺激され、効果的にセルライトを解消することができる。
【0044】
なお、電気刺激制御部33から電気刺激電極14に与えられる刺激信号の振幅,周波数,印加タイミングなどは、予め設定スイッチ28の操作により設定され、必要に応じて周期的またはランダムに可変することも可能である。電気刺激制御部33がこのような刺激信号を生成することで、セルライト解消の効果を最適化することができる。
【0045】
同様に、磁気刺激手段に電磁石19を使用した場合、磁気刺激制御部34から電磁石29に与えられる刺激信号の振幅,周波数,印加タイミングなどは、予め設定スイッチ28の操作により設定され、必要に応じて周期的またはランダムに可変することも可能である。磁気刺激制御部34がこのような刺激信号を生成することで、セルライト解消の効果を最適化することができる。
【0046】
また、異なる部位の施術を行なうために、生体表面と吸引カップ1とを密着させたまま、吸引カップ1を所望の方向に動かしてもよい。生体表面が密着する周辺部12の端面12Aには、どの方向にも回動自在な永久磁石15が配置されるため、吸引カップ1をスムースに動かすことができる。
【0047】
一方、吸引カップ1による吸引を中断または停止する場合には、始動・停止スイッチ23を再度押動操作する。それにより開放用電磁バルブ制御部31は、開放用電磁バルブ5を開状態にして分岐通路9を開放し、吸引カップ1の中空部11内と本体2の外部とを連通させて、中空部11の吸引圧を瞬時に開放する。
【0048】
また、前記開放用電磁バルブ5を開状態にする直前に、封止用電磁バルブ制御部32は封止用電磁バルブ6を閉状態にして、空気溜り8を排気経路4から切り離し、この空気溜り8を気圧の低い状態に維持する。そして、吸引の再開時に始動・停止スイッチ23を再び押動操作すれば、開放用電磁バルブ制御部31が開放用電磁バルブ5を閉状態にして分岐経路9を閉鎖する一方で、封止用電磁バルブ制御部32が封止用電磁バルブ6を開状態にして、空気溜り8からポンプ3に至る経路を排気経路4として中空部11に連通させ、素早く中空部11を負圧にして吸引状態に復帰させることができる。この場合、前述したように排気手段制御部30がポンプ3を動作開始させ、排気経路4を通して中空部14内の空気を本体2の外部に強制的に排出することができる。
【0049】
このように本実施例では、生体表面に密着して当該生体を吸引する吸引カップ1に、電気刺激手段となる電気刺激電極14を固定して設けると共に、磁気刺激手段としての例えば永久磁石15を回動自在に設けている。
【0050】
この場合、電気刺激電極14からのイオン導入等を含む低周波や高周波の電気刺激と、永久磁石15からの磁気刺激が、生体の皮膚及び皮下組織を刺激することで、筋運動や血行促進により刺激部位の基礎代謝を上げると同時に、吸引カップ1により吸引された生体部位の物理的刺激により、生体の皮膚及び皮下組織をさらに刺激し、結果として共通する吸引カップ1で効果的にセルライトを解消することができる。
【0051】
また、ここでの吸引カップ1は、一端を排気手段であるポンプ3に接続する一方で、他端に開口11Aを有した中空部11と、中空部11の他端周囲にあって生体表面に密着する端面12Aを有する周辺部12とを備えており、永久磁石15を周辺部12に沿って複数配置している。
【0052】
この場合、使用時に吸引カップ1の周辺部12を生体表面に密着させて生体を吸引すると、回動自在な永久磁石15が必ず生体表面に当接することになり、永久磁石15からの磁気刺激を生体に効果的に与えつつ、回動する永久磁石15によって吸引カップ1を常にどの方向にも自由に移動させることができる。
【0053】
また、電気刺激電極14を周辺部12若しくは周辺部12の近傍に配置することで、装置の使用時に吸引カップ1の周辺部12を生体表面に密着させて生体を吸引すると、電気刺激電極14も密着若しくはその近傍に自ずと位置することになり、電気刺激電極14からの電気刺激を生体に効果的に与えることが可能になる。
【0054】
その他に本実施例では、ポンプ3と吸引カップ1の中空部11との間に設けた排気経路4に、交換可能なエアフィルタ26を備えている。
【0055】
この場合、ポンプ3を動作させて、エアフィルタ26でゴミやオイル,皮脂,体毛等の異物を除去しながら、吸引カップ1が生体を吸引することにより、ポンプ3が異物を吸い込むのを防いで、吸引不良や故障の頻度を大幅に減少させることができる。また、エアフィルタ26を排気経路4から交換可能にすることで、異物がつまって吸引能力が低下するのを防ぐことができ、長期間に渡り良好なフィルタ能力を維持できる。
【0056】
また好ましくは、吸引カップ1の中空部11と排気経路4との間に永久磁石15による連結部27を設け、排気経路4を吸引カップ1の中空部11から取り外したときに、前記エアフィルタ26を交換できる構成とする。
【0057】
こうすれば、連結部27を利用して中空部11と排気経路4との脱着機構を簡素化することができ、部品の点数を減らすことができる。また、連結部27の磁力に抗して、排気経路4を中空部11から取り外すだけで、その取り外した部分の清掃やエアフィルタの交換作業を容易に行うことが可能になる。
【0058】
