説明

生体情報量検出装置

【課題】外来ノイズ等の影響を除去した生体情報量を少ない誤差で精度よく検出する。
【解決手段】干渉信号成分E’を含むアナログ信号からなる生体情報量Fを検出する第1のセンサ8と、アナログ信号からなる干渉信号成分E’を検出する第2のセンサ10と、生体情報量Fを第1のパルス幅に変換する第1の変換回路16と、干渉信号成分E’を第2のパルス幅に変換する第2の変換回路16と、第1のパルス幅を基準クロックS3でカウントして第1のカウンタ値N2を生成する第1のカウンタ14fと、第2のパルス幅を基準クロックS3でカウントして第2のカウンタ値N3を生成する第2のカウンタ14eと、第1のカウンタ14fおよび第2のカウンタ14eにより生成されたこれらのカウンタ値N2,N3との差分により生体情報量S4を求める演算部14gとを備える生体情報量検出装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報量検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、心電図測定装置、血中酸素飽和度測定装置、グルコースモニタ等の生体情報量検出装置が知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
これらの生体情報量検出装置においては、複数のセンサにより検出された信号の差分を演算することにより外来ノイズ等を除去して、微細な生体情報量を検出することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−39533号公報
【特許文献2】特開2010−181333号公報
【特許文献3】特許第2641575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のセンサの出力の差分を演算する場合に、各センサからのアナログ信号の状態の出力間で差分を演算する場合には、アナログ信号の差分回路のゲイン調整が必要となり、その調整誤差が測定誤差となるという不都合がある。また、各センサの出力をA/D変換した後に差分を演算する場合には、A/D変換による変換誤差が測定精度に大きく影響してしまうという不都合がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、外来ノイズ等の影響を除去した生体情報量を少ない誤差で精度よく検出することができる生体情報量検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、干渉信号成分を含むアナログ信号からなる生体情報量を検出する第1のセンサと、アナログ信号からなる前記干渉信号成分を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサにより検出された前記生体情報量を第1のパルス幅に変換する第1の変換回路と、前記第2のセンサにより検出された前記干渉信号成分を第2のパルス幅に変換する第2の変換回路と、前記第1の変換回路により変換された第1のパルス幅を基準クロックでカウントして第1のカウンタ値を生成する第1のカウンタと、前記第2の変換回路により変換された第2のパルス幅を基準クロックでカウントして第2のカウンタ値を生成する第2のカウンタと、前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタにより生成された前記第1のカウンタ値と前記第2のカウンタ値との差分により前記生体情報量を求める演算部とを備える生体情報量検出装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、第1のセンサにより検出された干渉信号成分を含む生体情報量から第2のセンサにより検出された干渉信号成分を除去する際に、第1、第2の変換回路によってそれぞれ第1,第2のパルス幅に変換し、第1,第2のカウンタによって各パルス幅を基準クロックでカウントした第1,第2のカウンタ値とした状態で、演算部がその差分から生体情報量を求めるので、周期の短いノイズが平均されて除去される。これにより、2つのセンサにより検出されたアナログ信号どうしで差分演算する場合のようなゲイン調整が不要であるとともに、検出されたアナログ信号をその都度ディジタル信号に変換して演算する場合のような変換誤差の影響を抑えて、生体情報量を精度よく検出することができる。
【0008】
上記発明においては、前記演算部が、前記差分を以下の式により算出してもよい。
差分=第1のカウンタ値−a×第2のカウンタ値
ここで、aは係数である。
また、上記発明においては、前記演算部が、前記差分を以下の式により算出してもよい。
差分=第1のカウンタ値−第2のカウンタ値−b
ここで、bは定数である。
このようにすることで、第2のセンサにより検出される干渉信号成分が不正確な場合に、これを適宜補正して生体情報量の精度を向上することができる。
【0009】
