説明

生体情報計測センサ

【課題】コンパクトな状態にして収納可能な生体情報計測センサを提供する。
【解決手段】センサ1Aは、寝床面41上における被験者Hの下側に被験者Hの左右方向に並んで配置される複数の起歪板2を備える。各起歪板2には、起歪板2の歪みを検出し被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号を出力する検出部10が設けられている。互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士が折曲可能な連結部6を介して連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の呼吸情報等の生体情報を計測するのに用いられる生体情報計測センサ、生体情報計測装置及び生体情報計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関(例:病院)、老人施設、一般家庭などでは、病人、老人、健康人、乳幼児等の被験者の健康状態を把握するために、就寝中の被験者の呼吸情報、心拍情報、寝返り活動情報等の生体情報を計測することが行われている。
【0003】
その計測に用いられるセンサとして、特開2009−112646号公報、特開2008−229361号公報、特開2008−229359号公報、特開2008−178738号公報、特開2008−178734号公報、特開2008−99957号公報、特開2008−99747号公報、特開2008−67979号公報、特開2006−43445号公報、特開2005−253957号公報などに記載されているように、寝床面上における被験者の下側に被験者の左右方向に延びる態様にして配置される起歪板(敷き板部及び受け板部を含む)を備えたものが知られている(特許文献1〜10参照)。
【0004】
これらのセンサは、被験者の生体活動に伴い発生する起歪板の歪みが起歪板に設けられた検出部により検出されるように構成されている。検出部からの出力信号は、被験者の生体情報の計測に用いられる。
【0005】
これらのセンサでは、被験者の体重が起歪板に加わることにより起歪板が下方向に撓む。このとき、撓んだ起歪板が寝床面に当接すると、起歪板には被験者の生体活動に対応する歪みが発生し難くなり、その結果、被験者の生体情報の計測精度が低下する。そのため、起歪板が下方向に撓んでも寝床面に当接しないように起歪板は支持されることが望ましい。そこで、起歪板が下方向に撓んでも寝床面に当接しないようにするため、例えば起歪板を寝床面に対して高い位置で支持することが考えられるが、この場合、被験者の寝心地が悪化する。したがって、被験者の寝心地を良くするためには、起歪板の高さはなるべく低い方が望ましく、すなわちセンサの厚さはなるべく薄い方が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−112646号公報
【特許文献2】特開2008−229361号公報
【特許文献3】特開2008−229359号公報
【特許文献4】特開2008−178738号公報
【特許文献5】特開2008−178734号公報
【特許文献6】特開2008−99957号公報
【特許文献7】特開2008−99747号公報
【特許文献8】特開2008−67979号公報
【特許文献9】特開2006−43445号公報
【特許文献10】特開2005−253957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
而して、これらのセンサで用いられている起歪板は、その左右方向の長さが長かった。そのため、センサの非使用時にセンサを収納する際にセンサが嵩張ってしまい、広い収納スペースが必要となるという欠点があった。
【0008】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、コンパクトな状態にして収納可能な生体情報計測センサ、該センサを備えた生体情報計測装置、及び、該センサを用いた生体情報計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の手段を提供する。
【0010】
[1] 寝床面上における被験者の下側に被験者の左右方向に並んで配置される複数の起歪板を備え、
各起歪板には、起歪板の歪みを検出し被験者の生体情報の計測に用いられる信号を出力する検出部が設けられ、
互いに左右方向に隣り合う起歪板同士が折曲可能な連結部を介して連結されていることを特徴とする生体情報計測センサ。
【0011】
[2] 各起歪板の左右方向中間部に検出部が設けられており、
各起歪板の左端部及び右端部をそれぞれ支持する左台座部及び右台座部を備えており、
複数の起歪板が寝床面上に配置されたときに各起歪板の左右方向中間部が寝床面に対して上側に離間する状態になるように、各起歪板の左端部及び右端部がそれぞれ左台座部及び右台座部により支持されている前項1記載の生体情報計測センサ。
【0012】
[3] 複数の起歪板からなる起歪板群の下側には、起歪板群の少なくとも左端部の位置から右端部の位置まで連続する帯状のフレキシブルなベースシートが配置されており、
ベースシートの上面に、全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられており、
連結部は、ベースシートの一部から形成されている前項2記載の生体情報計測センサ。
【0013】
[4] 起歪板群とベースシートとの全体がカバー体により一括して覆われている前項3記載の生体情報計測センサ。
【0014】
[5] 連結部には、互いに左右方向に隣り合う起歪板同士のうち右側の起歪板の左端部を支持する左台座部と左側の起歪板の右端部を支持する右台座部とが固定状態に設けられるとともに、
連結部が、前記右側の起歪板の右端部を支持する右台座部と前記左側の起歪板の左端部を支持する左台座部とからそれぞれ分離されて形成されている前項2記載の生体情報計測センサ。
【0015】
[6] 複数の起歪板からなる起歪板群と全ての連結部と全ての左台座部及び右台座部との全体がフレキシブルなカバー体により一括して覆われている前項5記載の生体情報計測センサ。
【0016】
[7] 複数の起歪板からなる起歪板群と全ての左台座部及び右台座部との全体がフレキシブルなカバー体により一括して覆われるとともに、
カバー体は、起歪板群の下側に配置された下カバー部を有しており、
