説明

生体吸収性発泡組織ドレッシング

ガス発生ポロゲン、およびゲルまたはゲル形成溶液を含んでなる、流動性の生体吸収性組織ドレッシングを提供する。上記の組織ドレッシングを調製するためのキットもまた提供する。さらに、哺乳類の組織部位を上記のドレッシングによって治療するための方法を提供する。組織部位に減圧組織治療を適用するための減圧送達システムもまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大まかには組織治療システムに関し、詳細には、注入可能および/または注射可能なゲルもしくはゲル形成溶液を作製および使用するための方法、システム、ならびに組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床研究および診療により、組織部位の近傍を減圧することで、該組織部位における新しい組織の増殖が増強および促進されることが示された。この現象は多く適用されているが、減圧の適用は特に創傷の治療において成功している。この治療(医学界ではしばしば「減圧創傷療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と称される)により、健常組織から組織部位への上皮組織および皮下組織の遊走、より迅速な治癒、および肉芽組織形成の増大を含む幾つかの利点が提供される。典型的には、減圧は多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置を通して組織へ適用される。多孔性パッドは、組織に減圧を分配でき、かつ組織から引き出した液体を流すことのできるセルまたは孔を含む。多孔性パッドはしばしば、治療を容易にするその他の構成要素を有するドレッシング内へ組み込まれる。
【0003】
典型的には、多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置は現存の創傷に合う大きさにされ、創傷に接触して配置される。次にこのパッドまたは装置は、創傷が治癒を開始して縮小するに従い、より小さなドレッシングの小片に定期的に置き換えられる。多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置による治療法の使用は大きな成功を収めているが、この過程にはなお様々な困難が存在する。例えば、創傷を十分に塞ぐために適切な幅、長さ、または深さの多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置を得ることは困難であり得る。さらに、多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置の除去に伴って健常組織もまた除去される可能性があり、これにより組織部位にさらなる外傷が引き起こされる。
【0004】
以前には、多孔性パッドまたはその他のマニホールド装置を組織部位から除去する必要をなくすように、これらを生分解性材料を用いて作製することが提案されてきた。さらにその他の者達によって、異なった形の生分解性ポリマーを製造するための様々な方法が試みられた。しかしこれらの方法全てにおいて生分解性ポリマーは予め特定の形に形成される。これに反して個々の創傷の形および大きさは不定である。
【0005】
Cavi−Care(商標)は、Smith & Nephew Healthcare Limitedにより生産される二液型室温加硫フォームのフォームドレッシングであり、ポリジエチルシロキサンベースが白金触媒および水素ガス放出剤と混合されて共に反応し、創傷上に注がれ、創傷の形に適合して形成される。Cavi−Care(商標)は生分解性ではなく、定期的に除去して洗浄しなければならない。フォームCavi−Care(商標)ドレッシングは、減圧療法に用いるために十分な多孔性ではない。
【0006】
従って、ドレッシングとして機能し得る、創傷の正確な形に適合する生体吸収性組成物が必要とされている。本発明はこの必要性に取り組む。
【発明の概要】
【0007】
これらおよびその他の必要性は、組織部位の大きさおよび形に容易に適合するように設計された生体吸収性組織ドレッシングの使用を通して満たされる。従って、最も広い意味において、本発明はゲルまたはゲル形成溶液を様々な形状で作製および使用するための組成物、方法、ならびにシステムを作り出す。
【0008】
本発明に従う第一の実施形態は、ガス発生ポロゲン、およびゲルまたはゲル形成溶液を含む、流動性の生体吸収性組織ドレッシングである。
【0009】
本発明に従う別の実施形態は、第1容器内のガス発生ポロゲン混合物、および第2容器内のゲルもしくはゲル形成溶液またはゲルもしくはゲル形成溶液のための無水成分を含む、上記組織ドレッシングを調製するためのキットである。
【0010】
本発明に従う別の実施形態は、流動性の発泡混合物を産生するためにガス発生ポロゲンとゲルまたはゲル形成溶液を混合すること、次に混合物が発泡する間に発泡混合物を組織部位上に送達することを含む、上記ドレッシングにより哺乳類の組織部位を治療する方法である。
【0011】
本発明に従う別の実施形態は、上記キット、減圧源、およびマニホールドを含む、組織部位に減圧組織治療を適用するための減圧送達システムである。これらの実施形態によれば、該マニホールドは減圧送達管を含んでなり、該減圧管は近位端、遠位端、および管を通して伸長する管腔を含んでなり、該近位端は減圧源と流体連結し、該遠位端はドレッシングと流体連結する。
【0012】
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の図面および詳細な説明への参照によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これらの実施形態は当業者が本発明を実行できるように十分詳細に記載され、かつその他の実施形態が利用されてよいこと、および本発明の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、構造的、力学的、電気的、および化学的変更が行われてよいことが理解される。当業者が本明細書に記載される実施形態を実行するために必要ではない詳細を避けるため、記述は当業者に公知である一部の情報を省略し得る。従って、以下の詳細な記述は限定された意味として解釈されてはならず、例示的な実施形態の範囲は添付の請求項によってのみ定義される。
