説明

生体医用材料

本発明は、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム材料の調製方法を提供する。該方法は、リン酸イオン、ケイ酸イオン、カルシウムイオン及び任意選択で炭酸イオンを含む水溶液の調製を伴う、ケイ素及び任意選択で炭素を含有するリン酸カルシウム沈殿物を水性沈殿法により形成するステップであり、前記溶液中のCa/P及びCa/(P+Si)の比が約1.67を超えて維持されるステップと、炭素及び酸素を含む雰囲気中で沈殿物を加熱して、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム材料を形成するステップとを含む。本発明は、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト合成材料、並びに生体医用材料も提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、骨置換用合成材料などの生体医用材料に関する。特に、本発明は、炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム材料及びその調製方法に関する。
【0002】
老齢化と、より大きな生活の質への期待との複合的な影響により、損傷した骨及び関節の置換又は強化用の整形外科インプラントに対する世界的需要が増大している。骨移植では、現在の標準的方法は、自家移植片及び同種移植片の使用を含むが、この方法は、供給及び硬度における制限により、非理想的であると認識されつつある。30年以上の間、伝統的骨移植片を代替又は増量するための骨移植片代替物としてのセラミックスの使用が検討されてきた。特に、ヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウムは、その骨伝導性により奨励されてきた。
【0003】
したがって、外科的技術及び医学知識が進歩し続けるのに伴い、骨置換用合成材料に対する要求が増大している。その結果、関節及び顔面の再建などの、耐荷重及び非耐荷重の骨欠損の両方の充填用の骨置換用合成材料の開発への興味が増大しつつある。
【0004】
ヒドロキシアパタイトの結晶構造と骨の無機質の間の類似性と関連するヒドロキシアパタイトの生体適合性は、骨欠損部の強化用材料としてのヒドロキシアパタイトへの大きな興味をもたらした。無機質のアパタイト群は、リン酸カルシウムに基づいており、化学量論的ヒドロキシアパタイトは、1.67のCa/Pモル比を有する。ヒドロキシアパタイトは、化学式Ca10(PO(OH)を有する。合成ヒドロキシアパタイトは、多孔質、粒状、プラズマ溶射及び高密度な形態の骨置換材料として使用されていると報告されている。研究は、ヒドロキシアパタイトが、人骨の主要な無機成分と構造的に類似であることを示している。合成アパタイトと生体ヒドロキシアパタイトの間の違いにより、合成アパタイトは生体ヒドロキシアパタイトより生物学的活性が低く、強度が低い。生体ヒドロキシアパタイトは、3〜7wt%という相当量の炭酸塩、並びにナトリウム、カリウム及びマグネシウムを含めた、微量の他の要素を含有することが示された。炭酸基が、2種の部位、リン酸基部位(B−部位)及び水酸化部位(A−部位)で置換し得るという証拠があり、生体アパタイトは、主にB型のアパタイトである。
【0005】
ケイ素は、生体硬組織の発達及び成長に対して、少量で顕著な影響を有することが示された。ラット及びマウスの幼若骨の類骨などの活性成長領域に、ケイ素が局在することが示された。骨形成に対するケイ素の重要性は、ガラスセラミック及びセラミックを含有する生体活性ケイ酸塩の正の特性によりさらに裏付けられる。ケイ素は、リン酸基部位(B部位)でヒドロキシアパタイト格子に入ると考えられている。ケイ素は、ケイ素イオン又はケイ酸イオンとして存在及び/又は置換すると考えられている。PCT/GB97/02325は、ケイ酸置換ヒドロキシアパタイト材料について記載している。
【0006】
本発明は、先行技術に伴う問題の少なくともいくつかを扱うこと、及び様々な共置換リン酸カルシウム材料に基づいた新規な生体医用材料の提供を目的とする。
【0007】
従って、本発明は、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム材料の調製方法であって、その溶液中のCa/P及びCa/(P+Si)の比が約1.67以上に維持される、リン酸イオン、ケイ酸イオン、カルシウムイオン及び任意選択で炭酸イオンを含む水溶液の調製を伴う水性沈殿法により、ケイ素及び任意選択で炭素を含有するリン酸カルシウム沈殿物を形成すること、並びに炭素及び酸素を含む雰囲気中で該沈殿物を加熱して、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム材料を形成することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明について、次にさらに記載する。以下の文章では、本発明の様々な態様/実施形態をより詳細に規定する。そのように規定する各態様/実施形態は、明確に反対のことを示さない限り、任意の他の態様/実施形態又は複数の態様/実施形態と組み合わせてもよい。特に、好ましい又は有利なものとして示す任意の特徴は、好ましい又は有利なものとして示す任意の他の(1種又は複数の)特徴と組み合わせてもよい。
【0009】
該リン酸カルシウム材料は、一般に、アパタイト、より好ましくはヒドロキシアパタイトを含むであろう。該リン酸カルシウム材料は、単相材料又は本質的に単相の材料であることが好ましい。
【0010】
疑義を回避するために、本明細書で使用するケイ酸置換という用語は、ケイ素置換も包含する。同様に、本明細書で使用するケイ素置換という用語は、ケイ酸置換も包含する。この解釈は、炭酸置換及び炭素置換に等しく当てはまる。
【0011】
置換されるという用語により、ケイ酸/炭酸イオンが、先行技術とは対照的に、アパタイト結晶格子へ置換され、単に添加されるわけではないことを意味する。
【0012】
疑義を回避するために、本明細書でケイ酸/炭酸イオンの百分率を使用する場合、これらの百分率は重量換算である。
【0013】
該水溶液は、非生体適合性カチオンを実質的に含まないことが有利である。該水溶液は、カルシウムイオン及び水素イオン以外のカチオンを実質的に含まないことが好ましい。
【0014】
該水溶液が炭酸イオンを含有することが好ましいが、該水溶液は、炭酸イオンを含んでいてもいなくてもよい。このことが、より多くの炭酸イオンの、その構造への置換を促進する。
【0015】
該沈殿物は、通常、加熱ステップの前に回収及び乾燥する場合も出てくる。
【0016】
該沈殿物が加熱される雰囲気は、二酸化炭素及び任意選択で水蒸気も含むことが好ましい。その雰囲気は、好ましくはガス(例えば、二酸化炭素)1リットル当たり0〜0.05グラムの水、さらに好ましくはガス1リットル当たり0.005〜0.05グラムの水を含む。そのような雰囲気中での沈殿物の加熱は、所望の共置換材料の取得を促進することが見出された。例えば、窒素及び空気などの他の少量のガスも、その雰囲気中に存在してもよい。好ましい実施形態では、ガスは、不可避な不純物と共に、二酸化炭素及び任意選択で水のみを含む。