下カバー部の上面に、全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられており、
連結部は、下カバー部の一部から形成されている前項2記載の生体情報計測センサ。
【0017】
[8] 各左台座部及び各右台座部の上面には、起歪板の対応する端部の配置位置を決める位置決め用凹部が設けられている前項1〜7のいずれかに記載の生体情報計測センサ。
【0018】
[9] 検出部は、歪みゲージ、圧電素子、感圧素子及び導電性ゴムからなる群から選択される1種又は2種以上を有している前項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測センサ。
【0019】
[10] 前項1〜9のいずれかに記載の生体情報計測センサと、
センサの各検出部からの出力信号に基づいて被験者の生体情報を演算する演算部と、
演算部により演算された生体情報を送信する通信部と、を具備していることを特徴とする生体情報計測装置。
【0020】
[11] 通信部は、生体情報を被験者が居る部屋を空調する空調装置に送信するものである前項10記載の生体情報計測装置。
【0021】
[12] 通信部は、生体情報を警報装置に送信するものである前項10又は11記載の生体情報計測装置。
【0022】
[13] 前項1〜9のいずれかに記載の生体情報計測センサを用いて被験者の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明は以下の効果を奏する。
【0024】
前項[1]記載の生体情報計測センサによれば、該センサを使用するときには、複数の起歪板が寝床面上における被験者の下側に被験者の左右方向に並んで配置される。そして、複数の起歪板のうち少なくとも一つの起歪板に被験者の生体活動に伴う歪みが発生する。この歪みが検出部により検出されて、検出部から被験者の生体情報の計測に用いられる信号が出力される。この信号を用いて被験者の生体情報が計測される。このようなセンサにおいて、複数の起歪板における互いに左右方向に隣り合う起歪板同士は折曲可能な連結部を介して連結されているので、センサを使用しないときなどには複数の起歪板を連結部で折曲することで折り畳むことができる。そのため、センサをコンパクトな状態にして収納することができる。
【0025】
前項[2]記載のセンサでは、複数の起歪板が寝床面上に配置されたときに各起歪板の左右方向中間部が寝床面に対して上側に離間する状態になるように、各起歪板の左端部及び右端部がそれぞれ左台座部及び右台座部により支持されているので、被験者の生体活動に伴って起歪板の左右方向中間部に歪みが局部的に発生する。したがって、起歪板の左右方向中間部に検出部を設けることにより、被験者の生体活動に伴い発生する起歪板の歪みを検出部によって確実に検出することができる。
【0026】
さらに、複数の起歪板は被験者の左右方向に並んで配置されるものであるから、各起歪板の左右方向の長さを従来のセンサに用いられた起歪板よりも短くすることができる。そのため、被験者の体重が起歪板に加わることにより生じる起歪板の左右方向中間部の下方向への撓み量を小さくすることができる。これにより、センサの厚さを薄くすることができ、その結果、センサが被験者の下側に配置されることによる被験者の寝心地の悪化を防止することができる。
【0027】
前項[3]記載のセンサでは、ベースシートの上面に全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられているので、センサの製造の際に起歪板の左台座部及び右台座部への配置作業を容易に行うことができる。さらに、連結部がベースシートの一部から形成されているので、センサの製造の際に連結部をわざわざ別途準備する必要がない。したがって、センサを容易に製造することができる。
【0028】
前項[4]記載のセンサでは、被験者の汗や尿等によるセンサ(検出部、起歪板等)の損傷をカバー体によって防止することができる。
【0029】
前項[5]記載のセンサでは、連結部に、右側の起歪板の左端部を支持する左台座部と左側の起歪板の右端部を支持する右台座部とが固定状態に設けられるとともに、連結部が右側の起歪板の右端部を支持する右台座部と左側の起歪板の左端部を支持する左台座部とからそれぞれ分離されて形成されている。そのため、各起歪板の左右方向中間部の下側にはベースシートは存在していない。これにより、ベースシートの厚さ分、センサの厚さを更に薄くすることができる。その結果、センサが被験者の下側に配置されることによる被験者の寝心地の悪化を更に確実に防止することができる。
【0030】
前項[6]記載のセンサでは、被験者の汗や尿等によるセンサ(検出部、起歪板等)の損傷をカバー体によって防止することができる。
【0031】
前項[7]記載のセンサでは、被験者の汗や尿等によるセンサ(検出部、起歪板等)の損傷をカバー体によって防止することができる。
【0032】
さらに、カバー体の下カバー部の上面に、全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられているので、このセンサはベースシートを備えていない。そのため、ベースシートの厚さ分、センサの厚さを更に薄くすることができる。その結果、センサが被験者の下側に配置されることによる被験者の寝心地の悪化を更に確実に防止することができる。
【0033】
さらに、センサの製造の際にベースシートをわざわざ別途準備する必要がないので、センサの製造に必要な部品点数を削減することができ、もってセンサを容易にかつ安価に製造することができる。
【0034】
前項[8]記載のセンサでは、センサの製造の際に起歪板の左台座部及び右台座部への配置作業(位置決め作業)を更に容易に行うことができる。そのため、センサを更に容易に製造することができる。
【0035】
前項[9]記載のセンサでは、起歪板の歪みを検出部によって確実に検出することができる。
【0036】
前記[10]記載の生体情報計測装置は、上記センサを備えているので、上記センサと同様の効果を奏する。さらに、被験者の生体情報を通信部によって外部装置などへ送信することができる。
【0037】
前記[11]記載の生体情報計測装置では、被験者の生体情報を通信部によって外部装置としての空調装置へ送信することができる。こうして送信されてきた生体情報に基づいて空調装置は被験者が居る部屋に対して所定の空調を行う。
【0038】
前記[12]記載の生体情報計測装置では、被験者の生体情報を通信部によって外部装置としての警報装置へ送信することができる。そして、こうして送信されてきた生体情報に基づいて警報装置は生体情報に異常があった場合などに警報を発する。
【0039】
前項[13]記載の生体情報計測方法によれば、上記センサと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る生体情報計測センサを具備した生体情報計測装置を用いて被験者の生体情報を計測する状態を示す概略平面図である。
【図2A】図2Aは、同センサの平面図である。
【図2B】図2Bは、同センサの側面図である。
【図3】図3は、図2A中のX−X線断面図である。
【図4】図4は、図2A中のY−Y線断面図である。
【図5A】図5Aは、同センサのカバー体及び中継ボックスを図示省略した同センサの平面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの側面図である。
【図6】図6は、同センサの製造途中の状態を示す平面図である。
【図7】図7は、同センサの製造途中の状態を示す側面図である。
【図8】図8は、図6中のZ−Z線断面図である。
【図9】図9は、同センサの起歪板群とベースシートとの全体をカバー体により一括して覆った状態の同センサの平面図である。
【図10】図10は、中継ボックスの内部構造を示す一部切欠き平面図である。
【図11】図11は、同生体情報計測装置のブロック図である。
【図12A】図12Aは、同センサを三つ折りに折り畳んだ状態の一例を示す側面図である。
【図12B】図12Bは、同センサを三つ折りに折り畳んだ状態のもう一つの例を示す側面図である。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態に係る生体情報計測センサにおける図3に対応する断面図である。
【図14A】図14Aは、同センサのカバー体及び中継ボックスを図示省略した同センサの平面図である。
【図14B】図14Bは、図14Aの側面図である。
【図15】図15は、同センサの製造途中の状態を示す平面図である。
【図16】図16は、同センサの製造途中の状態を示す側面図である。
【図17】図17は、本発明の第3実施形態に係る生体情報計測センサにおける図3に対応する断面図である。
【図18】図18は、同センサの製造途中の状態を示す平面図である。
【図19】図19は、同センサの製造途中の状態を示す側面図である。
【図20】図20は、検出部の一変形形態を示す起歪板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0042】
図1〜12Bは、本発明の第1実施形態に係る生体情報計測センサ1A及び生体情報計測装置30を説明する図である。
【0043】
本第1実施形態の生体情報計測装置30は、図1に示すように、本第1実施形態の生体情報計測センサ1A、コントローラ35などを具備している。
【0044】
本第1実施形態のセンサ1Aは、図1及び2Aに示すように、ベッド40の寝床面41上における被験者Hの胸部(被験部位)の下側に被験者Hの左右方向に延びる態様にして配置されて使用されるものである。被験者Hの左右方向は寝床面41の幅方向と同じである。被験者Hとしては、病人、老人、健康人、乳幼児などが挙示される。
【0045】
このセンサ1Aは、図3〜5Bに示すように、複数の起歪板2、複数の検出部10、複数の左台座部3及び右台座部4、ベースシート7、カバー体20などを備えている。本第1実施形態では起歪板2の枚数は3つである。
【0046】
これらの起歪板2は、寝床面41上における被験者Hの胸部の下側に被験者Hの左右方向に並んで配置されるものである。さらに、互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士の間には僅かな隙間が存在している。
【0047】
これらの起歪板2は互いに同一構成であり、以下ではこれらのうち一つの起歪板2の構成を中心に説明する。
【0048】
起歪板2は、図5Aに示すように、平面視において左右方向に延びた長方形状の金属製のものであり、特にアルミニウム(その合金を含む)製のものであることがセンサ1Aの軽量化を図りうる点、適度な曲げこわさが得られる点などの理由で望ましい。ただし本発明では、起歪板2はアルミニウム製であることに限定されるものではなく、その他に例えば樹脂製であっても良い。
【0049】
起歪板2の長さ(即ち起歪板2の左右方向の長さ)は限定されるものではないが、特に100〜500mmであることが望ましく、具体的には例えば220mmである。起歪板2の幅は限定されるものではないが、特に40〜300mmであることが望ましく、具体的には例えば80mmである。起歪板2の厚さは限定されるものではないが、特に0.1〜3mmであることが望ましく、具体的には例えば1.5mmである。
【0050】
図5A及び5Bに示すように、起歪板2の上面の左右方向中間部には検出部10が固定状態に設けられている。この検出部10は、被験者Hの生体活動(例:呼吸、心拍、寝返り活動)に伴い発生する起歪板2の歪み(及びその変動)を被験者Hの生体活動関連情報として検出するものである。この検出部10からは被験者Hの生体情報(例:呼吸、心拍、寝返り活動情報)の計測に用いられる信号が出力され、特に被験者Hの生体情報として呼吸情報の計測に用いられる信号が出力される。
【0051】
本第1実施形態では、検出部10として2つの歪みゲージ11、11が用いられている。これらの歪みゲージ11は、起歪板2の上面の左右方向中間部に起歪板2の幅方向に並んで接着剤等によって貼り付けられており、これにより、これらの歪みゲージ11が起歪板2の上面の左右方向中間部に固着されている。
【0052】
これらの歪みゲージ11、11は、図11に示すように、2つのダミーゲージ(ダミー抵抗)16、16と一緒にブリッジ回路(詳述するとホイートストーンブリッジ回路)17に組み込まれている。すなわち、ブリッジ回路17は、2つの歪みゲージ11、11と2つのダミーゲージ16、16とにより形成されている。本第1実施形態では、起歪板2の枚数は3つであることから、ブリッジ回路17の個数も3つである。なお、ダミーゲージ16は、コントローラ35内に配置されており、詳述するとコントローラ35内に配置された電子基板上に実装されている。同図において18は、各ブリッジ回路17に電圧を入力(印加)する電圧入力部(電圧印加部)である。この電圧入力部18も同じくコントローラ35内に配置されている。
【0053】
図5A及び5Bに示すように、検出部10にはフレキシブルな信号伝送用ケーブル19が電気的に接続されている。このケーブル19としては、起歪板2の上面にケーブル19が配置されることにより生じる起歪板2の上面の凹凸を極力小さくするため、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)が用いられており、その他に、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)が用いられ、更に、多芯ケーブル等が用いられる。
【0054】
図3に示すように、起歪板2の左端部2a及び右端部2bは、起歪板2が寝床面41(図3中において2点鎖線で示されている)上に配置されたときに起歪板2の左右方向中間部2cが寝床面41に対して上側に離間する状態になるように、すなわち起歪板2が両持ち梁状になるように、それぞれ左台座部3及び右台座部4によって下側から支持されている。
【0055】
左台座部3及び右台座部4はそれぞれゴム製である。さらに、左台座部3及び右台座部4の上面(即ち座面)には、起歪板2の配置位置を決める位置決め用凹部5が設けられている。すなわち、この凹部5内に起歪板2の対応する端部2a、2bが嵌合されることにより、水平方向における起歪板2の配置位置が決められる。この凹部5の深さは起歪板2の厚さに対して略同じか又は若干小さく設定されている。
【0056】
さらに、起歪板2の左端部2a及び右端部2bは、それぞれ左台座部3及び右台座部4に両面接着テープ8、8によって左右各台座部3、4からずれ落ちないように固定されている(図4参照)。なお本第1実施形態では、起歪板2の左端部2a及び右端部2bをそれぞれ左台座部3及び右台座部4に固定する手段として、両面接着テープ8が用いられているが、本発明では、その他に例えば面ファスナを用いても良い。
【0057】
さらに、図4及び5Aに示すように、左台座部3は、起歪板2の幅方向に離間して2つに分断されており、この離間した部分には検出部10から延びたケーブル19が通されている。右台座部4も同様に、起歪板2の幅方向に離間して2つに分断されており、この離間した部分には検出部10から延びたケーブル19が通されている。
【0058】
ベースシート7は、3つの起歪板2、2、2からなる起歪板群2Gの下側に配置されるものである。このベースシート7は、フレキシブルなシート材から形成されており、具体的には例えばフレキシブルなゴムシート材から形成されている。そのため、このベースシート7はその左右方向の全箇所において折曲可能である。
【0059】
ベースシート7の長さは、図5A及び5Bに示すように、起歪板群2Gの左右方向の長さよりも若干大寸に設定されている。すなわち、ベースシート7は、起歪板群2Gの左端部の位置よりも若干左側の位置から起歪板群2Gの右端部の位置よりも若干右側の位置まで連続する左右方向に延びた帯状のものである。ベースシート7の長さは限定されるものではないが具体的には例えば800mmである。ベースシート7の幅は限定されるものではないが起歪板2の幅よりも若干大寸に設定されており、具体的には例えば100mmである。ベースシート7の厚さは限定されるものではないが、具体的には例えば0.5mmである。
【0060】
このベースシート7の上面には全ての左台座部3及び右台座部4が固定状態に設けられている。本第1実施形態では、全ての左台座部3及び右台座部4がベースシート7の上面に接着剤等によって固着されている。
【0061】
起歪板群2Gにおいて互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士のうち右側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3と左側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4との間には、僅かな隙間Sが生じている(図5A参照)。この隙間Sの大きさは例えば10〜20mmである。そして、この隙間Sに存在するベースシート7の部分が、右側の起歪板2と左側の起歪板2とを連結する連結部6を形成している。ここで、上述したようにベースシート7はフレキシブルなシート材から形成されていることから、この連結部6は折曲可能である。したがって、両起歪板2、2は連結部6を介して互いに連結されるとともにこの連結部6で折曲可能である。これにより、図12A及び12Bに示すように、3つの起歪板2、2、2は三つ折りに折り畳むことができるように構成されている。
【0062】
カバー体20は、図3及び4に示すように、起歪板群2Gとベースシート7との全部を一括して覆う防水性等を有するものであり、フレキシブルなシート材から形成されており、具体的にはポリ塩化ビニル等のフレキシブルな樹脂シート材から形成されている。そのため、このカバー体20はその左右方向の全箇所において折曲可能である。
【0063】
このカバー体20は、起歪板群2Gの上面を覆う上カバー部21と、起歪板群2Gの下側に配置されるとともにベースシート7の下面を覆う下カバー部22と、起歪板群2G及びベースシート7の外周面を覆う外周カバー部23とを有している。そして、上カバー部21で起歪板群2Gが覆われるとともに下カバー部22でベースシート7の下面が覆われ、更に、上カバー部21の外周縁部と下カバー部22の外周縁部とがそれぞれ外周カバー部23に熱溶着されて一体化されている。これにより、起歪板群2Gとベースシート7との全部がこのカバー体20によって一括して覆われている。上カバー部21及び下カバー部22の厚さはそれぞれ例えば0.1mmである。
【0064】
中継ボックス9は、起歪板群2Gの左右方向の一端側に配置されており、本第1実施形態では起歪板群2Gの右端側に配置されている。そして、中継ボックス9がカバー体20の右端部に取り付けられている。この中継ボックス9の内部では、各検出部10から延びた信号伝送用ケーブル19とコントローラ35から延びた信号伝送用ケーブル37とが電気的に接続されている(図10参照)。
【0065】