【0014】
本明細書の文脈内で、「減圧」との語は一般に、治療に供される組織部位における周囲圧よりも低い圧力を指す。多くの場合、この減圧は患者のいる場所での大気圧よりも低くなるであろう。組織部位に適用される圧力を表現するために「真空」および「陰圧」の語が使用され得るが、該組織部位に適用される実際の圧力は、通常は完全な真空に関連する圧力よりも著しく高い可能性がある。この命名に一致して、減圧または真空圧の増大は絶対圧の相対的な減少を指し、一方で減圧または真空圧の減少は絶対圧の相対的な増大を指す。組織の減圧療法を表す様々な方法および組成物は、以下の特許公報:国際公開第08091521A2号、国際公開第08042481A2号、国際公開第08036361A2号、国際公開第08036359A2号、国際公開第08036162A2号、国際公開第08013896A2号、国際公開第07143060A2号、国際公開第07133556A2号、国際公開第07133555A2号、国際公開第07106594A2号、国際公開第07106592A2号、国際公開第07106591A2号、国際公開第07106590A2号、国際公開第07106589A2号、国際公開第07092397A2号、国際公開第07067685A2号、国際公開第05033273A2号、国際公開第05009488A2号、国際公開第04105576A2号、国際公開第04060148A2号、国際公開第03092620A2号、国際公開第03018098A2号、国際公開第0061206A1号、国際公開第0038755A2号、米国特許出願公開第20070123895号、米国特許第7351250号、米国特許第7346945号、米国特許第7316672号、米国特許第7279612号、米国特許第7214202号、米国特許第7186244号、米国特許第7108683号、米国特許第7077832号、米国特許第7070584号、米国特許第7004915号、米国特許第6994702号、米国特許第6951553号、米国特許第6936037号、米国特許第6856821号、米国特許第6814079号、米国特許第6767334号、米国特許第6695823号、および米国特許第6135116号に記載される。
【0015】
文脈に明らかに他の指示がない限り、本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は複数形も同様に含むことが意図される。加えて、文脈に明らかに他の指示がない限り、「または」の使用は「および/または」を含むことが意図される。
【0016】
本出願は組織部位内に注入または注射できる組織ドレッシングの開発に基づいており、該ドレッシングは足場として使用できるような十分な多孔度を有し、この足場を通して減圧療法を適用することができる。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、本出願はガス発生ポロゲンおよびゲルまたはゲル形成溶液を含んでなる流動性の生体吸収性組織ドレッシングに関する。
【0018】
本明細書で用いられるポロゲンは、組織工学構造内に、該構造が組み立てられる間に取り込まれる溶解性粒子であり、これは次に溶解して該構造内に孔を残す。ガス発生ポロゲン(ガス発泡ポロゲンとしても知られる)は溶解時に二酸化炭素のようなガスを発生し、このガスは発泡によって構造内に孔を形成する。
【0019】
これらの実施形態は、いずれの特定のガス発生ポロゲンにも限定されない。幾つかの実施形態によれば、ポロゲンは酸および塩、例えば炭酸塩の混合物である。二酸化炭素は炭酸塩と酸との混合によって発生する。炭酸塩の例には、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸カルシウムが含まれる。炭酸カルシウムの使用は、Ca+2イオンがアルギン酸塩またはポロクサマーのような一般に用いられる陰イオンゲルによる非共有結合性の架橋を形成できることから、炭酸水素ナトリウムよりも強固な泡を得ることができる。当該技術分野において公知であるように、ポロクサマーはPluronic(登録商標)としても知られる非イオン性のトリブロック共重合体である。例えば、米国特許第3,925,241号を参照されたい。本発明に有用なPluronic(登録商標)の限定されない例は、Pluronic(登録商標)F127である。架橋の剛性は、ドレッシングに硫酸カルシウム半水和物を添加することによっても達成できる。
【0020】
これらの実施形態はまた、塩と混合するいずれの特定の酸にも限定されない。当業者はいずれの特定の適用に対しても、過度の実験を行うことなく適切な酸を選択できるであろう。幾つかの実施形態によれば、酸はクエン酸である。
【0021】
これらの組織ドレッシングでは、炭酸塩および酸は化学量論量により使用されてよい。炭酸塩および酸は、ある状況下では非化学量論量により使用されることも想定される。
【0022】
一般に、ゲルは明らかに固体材料であり、固体の構造的な凝集を有する。ゲルは1を超える化合物または構造の、均一または不均一な混合物であり得る。ゲル形成溶液は、ゲルを形成できる液体の溶液であってよい。
【0023】
当業者には、望ましい粘度の範囲が、処方中の材料の分子量およびパーセント濃度を変化させることによって達成され得ることが容易に明らかとなるであろう。例えば低い粘度を有するゲルは、低分子量の材料もしくは低パーセント濃度の材料、またはその2つの組み合わせの使用により達成され得る。反対に高粘度ゲルは、より高い分子量の材料またはより高いパーセント濃度の使用により達成され得る。中程度の粘度は、分子量およびパーセント濃度を相応に変化させることにより達成され得る。