【0017】
該水溶液のpHは、アルカリ性に維持されることが有利である。特に、該水溶液のpHは、好ましくは7より高い、より好ましくは9〜12、さらにより好ましくは約10である。該溶液のpHを所望のpHに調整するために、アルカリが該溶液へ添加されることが好ましい。アルカリは、例えば、水酸化アンモニウム又はアンモニアでもよい。
【0018】
加熱ステップは、一般に100℃〜1500℃、好ましくは600〜1200℃、より好ましくは900〜1100℃の温度で、一般に該沈殿物の焼成及び/又は焼結を含むであろう。
【0019】
該沈殿物の焼成及び/又は焼結の間、該沈殿物の一部又は実質的に全てが、例えば、酸化カルシウム及び/又はリン酸三カルシウムの不純物相を実質的に有さない、本質的に相純粋な(phase−pure)ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム合成材料(例えば、ヒドロキシアパタイト)に変化することが好ましい。
【0020】
焼成及び/又は焼結は、一般に、最大で120時間、好ましくは10分〜4時間実施する。しかし、焼成及び/又は焼結は、さらなるA型炭酸イオン置換(OH部位で、他の置換イオンとは別に起こる)が所望される場合、少なくとも4時間実施してもよい。
【0021】
本発明による方法は、最大で約2.86重量%のケイ素と当量の約9.37重量%のケイ酸イオン(SiO4−)、及び最大で約13重量%の炭酸イオン(CO2−)を含む材料の形成を可能にする。その材料、例えば、焼成/焼結製品は、これらのレベルで本質的に相純粋であることが好ましい。
【0022】
本発明による方法は、少なくとも0.1重量%のケイ素を含む材料をもたらすことが好ましい。これは、約0.3%のケイ酸イオン(SiO4−)に相当する。より好ましくは、その材料は、少なくとも0.3%のケイ素、より好ましくは少なくとも0.5%、さらにより好ましくは少なくとも0.7%を含む。ケイ素の好ましい範囲は、0.1〜2.8%、より好ましくは0.3〜2%、最も好ましくは0.5〜1.6%である。
【0023】
本発明による方法は、少なくとも0.5重量%の炭酸イオン(CO2−)、より好ましくは少なくとも1%の炭酸イオン、さらにより好ましくは少なくとも1.5%の炭酸イオンをもたらすことが好ましい。炭酸イオンの好ましい範囲は、1〜9%、より好ましくは2〜8%、最も好ましくは3〜7%である。
【0024】
ケイ酸イオンは、一般に、リン酸カルシウム格子のB部位(リン酸基部位、PO3−)で置換される。炭酸イオン(CO2−)も、一般に、リン酸カルシウム格子のB部位、又はB部位及びA部位(OH、水酸基部位)で置換される。該イオンは、該格子で置換され、このことは、該材料の単なるドーピングとは異なる。
【0025】
B部位で置換される炭酸イオンの量は、Ca/Pモル比及び/又は添加されるケイ酸イオンの相対量を変化させることにより制御し得る。例えば、Ca/(P+Si)=1.72、並びに10モルのCa、5.62モルのP及び0.19モルのSiに関しては、これは、B部位の0.19モルの炭酸イオン、又は約1.2wt%の炭酸イオンに相当する。同様に、Ca/(P+Si)=1.76、並びに10モルのCa、5.36モルのP及び0.32モルのSiに関しては、これは、B部位の0.32モルの炭酸イオン、又は約1.9wt%の炭酸イオンに相当する。
【0026】
A部位で置換される炭酸イオンの量は、焼結温度及び焼結時間を変化させることにより制御し得る。
【0027】
共置換リン酸カルシウム材料中の、ケイ酸イオン対炭酸イオンの比は、一般に、1:99〜99:1の範囲、好ましくは約50:50である。
【0028】
ケイ酸イオン対炭酸イオンの比は、Ca/Pモル比及び/又は添加されるケイ酸イオンの相対量を変化させることにより制御し得る。例えば、Ca/(P+Si)=1.76、並びに10モルのCa、5.36モルのP及び0.32モルのSi(約2.9wt%のケイ酸イオン)に関しては、これは、B部位の0.32モルの炭酸イオン、又は約1.9wt%の炭酸イオンに相当する。同様に、Ca/(P+Si)=1.76、並びに10モルのCa、5.36モルのP及び0.16モルのSi(約1.5wt%のケイ酸イオン)に関しては、これは、B部位の0.48モルの炭酸イオン、又は約2.9wt%の炭酸イオンに相当する。同様に、Ca/(P+Si)=1.76、並びに10モルのCa、5.36モルのP及び0.48モルのSi(約4.4wt%のケイ酸イオン)に関しては、これは、B部位の0.16モルの炭酸イオン、又は約1.0wt%の炭酸イオンに相当する。
【0029】
本発明の方法により生成される材料は、様々なカチオンによりさらなる置換を受けてもよい。例えば、カルシウムイオンの一部は、例えば、マグネシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びイットリウムイオンの1種又は複数により置換し得る。そのような置換は、リン酸基部位及び水酸基部位で起こるケイ酸/炭酸置換に対して非依存的又は依存的に発生し得る。
【0030】
本発明の方法は、水性沈殿を伴う。水性沈殿は、(i)水素イオン及び任意選択のカルシウムイオン以外のカチオンを実質的に含まない、リン酸イオンの供給源、ケイ酸イオンの供給源及び任意選択で炭酸イオンの供給源を含む(1種又は複数の)水溶液を調製すること、(ii)カルシウム含有化合物を含む水溶液又は懸濁液を調製すること、(iii)(i)の(1種又は複数の)水溶液を(ii)の水溶液又は懸濁液と混合することを含むことが好ましい。
【0031】
混合は、反応物が反応する条件下で実施され、それにより、ケイ酸イオン及び任意選択で炭酸イオンを含むリン酸カルシウム沈殿物を生じる。
【0032】
それぞれがリン酸イオン、ケイ酸イオン及び任意選択の炭酸イオンの1種又は複数を含む2種以上の溶液は、カルシウム含有化合物の水溶液又は懸濁液へ個別に添加し得る。
【0033】
それぞれがリン酸イオン、ケイ酸イオン及び任意選択の炭酸イオンの1種又は複数を含む2種以上の溶液は、カルシウム含有化合物の水溶液又は懸濁液へ同時に添加してもよい。
【0034】
換言すると、該溶液は、個別の溶液として、又は組合せとして調製し得る。
【0035】
(1種又は複数の)該水溶液は、炭酸及び/又はその塩を含む、炭酸イオンの供給源を含むことが好ましい。炭酸及び/又はその塩を含む(1種又は複数の)該水溶液は、炭素及び酸素を含有するガス(例えば、二酸化炭素)を水に通過させることにより形成し得る。
【0036】
(1種又は複数の)該水溶液中のリン酸イオンの供給源は、リン酸及び/又はその塩を含むことが好ましい。より好ましくは、リン含有化合物は、リン酸及び/又はリン酸アンモニウムの一方又は両方から選択される。
【0037】
(1種又は複数の)該水溶液中のケイ酸イオンの供給源は、ケイ素又はケイ酸を含有する化合物を含むことが好ましい。その例として、オルトケイ酸テトラエチル及び酢酸ケイ素などのカルボン酸ケイ素が挙げられる。
【0038】
カルシウム含有化合物は、カルシウム塩を含むことが好ましい。カルシウム塩は、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム及び硝酸カルシウム水和物の1種又は複数から選択することが好ましい。
