説明

生体情報の通信装置、生体情報の通信方法、生体情報の通信プログラムおよび集積回路

【課題】同一生体に、同時に装着されたノードを認証し、通信ネットワークを構成する生体情報の通信装置を提供する。
【解決手段】生体の異なる位置に装着されたノードであって、ノードは装着された部位の生体情報を検出し、生体情報に基づいてノードの認証情報を生成し、他のノードへ認証情報とデータを送信する。他のノードの認証情報とデータを受信したノードは、他のノードの認証情報が受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に装着して生体情報を計測する装置に関し、特に複数の無線センサがネットワークを形成して生体情報を計測する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日常生活においてユーザーの行動を制限することなく、常時生体情報を計測することで健康管理、あるいは医療診断支援などを行うシステムが注目されている。このような計測するためには、配線のわずらわしさがなく、小型で低消費電力な計測装置が求められる。
【0003】
従来の生体情報計測装置としては、生理状態センサからのデータ収集を身体容量結合通信で行い、中継システムから外部機器に無線で送信するものがあった(例えば、特許文献1参照)。無線区間では予め決められた認証鍵を用いて認証要求および認証鍵交換をすることで安全な通信を行っていた。
【0004】
また、生体情報計測装置を装着した生体を識別する技術としては、予め登録した指紋と一致し、第1の信号と血圧測定部から得られる第2の信号(例えば、脈波)が一致すれば登録ユーザーと判定し、血圧測定値を保存・表示・通信する技術がある(例えば、特許文献2参照)。この技術は、生体個体の認証が目的であり、予め生体の特徴(ここでは指紋)を登録する必要があった。
【0005】
上記のように従来の生体情報計測装置は、複数の生理状態センサ、およびデータを収集する装置間のネットワーク接続は予め決められた、あるいは予め登録された構成のみであった。また、これらの装置は同一の生体に装着されることを前提として構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2008−522703号公報
【特許文献2】特許第3838141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザーの行動中の様々な生体情報、例えば体温、心拍、血圧、心電、筋電、血中酸素飽和度などを計測しようとすると、それぞれの計測に適した部位に計測装置を装着する必要がある。配線のわずらわしさがなく、ユーザーの行動を制限せずに、常時生体情報を計測するために、無線通信手段を搭載した複数の生理状態センサを用いて無線ネットワークを形成し、これらの生体情報を収集するシステムが検討されている。
【0008】
図5(a)において501は無線ネットワーク、502は送信ノード、503は受信ノード、504は無線ネットワークに属していない第3のノードとする。図5(b)は、ノード510の構成例を示した図である。ノード510は、生体情報をセンシングする生体センサ511、装着された部位の動きを検出する加速度センサ512、ノードを人体に装着する人体装着部513、データ処理および制御を行うマイコン514、無線通信を行う無線部515、アンテナ516、電源となるコイン電池517と電源部518を備えた小型の無線ノードである。
【0009】
ここでは各ノードは装着された部位での生体情報を計測したデータをノード間で送受信する無線ネットワーク501を形成している。例えば、図5(a)では送信ノード502は同一の生体に装着された受信ノード503にデータを送信している。
【0010】
しかしながら、上記した従来の構成では、無線ネットワーク501に参加するための予め設定した認証鍵があれば、同一の生体に装着されていないノード(第3のノード504)もネットワークに参加できることとなる。これにより送信ノード502が計測した生体情報データが傍受される、あるいは、異なる生体に装着されたノードが計測した生体情報が、受信ノード503に送信されるなどの状況が生じる。このため、同一生体に同時に装着されたノードで計測された生体情報データであるか否かを特定できないことが考えられる。また、生体に装着する複数のノード同士を予め登録する必要があるため、ユーザーが簡単に装着できないなどという課題を有していた。
【0011】
本発明は、上記した従来の課題を解決するもので、事前の設定が不要で、同一生体に、同時に装着されたノードだけでネットワークを構成する生体情報計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の通信装置は、生体の異なる位置に装着されたノード間でデータの送受を行う通信装置であって、前記ノードは、装着された部位の生体情報を検出する生体情報検出手段と、前記生体情報に基づいて当該ノードの認証情報を生成する認証情報生成手段と、他のノードへ前記認証情報およびデータを送信し、あるいは、他のノードから他のノードの認証情報およびデータを受信する通信手段と、を備え、前記他のノードから受信した信号に含まれる前記他のノードの認証情報が受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する認証手段とを備える。