また、本発明は、干渉信号成分を含むアナログ信号からなる生体情報量を検出する第1のセンサと、アナログ信号からなる前記干渉信号成分を検出する第2のセンサと、前記第1のセンサにより検出された前記生体情報量を第1のパルス幅に変換する第1の変換回路と、前記第2のセンサにより検出された前記干渉信号成分を第2のパルス幅に変換する第2の変換回路と、前記第1の変換回路により変換された第1のパルス幅と前記第2の変換回路により変換された第2のパルス幅との差分に相当するパルス幅を基準クロックでカウントしてカウンタ値を生成するカウンタと、該カウンタにより生成されたカウンタ値により前記生体情報量を求める演算部とを備える生体情報量検出装置を提供する。
【0010】
本発明においては、第1のセンサにより検出された干渉信号成分を含む生体情報量から第2のセンサにより検出された干渉信号成分を除去する際に、第1、第2の変換回路によってそれぞれ第1,第2のパルス幅に変換された干渉信号成分を含む生体情報量と干渉信号成分とが、カウンタによって2つのパルス幅の差分に相当するパルス幅を基準クロックでカウントしたカウンタ値として生成される。これにより、2つのパルス幅の差分に相当するパルス幅を求めるためのカウンタが1つで足り、簡易な装置によって生体情報量尾を精度よく検出することができる。
【0011】
上記発明においては、前記第1の変換回路と前記第2の変換回路とが同時に変換を開始し、前記カウンタが、前記第1の変換回路による前記第1のパルス幅の変換終了時から前記第2の変換回路による第2のパルス幅の変換終了時までのパルス幅をカウントしてもよい。
このようにすることで、単一のカウンタにより簡易に2つのパルス幅の差分を求めることができる。
【0012】
また、上記発明においては、前記第1変換回路および前記第2の変換回路が二重積分方式であってもよい。
このようにすることで、アナログ信号のパルス幅への変換を簡易に行うことができ、周期の短いノイズを平均して除去し、生体情報量を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外来ノイズ等の影響を除去した生体情報量を少ない誤差で精度よく検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体情報量検出装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の生体情報量検出装置の信号処理部を示すブロック図である。
【図3】図2の信号処理部による各部の信号の関係を示すタイミングチャートである。
【図4】図2の信号処理部の変形例を示すブロック図である。
【図5】図4の信号処理部による各部の信号の関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る生体情報量検出装置1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体情報量検出装置1は、図1に示されるように、信号検出部2と信号処理部3とを備えている。
【0016】
信号検出部2は、励起光Eを発生する光源4と、該光源4からの励起光Eを透過し蛍光Fを反射するダイクロイックミラー5と、励起光Eおよび蛍光Fを導光する光学ロッド6と、該光学ロッド6の先端に配置された蛍光部材7と、蛍光部材7から発せられた蛍光Fを検出する蛍光用検出器8と、光源4から発せられた励起光Eの内、紫外光を遮断する紫外遮断フィルタ9と、該紫外遮断フィルタ9により紫外光を除去された励起光E’を検出するオフセット検出器10とを備えている。
【0017】
光学ロッド6の先端に配置された蛍光部材7は、光学ロッド6の先端が生体内に挿入されたときに、生体内に存在する生体成分と反応して励起光Eにより蛍光Fを発するように特性を変化させる性質を有している。蛍光用検出器8およびオフセット検出器10は、それぞれ入射する光の強度に応じた大きさの電流信号を出力するフォトダイオードである。
図中、符号11はミラーである。
【0018】
信号処理部3は、図2に示されるように、蛍光用検出器8およびオフセット検出器10に対して別個に設けられた同一の構成の2つの処理回路(第1,第2の変換回路)12,13と、各処理回路12,13を制御するとともに、各処理回路12,13により処理された信号に基づいて生体情報量を算出する制御回路14とを備えている。
【0019】
各処理回路12,13は、蛍光用検出部8およびオフセット検出部10から出力された電流信号を電圧信号V1,V2に変換するIV変換回路15と、該IV変換回路15から出力された電圧信号V1,V2を積分する積分回路16と、該積分回路16から出力される電圧信号V3,V4と第1の基準電位Vref1とを比較して、電圧信号V3,V4が第1の基準電位Vref1を下回った時点でロー状態となる信号S5A,S5Bを出力する比較回路17とを備えている。第1の基準電位Vref1は、基準電位生成IC18により生成される、例えば、1.25Vの電位である。
【0020】