【0039】
炭素及び酸素含有ガス(例えば、二酸化炭素)は、ステップ(i)、ステップ(ii)及び/又はステップ(iii)の溶液を通過させることが好ましい。
【0040】
本発明による方法の一実施形態では、最終製品中の炭酸イオンは、沈殿生成物が少なくとも1.67のCa/(P+Si)モル比を有するように、加熱ステップの間にのみ導入される。換言すると、沈殿は、添加された任意の炭酸イオンの非存在(又は実質的非存在)下で実施される。加熱ステップは、CO雰囲気又はCO/HO雰囲気中での焼成又は焼結を含んでもよい。さらに、リン酸イオン(以降は「P」)の供給源(例えば、リン酸溶液)及びケイ酸イオン(以降は「S」)の供給源(例えば、TEOS溶液)は、同時又は個別に、Sの前にP、又はPの前にSを添加し得る。さらに、炭酸イオン(以降は「C」)の供給源(例えば、炭酸水溶液)は、P及び/又はS溶液のいずれか又は両方へ添加することができ、或いは、カルシウム含有化合物の溶液/懸濁液へ添加し得る。さらに、S溶液は、P溶液の添加(C溶液の有無にかかわらず)の前に、カルシウム含有化合物の溶液/懸濁液へ添加し得る。
【0041】
別の実施形態では、ステップ(i)の水溶液は、二酸化炭素を水に吹き込んで炭酸を形成し、次いで、そこへP溶液(例えば、HPO)及び/又はS溶液(例えば、TEOS)を添加すること、或いは高圧下で二酸化炭素を水へ添加し、次いで、P溶液及び/又はS溶液を添加することにより調製し得る。一般に、P及びSは、反応用のPO3−及びSiO4−イオンを用意するために、炭酸の溶液へ添加する場合も出てくる。
【0042】
別の実施形態では、ステップ(i)の水溶液は、二酸化炭素をP及び/又はSの溶液に吹き込んで、その場でCO2−イオンを形成すること、或いは圧力下で該溶液へ二酸化炭素を添加することにより調製し得る。さらに、二酸化炭素は、蒸発時に該溶液を炭酸塩化する固体として導入し得る。
【0043】
ステップ(i)の溶液は、ステップ(ii)でカルシウム含有化合物の水溶液又は懸濁液と混合される。このことは、全ての実施形態に当てはまる。例えば、硝酸カルシウム(Ca(NO)の溶液又は水酸化カルシウム(Ca(OH))の懸濁液を使用し得る。好ましくは、混合は、ステップ(i)の溶液の、カルシウム含有化合物の溶液/懸濁液への滴下により実施する場合も出てくる。しかし、該溶液及び懸濁液のバルク混合は、沈殿反応を生じるために組み合わせる混合物が激しく撹拌されるならば、着手してもよい。
【0044】
P+S+C溶液(すなわち、「完全な」溶液)の、カルシウム含有溶液/懸濁液への添加の代替として、P溶液及びS溶液は、独立的、同時(2つの別々の容器から)又は順々に添加してもよい。これらの2種の溶液は、両方が予め炭酸塩化されていても、2種の溶液の一方のみが予め炭酸塩化されていてもよく、或いはどちらも予め炭酸塩化されていなくてもよい。一部の条件下では、CaCOの形成を促進することになり得るが、カルシウム溶液/懸濁液が炭酸塩化されるように、任意の上述の組合せを変更することが、さらなる選択肢である。
【0045】
混合ステップ(ii)の間、二酸化炭素は、該混合物に吹き込み得る。
【0046】
カルシウム含有溶液/懸濁液及びリン含有溶液中の、Pに対するCaの比は、混ぜ合わせると、1.67以上に維持される。
【0047】
反応物の添加の間及び/又は添加の完了後、該混合物のpHは、必要であれば調整し得る。アルカリpHが該方法にとって有利であり、所望の沈殿物を得るために、pH10〜12が特に好ましい。pHは、例えば、アンモニア、又は水酸化アンモニウムなどの別の好適なアルカリの添加により調整し得る。このようにアンモニア又は別のアルカリが添加されると、それを最終製品から取り除くために、適切なステップを踏むことが好ましい。
【0048】
例えば、濾過及び乾燥、又は噴霧乾燥による回収後の、該方法のステップ(iii)の沈殿物は、湿潤又は乾燥の二酸化炭素雰囲気中で焼成/焼結し得る。特に、乾燥沈殿物は、100〜1500℃、好ましくは600〜1200℃の範囲の温度で、ガス1リットル当たり最大で0.05グラムの水(好ましくはガス1リットル当たり0.01〜0.05グラムの水)を含有する二酸化炭素中で焼結/焼成し得る。焼結時間は、一般に、最大で120時間、好ましくは10分〜4時間であろう。さらなるA型炭酸イオン置換(OH部位で、zCO←→2zOHにより他の置換とは別に起こる)が所望される場合、より長い焼結時間(>4時間)を使用し得る。
【0049】
炉の特定の構成、例えば高圧炉により、大気圧より僅かに高い圧力が発生すると見込まれるが、焼結は、一般に、大気圧、すなわち、圧力を課されていない状態で実施する場合も出てくる。
【0050】
前述したように、炭酸イオンは、沈殿段階で導入される必要はないが、代わりに、1.67を超えるCa/(P+Si)モル比を用いて沈殿物を形成し、次いで回収した沈殿物をCO雰囲気又はCO/HO雰囲気中で加熱することによりB部位(及び場合によりA部位も)で炭酸イオンの置換が導入される。しかし、一般に、炭酸イオンは、該方法の両方の段階で導入する場合も出てくる。
【0051】
本発明の方法の一態様では、生成される炭酸/ケイ酸共置換リン酸カルシウム組成物は、一般に、B部位で置換された最大で約2.86重量%のケイ素(最大で約9.37重量%のSiO4−と当量)、並びにヒドロキシアパタイト構造のB部位又はB部位及びA部位で置換された約13重量%のCO2−イオンを含む。一般に、A部位及びB部位での炭酸置換の量は、類似であると見込まれるが、B部位での炭酸置換の量は、指定されたCa/(P+Si)モル比((Ca/P+Si)比が大きくなると、B型炭酸置換が多くなると見込まれる)により主に制御され、一方で、A部位での炭酸置換の量は、焼結時間及び焼結温度(焼結時間が長くなると、A型炭酸置換が多くなると見込まれる)により制御し得る。
【0052】
本発明の方法により生成されるケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト組成物は、Ca2+及びH以外のカチオンの実質的非存在下で調製することが好ましい。したがって、該組成物は、その構造で置換される、Na又はNHなどの他のカチオンを含有せず、したがって、生体適合性である。
【0053】
本発明に従って生成されるケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト組成物は、ヒドロキシアパタイトが使用されるどの用途、例えば、金属性インプラント上でのプラズマ噴射コーティングの形成、多孔質セラミック骨代替物の形成、高密度ポリエチレンなどの高分子材料を用いた複合材料の調製でも、骨欠損を埋める又は充填するための粒剤又はビーズとして、クロマトグラフィーで使用するための材料又は吸着による重金属の除去などの精製法で使用するための材料として、或いは触媒として使用し得る。
【0054】