【0013】
また、前記認証コード生成手段は、前記生体情報から得られる心拍数あるいは心拍周期に基づいて、前記認証コードを生成することを特徴とする。
【0014】
また、前記認証コード生成手段は、前記生体情報から得られる体温に基づいて、前記認証コードを生成することを特徴とする。
【0015】
また、前記認証コード生成手段は、前記生体情報から得られる血圧に基づいて、前記認証コードを生成することを特徴とする。
【0016】
また、前記第1のノードは、さらに前記第1の認証情報に基づいてデータを符号化する符号化手段を備え、前記第2のノードは、さらに前記第2の認証情報に基づいてデータを復号化する復号化手段を備え、前記受信信号に含まれる前記第1の認証情報に基づいて符号化されたデータを、前記第2の認証情報に基づいて復号化することを特徴とする。
【0017】
本構成によって、測定した生体情報を認証情報として通信の許可を行うことで、事前の設定が不要で、同一生体に同時に装着されているノード間のみで通信を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、認証要求に対する鍵交換のシーケンスや事前の登録が不要となり、同一生体に同時に装着されているノード間でのみ通信が行われ、同一生体ごとにネットワーク通信範囲を限定することができる安全な生体情報計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる通信装置の構成を示すブロック図
【図2】(a)は本発明にかかる認証パケットの一例を示す模式図(b)は本発明にかかるデータパケットの一例を示す模式図(c)は本発明にかかる認証データパケットの一例を示す模式図
【図3】本発明の実施の形態3にかかる通信装置の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態3にかかる通信パケットの一例を示す模式図
【図5】(a)は本発明にかかるシステム構成の一例を示す図(b)は本発明にかかるノード構成の一例を示す図
【図6】(a)は本発明の実施の形態1の送信ノードにかかるフロー図(b)は本発明の実施の形態1の受信ノードにかかるフロー図
【図7】(a)は本発明の実施の形態2の送信ノードにかかるフロー図(b)は本発明の実施の形態2の受信ノードにかかるフロー図
【図8】(a)は本発明の実施の形態3の送信ノードにかかるフロー図(b)は本発明の実施の形態3の受信ノードにかかるフロー図
【図9】(a)は送信ノードでの生体情報の一例を示す模式図(b)は受信ノードでの生体情報の一例を示す模式図(c)は第3のノードでの生体情報の一例を示す模式図
【図10】本発明の実施の形態1にかかる通信装置の他の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態3にかかる通信装置の他の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における通信装置の構成を示すブロック図である。図1において101は送信ノード、102は受信ノード、103は生体情報検出手段、104は認証情報生成手段、105は送信手段、106は受信手段、107は認証手段である。送信ノード101と受信ノード102は生体の異なる部位に装着される。送信ノード101は、生体情報検出手段103で検出した生体情報から認証情報生成手段104で第1の認証情報を生成する。外部から入力される送信データと生成された第1の認証情報は、送信手段105から送信される。送信手段105は、電磁波、磁力線、光、赤外線などを用いた無線送信、あるいは有線送信、身体結合容量送信など種々の送信方法を用いて通信することができる。送信手段105から送信された信号は、受信ノード102で受信される。受信ノード102は、送信ノード101と同様に生体情報検出手段103で検出した生体情報から認証情報生成手段104で第2の認証情報を生成する。認証手段107は、受信手段106で受信した信号に含まれる第1の認証情報が第2の認証情報と同じであるか否か判定し、同じであれば同一生体に装着されたノードからの送信であると認証して、受信データを出力する。
【0022】
