説明

生体情報測定装置用保護カバー

【課題】本発明は、生体情報測定装置用保護カバーに関するもので、感染に対するリスクを低減することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、上面と2、この上面2の下方に所定間隔をおいて対向させた下面3と、この下面3および前記上面2のそれぞれの外周部を覆った外周面4とを備え、前記上面2を弾性体で形成するとともに、この上面の一方側には表示部目視用開口部10を設け、前記外周面4で前記上面2の他方側部分には、センサ挿入用開口部11を設け、このセンサ挿入用開口部11には、このセンサ挿入用開口部11の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した突出部12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、血液中から血糖値などの生体情報を測定する生体情報測定装置に使用される生体情報測定装置用保護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体情報測定装置は、本体ケースの上面に表示部や操作部を設け、外周面にはセンサ挿入用開口部を設けている。
【0003】
前記本体ケースは上下に分割され、その内部に各種部品を収納させた後に上下に一体化することによって構成されている。
【0004】
そして、このような本体ケースの落下による損傷を防止するために、本体ケースの上面と外周面の一部を覆うカバーを被せたものがある(なおこれに類似する先行文献としては下記特許文献1が存在する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−313269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例においては、本体ケースの落下による衝撃をカバーが緩衝することで、この本体ケースの損傷を防止することができるようになっている。
【0007】
近年、このような生体情報測定装置においては、感染に対するリスクの低減が求められているのであるが、前述したカバーでは感染リスクを低減することができなかった。
【0008】
つまり、本体ケースは上下に分割されたものであるが、この上下の分割部分を前記カバーは覆っていないので、この上下の接合部分に血液が付着してしまうことがある。そして、このように血液が付着した上下の接合部分は、洗浄綿などで清浄化することが難しく、この結果として、この血液が付着した上下の接合部分からの感染リスクが発生することとなっていた。
【0009】
そこで本発明は、感染に対するリスクを低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そしてこの目的を達成するために、本発明の生体情報測定装置用保護カバーは、上面と、この上面の下方に所定間隔をおいて対向させた下面と、この下面および前記上面のそれぞれの外周部を覆った外周面とを備え、前記上面を弾性体で形成するとともに、この上面の一方側には表示部目視用開口部を設け、前記外周面で前記上面の他方側部分には、センサ挿入用開口部を設け、このセンサ挿入用開口部には、このセンサ挿入用開口部の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した突出部を設け、これにより所期の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明の生体情報測定装置用保護カバーは、上面と、この上面の下方に所定間隔をおいて対向させた下面と、この下面および前記上面のそれぞれの外周部を覆った外周面とを備え、前記上面を弾性体で形成するとともに、この上面の一方側には表示部目視用開口部を設け、前記外周面で前記上面の他方側部分には、センサ挿入用開口部を設け、このセンサ挿入用開口部には、このセンサ挿入用開口部の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した突出部を設けたものであるので、感染に対するリスクを低減することができる。
【0012】
すなわち、本発明においては、上面の表示部目視用開口部から、この生体情報測定装置用保護カバー内に生体情報測定装置を挿入すれば、この上面の他方側部分に設けたセンサ挿入用開口部から空気抜きをすることができるので、生体情報測定装置用保護カバー内に生体情報測定装置を容易に挿入することができる。
【0013】
また、挿入後は、生体情報測定装置を構成する本体ケースの上下面だけでなく、外周面も生体情報測定装置用保護カバーで覆うので、本体ケースの上下面の接合部分に血液が浸入することはない。このため、本体ケースに付着する血液による感染に対するリスクを低減することができる。
【0014】
また、本発明においては、生体情報測定装置を構成する本体ケースのセンサ挿入口部分には生体情報測定装置用保護カバーの突出部が設けられた状態となるので、指などが本体ケースのセンサ挿入口に触れにくくなり、その結果として、感染に対するリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体情報測定装置用保護カバーの斜視図
