生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラム
【課題】 装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】 生体情報処理装置は、ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備える。生体情報処理方法は、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、複数の生体画像の表面反射領域を検出し、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ものである。
【解決手段】 生体情報処理装置は、ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備える。生体情報処理方法は、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、複数の生体画像の表面反射領域を検出し、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証において生体を撮影する方法として、透過光を用いる方法、反射光を用いる方法などがあげられる。静脈などのように皮下に位置する生体を撮影する場合、反射光のうち、手のひらの内部で拡散して戻る拡散光を用いる。この場合、皮膚で反射する表面反射光はノイズとなる。したがって、表面反射光が拡散光と重畳すると、生体の検出が困難となる。
【0003】
表面反射を除去する撮影方式として下記のような従来技術が知られている。特許文献1では、偏光フィルタを用いて表面反射を除去している。特許文献2では、複数の照明のオンオフを制御することで、表面反射成分を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−200050号公報
【特許文献2】特表2002−514098号公報
【特許文献3】特開2007−323667号公報
【特許文献4】特開2007−010346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、偏光フィルタが高価であるという問題がある。特に近赤外の波長に対応している偏光フィルタは少なく、より高価となる。また、偏光フィルタを通して自照明を出射する必要があるため、一般には出射光量が半分未満に低下する問題がある。特許文献2の技術では、装置の大きさが一定以上必要である。つまり、表面反射の入射角に差を付ける必要がある為、生体認証装置を小型化する際には障害となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理装置は、ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備えるものである。
【0008】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理方法は、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、複数の生体画像の表面反射領域を検出し、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ものである。
【0009】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理プログラムは、コンピュータに、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得する取得ステップと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出ステップと、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
明細書開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムによれば、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】表面反射について説明するための図である。
【図2】(a)〜(c)は、表面反射領域について説明するための図である。
【図3】被写体と光源との位置関係を説明するための図である。
【図4】(a)〜(c)は複数の登録画像を説明するための図であり、(d)は照合画像を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は複数の登録画像を説明するための図であり、(d)は照合画像を説明するための図である。
【図6】(a)は実施例1に係る生体情報処理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図であり、(b)は生体センサの一例を説明するための斜視図である。
【図7】生体情報処理プログラムの実行によって実現される各機能のブロック図である。
【図8】登録処理の際に実行されるフローチャートの一例である。
【図9】表面反射領域を算出する際に表面反射領域検出部が実行するフローチャートの一例である。
【図10】(a)は表面反射領域チェックの際に実行されるフローチャートの一例であり、(b)は重なり割合を説明するための図である。
【図11】被写体の距離の誘導を説明するための図である。
【図12】被写体の適切な距離を説明するための図である。
【図13】被写体の位置の誘導を説明するための図である。
【図14】登録データの一例を説明するためのテーブルである。
【図15】認証処理の際に実行されるフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明に先立って、反射光を用いた生体認証について説明する。一例として、静脈認証について説明する。静脈認証では、近赤外線の照明を使って皮下の静脈を撮影することによって認証する方式を採用している。図1を参照して、皮膚に照射された光は、拡散光および表面反射光の2種類の反射成分に分離する。
【0013】
拡散光は、皮下まで透過して拡散しながら通ってきた光である。つまり、拡散光は、皮下に入った光が散乱を繰り返しながら最終的に皮膚表面に到達して出力されたものである。拡散光は、皮下の静脈の情報を含んでおり、静脈認証において有効な反射光として用いられる。
【0014】
表面反射光は、空気の屈折率と皮膚の屈折率との違いによって、空気と皮膚との境界面で一定の割合で発生する反射光である。表面反射光の反射方向および強度は、光の入射角度および屈折率(空気および生体の屈折率)によって決まる(スネルの法則/フレネルの法則)。被写体の表面が平らな場合には、表面反射光は、入射角(θ1)と等しい反射角(θ2)方向にのみ得られる。しかしながら、生体のように表面が平らではない被写体の場合、表面反射光はある程度広がった範囲に観測される。表面反射光は、静脈画像にとっては不要なノイズである。
【0015】
表面反射の反射角は、被写体に対する入射角度に依存する。したがって、手のひらのように凹凸が存在する被写体の場合、光の当たりかたに依存して、表面反射が多く発生する領域(以下、表面反射領域)が発生する場合がある。表面反射領域は、被写体の距離、位置、角度などに依存して決定されるため、図2(a)〜図2(c)のように、手のひらの様々な領域で発生し得る。図2(a)〜図2(c)の例では、網掛けの部分が表面反射領域である。表面反射領域においては、鮮明な静脈画像を撮影することが困難である。表面の模様(皺、傷など)が静脈に重なるためである。この場合、認証精度が低下するおそれがある。
【0016】
表面反射を除去する撮影方式として、以下のような技術を用いることができる。例えば、偏光フィルタを用いて表面反射を除去することが考えられる。偏光フィルタは、光をP波とS派とに分離するフィルタである。この偏光フィルタを用いることによって、P波とS波との反射率の違いを利用して表面反射を除去することができる。しかしながら、偏光フィルタは高価であるという問題がある。特に近赤外の波長に対応している品は少なく、より高価となる。また、偏光フィルタを通して自照明を出射する必要がある為、一般には出射光量が半分未満に低下するという問題も生じ得る。
【0017】
また、表面反射の反射方向は光の入射角に応じて決まるため、複数の照明があった場合に照明の位置に応じて表面反射の発生位置が変わる。そこで、複数照明のオンおよびオフを個別に制御しながら画像を撮影することによって、表面反射成分を除去した画像を生成することができる。しかしながら、この方法を利用すると、装置が大型化してしまう。つまり、図3を参照して、表面反射の入射角に差を付けるために光源を複数箇所に配置すると、一定のスペースが必要になるのである。
【0018】
以下の実施例においては、図面を参照しつつ、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムについて説明する。
【0019】
まず、概要について説明する。図4(a)〜図4(c)は、複数の登録画像1〜3を説明するための図である。図4(d)は、照合画像を説明するための図である。登録画像は、事前にデータベースに登録されている特定のユーザの生体画像である。照合画像は、生体センサを介して得られた当該ユーザの生体の画像から得られた照合用の生体画像である。なお、図4(a)〜図4(d)の例は手のひらの輪郭まで含まれる画像であるが、登録される情報および照合用に用いられる情報は、生体の特徴量などのデータであってもよい。
【0020】
生体センサが取得する画像を基に複数の画像を登録する場合、生体と生体センサとの位置関係に大きな変化が無ければ、複数の登録画像1〜3に対して同一の表面反射領域が存在する可能性がある。例えば、複数の画像を撮影する際の時間的間隔が短い場合、複数の画像における生体の姿勢(距離、位置、角度など)は類似していることが多い。この場合、図4(a)〜図4(c)を参照して、登録画像1〜3においてほとんど同じ位置に表面反射領域が生じることになる。一方で、照合の際には、生体の姿勢が登録時と異なっていることが多い。その結果、図4(d)を参照して、表面反射領域の位置が、登録画像1〜3と大きくことなることになる。この場合、互いに表面反射領域の位置が異なった登録画像と照合画像とを比較することになる。表面反射領域においては、登録画像および照合画像の双方において静脈画像の鮮明度が低下しているため、両者共通で鮮明な静脈画像が得られる領域が狭くなる。その結果、登録画像のユーザと照合画像のユーザが同一であったとしても、登録画像と照合画像との類似度が低下するおそれがある。
【0021】
これに対して、以下の実施例では、画像登録時に表面反射領域を検出し、複数の登録画像における表面反射領域の重なり具合をチェックする事により、異なった表面反射領域を持つ画像を登録しておく。この場合、照合画像として、様々な位置に表面反射領域が存在する画像が取得された場合においても、認証精度が向上する効果が得られる。
【0022】