図2は、送信ノード101と受信ノード102の間で通信される通信パケットの一例を示した図である。通信パケットは、プリアンブル部、ヘッダ部、データ部、FCS(フレームチェックシーケンス:Frame Check Sequence)部から構成される。プリアンブル部は、通信パケットの検出や同期など物理層(PHY:Physical Layer)で用いられる既知の信号パターンである。ヘッダ部は、通信パケットのパラメータを示す情報が格納され、送信パラメータや制御パラメータ、認証パラメータなどで構成される。送信パラメータは、変調方式やパケット長などの物理層(PHY)に関するパラメータが格納される。制御パラメータは、メディアアクセス層(MAC:Media Access Control Layer)に関するパラメータで、宛先アドレスや送信元アドレス、パケット種別、制御コマンドなどが格納される。認証パラメータは、ネットワークへの参加認証を行うためのパラメータである。
【0023】
データ部は、ペイロードとなるデータを格納し、FCS部はパケットの受信誤りがあるかどうかを検出するデータ(例えば、CRC16符号などの誤り検出符号)(CRC:Cyclic Redundancy Check)を格納する。
【0024】
図2(a)は、認証に用いる制御パケット(認証パケット)の一例を示す図である。認証パケットは、データ部が無く、プリアンブル部、ヘッダ部、FCS部のみで構成される。ヘッダ部の制御パラメータには、認証パケットを表すパラメータが格納され、認証に用いる認証パラメータが格納される。
【0025】
図2(b)は、データを送信するパケット(データパケット)の一例を示す図である。データパケットは、プリアンブル部、ヘッダ部、データ部、FCS部からなり、ヘッダ部の制御パラメータには、データパケットを表すパラメータが格納され、データ部にペイロードとなるデータが格納される。
【0026】
このようなパケットを用いて、送信ノード101と受信ノード102が通信を行う動作を図6に示すフロー図を用いて説明する。
【0027】
図6(a)は、送信ノード101の、図6(b)は、受信ノード102の動作フローをそれぞれ示す図である。
【0028】
送信ノード101を生体に装着し、動作を開始させるとステップS6101では、初期設定を行う。続いて、ステップS6102では、生体情報検出手段103から生体情報を検出する。検出する生体情報としては、心拍、心電、脈拍、筋電、脳波、血中酸素飽和度、血糖、血圧、体温、姿勢、加速度など種々などがあり、必要とする生体情報の検出に適したセンサが用いられる。ここでは、例として心拍センサを用いることとする。図9は、受信ノード、送信ノードおよび第3のノードでの生体情報の強度の時間的変化を示した一例の図である。図9(a)は、送信ノード101の心拍センサから得られる心拍情報の模式図を示している。
【0029】
ステップS6103では、生体情報検出手段103から得られた生体情報から認証情報を生成する。認証情報としては、同一生体の異なる部位において共通に現れる生体情報の特徴を用いる。例えば、心拍情報から波形のピーク周期を求め、この平均値を認証情報として用いればよい。あるいは、波形の形状の特徴などを用いてもよい。さらには、体温、血圧値、その時間履歴、または変動傾向なども用いることができる。図9(a)の例では、波形のピーク周期t1を求め、数周期分の平均値を認証パラメータT1とする。ここで生体情報には誤差、揺らぎなどを持つため、認証パラメータとしては、所定の範囲内で量子化した値を用いることが望ましい。波形のピーク周期であれば、例えば5msec単位に量子化すればよい。あるいは、1分間の心拍数であれば、例えば、2単位に量子化すればよい。さらには、1つの特徴量だけではなく、複数の特徴量を組み合わせる(例えば、心拍周期と波形ピーク振幅値など)、あるいは、複数の生体情報を組み合わせる(例えば、心拍周期と体温変動など)とより好ましい。
【0030】
ステップS6104では、送信ノード101は、認証情報を送信する。例えば、ステップS6103で生成した認証パラメータT1を認証パケット(図2(a))に格納して送信する。
【0031】
一方、受信ノード102も生体に装着し、動作を開始させると、ステップS6201では、初期設定を行う。続いて、ステップS6202からS6203までは送信ノード101のステップS6102からS6103までと同様にして、生体情報検出手段から得られた生体情報から認証情報を生成する。図9(b)は、受信ノード102の心拍センサから得られる心拍情報の模式図を示している。図9(b)に示す例では、波形のピーク周期t2を求め、数周期分の平均値を認証パラメータT2としている。
【0032】
ステップS6204では、認証情報を受信したかを判定する。送信ノード101が送信した認証パケットを受信手段106が受信すれば、ステップS6205に移る。受信していなければ、ステップS6202に戻り、生体情報の検出と認証情報の生成を繰り返す。
【0033】