さらに、吸引カップ1の吸引圧を開放する第1の弁手段として、開放電磁バルブ5を吸引カップ1の外部に備えた例えば本体2に配設し、制御手段7ひいては開放電磁バルブ5を操作する操作体としての始動・停止スイッチ23を、電気刺激電極14に接続する信号線22に共用して設けている。
【0059】
この場合、吸引カップ1内に複雑で故障しやすい機械的な開放電磁バルブ5を設けることなく、吸引カップ1としての信頼性を高めることができる。また始動・停止スイッチ23を適宜操作すれば、電気刺激電極14に接続する信号線22を通じて開放電磁バルブ5を動作させ、吸引カップ1内の吸引圧を速やかに開放することができる。
【0060】
また本実施例では、ポンプ3により吸引した空気の貯留部としての空気溜り8を、ポンプ3と中空部11との間に設けた排気経路4に配設すると共に、空気溜り8の吸引圧を維持するように排気経路4を封止する第2の弁手段として封止用電磁バルブ6を設け、この封止用電磁バルブ6は、ポンプ3を動作させるときに排気経路4の封止を解除して、空気溜り8と吸引カップ1とを連通させるように構成している。
【0061】
この場合、開放電磁バルブ5で吸引カップ1の吸引圧を開放したときに、別な封止用電磁バルブ6が排気通路4の途中を封止して、空気溜り8を気圧の低い状態で維持し、その後でポンプ3を動作させるときに、封止用電磁バルブ6によって空気溜り8と吸引カップ1とを連通させることで、空気溜り8の負圧を利用して吸引カップ1による吸引圧の立ち上がりを高速にすることができる。
【0062】
さらに、上記実施例において、吸引カップ1を透明もしくは半透明の素材で構成してもよく、吸引カップ1を通して生体の吸着状態を目視で確認しながら施術することで、吸引レベルが適正であるか否かを容易に判断できる。また、その判断に基づいて、例えば設定スイッチ28を操作しながらポンプ3による吸引レベルを調整できれば、セルライト解消の施術効率を向上させることができる。
【0063】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。例えば、本実施例においては、始動・停止スイッチ23をエアホース21に配置したが、これを吸引カップ1や本体2に配置してもよい。これは、他の例えば設定スイッチ28についても、同じことがいえる。
【符号の説明】
【0064】
1 吸引カップ
2 本体
3 ポンプ(排気手段)
4 排気経路
5 開放用電磁バルブ(第1の弁手段)
6 封止用電磁バルブ(第2の弁手段)
8 空気溜り(貯留部)
11 中空部
12 周辺部
14 電気刺激電極(電気刺激手段)
15 永久磁石(磁気刺激手段)
22 信号線(信号路)
23 始動・停止スイッチ(操作体)
26 エアフィルタ
29 電磁石(磁気刺激手段)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面に密着して当該生体を吸引する吸引カップに、電気刺激手段を固定して設けると共に、磁気刺激手段を回動自在に設け
前記吸引カップが、一端を排気手段に接続し他端を開口した中空部と、前記中空部の他端周囲にあって前記生体表面に密着する周辺部とを備え、前記磁気刺激手段を前記周辺部に沿って配置する生体刺激装置において、
前記排気手段と前記中空部との間に設けた排気経路に、交換可能なエアフィルタを備えたことを特徴とする生体刺激装置。
【請求項2】
前記中空部と前記排気経路との間に永久磁石による連結部を設け、前記排気経路を前記中空部から取り外したときに前記エアフィルタを交換できる構成としたことを特徴とする請求項1記載の生体刺激装置。
【請求項3】
前記吸引カップの吸引圧を開放する第1の弁手段を前記吸引カップの外部に配設し、前記第1の弁手段を操作する操作体を、前記電気刺激手段に接続する信号路に共用して設けたことを特徴とする請求項1または2記載の生体刺激装置。
【請求項4】
前記排気手段により吸引した空気の貯留部を、前記排気手段と前記中空部との間に設けた排気経路に配設すると共に、前記貯留部の吸引圧を維持するように前記排気経路を封止する第2の弁手段を設け、この第2の弁手段は、前記排気手段を動作させるときに、前記排気経路の封止を解除して、前記貯留部と前記吸引カップとを連通させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の生体刺激装置。
【請求項5】
前記電気刺激手段を前記周辺部若しくはその近傍に配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の生体刺激装置。
【請求項6】
前記吸引カップを透明もしくは半透明の素材で構成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の生体刺激装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−39447(P2013−39447A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−258109(P2012−258109)
【出願日】平成24年11月27日(2012.11.27)
【分割の表示】特願2009−197671(P2009−197671)の分割
【原出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(391009800)株式会社テクノリンク (11)
【Fターム(参考)】