本第1実施形態のセンサ1Aは次のように製造されている。すなわち、図6〜8に示すように、ベースシート7の上面には全ての左台座部3及び右台座部4が互いに所定間隔をおいて固着されている。左右各台座部3、4の位置決め用凹部5の底面には両面接着テープ8、8が貼り付けられている(図8参照)。そして、各起歪板2の左端部2a及び右端部2bをそれぞれ対応する左台座部3及び右台座部4上に配置する。このとき、各起歪板2の左端部2a及び右端部2bをそれぞれ左台座部3の位置決め用凹部5及び右台座部4の位置決め用凹部5に嵌合することにより、水平方向(即ち起歪板2の長さ方向及び幅方向)における起歪板2の左台座部3及び右台座部4への位置決めが行われる。そのため、起歪板2の左台座部3及び右台座部4への配置作業を容易に行うことができる。さらに、起歪板2の左端部2a及び右端部2bがそれぞれ左台座部3及び右台座部4に両面接着テープ8によって固定される。
【0066】
各起歪板2の上面の左右方向中間部には検出部10としての2つの歪みゲージ11、11が貼り付けられている。さらに、各検出部10にはケーブル19が電気的に接続されている。このケーブル19は、各検出部10から起歪板群2Gの左右方向の一端側へ導出されており、本第1実施形態では起歪板群2Gの右端側へ導出されている。
【0067】
次いで、起歪板群2Gとベースシート7との全部をカバー体20により一括して覆う。すなわち、カバー体20の上カバー部21で起歪板群2Gの上面を覆うとともにカバー体20の下カバー部22でベースシート7の下面を覆い、更に、上カバー部21の外周縁部と下カバー部22の外周縁部とをそれぞれ外周カバー部23に熱溶着して一体化する。図9において、ドットハッチングで示した部分25は、上カバー部21の外周カバー部23との熱溶着部である。この際、上カバー部21及び下カバー部22におけるケーブル19の導出部分は熱溶着しない。これにより、起歪板群2Gとベースシート7との全部がこのカバー体20によって一括して覆われる。
【0068】
次いで、カバー体20の右端部に中継ボックス9を取り付ける。そして、図10に示すように、この中継ボックス9の内部において、各検出部10から延びたケーブル19とコントローラ35から延びたケーブル37とを電気的に接続する。なお同図において、9aは接続基板、9bはケーブル19用コネクタ、9cはケーブル37用押さえ部材である。
【0069】
以上の手順により、本第1実施形態のセンサ1Aが製造される。
【0070】
次に、本第1実施形態の生体情報計測装置30について以下に説明する。
【0071】
この計測装置30では、図11に示すように、コントローラ35は、A/D変換部31、演算部32、記憶部33、通信部34などを備えており、更に、電子基板(図示せず)を備えている。電子基板には、センサ1Aの各検出部10のブリッジ回路17に組み込まれるダミーゲージ16が実装されている。さらに、このコントローラ35は、給電コード38から供給された外部電力により動作するように構成されている(図2A参照)。
【0072】
そして、この計測装置30では、センサ1Aの各検出部10により各起歪板2の歪みが検出されると、当該歪みに対応する電気信号(電圧)が被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号として各検出部10から時間的に連続して出力される。この出力信号はケーブル19及びケーブル37を通ってコントローラ35のA/D変換部31へ送信される。A/D変換部31は、この送信された信号をアナログ信号からデジタル信号に時間的に連続して変換するものである。
【0073】
演算部32は、A/D変換部31により変換されたデジタル信号に基づいて被験者Hの生体情報を時間的に連続して演算するものであり、CPU等を有するコンピュータを備えている。
【0074】
記憶部33は、演算部32により演算された被験者Hの生体情報を時間的に連続して記憶するものであり、メモリカード(例:SDカード)などを有している。
【0075】
通信部34は、演算部32により演算された被験者Hの生体情報を外部装置50へ無線又は有線で送信するものである。本第1実施形態では、通信部34は、赤外線通信部等の無線通信部であり、図1に示すように、被験者Hの生体情報を外部装置50としての空調装置(例:エアコン、クーラー、ヒーター、扇風機)51や警報装置52などへ無線で送信するものである。
【0076】
空調装置51は、被験者Hが居る部屋をその環境が被験者Hに対して適切な温度や湿度等になるように、あるいは空調装置51が節電モードになるように空調するものであり、通信部34から送信された被験者Hの生体情報に基づいて被験者Hが居る部屋を空調しうるように構成されている。
【0077】
警報装置52は、通常、被験者Hが居る部屋の外に配置されており、具体的には例えば被験者Hに対して介護(看護)を行う介護者が居る詰め所や緊急通報センタに配置されており、通信部34から送信された生体情報に基づいて被験者Hの生体情報に異常があった場合などに警報を発しうるように構成されている。
【0078】
さらに、コントローラ35は、演算部32により演算された被験者Hの生体情報を表示するディスプレイ等の表示部(図示せず)、コントローラ35に対する操作部(図示せず)等を備えている。
【0079】
次に、本第1実施形態のセンサ1A及び計測装置30の動作について以下に説明する。
【0080】
図1に示すように、センサ1Aは、ベッド40の寝床面41上における被験者Hの胸部の下側に被験者Hの左右方向に延びる態様にして配置されている。このセンサ1Aの3つの起歪板2、2、2のうち少なくとも1つの起歪板2には被験者Hの体重が加わることにより、その左右方向中間部2cが下方向に若干撓む。さらに、この起歪板2の左右方向中間部2cには被験者Hの生体活動(例:呼吸、心拍、寝返り活動)に伴い歪み(及びその時間的変動)が局部的に生じる。この歪みが検出部10により検出される。そして、当該歪みに対応する電気信号(電圧)が被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号として検出部10からケーブル19及びケーブル37を通ってコントローラ35へ送信される。
【0081】
コントローラ35に送信された信号は、A/D変換部31によってアナログ信号からデジタル信号へ変換されて演算部32へ送信される。そして、デジタル信号に基づいて演算部32によって被験者Hの生体情報が演算される。演算された生体情報は、記憶部33によって記憶されるとともに、通信部34によって外部装置50としての空調装置51や警報装置52へ送信される。
【0082】