ステップS6205では、認証手段107は、受信した認証パケットに含まれる認証パラメータが、自身の認証情報生成手段で生成した認証パラメータと同じであるか否かを判定する。送信ノード101から送信された認証パケットに含まれる認証パラメータT1と、受信ノード102が生成した認証パラメータT2が一致するかを判定する。例えば、図9(a)、(b)の例のように、心拍周期t1とt2は検出部位が異なっていても同一生体では、ほぼ同じ値となる。図9(c)は、同一生体に装着されていない第3のノードの生体情報の模式図を示しているが、図(a)および図(b)が有する共通の特徴が現れない。よって、これらを所定の範囲内で量子化した認証パラメータT1とT2が一致することから、受信ノード102は認証パラメータT1を送信した送信ノード101が同一生体に装着されていると判定し、データ受信をするためステップ6206に移る。認証パラメータT1とT2が一致しない場合は、認証パラメータT1を送信した送信ノード101が同一生体に装着されていないと判定し、データ受信を行わず、ステップS6202に戻り、新たな認証待ちを繰り返す。
【0034】
送信ノード101は、ステップS6105でデータを送信するタイミングかどうかを判定し、送信タイミングであれば、ステップS6106に移り、データをデータパケット(図2(b))に格納して送信する。ステップS6107で送信終了かを判定し、さらに、送信すべきデータがあれば、ステップS6105に戻り、動作を繰り返す。送信すべきデータがなければ、動作を終了する。
【0035】
一方、受信ノード102はステップS6206でデータパケットを受信したかどうかを判定し、受信していれば、ステップS6207で受信データ処理を行う。データパケットを受信していなければ、ステップS6206に戻り、受信待ちを繰り返す。受信データ処理後、ステップS6208で受信終了かを判定し、さらに、受信すべきデータがあれば、ステップS6206に戻り、受信待ちを繰り返す。受信すべきデータがなければ、動作を終了する。
【0036】
以上説明した動作により、本実施の形態は、認証パケット送信直前に送信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報と、認証パケット受信直前に受信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報とを比較する。これにより、ほぼ同時に同一生体に装着されているかどうかを判定することができる。従って、本発明を用いると、同一生体に装着されたノード間のみで安全に通信を行うことができる。
【0037】
なお、本実施の形態1では、ノードを送信ノード101、受信ノード102に分けた図1を用いて説明した。しかし、各ノードは、送信ノードと受信ノードの両方の機能を備えた、一つのノード110の構成であってもよい。図10は、本実施の形態1における送信ノードと受信ノード機能を兼ね備えたノードの例を示した図である。通信手段111は、送信機能と受信機能を備え、両ノード間の通信を行っている。他の符号は、図1と同じである。
【0038】
(実施の形態2)
図2(c)は、認証とデータを合わせて送信するパケット(認証データパケット)の一例を示す図である。認証データパケットは、プリアンブル部、ヘッダ部、データ部、FCS部からなり、ヘッダ部の制御パラメータには認証データパケットを表すパラメータが格納され、認証に用いる認証パラメータが格納される。さらに、データ部にはペイロードとなるデータが格納される。
【0039】
このようなパケットを用いて、送信ノード101と受信ノード102が、パケットごとに認証を行う動作フローを説明する(図7)。
【0040】
図7(a)は、送信ノード101の、(b)は受信ノード102の動作を示すフロー図を示す図である。
【0041】
送信ノード101を生体に装着し、動作を開始させると、ステップS7101では、初期設定を行う。続いて、ステップS7102、ステップS7103では、生体情報検出手段103から生体情報を検出し、認証情報生成手段104で認証情報を生成する(ステップS6102、ステップS6103と同様)。ステップS7104では、データを送信するタイミングかどうかを判定し、送信タイミングであれば、ステップS7105に移り、認証情報とデータを認証データパケット(図2(c))に格納して送信する。ステップS7106で送信終了かを判定し、さらに、送信すべきデータがあれば、ステップS7102に戻り、動作を繰り返す。送信すべきデータがなければ動作を終了する。
【0042】
一方、受信ノード102を生体に装着し、動作を開始させると、ステップS7201では、初期設定を行う。ステップS7202、ステップS7203では、送信ノード101と同様に生体情報検出手段103から生体情報を検出し、認証情報生成手段104で認証情報を生成する(ステップS6202、ステップS6203と同様)。ステップS7204では、認証データパケットを受信したかを判定する。送信ノード101が送信した認証データパケットを受信手段106が受信すれば、ステップS7205に移る。受信していなければ、ステップS7202に戻り、生体情報の検出と認証情報の生成を繰り返す。
【0043】
