説明

生体成分測定ユニット、生体成分測定ユニット包装体、医療支援器具キット及び医療支援器具キット包装体

【課題】作業性を向上させることができ、衛生的な操作で体液成分を測定することのできる生体成分測定ユニット、生体成分測定ユニット包装体、医療支援器具キット及び医療支援器具キット包装体を提供すること。
【解決手段】流路と共同して流路中に存在する流体を一方向に流通させる流体移送手段を有する医療支援装置本体に着脱自在に装架可能な基板と、前記基板に装着された流路とを備え、前記流路が、(1)体液採取手段から採取された流体を導出する体液導出流路と着脱自在であり、(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、(3)移送される流体に含まれる生体成分を測定する生体成分センサを備え、(4)前記生体成分センサにより生体成分の測定が完了した流体を廃液として排出可能とする生体成分測定流路を含むことを特徴とする生体成分測定ユニット、生体成分測定ユニット包装体、医療支援器具キット及び医療支援器具キット包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生体成分測定ユニット、生体成分測定ユニット包装体、医療支援器具キット及び医療支援器具キット包装体に関し、詳しくは、ワンタッチで医療支援装置本体に装着することができて作業性が向上し、しかも衛生的な操作をもって生体成分例えば血糖値を測定することのできる生体成分測定ユニット、滅菌状態のまま長期間に亘って保存することができ、使用時に滅菌状態で生体成分測定ユニットを取り出すことのできる生体成分測定ユニット包装体、ワンタッチで医療支援装置本体に装着することができて作業性が向上し、しかも衛生的な操作をもって生体成分例えば血糖値を測定することができ、しかも医療支援装置本体外の接液品を配列してなり、医療支援装置の稼働準備を簡単に行うことのできる医療支援器具キット。及び滅菌状態のまま長期間に亘って保存することができ、使用時に滅菌状態で医療支援器具キットを取り出すことのできる医療支援器具キット包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICUで使用される例えば人工膵臓装置は、この装置により血糖値を測定開始するにあたり、生体から体液を採取する器具に設けられたパイプとこの装置に備えられた所定のパイプとを接続することを始めとして、各種の配管接続をする必要があった。この装置の内外にある各種容器と、またこの装置の内外にある各種機器とを接続するための配管は、多数にわたるため、配管接続に長時間を要していた。また、これら器具には体液が付着しているので、体液付着を通じての操作者及び/又は患者への院内感染の恐れがある。
【0003】
したがって、例えばこのような人工膵臓装置に使用される血糖値測定のための器具には、配管接続等を正確に、かつ容易に行うことのでき、しかも操作に際する院内感染のない衛生的な作業性の向上が要望されていた。
【0004】
例えば、医療現場で医療作業前に予め血液を測定するための配管等を済ませておく例としては、「支持部材(20;220)と;前記支持部材(20;220)に装着された血液処理装置(40;240)と;前記支持部材(20;220)に相互連結された複数の流体回路(50,60,70,80,90,100;250,260,270,280,290)とを備え、これらの流体回路(50,60,70,80,90,100;250,260,270,280,290)の少なくとも1が前記支持部材(20;220)に対しU字形状に配設され、このU字形状部(54,84,94,104;254,264,274,284)の各々が蠕動ポンプと協動するように前記支持部材(20;220)から延在し、前記流体回路(50,60,70,80,90,100;250,260,270,280,290)の少なくとも1が前記血液処理装置(40;240)に流体連結されている組込み型血液処理用流体モジュール(10;210)」が提案されている(特許文献1 参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−292722号公報(請求項1)
【0006】
しかしながら、特許文献1には、血液内のグルコース成分を測定することが記載されていない。また、特許文献1には、血液中のなんらかの成分を測定するセンサ等(血液処理装置)の記載があるが、この血液処理装置はあくまで、「本明細書で使用する用語「血液処理装置」(blood treatment device)は、血流中からの成分除去及び(又は)血流中への成分導入のためのあらゆる装置をも意味し、血漿しゃ血(plasmapheresis)、酸素添加(oxygenation) 、血液透析(hemodialysis)、血液濾過(hemofiltration)及び血液透析濾過(hemodiafiltration)の各処理装置を含む。」と記載されている(特許文献1 段落番号[0006])通り、人工透析に使用される装置である。
【0007】
また、特許文献1には、再度、例えば、血液中の成分を測定するために、センサ類を校正することについて記載はなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消し、作業性を向上させることができ、衛生的な操作にて生体成分たとえば血糖値を測定することのできる生体成分測定ユニットたとえば血糖値測定ユニット、生体成分測定ユニット包装体たとえ血糖値測定ユニット包装体、医療支援装置を稼動可能にする操作を手際よく、しかも衛生的に行うことができる医療支援器具キット及び医療支援器具キット包装体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、
請求項1は、流路と共同して流路中に存在する流体を一方向に流通させる流体移送手段を有する医療支援装置本体に着脱自在に装架可能な基板と、前記基板に装着された流路とを備え、
前記流路が、
(1)体液採取手段から採取された流体を導出する体液導出流路と着脱自在であり、
(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、
(3)移送される流体に含まれる生体成分を測定する生体成分センサを備え、
(4)前記生体成分センサにより生体成分の測定が完了した流体を廃液として排出可能とする生体成分測定流路を含むことを特徴とする生体成分測定ユニットであり、
請求項2は、前記流路が、
(1)希釈液収容槽に収容された希釈液を導出する希釈液導出流路と着脱自在であり、
(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、
(3)前記生体成分測定流路における前記生体成分センサの上流側の部位に前記希釈液を供給可能とする希釈液送液流路を、更に含んで成る前記請求項1に記載の生体成分測定ユニットであり、
請求項3は、前記生体成分測定流路は、体液と希釈液送液流路から供給される希釈液とを混合する混合手段を含んで成る前記請求項2に記載の生体成分測定ユニットであり、
請求項4は、前記流路が、
(1)校正液収容槽に収容された校正液を導出する校正液導出流路と着脱自在であり、
(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、
(3)前記生体成分測定流路における前記生体成分センサの上流側の部位に前記校正液を供給可能とする校正液送液流路を、更に含んで成る前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体成分測定ユニットであり、