【図2】同、生体情報測定装置用保護カバーを装着する生体情報測定装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、生体情報測定装置用保護カバーを示し、1は、ほぼ直方体形状のカバー本体で、上面2と、この上面2の下方に所定間隔をおいて対向させた下面3と、この下面3および上面2のそれぞれの外周部を覆った外周面4とを備えている。
【0018】
このカバー本体は、その内部に、図2に示す血糖値の測定器5(生体情報測定装置の一例)を挿入して使用する。
【0019】
測定器5は、図2に示すごとく、ほぼ直方体形状で、その上面の一方側に表示部6が設けられ、他方側の側面にセンサ装着部7が設けられている。そして、血糖値を測定するときには、このセンサ装着部7に、長板形状の血糖値センサ8の接続端子9を装着するようになっている。
【0020】
図1に戻って、カバー本体1の説明を続ける。
【0021】
このカバー本体1は、上面2、下面3、外周面4をシリコンゴム(弾性体の一例)で一体成形している。
【0022】
また、上面2の一方側には、測定器5の表示部6に対応させて、表示部目視用開口部10を設けている。この表示部目視用開口部10は、測定器5の表示部6とほぼ同じ大きさに開口させており、カバー本体1に測定器5を挿入したときに、測定器5の表示部6の視認性を妨げないものとなっている。
【0023】
このため、この図1からも理解されるごとく、表示部目視用開口部10は上面2の一方側端部近傍、およびその両側の端部近傍にまで大きく開口したものとなっている。
【0024】
さらにカバー本体1において、外周面4で上面2の他方側部分には、そのほぼ中央部に測定器5のセンサ装着部7に対応させて、センサ挿入用開口部11を設けている。
【0025】
このセンサ挿入用開口部11は、測定器5のセンサ装着部7よりも若干大きく開口させており、血糖値センサ8をセンサ装着部7に装着するときに、その装着を妨げないものとなっている。
【0026】
さらに、センサ挿入用開口部11には、このセンサ挿入用開口部11の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した角筒状の突出部12を設けている。
【0027】
また、測定器5は、図2に示す如く、中部から他方側にかけての側面をセンサ装着部7に向けて絞り込んで形成し(センサ装着部7側を若干細くし)、手のひら内で把持しやすくしているが、この測定器5の外形に対応させて、カバー本体1では、図1に示す如く、中部から他方側にかけての側面をセンサ挿入用開口部11に向けて絞りこんで形成している。
【0028】
さらに、カバー本体1において、上面2の中部から他方側には、測定器5の操作部13に対応させて、凸部14を設けている。
【0029】
なお、カバー本体1の上面2、下面3、外周面4は、カバー本体1に表示部目視用開口部10から測定器5を挿入したときに、それぞれが測定器5の上下面および外周部に密着するように形成している。この点は以下に詳述する。
【0030】
以上の構成において、以下、本実施形態における生体情報測定装置用保護カバーの使用方法について説明する。
【0031】
まず、測定器5を、センサ装着部7側の端部から、カバー本体1の表示部目視用開口部10に差し込む。
【0032】
この時、測定器5は、上述した如く、中部から他方側にかけての側面をセンサ装着部7に向けて絞り込んで形成しているため、大きく開口した表示部目視用開口部10に容易に差し込むことができる。
【0033】
この状態から、測定器5を、他方側のセンサ挿入用開口部11に向けて、カバー本体1内部に挿入していく。なお、カバー本体1は、上述したごとく、弾性体で形成されているので、測定器5を表示部目視用開口部10からその内部に挿入するときには、弾性を利用し、表示部目視用開口部10を押し広げながらこの測定器5をカバー本体1内に挿入することとなり、挿入後は、カバー本体1の弾性復帰により、測定器5の外面に密着した状態となる。
【0034】
また、上述した測定器5のカバー本体1内への挿入時において、カバー本体1は、測定器5の外形に対応させて、中部から他方側にかけての側面を絞りこんで形成しているので、測定器5をカバー本体1内部に挿入していくことにより、カバー本体1内部の空気が圧縮されていく。
【0035】
この状態において、本実施形態においては、センサ挿入用開口部11を設けているので、この開口部から空気抜きをすることができ、カバー本体1内に測定器5を容易に挿入することができる。
【0036】
さらに、カバー本体1内部に測定器5を挿入し、測定器5のセンサ装着部7を、カバー本体1のセンサ挿入用開口部11に一致させ、その後、測定器5全体をカバー本体1に押し込んで挿入が完了する。
【0037】
この挿入が完了した後に、使用者は血糖値の測定を開始する。
【0038】
測定において、使用者は、まず、図2の血糖値センサ8を、カバー本体1のセンサ挿入用開口部11を介して、測定器5のセンサ装着部7に装着する。次に、使用者は、たとえば人差し指を穿刺して血液を表出させ、この血液を血糖値センサ8の点着部15に点着すれば、測定器5によって、その時の血糖値が測定され表示部6に表示される。
【0039】
なお使用者は、カバー本体1の凸部14を用いて、測定器5の操作部13を操作する。
【0040】
この測定時、および、測定器5の操作時において、使用者の血液が誤って飛び散ってしまい、測定器5に付着してしまうことがあった。
【0041】
