説明

生体材料からのDNAの単離方法

【課題】生体材料、特に不純物及び阻害物質を含み得る大便試料からの核酸の安定化、精製、又は/及び単離のための方法を行うために適した試薬キットを提供する。
【解決手段】不純物を結合させるための吸着マトリックス(不溶性炭水化物系吸着マトリックス)及び抽出バッファーを核酸含有試料へ添加し、次いで核酸を吸着マトリックスから除去する生体材料からの核酸の精製、安定化、又は/及び単離のための方法であって、抽出バッファーが(a)2〜8の範囲のpH(b)少なくとも100mMの塩濃度、又は/及び(c)フェノール中和物質を含むことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体材料、特に不純物及び阻害剤又は妨害物質(interfering substances)を含み得る大便 (stool)試料からの核酸の精製、安定化、又は/及び単離のための方法に関する。更に、本発明の方法を行うために適した試薬キットを記載する。
【0002】
様々な研究分野からの数多くの例は、保管中に核酸を損傷させ、かつ例えば増幅による核酸の酵素処理を妨げる物質によって汚染された生体試料からの核酸の分析の重要性を立証する。従って、更なる分析のために生体材料に含まれる核酸を使用するためには、前記物質が極めて低濃度で存在し、又は試料から完全に除去されていることが重要である。
【0003】
糞便試料からの核酸試料の分析は、特に重要である。重要な医学的適用は、消化管の腫瘍の初期診断におけるパラメーターとして役立ち得る大便からの核のヒトDNAの腫瘍に特異的な改変(modifications)の検出である。更に、核酸に基づく検出法(nucleic acid-based assay)による大便試料からの細菌性及びウイルス性伝染病の病原菌の検出は、ますます重要になっている。
【0004】
大便試料からの核酸の精製のためのプロテアーゼ処理、フェノール/クロロホルム抽出、カオトロピック塩の存在下での核酸のシリカへの結合、ゲル濾過、アニオン交換クロマトグラフィー及び陽イオン界面活性剤の使用のような様々な精製手段の適用は周知である。しかし、前記方法を使用して大便試料から単離された核酸は、一般的に不安定であり、例えばPCRのようなその後の酵素反応においてしばしば問題を引き起こす。この理由は、核酸と共に単離され、前記核酸を損傷させ、更に酵素反応を妨げる物質である。大便に含まれる既知の阻害剤類は、ヘモグロビン及びその代謝産物、胆汁酸及び胆汁酸誘導体、更に多糖類である。
【0005】
PCT/EP/96/03595には、生体材料、特に糞便からの核酸の精製、安定化又は/及び単離のための方法であって、不純物を結合させるための吸着マトリックスを、生体材料からの核酸含有試料へ添加する方法が記載されている。使用する吸着マトリックスは、好ましくは澱粉炭水化物系、例えば澱粉、セルロース、グリコゲン又は/及び他の生物発生的(biogenic)若しくは生物発生的でない(nonbiogenic)炭水化物又はそれらの混合物であり、穀類、エンドウ豆、トウモロコシ、ジャガイモ、若しくはそれらの成分、又は混合物からなる粉末を含むことが好ましい。精製された炭水化物又は/及び粉末の混合物、特にセルロースとジャガイモ粉末との混合物は、大便試料からの核酸の精製に特に適していることが分かった。
【0006】
しかし、PCT/EP96/03595に記載の方法を用いた場合、核酸を損傷する物質及びPCR阻害剤が完全に除去されないこともある。阻害された(inhibitory)大便試料の割合が変わり易い場合、核酸の酵素処理及びその後の標準的なプロトコルを用いる精製は不可能である。
【0007】
従って、本発明の目的は、核酸の単離方法であって、少なくとも従来技術の欠点のいくつかを取り除き、特に“阻害された試料”からの核酸の再生的な(reproducibly)精製を可能にする方法を提供することである。
【0008】
驚くべきことに、下記の1つ以上の手段を用いると、阻害された試料からの核酸の精製をも改善できることが見出された:
(a)酸性〜中性pHを有する抽出バッファーを使用すること、
(b)高い塩濃度の抽出バッファーを使用すること、及び
(c)フェノール中和物質(phenol neutralizing substance)を含む抽出バッファーを使用すること。
【0009】
従って、本発明は、生体材料からの核酸の精製、安定化、又は/及び単離のための方法であって、抽出バッファー及び不純物を結合させるための吸着マトリックスを核酸含有試料へ添加し、次いで核酸を吸着マトリックスから除去し、不純物がそれに結合し、抽出バッファーが
(a)2〜8の範囲のpH