【0024】
この適用は、ゲルまたはゲル形成溶液に用いられる材料の、いずれの特定の化学組成物にも限定されない。これらの組成物は、限定はされないが、水和後自然にゲルを形成する材料、ゲル形成のために架橋剤を必要とする材料などを含み得る。さらにゲルの化学組成物は、粘調な水性溶液を形成できる水溶性ポリマーまたは非水溶性のもの、これもまた粘調な溶液を形成できる水膨潤性ポリマーを含み得る。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は、1以上の生体吸収性材料、すなわちその分解による副生成物が生物消化(bioassimilated)されるかまたは体内の自然経路を通して排泄される生体適合性材料、により作られてよく、適切な溶媒に溶解される。別の実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は1以上の非生体吸収性材料を含む。さらに別の実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は生体吸収性および非生体吸収性材料の両方を含む。
【0026】
ゲルまたはゲル形成溶液はまた、温度の上昇に伴って液体からゲルに変化できる熱可逆性であってもよい。ポリオキシプロピレンおよびポリオキシエチレンから構成されるポリマーは、水性溶液に取り込まれる際に熱可逆性ゲルを形成することが知られている。これらのポリマーは、体温に近い温度で液体状態からゲル状態に変化する能力を有する。例えば、Roy,S.et al,2001,Antimicrob Agents Chemother 45:1671−1681を参照されたい。
【0027】
従ってゲルまたはゲル形成溶液は、限定はされないが以下の材料:ビニルポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、多糖体、ポリ(エチレンオキシド)、ポリエチレングリコール、アクリルアミドポリマー、合成および天然ポリアミノ酸、グリコリドポリマー、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ラクチド−co−グリコリド)共重合体、ポリヒドロキシ酸、エチレングリコール/ラクチド共重合体、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリアセタール、分解性ポリシアノアクリレート、ポリカーボネート、ポリフマレート、およびそれらの誘導体または塩のうち1以上を含んでよい。一実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成材料はポリオキシエチレン−ポリエチレングリコールポリマーを含む。
【0028】
ビニルポリマーは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ラクチド、ポリ(ラクチド)、およびポリビニルアルコールの群から1以上選択されてよい。
【0029】
さらに、ゲルまたはゲル形成溶液の材料は、1以上の多糖体、例えばセルロースもしくはセルロース誘導体、グリコサミノグリカン、寒天、ペクチン、アルギン酸、デキストラン、デンプン、またはキトサンを含んでよい。デンプンは、α−アミロースおよびアミロペクチンを含むいずれの形であってもよいことが意図される。適切なグリコサミノグリカンは、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、デルマタン硫酸塩、ケラタン硫酸、ヘパリン硫酸、およびヘパリンを含む。
【0030】
ゲルまたはゲル形成溶液は、1以上のタンパク質、例えばコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、およびフィブロネクチンもまた含んでよい。
【0031】
加えて、ゲルまたはゲル形成溶液の1以上の材料は、ゲル形成のために共有結合性または非共有結合性に架橋し得る。これは例えば、グルタルアルデヒドのような二官能性試薬の使用により起こる。架橋は、光重合によってもまた開始され得る。例えば、ビニル基、アリル基、ケイ皮酸塩、アクリル酸塩、ジアクリラート、オリゴアクリラート、メタクリル酸塩、ジメタクリラート、オリゴメタクリラートを含む不飽和基、またはその他の生物学的に許容される光重合可能な基の曝露により架橋がもたらされ得る。さらに、架橋は温度の上昇によっても起こり得る。例えば、フリーラジカル重合を開始する材料は生理的な温度において架橋し得る。このような材料は例えば、テトラメチルエチレンジアミンを用いるかまたは用いない過硫酸カリウム;トリエタノールアミンを用いるかまたは用いない過酸化ベンゾイル;および亜硫酸水素ナトリウムを用いる過硫酸アンモニウムを含む。非共有結合性の架橋は、陰性に荷電した化合物と陽性に荷電した化合物の間で起こり得る。例えば、陰性に荷電したポリアクリル酸塩と陽性に荷電したキトサンを混合すると、ポリマーの架橋およびゲルの強化がもたらされ得る。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は、Pluronic(登録商標)F127、ポリアクリル酸塩、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含んでなる。特定の実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は、ポリアクリル酸塩およびキトサンの組み合わせを含んでなる。
【0033】
これらの実施形態の組織ドレッシングは、例えばドレッシングにさらなる多孔度を加えるため、さらに非ガス発生ポロゲンを含んでなってよい。塩、糖、ゼラチン粒またはパラフィン粒を含む、ポロゲンとして当該技術分野において公知であるいずれの化合物も、これらのドレッシングに潜在的に使用できる。幾つかの実施形態によれば、非ガス発生ポロゲンは塩である。塩が適切な粒径を有し、かつ流体、すなわちガス、液体、または限定はされないが、コロイド、液体、スラリー、懸濁液、粘性ゲル、ペースト、パテ、および粒子性固体を含む流動性物質中で溶解性である限り、塩の型によってこの適用は限定されない。