IV変換回路15は、オペアンプ15aと、該オペアンプ15aの負入力端子と出力端子とを接続する変換抵抗15bとを備えている。
積分回路16は、オペアンプ16aと、該オペアンプ16aの負入力端子と出力端子とを接続するキャパシタ16bと、キャパシタ16bの両端を短絡あるいは遮断するスイッチ16cと、入力抵抗16dと、該入力抵抗16dへのIV変換回路15からの入力の断続を切り替えるスイッチ16eと、入力抵抗16dへの第2の基準電位Vref2の入力の断続を切り替えるスイッチ16fとを備えている。第2の基準電位Vref1は、基準電位生成IC19により生成される、例えば、3.0Vの電位である。
【0021】
比較回路17は、コンパレータ17aと、該コンパレータ17aの出力とは逆の信号を出力するNOTゲート17bとを備えている。
IV変換回路15、積分回路16およびコンパレータ17の正入力端子には、第1の基準電位Vref1が入力されている。
符号20はANDゲートである。
【0022】
制御回路14は、各処理回路12,13の積分回路16に設けられたキャパシタ16bへの充電を行うためのチャージ信号S1を出力するチャージ端子14aと、キャパシタ16bに充電された電荷の放電を行うためのディスチャージ信号S2を出力するディスチャージ端子14bと、基準クロックS3を発生するクロック発生器14cと、チャージ信号S1を基準クロックS3によってカウントするカウンタ14dと、ディスチャージ信号S2と、各処理回路12,13のNOTゲート17bの出力S5との論理積をそれぞれ出力するANDゲート20からの出力S6を基準クロックS3によってカウントするカウンタ(第1、第2のカウンタ)14e,14fと、これらのカウンタ14e,14fにより生成されたカウント値に基づいて、生体情報量S4を算出する演算器14gとを備えている。
【0023】
チャージ端子14aから出力されるチャージ信号S1は、光源4からの励起光Eの照射タイミングに同期していて、図3に示されるように、光源4からの励起光Eが照射されるとチャージ信号S1がハイ状態に切り替えられ、励起光Eの照射が停止されると、チャージ信号S1がロー状態に切り替えられるようになっている。
【0024】
また、制御回路14は、リセット端子14hを備え、チャージ信号S1の出力開始時にロー状態となり、ディスチャージの終了後にハイ状態となるリセット信号S7を出力するようになっている。リセット端子14hからのリセット信号S7がロー状態になると、各積分回路16のキャパシタ16bの両端に接続されているスイッチ16cが開放され、各積分回路16による積分動作が可能となる。一方、リセット信号S7がハイ状態となると、各積分回路16のキャパシタ16bの両端を接続するスイッチ16cが閉じられて、各キャパシタ16bの両端が短絡され、各積分回路16の電圧が第1の基準電位Vref1にリセットされるようになっている。
【0025】
チャージ端子14aからチャージ信号S1がハイ状態に切り替えられると、同時にリセット端子14hからリセット信号S7がロー状態に切り替えられて、各積分回路16のキャパシタ16bを短絡していたスイッチ16cが開放されるようになっている。一方、チャージ信号S1がハイ状態に切り替えられると、各IV変換回路15と積分回路16との間のスイッチ16eが閉じられ、各IV変換回路15から出力された電圧信号V1,V2の各積分回路16による積分が開始されるとともに、カウンタ14dによるカウントが開始されるようになっている。
【0026】
また、ディスチャージ端子14bからのディスチャージ信号S2がハイ状態になると、同時にチャージ信号S1がロー状態に切り替えられ、上記スイッチ16eが開放されるとともに、第2の基準電位Vref2と積分回路16との間のスイッチ16fが閉じられて、第1の基準電位Vref1より大きな第2の基準電位Vref2が負入力端子に入力されて、キャパシタ16bが放電されていくようになっている。
【0027】
制御回路14の演算器14gは、下式(1)によって、生体情報量S4を算出するようになっている。
S4=((N2−N3)/N1)×(Vref2−Vref1) (1)
ここで、S4は生体情報量、N1,N2,N3はカウンタ14d〜14fによるカウンタ値である。
【0028】
このように構成された本実施形態に係る生体情報量検出装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る生体情報量検出装置1を用いて生体情報量S4を検出するには、光学ロッド6の先端を生体内に挿入する。生体内に検出すべき生体成分が存在する場合には、光学ロッド6の先端に配置された蛍光部材7の特性が変化し、励起光Eの照射によって蛍光Fを発するようになる。
【0029】
この状態で、光源4を作動させて励起光Eを射出させると、励起光Eは、ダイクロイックミラー5を透過して光学ロッド6内を伝播し、先端に配置された蛍光部材7に照射される。蛍光部材7が特定の生体成分によって変性している場合には、励起光Eの照射によって蛍光Fが発生し、発生した蛍光Fは、光学ロッド6を戻ってダイクロイックミラー5により反射され、蛍光用検出器8により検出される。