測定器5は、図2にしめすごとく、上ケース5aと下ケース5bに分割されており、またこの下ケース5bは、電池カバー5cが分割して設けられている。これら分割の接合部分に、いったん血液が付着してしまうと、このように血液が付着した接合部分は、洗浄綿などで清浄化することが難しく、この結果として、この血液が付着した接合部分からの感染リスクが発生することとなっていた。
【0042】
しかしながら、本実施形態においては、カバー本体1に測定器5を挿入した後は、測定器5の上下面だけでなく、測定器5の外周面もカバー本体1の上面2、下面3、外周面4で覆うので、測定器5の接合部分に血液が浸入することはない。
【0043】
その結果として、測定器5に付着する血液による感染に対するリスクを低減することができる。
【0044】
さらに本実施形態においては、上述した如く、カバー本体1のセンサ挿入用開口部11には、このセンサ挿入用開口部11の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した角筒状の突出部12を設けている。
【0045】
このため、感染に対するリスクを低減することができる。
【0046】
すなわち、測定器5のセンサ装着部7部分には、カバー本体1の突出部12が設けられた状態となるので、指などが測定器5のセンサ装着部7に触れにくくなり、その結果として、感染に対するリスクを低減することができる。
【0047】
さらに、カバー本体1の突出部12は、センサ挿入用開口部11の外周全体を覆うため、センサ挿入用開口部11周囲の強度が増した状態となる。
【0048】
このため、カバー本体1内部に測定器5を挿入するときに、センサ挿入用開口部11の破損を防止できるものとなっている。
【0049】
なお、上記実施形態においては、カバー本体1が汚れた場合には、その内部に測定器5が収納された状態で、このカバー本体1の外周面を、たとえば洗浄綿などで清浄化することとしたが、カバー本体1を測定器5から取り外し、この取り外し状態でカバー本体1を清浄化してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように本発明の生体情報測定装置用保護カバーは、上面と、この上面の下方に所定間隔をおいて対向させた下面と、この下面および前記上面のそれぞれの外周部を覆った外周面とを備え、前記上面を弾性体で形成するとともに、この上面の一方側には表示部目視用開口部を設け、前記外周面で前記上面の他方側部分には、センサ挿入用開口部を設け、このセンサ挿入用開口部には、このセンサ挿入用開口部の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した突出部を設けたものであるので、感染に対するリスクを低減することができる。
【0051】
すなわち、本発明においては、上面の表示部目視用開口部から、この生体情報測定装置用保護カバー内に生体情報測定装置を挿入すれば、この上面の他方側部分に設けたセンサ挿入用開口部から空気抜きをすることができるので、生体情報測定装置用保護カバー内に生体情報測定装置を容易に挿入することができる。
【0052】
また、挿入後は、生体情報測定装置を構成する本体ケースの上下面だけでなく、外周面も生体情報測定装置用保護カバーで覆うので、本体ケースの上下面の接合部分に血液が浸入することはない。このため、本体ケースに付着する血液による感染に対するリスクを低減することができる。
【0053】
また、本発明においては、生体情報測定装置を構成する本体ケースのセンサ挿入口部分には生体情報測定装置用保護カバーの突出部が設けられた状態となるので、指などが本体ケースのセンサ挿入口に触れにくくなり、その結果として、感染に対するリスクを低減することができる。
【0054】
したがって、本発明は、たとえば、血液中から血糖値などの生体情報を測定する生体情報測定装置に使用される生体情報測定装置用保護カバーとして、広く活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 カバー本体
2 上面
3 下面
4 外周面
5 測定器(生体情報測定装置の一例)
5a 上ケース
5b 下ケース
5c 電池カバー
6 表示部
7 センサ装着部
8 血糖値センサ
9 接続端子
10 表示部目視用開口部
11 センサ挿入用開口部
12 突出部
13 操作部
14 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と、この上面の下方に所定間隔をおいて対向させた下面と、この下面および前記上面のそれぞれの外周部を覆った外周面とを備え、
前記上面を弾性体で形成するとともに、この上面の一方側には表示部目視用開口部を設け、前記外周面で前記上面の他方側部分には、センサ挿入用開口部を設け、このセンサ挿入用開口部には、このセンサ挿入用開口部の外周を覆うと共にこのセンサ挿入用開口部の外方に突出した突出部を設けた生体情報測定装置用保護カバー。
【請求項2】
上面、下面、外周面を弾性体で一体成形した請求項1に記載の生体情報測定装置用保護カバー。
【請求項3】
上面、下面、外周面をシリコンゴムで一体成形した請求項2に記載の生体情報測定装置用保護カバー。
【請求項4】
突出部を、前記外周面と一体成形した請求項1から3のいずれか一つに記載の生体情報測定装置用保護カバー。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate