説明

生体情報モニタリングシステム

【課題】チャネル情報の重複設定が生じた場合にこれを検出する。
【解決手段】個別のチャネル情報が割り当てられた複数の送信機1−1〜2−mと、設定されたチャネル情報が割り当てられた送信機により収集された生体情報を受信し、この生体情報を出力する受信機15-1〜15−24と、受信機から出力された生体情報の表示を行うモニタリング装置と、モニタリング装置が受信すべき生体情報を収集する送信機のチャネル情報を受信機に設定する設定手段と、受信機送に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出する検出手段と、を具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個別のチャネル情報が割り当てられ、生体から生体情報を収集して送信する送信機を複数用いて構成する生体情報モニタリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報モニタリングシステムにあっては、チャネル情報の設定を受けて、設定されたチャネル情報が割り当てられた送信機により収集された生体情報を受信し、この生体情報をネットワークを介して送信する受信機が複数備えられており、この受信機に対するチャネル情報の設定により、患者からの生体情報をモニタリング装置であるセントラルモニタに収集するように構成されている。
【0003】
従って、モニタリング対象と異なる患者に配置された送信機のチャネル情報を上記受信機に設定すると、所要患者の生体情報をモニタリングできなかったり、患者の取り違いを生じるたりするおそれがある。これに対応する機能は、セントラルモニタにおいて、患者とチャネル情報の対応が適切であるかについて行っているだけであり、不十分なものであった。
【0004】
上記に対し、所望の画像を得るために複数の画像受信機から得られる複数画像を1画面にサムネイル画像のように並べて表示し、所要の画像を当該画面において画像選択を行うことにより得るようにしたシステムが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このシステムでは、入力ミスなく所望の画像や生体情報を得ることができるものの、チャネルの重複設定には対応できない。
【0005】
また、テレメータシステムにおいてユーザIDの誤設定を回避するために、対向送信する2つの無線機において、初期のユーザIDが無線機固有の無線識別番号と同一に設定されているものが知られている。これによれば、初期においてユーザIDの誤設定を回避することが可能であるが、日時の経過と共に患者が変わってモニタリング対象が変更となり、その都度チャネル情報の設定変更が必要となる生体情報モニタリングシステムにおいては誤設定を回避することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−11281号公報
【特許文献2】特開2005−229426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記のような生体情報モニタリングシステムにおける現状に鑑みてなされたもので、その目的は、チャネル情報の重複設定が生じた場合にこれを検出することにより、所要患者の生体情報をモニタリングできなかったり、患者の取り違いを生じるたりするという不具合を的確に防止することが可能な生体情報モニタリングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムは、個別のチャネル情報が割り当てられ、生体から生体情報を収集して送信する複数の送信機と、チャネル情報の設定を受けて、設定されたチャネル情報が割り当てられた送信機により収集された生体情報を受信し、この生体情報をネットワークを介して出力する受信機と、受信機から出力された所望の生体情報を受信し、受信した生体情報に基づく表示を行うモニタリング装置と、モニタリング装置が受信すべき生体情報を収集する送信機のチャネル情報を受信機に設定する設定手段と、受信機に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出する検出手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムでは、更に検出手段により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、重複設定を報知する報知手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムでは、設定手段は、モニタリング装置に設けられ、検出手段及び報知手段は、受信機に設けられ、報知手段の報知を受けて警報出力を行う警報出力手段がモニタリング装置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムでは、設定手段は、モニタリング装置に設けられ、検出手段及び報知手段は、ネットワークに接続されたコンピュータ機能を有する装置に設けられ、報知手段の報知を受けて警報出力を行う警報出力手段が、モニタリング装置に設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムは、検出手段により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、検出を有効または無効と設定する強制設定手段がモニタリング装置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムは、受信機に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出し、同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、重複設定を報知するので、チャネル情報の重複設定が生じた場合にこれを検出し、報知することできる。
【0014】