(b)少なくとも100mMの塩濃度、又は/及び
(c)フェノール中和物質
を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、先行技術の抽出バッファー(図1a)及び本発明の抽出バッファー(図1b)を用いた阻害された大便試料におけるDNAの増幅性を示す。
【0011】
第一の態様において、バッファーは、2〜8、好ましくは3〜7、特に好ましくは4〜6.5の範囲のpHを有する。酢酸塩バッファー、例えば酢酸ナトリウムの使用がここでは有利である。しかし、他のバッファー、例えばリン酸塩バッファー又はクエン酸塩バッファーの使用も可能である。
【0012】
第二の態様によれば、抽出バッファーの塩濃度は、少なくとも100mM、好ましくは少なくとも200mMで、それぞれの場合に使用される塩の最大溶解度までである。使用される好ましい塩は、アルカリ金属ハロゲン化物、例えばNaCl若しくはKCl又はそれらの混合物である。
【0013】
第三の態様において、バッファーは、少なくとも1つのフェノール中和物質を含む。フェノールを中和できる物質の好ましい例としては、様々な重合度のポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、PVP−10、還元剤、例えばβ-メルカプトエタノール若しくはジチオトレイトールのようなチオール試薬、又はホウ酸塩が挙げられる。少なくとも0.5%(w/w)で溶解度の限界までの濃度のポリビニルピロリドンを用いることが特に好ましい。
【0014】
更に、本発明の方法に適した抽出バッファーは、例えばEDTAのようなキレート化合物、又は/及び界面活性剤、例えばSDSのようなイオン性界面活性剤を好ましくは含む。キレート化合物は、1〜200mMの濃度で含まれることが好ましい。界面活性剤濃度は、好ましくは0.1〜5%(w/w)である。
【0015】
抽出バッファーと混合した吸着マトリックスは、核酸の損傷を引き起こし、又は/及び酵素反応が行われることを妨げる不純物を除去又は中和することができ、その例としては、ヘモグロビンの分解生成物、例えばビリルビン(bilirubin)及びその分解生成物、胆汁酸若しくはそれらの塩又はそれらの分解生成物、又は/並びに特に植物由来の多糖類及びポリフェノールが挙げられる。不溶性吸着マトリックスを用いることが好ましい。
【0016】
適当な吸着マトリックスに関しては、出願PCT/EP96/03595が参照される。炭水化物系吸着マトリックス、例えば穀類、トウモロコシ、エンドウ豆、大豆、及び特にジャガイモからなる粉末若しくはそれらの成分又はそれらの混合物を用いることが特に好ましい。粉末と他の炭水化物、例えばセルロースのような精製された炭水化物との混合物が特に好ましい。
【0017】
吸着マトリックスを試料へ添加する量は、試料組成に本質的に依存する。試料に基づき、例えば、重量で0.05:1〜100:1、特に0.1:1〜10:1の割合で吸着マトリックスを使用することができる。
【0018】
核酸を分解する、又は酵素反応を阻害する不純物を含む生体材料から、核酸含有試料を採取する。試料の好ましい供給源は糞便である。しかし、前記試料は、他の供給源、例えば、全ての種類の組織、骨髄、血液、血清、血漿、尿、精液、CSF、痰のようなヒト及び動物の体液、スワブ(swabs)、植物、植物の一部及び抽出物、例えば樹液、真菌(fungi)、細菌のような微生物、化石化(fossilized)又はミイラ化した(mummified)試料、土壌試料、泥(sludge)、排水並びに食物からも採取することができる。
【0019】
吸着マトリックスの添加前に抽出バッファーへ入れ、それぞれの場合に所望の期間プレインキュベートする(preincubated)ことが好ましい。一方、試料、抽出バッファー及び吸着マトリックスを一緒に同時に添加することもできる。抽出バッファーは、室温で抽出バッファー中で少なくとも重量で0.1:1、好ましくは0.5:1〜50:1の割合で好ましくは使用され、インキュベーションは、均質化処理、例えばボルテックスミキサーによる攪拌(vortexing)を好ましくは含む。
【0020】
本発明の態様において、インキュベーションは、試料材料からの核酸の放出に有利な条件下で行うことができる。そのようなインキュベーション条件は、分解することが“難しい”材料、例えば細菌若しくは寄生動物のような細胞、又は例えばウイルスからの核酸を検出すべきである場合に特に用いられる。この場合、インキュベーション中の核酸の放出は、化学的、熱的、又は/及び酵素的処理によって向上することができ、その結果、全DNAに関しても、具体的には検出されるべきDNAに関しても、試料材料から核酸が高収率が得られる。ここでは、温度を例えば50℃以上に、特に70℃以上に上げることが好ましい。