具体的には、図5(a)〜図5(c)の例では、3枚の登録画像1〜3で、表面反射領域の位置が異なっている。図5(d)の照合画像が得られた場合、照合画像と登録画像1,2との間で、表面反射領域が異なった画像同士の照合処理が行われる。その結果、高い類似度は得られない可能性がある。しかしながら、照合画像と登録画像3との間では、ほぼ同じ領域に表面反射領域が位置する。この場合、登録画像と照合画像との間で、表面反射領域が存在する合計の領域が狭くなる。つまり、登録画像と照合画像との間で、表面反射領域が存在しない領域を広くすることができる。この場合、両者共通で鮮明な静脈画像が得られる領域が広くなるため、認証精度が向上する。また、偏光フィルタなどの高価な装置を用いなくてもよいため、コストを抑制することができる。さらに、光源の配置の自由度などが制限されないため、装置サイズを抑制することができる。続いて、以上の概要に沿った実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
図6(a)は、実施例1に係る生体情報処理装置100のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図6(a)を参照して、生体情報処理装置100は、CPU101、RAM102、記憶装置103、生体センサ104、表示装置105などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。
【0024】
CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。
【0025】
記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103は、生体情報処理プログラムを記憶している。表示装置105は、生体情報取得装置100による各処理の結果などを表示するための装置である。表示装置105は、例えば、液晶ディスプレイなどである。
【0026】
生体センサ104は、ユーザの生体画像を取得するセンサであり、ユーザの指、手のひら等の静脈情報を取得する。一例として、生体センサ104は、人体への透過性が高い近赤外線を用いて手のひらの皮下の静脈を撮影する撮影装置である。生体センサ104には、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどが備わっている。また、近赤外線を含む光を照射する照明などが設けられていてもよい。また、生体センサ104は、生体センサ104と生体との距離、該生体の傾きを取得するための距離センサを備えていてもよい。本実施例においては、生体センサ104は、一例として手のひらの画像を撮影することによって、静脈情報を取得する。
【0027】
図6(b)は、生体センサ104の一例を説明するための斜視図である。図6(b)を参照して、生体センサ104は、撮影装置106、光照射部107、および距離センサ108を備える。撮影装置106は、静脈画像を取得できるものであれば特に限定されるものではない。光照射部107は、近赤外線を含む光を照射できるものであれば特に限定されるものではない。また、光照射部107は、複数設けられていてもよい。図6(b)の例では、撮影装置106を囲むように、4つの光照射部107が配置されている。距離センサ108は、被写体との距離を取得できるものであれば特に限定されるものではない。また、距離センサ108は、複数設けられていてもよい。図6(b)の例では、距離センサ108は、各光照射部107の間に配置されている。
【0028】
続いて、生体情報処理装置100の各処理について説明する。生体情報処理装置100の記憶装置103に記憶されている生体情報処理プログラムは、実行可能にRAM102に展開される。CPU101は、RAM102に展開された生体情報処理プログラムを実行する。それにより、生体情報取得装置100による各処理が実行される。
【0029】
図7は、生体情報処理プログラムの実行によって実現される各機能のブロック図である。図7を参照して、生体情報処理プログラムの実行によって、全体制御部10、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域チェック部40、誘導部50、および認証処理部60が実現される。登録データベース70は、記憶装置103に記憶されている。
【0030】
全体制御部10は、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域検チェック40、誘導部50、および認証処理部60を制御する。撮影部20は、全体制御部10の指示に従って、生体センサ104から手のひらの画像を取得することによって、手のひらの静脈情報を抽出する。表面反射領域検出部30は、生体センサ104が取得した手のひら画像から表面反射領域を検出する。表面反射領域チェック部40は、表面反射領域の位置をチェックする。誘導部50は、ユーザに対し生体を誘導する処理を行う。認証処理部60は、全体制御部10の指示に従って、認証処理を行う。
【0031】
登録処理においては、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域チェック部40、および誘導部50の処理を介して得られたデータは、登録データベース70に登録データとして登録される。認証処理においては、認証処理部60は、撮影部20、表面反射領域検出部30、および表面反射領域チェック部40の処理を介して得られたデータ(照合データ)と登録データベース70に登録されている登録データとを照合する。以下、登録処理および認証処理の詳細について説明する。
【0032】
(登録処理)
図8は、登録処理の際に実行されるフローチャートの一例である。以下、図8を参照しつつ、登録処理の一例について説明する。まず、全体制御部10は、現在の登録枚数nに「1」を代入する(ステップS1)。次に、生体センサ104は、撮影部20の指示に従って、画像Inを撮影する(ステップS2)。本実施例においては、画像Inは、手のひらを被写体とする生体画像であり、登録対象ユーザのn個目の登録データを作成する際に取得される生体画像である。画像取得の際には、被写体に撮影条件が設定されていてもよい。具体的には、被写体までの距離、位置、傾きなどが所定の範囲内に入っている場合にのみ、画像を取得してもよい。なお、被写体までの距離は、距離センサ108を用いることによって測定することができる。被写体の位置は、取得された画像を用いて測定することができる。被写体の傾きは、複数の距離センサ108を用いることによって測定することができる。
【0033】
撮影部20は、生体センサ104が取得した画像Inから手のひら領域を検出する。具体的には、撮影部20は、撮影した手のひら画像の輝度値に対して所定のしきい値で2値化することによって手のひら領域を切り出す。この際、照明の不均一を改善する為に輝度値の正規化処理を加えてもよい。正規化処理を実施することによって、複数の異なった画像における表面反射領域の重なりを簡単にチェックできるようになる。
【0034】
正規化処理を加える場合には、撮影部20は、2値化による手のひら領域の検出後、ラベリング処理を適用することによって、当該領域の面積Aを求める。なお、面積Aが所定のしきい値よりも小さい領域は、ノイズとして処理から取り除いてもよい。撮影部20は、手のひら領域の抽出後、手のひら領域の面積Aに対して正規化を実施する。具体的な正規化処理の方針として下記2つが存在する。
【0035】
まず、手のひら領域の面積Aを所定の大きさA0に正規化する構成とすることができる。子供が成長して手が大きくなったような場合でも静脈パターン自体はほとんど変化しないことから、手のひら領域の面積AをA0に正規化することによって、正しく認証することができる。具体的には、検出した手のひら領域の面積Aが、所定の面積A0になるように変換係数α=√(A0/A)を用いて画像を拡大または縮小処理する。上記係数は、(A0/A)の正の平方根である。
【0036】
あるいは、距離センサ108の測定値を利用し、撮影した画像を所定の距離における画像に換算してもよい。つまり、距離センサ108で測定される距離が距離Dである場合に撮影された画像データを、所定の距離D0(例えば5cm)で撮影した場合の大きさになるように変換する。これは、複数の距離Dに対する変換係数αを事前に測定しておくことによって実現できる。この正規化処理によって、距離の違いによる見かけの手の大きさに依存することなく、表面反射領域の重なりを簡単に比較することができる。この方式では子供の手の成長などに対応ことは困難であるが、所定の距離Dに変換することによって手の大きさ情報を認証処理に加えることが出来ることから、認証精度は高くなる。ユーザが大人に限定されている場合などに特に有効な方式である。
【0037】
また、正規化処理の1つとして、手のひらの傾きを補正する処理を加えてもよい。傾きを補正することにより、認証精度向上の効果と合わせて、表面反射領域の重なりチェックをより正確に行うことができるようになる。例えば、特許文献3,4に記載の方式を適用することができる。
【0038】
次に、表面反射領域検出部30は、画像Inに含まれる表面反射領域Snを算出する(ステップS3)。表面反射領域Snは、表面反射成分が比較的多く現れる領域である。表面反射領域においては、輝度値が高くなる傾向がある。また、表面反射領域においては、皺などの影響により、高周波成分が多く含まれる傾向がある。したがって、高周波成分の割合および輝度値の少なくともいずれか一方が所定のしきい値を上回っている領域を、表面反射領域と定義することができる。本実施例においては、一例として、高周波成分の割合および輝度値の両方が所定のしきい値を上回っている領域を、表面反射領域と定義し、表面反射領域と判断された小領域Ei全体の集合を表面反射領域Sと定義する。また、画像Inにおける表面反射領域をSnと定義する。
【0039】
図9は、表面反射領域Snを算出する際に表面反射領域検出部30が実行するフローチャートの一例である。図9を参照して、表面反射領域検出部30は、ステップS2で得られた手のひら領域を複数の小ブロックに分割する(ステップS21)。次に、表面反射領域検出部30は、i番目の小ブロックEi(iは1〜分割数までの整数)の輝度値がしきい値T1よりも高いか否かを判定する(ステップS22)。しきい値T1は、小ブロックEiが表面反射領域であるか否かを判定するための値である。
【0040】
ステップS22において「Yes」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiの高周波成分がしきい値T2よりも多いか否かを判定する(ステップS23)。しきい値T2は、小ブロックEiが表面反射領域であるか否かを判定するための値である。ステップS23において「Yes」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiが表面反射領域であると判定する(ステップS24)。ステップS22またはステップS23において「No」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiが表面反射領域ではないと判定する。以上のステップS22〜ステップS25を各小ブロックに対して実施することによって、手のひら領域における表面反射領域Snを検出することができる。
【0041】
再度、図8を参照して、全体制御部10は、登録枚数nが1であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において「Yes」と判定された場合、撮影部20は、画像Inから特徴データFnを抽出する(ステップS5)。本実施例においては、特徴データとは、手のひらの静脈パターンをデータとして表したものである。特徴データFnは、画像Inから得られる特徴データである。