請求項5は、前記生体成分測定流路は、前記希釈液送液流路との合流点の上流側に、前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると前記医療支援装置本体に備えられた流路開閉手段により流路開閉がなされる生体成分測定流路開閉部位を備え、かつ前記希釈液送液流路は、前記生体成分測定流路との合流点の上流側に、前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると前記医療支援装置本体に備えられた流路開閉手段により流路開閉がなされる希釈液送液流路開閉部位を備え、前記希釈液送液流路開閉部位が開状態のときには前記生体成分測定流路開閉部位が閉状態に、また、前記希釈液送液流路開閉部位が閉状態のときには前記生体成分測定流路開閉部位が開状態に形成されてなる前記請求項1又は2に記載の生体成分測定ユニットであり、
請求項6は、前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体成分測定ユニットを包装材で内外遮断状態かつ滅菌状態にして包装してなることを特徴とする生体成分測定ユニット包装体であり、
請求項7は、流路と共同して流路中に存在する流体を一方向に流通させる流体移送手段を有する医療支援装置本体に着脱自在に装架可能な基板に、
(1)体液採取手段から体液採取された体液を導出する体液導出流路と着脱自在であり、
(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、
(3)移送される流体に含まれる生体成分を測定する生体成分センサを備え、
(4)前記生体成分センサにより生体成分の測定が完了した流体を廃液として排出可能とする生体成分測定流路と、前記人工膵臓装置を使用するに必要な、しかして医療支援装置本体及び前記生体成分測定流路以外の接液品とを、配列してなることを特徴とする医療支援器具キットであり、
請求項8は、前記請求項7に記載の医療支援器具キットを包装材で内外遮断状態かつ滅菌状態にして包装してなることを特徴とする医療支援器具キット包装体である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、例えば、生体成分測定例えばグルコース測定の作業前に、予め、生体成分測定ユニットの基板に各流路が搭載されているので、医療支援装置例えば人工膵臓装置本体に前記基板を取り付けるだけで、各流路をそれぞれ個別に配管する必要がなく、医療支援装置例えば人工膵臓装置本体に生体成分測定ユニット例えば血糖値測定ユニットを取り付ける際の配管等の作業を簡略化でき、作業性を向上させることができる。また、配管等の作業が簡略化されるので、例えば、配管等の汚れが原因となる不衛生な操作をすることが少なくなる。したがって、この発明によれば、作業性を向上させることができ、衛生的な操作をもって生体成分例えば血糖値を測定することのできる生体成分測定ユニットを提供することができる。
【0011】
また、例えば、生体成分例えばグルコース測定の作業後に、予め、使用済みの生体成分測定ユニットの基板に装着する各流路から流路内の流体を排出してしまえば、医療支援装置本体例えば人工膵臓装置本体から前記基板を取り外すだけで、使用された生体成分測定ユニット例えば血糖値測定ユニットの配管を取り外す作業をする必要がなく、配管等に付着した体液等を作業者が触れることなく、生体成分測定ユニット例えば血糖値測定ユニットを廃棄することが可能となる。したがって、この観点からも、作業性を向上させることができ、衛生的な操作をもって血糖値を測定することのできる生体成分測定ユニット例えば血糖値測定ユニットを提供することができる。
【0012】
さらに、この発明によると、生体成分測定ユニット包装体内の生体成分測定ユニットが滅菌されているので生体成分測定ユニット包装体からそこに内包されている生体成分測定ユニットを取り出して医療支援装置本体にこれを装填することにより医療支援装置を稼動させることができ、また医療支援装置の稼動終了後には使用済みの生体成分測定ユニットを医療支援装置本体から取り外して、廃棄するので、操作性が良好で、衛生的で、操作者が患者の血液等の体液に接触する機会も少なくなり、安全な生体成分測定ユニット包装体が提供される。
【0013】
この発明によると、医療支援装置本体例えば人工膵臓装置本体に取り付けて医療支援装置とする場合に、医療支援装置を稼働させるに必要な、しかも体液及び医療支援に必要な液体に接する接液品が基板に配列されているので、この基板から必要な接液品を取り出し、その接液品を医療支援装置本体に取り付けるなどするだけで稼働可能な医療支援装置を効率的かつ作業製よく準備することができる医療支援器具セットを提供することができる。
【0014】
この発明によると、前記医療支援装置を稼働可能な状態に、衛生的で、操作性よく準備することのできる医療支援器具キット包装体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明に係る生体成分測定ユニットは、医療行為を実施するにあたり、測定を必要とする生体成分を測定することができ、しかも医療支援装置の稼働を効率的かつ衛生的に準備することができるように、形成される。
【0016】
ここで、医療行為の実施をするに当たりその定性ないし定量分析を必要とする生体成分としては、例えばグルコース、尿素、尿酸、乳糖、ショ糖、ラクテート(乳酸)、エタノール、グルタミン酸、アンモニア、クレアチニン、酸素等が挙げられる。なお、医療行為を実施するときには場合により生体液中のpH値、酸素濃度等を測定する必要がある。この発明においては、生体成分なる概念に生体液のpH値、酸素濃度等を含める。
【0017】
医療支援装置は、医療行為を行う場合に生体の状態を正確に把握するために必要な装置である。このような医療支援装置として、例えばインスリンを生体に供給する人工膵臓装置、透析を行う人工透析装置、生体の体液中に含まれる尿素の濃度を測定する尿素濃度計、生体の体液中に含まれる尿酸の濃度を測定する尿酸濃度計、生体の体液中に含まれる糖分例えば乳糖、蔗糖、ラクテート等を測定する糖分測定装置、生体中のグルタミン酸濃度を測定するグルタミン酸濃度計、体液中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計、体液中のクレアチニンの濃度を測定するクレアチニン濃度計等を挙げることができる。
【0018】
これら各種の医療支援装置は、医療行為を的確に行うために必要である。この発明は、このような医療支援装置の稼働準備を効率的かつ衛生的に行うことのできる生体成分測定ユニットに関する。この生体成分測定ユニットにて生体成分を測定する生体成分センサは、生体成分の種類に応じて各種のセンサを挙げることができる。
【0019】
前記生体センサ(以下において「バイオセンサ」と称することがある。)として、例えば、酵素を用いた酵素センサ、微生物を用いた微生物センサ、酵素と微生物を用いたハイブリッド型センサ等が挙げられる。
【0020】
このようなバイオセンサにおいて固定化される酵素又は微生物は、測定される被測定対象物つまり生体成分に応じて選択される。例えば、被測定対象物がグルコースであるときにはβ−D−グルコースオキシダーゼ、Pseudomonas fluorecens、被測定対象物が尿素であるときにはウレアーゼ、被測定対象物が尿酸であるときにはウリカーゼ、被測定対象物がラクテートであるときにはラクテートオキシダーゼ、被測定対象物が乳糖であるときにはラクターゼ又はβ−ガラクトシダーゼ、被測定対象物がエタノールであるときにはアルコールオキシダーゼ、Trichosporon brassicaes、被測定対象物がグルタミン酸であるときにはグルタメートデヒドロゲナーゼ、Escherichia coli、被測定対象物がアンモニアであるときには硝化細菌等が選択される。
【0021】
この発明に係る生体成分測定ユニットにおいては、測定可能な生体成分は一種であっても二種以上であってもよい。測定する生体成分が二種以上であるときには、生体から採取した体液を移送する生体成分測定流路の途中に二種以上のバイオセンサを配設するのがよい。また、複数の生体成分を測定するときには、前記生体成分測定流路を複数に分岐させ、各分岐流路に一つ又は二つ以上のバイオセンサを取り付けることもできる。
【0022】
この発明に係る生体成分測定ユニットは医療支援装置本体に取り付けることにより医療支援装置が稼働可能な状態が実現する。