本発明は、ヒドロキシアパタイトなどの、単相又は本質的に単相の炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム材料の調製のための、信頼できて経済的な方法を提供する。該方法により生成される炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム材料は、単一のヒドロキシアパタイト様の相が必要とされるとき、焼成/焼結時にリン酸三カルシウム及び酸化カルシウムなどの望ましくない二次相に分解しないと見込まれるように、熱的に安定であることが見出された。さらに、該方法により生成される材料が、熱処理の間にヒドロキシアパタイト構造中に置換された炭酸イオンの相当量を失わないことが見出された。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム合成材料を提供し、前記材料は、最大で約2.86重量%のケイ素(すなわち、最大で約9.37重量%のケイ酸イオン)及び最大で約13重量%の炭酸イオンを含み、酸化カルシウム及び/又はリン酸三カルシウムの不純物相を実質的に含まず、本質的に相純粋である。Ca/P比は、少なくとも1.67であることが好ましい。
【0056】
本発明の炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム合成材料は、少なくとも0.1重量%のケイ素を含むことが好ましい。これは、約0.3%のケイ酸イオン(SiO4−)に相当する。より好ましくは、該材料は、少なくとも0.3%のケイ素、より好ましくは少なくとも0.5%、さらにより好ましくは少なくとも0.7%を含む。ケイ素の好ましい範囲は、0.1〜2.8%、より好ましくは0.3〜2%、最も好ましくは0.5〜1.6%である。
【0057】
本発明の炭酸及びケイ酸共置換リン酸カルシウム合成材料は、好ましくは少なくとも0.5重量%の炭酸イオン(CO2−)、より好ましくは少なくとも1%の炭酸イオン、さらにより好ましくは少なくとも1.5%の炭酸イオンを含む。炭酸イオンの好ましい範囲は、1〜9%、より好ましくは2〜8%、最も好ましくは3〜7%である。
【0058】
リン酸カルシウム材料は、好ましくはヒドロキシアパタイトであり、ケイ酸イオンは、一般に、B部位(リン酸)で置換されており、炭酸イオンは、一般にヒドロキシアパタイト構造のB部位又はB部位及びA部位(水酸基部位)で置換されている。
【0059】
本質的に相純粋な材料が必要とされる本発明の一実施形態では、該材料の相純度は、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%である。この場合、該材料は、二次相を実質的に全く含まない。しかし、不可避な不純物が存在し得ることは理解されよう。理解されるように、該生体医用材料の相純度は、従来のX線回析技法により測定し得る。代替実施形態では、炭酸カルシウムなどの生体適合性の不純物/二次相が生成されるという当然の結果と共に、より高レベルの置換をなし得る。
【0060】
本発明は、本明細書に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料を含む生体医用材料も提供する。
【0061】
上述したように、該生体医用材料は、本質的に相純粋であるか、又は、所望の場合、1種又は複数の二次相を含み得る。二次相の例として、リン酸三カルシウム、そのα若しくはβ多形、ケイ酸カルシウム、リン酸四カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、モネタイト(monetite)、ブルシャイト(brushite)、ピロリン酸カルシウム及びリン酸八カルシウムの1種又は複数が挙げられる。上述のレベルを超えてケイ酸塩及び炭酸塩の含量を増加すると、そのような二次相を生成する傾向がある。
【0062】
本発明による生体医用材料は、合成骨材料、骨インプラント、骨移植片、骨代替物、骨足場、充填剤、コーティング又はセメントとして使用し得る。該生体医用材料は、多孔質又は非多孔質の形態で提供し得る。該生体医用材料は、複合材料の形態、例えば、生体適合性高分子と共に提供し得る。
【0063】
本発明について、以下の非限定的実施例を参照しながらさらに記載する。
本発明について、以下の実施例及び添付の図面を参照しながら、さらに記載する。
【0064】
実施例1
Ca10{(PO6−2x(SiO(CO}[(OH)]又は加熱時にCa10{(PO6−2x(SiO(CO}[(OH)2−2y(CO]、式中、x=0.3
約20グラムの炭酸カルシウム粉末(CaCO)(99+%A.C.S.)を900°で16時間より長く加熱し、炭酸塩を追い出し、酸化カルシウム(CaO)を残した。
5.6077gのCaOを200mlの脱イオン水に分散させることにより、水酸化カルシウムの懸濁液を調製した。さらなる反応の前にこの懸濁液を15分撹拌して、溶液Aを形成した。
0.5リットルの脱イオン水に、30分間にわたって二酸化炭素(CO)ガスを吹き込み、その間、該溶液のpHは、約7から約4へ低下した。0.6377g(0.003M)を200mlのCO処理水に溶解することによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)の溶液を調製して、溶液Bを形成した。
6.2318g(0.054M)のHPO(85%アッセイ)を200mLの脱イオン水に添加することによりリン酸(HPO)溶液を調製し、溶液Cを形成した。
溶液B及びCを分離フラスコで混合し、溶液Aに同時に滴下し、定常的に撹拌した。溶液B及びCの添加は、約4時間かかり、室温で実施した。この添加の間、その混合物のpHは、必要であればアンモニア溶液(S.G.0.88、35%)を使用して、10.5と12.5の間に維持した。溶液B及びCの添加後、その混合物を、さらに1時間撹拌し、次いで、撹拌せずに終夜熟成させた。熟成した混合物を濾過し、脱イオン水各100mlを用いてその濾過ケーキを2回洗浄して、全ての残留アンモニアを除去した。得られた濾過ケーキを90℃で終夜乾燥させた。乾燥した濾過ケーキを破砕及び粉砕して細粉にした。炉のプログラムを5℃分−1の加熱速度で900℃に設定した状態で、水に吹き込んだCOガス中で900℃で2時間、その試料を焼成/焼結した。900℃に達すると、その温度を2時間維持してから室温まで冷却した(10℃分−1)。
XRDパターンの例を図1に示す。
【0065】
実施例2
Ca10[(PO6−2x(SiO(CO][(OH)]又は加熱時にCa10[(PO6−2x(SiO(CO][(OH)2−2y(CO]、式中、x=0.6
約20グラムの炭酸カルシウム粉末(CaCO)(99+%A.C.S.)を900°で16時間より長く加熱し、炭酸塩を追い出し、酸化カルシウム(CaO)を残した。
5.6077g(0.1モル)のCaOを200mlの脱イオン水に分散させることにより、水酸化カルシウムの懸濁液を調製した。さらなる反応の前にこの懸濁液を15分撹拌して、溶液Aを形成した。
0.5リットルの脱イオン水に、30分間にわたって二酸化炭素(CO)ガスを吹き込み、その間、該溶液のpHは、約7から約4へ低下した。1.2755g(0.006モル)を200mlのCO処理水に溶解することによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)の溶液を調製して、溶液Bを形成した。