【0042】
次に、撮影部20は、特徴データFnを登録データベース70に登録する(ステップS6)。次に、全体制御部10は、登録枚数nが「N」に達したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7で「Yes」と判定された場合、フローチャートの実行が終了する。ステップS7で「No」と判定された場合に、全体制御部10は、登録枚数nの値を1だけ増加させる。「N」はあらかじめ設定されている合計登録枚数であり、例えば、N=3,N=5などである。
【0043】
なお、被写体と生体センサ104との距離、生体センサ104に対する被写体の位置、生体センサ104に対する被写体の傾きなどに撮影条件を設定してもよい。2枚目以降の画像に対しては後述する表面反射領域チェック処理が実施されるため、自由度が低下してしまう。そのため、1枚目の画像I1に対して可能な限り良好な条件を設定することによって、認証精度を向上させてもよい。したがって、1枚目の画像I1の撮影条件を2枚目以降の画像の撮影条件よりも厳しくしてもよい。例えば、上記距離の範囲を通常は5cm±1cmとしているところを、1枚目に限っては5cm±0.5cmのようにより厳しい条件を設定してもよい。
【0044】
ステップS4で「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snをチェックする(ステップS9)。図10(a)は、ステップS9が実行される際に、表面反射領域チェック部40が実行するフローチャートの一例である。図10(a)を参照して、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snの面積がしきい値よりも小さいか否かを判定する(ステップS31)。この場合のしきい値は、表面反射領域Snの面積が大きいか否かを判定するために設定さている。画像Inに対する表面反射の影響が小さい場合には、特段の処理を行わなくても登録データとして用いることができるからである。ステップS31において「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、比較対象の登録画像番号mに「1」を代入する(ステップS32)。
【0045】
次に、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snと表面反射領域Smとの重なり割合Rn,mを算出する(ステップS33)。図10(b)を参照して、重なり割合Rn,mは、表面反射領域Snと表面反射領域Smとの和集合(Sn∪Sm)に対する、積集合(Sn∩Sm)の割合である。次に、表面反射領域チェック部40は、重なり割合Rn,mがしきい値よりも小さいか否かを判定する(ステップS34)。この場合のしきい値は、表面反射領域Snの位置と表面反射領域Smの位置を異ならせるために設定される。
【0046】
ステップS34において「Yes」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、登録画像番号mを1だけ増加させる(ステップS35)。次に、表面反射領域チェック部40は、登録画像番号mが登録枚数nに達したか否かを判定する(ステップS36)。ステップS36において「No」と判定された場合、ステップS33から再度実行される。
【0047】
ステップS34において「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、チェックはNGであると判定する(ステップS38)。ステップS31で「Yes」と判定された場合またはステップS36で「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、チェックはOKであると判定する(ステップS37)。
【0048】
再度、図8を参照して、全体制御部10は、表面反射領域のチェックがOKであるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において「Yes」と判定された場合には、ステップS5が実行される。ステップS10において「No」と判定された場合には、誘導部50は誘導処理を行う(ステップS11)。ステップS11の実行後、ステップS2が実行される。
【0049】
誘導部50は、距離に基づく誘導、位置に基づく誘導などを行う。例えば、図11を参照して、誘導部50は、登録データを得た際の生体センサ104と被写体との距離と異なるように、被写体の位置を誘導する。例えば、登録データを得た際の距離がDi(i=1,・・・(n−1))であった場合、図12を参照して、誘導部50は、登録可能な範囲の距離(Dmin〜Dmax)に対して、“距離Diまでの距離の最小値”を計算する。図12の例では、当該最小値が最大となる位置が新たに誘導すべき適切な距離である。例えば、Dminは4cm程度であり、Dmaxは6cm程度である。
【0050】
位置の誘導では、図13を参照して、誘導部50は、登録データを得た際の位置とは異なる位置に被写体を誘導する。具体的には、誘導部50は、手のひら領域の中心座標(=手のひら領域の重心座標)を記録しておき、中心座標同士が遠くなるように誘導処理を行う。上記の距離の誘導を行った場合と同様の処理を2次元画像に対して行い(位置座標(x,y))、誘導方向を決定してもよい。これは、画像処理の分野で一般的に“距離変換”と呼ばれる方式を応用したものである。なお、距離変換とは、画像処理の分野で用いられる手法であり、距離変換における背景を登録済み画像の位置と置き換えて処理する変換方式である。
【0051】
なお、誘導部50は、画像、音声などのメッセージをユーザに発することによって、当該ユーザを誘導する。例えば、誘導部50は、表示装置105に誘導位置を表示することによって、当該ユーザを誘導してもよい。
【0052】
なお、生体センサ104に対する被写体の傾きを変えることによって表面反射領域を変えるように誘導することも可能である。被写体の傾きをユーザに指示して誘導することが困難である場合、被写体の距離または位置を優先して誘導してもよい。
【0053】
また、距離を誘導する場合と位置を誘導する場合とを比較すると、距離を誘導する場合には被写体に当たる照明分布を均一化させやすいという利点がある。すなわち、照明が当たる際の位置に応じて明暗の影響を回避しやすくなる。したがって、誘導の優先順位として、距離に基づく誘導を行うことによって認証精度を向上させてもよい。距離に基づく誘導では登録済の表面反射領域の位置との違いがあまり出せないと判断された場合に、位置に基づく誘導を行ってもよい。また、位置に基づく誘導では不十分と判断された場合に、被写体の傾きに基づく誘導を行ってもよい。
【0054】
図14は、上記登録処理によって登録データベース70に登録される登録データの一例を説明するためのテーブルである。図14を参照して、「ID」は、登録ユーザを一意に表すための情報である。この「ID」にユーザの姓名や住所などの情報を対応させてもよい。「登録No.」は、登録データに順番に付与される番号であり、上記の登録枚数nに対応する。図14の例では、合計登録枚数N=3である。
【0055】
「登録特徴データ」は、認証に使用する為の登録データである。本実施例においては、生体センサ104によって取得された画像から静脈部分を抽出した静脈パターンである。「表面反射領域情報」は、各登録特徴データを取得した際に検出された表面反射領域を表すデータである。具体的には、表面反射を検出する際に用いた小ブロックEiごとに「0」または「1」の値を持つデータである。例えば、「1」が表面反射領域であることを示し、「0」が表面反射領域ではないことを示す。また、各Eiに対する情報を1ビットに割当て、ビット単位で情報を保存してもよい。
【0056】
「登録時の距離」は、登録特徴データを取得した際の生体センサ104と手のひらとの距離である。図14では、当該距離をcm単位で表してある。「登録時の位置」は、登録特徴データを取得した際の手のひらの中心座標であり、具体的には手のひら領域の重心座標である。座標は、画面の中心を(0,0)とした場合の中心からのズレ量である。「登録時の距離」および「登録時の位置」は、誘導部50による誘導処理の際に用いることができる。なお、「登録時の距離」および「登録時の位置」は、登録データベース70ではなくRAM102に一時的に記憶されていてもよい。
【0057】
また、上記登録処理の際に取得される画像を総合的に判定してもよい。例えば、登録処理時における重なり割合R、距離D、被写体の位置X、および被写体の傾きθに応じて、登録処理を進めるか否かを判断してもよい。被写体の位置Xは、手のひら領域の中心座標(重心座標)である。被写体の傾きθは、生体センサ104の上面に対する被写体の傾斜角度のことである。例えば、下記式(1)で表される登録スコアScを算出してもよい。
Sc(n)=a0×R+a1×ΔD+a2×ΔX+a3×Δθ (式1)
【0058】
ここでSc(n)は、n枚目の画像に対するスコアScを表している。Rは、表面反射領域が登録済のものと重なっている割合を表す。例えば、1枚目の画像の場合、登録済の画像は存在しないため、R=0.0である。一方、3枚目の画像を考えた場合、現在(n=3)の画像の表面反射領域S3に対して、登録済の表面反射領域S1,S2が重なっている割合をRとする。Rは、下記式(2)で表される。この場合、Rが小さい方が望ましい登録画像となる。
R=S3∩(S1∪S2)/S3∪(S1∪S2) (式2)
【0059】
また、ΔDは、距離センサ108で取得した距離Dと所定の距離D0(望ましい距離)との差の絶対値を表す。ΔDの値が小さい方が望ましい登録画像である。ΔXは、手のひらの位置(座標)Xと手のひらの適切な位置との距離を表す量である。ΔXが小さい方が望ましい登録画像である。Δθも同様である。手のひらの傾きθと手のひらの適切な傾き(例えば0度)との差の絶対値を表す量で、Δθが小さい方が望ましい登録画像である。
【0060】
(式1)の係数a0〜a3は、各値に対するウェイトを表しており、これらの値を調整することで、適切な判断を行う事ができるようになる。例えば、係数a0〜a3をプラスの値に設定すると、(式1)の登録スコアSc(n)が小さい方が望ましい登録画像であると判断できる。
【0061】
係数a0〜a3の具体的な値は次のように設定してもよい。まず、各値(R,ΔD,ΔX,Δθ)ごとに変動範囲が異なることから、各々の値を正規化する項を含める形で係数を記述する。まず、Rはもともと割合を表す値(表面反射領域が重なっている割合)であって、0.0〜1.0の範囲を取る正規化された値である。そこで、a0=W0と設定することができる。ここで、W0は、該当パラメータの重要度を表す係数である。一方、ΔDは、距離のずれの絶対値を表す値である。そのため、ΔDに対しては、a1=W1/D0と設定することができる。つまり、所定の距離D0に対する誤差の割合に重要度を表す係数W1を掛ける形で係数a1を設定する。
【0062】
係数a2に対しても同様で、a2=W2/Xmaxのように設定することができる。ここで、XmaxはΔXの取り得る最大値で、例えば画面の解像度が480ピクセルであった場合には、Xmax=240である。係数a3に対しても同様で、a3=W3/θmaxのように設定することができる。ここで、θの単位を度(degree)とすると、θは−180度〜+180度の範囲で変動する。したがって、θmax=180度である。