【0023】
この生体成分測定ユニットにおける基板は、これを医療支援装置本体に取り付けると医療支援装置本体に取り付けられている流体移送手段と流路とが共同して体液を強制的又は積極的に一方向に、また定量的に移送することができる流路を少なくとも固定乃至設置している。なお、この流路を流通する流体は、この流路で流通させようとする流体の種類によって、生体から採取したままの体液例えば血液、尿、リンパ液、髄液等であり、生体から採取した体液と他の液例えば生理食塩水、希釈液等との混合液であり、バイオセンサを校正するための校正液であり、また、生体成分を測定し終わった後の廃液であり得る。これら各種の液体を一括してこの発明においては流体と総称することがあり、流体がどうような液であるかは文脈に応じて容易に理解される。
【0024】
また生体成分測定ユニットにおける基板に、前記流路に加えて、医療支援装置本隊に装備されていないが医療支援装置の稼働に必要な、しかも前記流体に接する接液品を、所定の位置に配列することができる。これら接液品と前記流路とを前記基板上に配列してなると、この発明に係る医療支援器具キットが形成される。
【0025】
ここで、前記接液品として、例えば留置針、カテーテル、生理食塩水槽、その生理食塩水から生理食塩水を導出する生理食塩水導出パイプ、生理食塩水導出パイプから導出される生理食塩水をカテーテルに導入するパイプ、採取した体液に、必要に応じて添加する各種の希釈液例えば緩衝液を貯留する希釈液収容槽、希釈液収容槽から希釈液を導出する希釈液導出パイプ、希釈液を前記流体移送手段に供給する希釈液移送流路、バイオセンサを校正する校正液を貯留する校正液収容槽、校正収容槽から校正液を導出する校正液導出パイプ、校正液を前記流体移送手段に供給する校正液移送流路、バイオセンサから排出される廃液を貯留する廃液収容槽、その他の流体と接することのある器具等を挙げることができる。要するに、この接液品は、医療支援装置本体にこの発明に係る生体成分測定ユニットを装架すると医療支援装置が稼働可能な状態となり得るところの、医療支援装置本体に含まれていない全ての接液品が含まれる。
【0026】
以下に、生体成分測定ユニットの一例であるグルコース測定ユニットを、また、生体成分測定ユニットに更に医療支援装置に必要な、しかも医療支援装置本体に装備されない接液品を装備してなる医療支援器具キットの一例である人工膵臓装置支援器具キットを説明することにより、この発明を更に詳述することにする。
【0027】
図1に示されるように、この発明の生体成分測定ユニットの一例である血糖値測定ユニットは、医療支援装置本体の一例である人工膵臓装置本体1に取り付けられる。人工膵臓装置本体1は、操作者がこの人工膵臓装置を操作するための正面部1Jを有し、この正面部1Jから水平方向に操作者側に向かって突出する装架台11を有する。
【0028】
この装架台11の人工膵臓装置本体1における位置は、操作者が装架台11の前に立ったときに、操作者がかがむことなく立ったままで手による操作をし易い位置であることが望ましい。そして操作者が立ったままで手による操作をする場合には、この装架台11は、操作者側から人工膵臓装置の正面部1Jに向かって斜め上方に向かって傾斜する装架面11Aを有するのが、好ましい。この装架面11Aの形状については特に限定があるわけではないが、この実施形態においては、矩形である。この装架面11Aの傾斜角θすなわち、前記正面部1Jから水平に延在する仮想的水平線と、この装架面11Aの下端水平線から傾斜する前記正面部1Jとのなす角度θは、60度以上80度以下に設定するのが好ましい。このような傾斜角θをもって装架面11Aが形成されていると、この装架面11Aに装架した基板に装着する各種の流路内に存在する気泡を流路内の上方へと容易に移行させることができ、気泡分離を容易に行うことができるとともに、操作者からの見易すく、操作もし安くなる。なお、背丈の相違する操作者のいずれにおいても操作に支障を生じないようにすることができるのであれば、例えば昇降装置によりこの装架台11を上下動可能に形成することができるのであれば、人工膵臓装置本体1の正面部1Jにおける操作者の目の高さ位置、又は手で操作するのに支障のない位置に前記血糖値測定ユニット2を垂直に装架することもできる。
【0029】
この装架台11には、後述する流体移送手段と、流路開閉手段例えば第1流路切替器及び第2流路切替器とが装着されている。
【0030】
この発明における流体移送手段は、この発明に係る血糖値測定ユニット2を前記装架台11に装着したときに、血糖値測定ユニット2における流路と共同して、前記流路内に存在する流体を一方向に移送することができる機械的構成を有する限り、各種の構造をこの発明の範囲内に含められる。更に言うと、この流体移送手段は、血糖値測定ユニット2における各種の流路例えばグルコース測定流路と共同して前記流路を開閉させる作用を有する各種の機械的構造を有する限り様々の機械的構造を採用することができる。一例を挙げると、この実施形態である血糖値測定ユニット2に対応する流体移送手段は、血糖値測定ユニット2における一つ又は二つ以上の流路内の流体例えば血液、希釈液例えば緩衝液、廃液等を所定の部位に向けて移送するように、流路に対して物理的作用をなすことができる構造に形成され、例えば図5に示されるように、流路、例えば血液移送流路4Bを形成する柔軟なパイプをしごくローラ1Aと、このローラ1Aを支持する軸1Kと、この軸1Kを結合支持する回転軸1Jとを備え、前記流路に対してしごき作用を有する回転しごき手段を挙げることができる。この回転しごき手段によると、回転軸1Jの回転によりこのローラ1Aも前記回転軸1Jを中心にして回転し、ローラ1Aの回転運動により流路をしごくことができるようになっている。なお、流体例えば柔軟パイプとこの柔軟パイプをしごくローラ1Aと軸1Kと回転軸1Jとの組み合わせを有する装置は、ローラポンプと称される。
【0031】
この発明においては、流体移送手段は図5に示されるところの、しごき作用を有する構造と同様の機構として、蠕動ポンプにおける、流体を移送する流路を除いた機構、しごきポンプにおける、流体を移送する流路を除いた機構等を挙げることができ、またこのようなしごき作用を有する機構の外に、図10に示される押圧作用を有する流体移送機構を挙げることができる。
【0032】
この押圧作用を有する流体移送機構は、図10に示されるように、血糖値測定ユニット2における基板3に設けられた開口部3Fに、この開口部3Fの上端開口部から出没可能な押圧子20と、この押圧子20の一端に回転可能に接触する偏芯回転カム21とを備える。この流体移送機構は、前記偏芯回転カム21が回転軸22により偏芯回転すると、前記押圧子20が前記開口部3Fを出没するように並進運動をする。一方、後述するように基板3に配設される流路例えば血液移送流路4Bは、その流路内に第1ポペットバルブ23及び第2ポペットバルブ24を備える。25で示すのは、流路を押さえる押さえ板である。この流体移送機構によると、前記押圧子20が流路を押圧することにより前記第1ポペットバルブ23と第2ポペットバルブ24とで挟まれる流路空間内の内容積を小さくすると、第1ポペットバルブ23は閉鎖状態となる一方、第2ポペットバルブ24が開放状態となり、前記流路空間内に存在する流体が第2ポペットバルブ24から流出する。前記流路空間内の内容積が最小になってから前記押圧子20が後退すると、前記流路空間の内容積が元に戻って最大容積となると、第1ポペットバルブ23が開放状態と成る一方第2ポペットバルブ24が閉鎖状態となり、これによってこの流路空間内に流体が第1ポペットバルブ23を通じて流入する。したがって押圧子20の並進運動、換言すると前進及び後進を繰り返すことにより、前記内部空間内への流体の流入及び排出がくりかえされて流路内を流体が積極的乃至強制的に移送されることにある。この図10に示される流体移送機構は、流路と共同して前記内部空間内への流体の流入及び排出が繰り返されるのであるから、前記流体移送機構と前記ポペットバルブのような弁を有する流路とはポンプ作用を有すると言える。したがって、この発明においては、人工膵臓装置本体における装架台に設けられる流体移送手段は、流路と共同してポンプ作用が奏される機構をもこの発明における流体移送手段に含められる。