【0034】
本明細書で用いられる適切な塩の例には、塩化ナトリウムおよび塩化カリウムが含まれるがこれらに限定されない。
【0035】
非ガス発生ポロゲンは糖、例えばスクロース、サッカロース、またはその他のいずれの糖であってもよい。
【0036】
得られる孔径は使用されるポロゲンシステムの型に依存することが理解される。例えばポロゲンシステムが塩である場合、得られる孔径はおおよそ使用される塩粒子の径である。しかしながら、ポロゲンシステムが炭酸塩および酸を用いるガス発生システムである場合、得られる孔径は、炭酸塩および酸粒子の径、ならびに発生するガスの量に依存する。このように、ポロゲンシステムの大きさを制御するため、限定はされないが篩過および遠心分離を含むいずれの方法も用いられてよい。一実施形態によればポロゲンシステムは、一定の径の粒子を得るため、1以上のスクリーンを通して篩過される。従って孔径は、篩過により得られる粒径が最小となり得る。
【0037】
さらに、使用されるポロゲンシステムの量および該ポロゲンシステムの粒径は、得られる多孔性ゲルのパーセント多孔度を制御し得る。実行者に好まれるパーセント多孔度は、生体吸収性ポリマーのようなゲルまたはゲル形成溶液内に使用される材料の力学的性質、望ましい細胞浸潤、創傷治癒もしくは組織治療物質の存在または不在などのような因子に依存し得ることが理解される。一実施形態によれば、パーセント多孔度は少なくとも約50%である。別の実施形態によれば、パーセント多孔度は少なくとも約70%である。
【0038】
典型的には、本明細書で利用されるポロゲンシステムにより得られる粒径は約50ないし約1,500ミクロンである。一実施形態によれば、粒径は約100ないし約500ミクロンである。別の実施形態によれば、粒径は約100ないし約250ミクロンである。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、組織ドレッシングは、ドレッシングに力学的強度を加える構造をさらに含んでなる。限定されない例には、ミクロスフェアもしくは繊維、またはその両方が含まれる。
【0040】
ドレッシング内に組み込むためのミクロスフェアは、当該技術分野において公知のいずれの方法を用いても調製できる。例えばミクロスフェアは、当該技術分野において公知であるスプレー法、水性二相法、または油/水エマルション法により調製できる。水中油型エマルション法によれば、少なくとも1の生体吸収性ポリマーが溶媒中に溶解して、第1の混合物を形成する。次にこのポリマー混合物を、好ましくは界面活性剤を含む水性溶液に加え、勢いよく撹拌する。次に溶媒を蒸発させてミクロスフェアを残す。ミクロスフェア内の孔は、ガス発生ポロゲンを用いて作ることができる(Kim TK et al,2006,Biomaterials 27:152−159)。
【0041】
ミクロスフェアのための生体吸収性ポリマーは、限定はされないが、ラクチド、ポリ(ラクチド)(PLA)、グリコリドポリマー、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、エチレングリコール/ラクチド共重合体、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシ酪酸塩、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ラクチド−co−グリコリド)共重合体、ポリヒドロキシ酸、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、分解性ポリシアノアクリレート、ポリカーボネート、ポリフマレート、分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリンのようなタンパク質、合成および天然ポリアミノ酸、アルギン酸塩、ヘパリンのような多糖体、およびその他の自然発生の糖単位の生分解性ポリマーを含んでよい。幾つかの実施形態によれば、構造はポリラクチド(PLA)、ポリグリコール酸(PLG)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリエチレングリコール−PLA、PLA−ポリカプロラクトン(PCL)、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、またはポリリン酸エステルを含んでなる。さらなる特定の実施形態によれば、ミクロスフェアはPLA:PCL共重合体を含んでなり、ここでPLA対PCLの比は、1000:1ないし1:100の範囲であってよい。一実施形態によれば、PLA:PCL共重合体の比は約90:10である。別の実施形態によれば、PLA:PCL共重合体の比は約80:20である。さらに別の実施形態によれば、PLA:PCL共重合体の比は約70:30である。
【0042】
さらに、ミクロスフェアの大きさは、実行者に都合のよいいずれの大きさであってもよい。一実施形態によれば、ミクロスフェアの大きさは約50ないし約2,500ミクロンである。別の実施形態によれば、ミクロスフェアは約100ないし約1,000ミクロンである。さらに別の実施形態によれば、ミクロスフェアは約250ないし約500ミクロンである。ミクロスフェアの大きさは、限定はされないが篩過および遠心分離を含むいずれの方法によっても制御され得る。一実施形態によれば、ミクロスフェアは、一定の大きさのミクロスフェアを得るために1以上のスクリーンを通して篩過される。
【0043】