【0063】
W0〜W3は、各々のパラメータが認証に対して持つ重要度に応じて設定するものである。したがって、例えば、W0=0.6、W1=0.1、W2=0.1、W3=0.2といった値に設定することができる。この例では、距離や位置の変動は認証において比較的簡単に対応できるのに対して表面反射や傾きは対応が難しいため、表面反射や傾きのウェイトを大きくしている。特に表面反射に関しては画像処理で影響を完全に除くことは困難である為、他のパラメータよりもウェイトを大きく設定する。
【0064】
誘導方法の1つとして、表面反射領域検出部30が検出した表面反射領域を表示装置105に表示することによって、ユーザに自主的に手のひらを移動させてもよい。この際、登録済みの表面反射領域を表示装置105に表示することによって、登録済の表面反射領域内に表面反射領域が発生しないようにユーザに自主的に調整させてもよい。
【0065】
(認証処理)
図15は、認証処理の際に実行されるフローチャートの一例である。認証処理は、例えば、PC起動時のBIOS認証、OSのログオン認証の際に実施される。まず、生体センサ104は、撮影部20の指示に従って、認証用の画像Iを撮影する(ステップS41)。次に、撮影部20は、画像Iから照合用特徴データを生成する(ステップS42)。ここで、照合用特徴データは、画像Iから静脈に関する特徴量(静脈パターンなど)を抽出することによって生成することができる。
【0066】
次に、認証処理部60は、照合用特徴データと、登録データベース70に登録されている登録特徴データとの照合を行う(ステップS43)。次に、認証処理部60は、照合用特徴データと各登録特徴データとの類似度を算出する。この際、認証処理部60は、いずれか1つ以上の登録特徴データを選択した上で類似度を算出する。本実施例においては、静脈パターンの類似度(一致度)が算出される。次に、認証処理部60は、算出された類似度が所定のしきい値以上となる登録特徴データが発見されたか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44で「Yes」と判定された場合、認証処理部60は、被認証ユーザが当該登録特徴データに係るユーザであると特定し(認証成功)、当該特定結果を出力する(ステップS45)。ステップS44において「No」と判定された場合、認証処理部60は、認証失敗の結果を出力する(ステップS46)。
【0067】
なお、照合処理の際に照合用に取得された画像から検出された表面反射領域が類似している登録特徴データを選択し、当該登録特徴データと照合用特徴データとの類似度を優先的に算出することによって認証精度を向上させることができる。また、表面反射領域の重なり割合に応じて類似度や類似度の信頼性を調整してもよい。このようにする事によって認証精度を向上させることができる。例えば、n番目の登録テンプレートとのマッチング結果の類似度Sim(n)を考える。照合用に取得された画像の表面反射領域をSI、n番目の登録テンプレートの表面反射領域をSnとする。この場合、下記RI(n)を計算する
RI(n)=(SI∩Sn)/(SI∪Sn) (式3)
【0068】
RI(n)は、n番目の登録特徴データと照合用特徴データの表面反射領域とがどの程度共通しているかを表す量である。RI(n)が大きい方が類似度の信頼性が高いと判断できる。この結果を利用して計算した類似度Sim(n)に補正を行ってもよい。ここでf(x)は、補正を行う為の関数で、例えばf(x)=xとしてもよい。
Sim(n)´=Sim(n)×f(RI(n)) (式4)
【0069】
また、上記照合処理の際に、ブロックマッチングを適用してもよい。ブロックマッチングとは、登録特徴データおよび照合用特徴データを空間的に複数のブロックに分割し、ブロック単位でマッチング(照合)する方法である。ブロック単位で照合することによって、手のひらの微小な変形などに対応できるメリットがある。例えば、親指の広げ方の違いに起因して親指の付け根近辺の領域が僅かに平行移動しているような場合、手のひら全体の平行移動では吸収が困難である。しかしながら、ブロックに分割することでブロックの平行移動として吸収することが可能になる。
【0070】
ブロックマッチングの場合、ブロック単位で類似度を計算して所定のしきい値を超えたブロックの割合が所定のしきい値を超えているかどうかで、認証を行うことができる。あるいは、全ブロックの内、類似度の高い上位の値のみを判定に用いる構成としてもよい。例えば、ブロックごとの類似度の上位50%のみを用い、その上位50%の類似度の平均値やメディアン値を判定処理に用いる。このようにすると、例えば、指の開き方等の違いなどでどうしても登録と照合で一致させることが困難な領域を排除したマッチング処理を実現する事ができる。
【0071】
本実施例においては、複数の登録画像における表面反射領域が重ならないように登録し、その結果として照合画像と登録画像での表面反射領域の重なりが多い状態でのマッチングを実現できる確率を高めている。この際に上記のブロックマッチングを適用し、上位50%の類似度のみを使用すると、表面反射領域が存在している領域同士のブロックは判定から除外し、表面反射領域が存在しない良好な領域のみを判定に利用する事ができる。以上から、本実施例においてブロックマッチングを適用することによって、認証精度をより高めることができる。
【0072】
なお、図14の登録データでは、1:N認証を対象にしているが、1:1認証を対象にしてもよい。1:N認証とは、N人の登録されたユーザから該当するユーザを特定する認証方式である。1:1認証とは、事前にIDカードなどを使って自分が誰であるかを明示した上で認証を行う方式である。したがって、1人の登録されたユーザと、被認証ユーザが一致するか否かを判定する認証方式である。
【0073】
上記実施例においては、被写体として手のひらを用いているが、指などの他の被写体を撮影することによって、当該被写体の皮下の静脈パターンを生体情報として抽出してもよい。また、上記実施例においては生体として静脈パターンを用いているが、表面反射成分がノイズとして現れる生体であれば、上記実施例を適用することができる。例えば、顔、虹彩などを生体情報として用いてもよい。
【0074】
上記実施例においては、表面反射領域検出部30が、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部として機能する。表面反射領域チェック部40および登録データベース70が、互いに表面反射領域が異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部として機能する。表面反射領域チェック部40が、表面反射領域の重なり割合を算出する算出部として機能する。認証処理部60が、選択部として機能するとともに、照合部として機能する。
【0075】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 全体制御部
20 撮影部
30 表面反射領域検出部
40 表面反射領域チェック部
50 誘導部
60 認証処理部
70 登録データベース
100 生体情報処理装置
104 生体センサ
105 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証において生体を撮影する方法として、透過光を用いる方法、反射光を用いる方法などがあげられる。静脈などのように皮下に位置する生体を撮影する場合、反射光のうち、手のひらの内部で拡散して戻る拡散光を用いる。この場合、皮膚で反射する表面反射光はノイズとなる。したがって、表面反射光が拡散光と重畳すると、生体の検出が困難となる。
【0003】
表面反射を除去する撮影方式として下記のような従来技術が知られている。特許文献1では、偏光フィルタを用いて表面反射を除去している。特許文献2では、複数の照明のオンオフを制御することで、表面反射成分を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−200050号公報
【特許文献2】特表2002−514098号公報
【特許文献3】特開2007−323667号公報
【特許文献4】特開2007−010346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、偏光フィルタが高価であるという問題がある。特に近赤外の波長に対応している偏光フィルタは少なく、より高価となる。また、偏光フィルタを通して自照明を出射する必要があるため、一般には出射光量が半分未満に低下する問題がある。特許文献2の技術では、装置の大きさが一定以上必要である。つまり、表面反射の入射角に差を付ける必要がある為、生体認証装置を小型化する際には障害となる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理装置は、ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備えるものである。
【0008】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理方法は、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、複数の生体画像の表面反射領域を検出し、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ものである。
【0009】
上記課題を解決するために、明細書開示の生体情報処理プログラムは、コンピュータに、生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得する取得ステップと、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出ステップと、複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
明細書開示の生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムによれば、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】表面反射について説明するための図である。
【図2】(a)〜(c)は、表面反射領域について説明するための図である。
【図3】被写体と光源との位置関係を説明するための図である。
【図4】(a)〜(c)は複数の登録画像を説明するための図であり、(d)は照合画像を説明するための図である。
【図5】(a)〜(c)は複数の登録画像を説明するための図であり、(d)は照合画像を説明するための図である。
【図6】(a)は実施例1に係る生体情報処理装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図であり、(b)は生体センサの一例を説明するための斜視図である。
【図7】生体情報処理プログラムの実行によって実現される各機能のブロック図である。
【図8】登録処理の際に実行されるフローチャートの一例である。
【図9】表面反射領域を算出する際に表面反射領域検出部が実行するフローチャートの一例である。