【0033】
いずれにしてもこの発明の一実施形態であるこの人工膵臓装置本体1においては、この流体移送手段は、流体を移送する必要のある全ての流路に作用して全ての流路内の流体を積極的に移送することができるように、一本の回転軸に、この回転軸の軸線に平行な軸線を有する長尺の複数本のローラが、軸支されてなるマルチローラが採用されていて、この長尺のローラのしごき運動により、流体を移送する必要のある全ての流路内の流体が移送されることができるようになっている。なお、流路内を移送される流体の単位時間あたりの流量は、流路の単位断面積により決定されることができる。つまり、このマルチローラでしごかれることにより流体を移送するときの流量は、流路の内径を調整することにより、適宜に決定されることができる。
【0034】
図3に示されるように、一実施形態であるこの血糖値測定ユニット2は、基板3と、流路の一例であり、かつ生体成分測定流路の一例であるグルコース測定流路4と、流路の一例である校正液送液流路5と、流路の一例である希釈液送液流路6と、混合手段7と、を備えて成る。
【0035】
前記基板3は、前記各種の流路を装着することができる限りその材質に特に制限がなく、この実施形態においては、硬質の合成樹脂製であり、場合によっては軟質で柔軟な軟質合成樹脂樹脂製であってもよい。
【0036】
前記基板3は、装架面11Aの適宜の位置例えば装架面11Aの四隅近傍に立設形成された固定ピン12を挿通する固定用孔3Cが設けられている。したがって、この固定用孔3Cに固定ピン12を挿通することにより、簡単にワンタッチで装架台11にこの血糖値測定ユニット2を装架することができる。この点においても、この血糖値測定ユニット2は、その操作性が向上している。
【0037】
なお、これら固定ピン12は、図2にも示されるように、装架台11の表面の所定位置に立設された突起であるが、基板3の位置合わせ及び装架をすることができるように適宜に設計変更が行われてもよい。
【0038】
設計変更の一例として、図4に示されるように、この基板3を前記装架台11に装架したときに上辺と成る部位及び下辺と成る部位それぞれに固定軸3Dを装着し、この固定軸3Dを前記固定ピン12に係止することにより、基板3を装架台11に着脱自在に装架するようにすることもできる。この固定軸3Dは、矩形状のシートに形成された基板3における上辺及びこれに対向する下辺を湾曲して円筒状の挿入空間を形成し、その円筒状の挿入空間に前記固定軸3Dを挿入することにより、基板3に装着されることができる。
【0039】
図2に示されるように、前記基板3には、ローラ用開口部3A、及び2個の開口部3Bが開設される。このローラ用開口部3Aの開設位置は、このローラ用開口部3Aを横切るように配設された各種の流路を前記装架台11におけるローラがしごくことができるように、決定される。また2個の開口部3Bは、第1流路切替器1B及び第2流路切替器1Cそれぞれにおける突出部分を基板11から突出させることができるように、その開設位置が決定される。
【0040】
なお、本実施形態においては、基板3にローラ用開口部3Aが開設されているので、流路例えばグルコース測定流路に前記マルチローラにおける各ローラが直接に接触してこのグルコース測定流路を前記ローラで直接にしごくことができるのであるが、流路内の流体を流体移送手段で移送することができる限り、基板3にローラ用開口部3Aをことさら開設する必要はなく、例えば基板が柔軟で薄いシートで形成されている場合には、ローラ用開口部3Aを設けずにこの基板を介して前記ローラが流路をしごくようにしてもよい。
【0041】
この基板3には、グルコース測定流路4と、校正液送液流路5と、希釈液送液流路6と、混合手段7とが装着される。
【0042】
図3に示されるように、前記グルコース測定流路4は、採取された血液を生体成分センサの一例としてのグルコースセンサ4Aに流体移送手段における例えばローラ1Aにより移送させることができるように、例えば柔軟な材質で管状に形成され、本実施形態では、採取された血液を、混合手段の一例である混合器7に移送する血液移送流路4Bと、混合器7により血液と希釈液とが混合されて得られる血液含有試料液をグルコースセンサに送出する試料液移送流路4Dと、グルコースセンサにて測定が終了した流体を廃液として移送する廃液移送流路4Cとを備える。
【0043】
前記血液移送流路4Bの一端はコネクタ9aが装着され、このコネクタ9aは採血手段例えばカテーテル1Eにおける血液導出流路例えば血液採取流路の端部に設けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように形成される。前記血液移送流路4Bのコネクタ9aが装着された一端は、この基板3の外側に延在する。この血液移送流路4Bの一端部以外の部位は、基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設され、その中央部は前記ローラ用開口部3Aを張力をもって横断するように張設される。なお、この実施形態では、前記カテーテル1Eとしてダブルルーメンカテーテルが採用される。
【0044】
図3に示されるように、前記試料液移送流路4Dは、基板3の表面に他の流路と共に整理良く配設される。この試料液移送流路4Dの途中部分は、前記第1流路切替器1Bを介装するために、開口部3Bを横切るように張力をもって配設される。
【0045】
グルコース測定流路4に結合されるグルコースセンサ4Aは、例えばオスミウムポリマーをカーボン電極の上に塗布した後、室温で乾燥させ、その上に酵素溶液を重層し、グルタルアルデヒドのような架橋材を用いて、固定化してなるバイオセンサを挙げることができる。このグルコースセンサ4Aとして前記バイオセンサを採用すると、オスミウムポリマーにはペルオキシダーゼ酵素が固定化されているので、過酸化水素と酸化反応が起り、引続きオスミウムポリマー、ペルオキシダーゼと電極間で還元反応が起る。この時の反応条件は銀塩化銀電極に対して、0mVである。よって、酸化反応系の酵素としてグルコースオキシダーゼを用いることにより、簡単にグルコースの検出及び濃度測定を行うことができる。このグルコースセンサ4Aは、上記の外に、オスミウム(II)−ビピリジン錯体を利用したグルコースセンサ、ルテニウム錯体を利用したグルコースセンサ、トリス型オスミウム錯体導入ポリピロール修飾電極を有するグルコースセンサ等を採用することもできる。
【0046】
これら各種のグルコースセンサの中でも、オスミウムポリマーを用いた前記バイオセンサが好ましい。このバイオセンサである好適なグルコースセンサは、白金、銀又はカーボン等の作用極と、オスミウムポリマー層にペルオキシダーゼを含有させた酵素膜層とを備えて成る薄膜センサが好ましい。
【0047】
この基板3には、さらに、前記廃液移送流路4cが配設される。この廃液移送流路4cは、前記グルコースセンサで測定済みの液を廃液として廃液用タンク1Hに導出する流路である。この廃液移送流路4cの一端にはコネクタ9eが装着され、このコネクタ9eは前記廃液用タンク1H内に廃液を導入するする導入管の端部に設けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように形成される。前記廃液移送流路4cのコネクタ9eが装着された一端は、この基板3の外側に延在する。この廃液移送流路4cの一端部以外の部位は、基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設される。また、この廃液移送流路4cの途中部分は、前記ローラ用開口部3Aを横断するように配設される。
【0048】
図3に示されるように、前記混合器7には、この血糖値測定ユニット2以外の部位、例えば人工膵臓装置本体に装備された希釈液収容槽の一例である希釈液用タンク1Fに収容された希釈液を混合器7に移送する希釈液送液流路6が、結合される。