ステップS7205において、認証手段107は受信した認証データパケットに含まれる認証パラメータが、自身の認証情報生成手段で生成した認証パラメータと同じであるか否かを判定する(ステップS6205と同様)。認証パラメータが同じであると判定すれば、ステップS7206で受信データ処理を行う。認証パラメータが同じでないと判定すれば、送信ノード101が同一生体に装着されていないと判定し、受信データ処理を行わずにステップS7202に戻り、動作を繰り返す。受信データ処理後、ステップS7207で受信終了かを判定し、さらに、受信すべきデータがあればステップS7202に戻り動作を繰り返す。受信すべきデータがなければ、動作を終了する。
【0044】
以上説明した動作により、本実施の形態は、データ送信ごとに、認証データパケット送信直前に送信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報と、認証データパケット受信直前に受信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報との比較を行う。このため、ほぼ同時に同一生体に装着されているかどうかを判定することができる。従って、本発明を用いると、送信頻度が少ない場合でも、同一生体に装着されたノード間のみで安全に通信を行うことができる。
【0045】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3にかかる通信装置のブロック図の一例を示す図である。図1と同じ構成要素には同じ符号を用い、説明は省略する。
【0046】
図3において、301は送信ノード、302は受信ノードである。303は送信データを、認証情報生成手段104が生成する認証情報に基づいて符号化する符号化手段である。符号化手段303で符号化されたデータ(符号化データ)は、送信手段105より送信される。復号化手段304は、受信手段106が出力する受信された符号化データを、認証情報生成手段104が生成する認証情報に基づいて復号化する。復号化手段304で復号化された受信データは、外部の装置(図示せず)へ出力される。
【0047】
図4は、認証情報で符号化したデータを送信するパケット(認証符号化データパケット)の一例を示した図である。認証符号化データパケットは、プリアンブル部、ヘッダ部、データ部、FCS部からなり、ヘッダ部の制御パラメータには、認証符号化データパケットを表すパラメータが格納される。データ部には、ペイロードとなるデータを認証パラメータに基づいて符号化した符号化データが格納される。
【0048】
図8は、上記したパケットを用いて送信ノード301と受信ノード302が、パケットごとに認証を行う動作フローを説明する図である。
【0049】
送信ノード301を生体に装着し、動作を開始させると、ステップS8101では、初期設定を行う。続いて、ステップS8102、ステップS8103では、生体情報検出手段103から生体情報を検出し、認証情報生成手段104で認証情報を生成する(ステップS6102、ステップS6103と同様)。ステップS8104では、データを送信するタイミングかどうかを判定し、送信タイミングであれば、ステップS8105に移り、認証情報に基づいてデータを符号化し、符号化データを生成する。
【0050】
符号化の方法としては、例えば、認証パラメータT1をビット列に変換し、これをシードとする擬似乱数ビット系列を発生させ、データのビット列と排他的論理和(XOR:Exclusive OR)をとることでスクランブル化を行うようにしてもよい。あるいは、認証パラメータT1を暗号鍵として、種々の暗号方式によって暗号化を行うようにしてもよい。あるいは、認証パラメータT1に基づいて直交符号系列(例えば、Gold符号など)から符号を選択し、選択した符号でデータのビット列を符号拡散することで、符号多重化を行うようにしてもよい。なお、データとFCSを合わせて認証情報で符号化し、符号化データは、データ部に、符号化されたFCSは、FCS部に格納するようにしてもよい。あるいは、符号化データと符号化されたFCSをデータ部に格納し、データ部のFCSをFCS部に格納してもよい。あるいは、FCS部には、符号化前のデータのFCSを格納してもよい。あるいは、FCS部には、符号化データのFCSを格納するようにしてもよい。いずれも受信側で認証パラメータT1と同じである認証パラメータT2があれば、復号化を行うことができ、送信されたデータを再生することができる。
【0051】
ステップS8106にて、符号化データを認証符号化データパケット(図4)に格納して送信する。ステップS8107にて送信終了かを判定し、さらに、送信すべきデータがあれば、ステップS8102に戻り、動作を繰り返す。送信すべきデータがなければ、動作を終了する。
【0052】