空調装置51は、通信部34から送信された被験者Hの生体情報に基づいて被験者Hが居る部屋を空調する。
【0083】
警報装置52は、通信部34から送信された被験者Hの生体情報に基づいて被験者Hの生体情報に異常があった場合などに介護者や監視者等の警報対象者に対して警報を発する。
【0084】
本第1実施形態のセンサ1Aは次の利点を有している。
【0085】
このセンサ1Aでは、3つの起歪板2、2、2における互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士が折曲可能な連結部6を介して連結されているので、図12A及び12Bに示すように、センサ1Aを使用しないときなどには3つの起歪板2、2、2を各連結部6で折曲することにより三つ折りに折り畳むことができる。そのため、センサ1Aをコンパクトな状態にして収納することができる。
【0086】
さらに、このセンサ1Aでは、図3に示すように、3つの起歪板2、2、2が寝床面41上に配置されたときに各起歪板2の左右方向中間部2cが寝床面41に対して上側に離間する状態になるように、各起歪板2の左端部2a及び右端部2bがそれぞれ左台座部3及び右台座部4により支持される。そのため、被験者Hの生体活動に伴って起歪板2の左右方向中間部2cに歪みが局部的に発生する。したがって、起歪板2の上面の左右方向中間部2cに検出部10を設けることにより、被験者Hの生体活動に伴い発生する起歪板2の歪みを検出部10によって確実に検出することができ、すなわち被験者Hの生体情報を確実に計測することができる。
【0087】
さらに、この種のセンサ1Aは寝床面41上における被験者Hの下側に配置されて使用されるものであることから、もしセンサ1Aの厚さが厚い場合には、寝床面41とセンサ1Aの上面との間に大きな段差が生じ、その結果、被験者Hの寝心地が悪化するという不具合が生じる。これに対して、本第1実施形態のセンサ1Aでは、3つの起歪板2、2、2は被験者Hの左右方向に並んで配置されるものであるから、各起歪板2の左右方向の長さを従来のセンサに用いられた起歪板よりも短くすることができる。そのため、被験者Hの体重が起歪板2に加わることにより生じる起歪板2の左右方向中間部の下方向への撓み量を小さくすることができる。これにより、左右各台座部3、4の高さhを小さくすることができる(図4参照)。この点について以下に具体的に示す。すなわち、従来のセンサでは、起歪板の左右方向の長さが例えば800mmであり、このように長い起歪板では、その左右方向中間部が下方向に撓んだときに当該部分が寝床面41に当接しないようにするには、左右各台座部3、4の高さhは6mm以上必要であった。これに対して、本第1実施形態のセンサ1Aでは、起歪板2の左右方向の長さが例えば220mmであり、起歪板2の左右方向中間部2cが下方向に撓んだときに当該部分2cが寝床面41に当接しないようにするには、左右各台座部3、4の高さhは約1mmで良い。このように、本第1実施形態のセンサ1Aでは、左右各台座部3、4の高さhを小さくすることができ、すなわちセンサ1Aの厚さを薄くすることができる。その結果、センサ1Aが被験者Hの下側に配置されることによる被験者Hの寝心地の悪化を防止することができる。
【0088】
さらに、このセンサ1Aでは、ベースシート7の上面に全ての左台座部3及び右台座部4が固着されているので、センサ1Aの製造の際に起歪板2の左台座部3及び右台座部4への配置作業を容易に行うことができる。さらに、連結部6がベースシート7の一部から形成されているので、センサ1Aの製造の際に連結部6をわざわざ別途準備する必要がない。そのため、センサ1Aを容易に製造することができる。
【0089】
さらに、起歪板群2Gとベースシート7との全体がカバー体20により一括して覆われているので、被験者Hの汗や尿等によるセンサ1A(検出部10、起歪板2等)の損傷をカバー体20によって防止することができる。
【0090】
さらに、各左台座部3及び各右台座部4の上面には、起歪板2の対応する端部2a、2bの配置位置を決める位置決め用凹部5が設けられているので、センサ1Aの製造の際に起歪板2の左台座部3及び右台座部4への配置作業(位置決め作業)を更に容易に行うことができる。そのため、センサ1Aを更に容易に製造することができる。
【0091】
図13〜16は、本発明の第2実施形態に係る生体情報計測センサ1Bを説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態のセンサ1Aの構成要素と同一の構成要素に同じ符号が付されている。以下、本第2実施形態のセンサ1Bの構成について上記第1実施形態のセンサ1Aとの相違点を中心に説明する。
【0092】
本第2実施形態のセンサ1Bは、図13〜14Bに示すように、上記第1実施形態のセンサ1Aのベースシート7を備えていない。
【0093】
すなわち、このセンサ1Bでは、互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士を連結した連結部6は、左右方向の長さが短い折曲可能なシート材から形成されており、具体的にはフレキシブルなゴムシート材から形成されている。
【0094】
この連結部6の上面には、図15及び16に示すように、互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士のうち右側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3と左側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4とが接着剤等によって固着されている。さらに、この連結部6は、右側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4と左側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3とからそれぞれ分離されて形成されている。したがって、各起歪板2の左右方向中間部2cの下側には、ベースシート7が存在していない。さらに、各起歪板2の左端部2a及び右端部2bは、それぞれ左台座部3及び右台座部4に両面接着テープによって固定される。
【0095】
そして、このセンサ1Bでは、図13に示すように、3つの起歪板2、2、2からなる起歪板群2Gと全て(2つ)の連結部6と全ての左台座部3及び右台座部4との全体がカバー体20により一括して覆われている。