【0049】
この希釈液送液流路6の一端にはコネクタ9bが装着され、このコネクタ9bは前記希釈液用タンク1F内の希釈液を導出する希釈液導出流路である導出管の端部に設けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように形成される。前記希釈液送液流路6のコネクタ9bが装着された一端は、この基板3の外側に延在する。この希釈液送液流路6の一端部以外の部位は、基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設され、その中央部は前記ローラ用開口部3Aを横断するように張力をもって配設され、前記コネクタ9bが結合する一端とは反対側の端部が混合器7に結合される。
【0050】
前記希釈液は、血液移送流路4Bにより移送される血液を希釈することができ、更に好ましくは、グルコースセンサ4Aに供給される試料液のpHを一定に維持することのできる液であればよく、例えばリン酸緩衝液を例示することができる。リン酸緩衝液を一例とする液は緩衝液とも称される。したがって、この一実施形態における希釈液は緩衝液であるとも言える。希釈液として緩衝液を使用すると、緩衝液により試料液のpHが一定に維持されるので、pHに対する感度の鋭敏なグルコースセンサで安定した血糖値測定を行うことができる。
【0051】
図3に示されるように、前記第1流路切替器1Bには、この血糖値測定ユニット2以外の部位、例えば人工膵臓装置本体に装備された構成液収容槽の一例である校正液用タンク1Gに収容された校正液を試料液移送流路4Dに移送する校正液移送流路5が装着される。この校正液移送流路5の一端にはコネクタ9cが結合され、このコネクタ9cは前記校正液用タンク1G内の校正液を導出する校正液導出流路である導出管の端部に設けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように形成される。前記校正液移送流路5のコネクタ9cが装着された一端は、この基板3の外側に延在する。この校正液移送流路5の一端部以外の部位は、基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設される。また、この校正液移送流路5の途中には、第2流路切替器1Cが介装される。
【0052】
前記第2流路切替器1Cには、第2希釈液移送流路6Aが取り付けられる。この第2希釈液移送流路6Aの一端にはコネクタ9dが装着され、このコネクタ9dは前記希釈液用タンク1F内の希釈液例えば緩衝液を導出する第2導出管の端部に設けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように形成される。前記第2希釈液移送流路6Aのコネクタ9dが装着された一端は、この基板3の外側に延在する。この第2希釈液移送流路6Aの一端部以外の部位は、この基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設される。
【0053】
この基板3には、この血糖値測定ユニット2以外の部位、例えば人工膵臓装置本体1に設置された生理食塩水用タンク1D(なお、この生理食塩水用タンクを生食水用タンクと略称することがある。)に収容されているヘパリン含有の生理食塩水(以下において、ヘパリンを含有するしないにかかわらず生理食塩水を生食水と略称することがある。)をカテーテル1Eに移送する生食水移送流路10が、付設される。
【0054】
この生食水移送流路10の一端にはコネクタ9fが装着される。このコネクタ9fは、この血糖値測定ユニット2以外の部位、例えば人工膵臓装置本体1に取り付けられた生食水用タンク1D内の生食水を導出する導出管の端部に取り付けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように、形成される。このコネクタ9fを取り付けた生食水移送流路10の一端は、基板3の外側にまで延在する。またこの生食水移送流路10の他端にはコネクタ9gが装着される。このコネクタ9gは、前記カテーテル1Eに設けられた導入管に取り付けられたコネクタと着脱自在に結合することができるように、形成される。このコネクタ9gを取り付けた生食水移送流路10の他端は、基板3の外側にまで延在する。この生食水移送流路10の中央部つまり、基板の外側に延在する一端部及び他端部以外の部位は、基板3の表面に、他の流路と共に整理良く配設され、前記ローラ用開口部3Aを横断するように配設される。
【0055】
次に第1流路切替器1Bについて、以下に詳述する。
【0056】
第1流路切替器1Bは、血液移送流路4Bと試料液移送流路4Dとの流通状態(1)から校正液移送流路5と試料液移送流路4Dとの流通状態(2)へと切り替え、また流通状態(2)から流通状態(1)へと切り替えるように形成される限り様々の機械的構造が採用される。
【0057】
図示される実施態様においては、試料液移送流路4Dの途中に分岐管例えばY字管(図示せず)が介装され、そのY字管の第1の分岐と第2の分岐とが試料液移送流路4Dに介装され、前記Y字管の第3の分岐が校正液移送流路5に結合される。そして、第1流路切替器1Bは、図4に示されるように、血糖値測定ユニット2を装架台11に装架した場合に基板3に開設された開口部3Bを通して基板3の表面より上側に突出するところの、相対向する一対の第1固定部材13,13とこれら第1固定部材13と第1固定部材13との間に配置され、一方の第1固定部材13に向かって移動し、また他方の第1固定部材13に向かって移動することができるように形成された第1可動部材14とを備えてなる。図4に示されるように、この一方の第1固定部材13と第1可動部材14との間に、Y字管に結合されたところの血液移送流路4Bが配置され、他方の第1固定部材13と第1可動部材14との間に、Y字管に結合されたところの校正液移送流路5は配置される。この第1可動部材14が移動してこの第1可動部材14と一方の第1固定部材13とで例えば血液移送流路4Bを挟み付け、締め付けると、血液移送流路4Bが閉塞し、これによって校正液移送流路5と試料液移送流路4Dとの流通状態(2)が実現され、他方、第1可動部材14が移動してこの第1可動部材14と他方の第1固定部材13とで例えば校正液移送流路5を挟み付け、これを締め付けると、校正液移送流路5が閉塞し、これによって血液移送流路4Bと試料液移送流路4Dとの流通状態(1)が実現される。
【0058】
前述したように流路開閉手段の一例であるこの第1流路切替器1Bは流通状態を変えることのできる限り上記した一対の第1固定部材13と第1可動部材14との組み合わせに限られず、例えば、三方切替弁、2個の二方切替弁、回転バルブ等を採用することができる。
【0059】
この発明における一つの技術思想は、この発明に係る血糖値測定ユニットにおける基板を人工膵臓装置本体の例えば装架台に装架すると、基板に配設されている流路と装架台に設けられた流路開閉手段により流路の開閉がなされることである。これによって、この血糖値測定ユニット2は、装架台に装架しない場合には、流路の開閉機能を有していないが、装架台に装架すると流路の開閉機能が実現される。第2流路切替器1Cも、以下に説明するように、第1流路切替器1Bと同様の機能が実現される。
【0060】
次に第2流路切替器1Cについて、以下に詳述する。
【0061】
第2流路切替器1Cは、第2希釈液移送流路6Aとこの第2流路切替器1Cから第1流路切替器1Bまでの校正液移送流路5とを連通状態にする流通状態(a)と、校正液用タンク1Gから第1流路切替器1B迄を流通状態にする流通状態(b)とを切り替えるように形成される限り様々の機械的構造が採用される。
【0062】