【図10】(a)は表面反射領域チェックの際に実行されるフローチャートの一例であり、(b)は重なり割合を説明するための図である。
【図11】被写体の距離の誘導を説明するための図である。
【図12】被写体の適切な距離を説明するための図である。
【図13】被写体の位置の誘導を説明するための図である。
【図14】登録データの一例を説明するためのテーブルである。
【図15】認証処理の際に実行されるフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の説明に先立って、反射光を用いた生体認証について説明する。一例として、静脈認証について説明する。静脈認証では、近赤外線の照明を使って皮下の静脈を撮影することによって認証する方式を採用している。図1を参照して、皮膚に照射された光は、拡散光および表面反射光の2種類の反射成分に分離する。
【0013】
拡散光は、皮下まで透過して拡散しながら通ってきた光である。つまり、拡散光は、皮下に入った光が散乱を繰り返しながら最終的に皮膚表面に到達して出力されたものである。拡散光は、皮下の静脈の情報を含んでおり、静脈認証において有効な反射光として用いられる。
【0014】
表面反射光は、空気の屈折率と皮膚の屈折率との違いによって、空気と皮膚との境界面で一定の割合で発生する反射光である。表面反射光の反射方向および強度は、光の入射角度および屈折率(空気および生体の屈折率)によって決まる(スネルの法則/フレネルの法則)。被写体の表面が平らな場合には、表面反射光は、入射角(θ1)と等しい反射角(θ2)方向にのみ得られる。しかしながら、生体のように表面が平らではない被写体の場合、表面反射光はある程度広がった範囲に観測される。表面反射光は、静脈画像にとっては不要なノイズである。
【0015】
表面反射の反射角は、被写体に対する入射角度に依存する。したがって、手のひらのように凹凸が存在する被写体の場合、光の当たりかたに依存して、表面反射が多く発生する領域(以下、表面反射領域)が発生する場合がある。表面反射領域は、被写体の距離、位置、角度などに依存して決定されるため、図2(a)〜図2(c)のように、手のひらの様々な領域で発生し得る。図2(a)〜図2(c)の例では、網掛けの部分が表面反射領域である。表面反射領域においては、鮮明な静脈画像を撮影することが困難である。表面の模様(皺、傷など)が静脈に重なるためである。この場合、認証精度が低下するおそれがある。
【0016】
表面反射を除去する撮影方式として、以下のような技術を用いることができる。例えば、偏光フィルタを用いて表面反射を除去することが考えられる。偏光フィルタは、光をP波とS派とに分離するフィルタである。この偏光フィルタを用いることによって、P波とS波との反射率の違いを利用して表面反射を除去することができる。しかしながら、偏光フィルタは高価であるという問題がある。特に近赤外の波長に対応している品は少なく、より高価となる。また、偏光フィルタを通して自照明を出射する必要がある為、一般には出射光量が半分未満に低下するという問題も生じ得る。
【0017】
また、表面反射の反射方向は光の入射角に応じて決まるため、複数の照明があった場合に照明の位置に応じて表面反射の発生位置が変わる。そこで、複数照明のオンおよびオフを個別に制御しながら画像を撮影することによって、表面反射成分を除去した画像を生成することができる。しかしながら、この方法を利用すると、装置が大型化してしまう。つまり、図3を参照して、表面反射の入射角に差を付けるために光源を複数箇所に配置すると、一定のスペースが必要になるのである。
【0018】
以下の実施例においては、図面を参照しつつ、装置サイズおよびコストを抑制しつつ認証精度を向上させることができる、生体情報処理装置、生体情報処理方法、および生体情報処理プログラムについて説明する。
【0019】
まず、概要について説明する。図4(a)〜図4(c)は、複数の登録画像1〜3を説明するための図である。図4(d)は、照合画像を説明するための図である。登録画像は、事前にデータベースに登録されている特定のユーザの生体画像である。照合画像は、生体センサを介して得られた当該ユーザの生体の画像から得られた照合用の生体画像である。なお、図4(a)〜図4(d)の例は手のひらの輪郭まで含まれる画像であるが、登録される情報および照合用に用いられる情報は、生体の特徴量などのデータであってもよい。
【0020】
生体センサが取得する画像を基に複数の画像を登録する場合、生体と生体センサとの位置関係に大きな変化が無ければ、複数の登録画像1〜3に対して同一の表面反射領域が存在する可能性がある。例えば、複数の画像を撮影する際の時間的間隔が短い場合、複数の画像における生体の姿勢(距離、位置、角度など)は類似していることが多い。この場合、図4(a)〜図4(c)を参照して、登録画像1〜3においてほとんど同じ位置に表面反射領域が生じることになる。一方で、照合の際には、生体の姿勢が登録時と異なっていることが多い。その結果、図4(d)を参照して、表面反射領域の位置が、登録画像1〜3と大きくことなることになる。この場合、互いに表面反射領域の位置が異なった登録画像と照合画像とを比較することになる。表面反射領域においては、登録画像および照合画像の双方において静脈画像の鮮明度が低下しているため、両者共通で鮮明な静脈画像が得られる領域が狭くなる。その結果、登録画像のユーザと照合画像のユーザが同一であったとしても、登録画像と照合画像との類似度が低下するおそれがある。
【0021】
これに対して、以下の実施例では、画像登録時に表面反射領域を検出し、複数の登録画像における表面反射領域の重なり具合をチェックする事により、異なった表面反射領域を持つ画像を登録しておく。この場合、照合画像として、様々な位置に表面反射領域が存在する画像が取得された場合においても、認証精度が向上する効果が得られる。
【0022】
具体的には、図5(a)〜図5(c)の例では、3枚の登録画像1〜3で、表面反射領域の位置が異なっている。図5(d)の照合画像が得られた場合、照合画像と登録画像1,2との間で、表面反射領域が異なった画像同士の照合処理が行われる。その結果、高い類似度は得られない可能性がある。しかしながら、照合画像と登録画像3との間では、ほぼ同じ領域に表面反射領域が位置する。この場合、登録画像と照合画像との間で、表面反射領域が存在する合計の領域が狭くなる。つまり、登録画像と照合画像との間で、表面反射領域が存在しない領域を広くすることができる。この場合、両者共通で鮮明な静脈画像が得られる領域が広くなるため、認証精度が向上する。また、偏光フィルタなどの高価な装置を用いなくてもよいため、コストを抑制することができる。さらに、光源の配置の自由度などが制限されないため、装置サイズを抑制することができる。続いて、以上の概要に沿った実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
図6(a)は、実施例1に係る生体情報処理装置100のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。図6(a)を参照して、生体情報処理装置100は、CPU101、RAM102、記憶装置103、生体センサ104、表示装置105などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。
【0024】
CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。
【0025】
記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103は、生体情報処理プログラムを記憶している。表示装置105は、生体情報取得装置100による各処理の結果などを表示するための装置である。表示装置105は、例えば、液晶ディスプレイなどである。
【0026】
生体センサ104は、ユーザの生体画像を取得するセンサであり、ユーザの指、手のひら等の静脈情報を取得する。一例として、生体センサ104は、人体への透過性が高い近赤外線を用いて手のひらの皮下の静脈を撮影する撮影装置である。生体センサ104には、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラなどが備わっている。また、近赤外線を含む光を照射する照明などが設けられていてもよい。また、生体センサ104は、生体センサ104と生体との距離、該生体の傾きを取得するための距離センサを備えていてもよい。本実施例においては、生体センサ104は、一例として手のひらの画像を撮影することによって、静脈情報を取得する。
【0027】
図6(b)は、生体センサ104の一例を説明するための斜視図である。図6(b)を参照して、生体センサ104は、撮影装置106、光照射部107、および距離センサ108を備える。撮影装置106は、静脈画像を取得できるものであれば特に限定されるものではない。光照射部107は、近赤外線を含む光を照射できるものであれば特に限定されるものではない。また、光照射部107は、複数設けられていてもよい。図6(b)の例では、撮影装置106を囲むように、4つの光照射部107が配置されている。距離センサ108は、被写体との距離を取得できるものであれば特に限定されるものではない。また、距離センサ108は、複数設けられていてもよい。図6(b)の例では、距離センサ108は、各光照射部107の間に配置されている。
【0028】
続いて、生体情報処理装置100の各処理について説明する。生体情報処理装置100の記憶装置103に記憶されている生体情報処理プログラムは、実行可能にRAM102に展開される。CPU101は、RAM102に展開された生体情報処理プログラムを実行する。それにより、生体情報取得装置100による各処理が実行される。
【0029】
図7は、生体情報処理プログラムの実行によって実現される各機能のブロック図である。図7を参照して、生体情報処理プログラムの実行によって、全体制御部10、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域チェック部40、誘導部50、および認証処理部60が実現される。登録データベース70は、記憶装置103に記憶されている。
【0030】
全体制御部10は、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域検チェック40、誘導部50、および認証処理部60を制御する。撮影部20は、全体制御部10の指示に従って、生体センサ104から手のひらの画像を取得することによって、手のひらの静脈情報を抽出する。表面反射領域検出部30は、生体センサ104が取得した手のひら画像から表面反射領域を検出する。表面反射領域チェック部40は、表面反射領域の位置をチェックする。誘導部50は、ユーザに対し生体を誘導する処理を行う。認証処理部60は、全体制御部10の指示に従って、認証処理を行う。
【0031】
登録処理においては、撮影部20、表面反射領域検出部30、表面反射領域チェック部40、および誘導部50の処理を介して得られたデータは、登録データベース70に登録データとして登録される。認証処理においては、認証処理部60は、撮影部20、表面反射領域検出部30、および表面反射領域チェック部40の処理を介して得られたデータ(照合データ)と登録データベース70に登録されている登録データとを照合する。以下、登録処理および認証処理の詳細について説明する。