強度を与えるため、短繊維もまた組織ドレッシング内に組み込まれてよい。繊維は当該技術分野において公知のいずれの方法によっても作製できる。繊維は、限定はされないが、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコール酸(PLG)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリエチレングリコール−PLA、PLA−ポリカプロラクトン(PCL)、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、またはポリリン酸エステルを含む、すぐ上に記載したミクロスフェアとしての同成分のいずれによっても作製できる。
【0044】
繊維は本発明のいずれの実施形態とも併用してよいことから、減圧療法システムと共に使用するため、生体吸収性ミクロスフェア、様々なポロゲンシステムなどと共に、またはそれらなしで使用してよい。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、ドレッシングはさらに生物活性薬剤、すなわち治療成績を改善できる化合物または元素(例えば鉄)を含んでなる。例として、栄養補助剤、抗生物質、小(<2000mw)有機化合物(例えばセロトニン、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、ヒスタミン)、ペプチド(例えばブラジキニン)、核酸(例えばアプタマーまたは遺伝子ベクター)、および増殖因子のようなタンパク質が含まれる。これらの実施形態は、いずれの特定の増殖因子の使用にも限定されない。これらの実施形態の範囲内にある潜在的に有用な増殖因子の例には、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)または神経成長因子(NGF)が含まれる。増殖因子は、ヒトを含むいずれの種由来であってもよい。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、組織ドレッシングは哺乳類細胞を含んでなる。例には、胚性幹細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、間葉系細胞、筋細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、または骨細胞が含まれる。細胞は、ヒトを含むいずれの哺乳類種のものであってもよい。
【0047】
上記組織ドレッシングのいずれも、配布および調製を容易にするためにキットの形で準備されてよい。従って本発明は、上記組織ドレッシングを調製するためのキットにも関する。キットは、第1容器内のガス発生ポロゲン混合物、および第2容器内のゲルもしくはゲル形成溶液またはゲルもしくはゲル形成溶液のための無水成分を含んでなる。幾つかの実施形態によれば、キットは、ドレッシングによって組織部位を治療するための説明書も含んでなる。
【0048】
様々な実施形態によれば、ポロゲンは酸および炭酸塩の混合物である。炭酸塩は例えば、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸カルシウムであってよい。これらの実施形態もまた、塩と混合するいずれの特定の酸にも限定されない。幾つかの実施形態によれば、酸はクエン酸である。
【0049】
この適用は、ゲルまたはゲル形成溶液に用いられる材料の、いずれの特定の化学組成物にも限定されない。幾つかの実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は、Pluronic(登録商標)F127、ポリアクリル酸塩、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含んでなる。
【0050】
これらのキットの様々な実施形態によれば、第2容器はドレッシングに力学的強度を加える構造をさらに含んでなる。このような構造の限定されない例には、上で考察したようにミクロスフェアまたは繊維が含まれる。
【0051】
これらのキットのあるものは、生物活性薬剤、例えば抗生物質または増殖因子をさらに含んでなる。その他のキットは、上で考察したように哺乳類細胞をさらに含んでなる。
【0052】
上記組織ドレッシングは、脊椎動物、例えばヒトを含む哺乳類の組織部位を治療するために用いられてよい。従って幾つかの実施形態によれば、本発明は上記組織ドレッシングによって哺乳類の組織部位を治療するための方法に関する。該方法は、流動性の発泡混合物を産生するためにガス発生ポロゲンとゲルまたはゲル形成溶液を混合すること、次に混合物が発泡する間に発泡混合物を組織部位上に送達することを含んでなる。
【0053】
ドレッシング内に用いられる生物活性薬剤または細胞は、どのような時にもゲルまたはゲル形成溶液と組み合わせてよい。さらに生物活性薬剤は、例えば架橋剤の使用、特定の反応基の含有、静電気的な相互作用、親水性相互作用、疎水性相互作用、ストレプトアビジンのような分子を使用した付着によって、または共有結合性および非共有結合性相互作用の組み合わせの使用を通して、ゲルまたはゲル形成溶液へ共有結合性または非共有結合性に結合し得る。
【0054】
発泡混合物は、組織部位上へいずれの適切な方法によっても送達されてよい。幾つかの実施形態によれば、発泡混合物は、混合物を組織部位上に注入または注射することによって組織部位へ送達される。別の実施形態によれば、発泡混合物は、減圧送達システムのマニホールド送達管を通した送達によって組織部位へ送達される。マニホールド送達管は、減圧が送達される管と同一であるかまたは異なってよい。
【0055】
従って発泡ゲルまたはゲル形成溶液は組織部位の中へ/上へ注入、塗布、または注射され、組織部位でゲルがin situ形成される。一実施形態によれば、ポロゲンシステムは完全に反応させられる、すなわちゲルまたはゲル形成溶液を創傷内に配置する前にポロゲンシステムは発泡を停止し、さらなる孔を形成できなくなる。別の実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は、ポロゲンシステムがまだ発泡している間に創傷の中へ/上へ配置される。