【0021】
一方、分解され易い材料、例えばヒト細胞のような感受性細胞からの核酸が測定されるべきである場合、試料における他の核酸の望ましくない放出をこの方法で回避するため、又は制限するために、温度を下げて、例えば10℃以下、特に4℃以下でインキュベーションを行うこともできる。
【0022】
吸着マトリックスの添加後に、試料を更にインキュベートする。このインキュベーションも、所望により、室温で、温度を下げて、又は核酸の放出に有利な条件で行うことができる。
【0023】
インキュベーション後、例えば遠心分離によって試料から吸着マトリックスを除去することができる。その代わりに、例えば液体生体試料の場合は、吸着マトリックスを試料へ直接添加することもできる。更に、遠心分離、減圧適用、又は/及び重力手段によって、試料を吸着マトリックス上へ導くことができ、その後、吸着マトリックスと共にカラムへ入れることが好ましい。
【0024】
抽出バッファー及び吸着マトリックスによる処理は、試料に含まれる核酸の溶解度を著しく上昇させ、かつ次の核酸の単離の再生性(reproducibility)をより良好にする。これは、単離の後に核酸の酵素処理、例えば増幅又は/及び制限切断(restriction cleavage)を行う場合に特に当てはまる。例えばPCR(ポリメラーゼ・チェーン反応)、LCR(リガーゼ・チェーン反応)、NASBA(核酸に基づく特異的増幅)又は3SR(自動継続配列複製(self-sustained sequence replication))による増幅を行うことが特に好ましい。
【0025】
PCT/EP96/03595において既に述べられているように、本発明の特に好ましい態様は、大便試料からの核酸、特にDNAの分析、検出又は単離である。本発明の方法は、糞便試料から、不純物のない増幅可能な(amplifiable)核酸を得ることを可能し、突然変異、特に腫瘍に特異的なDNA突然変異の検出のために使用することができる。
【0026】
本発明は更に、生体材料からの核酸の安定化及び精製のための試薬キットであって、
(a)核酸含有試料を入れるために適した上記のような抽出バッファー、及び
(b)生体材料の不純物を結合させるための吸着マトリックス
を含むキットに関する。
【0027】
吸着マトリックスは、数個に分けて容器に入れた状態で、例えば遠心分離され得るミニカラム(miniculumn)のようなカラムに入れた状態であることもできる。バッファーは、濃縮又は凍結乾燥してすぐに使用できる状態(ready-in-use form)であることができる。
【0028】
試薬キットは、例えば無機(mineral)又は/及び有機支持体材料、適当な溶液、補助剤、又は/及び付属物(accessories)を含む、核酸試料を精製するための更なる手段を含むことが好ましい。支持体材料の無機成分は、例えば多孔質若しくは非多孔質金属酸化物又は金属混合酸化物(metal mixed oxides)、例えば酸化アルミニウム、二酸化チタン、又は二酸化ジルコニウム、シリカゲル、ガラス系材料、例えば変性若しくは非変性ガラス粒子若しくはガラス粉末、石英、ゼオライト又は上記物質の1つ以上の混合物であることができる。一方、支持体は、例えば、官能基によって任意に変性されたラテックス粒子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデン、フッ化物、特に超高分子量ポリエチレン又はHDポリエチレン、又は上記物質の1つ以上の混合物から選ばれる有機成分を含むこともできる。
【0029】
支持体は、例えば、0.1μm〜100μmの平均粒子サイズを有する粒子の形であることもできる。多孔質支持体を用いる場合、2μm〜100μmの平均孔径が好ましい。支持体は、例えば、粒子の非結合床 (loose beds)、例えばガラス、石英又はセラミックからなる濾過層、膜、例えばシリカゲルを含む膜、例えば石英若しくはガラスウールのような繊維又は組織の状態、そして更に合成ポリマーのラテックス又はフリット材料の状態であることができる。
【0030】
また、本発明の試薬キットは、酵素及び他の核酸処理のための手段、例えば核酸の増幅に適した少なくとも1つのプライマー及び酵素、例えば核酸ポリメラーゼ、又は/並びに少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼのような補助物質を含むこともできる。
【0031】