【0030】
一方、光源4から発せられた励起光Eの内、ダイクロイックミラー6を透過した一部の励起光Eは、紫外遮断フィルタ9によって紫外成分を除去された後にミラー11によって反射され、オフセット検出器10により検出される。
【0031】
光源4の作動に同期して、制御回路14のチャージ端子14aからのチャージ信号S1がハイ状態に切り替えられるとともに、リセット端子14hら出力されていたリセット信号S7がロー状態に切り替えられる。チャージ信号S1がハイ状態に切り替えられると、スイッチ16eが閉じられて、各検出器8,10において検出された光の強度に応じた電圧信号V1,V2が各積分回路16に入力されて各キャパシタ16bの充電が開始される。
【0032】
各キャパシタ16bの充電が開始されると、各コンパレータ17aの負入力端子の電位V3が正入力端子の電位Vref1より高くなるので、各コンパレータ17aの出力はロー状態となり、各NOTゲート17bの出力はハイ状態となる。しかしながら、ディスチャージ信号S2がロー状態であるために、各ANDゲート20の出力S6A,S6Bはロー状態に維持され、カウンタ14e,14fによるカウントは開始されない。
【0033】
カウンタ14dによるカウンタ値がN1となるまで光源4を作動させることとしておくことにより、カウンタ14dによりカウントされるカウンタ値がN1となった時点で、チャージ信号S1がロー状態に切り替えられると同時にディスチャージ信号S2がハイ状態に切り替えられる。チャージ信号S1がロー状態となるとスイッチ16eが開放されてIV変換回路15から積分回路16への入力V1が遮断される。そして、ディスチャージ信号S2がハイ状態となると、第2の基準電位Vref2が積分回路16に入力され、キャパシタ16bの放電が開始される。
【0034】
また、キャパシタ16bが充電されている状態では、NOTゲート17bの出力はハイ状態に維持されているので、ディスチャージ信号S2がハイ状態となって放電が開始されると、ANDゲート20の出力S6A,S6Bがハイ状態となって、カウンタ14e,14fによるカウントが開始される。
放電の開始時において、キャパシタ16bの電圧値は、各検出器8,10により検出された光の強度に比例しているので、放電に要する時間も光の強度に比例することとなる。
【0035】
そして、放電が進んで、積分回路16から出力される電圧V3,V4が第1の基準電位Vref1を下回った処理回路12から、コンパレータ17aの出力がハイ状態に、NOTゲート17bの出力がロー状態に切り替わり、ANDゲート20の出力がロー状態となって、カウンタ14eによるカウントが停止される。干渉信号成分を検出しているオフセット用検出器10により検出される干渉信号成分の強度の方が蛍光用検出器8により検出される蛍光の強度より低いので、カウンタ14eによるカウントがカウント値N3において最初に停止され、次いで、カウンタ14fによるカウントがカウント値N2において停止される。
この後に、制御回路14に備えられた演算部14gの作動により、式(1)に基づいて生体情報量S4が演算される。
【0036】
このように、本実施形態に係る生体情報量検出装置1によれば、蛍光用検出器8およびオフセット用検出器10により検出されるアナログ信号を、積分回路16によって、一旦パルス幅に変換し、そのパルス幅をそれぞれカウンタ14e,14fによってカウントすることにより得られたカウンタ値の差分N2−N3に基づいて生体情報量S4を算出するので、アナログ信号から差分回路を用いる従来の場合と比較して、差分回路のゲイン調整が不要であり、調整誤差に基づく測定誤差の発生を防止することができるという利点がある。
【0037】
また、アナログ信号を一旦ディジタル信号に変換して減算処理する場合と比較しても、ノイズを平滑化できてSN比を向上することができる。さらに、積分回路16において電圧値V2,V3を同じ抵抗16dを介してキャパシタ16bに充放電することにより、積分回路16の抵抗16dやキャパシタ16bの容量の公差や経時、温度変化に影響を受けることなく、高い精度で生体情報量S4を検出することができるという利点がある。
【0038】
なお、本実施形態においては、蛍光用検出器8の出力およびオフセット用検出器10の出力の放電時のパルス幅を別個のカウンタ14e,14fによってカウントすることとしたが、これに代えて、図4および図5に示されるように、各処理回路12,13のANDゲート20の出力S6A,S6BをXORゲート21に入力し、該XORゲート21の出力をカウントする単一のカウンタ22を設けることにしてもよい。
【0039】
このようにすることで、処理回路13の積分回路16の放電終了時点から、処理回路12の積分回路16の放電終了時までのパルス幅を簡易にカウントすることができる。その結果、式(1)における(N2−N3)を単一のカウンタ22によってカウントすることができるという利点がある。
【0040】