5.5338g(0.048モル)のHPO(85%アッセイ)を200mLの脱イオン水に添加することによりリン酸(HPO)溶液を調製し、溶液Cを形成した。
溶液B及びCを分離フラスコで混合し、溶液Aに同時に滴下し、定常的に撹拌した。溶液B及びCの添加は、約4時間かかり、室温で実施した。この添加の間、その混合物のpHは、必要であればアンモニア溶液(S.G.0.88、35%)を使用して、10.5から12.5の間に維持した。溶液B及びCの添加後、その混合物を、さらに1時間撹拌し、次いで、撹拌せずに終夜熟成させた。熟成した混合物を濾過し、脱イオン水各100mlを用いてその濾過ケーキを2回洗浄して、全ての残留アンモニアを除去した。得られた濾過ケーキを90℃で終夜乾燥させた。乾燥した濾過ケーキを破砕及び粉砕して細粉にした。COガス中で900℃で2時間、炉のプログラムを5℃分−1の加熱速度で900℃に設定した状態で、その試料を焼成/焼結し、水に吹き込んだ。900℃に達すると、その温度を2時間維持してから室温まで冷却した(10℃分−1)。
XRDパターンの例を図2に示す。
【0066】
実施例3
Ca10[(PO6−x−z(SiO(CO][(OH)]又は加熱時にCa10[(PO6−x−z(SiO(CO][(OH)2−2y(CO]、式中、x=0.2及びz=0.4
約20グラムの炭酸カルシウム粉末(CaCO)(99+%A.C.S.)を900℃で16時間より長く加熱し、炭酸塩を追い出し、酸化カルシウム(CaO)を残した。
5.6077g(0.1モル)のCaOを200mlの脱イオン水に分散させることにより、水酸化カルシウムの懸濁液を調製した。さらなる反応の前にこの懸濁液を15分撹拌して、溶液Aを形成した。
0.5リットルの脱イオン水に、30分間にわたって二酸化炭素(CO)ガスを吹き込み、その間、該溶液のpHは、約7から約4へ低下した。0.4252g(0.002モル)を200mlのCO処理水に溶解することによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)の溶液を調製して、溶液Bを形成した。
6.2256g(0.054モル)のHPO(85%アッセイ)を200mLの脱イオン水に添加することによりリン酸(HPO)溶液を調製し、溶液Cを形成した。
溶液B及びCを分離フラスコで混合し、溶液Aに同時に滴下し、定常的に撹拌した。溶液B及びCの添加は、約4時間かかり、室温で実施した。この添加の間、その混合物のpHは、必要であればアンモニア溶液(S.G.0.88、35%)を使用して、10.5と12.5の間に維持した。溶液B及びCの添加後、その混合物を、さらに1時間撹拌し、次いで、撹拌せずに終夜熟成させた。熟成した混合物を濾過し、脱イオン水各100mlを用いてその濾過ケーキを2回洗浄して、全ての残留アンモニアを除去した。得られた濾過ケーキを90℃で終夜乾燥させた。乾燥した濾過ケーキを破砕及び粉砕して細粉にした。COガス中で900℃で2時間、炉のプログラムを5℃分−1の加熱速度で900℃に設定した状態で、その試料を焼成/焼結し、水に吹き込んだ。900℃に達すると、その温度を2時間維持してから室温まで冷却した(10℃分−1)。
XRDパターンの例を図3に示す。
【0067】
実施例4
Ca10[(PO6−x−z(SiO(CO][(OH)]又は加熱時にCa10[(PO6−x−z(SiO(CO][(OH)2−2y(CO]、式中、x=0.4、z=0.2
約20グラムの炭酸カルシウム粉末(CaCO)(99+%A.C.S.)を900℃で16時間より長く加熱し、炭酸塩を追い出し、酸化カルシウム(CaO)を残した。
5.6077g(0.1モル)のCaOを200mlの脱イオン水に分散させることにより、水酸化カルシウムの懸濁液を調製した。さらなる反応の前にこの懸濁液を15分撹拌して、溶液Aを形成した。
0.5リットルの脱イオン水に、30分間にわたって二酸化炭素(CO)ガスを吹き込み、その間、該溶液のpHは、約7から約4へ低下した。0.8503g(0.004モル)を200mlのCO処理水に溶解することによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)の溶液を調製して、溶液Bを形成した。
6.2256g(0.054モル)のHPO(85%アッセイ)を200mLの脱イオン水に添加することによりリン酸(HPO)溶液を調製し、溶液Cを形成した。
溶液B及びCを分離フラスコで混合し、溶液Aに同時に滴下し、定常的に撹拌した。溶液B及びCの添加は、約4時間かかり、室温で実施した。この添加の間、その混合物のpHは、必要であればアンモニア溶液(S.G.0.88、35%)を使用して、10.5と12.5の間に維持した。溶液B及びCの添加後、その混合物を、さらに1時間撹拌し、次いで、撹拌せずに終夜熟成させた。熟成した混合物を濾過し、脱イオン水各100mlを用いてその濾過ケーキを2回洗浄して、全ての残留アンモニアを除去し、得られた濾過ケーキを90℃で終夜乾燥させた。乾燥した濾過ケーキを破砕及び粉砕して細粉にした。COガス中で900℃で2時間、炉のプログラムを5℃分−1の加熱速度で900℃に設定した状態で、その試料を焼成/焼結し、水に吹き込んだ。900℃に達すると、その温度を2時間維持してから室温まで冷却した(10℃分−1)。
XRDパターンの例を図4に示す。
【0068】
実施例5
この実施例では、溶液B及びCを溶液Aへ添加する順番を以下の手順で変更した。全ての試薬の容積及び濃度は、実施例1で詳述した手順で使用したものと同じであった。各手順の違いは、以下の通りである。溶液Cを懸濁液Aに滴下し、添加の完了後、その混合物へ溶液Bを滴下した。その混合物のpHは、10.5と12.5の間に維持した。
熟成、乾燥及び焼結の手順は、実施例1で詳述したものと同じであった。
図1に示したものと類似のXRDパターンを得た。
【0069】
実施例6
溶液B及びCを溶液Aへ添加する順番を以下の手順で変更した。全ての試薬の容積及び濃度は、実施例1で詳述した手順で使用したものと同じであった。各手順の違いは、以下の通りである。溶液Bを懸濁液Aに滴下し、添加の完了後、その混合物へ溶液Cを滴下した。その混合物のpHは、10.5と12.5の間に維持した。
熟成、乾燥及び焼結の手順は、実施例1で詳述したものと同じであった。
図1に示したものと類似のXRDパターンを得た。
【0070】
実施例7
この実施例では、CO処理水を使用して調製した(1種又は複数の)溶液を変更した。溶液B及びCの両方をCO処理水を使用して調製し、上記実施例で詳述したように、溶液Aへ別々又は同時に添加した。同様に、上記方法を繰り返したが、今回は、溶液Cを生成するための水をCO処理し、次いで、上記実施例で詳述したように、溶液B及びCを溶液Aへ別々又は同時に添加した。
図1に示したものと類似のXRDパターンを得た。
【0071】
実施例8
上記方法(例えば、実施例1)のスケールアップのために変更する必要がある実験パラメーターは、溶液B及びCの溶液/懸濁液Aへの添加速度のみである。溶液B及びCは、溶液/懸濁液Aへ別々又は同時に添加した。
XRDパターンの例を図5に示す。
【0072】
実施例9
Ca10[(PO6−2x(SiO(CO][(OH)]又は加熱時にCa10[(PO6−2x(SiO(CO][(OH)2−2y(CO]、式中、x=0.3