【0096】
このセンサ1Bは上記第1実施形態のセンサ1Aと同様に用いられる。
【0097】
本第2実施形態のセンサ1Bによれば、連結部6には、互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士のうち右側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3と左側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4とが固着されるとともに、連結部6が右側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4と左側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3とからそれぞれ分離されて形成されている。そのため、右側の起歪板2の左右方向中間部2cの下側と左側の起歪板2の左右方向中間部2cの下側とにはベースシート7は存在していない。これにより、上記第1実施形態のセンサ1Aのベースシート7の厚さ分、センサ1Bの厚さを更に薄くすることができる。その結果、このセンサ1Bが被験者Hの下側に配置されることによる被験者Hの寝心地の悪化を更に確実に防止することができる。
【0098】
さらに、起歪板群2Gと全ての連結部6と全ての左台座部3及び右台座部4との全体がカバー体20により一括して覆われているので、被験者Hの汗や尿等によるセンサ1B(検出部10、起歪板2等)の損傷をカバー体20によって防止することができる。
【0099】
図17〜19は、本発明の第3実施形態に係る生体情報計測センサ1Cを説明する図である。これらの図には、上記第1実施形態のセンサ1Aの構成要素と同一の構成要素に同じ符号が付されている。以下、本第3実施形態のセンサ1Cの構成について上記第1実施形態のセンサ1Aとの相違点を中心に説明する。
【0100】
本第3実施形態のセンサ1Cは、図17及び18に示すように、上記第1実施形態のセンサ1Aのベースシート7を備えていない。そして、このセンサ1Cでは、3つの起歪板2、2、2からなる起歪板群2Gと全ての左台座部3及び右台座部4との全体がカバー体20により一括して覆われている。
【0101】
カバー体20における起歪板群2Gの下側に位置する部分の上面、すなわちカバー体20の下カバー部22の上面には、全ての左台座部3及び右台座部4が互いに所定間隔をおいて接着剤等によって直接的に固着されている。
【0102】
互いに左右方向に隣り合う起歪板2、2同士のうち右側の起歪板2の左端部2aを支持する左台座部3と左側の起歪板2の右端部2bを支持する右台座部4との間には、僅かな隙間Sが生じている。この隙間Sに存在する下カバー部22の部分6が、右側及び左側の起歪板2、2同士を連結する折曲可能な連結部6を形成している。
【0103】
また、各起歪板2の左端部2a及び右端部2bは、それぞれ左台座部3及び右台座部4に両面接着テープ(図示せず)によって固定されている。
【0104】
なお図18及び19には、カバー体20の外周カバー部は図示省略されている。
【0105】
このセンサ1Cは上記第1実施形態のセンサ1Aと同様に用いられる。
【0106】
本第3実施形態のセンサ1Cによれば、起歪板群2Gと全ての左台座部3及び右台座部4との全体がカバー体20により一括して覆われているので、被験者Hの汗や尿等によるセンサ1C(検出部10、起歪板2等)の損傷をカバー体20によって防止することができる。
【0107】
さらに、カバー体20における起歪板群2Gの下側に位置する部分の上面、すなわちカバー体20の下カバー部22の上面に、全ての左台座部3及び右台座部4が固着されているので、上記第1実施形態のセンサ1Aのベースシート7の厚さ分、センサ1Cの厚さを更に薄くすることができる。その結果、このセンサ1Cが被験者Hの下側に配置されることによる被験者Hの寝心地の悪化を更に確実に防止することができる。
【0108】
さらに、センサ1Cの製造の際にベースシート7をわざわざ別途準備する必要がないので、センサ1Cの製造に必要な部品点数を削減することができ、もってセンサ1Cを容易にかつ安価に製造することができる。
【0109】
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に示したものであることに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更可能である。
【0110】
例えば、上記第1〜第3実施形態のセンサ1A〜1Cでは、各起歪板2に設けられる検出部10としての歪みゲージ11の個数は2つであるが、本発明のセンサでは、歪みゲージ11の個数は2つであることに限定されるものではなく、例えば4つであっても良いしあるいは1つであっても良い。歪みゲージの個数が4つである場合、起歪板2の上面と下面にそれぞれ2つの歪みゲージ11が固定状態に設けられるのが特に望ましく、この場合、ダミーゲージを用いないで4つの歪みゲージ11によりブリッジ回路17が形成される。また、歪みゲージ11の個数が1つである場合、1つの歪みゲージ11と3つのダミーゲージ16とによりブリッジ回路17が形成されることが特に望ましい。
【0111】
さらに、上記第1〜第3実施形態のセンサ1A〜1Cでは、検出部10として歪みゲージ11が用いられているが、本発明のセンサでは、検出部10として、その他に、図20に示すように、圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14が用いられていても良い。同図では、起歪板2の上面の左右方向中間部に圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14(詳述すると導電性ゴム素子)が接着剤等によって貼り付けられている。同図に示された起歪板2は例えば樹脂製である。圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14は、起歪板2の歪み(及びその変動)を検出してこれに対応する電圧を出力するとともに、更に、圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14にその上側から加わる被験者Hの荷重(及びその変動)を検出してこれに対応する電圧を出力する。そして、圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14から出力される電圧が、被験者Hの生体情報の計測に用いられる信号である。したがって、検出部10として圧電素子12、感圧素子13又は導電性ゴム14を用いることにより、被験者Hの生体情報を確実に計測することができる。