【0032】
(登録処理)
図8は、登録処理の際に実行されるフローチャートの一例である。以下、図8を参照しつつ、登録処理の一例について説明する。まず、全体制御部10は、現在の登録枚数nに「1」を代入する(ステップS1)。次に、生体センサ104は、撮影部20の指示に従って、画像Inを撮影する(ステップS2)。本実施例においては、画像Inは、手のひらを被写体とする生体画像であり、登録対象ユーザのn個目の登録データを作成する際に取得される生体画像である。画像取得の際には、被写体に撮影条件が設定されていてもよい。具体的には、被写体までの距離、位置、傾きなどが所定の範囲内に入っている場合にのみ、画像を取得してもよい。なお、被写体までの距離は、距離センサ108を用いることによって測定することができる。被写体の位置は、取得された画像を用いて測定することができる。被写体の傾きは、複数の距離センサ108を用いることによって測定することができる。
【0033】
撮影部20は、生体センサ104が取得した画像Inから手のひら領域を検出する。具体的には、撮影部20は、撮影した手のひら画像の輝度値に対して所定のしきい値で2値化することによって手のひら領域を切り出す。この際、照明の不均一を改善する為に輝度値の正規化処理を加えてもよい。正規化処理を実施することによって、複数の異なった画像における表面反射領域の重なりを簡単にチェックできるようになる。
【0034】
正規化処理を加える場合には、撮影部20は、2値化による手のひら領域の検出後、ラベリング処理を適用することによって、当該領域の面積Aを求める。なお、面積Aが所定のしきい値よりも小さい領域は、ノイズとして処理から取り除いてもよい。撮影部20は、手のひら領域の抽出後、手のひら領域の面積Aに対して正規化を実施する。具体的な正規化処理の方針として下記2つが存在する。
【0035】
まず、手のひら領域の面積Aを所定の大きさA0に正規化する構成とすることができる。子供が成長して手が大きくなったような場合でも静脈パターン自体はほとんど変化しないことから、手のひら領域の面積AをA0に正規化することによって、正しく認証することができる。具体的には、検出した手のひら領域の面積Aが、所定の面積A0になるように変換係数α=√(A0/A)を用いて画像を拡大または縮小処理する。上記係数は、(A0/A)の正の平方根である。
【0036】
あるいは、距離センサ108の測定値を利用し、撮影した画像を所定の距離における画像に換算してもよい。つまり、距離センサ108で測定される距離が距離Dである場合に撮影された画像データを、所定の距離D0(例えば5cm)で撮影した場合の大きさになるように変換する。これは、複数の距離Dに対する変換係数αを事前に測定しておくことによって実現できる。この正規化処理によって、距離の違いによる見かけの手の大きさに依存することなく、表面反射領域の重なりを簡単に比較することができる。この方式では子供の手の成長などに対応ことは困難であるが、所定の距離Dに変換することによって手の大きさ情報を認証処理に加えることが出来ることから、認証精度は高くなる。ユーザが大人に限定されている場合などに特に有効な方式である。
【0037】
また、正規化処理の1つとして、手のひらの傾きを補正する処理を加えてもよい。傾きを補正することにより、認証精度向上の効果と合わせて、表面反射領域の重なりチェックをより正確に行うことができるようになる。例えば、特許文献3,4に記載の方式を適用することができる。
【0038】
次に、表面反射領域検出部30は、画像Inに含まれる表面反射領域Snを算出する(ステップS3)。表面反射領域Snは、表面反射成分が比較的多く現れる領域である。表面反射領域においては、輝度値が高くなる傾向がある。また、表面反射領域においては、皺などの影響により、高周波成分が多く含まれる傾向がある。したがって、高周波成分の割合および輝度値の少なくともいずれか一方が所定のしきい値を上回っている領域を、表面反射領域と定義することができる。本実施例においては、一例として、高周波成分の割合および輝度値の両方が所定のしきい値を上回っている領域を、表面反射領域と定義し、表面反射領域と判断された小領域Ei全体の集合を表面反射領域Sと定義する。また、画像Inにおける表面反射領域をSnと定義する。
【0039】
図9は、表面反射領域Snを算出する際に表面反射領域検出部30が実行するフローチャートの一例である。図9を参照して、表面反射領域検出部30は、ステップS2で得られた手のひら領域を複数の小ブロックに分割する(ステップS21)。次に、表面反射領域検出部30は、i番目の小ブロックEi(iは1〜分割数までの整数)の輝度値がしきい値T1よりも高いか否かを判定する(ステップS22)。しきい値T1は、小ブロックEiが表面反射領域であるか否かを判定するための値である。
【0040】
ステップS22において「Yes」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiの高周波成分がしきい値T2よりも多いか否かを判定する(ステップS23)。しきい値T2は、小ブロックEiが表面反射領域であるか否かを判定するための値である。ステップS23において「Yes」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiが表面反射領域であると判定する(ステップS24)。ステップS22またはステップS23において「No」と判定された場合、表面反射領域検出部30は、当該小ブロックEiが表面反射領域ではないと判定する。以上のステップS22〜ステップS25を各小ブロックに対して実施することによって、手のひら領域における表面反射領域Snを検出することができる。
【0041】
再度、図8を参照して、全体制御部10は、登録枚数nが1であるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において「Yes」と判定された場合、撮影部20は、画像Inから特徴データFnを抽出する(ステップS5)。本実施例においては、特徴データとは、手のひらの静脈パターンをデータとして表したものである。特徴データFnは、画像Inから得られる特徴データである。
【0042】
次に、撮影部20は、特徴データFnを登録データベース70に登録する(ステップS6)。次に、全体制御部10は、登録枚数nが「N」に達したか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7で「Yes」と判定された場合、フローチャートの実行が終了する。ステップS7で「No」と判定された場合に、全体制御部10は、登録枚数nの値を1だけ増加させる。「N」はあらかじめ設定されている合計登録枚数であり、例えば、N=3,N=5などである。
【0043】
なお、被写体と生体センサ104との距離、生体センサ104に対する被写体の位置、生体センサ104に対する被写体の傾きなどに撮影条件を設定してもよい。2枚目以降の画像に対しては後述する表面反射領域チェック処理が実施されるため、自由度が低下してしまう。そのため、1枚目の画像I1に対して可能な限り良好な条件を設定することによって、認証精度を向上させてもよい。したがって、1枚目の画像I1の撮影条件を2枚目以降の画像の撮影条件よりも厳しくしてもよい。例えば、上記距離の範囲を通常は5cm±1cmとしているところを、1枚目に限っては5cm±0.5cmのようにより厳しい条件を設定してもよい。
【0044】
ステップS4で「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snをチェックする(ステップS9)。図10(a)は、ステップS9が実行される際に、表面反射領域チェック部40が実行するフローチャートの一例である。図10(a)を参照して、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snの面積がしきい値よりも小さいか否かを判定する(ステップS31)。この場合のしきい値は、表面反射領域Snの面積が大きいか否かを判定するために設定さている。画像Inに対する表面反射の影響が小さい場合には、特段の処理を行わなくても登録データとして用いることができるからである。ステップS31において「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、比較対象の登録画像番号mに「1」を代入する(ステップS32)。
【0045】
次に、表面反射領域チェック部40は、表面反射領域Snと表面反射領域Smとの重なり割合Rn,mを算出する(ステップS33)。図10(b)を参照して、重なり割合Rn,mは、表面反射領域Snと表面反射領域Smとの和集合(Sn∪Sm)に対する、積集合(Sn∩Sm)の割合である。次に、表面反射領域チェック部40は、重なり割合Rn,mがしきい値よりも小さいか否かを判定する(ステップS34)。この場合のしきい値は、表面反射領域Snの位置と表面反射領域Smの位置を異ならせるために設定される。
【0046】
ステップS34において「Yes」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、登録画像番号mを1だけ増加させる(ステップS35)。次に、表面反射領域チェック部40は、登録画像番号mが登録枚数nに達したか否かを判定する(ステップS36)。ステップS36において「No」と判定された場合、ステップS33から再度実行される。
【0047】
ステップS34において「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、チェックはNGであると判定する(ステップS38)。ステップS31で「Yes」と判定された場合またはステップS36で「No」と判定された場合、表面反射領域チェック部40は、チェックはOKであると判定する(ステップS37)。
【0048】
再度、図8を参照して、全体制御部10は、表面反射領域のチェックがOKであるか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において「Yes」と判定された場合には、ステップS5が実行される。ステップS10において「No」と判定された場合には、誘導部50は誘導処理を行う(ステップS11)。ステップS11の実行後、ステップS2が実行される。
【0049】
誘導部50は、距離に基づく誘導、位置に基づく誘導などを行う。例えば、図11を参照して、誘導部50は、登録データを得た際の生体センサ104と被写体との距離と異なるように、被写体の位置を誘導する。例えば、登録データを得た際の距離がDi(i=1,・・・(n−1))であった場合、図12を参照して、誘導部50は、登録可能な範囲の距離(Dmin〜Dmax)に対して、“距離Diまでの距離の最小値”を計算する。図12の例では、当該最小値が最大となる位置が新たに誘導すべき適切な距離である。例えば、Dminは4cm程度であり、Dmaxは6cm程度である。
【0050】
位置の誘導では、図13を参照して、誘導部50は、登録データを得た際の位置とは異なる位置に被写体を誘導する。具体的には、誘導部50は、手のひら領域の中心座標(=手のひら領域の重心座標)を記録しておき、中心座標同士が遠くなるように誘導処理を行う。上記の距離の誘導を行った場合と同様の処理を2次元画像に対して行い(位置座標(x,y))、誘導方向を決定してもよい。これは、画像処理の分野で一般的に“距離変換”と呼ばれる方式を応用したものである。なお、距離変換とは、画像処理の分野で用いられる手法であり、距離変換における背景を登録済み画像の位置と置き換えて処理する変換方式である。