この試料は、実施例1に関して調製したが、炭酸イオンを焼結の間(CO雰囲気又はCO/HO雰囲気中で)のみ導入し、沈殿の間には導入しなかった。
約20グラムの炭酸カルシウム粉末(CaCO)(99+%A.C.S.)を900℃で16時間より長く加熱し、炭酸塩を追い出し、酸化カルシウム(CaO)を残した。
5.6077g(0.1モル)のCaOを200mlの脱イオン水に分散させることにより、水酸化カルシウムの懸濁液を調製した。さらなる反応の前にこの懸濁液を15分撹拌して、溶液Aを形成した。
0.6377g(0.003モル)を200mlの脱イオン水に溶解することによりオルトケイ酸テトラエチル(TEOS、98%)の溶液を調製して、溶液Bを形成した。
6.2256g(0.054モル)のHPO(85%アッセイ)を200mlの脱イオン水に添加することによりリン酸(HPO)溶液を調製し、溶液Cを形成した。
溶液B及びCを分離フラスコで混合し、溶液Aに同時に滴下し、定常的に撹拌した。溶液B及びCの添加は、約4時間かかり、室温で実施した。この添加の間、その混合物のpHは、必要であればアンモニア溶液(S.G.0.88、35%)を使用して、10.5と12.5の間に維持した。溶液B及びCの添加後、その混合物を、さらに1時間撹拌し、次いで、撹拌せずに終夜熟成させた。熟成した混合物を濾過し、脱イオン水各100mlを用いてその濾過ケーキを2回洗浄して、全ての残留アンモニアを除去した。得られた濾過ケーキを90℃で終夜乾燥させた。乾燥した濾過ケーキを破砕及び粉砕して細粉にした。COガス中で900℃で2時間、炉のプログラムを5℃分−1の加熱速度で900℃に設定した状態で、その試料を焼成/焼結し、水に吹き込んだ。900℃に達すると、その温度を2時間維持してから室温まで冷却した(10℃分−1)。
XRDパターンの例を図6に示す。
【0073】
実施例1〜9の試料の分析
上記の実施例1〜9で調製したケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイトは、CO/HO雰囲気中で、700℃〜1150℃で熱的に安定であった。これらの温度を超えると、ヒドロキシアパタイト及び酸化カルシウム/炭酸カルシウム/αリン酸三カルシウムへの部分的分解が見られた。
沈殿及び焼成/焼結した粉末は、XRD及びFTIR分析により特徴付けられた。焼成/焼結試料のX線回析パターンは、HAに相当するピークのみを示す。パターンの中には、HAを主位相(>約98wt%)として有する、小レベルの炭酸カルシウム(<全体の約2wt%)を示すものもある。しかし、焼成温度が低くなる(すなわち、900℃未満)と、炭酸カルシウムへの分解が生じないであろう。
フーリエ変換赤外分光(FTIR)分析は、その特徴的な振動数により、OH、PO、SiO及びCOなどの様々な官能基の同定を可能にし、大部分の分子振動のエネルギーは、電磁スペクトルの赤外域に相当する。FTIR分光法は、ヒドロキシアパタイト中の様々な官能基の存在又は非存在の判定に理想的な方法である。化学量論的な非置換ヒドロキシアパタイトは、FTIRスペクトル中のOH群及びPO群に相当する振動バンドのみを生成するであろう。FTIR分光法は、ケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト中のSiO群及びCO群の検出の他に、SiO群及びCO群の、それらがヒドロキシアパタイト格子中で占有すると見込まれる部位、すなわち、PO群及び/又はOH群に対する影響を示すであろう。
ケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイトのFTIRスペクトルは、非置換ヒドロキシアパタイトのFTIRスペクトルといくつかの点で著しく異なる。第1に、1405、1450、1540、880、873、870、755cm−1でのCO群に相当する強いバンドの出現。第2に、シリケート振動が原因の、ホスフェートv及びv領域(1100〜900cm−1)中の追加バンド、並びに約950、650及び510cm−1での追加ピークの出現。第3に、非置換ヒドロキシアパタイトと比較したときの、3570cm−1でのOH伸縮振動及び631cm−1でのOH秤動ピークの強さの低下。
FTIR分析の結果は、SiOの含有を裏付ける証拠に付随するOHピークに伴うスペクトル中のCO群の含有により示されるように、AB型のケイ酸塩/炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイトが合成されたことを示唆する(例えば、図7−実施例1のFTIRスペクトルを参照)。
【0074】
分解実験
ある範囲のヒドロキシアパタイト化合物の分解生成物は、以下の通り研究した。水性沈殿法により、ヒドロキシアパタイト(ケイ酸塩も炭酸塩も含まない)、ケイ酸置換ヒドロキシアパタイト(x=0.3)(炭酸塩を含まない)、ケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト(x=0.3)、及びケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト(x=0.6)の試料を調製し、次いで、空中で1200℃で2時間焼結した。
図8は、以下のラベルを有する各試料のX線回析パターンを示す。
・ヒドロキシアパタイト[HA](ケイ酸塩も炭酸塩も含まない)
・ケイ酸置換ヒドロキシアパタイト[Si−HA、x=0.3](炭酸塩を含まない)
・ケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト[SiC−HA、x=0.3]、及び
・ケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト[SiC−HA、x=0.6]。
HA試料及びSi−HA試料の両方が、ヒドロキシアパタイトのみを含有し、二次相を含有しないX線回析パターンを生じる。対照的に、2種のケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト[SiC−HA、x=0.3及び0.6]は、CaOを不純物相として生成するCaが豊富な組成物(Ca/[P+Si]>1.67)をもたらす、ヒドロキシアパタイト様相のリン酸基部位からの炭酸塩の減少を示す、HA相及びCaO相(矢印で示す)からなる回析パターンを生じる。
HA試料及びSi−HA試料の回析パターンにおけるCaOの欠如は、これらの2種の相が、B部位に炭酸塩を全く含有せず、その結果、Ca/[P+Si]=1.67であることを示す。沈殿後及び加熱前にHA試料及びSi−HA試料のFTIRスペクトルで見られるいずれの炭酸塩バンドも、明らかに、表面に吸着された炭酸塩又は不安定な炭酸塩に関連し、リン酸基部位上のHA構造内の炭酸イオンに関連するものではない。
対照的に、本発明によるケイ酸/炭酸置換ヒドロキシアパタイト試料の空中での加熱時のCaOの存在は、この試料が、リン酸基部位上に炭酸塩を含有し(FTIRにより見られるように)、空中での加熱時に炭酸塩が失われていることを示す。