図示される実施態様においては、校正液移送流路5の途中に分岐管例えばY字管(図示せず)が介装され、そのY字管の第1の分岐と第2の分岐とが校正液移送流路5に介装され、前記Y字管の第3の分岐が第2希釈液移送流路6Aに結合される。そして、第2流路切替器1Cは、図4に示されるように、血糖値測定ユニット2を装架台11に装架した場合に基板3に開設された他方の開口部3Bを通して基板3の表面より上側に突出するところの、相対向する一対の第2固定部材15,15とこれら第2固定部材15と第2固定部材15との間に配置され、一方の第2固定部材15に向かって移動し、また他方の第2固定部材15に向かって移動することができるように形成された第2可動部材16とを備えてなる。図4に示されるように、この一方の第2固定部材15と第2可動部材16との間に、Y字管に結合されたところの、校正液用タンク1Gに向かう校正液移送流路5が配置され、他方の第2固定部材15と第2可動部材16との間に、Y字管に結合されたところの第2希釈液移送流路6Aが配置される。この第2可動部材16が移動してこの第2可動部材16と一方の第2固定部材15とで例えば第2希釈液移送流路6Aを挟み付け、締め付けると、第2希釈液移送流路6Aが閉塞し、これによって校正液用タンク1G内の校正液を第1流路切替器1B迄に移送することのできる流通状態(b)が実現される。また他方、第2可動部材16が移動してこの第2可動部材16と他方の第2固定部材15とで例えば校正液移送流路5を挟み付け、これを締め付けると、校正液移送流路5が閉塞し、これによって第2希釈液移送流路6Aと第2流路切替器1Cから第1流路切替器1B迄の校正液移送流路5との流通状態(a)が実現される。
【0063】
前述したようにこの第2流路切替器1Cは流通状態を変えることのできる限り上記した一対の第2固定部材15と第2可動部材16との組み合わせに限られず、例えば、三方切替弁、2個の二方切替弁、回転バルブ等を採用することができる。
【0064】
次に、混合器7について、詳述する。
【0065】
混合器7は、血液移送流路4Bから供給される血液と、希釈液送液流路6から供給される希釈液例えば緩衝液とを混合することができる限り各種の構造を採用することができる。この血糖値測定ユニット2においては、混合器7からグルコースセンサ4A迄の流路が短いので、グルコースセンサ4Aに至るまでに前記血液と希釈液とを十分に混合する機構を採用するのが好ましい。
【0066】
好適な混合器7の一例として図6〜8に示す構造の混合器を挙げることができる。
【0067】
図6〜図8に示されるように、混合器7は、例えば直方体形状の混合器本体7Aの内部流通空間を形成する内壁に、流体が流通方向に沿って凹凸が連続する凹凸部7Bを有する。図7におけるA−A断面を示す図8に示されるように、凹凸部7Bは、特に、ひし形状に形成されてなる。さらに詳述すると、凹凸部7Bは、流体の流通方向に沿って最初はV字状に凹凸が形成されてなるV字状凹凸部、換言すると最初はV字状に形成された複数の凸部と、これら凸部の間に形成されるV字状の凹部とを備えるV字状凹凸部と、内部の中央部から逆V字状に形成されてなる逆V字状凹凸部、換言すると逆V字状に形成された複数の凸部とこれら凸部の間に形成される凹部とを備える逆V字状凹凸部とを備えて成る。なお、希釈液送液流路6及び血液移送流路4Bが前記内部流通空間に接続される。
【0068】
凹凸部7Bを備えた混合器7にあっては、例えば、混合器本体7A内部に導入された血液と希釈液とは、凹凸部7Bにおける最初の凸部に衝突して血液と希釈液との流れが乱れ、乱れた血液と希釈液とが最初の凸部を乗り越えて次ぎの凹部に至り、次の凹部では次の凸部により血液と希釈液とが衝突し、液流が乱れる。また、凹凸部7BはV字状及び逆V字状に形成されているので、血液と希釈液とは、直進方向の成分と、凹凸部7Bの斜め方向の成分とに分割され、このように流れが分割されることにより血液と希釈液とが乱れた流れとなる。このように血液と希釈液とが、凸部に衝突して乱れこと、及び直進方向の成分と、凹凸部7Bの斜め方向の成分とに分割されることを繰り返すことにより、血液と希釈液とが混合されることができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、混合器7は、希釈液と血液とを混合しているが、これに限定されず、混合効率を向上させるために、気体、例えば、空気も導入して、希釈液と血液とを混合するようにしてもよい。この場合には、混合器7の後段に、適宜、気液分離器等を設けるようにして、液体(希釈液及び血液)と気体とを再度分離するようにすればよい。
【0070】
上記したような混合器7内に空気を導入して血液と希釈液との混合を促進することのできる構造としては、例えば、図9に示される混合器8を挙げることができる。図9に示されるように、混合器8は、直方体形状の混合器本体8Aの内部に混合室8Bと、ガス室8Cとを有してなる。混合室8B内部には、液体又は気体の流れ方向に沿って通気性区画板8Dが設けられている。通気性区画板8Dは、混合器本体8Aの内部を混合室8Bとガス室8Cとに区画している。通気性区画板8Dは、微細な気泡を混合室8Bに噴出可能な構造を有している限り特に制限がなく、例えば多孔質な板状の部材を例示することができ、さらに具体的には、多孔質の疎水性高分子膜、多孔質セラミックス板、合成樹脂製のスポンジ等を挙げることができる。
【0071】
混合室8Bには、希釈液送液流路6から供給される希釈液を導入する希釈液路8Eと、血液送液流路4Bから供給される血液を導入する体液路8Fと、気液分離器(図示せず)を途中に備えたところの、試料液送液流路4Dに接続される排出路8Gとが設けられている。希釈液路8E及び体液路8Fと、排出路8Gとは互いに混合器本体8Aの反対側に設けられていることが好ましい。
【0072】
ガス室8Cには、外部からの気体例えば空気をガス室8Cに流通させるガス路8Hが設けられている。
【0073】
この混合器8の作用を以下に説明する。まず、希釈液路8E及び体液路8Fからそれぞれ、希釈液及び血液が混合室8Bに導入される。一方、ガス路8Gから空気がガス室8Cに導入される。ガス室8Cに導入された空気は、通気性区画板8Dを通過する際に、細かな気泡となる。この細かな気泡は、混合室8Bに導入される。混合室8Bに導入された細かな気泡は、混合室8Bに導入された希釈液及び血液を攪拌する。攪拌された希釈液及び血液は、よく混合される。よく混合された液体は、排出路8Gによって、混合室8Bから排出される。
【0074】
なお、混合器8の排出路8Gの下流側、すなわち混合器8の後段に設けられた気液分離器により、混合された希釈液及び血液と、細かな気泡とが分離される。
【0075】
以上に説明した血糖値測定ユニットを使用する以前における基板に、例えばカテーテル1E、生理食塩水用タンク1D、希釈液用タンク1F、校正液用タンク1G、廃液用タンク1H等の全ての接液品を、整理良く配列しておくと、この発明の一例である医療支援器具キットが形成される。この医療支援器具キットを例えばエチレンオキサイド等により滅菌して内外遮断状態になるように包装材で包装することにより、又は医療支援器具キットを内外遮断状態に成るように包装材で包装してから例えばエチレンオキサイド等により滅菌処理することにより、医療支援器具キット包装体が形成される。
【0076】
以下に、この発明の血糖値測定ユニット2を装架した人工膵臓装置の作用について説明する。
(1)グルコースを測定する際の作用
人工膵臓装置を作動させる前に、人工膵臓装置本体1に、前記血糖値測定ユニット2を取り付ける。具体的には、前記装架台11上に形成された前記固定ピン12に、前記基板3の固定用孔3Cを挿入し、さらに、前記固定軸3Dを前記のようにして、前記装架台11上に基板3を固定する。次いで、基板3の各流路を、それぞれ、前記生理食塩水用タンク1D、前記カテーテル1E、前記希釈液用タンク1F、前記校正液用タンク1G及び前記廃液用タンク1Hに接続し、各流路を前記ローラポンプ、第1流路切替器1B及び第2流路切替器1Cにセットする。このセットは、各流路におけるコネクタと血糖値測定ユニット2に附属する流路の末端にあるコネクタとを接続することにより行われる。コネクタ同士の接続はきわめて簡単な操作である。このようにして、人工膵臓装置の配管接続作業が終了する。この実施形態においては、血糖値測定ユニット2は、基板3と、グルコース測定流路4とを備えているから、このように、人工膵臓装置本体1に前記基板3を取り付けるだけで、各流路をそれぞれ個別に配管する必要がなく、配管等の作業を簡略化でき、作業性を向上させることができるうえ、例えば、配管等の汚れが原因となる不衛生な操作をすることが少なくなる。また、各流路を人工膵臓装置の装架台11に備えられた前記ローラポンプに容易に一度にセットすることができる。