【0056】
得られるゲルは、ゲルおよびポロゲンシステムによって形成された孔が、減圧環境下でそれらの形を大体保持し得るだけの十分に増大した力学的強度を有するはずであり、そのために孔を通した空気および/または液体の流動が可能になる。これらの方法の幾つかにおいてガス発生ポロゲンは、ドレッシングに力学的強度を与える構造をさらに含んでなる。適切な構造の例には、ミクロスフェアおよび短繊維が含まれる。
【0057】
様々な実施形態によれば、ゲルまたはゲル形成溶液は熱可逆性である。このようなドレッシングは、ドレッシングが組織部位で温められるまで液体にとどまり得ることから、ドレッシングを注射または注入する場合に特に有用である。
【0058】
これらの方法は、ヒトを含む哺乳類のような、いずれの脊椎動物の組織部位にも用いられてよい。幾つかの実施形態によれば、組織部位は哺乳類の曝露された創傷を含んでなる。このような創傷の例には、緊急の手術創、褥瘡、外傷による創傷、糖尿病性の創傷、植皮、開腹による創傷、または火傷が含まれる。
【0059】
組織部位は、先天性欠損、または例えば癌もしくは感染のための組織の除去による欠損のような欠損部位であってもよい。本方法は、このような欠損を補う増殖を促すための組織ドレッシングの利用を含む。
【0060】
これらの方法の幾つかの実施形態によれば、組織部位は内部の部位であり、発泡混合物は組織部位へ経皮的に送達される。内部臓器を含むいずれの内部の部位も、これらの方法によって治療され得る。幾つかの実施形態によれば、組織部位は骨に存在する。
【0061】
これらの組織ドレッシングは、該ドレッシングが、混合物が発泡を停止した後に複数のフローチャネルを作り出すのに十分な開放孔を含んでなるものであれば、減圧療法において利用できる。これらの実施形態によれば、この方法は、ドレッシングをドレープにより覆うこと、およびドレッシングを通して創傷部位へ減圧を適用することをさらに含んでなる。
【0062】
これらの方法の幾つかでは、減圧はマニホールドを通して創傷部位へ送達される。これらの実施形態によれば、該マニホールドは減圧送達管を含んでなり、該減圧管は近位端、遠位端、および管を通して伸長する管腔を含んでなり、該近位端は減圧源と流体連結し、該遠位端はドレッシングと流体連結する。
【0063】
減圧を利用する方法の幾つかの実施形態によれば、組織部位およびゲルは、多くの場合不透過性の材料で作られた、柔軟な物質で作られたドレープで覆われることにより、液体もしくはガスの透過を阻止または遅延させる。ドレープは組織部位およびゲルの表面にわたって広がってよく、創傷の縁を越えて広がってよい。少なくとも1の減圧送達管がドレープの真下に配置され、ドレープの下から伸長する。減圧送達管は減圧源へ流体連結するように配置され、これは好ましくは、減圧源との流体連結を通して真空下に安全に配置されるキャニスターを含んでなる。
【0064】
現在公知であるかまたは後に見出される減圧療法装置のいずれの構造および設定も、これらの方法により利用され得る。一実施形態によれば、組織部位およびゲルは、不透過性の物質で好ましく作られた、柔軟な物質で作られたドレープで覆われることにより、液体もしくはガスの透過を阻止または遅延させる。ドレープは組織部位およびゲルの表面にわたって広がってよく、創傷の縁を越えて広がってよい。少なくとも1の減圧送達管がドレープの真下に配置され、ドレープの下から伸長する。減圧送達管は減圧源へ流体連結するように配置される。
【0065】
次に減圧療法を創傷へ適用する。該療法による治療についての減圧の頻度およびレベルは、身体の位置、組織部位の大きさおよび形、ゲルの組成、および部位に適用する様々な成分に種類があればその種類に依存することが理解される。さらに、治療計画に依存して、減圧療法は実質的に持続する適用であってよいか、または時間と共に圧力を変動させるような周期的なものであってよい。
【0066】
さらに別の実施形態によれば、マニホールドはゲルドレッシングの上に配置される。ドレッシングおよび/またはマニホールドは、組織部位全体にわたる実質的に均一な減圧の分布を容易にする。
【0067】
次に減圧療法を創傷へ適用し、ゲルを圧迫してミクロスフェアを組織部位内へ力学的に押し込む(305)。ミクロスフェアの使用は、創傷に対する力学的圧力が肉芽形成を促進することによって治癒および/または組織の増殖時間が短縮されることから有益である。
【0068】
さらなる実施形態によれば、本発明は、組織部位へ減圧組織治療を適用するための減圧送達システムに関する。該システムは、組織ドレッシング、減圧源、およびマニホールドを準備するための、上に特定されるキットを含んでなる。これらの実施形態によれば、該マニホールドは、近位端、遠位端、および管を通して伸長する管腔を含んでなる減圧送達管を含んでなる。該管の近位端は減圧源と流体連結し、遠位端はドレッシングと流体連結する。これらの実施形態の幾つかによれば、マニホールドは、上記組織ドレッシングの組織部位への送達に適した第2の管をさらに含んでなる。
【0069】
好ましい実施形態を以下の実施例に記載する。本発明の請求項の範囲内にあるその他の実施形態は、明細書の考慮または本明細書に開示される発明の実施から当業者には明らかであり得る。明細書は実施例と共に、実施例に続く請求項により示される本発明の範囲および精神によって、例証目的のみとみなすことが意図される。
【実施例1】
【0070】
減圧療法システムにおける、ガス発生ポロゲンを有する組織ドレッシングの製造および使用
最初に29%のPluronic(登録商標)F127(BASF Corporation)を調製することにより、ミクロスフェアおよび熱可逆性ゲルを含んでなる注入可能なin−situ発泡処方を調製する。Pluronic(登録商標)F127のパーセントは、以前の研究が、30%Pluronic F127は室温において一晩でゲル化したが、28%では37℃においてゆっくりとゲル化したことを示したために選択された。2.9gのF127を10mLのHOに溶解することにより、10mLの29%Pluronic F1127を調製する。溶解を助けるため、冷蔵庫内に一晩静置する。