一方、受信ノード302を生体に装着し、動作を開始させると、ステップS8201では、初期設定を行う。続いて、ステップS8202、ステップS8203では、送信ノード301と同様に生体情報検出手段103から生体情報を検出し、認証情報生成手段104で認証情報を生成する(ステップS6202、ステップS6203と同様)。ステップS8204では、認証符号化データパケットを受信したかを判定する。送信ノード301が送信した認証符号化データパケットを受信手段106が受信すれば、ステップS8205に移る。受信していなければ、ステップS8202に戻り、生体情報の検出と認証情報の生成を繰り返す。
【0053】
ステップS8205において、自身の認証情報生成手段104で生成した認証パラメータT2に基づいて、復号化手段304は、データ部の復号化を行う。ステップS8206で復号化が成功したかを判定する。復号化が成功すれば、送信側で符号化のシードとなった認証パラメータT1と受信側で復号化のシードとなった認証パラメータT2が同じであると判定できるので、送信ノード301と受信ノード302が同一生体に装着されていると判定される。復号化が成功すれば、ステップS8207で受信データ処理を行い、ステップS8208に移る。復号化が成功しなければ、受信データ処理は行わず、ステップS8208に移る。ステップS8208にて受信終了かを判定し、さらに、受信すべきデータがあればステップS8202に戻り、動作を繰り返す。受信すべきデータがなければ、動作を終了する。
【0054】
以上、説明した動作により、本実施の形態において、送信ノードは、データ送信ごとに、認証符号化データパケット送信直前に送信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報を用いてデータを符号化して送信する。そして、受信ノードは、認証符号化データパケット受信直前に、受信ノードで検出された生体情報から生成された認証情報を用いて受信信号を復号化する。これにより、認証情報自体を送信することなく、認証情報を比較するので、ほぼ同時に同一生体に装着されているかどうかを判定することができる。従って、本発明を用いると、同一生体に装着されたノード間のみで安全に通信を行うことができる。
【0055】
なお、本実施の形態3では、ノードを送信ノード301、受信ノード302に分けた図3を用いて説明した。しかし、各ノードは、送信ノードと受信ノードの両方の機能を備えた、一つのノード310の構成であってもよい。図11は、本実施の形態3における送信ノードと受信ノード機能を兼ね備えたノードの例を示した図である。通信手段111は、送信機能と受信機能を備え、両ノード間の通信を行っている。他の符号は、図3と同じである。
【0056】
以上、本発明の例を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく種々変形実施可能であり、上述した各実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【0057】
なお、実施の形態にかかる各構成は、集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現されてもよい。これらの構成は、1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIと表現したが、回路の集積度の違いによっては、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと称呼されることもある。また、集積回路化の手法は、LSIに限られるものではなく、専用回路または汎用プロセッサで集積回路化を行ってもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable GateArray)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサー(ReConfigurable Processor)を用いてもよい。あるいは、これらの機能ブロックの演算は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)やCPU(Central Processing Unit)などを用いて演算することもできる。さらに、これらの処理ステップはプログラムとして記録媒体に記録して実行することで処理することもできる。
【0058】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、認証要求に対する鍵交換のシーケンス、事前の登録などが不要となり、同一生体に同時に装着されているノード間でのみ通信が行われ、同一生体ごとにネットワーク通信範囲を限定することができる。このため、生体に複数のノードを装着して通信を行う通信機器一般に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
101,301 送信ノード
102,302 受信ノード
103 生体情報検出手段
104 認証情報生成手段