本発明に係る生体情報モニタリングシステムは、検出手段により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、検出を有効または無効と設定する強制設定手段を備えるので、複数のモニタリング装置が同一チャネルの送信機によって収集された生体情報を得てモニタリングすることができ、便利にシステムを運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおける実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおける受信機の実施形態の構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおける受信機の実施形態に備えられる記憶部に記憶された情報の一例を示す図。
【図4】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおけるセントラルモニタの実施形態の構成を示すブロック図。
【図5】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおけるセントラルモニタの実施形態に備えられるテーブルに記憶された情報の一例を示す図。
【図6】本発明に係る生体情報モニタリングシステムにおけるセントラルモニタの表示部にて表示される情報の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明に係る生体情報モニタリングシステムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る生体情報モニタリングシステムの実施形態の構成図を示す。このシステムにおいては、例えば1階と2階にそれぞれ2台のモニタリング装置であるセントラルモニタ11、12、21、22が配置されている。これらのセントラルモニタ11、12、21、22は、IPプロトコルにより通信するネットワークであるLAN10に接続されている。
【0017】
LAN10には、1階に例えば4台の受信機15−11〜15−14が接続され、2階に例えば4台の受信機15−21〜15−24が接続されている。更に、患者P1−1〜P1−nには送信機1−1〜1−nが取り付けられており、患者P2−1〜P2−mには送信機2−1〜2−mが取り付けられている。
【0018】
送信機1−1〜1−n、2−1〜2−mは、個別のチャネル情報が割り当てられ、生体から生体情報を収集して送信するものである。患者P1−1〜P1−n、P2−1〜P2−mには生体情報の検出に必要な電極等が張り付けられ、その電極等はそれぞれリード線を介して送信機1−1〜1−n、2−1〜2−mに接続されている。生体情報としては、心電図データ、呼吸データ、血圧、SpO2、CO2など各種の情報を収集可能である。
【0019】
前述の受信機15−11〜15−14、15−21〜15−24は、チャネル情報の設定を受けて、設定されたチャネル情報が割り当てられた送信機により収集された生体情報を受信し、この生体情報をネットワークであるLAN10を介して出力するものである。また、セントラルモニタ11、12、21、22は、受信機15−11〜15−14、15−21〜15−24から出力された生体情報を受信し、受信した生体情報の波形や数値の表示等の出力を行うものである。
【0020】
受信機15−11〜15−14、15−21〜15−24の構成は同一であり、図2に示す受信機15の構成を備えている。受信機15は、送信機から送られる信号を受信する受信部31を備えており、受信部31により受信された信号は信号処理部32へ取り込まれ、所要の処理が行われる。所要の処理とは、基本的にはLAN10へ送るためのディジタル化等であるが、セントラルモニタ側の設定によりアラーム設定や不整脈解析等の信号処理を行う処理を有することができる。
【0021】
受信機15には、更に、チャネル情報等記憶部33、検出手段34、報知手段35、通信処理部36、LANインタフェース37が備えられている。チャネル情報等記憶部33には、この受信機15が収集管理可能な最大数の送信機数(ここでは8とする)のチャネル情報が、例えばベッドIDに対応させられて記憶される。図3に示すチャネル情報等記憶部33の例においては、自装置用のベッドIDがBed1からBed8までのベッドが割り当てられた患者から生体情報を収集する送信機のチャネル情報とチャネル情報を設定するセントラルモニタのIPアドレスが記憶される。最下欄には、自装置のIPアドレスが記憶される。
【0022】
検出手段34は、他の受信機に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出するものである。チャネル情報の収集は、例えば所定時間毎に行うことができる。収集された他の受信機のチャネル情報は、図3に示すチャネル情報等記憶部33の他装置用の記憶エリアにベッドIDと共に記憶される。報知手段35は、検出手段34により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、重複設定を報知するものであり、チャネル情報等記憶部33に記憶されている、当該チャネル情報を設定するセントラルモニタのIPアドレスを宛先アドレスとして用い、報知を行う。報知手段35の報知により、後に説明するアラーム発生器43からアラーム音が発生され、また、表示部42の画面の該当欄にアラーム表示が行われる。
【0023】
LANインタフェース37はLAN10を介してIPプロトコルによる通信を行うものであり、通信処理部36は、送信するデータのフォーマッティングや受信したデータの分解等の処理を行う。
【0024】
モニタリング装置であるセントラルモニタ11、12、21、22は同一の構成であり、図4に示すセントラルモニタ40の構成を備えている。即ち、コンピュータなどにより構成される本体部41に、表示部42、アラーム発生器43、入力部44、LANインタフェース45が接続された構成を備えている。表示部42は、LEDやLCDなどのディスプレイ装置により構成され、各種の生体情報の波形や数値等が表示される。アラーム発生器43は、アラーム音を発生するスピーカなどにより構成することができる。
【0025】
入力部44は、キーボードやマウスなどのポインティングディバイスなどにより構成することができ、各種のデータやコマンドなどを入力することができる。LANインタフェース45は、LAN10を介してIPプロトコルによる通信を行うものである。
【0026】