なお、XORゲート21の出力によって単一のカウンタ22によるカウントを制御することとしたが、これに代えて、制御回路14が、一方のANDゲート20の出力S6Bがロー状態になったことを条件として他方のANDゲート20の出力S6Aの基準クロックS3によるカウントを開始することにしてもよい。これによっても、式(1)における(N2−N3)を単一のカウンタ22によってカウントすることができるという利点がある。
【0041】
また、本実施形態においては、干渉信号成分を含む生体情報量のパルス幅のカウンタ値N2から干渉信号成分のパルス幅のカウンタ値N3を単純に減算することとしたが、これに代えて、以下の式(2)または式(3)によって生体情報量S4を算出することとしてもよい。
S4=((N2−a×N3)/N1)×(Vref2−Vref1) (2)
S4=((N2−N3−b)/N1)×(Vref2−Vref1) (3)
【0042】
このようにすることで、オフセット用検出器10の配置上、干渉信号成分を正確に検出できない場合においても、干渉信号成分を補正して、精度よく生体情報量S4を検出することができる。
【0043】
また、本実施形態においては、蛍光部材7を備えた生体情報量検出装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、心電図測定装置、血中酸素飽和度測定装置、グルコースモニタ等の生体情報量検出装置に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
E’ 励起光(干渉信号成分)
F 蛍光(干渉信号成分を含む生体情報量)
N2 第1のカウンタ値
N3 第2のカウンタ値
N2−N3 カウンタ値
S3 基準クロック
S4 生体情報量
1 生体情報量検出装置
8 蛍光用検出器(第1のセンサ)
10 オフセット用検出器(第2のセンサ)
14e 第2のカウンタ
14f 第1のカウンタ
14g 演算部
16 第1の変換回路、第2の変換回路
22 カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
干渉信号成分を含むアナログ信号からなる生体情報量を検出する第1のセンサと、
アナログ信号からなる前記干渉信号成分を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサにより検出された前記生体情報量を第1のパルス幅に変換する第1の変換回路と、
前記第2のセンサにより検出された前記干渉信号成分を第2のパルス幅に変換する第2の変換回路と、
前記第1の変換回路により変換された第1のパルス幅を基準クロックでカウントして第1のカウンタ値を生成する第1のカウンタと、
前記第2の変換回路により変換された第2のパルス幅を基準クロックでカウントして第2のカウンタ値を生成する第2のカウンタと、
前記第1のカウンタおよび前記第2のカウンタにより生成された前記第1のカウンタ値と前記第2のカウンタ値との差分により前記生体情報量を求める演算部とを備える生体情報量検出装置。
【請求項2】
前記演算部が、前記差分を以下の式により算出する請求項1に記載の生体情報量検出装置。
差分=第1のカウンタ値−a×第2のカウンタ値
ここで、aは係数である。
【請求項3】
前記演算部が、前記差分を以下の式により算出する請求項1に記載の生体情報量検出装置。
差分=第1のカウンタ値−第2のカウンタ値−b
ここで、bは定数である。
【請求項4】
干渉信号成分を含むアナログ信号からなる生体情報量を検出する第1のセンサと、
アナログ信号からなる前記干渉信号成分を検出する第2のセンサと、
前記第1のセンサにより検出された前記生体情報量を第1のパルス幅に変換する第1の変換回路と、
前記第2のセンサにより検出された前記干渉信号成分を第2のパルス幅に変換する第2の変換回路と、
前記第1の変換回路により変換された第1のパルス幅と前記第2の変換回路により変換された第2のパルス幅との差分に相当するパルス幅を基準クロックでカウントしてカウンタ値を生成するカウンタと、
該カウンタにより生成されたカウンタ値により前記生体情報量を求める演算部とを備える生体情報量検出装置。
【請求項5】
前記第1の変換回路と前記第2の変換回路とが同時に変換を開始し、
前記カウンタが、前記第1の変換回路による前記第1のパルス幅の変換終了時から前記第2の変換回路による第2のパルス幅の変換終了時までのパルス幅をカウントする請求項4に記載の生体情報量検出装置。
【請求項6】
前記第1変換回路および前記第2の変換回路が二重積分方式である請求項1から請求項5のいずれかに記載の生体情報量検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−217715(P2012−217715A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88301(P2011−88301)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】