説明

生体情報登録装置

【課題】
指静脈情報などの生体情報を登録する生体情報登録装置において、指と指静脈情報の対応が誤って登録されるのを防止する生体情報登録装置を提供することにする。
【解決手段】
指静脈情報を登録する際に、指静脈リーダ102に指がセットされた状態の画像を手元撮影カメラ106が撮影し、その撮影された画像から、どの指の指静脈情報が登録されようとしているかを判別する。そして、その判別された指と、予め利用者が選択した指とを比較して、指静脈情報が読み取られる指と予め選択された指とが一致するか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を登録する登録装置及び生体情報を読み取る読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報として、例えば1つの指紋情報を登録する場合は、登録する指を選択して、対応する指を生体情報読取装置にセットし登録を行う。また、複数の指紋情報を登録する場合は、指の選択と登録を繰り返す(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−248662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、誤った部位(指)を生体情報読取装置にセットしたことに気付かずに登録した場合、生体情報の読取照合時に正しい部位をセットし、照合不一致となるまで、誤った登録をしたことに気付くことができない。
【0005】
本発明は、誤った生体情報の登録を防止し、生体情報と部位の登録を正しく行うことができる生体情報登録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、生体情報を登録する部位の入力を受け付け、読取手段が生体情報を読み取り、前記読取手段の画像を撮影し、撮影された画像をもとに、生体情報が読み取られた部位を判別し、前記入力された部位と前記生体情報が読み取られた部位とが一致するか否かを判断する構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生体情報と部位を正しく対応付けて登録を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の一実施形態を、生体情報として指静脈情報を用いて、指静脈情報の登録装置を例にとり、以下図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
図1は、指静脈情報の登録装置101の機能ブロック図を示す。登録装置101は、指静脈情報を読み取る指静脈リーダ102、指静脈情報の読取開始を指示する読取ボタン103、装置の操作案内を表示する表示部であるディスプレイ104、登録内容を選択したり利用者が暗証番号などを入力する入力部であるタッチパネル105、指静脈リーダへの指のセット状況を撮影する手元撮影カメラ106、利用者本人であることを証明する証明書などの書類を読み取る書類リーダであるスキャナ107、利用者の顔画像を撮影する顔撮影カメラ108、指静脈情報を書き込んだICカードを発行したり、発行されたICカードの読み書きを行ったりするカードリーダライタ109、登録装置101の各部の制御およびホストコンピュータとの通信を行う主制御部110から構成される。さらに、主制御部110は、CPU111、メモリ112、記録部113、通信部114から構成される。図2は、登録装置101の外観図を示す。
【0010】
図3は、登録装置101が指静脈情報を登録する登録処理フロー及びその指静脈情報を記憶したICカードの発行処理フローを示す。ここで、手元撮影カメラ106が指静脈リーダ102を撮影した様子を示す図4を適宜参照して図3のフローを説明する。
【0011】
まず前処理として、手元撮影カメラ106は、指がセットされていない状態での指静脈リーダ102の画像(図3a)を撮影し(ステップ301)、登録装置101は来客待ち状態になる。利用者が来店すると、ディスプレイ104は、利用者に対しIDカードの挿入を促す操作ガイダンスを表示し、利用者はカードリーダ109にIDカードを挿入する。カードリーダ109がIDカードの挿入を検知すると(ステップ302)、ディスプレイ104は、暗証番号(ID番号)の入力を受け付ける表示を行い、タッチパネル105は、利用者による暗証番号入力を受け付ける(ステップ303)。
【0012】
次に、登録装置101の主制御部101は、ステップ302で挿入されたIDカード情報とステップ303で入力された暗証番号の認証を行う(ステップ304)。暗証番号の認証が取れなかった場合(暗証番号が一致しなかった場合)は、IDカードを返却し(ステップ322)、登録手続き処理を終了する。ステップ304で認証がとれた場合(暗証番号が一致した場合)は、IDカードを返却し(ステップ305)、指静脈情報の登録手続き処理を継続する。
【0013】