【0071】
得られるポロゲンシステムが、乾燥重量によってF127の50%の量になるように、0.9gの炭酸カルシウム(Sigma,Incorporated)と0.55gのクエン酸(J.T.Baker)を組み合わせる。生体吸収性ミクロスフェアを調製し、おおよそ5mLをポロゲンシステムと混合する。
【0072】
200μlのHOをF127溶液へ加え、次にF127をミクロスフェア−ポロゲンシステム混合物へ加える。用手で混合し、ポロゲンシステムをF127溶液と反応させる。混合物を37℃の水浴内へ10分間移す。
【0073】
組織部位に配置し、V.A.C.(登録商標)セラピーシステムへ接続してドレープにより密閉する。減圧を適用する。
【0074】
上記を考慮すると、本発明の幾つかの利点が達成され、その他の利点が果たされると考えられるであろう。
【0075】
上記方法および組成物には、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされてよく、上記の説明に含まれ、かつ添付の図面に示される全ての事項は例示として解釈されるものであり、限定的な意味をもたないことが意図される。
【0076】
本明細書に引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に取り込まれる。本明細書における参考文献についての考察は単に著者による主張の要約を意図しており、いずれの参考文献も先行技術を構成することを承認するものではない。出願者は、引用される参考文献の正確さおよび妥当性を検証する権利を留保する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生ポロゲン、およびゲルまたはゲル形成溶液を含んでなる、流動性の生体吸収性組織ドレッシング。
【請求項2】
ポロゲンが酸および炭酸塩の混合物である、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項3】
酸がクエン酸である、請求項2に記載のドレッシング。
【請求項4】
炭酸塩が炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸カルシウムである、請求項2に記載のドレッシング。
【請求項5】
ゲルまたはゲル形成溶液が、Pluronic(登録商標)F127、ポリアクリル酸塩、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項6】
ゲルまたはゲル形成溶液が、ポリアクリル酸塩およびキトサンの組み合わせを含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項7】
ゲルまたはゲル形成溶液が熱可逆性である、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項8】
非ガス発生ポロゲンをさらに含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項9】
非ガス発生ポロゲンが塩である、請求項8に記載のドレッシング。
【請求項10】
塩が塩化ナトリウムまたは塩化カリウムである、請求項9に記載のドレッシング。
【請求項11】
非ガス発生ポロゲンが糖である、請求項8に記載のドレッシング。
【請求項12】
ドレッシングに力学的強度を加える構造をさらに含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項13】
構造がミクロスフェアまたは繊維である、請求項12に記載のドレッシング。
【請求項14】
構造がポリラクチド(PLA)、ポリグリコール酸(PLG)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリエチレングリコール−PLA、PLA−ポリカプロラクトン(PCL)、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、またはポリリン酸エステルを含んでなる、請求項12に記載のドレッシング。
【請求項15】
ドレッシングに剛性を加える化合物をさらに含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項16】
化合物が硫酸カルシウム半水和物である、請求項15に記載のドレッシング。
【請求項17】
生物活性薬剤をさらに含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項18】
生物活性薬剤が抗生物質である、請求項17に記載のドレッシング。
【請求項19】
生物活性薬剤が増殖因子である、請求項17に記載のドレッシング。
【請求項20】
増殖因子が、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、線維芽細胞増殖因子(FGF)、顆粒球−コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)または神経成長因子(NGF)である、請求項19に記載のドレッシング。
【請求項21】
哺乳類細胞をさらに含んでなる、請求項1に記載のドレッシング。
【請求項22】
哺乳類細胞が、胚性幹細胞、成体幹細胞、人工多能性幹細胞、上皮細胞、内皮細胞、間葉系細胞、筋細胞、線維芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、または骨細胞である、請求項21に記載のドレッシング。
【請求項23】
哺乳類細胞がヒト細胞である、請求項21に記載のドレッシング。
【請求項24】
請求項1に記載の組織ドレッシングを調製するためのキットであって、第1容器内のガス発生ポロゲン混合物、および第2容器内のゲルもしくはゲル形成溶液またはゲルもしくはゲル形成溶液のための無水成分を含んでなるキット。