【0112】
さらに本発明では、検出部10は、歪みゲージ11、圧電素子12、感圧素子13及び導電性ゴム14からなる群から選択される1種であっても良いし、2種以上であっても良い。
【0113】
また、上記第1〜第3実施形態のセンサ1A〜1Cでは、検出部10は、起歪板2の上面に設けられているが、本発明のセンサでは、検出部10は、その他に例えば、起歪板2の下面に設けられていても良いし、起歪板2の上面及び下面にそれぞれ設けられていても良い。
【0114】
また、上記第1〜第3実施形態のセンサ1A〜1Cでは、複数の起歪板2は、ベッド40の寝床面41上に配置されて使用されるが、本発明のセンサでは、複数の起歪板2は、ベッド40以外の寝床面41上に配置されて使用されても良い。
【0115】
また、本発明のセンサは、上記第1〜第3実施形態のセンサ1A〜1Cで適用した技術的思想のうち二つ以上を組み合わせて構成されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、被験者の生体情報(例:呼吸、心拍、寝返り活動情報)を計測するのに用いられる生体情報計測センサ、生体情報計測装置及び生体情報計測方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1A、1B、1C:生体情報計測センサ
2:起歪板
2a:起歪板の左端部
2b:起歪板の右端部
2G:起歪板群
3:左台座部
4:右台座部
5:位置決め用凹部
6:連結部
7:ベースシート
10:検出部
11:歪みゲージ
12:圧電素子
13:感圧素子
14:導電性ゴム
19:信号伝送用ケーブル
20:カバー体
21:上カバー部
22:下カバー部
30:生体情報計測装置
41:寝床面
50:外部装置
51:空調装置
52:警報装置
H:被験者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝床面上における被験者の下側に被験者の左右方向に並んで配置される複数の起歪板を備え、
各起歪板には、起歪板の歪みを検出し被験者の生体情報の計測に用いられる信号を出力する検出部が設けられ、
互いに左右方向に隣り合う起歪板同士が折曲可能な連結部を介して連結されていることを特徴とする生体情報計測センサ。
【請求項2】
各起歪板の左右方向中間部に検出部が設けられており、
各起歪板の左端部及び右端部をそれぞれ支持する左台座部及び右台座部を備えており、
複数の起歪板が寝床面上に配置されたときに各起歪板の左右方向中間部が寝床面に対して上側に離間する状態になるように、各起歪板の左端部及び右端部がそれぞれ左台座部及び右台座部により支持されている請求項1記載の生体情報計測センサ。
【請求項3】
複数の起歪板からなる起歪板群の下側には、起歪板群の少なくとも左端部の位置から右端部の位置まで連続する帯状のフレキシブルなベースシートが配置されており、
ベースシートの上面に、全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられており、
連結部は、ベースシートの一部から形成されている請求項2記載の生体情報計測センサ。
【請求項4】
起歪板群とベースシートとの全体がカバー体により一括して覆われている請求項3記載の生体情報計測センサ。
【請求項5】
連結部には、互いに左右方向に隣り合う起歪板同士のうち右側の起歪板の左端部を支持する左台座部と左側の起歪板の右端部を支持する右台座部とが固定状態に設けられるとともに、
連結部が、前記右側の起歪板の右端部を支持する右台座部と前記左側の起歪板の左端部を支持する左台座部とからそれぞれ分離されて形成されている請求項2記載の生体情報計測センサ。
【請求項6】
複数の起歪板からなる起歪板群と全ての連結部と全ての左台座部及び右台座部との全体がフレキシブルなカバー体により一括して覆われている請求項5記載の生体情報計測センサ。
【請求項7】
複数の起歪板からなる起歪板群と全ての左台座部及び右台座部との全体がフレキシブルなカバー体により一括して覆われるとともに、
カバー体は、起歪板群の下側に配置された下カバー部を有しており、
下カバー部の上面に、全ての左台座部及び右台座部が固定状態に設けられており、
連結部は、下カバー部の一部から形成されている請求項2記載の生体情報計測センサ。
【請求項8】
各左台座部及び各右台座部の上面には、起歪板の対応する端部の配置位置を決める位置決め用凹部が設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の生体情報計測センサ。
【請求項9】
検出部は、歪みゲージ、圧電素子、感圧素子及び導電性ゴムからなる群から選択される1種又は2種以上を有している請求項1〜8のいずれかに記載の生体情報計測センサ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の生体情報計測センサと、
センサの各検出部からの出力信号に基づいて被験者の生体情報を演算する演算部と、
演算部により演算された生体情報を送信する通信部と、を具備していることを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項11】
通信部は、生体情報を被験者が居る部屋を空調する空調装置に送信するものである請求項10記載の生体情報計測装置。
【請求項12】
通信部は、生体情報を警報装置に送信するものである請求項10又は11記載の生体情報計測装置。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の生体情報計測センサを用いて被験者の生体情報を計測することを特徴とする生体情報計測方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−205803(P2012−205803A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74218(P2011−74218)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】