次に、ディスプレイ104は、本人確認書類(例えば免許証等)をスキャナ107にセットするよう利用者に指示する画面を表示し(ステップ306)、本人確認書類がセットされたことを検知すると(図示しないセンサによる検知またはタッチパネル105の「セット完了」ボタンの押印検知)、スキャナ107は、セットされた本人確認書類に含まれる顔画像を読み取る(ステップ307)。本人確認書類の顔画像の読取が完了すると、顔撮影カメラ108は、利用者の顔画像を撮影する(ステップ308)。主制御部110は、ステップ307で読み取った顔画像と、ステップ308で撮影した顔画像を照合し(ステップ309)、同一人物であるか否かを判断する(ステップ310)。ステップ310において、同一人物でないと判断された場合は、登録処理を終了する。なお、同一人物であるか否かの判断は、それぞれの顔画像の輪郭や各部分のパターンマッチング等を行うことによりなされる。
【0014】
ステップ310で同一人物であると判断された場合は、ディスプレイ104は、利用者に対して、指静脈情報を登録する指(生体の部位である指の種類)を選択させる画面を表示する(ステップ311)。登録する指が選択された場合は、ディスプレイ104は、利用者に対して、指静脈リーダ102に指をセットするよう指示する画面を表示する(ステップ312)。指静脈リーダ102に指がセットされたことを検知した場合は(図示しないセンサによる指セット検知またはタッチパネル105の「指セット完了」ボタンの押印検知)、手元撮影カメラ106は、指がセットされた状態の指静脈リーダ102の画像を撮影する(ステップ313)。例えば、後述する図4bがその撮影された画像である。
【0015】
次に、主制御部110は、ステップ301で撮影された指静脈リーダ102の画像と、ステップ313で撮影された指静脈リーダ102の画像とを比較し、セットされた指を判別する(ステップ314)。ステップ314の判別の詳細については、図4を用いて詳細に後述する。次に主制御部110は、ステップ314の判別の結果が、ステップ311において選択された指と一致するか否かを判断し(ステップ315)、一致する場合は、ディスプレイ104は指静脈情報の読取ボタン103の押下指示を示す画面を表示し(ステップ316)、読取ボタンが押下された場合は、指静脈リーダ102は、セットされた指の指静脈情報を読み取る(ステップ317)。なお、読取ボタン102は、ディスプレイ104に表示された読取ボタンがタッチパネル105によって押下される構成でも良い。
【0016】
そして、ステップ316で読み取った指静脈情報及びステップ311で登録された指情報を、ICカードに格納し(ステップ318)、そのICカードを発行する(ステップ319)。なお、ステップ315で、選択された指と一致しないと判断した場合は、ディスプレイ104は、ステップ313で撮影された画像と、ステップ311で選択された指(登録する指)に関する情報を表示する(ステップ320)。そして、そのまま指静脈情報の登録を続行するか、指を再セットするか、登録する指を変更するかを選択させる表示を行う(ステップ321)。これらの表示については、図5の説明において後述する。
【0017】
図4は、図3のステップ314(セットされた指の判別処理)における、指静脈リーダ102の状態を示す画像(手元撮影カメラ106が撮影する画像)の種々のパターンを示す。また、これらの撮影された画像を用いて、主制御部110が、利用者が指静脈リーダ102にセットした指がどの指であるか、つまり、指静脈リーダ102が読み取った指静脈情報がどの指の指静脈情報であるか(生体情報が読み取られた部位)を判別する処理の詳細を説明する。
【0018】
図4aは、上述したように、図3のステップ301(登録の事前処理)において撮影された指静脈リーダ102の画像(指静脈リーダ102に指がセットされていない様子を示す画像)を示す。
【0019】
図4bは、図3のステップ313において、手元撮影カメラ106が、指静脈リーダ102に指がセットされた状態を撮影した画像を示す。
【0020】
図4cは、主制御部110が、図4aに示す画像(指静脈リーダ102に指がセットされていない状態)と図4bに示す画像(指静脈リーダ102に指がセットされた状態)とを比較してその差分を取り、両画像から作成したセット状態抽出画像を示す。
【0021】
図4dは、セット状態抽出画像(図4c)から、どの指がセットされているかを判別する処理(図3のステップ314)において、判別の際の計算に用いる計算エリア(領域A及び領域B)を示す図である。
【0022】
図4e〜4hは、セット状態抽出画像(図4c)と計算エリア(図4d)とを重ね合わせたときの領域Aと領域Bのそれぞれに含まれるセット状態抽出画像の面積(それぞれfA、fBとする)と、セットされた指との関係を示す図である。具体的には、(1)fAがほとんど0である場合(図4e)は、人差し指がセットされたと判別する。(2)fA<fBの場合(図4f)は、中指がセットされたと判別する。(3)fA>fBの場合(図4g)は、薬指がセットされたと判別する。(4)fBがほとんど0である場合(図4h)は、小指がセットされたと判別する。このように、fAとfBとの大きさの関係から、セットされた指を判別する。なお、本実施形態では、右手を例にして説明したが、左手でもよい。その場合は、上記(1)〜(4)のfAとfBの関係が反対になるので、判別結果も反対になる。また、判別の方法はこれに限らず、指静脈リーダ102に指がセットされた状態の画像から、セットされた指が対応付けられる方法であればよい。