105 送信手段
106 受信手段
107 認証手段
110,310 ノード
111 通信手段
303 符号化手段
304 復号化手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の異なる位置に装着されたノード間でデータの送受を行う通信装置であって、
前記ノードは、
装着された部位の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
前記生体情報に基づいて当該ノードの認証情報を生成する認証情報生成手段と、
他のノードへ前記認証情報およびデータを送信し、あるいは、他のノードから他のノードの認証情報およびデータを受信する通信手段と、
を備え、
前記他のノードから受信した信号に含まれる前記他のノードの認証情報が受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する認証手段と
を備える通信装置。
【請求項2】
前記認証情報生成手段は、
前記生体情報から得られる心拍数あるいは心拍周期に基づいて、前記認証情報を生成する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記認証情報生成手段は、
前記生体情報から得られる体温に基づいて、前記認証情報を生成する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記認証コード生成手段は、
前記生体情報から得られる血圧に基づいて、前記認証情報を生成する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記ノードは、さらに
当該ノードが生成する認証情報に基づいてデータを符号化する符号化手段と、
当該ノードが生成する記認証情報に基づいて符号化データを復号化する復号化手段と
を有し、
前記通信手段は、
他のノードへ符号化データを送信し、あるいは、他のノードから符号化データを受信し、
前記復号化手段は、
前記他のノードから受信した符号化データを、受信したノードが生成する認証情報を用いて復号化し、
前記認証手段は、
前記符号化データの復号が成功した場合、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
生体の異なる位置に装着されたノード間でデータの送受を行う通信方法であって、
前記ノードは、
装着された部位の生体情報を検出する検出ステップと、
前記生体情報に基づいて当該ノードの認証情報を生成する生成ステップと、
他のノードへ前記認証情報、およびデータを送信し、あるいは、他のノードから他のノードの認証情報、およびデータの受信を行う受信ステップと、
前記他のノードから受信した信号に含まれる前記他のノードの認証情報が、受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する認証ステップ
からなる処理を行う通信方法。
【請求項7】
生体の異なる位置に装着されたノード間でデータの送受を行う通信をするノードのコンピュータで実行させる通信プログラムであって、
装着された部位の生体情報を検出する検出ステップと、
前記生体情報に基づいて当該ノードの認証情報を生成する生成ステップと、
他のノードへ前記認証情報、およびデータを送信し、あるいは、他のノードから他のノードの認証情報、およびデータの受信を行う受信ステップと、
前記他のノードから受信した信号に含まれる前記他のノードの認証情報が、受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する認証ステップ
を実行する通信プログラム。
【請求項8】
生体の異なる位置に装着されたノード間でデータの送受を行う通信装置のノードを構成する集積回路であって、
装着された部位の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
前記生体情報に基づいて当該ノードの認証情報を生成する認証情報生成手段と、
他のノードへ前記認証情報、およびデータを送信し、あるいは、他のノードから他のノードの認証情報、およびデータを受信する通信手段と、
を備え、
前記他のノードから受信した信号に含まれる前記他のノードの認証情報が、受信したノードの生成する認証情報に一致するか判定し、一致すると判定した場合に、当該ノードと他のノードが同一の生体に装着されていると認証する認証手段と
として機能する回路を集積する集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−110181(P2011−110181A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268365(P2009−268365)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】