【0077】
このようにして構成された人工膵臓装置のカテーテル1Eを患者の体内に留置する。次いで、図3に示されるように、生理食塩水用タンク1Dからダブルルーメンカテーテルであるカテーテル1Eへとヘパリン含有生理食塩水が送液される。また、このカテーテル1Eにより採血された血液は、カテーテル1E内でヘパリン含有生理食塩水と血液とが混合される。カテーテル1E内のヘパリン含有血液が、流体移送手段におけるローラにしごかれる血液移送流路4B内を積極的に移送され、混合器7に到る。
【0078】
一方、前記ローラ1Aによりしごかれて、希釈液用タンク1Fから、希釈液が希釈液送液流路6を送液される。送液された希釈液は、混合器7に送液される。この際、図7及び図8に示されるように、混合器7では、血液と希釈液とは凹凸部7Bに衝突しながら、混合する。混合により試料液が調製される。
【0079】
このとき第1流路切替器1Bは、試料液移送流路4Dに対して校正液移送流路5を不通状態にし、血液移送流路4Bと試料液移送流路4Dとを流通状態にしている(この状態は流通状態(1)である。)。したがって、試料液は、試料液移送流路4D内を流通してグルコースセンサ4A内に注入される。グルコースセンサ4A内では、試料液中のグルコースが測定される。なお、測定されたグルコースの量のデータは、人工膵臓装置本体1の図示しない制御部に転送される。
【0080】
一方、測定の終わった試料液は、前記ローラ1Aによりしごかれて、グルコースセンサ4A外へ排出される。排出された試料液は、廃液移送流路4C内を送液される。送液された試料液は、廃液用タンク1Hに達し、廃液用タンク1Hに貯留される。
【0081】
したがって、この実施形態においては、血糖値測定ユニット2は、基板3と、グルコース測定流路4とを備えることにより、例えば、グルコース測定の作業前に、予め、基板に各流路が搭載されているので、人工膵臓装置本体に前記基板を取り付けるだけで、各流路をそれぞれ個別に配管する必要がなく、人工膵臓装置本体に血糖値測定ユニットを取り付ける際の配管等の作業を簡略化でき、作業性を向上させることができる。また、配管等の作業が簡略化されるので、例えば、配管等の汚れが原因となる不衛生な操作をすることが少なくなる。したがって、作業性を向上させることができ、衛生的に操作して血糖値を測定することのできる血糖値測定ユニット2を提供することができる。
【0082】
このようにして、患者のグルコース測定が終了したら、体内に留置されたカテーテル1Eを取り出し、必要により、前記カテーテル及び各流路に存在する患者の血液を前記廃液用タンク1Hに排出した後、基板3の各流路を、それぞれ、前記生理食塩水用タンク1D、前記カテーテル1E、前記希釈液用タンク1F、前記校正液用タンク1G及び前記廃液用タンク1Hから取り外す。このようにして、人工膵臓装置本体1から基板3を取り外す作業が終了する。
【0083】
このように、グルコース測定の作業後に、予め、基板に各流路が搭載されているので、人工膵臓装置本体から前記基板を取り外すだけで、使用された血糖値測定ユニット2の配管を取り外す作業をする必要がなく、配管等に付着した体液等を作業者が触れることなく、血糖値測定ユニット2を廃棄することが可能となる。したがって、この観点からも、作業性を向上させることができ、衛生的に操作可能な血糖値測定ユニット2を提供することができる。
(2)グルコースセンサ4Aを洗浄する際の作用
前記グルコースを測定する場合と同様にして、人工膵臓装置本体1に、前記血糖値測定ユニット2を装架する。なお、カテーテル1Eは患者の体内に留置されていても、されていなくてもよい。
【0084】
まず、図3に示されるように、希釈液用タンク1Fから、第2流路切替器1C及び第1流路切替器1Bを経由して、希釈液が希釈液送液流路6を送液される。希釈液は、第2流路切替器1Cにより、希釈液送液流路6から試料液移送流路4Dに送液される。
【0085】
次に、第1流路切替器1Bにより、試料液移送流路4D側を選択して閉じる。このことにより、希釈液送液流路6から校正液移送流路5Aを経由して試料液移送流路4Dに送液された希釈液は、グルコースセンサ4A内へ送液される。送液された希釈液は、グルコースセンサ4A内を洗浄する。
【0086】
そして、洗浄の終わった希釈液は、前記ローラ1Aによりしごかれて、グルコースセンサ4A外へ排出される。排出された希釈液は、廃液移送流路4C内を送液される。送液された希釈液は、廃液用タンク1Hに達し、廃液用タンク1Hに貯留される。
【0087】
グルコースセンサ4Aの洗浄が終了した人工膵臓装置は、前記患者のグルコース測定に使用され、又は、前記血糖値測定ユニット2が前記のようにして取り外されて、停止される。
(3)グルコースセンサ4Aを校正する際の作用
前記グルコースを測定する場合と同様にして、人工膵臓装置本体1に、前記血糖値測定ユニット2を装填する。なお、カテーテル1Eは患者の体内に留置されていても、されていなくてもよい。
【0088】
次いで、図3に示されるように、第2流路切替器1Cにより、校正液用タンク1Gから、校正液が校正液移送流路5を経由して試料液移送流路4Dに送液される。
【0089】
次に、第1流路切替器1Bにより、この第1流路切替器1Bから混合器7に到る流路を閉鎖し、第1流路切替器1Bからグルコースセンサ4A迄の流路と校正液移送流路5とを流通状態にする。このことにより、校正液移送流路5Aから試料液移送流路4Dに送液された校正液は、グルコースセンサ4A内へ送液される。送液された校正液は、グルコースセンサ4A内に達する。この際、グルコースセンサ4A内では、校正液が送液された状態でデータが測定される。なお、測定されたデータは、人工膵臓装置本体1の図示しない制御部に転送される。所定の校正値に達したことを確認するまで、校正液を送液して、データが測定される。
【0090】
校正が終了すると、校正液は、前記ローラ1Aによりしごかれて、グルコースセンサ4A外へ排出される。排出された校正液は、廃液移送流路4C内を送液される。送液された校正液は、廃液用タンク1Hに達し、廃液用タンク1Hに貯留される。
【0091】
グルコースセンサ4Aの校正が終了した人工膵臓装置は、前記患者のグルコース測定に使用され、又は、前記血糖値測定ユニット2が前記のようにして取り外されて、停止される。
【0092】
なお、衛生面の基準が厳しい医療現場等で使用する際には、上記血糖値測定ユニット2と、この血糖値測定ユニット2を包装材例えば袋により内外遮断状態にして包装してなる血糖値測定ユニット包装体として使用することが好ましい。すなわち、血糖値測定ユニット包装体は、前記血糖値測定ユニット2を包装材中に内外遮断状態にして収納してなる。前記血糖値測定ユニット2は、包装体中に収納する前に例えばエチレンオキサイドで滅菌されてもよく、包装体中に収納してから包装体ごと滅菌されてもよい。前記血糖値測定ユニット2は、例えば、加熱、紫外線照射等の通常の滅菌方法等によって、滅菌される。
【0093】
前記包装材は、前記血糖値測定ユニット2を収納することができればよく、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の袋等が挙げられる。
【0094】
この血糖値測定ユニット包装体によれば、収納されている血糖値測定ユニットが滅菌されているので、血糖値測定ユニット包装体又は内包されている血糖値測定ユニットを取り出して人工膵臓装置本体に装填することにより人工膵臓装置を稼動させることができ、また、人工膵臓装置の稼動終了後には使用済みの血糖値測定ユニットを人工膵臓装置本体から取り外して、廃棄するので、操作性が良好で、衛生的で、操作者が患者の血液等の体液に接触する機会も少なくなり、安全な血糖値測定ユニット包装体が提供される。