【0051】
なお、誘導部50は、画像、音声などのメッセージをユーザに発することによって、当該ユーザを誘導する。例えば、誘導部50は、表示装置105に誘導位置を表示することによって、当該ユーザを誘導してもよい。
【0052】
なお、生体センサ104に対する被写体の傾きを変えることによって表面反射領域を変えるように誘導することも可能である。被写体の傾きをユーザに指示して誘導することが困難である場合、被写体の距離または位置を優先して誘導してもよい。
【0053】
また、距離を誘導する場合と位置を誘導する場合とを比較すると、距離を誘導する場合には被写体に当たる照明分布を均一化させやすいという利点がある。すなわち、照明が当たる際の位置に応じて明暗の影響を回避しやすくなる。したがって、誘導の優先順位として、距離に基づく誘導を行うことによって認証精度を向上させてもよい。距離に基づく誘導では登録済の表面反射領域の位置との違いがあまり出せないと判断された場合に、位置に基づく誘導を行ってもよい。また、位置に基づく誘導では不十分と判断された場合に、被写体の傾きに基づく誘導を行ってもよい。
【0054】
図14は、上記登録処理によって登録データベース70に登録される登録データの一例を説明するためのテーブルである。図14を参照して、「ID」は、登録ユーザを一意に表すための情報である。この「ID」にユーザの姓名や住所などの情報を対応させてもよい。「登録No.」は、登録データに順番に付与される番号であり、上記の登録枚数nに対応する。図14の例では、合計登録枚数N=3である。
【0055】
「登録特徴データ」は、認証に使用する為の登録データである。本実施例においては、生体センサ104によって取得された画像から静脈部分を抽出した静脈パターンである。「表面反射領域情報」は、各登録特徴データを取得した際に検出された表面反射領域を表すデータである。具体的には、表面反射を検出する際に用いた小ブロックEiごとに「0」または「1」の値を持つデータである。例えば、「1」が表面反射領域であることを示し、「0」が表面反射領域ではないことを示す。また、各Eiに対する情報を1ビットに割当て、ビット単位で情報を保存してもよい。
【0056】
「登録時の距離」は、登録特徴データを取得した際の生体センサ104と手のひらとの距離である。図14では、当該距離をcm単位で表してある。「登録時の位置」は、登録特徴データを取得した際の手のひらの中心座標であり、具体的には手のひら領域の重心座標である。座標は、画面の中心を(0,0)とした場合の中心からのズレ量である。「登録時の距離」および「登録時の位置」は、誘導部50による誘導処理の際に用いることができる。なお、「登録時の距離」および「登録時の位置」は、登録データベース70ではなくRAM102に一時的に記憶されていてもよい。
【0057】
また、上記登録処理の際に取得される画像を総合的に判定してもよい。例えば、登録処理時における重なり割合R、距離D、被写体の位置X、および被写体の傾きθに応じて、登録処理を進めるか否かを判断してもよい。被写体の位置Xは、手のひら領域の中心座標(重心座標)である。被写体の傾きθは、生体センサ104の上面に対する被写体の傾斜角度のことである。例えば、下記式(1)で表される登録スコアScを算出してもよい。
Sc(n)=a0×R+a1×ΔD+a2×ΔX+a3×Δθ (式1)
【0058】
ここでSc(n)は、n枚目の画像に対するスコアScを表している。Rは、表面反射領域が登録済のものと重なっている割合を表す。例えば、1枚目の画像の場合、登録済の画像は存在しないため、R=0.0である。一方、3枚目の画像を考えた場合、現在(n=3)の画像の表面反射領域S3に対して、登録済の表面反射領域S1,S2が重なっている割合をRとする。Rは、下記式(2)で表される。この場合、Rが小さい方が望ましい登録画像となる。
R=S3∩(S1∪S2)/S3∪(S1∪S2) (式2)
【0059】
また、ΔDは、距離センサ108で取得した距離Dと所定の距離D0(望ましい距離)との差の絶対値を表す。ΔDの値が小さい方が望ましい登録画像である。ΔXは、手のひらの位置(座標)Xと手のひらの適切な位置との距離を表す量である。ΔXが小さい方が望ましい登録画像である。Δθも同様である。手のひらの傾きθと手のひらの適切な傾き(例えば0度)との差の絶対値を表す量で、Δθが小さい方が望ましい登録画像である。
【0060】
(式1)の係数a0〜a3は、各値に対するウェイトを表しており、これらの値を調整することで、適切な判断を行う事ができるようになる。例えば、係数a0〜a3をプラスの値に設定すると、(式1)の登録スコアSc(n)が小さい方が望ましい登録画像であると判断できる。
【0061】
係数a0〜a3の具体的な値は次のように設定してもよい。まず、各値(R,ΔD,ΔX,Δθ)ごとに変動範囲が異なることから、各々の値を正規化する項を含める形で係数を記述する。まず、Rはもともと割合を表す値(表面反射領域が重なっている割合)であって、0.0〜1.0の範囲を取る正規化された値である。そこで、a0=W0と設定することができる。ここで、W0は、該当パラメータの重要度を表す係数である。一方、ΔDは、距離のずれの絶対値を表す値である。そのため、ΔDに対しては、a1=W1/D0と設定することができる。つまり、所定の距離D0に対する誤差の割合に重要度を表す係数W1を掛ける形で係数a1を設定する。
【0062】
係数a2に対しても同様で、a2=W2/Xmaxのように設定することができる。ここで、XmaxはΔXの取り得る最大値で、例えば画面の解像度が480ピクセルであった場合には、Xmax=240である。係数a3に対しても同様で、a3=W3/θmaxのように設定することができる。ここで、θの単位を度(degree)とすると、θは−180度〜+180度の範囲で変動する。したがって、θmax=180度である。
【0063】
W0〜W3は、各々のパラメータが認証に対して持つ重要度に応じて設定するものである。したがって、例えば、W0=0.6、W1=0.1、W2=0.1、W3=0.2といった値に設定することができる。この例では、距離や位置の変動は認証において比較的簡単に対応できるのに対して表面反射や傾きは対応が難しいため、表面反射や傾きのウェイトを大きくしている。特に表面反射に関しては画像処理で影響を完全に除くことは困難である為、他のパラメータよりもウェイトを大きく設定する。
【0064】
誘導方法の1つとして、表面反射領域検出部30が検出した表面反射領域を表示装置105に表示することによって、ユーザに自主的に手のひらを移動させてもよい。この際、登録済みの表面反射領域を表示装置105に表示することによって、登録済の表面反射領域内に表面反射領域が発生しないようにユーザに自主的に調整させてもよい。
【0065】
(認証処理)
図15は、認証処理の際に実行されるフローチャートの一例である。認証処理は、例えば、PC起動時のBIOS認証、OSのログオン認証の際に実施される。まず、生体センサ104は、撮影部20の指示に従って、認証用の画像Iを撮影する(ステップS41)。次に、撮影部20は、画像Iから照合用特徴データを生成する(ステップS42)。ここで、照合用特徴データは、画像Iから静脈に関する特徴量(静脈パターンなど)を抽出することによって生成することができる。
【0066】
次に、認証処理部60は、照合用特徴データと、登録データベース70に登録されている登録特徴データとの照合を行う(ステップS43)。次に、認証処理部60は、照合用特徴データと各登録特徴データとの類似度を算出する。この際、認証処理部60は、いずれか1つ以上の登録特徴データを選択した上で類似度を算出する。本実施例においては、静脈パターンの類似度(一致度)が算出される。次に、認証処理部60は、算出された類似度が所定のしきい値以上となる登録特徴データが発見されたか否かを判定する(ステップS44)。ステップS44で「Yes」と判定された場合、認証処理部60は、被認証ユーザが当該登録特徴データに係るユーザであると特定し(認証成功)、当該特定結果を出力する(ステップS45)。ステップS44において「No」と判定された場合、認証処理部60は、認証失敗の結果を出力する(ステップS46)。
【0067】
なお、照合処理の際に照合用に取得された画像から検出された表面反射領域が類似している登録特徴データを選択し、当該登録特徴データと照合用特徴データとの類似度を優先的に算出することによって認証精度を向上させることができる。また、表面反射領域の重なり割合に応じて類似度や類似度の信頼性を調整してもよい。このようにする事によって認証精度を向上させることができる。例えば、n番目の登録テンプレートとのマッチング結果の類似度Sim(n)を考える。照合用に取得された画像の表面反射領域をSI、n番目の登録テンプレートの表面反射領域をSnとする。この場合、下記RI(n)を計算する
RI(n)=(SI∩Sn)/(SI∪Sn) (式3)
【0068】
RI(n)は、n番目の登録特徴データと照合用特徴データの表面反射領域とがどの程度共通しているかを表す量である。RI(n)が大きい方が類似度の信頼性が高いと判断できる。この結果を利用して計算した類似度Sim(n)に補正を行ってもよい。ここでf(x)は、補正を行う為の関数で、例えばf(x)=xとしてもよい。
Sim(n)´=Sim(n)×f(RI(n)) (式4)
【0069】
また、上記照合処理の際に、ブロックマッチングを適用してもよい。ブロックマッチングとは、登録特徴データおよび照合用特徴データを空間的に複数のブロックに分割し、ブロック単位でマッチング(照合)する方法である。ブロック単位で照合することによって、手のひらの微小な変形などに対応できるメリットがある。例えば、親指の広げ方の違いに起因して親指の付け根近辺の領域が僅かに平行移動しているような場合、手のひら全体の平行移動では吸収が困難である。しかしながら、ブロックに分割することでブロックの平行移動として吸収することが可能になる。
【0070】
ブロックマッチングの場合、ブロック単位で類似度を計算して所定のしきい値を超えたブロックの割合が所定のしきい値を超えているかどうかで、認証を行うことができる。あるいは、全ブロックの内、類似度の高い上位の値のみを判定に用いる構成としてもよい。例えば、ブロックごとの類似度の上位50%のみを用い、その上位50%の類似度の平均値やメディアン値を判定処理に用いる。このようにすると、例えば、指の開き方等の違いなどでどうしても登録と照合で一致させることが困難な領域を排除したマッチング処理を実現する事ができる。
【0071】
本実施例においては、複数の登録画像における表面反射領域が重ならないように登録し、その結果として照合画像と登録画像での表面反射領域の重なりが多い状態でのマッチングを実現できる確率を高めている。この際に上記のブロックマッチングを適用し、上位50%の類似度のみを使用すると、表面反射領域が存在している領域同士のブロックは判定から除外し、表面反射領域が存在しない良好な領域のみを判定に利用する事ができる。以上から、本実施例においてブロックマッチングを適用することによって、認証精度をより高めることができる。