【0023】
図5は、図3のステップ315(ステップ312でセットされた指の判別の結果が、ステップ311において選択された指と一致するか否かの判断)において、一致しないと判断した場合に、ディスプレイ104に表示される画面(ステップ320)を示す。ステップ315において「一致しない」と判断する場合とは、「ステップ311において、利用者によって選択された『登録する指』の情報と、『実際に指静脈リーダ102にセットされた指』が異なる可能性がある」と判断した場合である。そして、この場合にディスプレイ104は図5のような表示を行う。この画面は、利用者に対して、登録した指とセットした指との関係の確認を行う画面である。図5は、ステップ313において手元撮影カメラ106が撮影した指静脈リーダ102の状態を示す画像401と、ステップ311で選択された「登録する指」の情報402とを含む。
【0024】
図5の画面に対して、利用者は、(1)登録した指情報(ステップ311において選択した指)を変更する場合は、画面上の「変更」ボタン403を押下し、(2)指静脈リーダ102への指の再セットを行う場合は、画面上の「指の再セット」ボタン404を押下し、(3)登録した指情報と、セットした指に間違いがなく、この指の指静脈情報を登録する場合は、画面上の「このまま登録」ボタン405を押下する。主制御部110は、(1)の「変更」ボタン403が押下されたと判断した場合は、ステップ311における「登録する指」の選択画面を表示して、登録装置101はステップ311以降の処理を実行し、(2)の「指の再セット」ボタン404が押下されたと判断した場合は、ステップ312の「指静脈リーダ102へ指をセット」する指示画面を表示して、登録装置101はステップ312以降の処理を実行し、(3)「このまま登録」ボタン405が押下されたと判断した場合は、ステップ316の「読取ボタンの押下」の指示画面を表示して、登録装置101はステップ316以降の処理を実行する。
【0025】
なお、上記図3においては、指静脈リーダ102に指がセットされていない状態の手元画像と、指静脈リーダ102に指がセットされた状態の手元画像とを比較して、セットされた指を判別した後(ステップ314-315)、指静脈情報の読取処理(ステップ317)を行っているが、指静脈リーダ102へ指がセットされて、指静脈リーダ102に指がセットされた状態の手元画像を読み取った際/またはその後(ステップ312-313)に、指静脈リーダ102が指静脈情報を読み取ってもよい。その場合は、指静脈情報を読み取った指がステップ311で選択された指と一致するか否かの判断(ステップ314-315)を行うことになる。
【0026】
上記の通り指静脈情報の登録を行うことにより、登録すべき指とは異なる指の指静脈情報を読み取り、そのままICカードに登録すること防止することができる。
【0027】
図6は、予め登録された指静脈情報と、利用者の指静脈情報の照合を行うATM501の外観図である。ATM501は、利用者の指静脈情報を読み取る指静脈リーダ502、指静脈リーダ502に指がセットされた状態の画像を撮影する手元撮影カメラ503、利用者が挿入するICカードを読み取るカードリーダ504、指静脈リーダ502による読取の際に押下する読取ボタン505、ATM501の操作案内などを表示するディスプレイ506から構成される。なお、図2に示す登録装置101が、指静脈情報の照合処理も行う場合は、図5のATM501は登録装置101と同様の構成でよい。
【0028】
図7は、図6に示すATM501が行う指静脈情報の照合処理フローを示す。まず、ATM501のディスプレイ506は、利用者に対して取引業務の選択表示を行う(ステップ602)。次に、選択された取引業務がICカードを用いる取引である場合は、ディスプレイ506は、ICカードリーダ504にICカードを挿入する指示を行うよう表示する(ステップ603)。ICカードが挿入されると、ディスプレイ506は、指静脈リーダ502に指をセットするよう利用者に案内する画面を表示する(ステップ604)。指がセットされたら、ディスプレイ506は、読み取りボタン505を押下する案内画面を表示する(ステップ605)。読み取りボタン505が押下された場合は、指静脈リーダ502は、セットされた指の指静脈情報を読み取るとともに、手元撮影カメラ503は、指がセットされた状態の指静脈リーダ502の画像を撮影する(ステップ606)。なお、指静脈情報の読取の前(または後)に、ICカードに対応する暗証番号を入力するステップがあってもよい。