【0095】
この実施形態における血糖値測定ユニットは、血液中のグルコースを測定しているが、グルコースを測定することができる血液以外の体液を測定してもよい。このような体液としては、例えば、尿、汗、細胞間質液等を挙げることができる。
【0096】
また、この実施形態における血糖値測定ユニットは、流体移送手段としてマルチローラが採用されているが、例えば、一本の回転軸に、この回転軸の軸線に平行な軸線を有する長尺の1本のローラが、軸支されてなるローラが採用されてもよい。この場合には、前記1本のローラのしごき運動により、流体を移送する必要のある全ての流路内の流体が移送されることができるようになっている。
【0097】
さらに、この実施形態における採血手段例えばカテーテルは、前記人工腎臓装置本体及び血糖値測定ユニットとは別体に備えられているが、例えば、採血手段はこの血糖値測定ユニットに予め搭載されていてもよい。この場合には、前記採血手段における導入管に取り付けられたコネクタを前記生食水移送流路10の他端にはコネクタ9gに結合すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、この発明に係る血糖値測定ユニットが装架される人工膵臓装置本体の概略図を示している。
【図2】図2は、この発明に係る血糖値測定ユニットが装架される人工膵臓装置本体の装架台と血糖値測定ユニットとの概略図を示している。
【図3】図3は、この発明に係る血糖値測定ユニットの各機能を示すブロック図を示している。
【図4】図4は、この発明に係る血糖値測定ユニットの基板の概略図を示している。
【図5】図5は、この発明に係る血糖値測定ユニットのローラ用開口部付近の断面構造を示す概略図を示している。
【図6】図6は、この発明に係る血糖値測定ユニットの混合器の概略図を示している。
【図7】図7は、この発明に係る血糖値測定ユニットの混合器の断面構造を示す概略図を示している。
【図8】図8は、図7のA−Aにおける断面構造を示す概略図を示している。
【図9】図9は、この発明に係る血糖値測定ユニットの混合器の変形例の断面構造を示す概略図を示している。
【図10】図10は、流体移送手段の他の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 人工膵臓装置本体
1A ローラ
1B 第1流路切替器
1C 第2流路切替器
1D 生理食塩水用タンク
1E カテーテル
1F 希釈液用タンク
1G 校正液用タンク
1H 廃液用タンク
2 血糖値測定ユニット
3 基板
3A ローラ用開口部
3B 開口部
3C 固定用孔
3D 固定ピン
3E 押え板
3F 開口部
4 グルコース測定流路
4A グルコースセンサ
4B 血液移送流路
4C 廃液移送流路
4D 試料液移送流路
5 校正液送液流路
6 希釈液送液流路
6a 第2希釈液送液流路
7 混合器
7A 混合器本体
7B 凹凸部
8 混合器
8A 混合器本体
8B 混合室
8C ガス室
8D 通気性区画板
8E 希釈液路
8F 体液路
8G 排出路
8H ガス路
9a、9b、9c、9d、9e,9f,9g コネクタ
11 装架台
12 固定ピン
13 第1固定部材
14 第1可動部材
15 第2固定部材
16 第2可動部材
20 押圧子
21 偏芯回転カム
22 回転軸
23 第1ポペットバルブ
24 第2ポペットバルブ
25 押さえ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路と共同して流路中に存在する流体を一方向に流通させる流体移送手段を有する医療支援装置本体に着脱自在に装架可能な基板と、前記基板に装着された流路とを備え、
前記流路が、(1)体液採取手段から採取された流体を導出する体液導出流路と着脱自在であり、(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、(3)移送される流体に含まれる生体成分を測定する生体成分センサを備え、(4)前記生体成分センサにより生体成分の測定が完了した流体を廃液として排出可能とする生体成分測定流路を含むことを特徴とする生体成分測定ユニット。
【請求項2】
前記流路が、(1)希釈液収容槽に収容された希釈液を導出する希釈液導出流路と着脱自在であり、(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、(3)前記生体成分測定流路における前記生体成分センサの上流側の部位に前記希釈液を供給可能とする希釈液送液流路を、更に含んで成る前記請求項1に記載の生体成分測定ユニット。
【請求項3】
前記生体成分測定流路は、体液と希釈液送液流路から供給される希釈液とを混合する混合手段を含んで成る前記請求項2に記載の生体成分測定ユニット。
【請求項4】
前記流路が、(1)校正液収容槽に収容された校正液を導出する校正液導出流路と着脱自在であり、(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、(3)前記生体成分測定流路における前記生体成分センサの上流側の部位に前記校正液を供給可能とする校正液送液流路を、更に含んで成る前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体成分測定ユニット。
【請求項5】
前記生体成分測定流路は、前記希釈液送液流路との合流点の上流側に、前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると前記医療支援装置本体に備えられた流路開閉手段により流路開閉がなされる生体成分測定流路開閉部位を備え、かつ前記希釈液送液流路は、前記生体成分測定流路との合流点の上流側に、前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると前記医療支援装置本体に備えられた流路開閉手段により流路開閉がなされる希釈液送液流路開閉部位を備え、前記希釈液送液流路開閉部位が開状態のときには前記生体成分測定流路開閉部位が閉状態に、また、前記希釈液送液流路開閉部位が閉状態のときには前記生体成分測定流路開閉部位が開状態に形成されてなる前記請求項1又は2に記載の生体成分測定ユニット。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体成分測定ユニットを包装材で内外遮断状態かつ滅菌状態にして包装してなることを特徴とする生体成分測定ユニット包装体。
【請求項7】
流路と共同して流路中に存在する流体を一方向に流通させる流体移送手段を有する医療支援装置本体に着脱自在に装架可能な基板に、(1)体液採取手段から体液採取された体液を導出する体液導出流路と着脱自在であり、(2)前記基板を前記医療支援装置本体に装架すると、前記流体移送手段と共同して流路内の流体を一方向に移送可能となり、(3)移送される流体に含まれる生体成分を測定する生体成分センサを備え、(4)前記生体成分センサにより生体成分の測定が完了した流体を廃液として排出可能とする生体成分測定流路と、前記人工膵臓装置を使用するに必要な、しかして医療支援装置本体及び前記生体成分測定流路以外の接液品とを、配列してなることを特徴とする医療支援器具キット。
【請求項8】
前記請求項7に記載の医療支援器具キットを包装材で内外遮断状態かつ滅菌状態にして包装してなることを特徴とする医療支援器具キット包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−130306(P2006−130306A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293069(P2005−293069)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】