核酸の増幅のためのプライマーは、分析されるべき遺伝子、即ち、例えば癌遺伝子、腫瘍抑圧遺伝子(tumor suppressor genes)、又は/及びミクロサテライト部(microsatellite sections)に適切に(expediently)由来する。核酸の増幅に適した酵素及び制限エンドヌクレアーゼは周知であり、市販されている。
【0032】
また、以下の図面及び実施例は、本発明を説明するためのものである。図において:
図1は、先行技術の抽出バッファー(図1a)及び本発明の抽出バッファー(図1b)を用いた阻害された大便試料におけるDNAの増幅性(amplificability)を示す。
【実施例】
【0033】
実施例1
大便試料からのDNAの分析
セルロース及びジャガイモ粉末からなる吸着マトリックスを用いてDNAを精製した後、PCRによって増幅した。
【0034】
ヒト大便試料を集め、凍結させて−80℃で保管した。大便200mgを2mlのマイクロ遠心分離器(microcentrifuge vessel)へ入れ、氷上で保管した。次いで、大便試料を600μlの抽出バッファーへ入れ、混合物をボルテックスミキサーで1分間攪拌することによって均質化した。
【0035】
ジャガイモ粉末及びセルロース系吸着マトリックス(200mg)を300μlの抽出バッファーへ入れ、ボルテックスミキサーで攪拌することによって再度懸濁させた。その後、マトリックス懸濁液を大便ホモジェネート(homogenate)へ加え、ボルテックスミキサーで1分間攪拌した。
【0036】
大便粒子、吸着マトリックス及び他の不純物を沈殿させるために試料を5分間遠心分離した。上清を新しいマイクロ遠心分離器へ移し、更に5分間遠心分離した。
【0037】
600μlの上清中に含まれるDNAを、下記の試薬及び遠心分離カラムを用いて更に精製した。プロテイナーゼK処理の後、カオトロピック塩の存在下で、核酸を遠心分離カラムのシリカゲル膜に結合させ、更に洗浄処理をした後溶出させた。
【0038】
テンプレート(GFP(緑色蛍光蛋白質(green fluorescence protein))及びその増幅に必要なその他の成分(プライマー、ポリメラーゼ、ヌクレオチド、バッファー)をDNA溶出液へ添加した。PCR混合物中のDNA溶出液の最終濃度は、10%(v/v)であった。
【0039】
計19人の阻害された大便試料からのDNA単離物の増幅性を、PCR(図1a及びb中の1〜19列)によって試験した。PCR後、ゲル電気泳動によって混合物を分画し、増幅生成物(予測長(expected length)771bp)を臭化エチジウム染色によって視覚化した。
【0040】
DNA長マーカー(M;1kBマーカー(1 kB Marker)、ギブコ BRL(Gibco BRL)、ベセスダ(Bethesda) メリーランド(Meryland))を参照としてゲルへ加えた。DNA溶出液の代わりにGFP−PCR混合物へ加えた対照は、トリスバッファー(T)、高阻害(highly inhibitory)大便DNA(I)又は阻害されていない大便DNA(N)であった。更に、対照反応GFPを、何も添加せずに(−)増幅した。
【0041】
阻害された大便試料の場合、PCT/EP96/03595に用いられた大便溶解バッファー(500mM トリス−HCl pH9.0、50mM EDTA、10mM NaCl)を用いると増幅生成物が得られないことがしばしばあった。それ故、図1aは、PCT/EP96/03595から知られているプロトコルを用いると、試験された19個の試料の2つのみ(4番及び15番の試料)で増幅が起こったことを示す。
【0042】
驚くべきことに、標準のバッファーを以下の表1に示すバッファーE1〜E8と取り替えることにより、DNAの増幅性を劇的に向上できることが見出された。
【0043】
【表1】

【0044】
図1bは、本発明の抽出バッファーを用いた場合、19個の試料全てから、増幅可能なDNAを単離できたことを示す。
【0045】
実施例2
上昇させた温度での大便抽出
特別な細胞(例えば細菌、寄生動物)又はウイルスからの核酸の検出において、DNAの効率的な放出を確実に行うためには、温度を上昇させて大便試料の抽出を行うことが適当である。
【0046】
それぞれの場合に、105個の腫瘍菌を1gの大便へ加え、実施例1の方法によって処理した。大便試料を、4℃、18〜25℃の室温(RT)、50℃、70℃、80℃又は90℃で5分間、本発明のバッファー中で抽出した。全DNA収量から溶解率(efficiency of lysis)を測定し、添加した腫瘍菌の溶解率を特異的腫瘍菌配列(vir遺伝子(vir gene))の増幅から測定した。結果を以下の表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