本発明に従って製造したヒドロキシアパタイトは、現在当技術分野で知られているものより、より厳密に天然の生体ヒドロキシアパタイトに匹敵する特性を示す。本発明の方法は、従来の方法より、より強い材料をもたらし、ケイ酸塩を伴う置換炭酸塩の存在は、生体の硬組織の発達及び成長に対して顕著な影響を有する。さらに、ヒドロキシアパタイトの生物活性は、より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】XRDパターンの例
【図2】XRDパターンの例
【図3】XRDパターンの例
【図4】XRDパターンの例
【図5】XRDパターンの例
【図6】XRDパターンの例
【図7】実施例1のFTIRスペクトル
【図8】各試料のX線回析パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸及び炭酸共置換リン酸カルシウム材料の調製方法であって、リン酸イオン、ケイ酸イオン、カルシウムイオン及び任意選択で炭酸イオンを含む水溶液を調製するステップを伴う水性沈殿法により、ケイ素及び任意選択で炭素を含有するリン酸カルシウム沈殿物を形成するステップであり、前記溶液中のCa/P及びCa/(P+Si)の比が約1.67を超えて維持される、前記ステップと、炭素及び酸素を含む雰囲気中で前記沈殿物を加熱して、ケイ酸塩及び炭酸塩共置換リン酸カルシウム材料を形成するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記リン酸カルシウム材料がヒドロキシアパタイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶液が、カルシウムイオン及び水素イオン以外のカチオンを実質的に含まない、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶液が炭酸イオンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記沈殿物が、加熱ステップの前に乾燥される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記雰囲気が、二酸化炭素及び任意選択で水を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記雰囲気が、二酸化炭素及び任意選択で水及び不可避な不純物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記雰囲気が、ガス1リットル当たり0〜0.05グラムの水を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶液のpHがアルカリ性に維持される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶液のpHが>7、好ましくは9〜12、より好ましくは約10である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱ステップが、100℃〜1500℃、好ましくは600〜1200℃、より好ましくは900〜1100℃の温度での前記沈殿物の焼成/焼結を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記沈殿物の焼成及び/又は焼結の間、前記沈殿物の一部又は実質的に全てが、酸化カルシウム及び/又はリン酸三カルシウムの不純物相を実質的に有さない、本質的に相純粋なケイ酸塩及び炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト合成材料に変化する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
焼成及び/又は焼結が最大で120時間、好ましくは10分〜4時間実施される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
焼成及び/又は焼結が少なくとも4時間実施される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
リン酸カルシウム材料が、最大で9.37重量%のケイ酸イオン及び最大で13重量%の炭酸イオンを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
リン酸カルシウム材料が、少なくとも0.5重量%の炭酸イオンを含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
リン酸カルシウム材料が、1〜9重量%の炭酸イオンを含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ケイ酸イオンが、リン酸カルシウム格子のB部位(リン酸基部位)で置換される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
炭酸イオンが、リン酸カルシウム格子のB部位、又はB部位及びA部位(水酸基部位)で置換される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
B部位で置換される炭酸イオンの量が、Ca/Pモル比及び/又は添加されるケイ酸イオンの相対量を変化させることにより制御される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
A部位で置換される炭酸イオンの量が、焼結温度及び焼結時間を変化させることにより制御される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
共置換リン酸カルシウム材料中のケイ酸イオン対炭酸イオンの比が、1:99〜99:1、好ましくは約50:50である、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ケイ酸イオン対炭酸イオンの比が、Ca/Pモル比及び/又は添加されるケイ酸イオンの相対量を変化させることにより制御される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
マグネシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びイットリウムイオンの1種又は複数に関するカルシウムイオンのカチオン共置換をさらに含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記水性沈殿法が、(i)リン酸イオンの供給源、ケイ酸イオンの供給源及び任意選択炭酸イオンの供給源を含む(1種又は複数の)水溶液を調製するステップであり、(1種又は複数の)前記水溶液が水素イオン及び任意選択のカルシウムイオン以外のカチオンを実質的に含まないことが好ましい、前記ステップと、(ii)カルシウム含有化合物を含む水溶液又は懸濁液を調製するステップと、(iii)(i)の(1種又は複数の)水溶液を(ii)の水溶液又は懸濁液と混合するステップとを伴う、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
それぞれがリン酸イオン、ケイ酸イオン及び任意選択の炭酸イオンの1種又は複数を含む2種以上の溶液が、カルシウム含有化合物の水溶液又は懸濁液へ別々に添加される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