【0072】
なお、図14の登録データでは、1:N認証を対象にしているが、1:1認証を対象にしてもよい。1:N認証とは、N人の登録されたユーザから該当するユーザを特定する認証方式である。1:1認証とは、事前にIDカードなどを使って自分が誰であるかを明示した上で認証を行う方式である。したがって、1人の登録されたユーザと、被認証ユーザが一致するか否かを判定する認証方式である。
【0073】
上記実施例においては、被写体として手のひらを用いているが、指などの他の被写体を撮影することによって、当該被写体の皮下の静脈パターンを生体情報として抽出してもよい。また、上記実施例においては生体として静脈パターンを用いているが、表面反射成分がノイズとして現れる生体であれば、上記実施例を適用することができる。例えば、顔、虹彩などを生体情報として用いてもよい。
【0074】
上記実施例においては、表面反射領域検出部30が、複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部として機能する。表面反射領域チェック部40および登録データベース70が、互いに表面反射領域が異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部として機能する。表面反射領域チェック部40が、表面反射領域の重なり割合を算出する算出部として機能する。認証処理部60が、選択部として機能するとともに、照合部として機能する。
【0075】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 全体制御部
20 撮影部
30 表面反射領域検出部
40 表面反射領域チェック部
50 誘導部
60 認証処理部
70 登録データベース
100 生体情報処理装置
104 生体センサ
105 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備えることを特徴とする生体情報処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、輝度値および高周波成分の少なくともいずれか一方に基づいて、前記表面反射領域を検出することを特徴とする請求項1記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記生体画像を複数の領域に分割し、該分割した領域ごとに表面反射領域であるか否かを検出することを特徴とする請求項1または2記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部が前記複数の生体画像に対して検出する表面反射領域の重なり割合を算出する算出部を備え、
前記記憶部は、前記算出部が算出した重なり割合が所定値以下である場合に、当該生体画像の生体情報を記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記生体センサが生体画像を取得する際に、前記算出部が算出した重なり割合が所定値以上である場合に、ユーザに対し、生体を誘導する誘導部を備えることを特徴とする請求項4記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記誘導部は、前記生体の位置、前記生体と前記生体センサとの距離、前記生体の前記生体センサに対する傾きの少なくともいずれかを誘導することを特徴とする請求項5記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、表面反射領域を記憶し、
前記誘導部は、前記生体を誘導する際に、前記記憶部に記憶された表面反射領域を表示する表示装置を備えることを特徴とする請求項5または6記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶部が記憶する複数の生体画像に係る生体情報からいずれか1つ以上を選択する選択部と、
前記選択部が選択した生体情報と、前記生体センサが取得した被認証ユーザの認証用生体画像に係る認証用生体情報とを照合する照合部と、を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記複数の生体情報を、表面反射領域と関連付けて記憶し、
前記選択部は、前記認証用生体画像の表面反射領域と、前記記憶部に記憶された表面反射領域との重なり割合に応じて、生体情報を選択することを特徴とする請求項8記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
前記照合部は、前記照合の際に、前記認証用生体画像の表面反射領域と、前記記憶部に記憶された表面反射領域との重なり割合を反映させることを特徴とする請求項9記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
前記照合部は、前記照合の際に、前記選択部が選択した生体情報と前記認証用生体情報とを所定のブロックに分割し、ブロックごとに照合することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項12】
前記生体情報は、静脈パターンであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項13】
生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出し、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ことを特徴とする生体情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、
生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得する取得ステップと、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出ステップと、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、を実行させることを特徴とする生体情報処理プログラム。
【請求項1】
ユーザの複数の生体画像を取得する生体センサと、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出部と、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶する記憶部と、を備えることを特徴とする生体情報処理装置。
【請求項2】
前記検出部は、輝度値および高周波成分の少なくともいずれか一方に基づいて、前記表面反射領域を検出することを特徴とする請求項1記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記生体画像を複数の領域に分割し、該分割した領域ごとに表面反射領域であるか否かを検出することを特徴とする請求項1または2記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記検出部が前記複数の生体画像に対して検出する表面反射領域の重なり割合を算出する算出部を備え、
前記記憶部は、前記算出部が算出した重なり割合が所定値以下である場合に、当該生体画像の生体情報を記憶することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記生体センサが生体画像を取得する際に、前記算出部が算出した重なり割合が所定値以上である場合に、ユーザに対し、生体を誘導する誘導部を備えることを特徴とする請求項4記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記誘導部は、前記生体の位置、前記生体と前記生体センサとの距離、前記生体の前記生体センサに対する傾きの少なくともいずれかを誘導することを特徴とする請求項5記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、表面反射領域を記憶し、
前記誘導部は、前記生体を誘導する際に、前記記憶部に記憶された表面反射領域を表示する表示装置を備えることを特徴とする請求項5または6記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記記憶部が記憶する複数の生体画像に係る生体情報からいずれか1つ以上を選択する選択部と、
前記選択部が選択した生体情報と、前記生体センサが取得した被認証ユーザの認証用生体画像に係る認証用生体情報とを照合する照合部と、を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記複数の生体情報を、表面反射領域と関連付けて記憶し、
前記選択部は、前記認証用生体画像の表面反射領域と、前記記憶部に記憶された表面反射領域との重なり割合に応じて、生体情報を選択することを特徴とする請求項8記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
前記照合部は、前記照合の際に、前記認証用生体画像の表面反射領域と、前記記憶部に記憶された表面反射領域との重なり割合を反映させることを特徴とする請求項9記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
前記照合部は、前記照合の際に、前記選択部が選択した生体情報と前記認証用生体情報とを所定のブロックに分割し、ブロックごとに照合することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項12】
前記生体情報は、静脈パターンであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の生体情報処理装置。
【請求項13】
生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得し、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出し、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する、ことを特徴とする生体情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータに、
生体センサを用いて、ユーザの複数の生体画像を取得する取得ステップと、
前記複数の生体画像の表面反射領域を検出する検出ステップと、
前記複数の生体画像のうち、表面反射領域が互いに異なる生体画像から得られる生体情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、を実行させることを特徴とする生体情報処理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−248079(P2012−248079A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120531(P2011−120531)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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