それぞれの場合において、結果は、記載の温度での2つの別個の大便抽出物に基づいている。全DNA収量は、260nmのOD測定によって測定した。増幅生成物をアガロースゲル上で分画した。+は、増幅率を示す(+〜+++:率の増加)。
【0049】
表2は、インキュベーション温度が少なくとも50℃、特に少なくとも70℃に上昇すると、全DNA収量及び細菌の溶解のいずれもが、並びにそれによる増幅収量が顕著に増加したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を結合させるための吸着マトリックス及び抽出バッファーを核酸含有試料へ添加し、次いで核酸を吸着マトリックスから除去する生体材料からの核酸の精製、安定化、又は/及び単離のための方法であって、
抽出バッファーが
(a)2〜8の範囲のpH
(b)少なくとも100mMの塩濃度
又は/及び
(c)フェノール中和物質
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
pHが4〜6.5の抽出バッファーを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも100mMの濃度のKCl又は/及びNaClを含む抽出バッファーを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
フェノール中和物質として少なくとも0.5%のポリビニルピロリドンを含む抽出バッファーを使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
不溶性炭水化物系吸着マトリックスを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
他の炭水化物と適当に混合したジャガイモ粉末又はそれらの成分を使用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
核酸含有試料を糞便から採取することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
吸着マトリックスと接触させる前に試料を抽出バッファー中でインキュベートすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
インキュベーション温度が10℃以下であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
核酸の放出に有利な条件下でインキュベーションを行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
インキュベーション温度が50℃以上であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
遠心分離により、減圧適用により、又は/及び重力手段により試料を吸着マトリックス上に導くことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
大便試料からの核酸の分析、検出又は単離のための請求項1〜12のいずれかに記載の方法の使用。
【請求項14】
(a)核酸含有試料を入れるために適した請求項1〜4に記載の抽出バッファー、及び
(b)生体試料の不純物を結合させるために適した吸着マトリックス
を含む生体試料からの核酸の精製、安定化、又は/及び単離のための試薬キット。

【図1】
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【公開番号】特開2010−279374(P2010−279374A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165082(P2010−165082)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【分割の表示】特願2000−593734(P2000−593734)の分割
【原出願日】平成12年1月5日(2000.1.5)
【出願人】(594182719)マックス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フェルデルンク デル ヴィッセンシャフテン エー.ファウ. (3)
【出願人】(599072611)キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (83)
【Fターム(参考)】