本体部41には、信号処理部51、表示用設定情報テーブル52、表示制御部53、設定手段54、強制設定手段55が備えられている。信号処理部51は、送信するデータのフォーマッティングや受信したデータの分解等の処理を行う。
【0027】
表示用設定情報テーブル52は、表示部42に表示する例えば16欄(エリア)分の生体情報に関する各種情報が設定されるテーブルである。例えば、図5にように、各欄番号毎に、患者氏名、患者ID、生体情報を収集する受信機のIPアドレス及びBed ID/チャネル情報が記憶されるように構成されている。
【0028】
表示制御部53は、表示用設定情報テーブル52に記憶されたIPアドレスの受信機から送られ、LANインタフェース45を介して到来し、信号処理部51により分離された生体情報に関し、表示用設定情報テーブル52の記憶内容に基づき、表示部42における画面の対応する欄に表示を行う。図6(a)は、ある一欄に表示された生体情報等の表示例である。生体情報に係る波形や数値と共に、患者氏名201、ベッドID202などが表示される。受信機から出力された情報の内容が報知情報か生体情報かについて判定を行い、生体情報の場合、図6(a)のように波形や数値を表示する。また、報知の場合、表示部42の画面の該当欄にチャネル情報が重複している旨のアラーム表示を図6(b)のように行う。
【0029】
設定手段54は、モニタリング装置であるセントラルモニタが受信すべき生体情報を収集する送信機のチャネル情報を受信機に設定するものであり、表示用設定情報テーブル52の欄に生体情報を収集する受信機のIPアドレス及びBed ID/チャネル情報を登録することにより、該当受信機への設定が行われる。
【0030】
強制設定手段55は、受信機の検出手段34により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、入力部44からの操作により設定を有効とするものであり、検出手段34により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、強制設定手段55により設定が無効とされるときには、設定手段54は後発チャネル情報(ここで設定しようとするチャネル情報)の設定を行わず、強制設定手段55により設定が有効とされた場合には、設定手段54は後発チャネル情報の設定を行う。即ち、同一のチャネル情報の設定が検出された場合には、表示用設定情報テーブル52の該当欄に対するチャネル情報の記憶が留保される。
【0031】
以上の構成において、強制設定手段55を全てのセントラルモニタに設けるようにしたが、所要のセントラルモニタに設けるようにしても良い。また、チャネル情報に関する重複のモニタリング及び報知を受信機15において行うようにしたが、これに限定されない。例えば、セントラルモニタにチャネル情報等記憶部33、検出手段34及び報知手段35を有させて、当該機能を設けるようにすることができ、また、パーソナルコンピュータ等のコンピュータにチャネル情報等記憶部33、検出手段34及び報知手段35を備えさせて、これをLAN10に接続し、このコンピュータによってチャネル情報に関する重複のモニタリング及び報知を行うようにしても良い。
【0032】
以上のいずれの構成に係る生体情報モニタリングシステムによっても、受信機に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出し、同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、重複設定を報知するので、チャネル情報の重複設定が生じた場合にこれを検出し、報知することできる。
【符号の説明】
【0033】
11、12、21、22、40 セントラルモニタ
15-11〜15−14、15-21〜15−24 受信機
31 受信部
32 信号処理部
33 チャネル情報等記憶部
34 検出手段
35 報知手段
36 通信処理部
37 LANインタフェース
41 本体部
42 表示部
43 アラーム発生器
44 入力部
45 LANインタフェース
51 信号処理部
52 表示用設定情報テーブル
53 表示制御部
54 設定手段
55 強制設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別のチャネル情報が割り当てられ、生体から生体情報を収集して送信する複数の送信機と、
チャネル情報の設定を受けて、設定されたチャネル情報が割り当てられた送信機により収集された生体情報を受信し、この生体情報を出力する受信機と、
受信機から出力された生体情報を受信し、受信した生体情報の表示を行うモニタリング装置と、
モニタリング装置が受信すべき生体情報を収集する送信機のチャネル情報を受信機に設定する設定手段と、
受信機送に設定されたチャネル情報を収集し、同一のチャネル情報の設定を検出する検出手段と、
を具備することを特徴とする生体情報モニタリングシステム。
【請求項2】
検出手段により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、重複設定を報知する報知手段と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項3】
設定手段は、モニタリング装置に設けられ、
検出手段及び報知手段は、受信機に設けられ、
報知手段の報知を受けて警報出力を行う警報出力手段が、モニタリング装置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項4】
設定手段は、モニタリング装置に設けられ、
検出手段及び報知手段は、ネットワークに接続されたコンピュータ機能を有する装置に設けられ、
報知手段の報知を受けて警報出力を行う警報出力手段が、モニタリング装置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の生体情報モニタリングシステム。
【請求項5】
検出手段により同一のチャネル情報の設定が検出された場合に、検出を有効または無効と設定する強制設定手段が備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の生体情報モニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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