それぞれがリン酸イオン、ケイ酸イオン及び任意選択炭酸イオンの1種又は複数を含む2種以上の溶液が、カルシウム含有化合物の水溶液又は懸濁液へ同時に添加される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
(1種又は複数の)前記水溶液が、炭酸及び/又はその塩を含む炭酸イオンの供給源を含む、請求項25〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
炭酸及び/又はその塩を含む炭酸イオンの供給源を含む(1種又は複数の)前記水溶液が、炭素及び酸素を含有するガスに水を通過させることにより形成される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(1種又は複数の)前記水溶液中のリン酸イオンの供給源が、リン酸及び/又はその塩を含む、請求項25〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
(1種又は複数の)前記水溶液中のケイ酸イオンの供給源が、ケイ素又はケイ酸塩を含有する化合物を含む、請求項25〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(1種又は複数の)前記水溶液中のケイ酸イオンの供給源が、オルトケイ酸テトラエチルを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(1種又は複数の)前記水溶液中のケイ酸イオンの供給源が、カルボン酸ケイ素、好ましくは酢酸ケイ素を含む、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
カルシウム含有化合物がカルシウム塩を含む、請求項25〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
カルシウム塩が、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム及び硝酸カルシウム4水和物の1種又は複数を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
炭素及び酸素を含有するガスが、ステップ(i)、ステップ(ii)及び/又はステップ(iii)の溶液を通過させられる、請求項25〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
最大で2.86重量%のケイ素(最大で9.37重量%のケイ酸塩)及び最大で13重量%の炭酸イオンを含み、酸化カルシウム及び/又はリン酸三カルシウムの不純物相を実質的に含まず本質的に相純粋である、炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項38】
少なくとも0.5重量%の炭酸イオンを含む、請求項37に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項39】
1〜9重量%の炭酸イオンを含む、請求項37又は38に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項40】
ケイ酸イオンがB部位(リン酸)で置換され、炭酸イオンがヒドロキシアパタイト構造のB部位又はB部位及びA部位(水酸基部位)で置換されている、請求項37に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項41】
少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%の、X線回析によって測定される相純度を有する、請求項37〜340のいずれか一項に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項42】
焼結及び/又は焼成された、請求項37〜41のいずれか一項に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料。
【請求項43】
請求項37〜42のいずれか一項に記載の炭酸及びケイ酸共置換ヒドロキシアパタイト合成材料を含む生体医用材料。
【請求項44】
1種又は複数の二次相を含む、請求項43に記載の生体医用材料。
【請求項45】
二次相が、リン酸三カルシウム、そのα若しくはβ多形、ケイ酸カルシウム、リン酸四カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、モネタイト、ブルシャイト、ピロリン酸カルシウム及びリン酸八カルシウムの1種又は複数を含む、請求項44に記載の生体医用材料。
【請求項46】
請求項43〜45のいずれか一項に記載の生体医用材料を含む、合成骨材料、骨インプラント、骨移植片、骨代替物、骨足場、充填剤、コーティング又はセメント。
【請求項47】
B部位(リン酸)で置換された最大で2.86重量%のケイ素(最大で9.37重量%のケイ酸塩)及びヒドロキシアパタイト構造のB部位(リン酸)又はB部位及びA部位(それぞれリン酸及び水酸基)で置換された最大で13重量%の炭酸イオンを含む、焼成/焼結され、本質的に単相のケイ酸塩及び炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト材料の調製方法であって、(a)それぞれがケイ酸イオン、リン酸イオン及び任意選択の炭酸イオンの1種又は複数を含む1種又は複数の水溶液を調製するステップであり、前記溶液がカルシウムイオン及び水素イオン以外のカチオンを実質的に含まない、前記ステップと、(b)カルシウム含有化合物を含む水溶液又は懸濁液を調製するステップと、(c)(a)の(1種又は複数の)溶液を(b)の溶液又は懸濁液と混合して、それにより沈殿物を形成するステップであり、Ca/P及びCa/(P+Si)の比が約1.67を超えて維持される、前記ステップと、(d)(c)で形成された沈殿物を回収及び乾燥するステップと、(e)ガス1リットル当たり0〜0.05グラムの水を含む炭素及び酸素を含有する雰囲気中で、100℃〜1500℃の温度で(d)の乾燥沈殿物を焼成及び/又は焼結して、本質的に単相のケイ酸塩及び炭酸塩共置換ヒドロキシアパタイト材料を形成するステップとを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−523250(P2010−523250A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502573(P2010−502573)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001288
【国際公開番号】WO2008/125829
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(501306999)ザ・ユニバーシティ・コート・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・アバディーン (6)
【Fターム(参考)】