【0029】
次に、ATM501は、ステップ603で挿入されたICカードに記憶された指静脈情報と、ステップ606で指静脈リーダ502が読み取った指静脈情報とを照合する(ステップ607)。照合の結果、一致する場合は、ATM501は、ステップ602で選択された取引業務を実行し(ステップ613)、取引終了後、ICカードを返却する(ステップ614)。ステップ607の照合の結果、不一致であった場合は、ATM501は、ステップ606において手元撮影カメラ503が撮影した手元画像から、セットされた指を判別する(ステップ608)。ここで、セットされた指の判別は、図3のステップ314と同様の処理を行う。次に、ATM501は、ステップ608で判別された指が、ステップ603で挿入されたICカードに登録されている指情報と一致するか否かを判断する(ステップ609)。
【0030】
ステップ609の判断の結果、指が一致しない場合は、ディスプレイ506は、指静脈リーダ502へ指を再セットする案内を表示し(ステップ612)、ステップ609の判断の結果、指が一致する場合は、今回の指静脈情報の照合処理が1回目か2回目以降かを判断する(ステップ610)。1回目である場合は、ディスプレイ指を再セットさせる表示を行い(ステップ612)、2回目以降である場合は、取引を行わずカードを返却して(ステップ614)、処理を終了する。
【0031】
本実施形態では、生体情報として指静脈情報を利用した例について説明したが、指静脈情報に限定されない。例えば、生体情報として手のひら静脈を登録する装置においては、本実施形態で説明する処理を行うことにより、左右の手の相違による誤登録を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態である指静脈情報登録装置101の機能ブロック図を示す。
【図2】図1の登録装置101の外観図を示す。
【図3】登録装置101が指静脈情報を登録したICカードの発行処理のフローチャートを示す。
【図4】指がセットされた指静脈リーダ102の状態を撮影した画像を示す。
【図5】指静脈リーダ102にセットされた指の状態に応じた指静脈情報の登録確認案内画面を示す。
【図6】本発明の一実施形態である指静脈情報を照合する現金自動取引装置(ATM)の外観図を示す。
【図7】図6におけるATMの指静脈情報の照合処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
101:登録装置、102:指静脈リーダ、103:読取ボタン、104:ディスプレイ、105:タッチパネル、106:手元撮影カメラ、107:スキャナ、108:顔撮影カメラ、109:カードリーダ、110:主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生体情報を登録する生体情報登録装置において、
前記利用者の生体情報を読み取る第1の読取手段と、
前記生体情報を登録する部位の入力を受け付ける入力手段と、
前記第1の読取手段の画像を撮影する第1の撮影手段と、
前記第1の撮影手段で撮影された画像をもとに、前記第1の撮影手段にセットされた部位を判別する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記判別された部位と前記入力された部位とが一致するか否かを判断することを特徴とする生体情報登録装置。
【請求項2】
前記生体情報登録装置はさらに、
前記利用者に関する証明書を読み取る第2の読取手段と、
前記利用者の顔画像を撮影する第2の撮影手段とを備え、
前記制御手段は、前記第2の読取手段で読み取られた証明書に含まれる前記利用者の顔画像と、前記第2の撮影手段によって撮影された顔画像とを照合することを特徴とする請求項1記載の生体情報登録装置。
【請求項3】
前記判別された部位と前記入力された部位とが一致する場合は、前記第1の読取手段によって読み取られた生体情報を格納したICカードを発行することを特徴とする請求項1記載の生体情報登録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の撮影手段によって撮影された画像内における複数の領域の面積に基づいて、前記第1の撮影手段にセットされた部位を判別することを特徴とする請求項1記載の生体情報登録装置。
【請求項5】
前記生体情報登録装置はさらに、
前記判別された部位と、前記入力された部位に関する情報を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1記載の生体情報登録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−20669(P2007−20669A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−203796(P2005−203796)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】