【請求項25】
ポロゲンが酸および炭酸塩の混合物である、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
酸がクエン酸である、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
炭酸塩が炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、または炭酸カルシウムである、請求項25に記載のキット。
【請求項28】
ゲルまたはゲル形成溶液が、Pluronic(登録商標)F127、ポリアクリル酸塩、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、またはそれらの組み合わせを含んでなる、請求項24に記載のキット。
【請求項29】
第2容器が、ドレッシングに力学的強度を加える構造をさらに含んでなる、請求項24に記載のキット。
【請求項30】
構造がミクロスフェアまたは繊維である、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
生物活性薬剤をさらに含んでなる、請求項24に記載のキット。
【請求項32】
生物活性薬剤が抗生物質である、請求項31に記載のキット。
【請求項33】
生物活性薬剤が増殖因子である、請求項31に記載のキット。
【請求項34】
哺乳類細胞をさらに含んでなる、請求項28に記載のキット。
【請求項35】
請求項1に記載のドレッシングにより哺乳類の組織部位を治療する方法であって、流動性の発泡混合物を産生するためにガス発生ポロゲンとゲルまたはゲル形成溶液を混合すること、次に混合物が発泡する間に発泡混合物を組織部位上に送達することを含んでなる方法。
【請求項36】
発泡混合物が、混合物を組織部位上に注入または注射することによって組織部位へ送達される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
発泡混合物が、減圧送達システムのマニホールド送達管を通した送達によって組織部位へ送達される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
ゲルまたはゲル形成溶液が熱可逆性である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
ガス発生ポロゲンが、ドレッシングに力学的強度を加える構造をさらに含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
構造がミクロスフェアまたは繊維である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
組織部位が哺乳類の曝露された創傷を含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
曝露された創傷が、緊急の手術創、褥瘡、外傷による創傷、糖尿病性の創傷、植皮、開腹による創傷、または火傷である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
組織部位が内部の部位であり、発泡混合物が組織部位へ経皮的に送達される、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
組織部位が骨に存在する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
ドレッシングが、混合物が発泡を停止した後に複数のフローチャネルを作り出す開放孔を含んでなる、請求項35に記載の方法。
【請求項46】
ドレッシングをドレープにより覆うこと、およびドレッシングを通して創傷部位へ減圧を適用することをさらに含んでなる、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
減圧がマニホールドを通して創傷部位へ送達され、
該マニホールドが減圧送達管を含んでなり、該減圧管が近位端、遠位端、および管を通して伸長する管腔を含んでなり、
該近位端が減圧源と流体連結し、該遠位端がドレッシングと流体連結する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
発泡混合物が減圧送達管を通して組織部位へ送達される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
マニホールドが第2の管をさらに含んでなり、該第2の管を通して発泡混合物が組織部位へ送達される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
哺乳類がヒトである、請求項35に記載の方法。
【請求項51】
組織部位へ減圧組織治療を適用するための減圧送達システムであって、該システムが、
請求項24に記載のキット、
減圧源、および
減圧送達管を含んでなるマニホールドを含んでなり、
該減圧管が、近位端、遠位端、および管を通して伸長する管腔を含んでなり、該近位端が減圧源と流体連結し、該遠位端がドレッシングと流体連結する、減圧送達システム。
【請求項52】
マニホールドが、請求項1に記載のドレッシングの組織部位への送達に適した第2の管をさらに含んでなる、請求項51に記載の減圧送達システム。

【公表番号】特表2012−513838(P2012−513838A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543691(P2011−543691)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/069495
【国際公開番号】WO2010/078209
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】